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Satoyama, Plants & Nature

10月の花と果実 

10月はあまりまとまった時間が取れず、短時間の市内探査が中心となりました。ですから、今回の記事は少し少な目。ともに少な目ですが、シダや湿地・溜池の植物は別の回に掲載します。
但馬の高原では、例年よりも秋が通り過ぎるのが早いようで、花よりも果実が目立っていました。
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ハマビシ
Fig.1 ハマビシ (兵庫県播磨地方 2015.10/7)
この日は海岸での植物誌研究会のハマビシの個体群動態調査でした。
昨年に較べて水分条件があまり良くなかったのか、小型の個体がほとんどでした。
関連ページ 関西の花・ハマビシ

訪花したホソヒラタアブ
Fig.2 訪花したホソヒラタアブ (兵庫県播磨地方 2015.10/7)

ハマゴウの花
Fig.3 ハマゴウ (兵庫県播磨地方 2015.10/7)
海岸でまだ残り花が開花していました。
関連ページ 関西の花・ハマゴウ

センダイスゲ
Fig.4 センダイスゲ (兵庫県播磨地方 2015.10/7)
調査終了後、センダイスゲの自生地に足を伸ばしました。
見た目はナキリスゲとほとんど変わりませんが、ナキリスゲよりも小型で側小穂は少なく、大株とはならずに根茎によって面的に広がります。ナキリスゲの仲間では兵庫県では稀なものです。

センダイスゲ全草標本
Fig.5 センダイスゲの全草標本 (兵庫県播磨地方 2015.10/7)
隣の子株と根茎でつながっています。

ホソバテンナンショウの果実
Fig.6 果実期のホソバテンナンショウ (兵庫県六甲山 2015.10/8)
この日はシダの探査で六甲山の谷筋に入りました。
ツリフネソウに囲まれてホソバテンナンショウの果実が色付き始めていました。
関連ページ 関西の花・ホソバテンナンショウ

ジンジソウ
Fig.7 ジンジソウ (兵庫県六甲山 2015.10/8)
谷筋に降りるとジンジソウが開花真っ盛りで、渓流岩上に群生した本種が見事な景観をつくっていました。

シラネセンキュウ
Fig.8 シラネセンキュウ (兵庫県六甲山 2015.10/8)
湿った岩場に点在するシラネセンキュウも開花中でした。
コンデジでかなり露出を抑えて撮ったのですが、どうしても白飛びしていまいます。

ハナビゼリ 果実期
Fig.9 果実期のハナビゼリ (兵庫県六甲山 2015.10/8)
シラネセンキュウに似ていますが、より繊細に見え開花期も早いです。
シラネセンキュウよりも花序の花数は少なくまばらで、葉裏は強く白味を帯び、シラネセンキュウが2~3回3出羽状複葉なのに対して、ハナビゼリは1~2回3出羽状複葉となります。

ヒヨドリバナ2倍体
Fig.10 ヒヨドリバナ2倍体 (兵庫県六甲山 2015.10/8)
ふつうに見かけるのは3,4,5倍体の倍数体のヒヨドリバナで、2n=20の2倍体の分布は限られ、兵庫県でも六甲山周辺のみで見られます。自生環境は山地の岩場や、林縁の崩壊地で、草体は倍数体よりも繊細で葉はキクバ形になる傾向が強いです。

テイショウソウ
Fig.11 テイショウソウ (兵庫県六甲山 2015.10/8)
兵庫県東南部では比較的見かける機会は多く、群生地も数ヶ所あります。
この日はヒロハ・タイプのものも1個体見かけました。
この日は同属のフクオウソウも見られましたが、崩壊地の岩場の上にあって撮影は断念、というかそこまでの根性や思い入れが足りないのかも。
どうもキク科草本についてはあまり関心が持てず、今回が初の大幅掲載だと思います。

ウスゲタマブキ
Fig.12 ウスゲタマブキ (兵庫県六甲山 2015.10/8)
但馬地方で見るものは生育が良すぎてとりとめがないような草体になりがちですが、六甲山の岩場に生育するものはコンパクトでスマートにまとまっています。

ミヤマコウモリソウ
Fig.13 ミヤマコウモリソウ (兵庫県六甲山 2015.10/8)
ウスギタマブキの変種ですがウスゲタマブキよりはるかに稀で、兵庫県内では六甲山のみに生育しています。コウモリソウ属のものはいずれも花が地味ですが、同属のモミジガサやヤブレガサよりもさらに一般には知られていない種でしょう。

ミチバタガラシ
Fig.14 ミチバタガラシ (兵庫県播磨地方 2015.10/26)
社寺の参道の一画でミチバタガラシがかたまって生育していました。
まるで外来種のような名前ですが、在来種で近縁のイヌガラシやスカシタゴボウにように多くは見られません。社寺境内の湿った場所で見る機会の多い雑草です。
関連ページ 関西の花・ミチバタガラシ

ウシクサ
Fig.15 ウシクサ (兵庫県播磨地方 2015.10/26)
強度に草刈りされた溜池土堤で、草丈3cmほどのウシクサの草紅葉が見られました。
度重なる草刈りのためか、節間は極端に短くなって葉も小さく矮小化し、その間から花穂を高密度で上げています。
関連ページ 湿生植物・ウシクサ

紅葉
Fig.16 色付いた自然林 (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
但馬の高原ではブナ、ミズナラ、トチノキなどの高木が色付き始めていました。

紅葉したミズナラ
Fig.17 ミズナラの紅葉 (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
ミズナラはなかなか綺麗に紅葉しませんが、ここでは湿地に張り出すように生育しているものが綺麗に色付いていました。

ノブキ
Fig.18 ノブキ (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
紛らわしい近縁種もなく、あまりカメラを向けてこなかった草本ですが、新鮮な花が開花していたので撮影しました。頭花は白い筒状花の集まりで、果実には粘液を分泌する腺毛があって、「ひっつき虫」になります。

ツチアケビ 果実期
Fig.19 果実期のツチアケビ (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
比較的頻繁に見かけますが、立派な個体なので撮影。非常に存在感がありました。
関連ページ 関西の花・ツチアケビ

タチシオデの果実
Fig.20 タチシオデの果実 (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
林縁でちょうど完熟した果実を付けていました。黒熟した液果のなかには、赤い種子が5個前後入っていて、画像でも破れた部分に種子が見えています。
関連ページ 関西の花・タチシオデ

オオナルコユリ 果実
Fig.21 オオナルコユリの果実 (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
タチシオデの脇に、葉をほとんど落としたオオナルコユリが果実をぶら下げていました。
すでに液果表面にはしわが寄って干からびはじめています。

トチバニンジン 果実
Fig.22 トチバニンジンの果実 (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
トチバニンジンはすでに多くの果実が落果していました。
ここのものは果実に黒目が入っていないものでした。
残った果柄の風情が面白かったので撮影してみました。
関連ページ 関西の花・トチバニンジン

サルマメ 果実
Fig.23 サルマメの果実 (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
小さなサルトリイバラといった感じのサルマメ。
葉腋につく総状花序の花数は少ないので、サルトリイバラのように果実はまとまってつきません。

ミヤマニガウリ 果実期
Fig.24 果実期のミヤマニガウリ (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
小川の脇でミヤマニガウリが沢山の果実をぶら下げていました。雄性両全性異株でよく知られています。多くの果実は2枚に合わさった葉の内側に隠れるように付きますが、大きな個体ではぶら下げて付ける果実も多いようです。ぶら下がっている果実はほとんどゆがみが見られませんでした。

ヒロハテンナンショウ 果実
Fig.25 果実期のヒロハテンナンショウ (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
半ば倒伏したヒロハテンナンショウに果実が赤く熟していました。
葉は1枚で花序は葉よりも下にあるのは、今のところこの地域ではヒロハテンナショウだけです。
関連ページ 関西の花・ヒロハテンナンショウ

オオカニコウモリ
Fig.26 オオカニコウモリ (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
すでにほとんどの個体は果実期を迎えていましたが、この2本は開花が遅かったようで枯れかけた花の状態を保っていました。標高の高いタマガワホトトギスの生育するような氷ノ山中腹の沢筋では、8月中旬にすでに開花し始めていました。
先のウスゲタマブキ、ミヤモコウモリソウと同属のため、花は見栄えがしません。
兵庫県ではカニコウモリは分布しておらず、日本海側にオオカニコウモリのみが見られます。

オオタチツボスミレ
Fig.27 開花中のオオタチツボスミレ (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
周辺に生育しているアケボノスミレはすでに葉が黄化して枯れかけていましたが、少し窪地になった場所ではオオタチツボスミレが元気に開花していました。
閉鎖花を形成するこのような草本類で、条件が揃えば開花する種は不時開花という言葉が似合わないような気もしてきます。それはタツナミソウの仲間にも言えるような気がします。
関連ページ 関西の花・オオタチツボスミレ

ウメバチソウ
Fig.28 ウメバチソウ (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
ウメバチソウは開花が早かったようで、半数は果実を形成していました。
低地では湿地やその周辺で見かけますが、ここでは草地に生育していました。
関連ページ 湿生植物・ウメバチソウ

イトハナビテンツキ
Fig.28 イトハナビテンツキ (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
スキー場の半裸地ではイトハナビテンツキが秋風に吹かれていました。イトテンツキが混じっていないかと探しましたが、全てイトハナビテンツキでした。同所的にアリノトウグサやセンブリが生育しており、周辺にはウメバチソウ、エゾヒカゲノカズラが生育していました。
関連ページ 湿生植物・イトハナビテンツキ

ヒメヤママユガ
Fig.29 ヒメヤママユガ (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
この時期は秋の大型野生蚕蛾の活動シーズンです。
道の駅の休憩所の陰では夜間に飛来したであろうヒメヤママユガが夜を待って静止していました。
渋い色調の組み合わせと、前翅の目玉模様が魅力的です。

クスサン
Fig.30 クスサン (兵庫県播磨地方 2015.10/26)
これも別の場所で見た大型蚕蛾の仲間で、後翅に魅力的な目玉模様がありますが、翅を広げてはくれませんでした。この付近ではヤママユガ・ウスタビガ>クスサン・シンジュサン>ヒメヤママユの順に低山から山地に現れるという印象があります。どの大型蚕蛾もじっくり観察すると美しいものです。渋い色調のグラデーションではなく、渋い色調の中でのやや格差のある色調のミニマルな段階的な移行が魅力的です。

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