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Satoyama, Plants & Nature

8月のフィールドで 8月上旬の水草探訪 

 溜池や湿地などの湿生・水生植物もシーズン真っ盛りになりつつあります。今回はヒシモドキの開花を掲示板でお寄せいただいた青山さんの情報をもとにヒシモドキの自生地と周辺の湿地を、名古屋のTさんに案内頂いて念願のミズスギナとヒメコウホネの花を観察してきました。
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ヒシモドキ
Fig.1 ヒシモドキ (兵庫県播磨地方 2015.8/6)
初めて見る開花集団です。栄養状態が良いのか、未開花集団と較べると少し葉が大きいように思われます。1個体がつける開放花数はかなりの数にのぼっています。

花後のヒシモドキ
Fig.2 花後のヒシモドキ (兵庫県播磨地方 2015.8/6)
結実率は閉鎖花よりも劣るようですが、いくつかの花は萼筒が残ったまま直立しており、これが開放花の果実となるようです。開放花の果実は熟すにつれて倒伏するようで、左下には倒伏したものが見えます。

オニバスとヒシモドキ
Fig.3 ヒシモドキとオニバス (兵庫県播磨地方 2015.8/6)
溜池内では所々でオニバスと混生しており、まるで絶滅危惧種の見本市のようです。
もうしばらくすればオニバスも開花期に入るはずで、両種の花の夢のような競演が見れるかもしれません。この他、水中にはミズユキノシタ、オオトリゲモ、クロモ、水没したスゲ属sp.やイグサなどが見られましたが、精査すればまだ何かあるかもしれません。
関連ページ 浮葉植物・オニバス

アオハリガネワラビ
Fig.4 アオハリガネワラビ (兵庫県播磨地方 2015.8/6)
溜池周辺を歩いていたところ胞子葉が高く直立したハリガネワラビがあり、光田先生にアオハリガネワラビの範疇に入るものだと教えていただきました。
兵庫県の維管束植物のリストではハリガネワラビと分けられていませんが、特徴を教えて頂いたので以後注意したいと思います。

ミクリ
Fig.5 ミクリ (兵庫県播磨地方 2015.8/6)
溜池畔に広がる湿原へ移動して、湿地の植物を観察しました。
ここでは池の流れ込み部分で、県南部ではごく稀なミクリが抽水状態で生育し、開花している個体も見られました。ミクリは6月頃から秋口近くまで連続的に開花が見られます。
関連ページ 抽水植物・ミクリ

トラノハナヒゲ
Fig.6 トラノハナヒゲ (兵庫県播磨地方 2015.8/6)
湿原の一角で群生しており、すでに結実しているものが多数見られました。
近縁のイヌノハナヒゲなどに較べて、開花・結実が早いようです。
この湿原とその周辺部ではコシンジュガヤ、マネキシンジュガヤ、コマツカサススキ、イヌノハナヒゲ、開花し始めのゴマクサなどが見られました。
関連ページ 湿生植物・トラノハナヒゲ

モトマチハナワラビ
Fig.7 モトマチハナワラビ (兵庫県播磨地方 2015.8/6)
ハチジョウベニシダ、タカサゴシダのあるシダの聖地にも立ち寄りました。
ここではアカハナワラビとフユノハナワラビ絡みのハナワラビは既産していますが、モトマチハナワラビも1個体のみですが見つかりました。モトマチハナワラビは他のハナワラビ類に先駆けて新葉を展開します。昨年の葉は見られず、草刈りや踏付けに遭っているようでした。
関連ページ 関西の花/シダ・モトマチハナワラビ

サツマスゲ
Fig.8 サツマスゲ (兵庫県播磨地方 2015.8/6)
サツマスゲは兵庫県では淡路島と姫路市以西に記録のある好石灰性の傾向があるスゲです。
ハチジョウベニシダ群生地の周縁部で数個体の小穂をつけたものが見られました。

キキョウ
Fig.9 キキョウ (兵庫県播磨地方 2015.8/6)
このあたりではキキョウは普通種ですが、湿地の傍らで立派な個体が開花していたので、思わずシャッターを切りました。
関連ページ 関西の花・キキョウ

ミズスギナ
Fig.10 ミズスギナ (三重県南部 2015.8/9)
昨年も名古屋のSさんに案内していただいたのですが、その時は溜池が満水で岸辺から草体を窺うことができませんでした。今回は前回よりかなり水位も落ちており、岸辺から観察することができました。
水面はジュンサイ、ガガブタ、ヒシなどの浮葉植物やノタヌキモなどに覆われていますが、岸辺近くからかなり広い範囲にわたって群生しています。

ミズスギナ沈水形
Fig.11 沈水形のミズスギナ (三重県南部 2015.8/9)
自宅の睡蓮鉢で育成しているものに較べて、比較にならないほど伸び伸びと大きく育っています。
充分に栄養がありながら富栄養化していない絶妙な水質が、ミズスギナの生育にマッチしているのでしょう。これは先のヒシモドキにも言えることなのだと思います。
このような水質を自宅の小さな睡蓮鉢で再現することは非常に難しく、長期にわたってバランスを崩さずに維持するのも至難の技です。

開花したミズスギナ
Fig.12 開花中のミズスギナ (三重県南部 2015.8/9)
陸生形を形成するにはまだ水深が深く、池底から生えているものに水面上に出ているものあありませんでしたが、切れ藻の先が立ち上がって陸生形となり花をつけているものが見られました。

サイコクヌカボ
Fig.13 生育途上のサイコクヌカボ (三重県南部 2015.8/9)
ヒメコウホネ自生地に向かう途中に立ち寄った溜池では長く続いた好天のため、かなり水位が落ちており、溜池畔ではサイコクヌカボが夥しく群生していました。
関連ページ 湿生植物・サイコクヌカボ

イバラモ
Fig.14 イバラモ (三重県南部 2015.8/9)
この池ではイバラモが鬱蒼と群生し、遠くから水面が緑色に見えていました。
水中のものはあまりにも密生して解りにくいので、流れ込みの流水中に生育しているものを撮影しました。
関連ページ 沈水植物・イバラモ

湿原内の水路
Fig.15 湿原中の水路 (三重県南部 2015.8/9)
ヒメコウホネが自生する湿原には中央部に湧水のある水路が流れ、ヒメミクリ、ナガエミクリ、ミズハコベが流水中に生育し、涼しげな光景を作っています。
関連ページ 抽水植物・ヒメミクリ
関連ページ 抽水植物・ナガエミクリ
関連ページ 湿生~沈水植物・ミズハコベ

湿原のヒメコウホネ群落
Fig.16 湿原中のヒメコウホネ群落 (三重県南部 2015.8/9)
昨年来たときは10月下旬ですでに開花期は終わっていましたが、今回は開花最盛期で沢山の花を咲かせていました。湿田が耕作放棄されて、かなり大きな規模の湿原となっていて、湿原内の地下水位の高い部分にパッチ状の群落が点在しています。

ヒjメコウホネの抽水葉
Fig.17 ヒメコウホネの抽水葉 (三重県南部 2015.8/9)
サイコクヒメコウホネよりも小さくて丸味を帯びています。
ここのものは岐阜県の集団の葉と較べると、葉脚の開く角度が小さく、端どうしがほとんど重なりあう点で微妙に異なるとのこと。また環境に対する適応力も優れ、短い根茎の切れ端からでも萌芽して岐阜のものよりも育てやすい特徴を持っているとのことです。

ヒメコウホネの花
Fig.18 ヒメコウホネの花 (三重県南部 2015.8/9)
柱頭盤に並ぶ柱頭は形が整っていて短く、雄蕊は湾曲しています。画像のものは萼片が4個ですが、ふつうは5個あります。あまりに気温が高いためか訪花昆虫は見られず、アザミウマの仲間が見られた程度で、訪花昆虫を捕らえるハナグモも見られませんでした。

マルバノサワトウガラシ
Fig.19 マルバノサワトウガラシ (三重県南部 2015.8/9)
ヒメコウホネが生育する湿原内には様々な湿生植物が生育していました。
かつては水田であったことから、マルバノサワトウガラシも開花したものが見られました。
関連ページ 湿生植物・マルバノサワトウガラシ

ヒメナミキ
Fig.20 ヒメナミキ (三重県南部 2015.8/9)
ヒメナミキは各地で急速に減少しているシソ科の湿生草本です。
ここでは他の植物に埋もれるように開花していました。
関連ページ 湿生植物・ヒメナミキ

アンペライ
Fig.21 アンペライ (三重県南部 2015.8/9)
湿原内で小さな塊となって花序を上げていました。
果実期は根生する葉に花序が埋もれてしまい、開花期ほど見応え(?)がありません。

ヒメミクリ
Fig.22 ヒメミクリ (三重県南部 2015.8/9)
先の湧水のある水路を遡っていくと開花・結実しているヒメミクリが沢山見られました。
これも先のミクリ同様、開花が長期間継続するようです。
関連ページ 抽水植物・ヒメミクリ

オオバタネツケバナ
Fig.23 オオバタネツケバナ (三重県南部 2015.8/9)
湧水環境のためか、季節に関係なく開花していました。テイレギ状態ですね。
関連ページ 湿生植物・オオバタネツケバナ

ミズトラノオ
Fig.24 ミズトラノオ (三重県南部 2015.8/9)
ヒメミクリとともに群生していますが、ここでは開花が見られないとのこと。
ミズトラノオはかなり肥沃な環境を好むので、湧水環境では栄養塩類が不足しているのかもしれません。
関連ページ 湿生植物・ミズトラノオ

ヒルムシロ
Fig.25 ヒルムシロ (三重県南部 2015.8/9)
ヒルムシロも湧水河川中では心なしか輝いて見えます。新鮮な花序を上げていました。
この水路では少し前までミズオオバコがたなびく姿も見られたということですが、現在は見られなくなったとのことです。
関連ページ 浮葉植物・ヒルムシロ

ヒメコウホネ
Fig.26 河川に群生するヒメコウホネ (三重県南部 2015.8/9)
場所を移動し、海に近い河川にあるヒメコウホネの群生地に案内していただきました。
この河川も多様性に富み、ウキヤガラ、ナガエミクリ、シログワイ、ショウブなどの抽水植物との混生が見られました。水中ではコカナダモがかなり蔓延っていますが、ホザキノフサモも群生していました。

ヌマダイコン
Fig.27 ヌマダイコン (三重県南部 2015.8/9)
川岸ではミゾソバやヤナギタデに混じってヌマダイコンが開花していました。
関連ページ 湿生植物・ヌマダイコン

シログワイ
Fig.28 シログワイ (三重県南部 2015.8/9)
各地で激減しているシログワイも生育状態の良い群生が見られましたが、これでも以前より生育規模が縮小したとか。まだ開花しはじめたばかりで、水面のすぐ上で雌性期の花序が見られました。
抽水状態のクログワイやミスミイ同様に、雄性期へと開花が進むにつれて有花茎が伸びていくようです。

シログワイの花序
Fig.29 シログワイの花序 (三重県南部 2015.8/9)
クログワイに比べ、鱗片の長さに対する横幅が広く、先は円頭となります。雌性期で3岐した柱頭が鱗片の間から出ています。

ヒカゲワラビ
Fig.30 ヒカゲワラビ (三重県南部 2015.8/9)
この日の最後は、やや富栄養気味な溜池を覗いてミズトラノオ、ガガブタ、コウホネ、アシカキ、マツカサススキなどを確認して終わりました。
画像は最後の溜池の脇の植林地で多数生育していたヒカゲワラビ。ここまで来るとヒカゲワラビも普通種になるのですね。一度、このあたりのシダもゆっくりと見に来たいものです。
以上、沢山の水草を見て、頭の中がお腹一杯になって、西宮への帰途へとつきました。

謝辞:ヒシモドキの開花情報をお寄せいただいた青山さん、ミズスギナとヒメコウホネの自生地を案内して頂いたTさんに感謝申し上げます。

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category: 湿地・溜池

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