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Satoyama, Plants & Nature

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シモツケヌリトラノオか?シモダヌリトラノか? 

古い土壌が残っていることがあるので、社寺周辺の山や谷にはよく出掛けます。
今回も鳥居に神社名の額が上がっていない、無名ともいえるような神社の裏手の植林地に入っていきました。すると少し先に大きな露岩があり着生シダがちらほらと着いているのが見えました。
近寄って観察するとヌリトラノオの仲間ですが、どうも種を決めかねているのです。
画像:シモツケヌリトラノオ?、その羽片・ソーラス・胞子、モトマチハナワラビ群生地、
   アカハナワラビ群生地、混生するアカハナワラビとオオハナワラビ、ギフベニシダ、
   コタニワタリ、ホソベリミズゴケ、チャイロカワモズク?

シモツケ?シモダ?自生状況
Fig.1 自生状況 (兵庫県丹波市 2014.2/21)
ふつうに見られるヌリトラノオのように、壁面をはうように葉は広げておらず、葉は斜上気味に展開しています。また、すべての個体に無性芽は見られませんでした。
ということはシモツケヌリトラノオか、シモダヌリトラノオ(シモツケヌリトラノオ×ヌリトラノオ)、あるいはニセヌリトラノオ(シモツケ×カミガモシダ)ということになると考えられます。
草体が明らかに大きければ雑種であると判断できるのですが、どうも微妙な大きさです。
現地では決めかねるので、標本を持ち帰って細部を調べました。

シモツケ?シモダ?標本
Fig.2 全草標本 (兵庫県丹波市 2014.2/21)
シモツケにしては少し大きく、雑種と言い切るには草体は小さい。
葉先に無性芽はありません。

シモツケ?シモダ?羽片
Fig.3 羽片 (兵庫県丹波市 2014.2/21)
羽片は長方形ががっていて、先は円頭で、シモツケヌリトラノオを感じさせます。
羽片が3角状長楕円形であるニセヌリトラノオは除外できます。

シモツケ?シモダ?ソーラスと胞子
Fig.4 ソーラスと胞子 (兵庫県丹波市 2014.2/21)
時期的に非常に遅い訳ですが、ソーラスをむしって胞子が少しでも残っていないか調べました。
すると、あまり数は多くありませんが、画像右のような胞子が見られました。
胞子の大きさと形は一定しているようです。
まだシモツケヌリトラノオの正常な胞子は観察したことがないのですが、形状が一致すればシモツケヌリトラノオということになります。
大きさに疑念が残りますが、暫定的にシモツケヌリトラノオと考えることにしました。
でももしかしたら浸透交雑か・・・? 皆様からご意見を頂けたら幸いです。
*シモツケヌリトラノオに賛成のコメントを頂きました。

関連ページ 関西の花・シダ/シモツケヌリトラノオ
関連ページ 関西の花・シダ/シモダヌリトラノオ
関連ページ 関西の花・シダ/ニセヌリトラノオ

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ハナワラビ類の自生地ほか
モトマチハナワラビとアカハナワラビの群生地が新たに見つかりました。

モトマチハナワラビ自生地
Fig.5 モトマチハナワラビ群生地 (兵庫県丹波市 2014.2/21)
神社の境内の草地と植え込み周辺に胞子葉を上げたものが70個体ほど生育しています。
これまで見つけたなかでは、最も個体数の多い場所です。
草刈りされている場所ですが、植え込みの根際は草刈りの手も入らないので、大きな個体が生育していました。社寺林内にはアリドオシの群生も見られ、土壌があまりいじられていないことがわかります。
丹波地方ではモトマチハナワラビの自生地が比較的多いのですが、ひとつ南の三田市に入ると全く見られなくなり、オオハナワラビでさえ稀になってしまいます。
この偏りは年間降水量、なかでも冬期の降水量が関係しているのではないかと考えています。
関連ページ 関西の花・シダ/モトマチハナワラビ

アカハナワラビ群生地
Fig.6 アカハナワラビ群生地 (丹波地方 2014.3/4)
兵庫県ではアカハナワラビのまとまった個体が生育する場所は極めて限られています。
ここでは山から流れ出す小川の土手の落葉広葉樹下に、大小含めて80個体あまりが生育していました。周辺はシカの食害の多い地域なのですが、なぜかこの土手だけは食害をまぬがれています。
関連ページ 関西の花・シダ/アカハナワラビ

アカハナワラビとオオハナワラビ
Fig.7 オオハナワラビと混生するアカハナワラビ (丹波地方 2014.3/4)
この自生地ではアカハナワラビとオオハナワラビが混生しています。
両種の雑種であるアカネハナワラビらしきものもあり、秋に胞子を調べてみる必要があります。
関連ページ 関西の花・シダ/オオハナワラビ

ギフベニシダ
Fig.8 ギフベニシダ (兵庫県丹波市 2014.2/21)
ギフベニシダが林床に生えているところを初めて見ました。
よく見る石垣に生える小さな黄色がかったものとは、全く印象が異なります。
関連ページ 関西の花・シダ/ギフベニシダ

コタニワタリ
Fig.9 コタニワタリ (兵庫県篠山市 2014.2/26)
渓流の古い石垣護岸にヤマヤブソテツ、ノキシノブとともに着生していました。
関連ページ 関西の花・シダ/コタニワタリ

ホソベリミズゴケ
Fig.10 ホソベリミズゴケ (兵庫県篠山市 2014.3/4)
滝近くの林道脇斜面に群生していました。
丹波地方ではホソベリミズゴケが比較的よく見られますが、ホソバミズゴケはまだ見ていません。
関連ページ 湿生水生植物/ホソベリミズゴケ

チャイロカワモズク?
Fig.11 チャイロカワモズク? (兵庫県篠山市 2014.3/4)
村落内の溝に湧水が入り込み、そこに蘚類とともに生育していました。
サンプルで小さなものを1株持ち帰りましたが雄株で、精子嚢は観察できましたが、果胞子体は観察できず、再び雌株を採集してくる必要があります。
おそらくチャイロカワモズクだと思います。
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コメント

シモツケに賛成です

 やや耳垂部が尖りますが、生育の良いシモツケだと思います。日陰気味や水分に恵まれるところでは、こんな形で大きくなります。ヌリトラノオもシモツケも4倍体ですから浸透交雑の可能性はあるわけですが、報告されたかぎりではシモダは胞子が満足に形成されず、普通は胞子嚢は未熟に終わります(ソーラスは漆で固めたように未熟な胞子嚢がこびりついています)。
 モトマチとアカハナの群生地、素晴らしいですね。とくにモトマチは、近畿地方最大の群生地だと思います。いや、過日の土石流で元町は大被害を受けましたから、日本一の可能性もあります。周辺の雑種にも興味しんしんです。
 林床に生えるギフベニシダが見分けられるようになれば、ギフベニシダを完全にマスターしたことになります。意外とあるものなのですが、気づきません。雑種ではないかと訊かれたこともありますが、ただ大きいだけです。ギフベニは有性生殖4倍体なのに雑種は知られておらず、シビイタチシダがその候補に挙がっている程度。中国大陸でも同様で、不思議なベニシダ類ですね。
 ついでに書きますが、オオマルバベニシダは揚子江下流部の山地にけっこうあるようです。これも古い種類のような気がします。
光田 重幸 #UPCNk2uw URL [2014/03/06 06:41] edit

Re: シモツケに賛成です

 光田先生、早速のご意見ありがとうございます。
 日陰で少し大きいのかなと思っていたのですが、やはり大きくなるのですね。自生箇所は今は植林されて日陰になっていますが、シモツケヌリトラノオの着いていた露岩はかつては磐座として信仰されていたはずで、当時は神社からも見えるように木は植えられずに、日当たりよい場所だったと想像できます。
 モトマチの自生地は現時点で近畿一ですか。地元の方に留意して頂けたら、とお願いしておいて良かったです。アカハナの自生地もお願いしたのですが、なんか持ち帰って鉢植えにする気満々な気配で、お願いする相手を間違えたかもしれません。持ち帰っても根付きませんよ、と釘を刺しておきましたが。
 ギフベニシダの免許皆伝ありがとうございます。昨年はいろいろな場所で見ることができたので、もう間違えることはないと思います。
 オオマルバベニシダが起源の古いシダだということは、丹波層群のあるところでしか見かけないという点でも納得がいくような気がします。このシダもなかなか見つかりませんね。シモツケヌリトラノオよりも稀少な気がします。
マツモムシ06 #7qQ58teA URL [2014/03/06 18:06] edit

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