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Satoyama, Plants & Nature

秋の溜池・湿地・水田 2 

9月に引き続き、主に10月、秋後半に出会った湿生・水生植物たちの様子です。
画像:ヒメミソハギ、クロホシクサ、イトタヌキモ、クロミノニシゴリ、ノタヌキモ、
   サイコクヌカボ、イヌセンブリ、アメリカキカシグサ、ホソバリンドウ、
   スイラン、タヌキモ、ハマハナヤスリ、ミズニラsp.、セキショウモ、
   アイノコイトモ、アキノタネツケバナ、ホソバノウナギツカミ、
   セイタカハリイ、ホタルイ3種、オギノツメ、ヒメミクリ、ナガボノワレモコウ、
   ヤマラッキョウ、神戸層群の植物化石
*画像クリックで、別ウィンドで拡大表示されます。
ヒメミソハギ
Fig1. ヒメミソハギ (西宮市 2013.9/30)
西宮市北部の刈り取り後の水田でヒメミソハギが生育していました。
今年はミズキカシグサを除いて、大体の水田雑草を見ることができました。
関連ページ 湿生植物・ヒメミソハギ

クロホシクサ
Fig.2 クロホシクサ (京都府 2013.10/2)
兵庫県で見るクロホシクサは生育環境によるものか小さなものばかりですが、ここのものは伸び伸びと生育し、かなりの群生でした。
関連ページ 湿生植物・クロホシクサ

イトタヌキモ
Fig.3 イトタヌキモ (京都府 2013.10/2)
草体が重層的に重なりあっているため、一ヵ所に沢山の花が見られました。
関連ページ 湿生~浮遊植物・イトタヌキモ

クロミノニシゴリ
Fig.4 クロミノニシゴリ (京都府 2013.10/2)
東海丘陵要素とされ、関西ではあまり見る機会のない湿地性の木本です。
近縁のタンナサワフタギやサワフタギは兵庫県内でもお馴染みですが、本種は絶滅寸前です。

ノタヌキモ
Fig.5 ノタヌキモ (京都府亀岡市 2013.10/8)
兵庫県では比較的普通なノタヌキモですが、京都では少ないようで、今回初めて見ました。
この溜池にはヒメホタルイ、サワトウガラシ、サイコクヌカボ、ウキシバらしきものがありました。
関連ページ 浮遊植物・ノタヌキモ

サイコクヌカボの花
Fig.6 開花中のサイコクヌカボ (京都府亀岡市 2013.10/8)
近縁のヤナギヌカボの花は中途半端にやっと開いていますが、サイコクヌカボの花はしっかり開き、花披の基部には蜜腺が光っているのが見えます。ヤナギヌカボとの区別点として葉裏の腺点の有無が言われますが、京都府内でも腺点のあるものが見つかっています。
関連ページ 湿生~抽水植物・サイコクヌカボ

イヌセンブリ1
Fig.7 イヌセンブリ (京都府亀岡市 2013.10/8)
Fig.6と同じサイコクヌカボのある溜池で開花し始めていました。
野生動物の撹乱の多い場所でしたが、つぼみを付けた個体が多く見られ、今頃は満開でしょう。
関連ページ 湿生植物・イヌセンブリ

イヌセンブリ2
Fig.8 イヌセンブリの花 (兵庫県篠山市 2013.10/18)
センブリの花に似ていますが、花の蜜腺の縁に生える毛は多くて長く、蜜腺が見えません。
センブリは毛が少なく、黄緑色の蜜腺がはっきりと見えます。

アメリカキカシグサ
Fig.9 アメリカキカシグサ (京都県亀岡市 2013.10/8)
盆地の平坦部にある水田地帯に侵入し、繁茂していました。
刈り取り後の水田で、同じ外来種であるホソバヒメミソハギを凌ぐ勢いで群生しています。
現在、関東から近畿地方に定着が見られ、今後猛威を振るう恐れがあるように感じます。
関連ページ 湿生植物・アメリカキカシグサ

ホソバリンドウ
Fig.10 ホソバリンドウ (兵庫県小野市 2013.10/18)
北向きの溜池土堤下の休耕田の畦ですでに満開の状態でした。
葉の細い湿地タイプのリンドウで、兵庫県南部では比較的普通に見られます。
関連ページ 湿生植物・ホソバリンドウ

スイラン
Fig.11 スイラン (兵庫県姫路市 2013.10/18)
ホソバリンドウとともにヤマラッキョウよりも早く開花する湿地の晩秋の花です。
湿地の中で細いひょろりとした根生葉とともに全体を撮影することは難しく、今回も花だけの画像です。
関連ページ 湿生植物・スイラン

タヌキモ
Fig.12 タヌキモ (兵庫県播磨地方 2013.10/21)
タヌキモ疑惑のあるイヌタヌキモを県内数ヶ所で発見しているので、殖芽比較のためS氏に自生地を教えていただきました。草体はすでに枯れつつあるものが多く、緑色から褐色を帯びたものまで、様々な形の殖芽を形成していました。

ハマハナヤスリ
Fig.13 コハナヤスリ (兵庫県播磨地方 2013.10/21)
兵庫県産維管束植物ではコハナヤスリとハマハナヤスリを分けていないので、コハナ型のハマハナヤスリということになります。 兵庫県内では内陸の溜池土堤から、ときに池の水中にかけて生育しているのが見られます。
播磨地方の溜池ではよく眼にしますが、東に行くにつれて稀になるように思います。

ミズニラsp.
Fig.14 ミズニラsp. (兵庫県播磨地方 2013.10/21)
やや中栄養な小さな溜池の水中で生育していました。
丹波地方ではミズニラばかりですが、このあたりのものはミズニラモドキではないかと思います。
両種は外見では全く区別できず、小胞子表面に突起があるかどうか検鏡する必要があります。

セキショウモ
Fig.15 セキショウモ (兵庫県播磨地方 2013.10/21)
比較的植生豊富な皿池で群生しており、沢山の花茎を上げていました。
関連ページ 沈水植物・セキショウモ

アイノコイトモ
Fig.16 アイノコイトモ (兵庫県播磨地方 2013.10/21)
Fig.15と同じ溜池で見られたもので、イトモとヤナギモの種間雑種とされるものです。
古い茎の葉腋や茎頂には、イトモよりやや大きく、開き気味の殖芽を形成していました。
よくあることですが、同じ池でイトモは見つかりましたがヤナギモはありませんでした。

アキノタネツケバナなど
Fig.17 水路内のアキノタネツケバナなど (兵庫県播磨地方 2013.10/21)
湧水の流入があるのか、底面がウキゴケに覆われた用水路がありました。
水路内にはミズハコベとともにアキノタネツケバナが生育していました。
最近、アキノタネツケバナはミズタネツケバナの秋開花型ではないかと思っているのですが・・・
関連ページ 湿生植物・アキノタネツケバナ

ホソバノウナギツカミ
Fig.18 ホソバノウナギツカミ (兵庫県播磨地方 2013.10/21)
干上がった溜池畔で群生しているホソバノウナギツカミが開花していました。
県南部、とくに播磨地方では水辺に普通に見られる草本です。
関連ページ 湿生~抽水植物・ホソバノウナギツカミ

セイタカハリイ
Fig.19 セイタカハリイ (神戸市 2013.10/22)
ハリイ属草本のうちでは比較的稀の部類に入る種で、自然度の高い場所に現れます。
小穂は広卵形で、熟した痩果は淡褐色、柱基は圧扁された3角状、刺針状花披片は痩果と同長かやや長い点が特徴です。ここではエゾアブラガヤ、タコノアシ、サイコクヌカボなどと休耕田に生育していました。周辺にはアワボスゲやヒメミコシガヤも見られるような自然度の高い場所です。
関連ページ 湿生~抽水植物・セイタカハリイ

ホタルイ3種の花序
Fig.20 ホタルイ近縁3種の花序 (神戸市 2013.10/22)
上からタイワンヤマイ、ホタルイ、イヌホタルイ。
Fig.19の休耕田の近隣では3種のホタルイの仲間が見られました。
タイワンヤマイは草高に比べて、苞葉の比率が長く、小穂は長楕円状披針形で緑色であることですぐに区別できます。ホタルイは小穂が卵形であればあまり問題はありませんが、ここのものは長卵形でイヌホタルイとの差は微妙です。こういった時は柱頭の分岐数を、最低でも10個は丁寧に調べなければなりません。図鑑では3岐がホタルイ、2岐がイヌホタルイと簡単に書いていますが、両種とも全ての柱頭が2岐、3岐とはっきり分かれるものは少なく、形質にはばらつきがあり、ホタルイでも稀に2岐するものが混じり、イヌホタルイでも3岐するものが混じっていることがあります。
同じカヤツリグサ科の中でも、似た感じのハリイ属は柱頭の分岐数が安定しているようですが、フトイ属ではその形質がそれほど安定していないように思います。
関連ページ 湿生~抽水植物・タイワンヤマイ
関連ページ 湿生~抽水植物・ホタルイ
関連ページ 湿生~抽水植物・イヌホタルイ

オギノツメ
Fig.21 オギノツメ (神戸市 2013.10/22)
丘陵部の谷津の下部に広がる休耕田で、かなり大きな規模で群生していました。
すでに果実期に入っており、花は見られませんでした。
関連ページ 湿生植物・オギノツメ

ヒメミクリ
Fig.22 ヒメミクリ (神戸市 2013.10/22)
底の抜けた溜池跡の水路内にわずかに生き残っています。
時期的に遅いためか、果実をつけた花茎は2本しか見られませんでした。
関連ページ 湿生~抽水植物・ヒメミクリ

ナガボノワレモコウ1
Fig.23 ナガボノワレモコウ (神戸市 2013.10/22)
昨年見つかった自生地のもので、畦や土手に夥しい数が生育しています。
県内の他の自生地では白花品が多いのですが、ここは濃紅紫色~白色まで変異幅が広かったです。
関連ページ 湿生植物・ナガボノワレモコウ

ナガボノワレモコウ2
Fig.24 濃紅紫色の個体 (神戸市 2013.10/22)
濃紅紫色のものは花穂が細く、コバナノワレモコウの範疇に入るものも生育しています。

ナガボノワレモコウ3
Fig.25 白花品 (神戸市 2013.10/22)
県内ではこのタイプがよく見られます。

ナガボノワレモコウの花穂
Fig.26 花穂の拡大 (神戸市 2013.10/22)

ヤマラッキョウ
Fig.27 ヤマラッキョウ (神戸市 2013.10/22)
湿地や棚田などで最も遅く開花しはじめ、シーズンの終わりを告げる草本です。
関連ページ 湿生植物・ヤマラッキョウ

神戸層群の植物化石
Fig.28 神戸層群の植物化石 (神戸市 2013.10/22)
神戸層群の凝灰岩中に含まれる植物化石です。
調べてみると、カエデ属とフウ属の木の葉が入っているようです。
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category: 湿地・溜池

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コメント

はじめまして。

神戸層群の化石ですね!

綺麗な化石ですね。

僕も神戸に住んでおり、趣味で化石を採集したりしています。

化石の会にも入っており、年一度、夏休みに展示会をしています。

ブログもよろしくお願いします。

神戸層群について書いています。

有難うございました。
兵庫県私設博物学研究所 所長 #RA.9T2tY URL [2016/08/31 23:03] edit

神戸層群の化石

兵庫県私設博物学研究所 所長さんへ
 ブログを拝見いたしました。あいなの里山公園で化石展をなさっているのですね。掲載画像はあいなの里山公園内で見たものです。この公園内では神戸市依頼で数度にわたって植物調査しています。知らないうちに開園していて驚いています。これまでに存在しなかったシカの侵入は、稀少種の多いこの場所の植生に変化を与えるのではないかと植物関係者の間では非常に危惧されています。10月の植物観察会には講師として参加予定ですのでご興味があればご参加ください。公園内の稀少種を中心として、その生育環境や生育条件を解説する予定です。
マツモムシ #7qQ58teA URL [2016/09/01 02:57] edit

マツモムシ さん

ブログ見て頂きありがとうございます。

とても植物にお詳しくいらっしゃるのですね。

あいな里山公園で講師をされているのですか!

すごいですね!!

また、機会があれば参加したいと思います。

有難うございました。
兵庫県私設博物学研究所 所長 #RA.9T2tY URL [2016/09/01 21:12] edit

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