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Satoyama, Plants & Nature

スゲの季節 (後編) 

前回に続いて「スゲの季節」です。後編ではアゼスゲ節を中心に、最近見たスゲ類をご紹介します。
画像:ヤマアゼスゲ、タニガワスゲ、アゼナルコ、アズマナルコ、アズマナルコの雌小穂、
   ゴウソ、ヒメゴウソ、ホナガヒメゴウソ、ヤマテキリスゲ、カワラスゲ、ナルコスゲ、
   ジュズスゲ、シラスゲ、ヒゴクサ、エナシヒゴクサ、オニスゲ、タガネソウ、
   ケタガネソウ、タガネソウ節2種の葉裏、ササノハスゲ、ヤマジスゲ、
   ヤマジスゲの小穂
*画像クリックで、別ウィンドで拡大表示されます。

ヤマアゼスゲ
Fig.1 ヤマアゼスゲ (京都府綾部市 2013.5/2) アゼスゲ節
アゼスゲは既に開花期のものを掲載済みなので、ヤマアゼスゲから。
アゼスゲほどどこにでもあるというものではなく、少し山地や内陸寄りの溜池畔や河原などで見かけることが多いスゲです。アゼスゲとは草体が大きめで硬く、全体的にざらつくこと、基部に糸網を生じることにより区別できます。京都府では準絶滅危惧種となっていますが、この日は由良川河畔と山間の溜池畔の2ヶ所で群生が見られ、採集する人があまりいなかっただけで、各所に生育しているものだと思います。
関連ページ 湿生植物・ヤマアゼスゲ

タニガワスゲ

Fig.2 タニガワスゲ (兵庫県篠山市 2013.5/22) アゼスゲ節
山間の渓流畔で大きな株となって生育しているものをよく見かけます。
画像のものも直径1m以上広がっている巨大な株となっていました。
ヤマアゼスゲよりも果胞の嘴が長く、嘴の両側に刺状の突起があることで区別できます。
関連ページ 湿生植物・タニガワスゲ

アゼナルコ
Fig.3 アゼナルコ (兵庫県西宮市 2013.5/23) アゼスゲ節
河川敷の常在種で、休耕田にもよく現れるふつうなスゲ。
次に紹介するアズマナルコとは、雄鱗片に長い芒があり、基部が円柱状に肥厚しないことによって区別できます。
関連ページ 湿生植物・アゼナルコ

アズマナルコ
Fig.4 アズマナルコ (兵庫県西宮市 2013.5/27) アゼスゲ節
山間の溜池畔や湿った林道脇などで見かけるやややわらかいスゲで、アゼナルコほどふつうではありません。兵庫県では北部に多いスゲですが、西宮市でも2ヶ所で生育を確認しています。
関連ページ 湿生植物・アズマナルコ

アズマナルコ雌小穂の拡大
Fig.5 アズマナルコの雌小穂の拡大 (兵庫県西宮市 2013.5/27) アゼスゲ節
雌小穂に並んだ果胞と鱗片の様子です。鱗片の芒はアゼナルコよりも短いです。
柱頭が2岐するのは、アゼスゲ節に共通する特徴です。

ゴウソ
Fig.6 ゴウソ (兵庫県丹波市 2013.5/31) アゼスゲ節
兵庫県では湿地、用水路脇、休耕田、溜池畔などで栄養条件にも左右されず最もふつうに見られるスゲです。「タイツリスゲ」の別名があり、草体の特徴がよく現れている名称だと思います。
特徴的で解りやすいスゲですが、変種に果胞に乳頭状突起のない「ホシナシゴウソ」があります。
関連ページ 湿生植物・ゴウソ

ヒメゴウソ
Fig.7 ヒメゴウソ (兵庫県三田市 2013.5/23) アゼスゲ節
ゴウソよりもかなり稀なスゲで、兵庫県では貧栄養な湿地や溜池畔に現れます。
貧栄養な湿地を好む種とともに生育していることが多く、この場所では溜池土堤直下の排水路脇でしたが、イヌノハナヒゲ、コシンジュガヤ、ミカワシンジュガヤ、ノグサ、ホソバリンドウ、スイラン、サワシロギクなどとともに生育していました。次種のホナガヒメゴウソと比較すると草体は青白く、葉や花茎は強くざらつくのが特徴です。
関連ページ 湿生植物・ヒメゴウソ(ホナガヒメゴウソ含む)

ホナガヒメゴウソ
Fig.8 ホナガヒメゴウソ (神戸市 2013.5/19) アゼスゲ節
ホナガヒメゴウソはヒメゴウソよりも稀なスゲで、兵庫県では限られた地域にしか見られず、前種が貧栄養な湿地を好むのに対して、本種は栄養状態のよい湿地に現れ、群生する傾向が見られます。ここではミヤマシラスゲ、ショウブ、ヤノネグサ、ミゾソバ、ホソバノヨツバムグラなど栄養条件のよい場所を好む湿生植物とともに生育していました。ヒメゴウソのように青みを帯びず、より大型で、有花茎の下部は平滑で、雌小穂は長く下垂し、雌鱗片の芒が果胞より長く突き出すことにより区別できます。
関連ページ 湿生植物・ヒメゴウソ(ホナガヒメゴウソ含む)

ヤマテキリスゲ
Fig.9 ヤマテキリスゲ (兵庫県篠山市 2013.5/24) アゼスゲ節
六甲山地ではテキリスゲはよく見られますが、このヤマテキリスゲは見られません。
兵庫県では内陸部から北部にかけて見られ、北部の沢の源頭湿地では群生して優占種となっている場所も見られます。テキリスゲと違って草体はざらつかず、ほとんど平滑である点で容易に区別できます。
関連ページ 湿生植物・ヤマテキリスゲ

カワラスゲ
Fig.10 カワラスゲ (兵庫県三田市 2013.5/24) アゼスゲ節
マスクサ、ジュズスゲなどとともに湿った農道や林道、踏み跡などによく見られるスゲです。
草体はやわらかく、細長い小穂が下垂することにより、他種との区別は容易です。
関連ページ 湿生植物・カワラスゲ

ナルコスゲ
Fig.11 ナルコスゲ (兵庫県篠山市 2013.5/22) クロボスゲ節
Fig.2のタニガワスゲの隣に生育していたもので、アゼスゲ節のスゲ類よりも果期がはやく、雄小穂はすっかり脱落し、雌小穂の果胞も熟して脱落しつつありました。ナルコスゲは降雨後に急流にさらされるような渓流畔の岩場でも、隙間にしっかり根を張ってびくともしません。こういった場所に生育するものを標本用に根から採集するのは至難の業です。
関連ページ 関西の花・ナルコスゲ

ジュズスゲ
Fig.12 ジュズスゲ (兵庫県篠山市 2013.5/22) ジュズスゲ節
Fig.10のカワラスゲやマスクサなどとともに農道や林道によく現れるスゲです。
変種にオキナワジュズスゲがあり、主に果胞の大きさで区別します。
・ジュズスゲ・・・果胞の大きさ 4~5mm。基部の鞘はわずかに糸網を生じる。
・オキナワジュズスゲ・・・果胞の大きさ 3~4mm。基部の鞘は光沢がある。

関連ページ 湿生植物・ジュズスゲ

シラスゲ
Fig.13 シラスゲ (兵庫県篠山市 2013.5/22) ヒメシラスゲ節
やや山地寄りの林縁や明るい林床にふつうに見られるスゲです。
ヒメシラスゲ節の果期は遅く、同じ場所のタマツリスゲの果胞が熟して脱落しつつありましたが、シラスゲのほうはまだ白い柱頭を出した開花期でした。
関連ページ 関西の花・シラスゲ

ヒゴクサ
Fig.14 ヒゴクサ (兵庫県篠山市 2013.5/22) ヒメシラスゲ節
草地、林縁、林道脇などにふつうに見られるスゲです。
匍匐根茎を横走して広がるため、群生していることの多い種です。
関連ページ 湿生植物・ヒゴクサ

エナシヒゴクサ
Fig.15 エナシヒゴクサ (兵庫県篠山市 2013.5/22) ヒメシラスゲ節
ヒゴクサよりもかなり稀で、あまり見かけないスゲです。
明るい河川堤防に群生していたり、薄日が差す林床に群生していたりと、生育環境がもう一つ絞り込めない種です。ヒゴクサと同様な環境に生育し、ただ単に稀なだけかもしれません。これまで私が見た限りでは、ヒゴクサと混生している場所はありませんでした。
関連ページ 湿生植物・エナシヒゴクサ

オニスゲ
Fig.16 オニスゲ (兵庫県篠山市 2013.5/24) オニナルコ節
比較的古くからある安定した湿地や溜池畔など、2次的自然環境の高い場所に見られる湿生スゲです。絶滅危惧種に指定している地域が多いですが、兵庫県では上記のような湿地や溜池が数多く残っているため、まだまだ見る機会の多いスゲです。オニスゲの生育する場所ではふつう様々な湿生植物が見られます。ここでは、ミヤマシラスゲ、オタルスゲ、エゾハリイ、イグサ、ホソイ、ハイチゴザサ、ヒナザサ、アギスミレ、タチモ、サワギキョウ、ヌマトラノオ、ホッスモ、ミズニラなどが見られました。
関連ページ 湿生植物・オニスゲ

タガネソウ
Fig.17 タガネソウ (神戸市 2013.5/23) タガネソウ節
タガネソウ節のスゲ類は原始的なスゲと考えられており、スゲの中でも幅広い葉をもつ一風変わった仲間です(但し愛媛県でのみ知られるイワヤスゲを除く)。兵庫県東南部の低地で本種が生育する場所では、他にも面白い種が出現する傾向があります。西宮市内の当該地域ではアマナ、ノダケ、ミズユキノシタ、クサボケ、フタリシズカ、スズサイコ、シソバタツナミ、ツクバキンモンソウ、ミズタカモジ、ウシノシッペイ、ミヤマイタチシダ、ツヤナシイノデなどが見られ、都市近郊としては出現種数の多い地域となっています。
関連ページ 関西の花・タガネソウ

ケタガネソウ
Fig.18 ケタガネソウ (兵庫県西宮市 2013.3/29) タガネソウ節
自宅の草地斜面に自生しているもので、今回は開花中のものを掲載してみました。
西宮市内では六甲東南部の丘陵~低山に、開発をまぬがれた集団が点々と残っています。
関連ページ 関西の花・ケタガネソウ

タガネソウ節比較
Fig.19 タガネソウ節2種の葉の比較 (兵庫県西宮市 2013.5/27) タガネソウ節
上はケタガネソウ、下はタガネソウの葉裏面。
ケタガネソウは葉縁と脈上の毛が長く顕著であるのがわかります。
他に頂小穂に違いが見られ、ケタガネソウは雄性、タガネソウは雄雌性となりますが、稀にタガネソウでも雄性となる有花茎もあるので、葉の毛によって判断するのが無難だと思います。

ササノハスゲ
Fig.20 ササノハスゲ (兵庫県西宮市 2013.5/27) タガネソウ節
ササノハスゲは本州の近畿地方以西、四国といった特異な分布域を持つ日本固有種です。
兵庫県内では低地から高所(といっても高山はありませんが)にまで、比較的普通に見られるスゲです。冬期にも葉が残り、小穂が球状となるため、前2種との区別は容易です。
関連ページ 関西の花・ササノハスゲ

ヤマジスゲ
Fig.21 ヤマジスゲ (兵庫県三田市 2013.5/24) ヤマジスゲ節
スゲというより、一見するとイネ科草本ではないかと思えるようなやわらかいスゲです。
よほどスゲ類やイネ科に注意の向いている人でないと発見できない上、やや稀な部類に入るスゲです。長らく土壌自体が保存されている林道や農道上に雑草然と群生している例が多くみられます。
関連ページ 関西の花・ヤマジスゲ

ヤマジスゲの小穂
Fig.22 ヤマジスゲの小穂 (兵庫県三田市 2013.5/24) ヤマジスゲ節
頂小穂(上)と側小穂(下)。
頂小穂は雄性で柄があります。側小穂は雌性で、長い果胞がまばらについています。
果胞は完熟しても、長い柱頭が枯れ落ちず、残っています。
よく似たものに山地の渓流畔や林床に生えるミヤマジュズスゲがありますが、ミヤマジュズスゲの小穂は雄雌性であることで区別できます。
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category: カヤツリグサ科スゲ属

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