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Satoyama, Plants & Nature

9月の湿地と溜池 

 矢継ぎ早のようでもありますが、もう9月も後半、今月観察した湿生・水生植物の観察メモをUPします。
*画像クリックで、別ウィンドで表示されます。
FC2ブログの仕様が変わったのか、リンク先で大きな画像が表示されなくなってしまいました。
大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。


オオトリゲモ
Fig.1 オオトリゲモ (神戸市 2016.9/11)
この日はY氏とともに、神戸市西部から播磨地方にかけてトリゲモ類の探査に出掛けました。
1週間前に確認済みの平野部の溜池でオオトリゲモの特徴をおさらい。
関連ページ 沈水植物・オオトリゲモ

オオトリゲモの雄花
Fig.2 オオトリゲモの雄花 (神戸市 2016.9/11)
左は葉と葉鞘を取り除いて露出させた雄花で、長さ2.5mm程度あります。
右は苞鞘から取り出した葯室。葯室は長さ1.8mmほどあり、トリゲモのように花粉粒が透けて見えることはありません。顕微鏡下では葯室が複数あることは未熟な雄花でないと確認し辛く、ルーペで観察するほうが分かりやすいです。
一方、トリゲモは雄花が小さく、葯室も0.5mmと微小なので、顕微鏡下での観察が必須となります。
この日播磨地方の溜池で確認できたのはホッスモとオオトリゲモばかりで、新たなトリゲモの自生地は発見できませんでした。

アイノコイトモ
Fig.3 アイノコイトモ (神戸市 2016.9/11)
オオトリゲモとともに同じ池に生育しているのが見られました。
イトモよりも葉が長く、ホソバミズヒキモの沈水葉ほど細くなく、ヤナギモほどの葉幅がないのが特徴。果実は不稔で、殖芽を多産して繁殖します。
関連ページ 沈水植物・アイノコイトモ

セスジイトトンボ
Fig.4 セスジイトトンボ (神戸市 2016.9/11)
この溜池ではヒシがよく繁茂し、その周辺で多数のセスジイトトンボが飛翔していました。
セスジイトトンボは抽水植物の多い溜池でもふつうに見られます。

ホソバヘラオモダカ
Fig.5 葯が黄色のホソバヘラオモダカ (神戸市 2016.9/11)
この場所に生育しているものは花弁が淡紅色(ホソバヘラオモダカの特徴)、葯が黄色(ヘラオモダカの特徴)、植物体は大型で葉幅がやや広い(ヘラオモダカの特徴)という特徴を持っています。
このように両種の特徴を併せ持つものは、痩果の大きさによって区別するのが無難です。
この場所のものは昨年痩果の大きさを測って、ホソバヘラオモダカと確定しました。
関連ページ 抽水植物・ホソバヘラオモダカ

痩果の比較
Fig.6 ホソバヘラオモダカとヘラオモダカの痩果の比較
ホソバヘラオモダカでは長さ2.6~3.0mm(突起部は含まない)、幅1.4~1.7mmとなり、花柱が突起となり宿存します。ヘラオモダカでは長さ2~2.5mm、幅1.5~1.7mmとなり、花柱はホソバヘラオモダカほど宿存せず、楕円状の窪みが明瞭です。

ヒメオトギリ
Fig.7 ヒメオトギリ (神戸市 2016.9/11)
ヒメオトギリには2つのタイプがあることは、以前から三重の花かんざしさんがブログ上で指摘しておられました。兵庫県下でも2つのタイプが見られ、ここではホソバヘラオモダカと混生しています。

ヒメオトギリの花
Fig.8 ヒメオトギリの花 (神戸市 2016.9/11)
花の径は約1cm、花弁は倒卵形で縁が重なりあい、3脈あって中央脈が目立ち、雄蕊は少なくとも15本以上ときに30本を越えています。花かんざしさんはこのタイプを「ヒメオトギリ」とされており、兵庫県下では自然度の高い場所に稀に見かけます。県下でよく見かけるのは花かんざしさんが「Type3」とされるもので、花の径が8mmほどで、花弁は長楕円形で花弁の間には隙間が空き、雄蕊は7~12本程度です。
「ヒメオトギリ」と「Type3」は遺伝子的には全く別のものであることが分かっており、将来的には独立種として分けられることになりそうです。以下は花かんざしさんの「Type3」に言及しておられるブログページです。
「Type3の情報をお願いします。」

Type3とヒメオトギリの花の比較
Fig.9 「ヒメオトギリ」と「Type3」の花の比較
フィールドで見ると両タイプには明瞭な差がありますが、標本にすると花は縮れて区別しづらくなります。関連ページとしてリンクしているメインサイトの「ヒメオトギリ」としているものは「Type3」のほうで、このページも改訂して「ヒメオトギリ」を併記する必要があります。
関連ページ 湿生植物・ヒメオトギリ

ゴマクサ
Fig.10 ゴマクサ (兵庫県播磨地方 2016.9/11)
溜池畔の湿地に群生しているもので、ここでは丈の低いものがカワラケツメイとともに群生していました。半寄生植物であるためか、同じ湿地内でもチガヤやヒメヒラテンツキ、メリケンカルカヤが群生する場所では枝を分けた大株となっています。
ここでは先の「Type3」のヒメオトギリが大群生していました。
関連ページ 湿生植物・ゴマクサ

ニオイタデ
Fig.11 ニオイタデ (兵庫県播磨地方 2016.9/11)
時期的にタイミングよく開花している花穂を見ることができました。
兵庫県版RDBではCランクとされていますが、ランクと比較するとあまり見る機会のない草本です。
関連ページ 湿生植物・ニオイタデ

オオホシクサ
Fig.12 オオホシクサ (兵庫県播磨地方 2016.9/11)
ニオイタデの近くではオオホシクサが点々と生育していました。
播磨地方では溜池畔でふつうに見られますが、他の地域では全く見かけない種です。
関連ページ 湿生植物・オオホシクサ

ヌマカゼクサ
Fig.13 ヌマカゼクサ (兵庫県播磨地方 2016.9/11)
本種も播磨地方ではごくふつうに多産しますが、他の地域では全く見かけません。
同じイネ科のスズメノコビエも同様の偏在的な分布が見られます。
関連ページ 湿生植物・ヌマカゼクサ

タヌキマメ
Fig.14 タヌキマメ (兵庫県播磨地方 2016.9/11)
移動途中の小規模な湿地に、大きく育った個体の群生が見られました。
このあたりではふつうに見られますが、形態がユニークなので見つけると嬉しくなります。
ここでは同所的にタチカモメヅルも見られました。
関連ページ 湿生植物・タヌキマメ

イトイヌノヒゲ
Fig.15 イトイヌノヒゲ (兵庫県播磨地方 2016.9/11)
溜池土堤直下の湿地で群生していました。
栄養状態がよいのと、ヌマガヤ、イヌノハナヒゲなどの草丈の高い競合種が多いためか、長い花茎を伸ばして群生していました。
関連ページ 湿生植物・イトイヌノヒゲ

イガクサ
Fig.16 イガクサ (兵庫県播磨地方 2016.9/11)
イガクサは湿地環境と草原環境が交錯するような裸地状の場所でよく見かけます。
このような場所ではイトイヌノハナヒゲ、イトハナビテンツキ、カキラン、ヤマトキソウ、トウカイコモウセンゴケ、イシモチソウ、ヒナノカンザシ、オミナエシなどが混生していることが多いです。
関連ページ 湿生植物・イガクサ

イトテンツキ
Fig.17 イトテンツキ (兵庫県播磨地方 2016.9/11)
毎年継続観察しているイトテンツキの様子を見に行くとちょうど開花期でした。
各地で注意して探していますが、まだこの場所以外では見かけたことがなく非常に稀なもののようです。そろそろ兵庫県版RDBに記載するべきものでしょう。
関連ページ 湿生植物・イトテンツキ

ゴマナとツリフネソウ
Fig.18 ゴマナとツリフネソウ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
この日は初夏に自生を確認したロッカクイの標本採集と草原性植物の観察に、有志とともに但馬地方の高原地帯に。途中立ち寄った棚田の用水路脇は花盛りで、ゴマナ、ツリフネソウ、クロバナヒキオコシ、オタカラコウの花の競演が賑やかでした。
関連ページ 湿生植物・ツリフネソウ

オタカラコウを訪花したオオウラギンスジヒョウモン
Fig.19 オタカラコウを訪花したオオウラギンスジヒョウモン (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
昼からの活動に備えてオオウラギンスジヒョウモンがオタカラコウの花で腹ごしらえしていました。
蝶の吸蜜の撮影は午前中の早い時間が適しています。
関連ページ 湿生植物・オタカラコウ

マルバノサワトウガラシ
Fig.20 マルバノサワトウガラシ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
このあたりの水田にはマルバノサワトウガラシが比較的ふつうに見られます。
刈り取り後の水田ですでに開花は見られず、草体は寒気で紅変しています。
関連ページ 湿生植物・マルバノサワトウガラシ

ロッカクイ
Fig.21 ロッカクイ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
野焼き直後のススキ草原を歩き回り、初夏の時点で確認していたロッカクイで、ススキ原をヤブ漕ぎして自生する湿地にたどり着きました。この地域のロッカクイは1967年以降の記録がなく、再確認が課題となっていましたが、ようやく確認・記録できました。
ロッカクイは日本全土で現状自生地が7ヶ所しかなく、うち2ヶ所が兵庫県内にあります。
関連ページ 湿生植物・ロッカクイ

ヒロハノドジョウツナギ
Fig.22 ヒロハノドジョウツナギ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
本種も但馬地方では1991年の記録を最後にして確認できておらず、但馬地方では絶滅したとされていたものです。特にこの地域のものは1937年以降の記録はありませんでした。
ロッカクイと同じ湿地に生育しており、最初は花茎をシカに齧られたものばかりで気づきませんでしたが、花序が完全なものを見つけて気づきました。ドジョウツナギとの雑種で同様な大きさとなるマンゴクドジョウツナギと違って、茎下方は倒伏・斜上せず、地下茎から太い茎(稈)を直立します。
同じ湿地にはオオヌマハリイも群生していますが、野生動物の撹乱が顕著でした。
関連ページ 湿生植物・ヒロハノドジョウツナギ

撹乱地にある湿地
Fig.23 高原の撹乱の多い湿地 (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
人為的撹乱の多いスキー場内の湿地では、ゴマナ、サワヒヨドリ、オタカラコウなどの秋の草花によるお花畑が出きていました。撹乱地であるためアブラガヤやエゾアブラガヤなどのカヤツリグサ科草本も多く見られます。
関連ページ 湿生植物・サワヒヨドリ
関連ページ 湿生植物・アブラガヤ
関連ページ 湿生植物・エゾアブラガヤ

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category: 湿地・溜池

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