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Satoyama, Plants & Nature

8月の山と高原で 

 ようやく通常ペースのブログ更新ができるようになってきました。 今回は8月の山地やススキの取材に出掛けた草原で出会った植物や昆虫類が多くなりました。草原環境は管理放棄や遷移によって昭和~平成にかけて急激に減少し、それにより草原環境に依存する草本の多くが危機的状況にあります。生物多様性が注目されつつありますが、前時代的な農業が衰退することにより、草原が失われつつある状況に変わりありません。
 今後はHPに湿生・水生植物とともに草原性草本にも力を入れたコンテンツを増やしていく予定です。
*画像クリックで、別ウィンドで表示されます。
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大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。


ニシノヤマタイミンガサ
Fig.1 ニシノヤマタイミンガサ (兵庫県但馬地方 2016.8/4)
但馬での着生ランの調査後に自生地を案内して頂きました。
タイミンガサと比べて華奢な感じで、花茎は1本しか上げていませんでした。
シカの忌避植物で生き残っているようで、周辺では同じくシカの忌避植物であるサワルリソウが群生していました。

オオキヌタソウ
Fig.2 オオキヌタソウ (兵庫県但馬地方 2016.8/4)
着生ラン調査地の林床に生育していたもので、果実が熟しかかっていました。
キヌタソウよりもかなり大型で、兵庫県では深山の林床にやや稀に見られます。
周辺にはミヤマムグラやミヤマヤブタバコなどのあまり見られない草本も生育していました。

クロナガキマワリ
Fig.3 クロナガキマワリ (兵庫県但馬地方 2016.8/4)
キマワリは身近にふつうに見かけますが、本種は山地でないと見られません。
林道脇にあった朽ちた伐採木上を歩いていました。

ツマグロキチョウ
Fig.4 ツマグロキチョウ (兵庫県篠山市 2016.8/6)
夏型のペアが交尾しているのが農道の土手で見られました。
農道の土手は二次的自然環境がよく保持されており、食草であるカワラケツメイが群生し、スズサイコ、ナルコビエが生育していました。ツマグロキチョウはかつては普通でしたが、現在ではあまり見かけず、環境省絶滅危惧ⅠB類(EN)に指定されています。

ヒオウギ
Fig.5 ヒオウギ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
ススキの取材のため、但馬地方の高原地帯へ出掛けました。
高原のススキ草原へ向かう途中、棚田の土手でヒオウギが開花していました。
シカの忌避植物であるため、他の草本が食害を受ける中でも残存している種です。
関連ページ 関西の花・ヒオウギ

クロバナヒキオコシ
Fig.5 クロバナヒキオコシ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
但馬地方では林縁でも草原でも農地の土手でもよく見かける種です。
どちらかというと秋の花ですが、開花の走りが出ていました。
関連ページ 関西の花・クロバナヒキオコシ

オオアブラススキ
Fig.6 オオアブラススキ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
オオアブラススキはススキに先立って出穂します。
8月中旬にこのススキ草原に来たのは初めてで、オオアブラススキがこれほど多いとは思いませんでした。9月に入ってススキが出穂すると、それほど目立たなくなります。
関連ページ 関西の花・オオアブラススキ

黒ボク土
Fig.7 ススキ原の表層に見られる黒ボク土 (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
黒ボク土は野焼きや焼畑農耕が行われた痕跡で、火山灰や褐色森林土に微粒炭が混じったものです。
世界的には稀な土壌で、日本とニュージーランドに分布し、ニュージーランドのものは移住してきたマオリ族の焼畑農耕に由来することが分かっています。
日本では多くの場所で約1万年前の縄文時代から堆積が始まっており、静岡県の愛鷹山山麓では火山灰層をはさみながら、約4万年前の旧石器時代の地層にも確認されています。

コオニユリ
Fig.8 コオニユリ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
兵庫県南部では少ないコオニユリですが、北部では高原の草原や海崖の風衡草地でよく見られます。
オニユリと違ってムカゴを作らず、捻性があって、種子で繁殖します。
関連ページ 関西の花・コオニユリ

キセワタ
Fig.9 キセワタ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
最初はメハジキかと思いましたが、よく見るとキセワタでここで出会えるとは思ってもいませんでした。草原環境の減少とともに、急激に見られなくなった種で、ほとんどの都道府県で絶滅危惧種に指定されています。兵庫県版RDBでもBランクとなっており、6年振りに出会いました。

クサボタン
Fig.10 クサボタン (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
兵庫県では北部高原地帯の草原や林縁に生育する種で、ススキ草原の縁などに点在しています。
シカの忌避植物で群生するとそれなりに美しいのですが、兵庫県ではそのような場所はありません。

ムカゴソウ
Fig.11 ムカゴソウ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
非常に地味な草本ですが、草原環境に依存しており、全国的に急激に減少している種です。
満鮮要素と呼ばれる大陸内部起源の草本で、兵庫県では野焼きが行われるススキ草原や、ハゲ山地帯に残存しています。このススキ草原では野焼きが行われるため、ススキ草原内で点在しています。
関連ページ 関西の花・ムカゴソウ

オオナンバンギセル
Fig.12 オオナンバンギセル (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
低地ではナンバンギセルをよく見かけますが、高原のススキ草原ではより大型のオオナンバンギセルが見られます。ここではオオナンバンギセルは野焼きの行われない場所で見られましたが、他の場所ではどうなのでしょうか?

クロルリトゲハムシ
Fig.13 クロルリトゲハムシ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
かつてはクロルリトゲトゲと呼称されていたススキを食草とするユニークなハムシです。
高原地帯のススキ草原に生育し、葉表の表皮細胞を線状に食していき、画像でもその様子が見られます。新称のトゲハムシよりもトゲトゲのほうがユニークでインパクトがあって好きなのですがねえ。

ミヤマチャバネセセリ
Fig.14 ミヤマチャバネセセリ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
草原環境の減少により低地ではほとんど見られなくなっている種ですが、ここでは健在でした。
この日は同様に減少しているギンイチモンジセセリも見られましたが、残念ながら撮影する隙を与えてくれませんでした。

ダイミョウセセリ
Fig.15 ダイミョウセセリ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
低地でも見かけるヤマノイモ科ヤマノイモ属を食草とする蝶で、ここでは沢山飛び交っていました。

ヤマキマダラヒカゲ
Fig.16 ヤマキマダラヒカゲ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
里山に見られるサトキマダラヒカゲに対して、山地寄りに生育するのでヤマキマダラヒカゲ。
両種は後翅の斑紋や眼状紋で区別し、なかなか微妙ですが、これはヤマキマダラヒカゲで間違いないでしょう。ここではヒメキマダラヒカゲ、ヒカゲチョウ、ジャノメチョウなどと混生していました。
まだ兵庫県内でキマダラモドキやオオヒカゲは見たことがありません。

ヤマクダマキモドキ
Fig.17 ヤマクダマキモドキ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
里山では樹上でサトクダマキモドキを見かけますが、ここではササ原でヤマクダマキモドキと出会いました。ヤマクダマキモドキは前脚や中脚が褐色を帯びるのが特徴です。

シナノキの大木に着生したシダ
Fig.18 シナノキの大木の着生シダ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
炎天下の中、ススキ草原の外れにはシナノキの大木が心地よい日陰を作っていてくれました。
樹幹にはオシャグジデンダとミヤマノキシノブが着生していました。
木陰は適湿な環境になっていて、ハコネシケチシダ、トガリバイヌワラビ、フタリシズカ、モミジガサが目立っていました。
関連ページ 関西の花/シダ・オシャグジデンダ
関連ページ 関西の花/シダ・ミヤマノキシノブ

カリガネソウ
Fig.19 カリガネソウ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
温帯林の林床でカリガネソウが開花し始めていました。
とてもユニークな花で、しばしば見るのですが、詰めが甘くてまだページが作れていません。

マルバノホロシ
Fig.20 マルバノホロシ (兵庫県篠山市 2016.8/24)
丹波地方では林床でマルバノホロシとヤマホロシを見ますが、マルバノホロシのほうがふつうに見られます。マルバノホロシは下方の葉でも裂葉とならず、葉面には突起はあるが毛はなく、花冠基部は緑色となります。

キツネノカミソリ
Fig.21 キツネノカミソリ (兵庫県篠山市 2016.8/24)
8月初め頃から開花が始まりますが、個体によって開花期にギャップがあり、8月下旬まで花が見られます。8月下旬、この自生地では熟しつつある蒴果も観察できました。
本種についても詰めが甘くて、未だにページが立ち上げられません。

アオマツムシ
Fig.22 アオマツムシ (兵庫県播磨地方 2016.8/25)
播磨地方の溜池を廻る途上、ヒメクラマゴケ観察のためにとある社寺に立ち寄ったところ、駐車場のフェンスに絡まるカエデドコロの葉上でアオマツムシを見つけました。
アオマツムシは明治時代に中国大陸から帰化した外来種と言われており、街路樹で大きな音でやかましく鳴きます。鳴き声にマツムシのような奥ゆかしさと風情はありません。見つけて捕獲しても、室内で飼育することはお勧めできません。

マツムシソウ
Fig.23 マツムシソウ (兵庫県神戸市 2016.8/30)
この日は毎年恒例となった神戸市主催の草原性植物観察会のガイドをさせて頂きました。
天候が良好で、ハイライトは兵庫県ではごく稀少となったマツムシソウの観察。
この花を見ると霧が峰や美ヶ原の広大な草原を彷徨したことを思い出します。

ツルフジバカマ
Fig.24 ツルフジバカマ (兵庫県神戸市 2016.8/30)
観察会終了後、県内唯一のツルフジバカマの自生地へと移動。
これまで何度か訪れていますが、生育範囲は少しずつ広がっているように思います。
草深い場所ですが、ツルフジバカマは周囲の草本を足場として利用して広がっていました。

オオホソバシケシダ
Fig.25 オオホソバシケシダ? (兵庫県神戸市 2016.8/30)
帰途、雑種の疑いのある怪しげなホソバシケシダが生育する場所に立ち寄りました。
ふつうのホソバシケシダであれば胞子嚢が充実している時期です。
斜上している胞子葉を持ち帰りソーラスを調べてみました。

オオホソバシケシダのソーラス
Fig.26 オオホソバシケシダのソーラス (兵庫県神戸市 2016.8/30)
胞子嚢は空だったり、小さく萎縮していたり、平板であったりして正常な胞子は形成されていませんでした。包膜は全縁ではなく、縁が細裂しています。ホソバシケシダとシケシダの種間雑種であるオオホソバシケシダと結論付けることができそうです。
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