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Satoyama, Plants & Nature

県北の春の花 ネコノメソウ類を中心に 

5月8日にM氏、Y氏とともに、主にネコノメソウ類を中心に播磨北部・但馬の深山の春の植物を見てきました。すでに探訪してから1週間ほど経ってしまいましたが、記録として残しておくことにしました。
このあたりの山々は丹波などととはちがって奥が深く、原生林の規模も比較にならないほど大きなものです。日陰の斜面ではまだ残雪がところどころにあり、空中湿度も高いようで、ふたかかえもあるようなブナやカツラの大木の樹幹にはヤシャビシャク、スギラン、ホテイシダ、オシャグジデンダなどの着生植物もあちこちで生育しているのを見かけます。どの谷筋も水量豊富で、原生林の保水量は相当なものなのでしょう。
ネコノメソウ類は県南部や内陸部に見られるものとは違って、日本海側に生育する種がメインになります。
画像:ツルネコノメソウ、マルバネコノメソウ、タチネコノメソウ、チシマネコノメソウ、
   キンシベボタンネコノメソウ、サンインネコノメソウ、ヒダボタン、オクノカンスゲ、
   ナルコスゲ、コチャルメルソウ、サンインシロカネソウ、キバナサバノオ、ワチガイソウ、
   小滝周辺の植物群落、ヒメレンゲ、マルバスミレ、ツヤナシイノデのフィドルヘッド、
   ジュウニヒトエ、ジュウニキランソウ、キケマン
*画像は全てクリックすると拡大表示されます。
ツルネコノメソウ 1
Fig.1 ツルネコノメソウ
走出枝を出し、湧水のしたたる岩場や岩壁を覆うように群生していることが多いようです。
無花茎につく葉は円形です。結実後には葉が大きくなり、他の種との違いがよりはっきりとします。

ツルネコノメソウの花
Fig.2 ツルネコノメソウの花
萼裂片は緑色~黄緑色で平開し、葯は黄色で8本あります。
茎の毛はほとんど目立ちません。

マルバネコノメソウ
Fig.3 マルバネコノメソウ
渓流畔でも腐植土の溜まったような場所に多いように思いました。
茎には開出毛が目立ち、他種との区別点になります。

マルバネコノメソウの花
Fig.4 マルバネコノメソウの花
萼裂片は緑色で平開し、葯は黄色で8本あります。
苞葉は丸く、あまり切れこまないのが特徴です。

タチネコノメソウ
Fig.5 タチネコノメソウ
湧水のしたたる岩場や、しぶきを浴びるような渓流岩上に見られました。
タチネコノメソウは地下に走出枝を伸ばし、岩上を走出枝で覆うようなことはありません。
関連ページ 関西の花・タチネコノメソウ

チシマネコノメソウ
Fig.6 チシマネコノメソウ
マルバネコノメソウと同じような場所で見られ、ヒダボタンと混生している場所もありました。
茎は無毛でマルバネコノメソウとの区別は容易です。
花後の走出枝は細く、ツルネコノメソウのような太い走出枝とははっきりと異なります。

チシマネコノメソウ
Fig.7 チシマネコノメソウの花
萼裂片は緑色~黄緑色で平開し、葯は黄色~汚紅色と幅があります。
ここのものは萼片が斜開気味のものが多く見られましたが、変異の範囲内なのかも知れません。
苞葉は前3種に比べて、縦に長いのが特徴です。

キンシベボタンネコノメソウ
Fig.8 キンシベボタンネコノメソウ
渓流畔の水際、湧水のしたたる岩場などで見かけました。
サンインネコノメソウとともに、このあたりでは最もよく現れた種でした。

キンシベボタンネコノメソウの花
Fig.9 キンシベボタンネコノメソウの花
萼裂片は淡緑色~淡黄緑色で直立し、雄蕊は8個で萼片から出ず、葯は黄色です。

サンインネコノメソウ
Fig10. サンインネコノメソウ
一見するとヒダボタンとほとんど区別がつかない種です。
区別するには花をよく観察しなければなりません。
関連ページ 関西の花・サンインネコノメソウ

サンインネコノメソウの花
Fig.11 サンインネコノメソウの花
萼裂片は淡褐色で直立し、雄蕊は8個で、葯は暗紅色、雌蕊の柱頭とともに萼から突き出す。
開花に先立って、雌蕊の2岐する柱頭が最初に出るのも大きな特徴です。
萼裂片が淡緑色のものはホクリクネコノメソウとされています。

ヒダボタン
Fig.12 ヒダボタン
この地域にみられるヒダボタンは萼裂片が少し赤味を帯び、普通のヒダボタンとは印象が異なります。近縁のアカヒダボタンは萼裂片がもっとはっきりと赤紫色を帯びています。
サンインネコノメソウよりも、むしろボタンネコノメソウと混同しやすいかもしれません。


ヒダボタンの花
Fig.13 ヒダボタンの花
萼裂片は黄色~淡緑色で、閉じ気味に直立し、雄蕊は萼裂片と同長か少し短く、葯は赤色。
サンインネコノメソウのように、雌蕊は萼から突き出しません。
また、ボタンネコノメソウの雄蕊は萼裂片よりもはるかに短い点で区別されます。

オクノカンスゲ
Fig.14 オクノカンスゲの開花
この辺りにスゲのシーズンが来るのは5月下旬頃から。
ハバビロスゲ・タイプの日本海側に多い葉の広いオクノカンスゲも開花中でした。
関連ページ 関西の花・オクノカンスゲ

ナルコスゲ
Fig.15 開花中のナルコスゲ
渓流畔の岩上ではナルコスゲが開花中でした。
関連ページ 関西の花・ナルコスゲ

コチャルメルソウ
Fig.16 コチャルメルソウ
ナルコスゲの隣で開花していました。
コチャルメルソウは石灰岩地や、メランジェ層を基岩とする場所に主に生育する種です。
丹波地方では淡緑色の花を持つものがほとんどですが、この地域では花が赤褐色のものが見られました。
関連ページ 関西の花・コチャルメルソウ

サンインシロカネソウ
Fig.17 サンインシロカネソウ
サンインシロカネソウも湧水のしたたる岩場や岩壁で開花しはじめたところでした。
ツルネコノメソウやタチネコノメソウ、ダイモンジソウなどとともに生育していました。

キバナサバノオ
Fig.18 キバナサバノオ
小さな滝の岩壁で開花し始めていました。
県内では珍しい高標高地の自生地だとのことです。

ワチガイソウ
Fig.19 ワチガイソウ
キバナサバノオの隣で群生していました。まとまった群生を見るのは初めてです。
関連ページ 関西の花・ワチガイソウ

滝周辺の植物群落
Fig.20 小滝周辺の植物群落
高湿度が保たれる滝の周りには渓流畔に見られる種が高密度に生育していました。
キバナサバノオ、ワチガイソウ、コチャルメルソウ、ダイモンジソウ、タチネコノメソウ、ウワバミソウ、ニシノヤマタイミンガサ、エンレイソウ、ジュウモンジシダ、リョウメンシダが見られました。

ヒメレンゲ
Fig.21 ヒメレンゲ
林道開削時にできた緑色岩系の新しい岩壁にはやくも定着し、開花していました。
日当たりよい岩壁なので、渓流畔よりもいち早く開花したようです。

マルバスミレ
Fig.22 マルバスミレ
林道脇の日当たり良い崩落斜面に点在していました。
スミレ類はやや乏しく、このほかに開花しているのはタチツボスミレや少数のスミレサイシンくらいでした。

カニコウモリ
Fig.23 カニコウモリの新葉
この時期はいろいろな草本の新葉も観察対象になります。
見ても解らない種は課題として、他所で見るかもしれないので注意しておきます。

ツヤナシイノデのフィドルヘッド
Fig.24 サカゲイノデのフィドルヘッド
シダのフィドルヘッドも同様に観察対象になります。
特にイノデの仲間は展葉の仕方が微妙に異なるので、日頃から注意しておくと良いです。

ジュウニヒトエ
Fig.25 ジュウニヒトエ
山麓では初夏の花の開花がはじまっていました。

ジュウニキランソウ
Fig.26 ジュウニキランソウ
ジュウニヒトエとキランソウの種間雑種です。
なぜか、この手の雑種は社寺境内で見かけることが多く、今年は4ヶ所で見かけました。
うち1ヶ所のものは毛が少なく、ニシキゴロモとキランソウの雑種であるキランニシキゴロモではないかと考えています。

キケマン
Fig.27 キケマン
ジュウニキランソウのあった社寺内ではキケマンとヒロハテンナンショウが開花していました。
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category: 春植物

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コメント

お久しぶりです、朝のネットサーフィン中にたどり着きました。ホテイシダは見つかりましたでしょうか?。光田先生が9月21日に来丹され、久しぶりに懇談しましたが相変わらず元気にフィールドを駆け回って活躍されておられる様子でした。
hatakusa #Iv91DcHw URL [2013/09/24 07:08] edit

hatakusaさま、お久しぶりです。
この日、山域の上部ではホテイシダを何度か見かけましたが、お教え頂いた場所は目印の倒木も撤去されて、結局見つけることができませんでした。この日以来但馬のほうへは足を運んでおらず、お約束が果たせないままとなってしまいました。また出掛ける機会があれば入り口からじっくりと探してみます。
光田先生はお忙しそうですね。近く深泥池にツクシカンガレイが現存しているかどうか、先生のご案内で確認に出掛ける予定です。
マツモムシ #7qQ58teA URL [2013/09/25 02:33] edit

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