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Satoyama, Plants & Nature

京都丹後から兵庫但馬の海岸にて 

 車中泊で京都~兵庫の日本海沿岸の海浜植物を観察して来ました。といっても1日目は大雨で、気になっていた由良川河口の氾濫原の調査は断念。翌日は海浜植物のみを巡る1日となりました。
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タナバシロヨメナ
Fig.1 タマバシロヨメナ (京都府丹後地方 2016.10/27)
シロヨメナの変種で、本州の日本海側に分布し、特に海岸近くの山裾に多く見られます。
ここでは海岸の風衡草地でネザサやススキに埋もれるように開花していました。
その名の通り茎中部の葉の幅は広く、卵形となり鋸歯が目立ちます。
時にケシロヨメナと中間的なものも見られます。

ヒトモトススキ
Fig.2 ヒトモトススキ (京都府丹後地方 2016.10/27)
海岸に降りると湧水が溜まった窪地の周辺でヒトモトススキが生育していました。
京都では日本海側に自生地がわずかにあるようです。
関連ページ 湿生植物・ヒトモトススキ

ハマエノコロとメノマンネングサ
Fig.3 ハマエノコロとメノマンネングサ (京都府丹後地方 2016.10/27)
岩礁の割れ目ですでに結実しおえ枯れ始めたハマエノコロが生育していました。
両種とも日本海沿岸ではふつうに見られます。

オオバスギカズラ
Fig.4 オオバスギカズラ (京都府丹後地方 2016.10/27)
兵庫県の日本海側の海岸では従来キジカクシが分布するとされていましたが、ほぼ全てがオオバスギカズラです。この場所のものも葉状枝は3稜形でオオバスギカズラでした。
すでに果実なども見られず、岩礁の割れ目で風に当たらぬよう縮こまっていました。

サンインカンアオイ
Fig.5 サンインカンアオイ (京都府丹後地方 2016.10/27)
海崖沿いの林道脇の林縁斜面にサンインカンアオイが生育していました。
株元に花芽がみられましたが、まだ開花は少し先になりそうです。

アミタケ
Fig.6 アミタケ (京都府丹後地方 2016.10/27)
海岸のクロマツ林の林床で半月状の菌輪を作っていました。
周囲に見える小型のロゼットはカワラナデシコのもので、海岸近くでは葉が丸みを帯び、先が円頭となるようです。日本海側では海岸でもカワラナデシコが多く見られ、ハマナデシコは稀です。

海岸に広がる砂丘
Fig.7 海岸に広がる砂丘 (京都府丹後地方 2016.10/27)
京都の日本海側には砂丘が広がる海岸がいくつかあって、多様な海浜植物が見られます。
ここではハマゴウ、ケカモノハシ、カワラヨモギが優占する中、兵庫県ではあまり見られない海浜植物が豊富に生育しています。

ハマベノギク
Fig.8 ハマベノギク (京都府丹後地方 2016.10/27)
日本海側ではハマベノギクは砂浜でも岩上でも海岸沿いに広く生育しています。
時期的には少し遅かったようで、結実個体が多く見られました。

ハマベノギクの草体
Fig.9 ハマベノギクの草体 (京都府丹後地方 2016.10/27)
画像に写っているのは1個体で、中心に太く短い主茎があり、主茎下部から多数の側枝を出しています。側枝もよく分枝し、枝先に3.5cm内外の頭花を単生します。

ハマベノギクの花と果実
Fig.10 ハマベノギクの花と果実 (京都府丹後地方 2016.10/27)

ビロードテンツキ
Fig.11 ビロードテンツキ (京都府丹後地方 2016.10/27)
期待していたのですが、少し時期的に遅かったようで、小穂が脱落しかかっていました。
兵庫県では過去にあった自生地でもほとんど見られなくなっている稀少種です。

ウンラン
Fig.12 ウンラン (京都府丹後地方 2016.10/27)
本種も兵庫県ではほとんど見られなくなったもので、自生地は数ヶ所しかありません。
ここではカワラヨモギやハイネズ、ケカモノハシの間に沢山生育していました。

ウンランの花
Fig.13 ウンランの花 (京都府丹後地方 2016.10/27)
花は仮面状で、筒部の先は細長い距となっています。

ネコノシタ
Fig.14 ネコノシタ (京都府丹後地方 2016.10/27)
ここでは大量のランナーを出した大株が沢山生育しており、その規模に圧倒されました。

ネコノシタの花
Fig.15 ネコノシタの花 (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
これは同じ日に兵庫県側で撮影したものですが、個体数はあまり多くありません。

オニシバ
Fig.16 オニシバ (京都府丹後地方 2016.10/27)
オニシバは近畿から東海にかけて絶滅危惧種に指定している府県が多く、このことから海岸開発によって減少していることが解ります。
近縁のナガミオニシバは砂浜ではなく汽水域の干潟状の湿地に見られます。
関連ページ 関西の花/イネ科・オニシバ

アナマスミレ
Fig.17 アナマスミレ (京都府丹後地方 2016.10/27)
砂丘上にはアナマスミレが点在していて、不時開花している個体もポツポツと見られました。
スミレよりも葉に厚味と光沢があり、葉縁が多少とも閉じ気味になるのが特徴です。

海浜植物の生育状態の例
Fig.18 海浜植物の生育状態の例 (京都府丹後地方 2016.10/27)
ウンランを中心として、ネコノシタ、ケカモノハシ、ハマボウフウ、カワラヨモギが見えています。
カワラヨモギの根元には所々で立ち枯れたハマウツボも見られました。

淀洞門
Fig.19 淀洞門 (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
移動の途中に立ち寄ってみました。
但馬の海岸の名所で、山陰ジオパークとなったため、周辺はよく整備されています。

ツワブキ
Fig.20 ツワブキ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
淀洞門周辺の斜面に沢山生育していました。
近くの植え込み周辺に、なぜか根生葉のみのオグルマが見られましたが、これは移入?

漁港のイワシ類の小群
Fig.21 漁港のイワシ類の小群 (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
小さな漁港が沢山点在しており、どこでもイワシ類の群れがみられました。

マルバグミ
Fig.22 マルバグミ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
海岸近くでよく見かける木本で、枝にびっしりと花をつけていました。
葉は広卵形で大きく、徒長した枝がつる状に伸びるのが特徴です。

キンギンボク
Fig.23 キンギンボク (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
本種は日本海側に生育する落葉低木で、花期は春~初夏ですが、この個体は果実も見られず不時開花していました。ワカサハマギクやハマベノギクの咲く岩場の下にマルバグミとともに生育していました。

ハマニガナ
Fig.24 ハマニガナ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
ハマニガナは兵庫県ではCランクとされていますが、日本海側ではまだあちこちで見られます。
地下茎が砂中を長く伸び、節から3~5裂する特徴的な葉を単~複生します。
関連ページ 関西の花・ハマニガナ

ウシノシッペイ
Fig.25 ウシノシッペイ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
砂浜の後背湿地があっただろう場所が休耕されて草地状となっており、そこに群生していました。
隣接する水田ではホシクサ、ミズマツバ、アブノメが見られました。
関連ページ 湿生植物・ウシノシッペイ

ナギナタコウジュ
Fig.26 ナギナタコウジュ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
但馬の海岸は急峻な場所が多いため、道路は所々で内陸に入っていきます。
内陸の田園地帯の土手で生育状態の良い個体が多数の花序を上げていました。
関連ページ 関西の花・ナギナタコウジュ

リュウノウギク
Fig.27 リュウノウギク (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
ナギナタコウジュの近くの林縁ではリュウノウギクが開花していました。
次のワカサハマギクとはごく近縁で、リュウノウギクが2倍体であるのに対してワカサハマギクは4倍体です。
関連ページ 関西の花・リュウノウギク

ワカサハマギク
Fig.28 ワカサハマギク (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
但馬の海岸近くの至るところで見られ、群生する場所では景色が明るくなったのかと錯覚を覚えます。
リュウノウギクよりも沢山の花をつけ、花も少し大きく、舌状花は多数が密に重なり合ってつきます。

ハマベノギクとワカサハマギク
Fig.29 ハマベノギクとワカサハマギク (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
兵庫県側では広い砂丘がなく、ハマベノギクも岩場で見られることが多いです。
ワカサハマギクが咲き始めるとハマベノギクの花期も終わりになります。
ここではオニヤブソテツ、ツルボ、ハマエノコロ、テリハノイバラ、ハマサオトメカズラとともに海岸の岩上に生育しています。

イソヤマテンツキ
Fig.30 イソヤマテンツキ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
最後に立ち寄った風衡草地ですが、ここでデジタル一眼のメモリーカードが一杯に。カードの予備は用意しておらず、ここからはコンデジの画像になり、ピントが甘くなってしまいました。
イソヤマテンツキはここでは海崖の風衡草地の湧水がにじむ場所で、ヤマイやミソハギとともに生育しています。瀬戸内海側では汽水域の湿地で見られますが、日本海側ではこのような場所で生育しています。
関連ページ 湿生植物・イソヤマテンツキ

結実したコオニユリ
Fig.31 結実したコオニユリ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
風衡草地は以前来た時よりも獣道が縦横についており、かなり荒れていました。
食べにくい崖に生育しているコオニユリは被害がなく、結実個体が見られました。
海岸部の草地もシカの被害が問題となっており、京都側でもユウスゲの食害が問題となっています。
関連ページ 関西の花・コオニユリ

結実したヒオウギ
Fig.32 結実したヒオウギ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
ヒオウギの種子は黒色で強い光沢があり、「ぬばたま(射干玉・野干玉)」という古名があり枕詞ともなっています。ヌバタマハナカミキリという甲虫も居ます。
ヒオウギはシカの忌避植物で、シカの多い場所ではヒオウギだけが残ってお花畑となっていることもあります。
関連ページ 関西の花・ヒオウギ

高波で洗われる岩礁
Fig.33 高波で洗われる岩礁 (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
この日は風も強く、打ち寄せる波も高く、時々波しぶきがかかることがありました。
打ち寄せる波を見ながら一服し、帰途につきました。

category: 10月の花

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但馬で見たシダの覚え書き 

 前回は但馬の高原や湿地の植物を取り上げましたが、今回は同じ日に見たシダと、直近の京丹後~但馬の海浜植物の観察の際に見たシダの覚え書きです。
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オオクジャクシダ
Fig.1 オオクジャクシダ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
高原から渓谷へ向かう途中の林道脇の斜面に生育していました。
県中部以北でよく見かけますが、似たものに稀少種がいろいろとあるので、見つけたらチェックが欠かせません。
関連ページ 関西の花/シダ・オオクジャクシダ

イワデンダ
Fig.2 イワデンダ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
渓谷入口の休耕田の石垣の間に生育しています。
奥山よりも人里近くの岩場や石垣に多いという印象があります。
関連ページ 関西の花/シダ・イワデンダ

イヌチャセンシダ
Fig.3 イヌチャセンシダ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
本種もやや人里近い場所に多いという印象です。
ここでは渓谷入口の社寺境内にある多湿な岩場に群生していました。
関連ページ 関西の花/シダ・イヌチャセンシダ

ヤマソテツ
Fig.4 ヤマソテツ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
渓谷に入るとヤマソテツが現れ、奥山に来たという印象を強くします。
このあたりではシカの食害で無残な姿のものをよく見かけますが、ここは比較的食害が軽微のようです。
関連ページ 関西の花/シダ・ヤマソテツ

ウスゲミヤマシケシダ
Fig.5 ウスゲミヤマシケシダ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
ハクモウイノデやミヤマシケシダに酷似しますが、基部が粘液に包まれることにより区別できます。
本種も奥山の沢沿いなどに見られるシダです。
周辺にはミヤマベニシダもありましたが、画像を撮るのを忘れてしまいました。
関連ページ 関西の花/シダ・ウスゲミヤマシケシダ

ホクリクホラゴケ?
Fig.6 ホクリクホラゴケ? (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
滝が現れ、その脇の岩場に群生していました。
ハイホラゴケとヒメハイホラゴケの中間型でややハイホラゴケ寄りの集団です。
ホクリクホラゴケかコハイホラゴケ(ハイホラゴケ×ヒメハイホラゴケ)のどちらかでしょう。
関連ページ 関西の花/シダ・コハイホラゴケ

イワイタチシダ
Fig.7 イワイタチシダ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
さらに谷を遡ると渓流畔の岩上にイワイタチシダが見られるようになりました。
結構な個体数でしたが、よく随伴するフクロシダはこの谷にはありませんでした。
関連ページ 関西の花/シダ・イワイタチシダ

ハコネシケチシダ
Fig.8 ハコネシケチシダ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
シカの食害を受けたのでしょう。小型の夏葉が2枚出ているのを見たのみでした。

ミヤマワラビ
Fig.9 ミヤマワラビ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
本種は但馬の氷ノ山の岩場に見られるものですが、ここでは冷涼多湿な60m級の滝の傍に生育していました。
関連ページ 関西の花/シダ・ミヤマワラビ

オニヒカゲワラビ
Fig.10 オニヒカゲワラビ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
シカの忌避植物であるため、各地でよく見かけるふつうなシダになりました。
この谷でも状態のよい群落が見られます。
関連ページ 関西の花/シダ・オニヒカゲワラビ

タンゴワラビ
Fig.11 タンゴワラビ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
この日は海浜植物の観察に来ましたが、途中に自生要確認種の自生地に立ち寄りました。
本来のお目当てだった種は消えていましたが、タンゴワラビの群生とハコネシケチシダが見られました
関連ページ 関西の花/シダ・タンゴワラビ

矮小化したコモチシダ
Fig.12 矮小化したコモチシダ (京都府京丹後市 2016.10/27)
海崖が続く林道脇の岩上で矮小化したコモチシダが見られました。
風衡地であることと、シカの食害が原因でしょうか?
関連ページ 関西の花/シダ・コモチシダ

ウラボシ科sp.
Fig.13 ウラボシ科sp. (京都府京丹後市 2016.10/27)
潮風が当たるような漁港の石垣に付いていました。
ヒメサジランの大きなものかと思いましたが、中央脈は明瞭で大きさからもヒメサジランではありません。ソーラスは形成されておらず、サジランなのかイワヤナギシダなのか、それ以外の種なのか不明です。

ヒメミズワラビ
Fig.14 ヒメミズワラビ (京都府京丹後市 2016.10/27)
途中、気になって立ち寄った氾濫原の水田で群生していました。
同じ水田ではミズマツバ、アブノメ、ヒメミソハギが生育していました。
関連ページ 湿生植物・ヒメミズワラビ

category: シダ

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秋の但馬の高原と湿地ほか 

 前日の昼に出発し夕方但馬に到着し、草原性植物の観察。車中泊して午前中は湿地と高原に、午後からはあまり情報のない谷にシダ目当てに入ってみました。谷でのシダ探査は後日に譲り、今回は草原と湿地の草本を少し取り上げたいと思います。
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ヤマジノギク
Fig.1 ヤマジノギク (兵庫県但馬地方 2016.10/19)
ヤマジノギクは崩壊地や砂礫地のようなバッドランドや、表土の少ない貧栄養地に生育します。
ここでは溶岩上の表土の少ない貧栄養地で生育していました。
周辺にはイトハナビテンツキなどの貧栄養地を好む草本がみられます。
ヤマジノギクの茎葉は倒披針形から線形で新鮮な葉は斜上して付きます。
関連ページ 関西の花・ヤマジノギク

ヤマジノギクの花
Fig.2 ヤマジノギクの花 (兵庫県但馬地方 2016.10/19)
この時期のノコンギク、ヨメナ、イナカギク、ケシロヨメナよりも花の径は大きく3~3.5cmとオオユウガギクと同様な大きさがあります。

キクアザミ
Fig.3 キクアザミ (兵庫県但馬地方 2016.10/19)
キクアザミはキク科トウヒレン属の草本。風衡地草原や適度に管理された草地に生育する草原性植物で、近年草地の管理放棄により減少傾向の著しい種で、兵庫県版RDBではBランクとなっています。
兵庫県では他にトウヒレン属の草本にホクチアザミ、ネコヤマヒゴタイ、オオダイトウヒレン、ヒメヒゴタイ、ミヤコアザミがありますが、いずれもなかなか見られなくなっています。

キクアザミの花
Fig.4 キクアザミの花 (兵庫県但馬地方 2016.10/19)
トウヒレン属の花はいずれの種もよく似ており、総苞片に多少の差はありますが、葉に特徴が出ることが多いようです。

キクアザミの根生葉
Fig.5 キクアザミの根生葉 (兵庫県但馬地方 2016.10/19)
長い葉柄があり、葉身は卵形、薄い革質で硬く、羽状に浅~中裂します。

オオシラヒゲソウ
Fig.6 オオシラヒゲソウ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
オオシラヒゲソウは本州の秋田県~兵庫県の日本海側の湿った岩場や湿地に生育しています。
兵庫県では数ヶ所から記録があり、ここでは中間湿地に生育しています。

オオシラヒゲソウの花
Fig.7 オオシラヒゲソウの花 (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
本州の太平洋沿岸、四国、九州の温帯域の湿地に生育するシラヒゲソウが花径2~2.5cmあるのに対して、オオシラヒゲソウは3~3.5cmと大型です。
近縁のウメバチソウに比べて仮雄蕊の分枝数は3本と少数です。

オオシラヒゲソウの茎葉
Fig.8 オオシラヒゲソウの茎葉 (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
近縁のウメバチソウと異なり、茎には2個以上の無柄の葉がつきます。

ビッチュウフウロ
Fig.9 ビッチュウフウロ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
ほとんどの個体がすでに果実を付けていましたが、わずかに1花が咲き残っていました。
国内では中国から近畿にかけてと、東海、中部の一部の湿地でわずかに見られます。

ビッチュウフウロの葉
Fig.9 ビッチュウフウロの葉 (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
ゲンノショウコとアメリカフウロの中間的な形の葉を持っています。

ヤマラッキョウ
Fig.10 ヤマラッキョウ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
高所にある湿地のため、すでに開花全盛期になっていました。
湿地の植生は素晴らしいものでしたが、0.2mmほどの稚ダニに20匹強取り付かれ、ズボンから取り落とすのに手間がかかりました。この時期に付くのは4~5mmで大型のタカサゴキララマダニか、ごく微小の産まれて間もないフタトゲチマダニの稚ダニであることが多いのです。
関連ページ 湿生植物・ヤマラッキョウ

シロヘリカメムシ
Fig.11 シロヘリカメムシ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
ネザサやチシマザサの葉上で時々見かけるスマートなカメムシですが、ここでは移動中の林道上を這っていました。

ジンジソウ
Fig.12 ジンジソウ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
シダを探しに谷筋に入ると、入口の岩場でジンジソウが開花していました。
但馬の沢沿いではお馴染みの草本です。

タイミンガサ
Fig.13 タイミンガサ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
谷筋ではあちこちでタイミンガサの群生が見られ、果実形成期に入っていました。
関連ページ 関西の花・タイミンガサ

シモツケソウ
Fig.14 シモツケソウ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
比較的標高の低い谷ですが、5,60m級の滝の滝壺周辺で多湿冷涼であるためか、岩場の間にはシモツケソウが見られ、枯れた花茎が沢山立ち枯れていました。
周辺にはミヤマワラビも見られ、初夏や夏場に再訪すべき場所のようです。
他に種子形成したオオカニコウモリやキバナアキギリ、モミジガサ群落、サンインシロカネソウ、ツルネコノメソウなどが目立ちました。





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ウメバチソウの咲く貧栄養湿地 -西宮の自然- 

 兵庫県は花崗岩や流紋岩質の基岩が広がる南部を中心として、数多くの貧栄養な湿地が点在しています。西宮市も例外ではなく、有名な甲山湿原をはじめとして大小の貧栄養な湿地が見られます。
 本州中部以北で発達する高層湿原は主に雨水によって涵養され、ふつう高所で低い気温により有機物は分解されず、泥炭が発達して土壌は酸性に傾き、適度な栄養下で大きく成長する草本は生育できず、発達したミズゴケ類の群落中に貧栄養かつ嫌気的環境にも生育しうる草本が生育します。
 一方で花崗岩や流紋岩ではナトリウムやカリウムの含有量はふつう少なく、風化土壌は酸性に傾きがちで、低地の低水温の湧水が湧出するような湿地では貧栄養な湿地が形成されることがあります。形成要因は地すべりによって表土が剥き出しとなり、湧水のある水源が堰き止められるものがほとんどで、泥炭は形成されませんが、緩斜面で湧水が広範な面積を占める場合は貧栄養湿地が成立し、寒冷期に南下した種が遺存的にそのような場所に生育していることがあります。
 今回はちょうどウメバチソウの開花期ということもあって、久しぶりに西宮市内のウメバチソウが咲く貧栄養な湿地を訪れてみました。この湿地の基岩は六甲山地に広く見られる花崗岩からなり、風化してできた肌理の細かい「まさ土」がゆるい湧水の流れにより堆積して数多くの湿生植物の生育する湿地となっています。ここは湿生植物を観察しはじめた頃、頻繁に通っていた思い出深い場所でもあり、今でもほとんどの種が健在でした。
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ウメバチソウの咲く貧栄養湿地
Fig.1 ウメバチソウの咲く貧栄養湿地 (西宮市 2016.10/14)
ウメバチソウは日本のほか、台湾、東アジア北部、樺太、千島に分布し、台湾では高所に生育し、北方系の種です。国内では低地でも貧栄養湿地や裸地状の湿った草地や草刈りの行われる棚田の土手に遺存的に生育しています。酸性に傾いた貧栄養湿地では競合種が少ないため、最終氷期に定着したものと考えられ、この湿地の成立が比較的古いものと解ります。
関連ページ 湿生植物・ウメバチソウ

開花したウメバチソウ
Fig.2 開花したウメバチソウ (西宮市 2016.10/14)
思惑通り、ちょうど開花全盛で多数の開花個体が見られました。西宮市内では時に日当たりのよい渓流畔の湧水に濡れた岩場にも見られますが、種子の供給源はこの湿地であるかもしれません。ウメバチソウの種子は1mm以下で小さく、泥とともに動物や鳥類によって容易に運ばれるでしょう。

ウメバチソウの花の拡大
Fig.3 ウメバチソウの花の拡大 (西宮市 2016.10/14)
ウメバチソウの魅力は先端に腺体を持った多数に糸状に裂開した仮雄蕊。
腺体は始め黄色ですが、やがて脱色して小さくなり透明となります。

オオミズゴケのマット
Fig.4 オオミズゴケのマット (西宮市 2016.10/14)
湿地の大部分はオオミズゴケ群落が発達し、そこに湿地を特徴付ける湿生植物が生育しています。
関連ページ 湿生植物・オオミズゴケ

ウメバチソウとノガリヤス
Fig.5 ウメバチソウとノガリヤス (西宮市 2016.10/14)
湿地周縁部のこんもりとしたオオミズゴケのマット上に生育しています。
ノガリヤスは湿地の林縁部にのみ少数が見られ、湿地の主要構成種ではなく、山野に広く生育する常在種です。
関連ページ 関西の花/イネ科・ノガリヤス

ミミカキグサ
Fig.6 ミミカキグサ (西宮市 2016.10/14)
湿地の裸地部から内部の細流、水溜り内に生育しています。
この時期は寒気を避けるためか、花茎は低く少数の花を付けています。
関連ページ 湿生植物・ミミカキグサ

ホザキノミミカキグサ
Fig.7 ホザキノミミカキグサ (西宮市 2016.10/14)
本種もミミカキグサ同様、寒気のため花茎は低くて穂咲き状とならず、花茎には1~2花が付いている程度でした。
関連ページ 湿生植物・ホザキノミミカキグサ

ムラサキミミカキグサ
Fig.8 ムラサキミミカキグサ (西宮市 2016.10/14)
本種はこの仲間のなかでは、この時期もっとも草丈が低く、花自体も小さくなります。
ムラサキミミカキグサは比較的古くからある湿地に生育し、長期にわたって土壌の大きな撹乱のなかった自然度の高い湿地に生育しています。生育するには持続的に湧水の供給が必要で、ミミカキグサの中では長期維持が比較的困難な部類に入ります。
関連ページ 湿生植物・ムラサキミミカキグサ

沈水葉をつけたムラサキミミカキグサ
Fig.9 沈水葉をつけたムラサキミミカキグサ (西宮市 2016.10/14)
湿地内の湧水の水溜りの泥中に地下茎が這っているものは、光条件が低下するためか沈水葉といえるような大きな葉を付けています。本種はミミカキグサの仲間の中でも最も大きな沈水葉をつけ、時に長さ5cmに達することもあります。

モウセンゴケ
Fig.10 モウセンゴケ (西宮市 2016.10/14)
貧栄養な湿地では必ず見られる常在種で、西宮市内でも日当たりよく湧水のあるような場所でよく見かけます。この湿地では表水のある裸地から、細流周辺、日当たりよいオオミズゴケのマット上に多数の個体が見られます。コモウセンゴケやトウカイコモウセンゴケは丘陵地などのより低地に見られますが、ここは標高500mを超えるため近縁2種は生育していません。西宮市内ではトウカイコモウセンゴケは限られた場所にわずかに見られますが、開発が盛んな丘陵地では生育適地が失われコモウセンゴケは確認できていません。
関連ページ 湿生植物・モウセンゴケ

イヌノヒゲ
Fig.11 イヌノヒゲ (西宮市 2016.10/14)
湿地内に広く生育している1年生草本で、貧栄養湿地によく見られる種です。
似たものにニッポンイヌノヒゲがありますが、こちらは溜池畔によく見られます。
両種が混生する場所もありますが、小花の苞が有毛かどうかルーペで観察して区別します。
無毛の場合はニッポンイヌノヒゲで、有毛の場合はイヌノヒゲとなります。
関連ページ 湿生植物・イヌノヒゲ

シロイヌノヒゲ
Fig.11 シロイヌノヒゲ (西宮市 2016.10/14)
シロイヌノヒゲは完全に結実して、頭花と花茎がドライフラワーのようになっていました。
シロイヌノヒゲは最新の「Flora of Japan」ではイヌノヒゲと区別されなくなり、同種とされました。
遺伝子解析に基づくものなのですが、開花結実期はイヌノヒゲよりも少し早くて生態的な違いが見られ、生態的変異の範疇が同一DNA内に仕込まれているのでしょうか?
このほか、この湿地ではイトイヌノヒゲが生育しています。
関連ページ 湿生植物・シロイヌノヒゲ

フトヒルムシロ
Fig.12 フトヒルムシロ (西宮市 2016.10/14)
フトヒルムシロは腐植質の溜池や貧栄養な溜池や水路などで生育しています。
画像の上部に見られる褐色の泥は水酸化鉄(酸化第二鉄、酸化鉄( Ⅲ)、Fe2 O3)が沈殿したもので、酸性の貧栄養な湿地ではよく見られるもので、また鉄バクテリアによっても生産されます。これが長年にわたって堆積し凝固したものが褐鉄鉱となり、植物の根の周りで大量に発生した鉄バクテリアにより生成されたチューブ状のものは、土中で長い年月をかけて「高師小僧」となります。
関連ページ 浮葉植物・フトヒルムシロ

ヒナザサ
Fig.13 ヒナザサ (西宮市 2016.10/14)
貧栄養な湿地や、秋季に減水した溜池の縁などに見られる1年草です。西宮市内では5ヶ所で生育しており、ここでは常に表水があり、かつ中~大型の草本の生えない場所に見られます。
関連ページ 湿生植物・ヒナザサ

ミカヅキグサ
Fig.14 ミカヅキグサ (西宮市 2016.10/14)
本州の中部以北では高層湿原に見られる北方系の種で、西日本では貧栄養湿地に遺存的に分布しています。本種もやはり氷期の生き残りだと考えられており、湿地内では湧水が常ににじみ出している場所に見られます。すでに結実し、開花中は白色だった小穂も褐色になって、イヌノハナヒゲと紛らわしくなっています。
関連ページ 湿生植物・ミカヅキグサ

イヌノハナヒゲ
Fig.15 イヌノハナヒゲ (西宮市 2016.10/14)
貧栄養湿地に見られる湿生植物群落の主要構成種の一つで、貧栄養な溜池畔や経年した湿田休耕田などにもよく見られます。西宮市内の主要な貧栄養湿地では必ず出現するカヤツリグサ科の草本です。
関連ページ 湿生植物・イヌノハナヒゲ

イトイヌノハナヒゲ
Fig.16 イトイヌノハナヒゲ (西宮市 2016.10/14)
貧栄養な湿地から、貧栄養で粘土質の半裸地にまで生育する多年草で、本種が出現する場所では他にも面白い草本が見られることが多いように思います。
関連ページ 湿生植物・イトイヌノハナヒゲ

イヌシカクイ
Fig.17 イヌシカクイ (西宮市 2016.10/14)
貧栄養湿地の主要構成種の一つで、狭義シカクイやマシカクイよりも貧栄養な湿地を好みます。
貧栄養傾向のある湿地では、先ずヤマイが現れ、次に本種やコアゼガヤツリ、自然度が高くなってくるとイヌノハナヒゲやイトイヌノヒゲ、コシンジュガヤが出現します。
この湿地はやや標高の高い場所にあるため、南方系のコシンジュガヤやマネキシンジュガヤの定着は見られません。標高の低い甲山湿原などではシンジュガヤの仲間も定着しています。
関連ページ 湿生植物・イヌシカクイ

コマツカサススキ
Fig.18 コマツカサススキ (西宮市 2016.10/14)
西宮市内ではよく見かけるものですが、本種も貧栄養な湿地を好みます。
すでに結実期で、小穂は散り始めていました。
関連ページ 湿生植物・コマツカサススキ

ヌマガヤ
Fig.19 ヌマガヤ (西宮市 2016.10/14)
北方系の種で、西日本では貧栄養湿地に遺存的に分布し、カミスキスダレグサという風雅な別名を持っています。兵庫県南部では用水路の脇などでもふつうに生育していますが、兵庫県中部では稀で、但馬には分布せず、花崗岩地や流紋岩地の少ない隣県の京都府では、絶滅寸前種という扱いになっています。本種は本州中部以北では高層湿原に生育して草丈が低くなりますが、西日本の貧栄養湿地では草体が大型化し、貧栄養湿地の主要構成種の一つとなります。
湿地内とその周辺では他にイネ科草本のトダシバが生育していますが、これは貧栄養湿地に限らず、林縁から草地にいたるまで広く見られます。
関連ページ 湿生植物・ヌマガヤ

サワシロギク
Fig.20 サワシロギク (西宮市 2016.10/14)
サワシロギクはウメバチソウが咲く頃にはほぼ開花は終わっており、ぽつぽつと紅変した花が残っている程度でした。湿地では、ヌマガヤやトダシバの株元を足場にして生育しているのをよく見かけます。
関連ページ 湿生植物・サワシロギク

結実したカキラン
Fig.21 結実したカキラン (西宮市 2016.10/14)
カキランもサワシロギクと同様、ヌマガヤやトダシバの生育するような湿地の周縁部に見られます。
この湿地ではカキランの他にコバノトンボソウ、トキソウが生育しています。
関連ページ 湿生植物・カキラン

ヒメカリマタガヤ
Fig.22 ヒメカリマタガヤ (西宮市 2016.10/14)
本種は湿地周辺部の「まさ土」が露出し、やや乾いた裸地に生育しています。
ごく近縁のカリマタガヤは栄養分の多い溜池畔の湿地などに見られ大型化するのに対して、本種はごく小さく貧栄養地の裸地に見られます。
リンドウが貧栄養湿地に適応しホソバリンドウとなったのと同様な適応型と見るべきものでしょう。
関連ページ 湿生植物・ヒメカリマタガヤ

センブリ
Fig.23 センブリ (西宮市 2016.10/14)
湿地周辺部の半裸地にヒメカリマタガヤやアリノトウグサとともに点在しています。
本種は貧栄養地特有のものではありませんが、貧栄養地では本種が好む粘土質の裸地~半裸地が形成されやすく、そのため西宮市内の山野ではよく見かけます。
関連ページ 関西の花・センブリ

果実期のウメモドキ
Fig.24 果実期のウメモドキ (西宮市 2016.10/14)
湿地を中心部(湧水の溜まりや細流があるかにじみ出して表水がある)・周縁部(中~大型の湿生草本があり表土は湿っているかオオミズゴケ群落がある)・周辺部(オオミズゴケ群落はあるが裸地部の表土は乾き気味で丈の低いネザサの侵入がある)・外周部(オオミズゴケ群落はあるがネザサと低木が優占する)と分けるとするなら、本種は周辺部・外周部にイヌツゲやノリウツギ、ノイバラなどの低木とともに出現することが多いです。貧栄養湿地に限らず湿地や溜池周辺に見られ、栄養状態がよければ多数の結実が見らますが、貧栄養湿地では画像程度の結実であることが多いようです。
関連ページ 湿生植物・ウメモドキ

ミヤマアカネ
Fig.25 ミヤマアカネ (西宮市 2016.10/14)
ミヤマアカネは各地で減少傾向にあって、兵庫県版RDBでもCランクとされ、保護策を検討している地域も多いようですが、西宮市内ではまだ見かける機会も多く、自宅の庭にも時々飛来しています。
翅にある褐色の斑紋が特徴的で近縁の他種とはひと目見るだけで区別可能なため、市民を交えた分布調査が進んでいる種でもあります。

ヒメアカネ
Fig.26 ヒメアカネ (西宮市 2016.10/14)
赤トンボの中では最も遅くまで活動する種のうちの一つで、湿地や水生植物の多い溜池でよく見かけます。この湿地では夏場にはハッチョウトンボが見られ、春先にはカスミサンショウウオが産卵に訪れます。残念ながらヒメタイコウチやヒメヒカゲは標高が高いため生息しておらず、記録もありません。

ネキトンボ
Fig.27 ネキトンボ (西宮市 2016.10/14)
市内のやや高所の溜池で見られましたが丘陵地の溜池で見かけるアカネです。ショウジョウトンボに似ていますが、脚は黒く、胸部側面に太く明瞭な黒色条があって区別されますが、見慣れると大きさと腹部の細さですぐにショウジョウトンボとは違うことが解ります。

タイリクアカネ
Fig.28 タイリクアカネ (西宮市 2016.10/14)
本種は平地の学校のプールや都市のビオトープでも生育できる逞しいアカネですが、ここでは澄んだ溜池の縁でネキトンボと縄張り争いをしていました。翅が透明で、翅脈が濃紅色に色付くことで近似種と区別できます。

ナメラダイモンジソウ
Fig.29 ナメラダイモンジソウ (西宮市 2016.10/14)
帰途に立ち寄った渓谷ではナメラダイモンジソウが開花真っ盛りでした。
裏六甲の谷筋では近縁のダイモンジソウやジンジソウも最盛期を迎えていることでしょう。
関連ページ 関西の花・ナメラダイモンジソウ

アキチョウジ
Fig.30 アキチョウジ (西宮市 2016.10/14)
ナメラダイモンジソウの生育する渓流畔では、アキチョウジが開花終盤となって長い花茎を伸ばしていました。これらの花が終わると田園地帯ではヤマラッキョウやリンドウの花が咲き始め、花の季節の最後を飾ります。
関連ページ 関西の花・アキチョウジ

category: 西宮の自然

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サラシナショウマの咲く植林地 

 連休最終日、観察会が終わった後の午後、時間がたっぷりあったので丹波地方の森林に出掛けてきました。そろそろサラシナショウマが見頃かと思いましたが、まだ少し早いようでした。帰りは渋滞が激しく、帰宅したのは夜の9時になりました。翌日は植物誌研究会有志による稀少種の自生地調査で播磨地方へ。翌々日は京都での調査で、その一部を掲載しました。
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秋の山野の花々
Fig.1 秋の山野にて (兵庫県篠山市 2016.10/10)
クリ園跡が適度に草刈りされる草地になっていて、そこでノコンギク、ヤマハッカ、ミゾソバ、イヌタデなどの野草が咲き乱れていました。秋たけなわといった光景です。ここは春になるとキンキエンゴサクやイチリンソウが咲き乱れます。
関連ページ 湿生植物・ノコンギク

ヤマハッカ
Fig.2 ヤマハッカ (兵庫県篠山市 2016.10/10)
刈り取りの終わった水田の土手で群生するヤマハッカが開花全盛でした。
里山の秋を彩る花のうちのひとつで、草刈りがされるような場所で見られます。
関連ページ 関西の花・ヤマハッカ

サラシナショウマ
Fig.3 サラシナショウマ (兵庫県篠山市 2016.10/10)
サラシナショウマはまだ開花しはじめで、完全に開花した花序をもつものはこの個体のみでした。
植林地内に点在していますが、同じ林内にはイヌショウマも混生していますがすでに開花は終わっています。

サラシナショウマの花序
Fig.4 サラシナショウマの花序 (兵庫県篠山市 2016.10/10)
花序にはイヌショウマよりも密に花がつき、太く見え、イヌショウマよりも強壮な印象を与えます。

サラシナショウマの花
Fig.5 サラシナショウマの花 (兵庫県篠山市 2016.10/10)
イヌショウマの小花はほぼ無柄ですが、サラシナショウマの花には明瞭な柄があります。
柄があるために花序全体が太く見えます。

ミカエリソウ群落
Fig.6 ミカエリソウ (兵庫県篠山市 2016.10/10)
サラシナショウマが生育する植林地内にはミカエリソウの群落もよく発達しています。
他に多種多様なシダ類、モミジガサ群落、ヤマトキホコリなどが生育しています。

ミカエリソウの花
Fig.7 ミカエリソウの花 (兵庫県篠山市 2016.10/10)
開花期には葉が虫の食害を受けてボロボロになっているものがほとんどです。
花は花序の下から咲き上がり、花冠から雄蕊と雌蕊が突出します。

ヤマミズのマット
Fig.8 ヤマミズのマット (兵庫県篠山市 2016.10/10)
近隣の植林地ではヤマミズがマット状に群生している場所もあります。
かなりの面積を占有しており、見事な群落となっています。

オオバチドメのマット
Fig.9 オオバチドメのマット (兵庫県篠山市 2016.10/10)
ヤマミズのマットを踏んで奥に行くと、今度はオオバチドメが見事なマット状の群落を形成しています。隣接してハダカホオズキ、マルバノホロシ、マルミノヤマゴボウ、オニルリソウなどが生育しています。
関連ページ 湿生植物・オオバチドメ

果実期のオオバチドメ
Fig.10 果実期のオオバチドメ (兵庫県篠山市 2016.10/10)
この時期は丁度オオバチドメの果実期にあたり、果実の観察ができます。
果実の形状を見るとセリ科の特徴がよく出ています。

果実期のハダカホオズキ
Fig.11 果実期のハダカホオズキ (兵庫県篠山市 2016.10/10)
このあたりではハダカホオズキが林床にごくふつうに見られます。
ナス科草本はまだまだ不勉強で、そろそろじっくり観察しようと思っています。

果実期のイガホオズキ
Fig.12 果実期のイガホオズキ (兵庫県篠山市 2016.10/10)
ハダカホオズキよりも個体数の少ないナス科草本で、イガイガの果実をたわわに稔らせていました。

モトマチハナワラビ
Fig.13 モトマチハナワラビ (兵庫県篠山市 2016.10/10)
このあたりの植林地ではモトマチハナワラビが比較的よく見られます。
比較的空中湿度の高い植林地が多く、オオハナワラビ、アカハナワラビと混生しています。
関連ページ 関西の花/シダ・モトマチハナワラビ

アカハナワラビ
Fig.14 アカハナワラビ (兵庫県篠山市 2016.10/10)
山麓の社寺境内で3個体が生育しているのを見つけました。
まだ胞子嚢は弾けておらず、もちろん葉の紅変は始まっていません。
関連ページ 関西の花/シダ・アカハナワラビ

ハナワラビsp.
Fig.15 ハナワラビsp. (兵庫県篠山市 2016.10/10)
この社寺境内にはアカハナワラビとともにエゾフユノハナワラビの影響を受けたようなハナワラビ、オオハナワラビが混生しています。また裏山の谷筋にはモトマチハナワラビが生育しています。
このタイプは混生地で見られる浸透交雑を繰り返したと考えられるやっかいな個体です。

ハナワラビsp.の栄養葉
Fig.16 ハナワラビsp.の栄養葉 (兵庫県篠山市 2016.10/10)
羽片はニンジンの葉のように細裂し、裂片にはカスリ模様が見られ、中軸と羽軸の交点は紅変しています。冬が深まるにつれて葉面全体に紅変が進むことが予想されます。

ニホンミツバチの営巣
Fig.17 ニホンミツバチの営巣 (兵庫県神崎郡 2016.10/11)
この日は兵庫県内で新たな新産種の自生地調査でした。
調査地近くのスギの根元にある洞でニホンミツバチが営巣し、沢山のミツバチが出入りしていました。

カリガネソウ
Fig.18 カリガネソウ (兵庫県神崎郡 2016.10/11)
調査後に河畔山際のカリガネソウ自生地に立ち寄りました。
山の林床はシカの食害でほとんど裸地となっていますが、岩場ではミサキカグマなどのシダ類がかろうじて見られました。カリガネソウは強い臭いがあり、シカが好まないようです。

カヤランとクモラン
Fig.19 カヤランとクモラン (兵庫県加西市 2016.10/11)
社寺の梅林のウメの樹におびただしい量の地衣類とともに着生し、両種とも果実をつけていました。
カヤランの大きな果実が目立ちます。
関連ページ 関西の花・カヤラン
関連ページ 関西の花・クモラン

イヌセンブリ
Fig.20 イヌセンブリ (京都府南丹地方 2016.10/12)
この日は京都側の自然度の高い里山のフロラ調査。
休耕田の土手ではイヌセンブリが開花中でした。
関連ページ 湿生植物・イヌセンブリ

サンインヒキオコシ
Fig.21 サンインヒキオコシ (京都府南丹地方 2016.10/12)
サンインヒキオコシはヒキオコシよりもアキチョウジによく似ています。
ここでは水田の土手に点在し、アキチョウジよりも花は紫色が濃く、草体の色は明るく、コントラストが鮮やかです。


category: 10月の花

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