2018年度の春植物
2018/04/24 Tue. 01:42 [edit]
今年は環境省のRDBと兵庫県のRDBの見直しが重なり、少し忙しくなりそうです。
今回は春先のコバイモ類とヒロハノアマナなどの3月の個体数調査の際に見た春植物を中心にまとめました。4月に入るとスミレのシーズンに突入します。
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FC2ブログの仕様が変わったのか、リンク先で大きな画像が表示されなくなってしまいました。
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Fig.1 セツブンソウ (兵庫県丹波市 2018.3/12)
春一番に咲くのはやはりセツブンソウ。
草刈り管理される果樹園の林床に群生して、毎年楽しませてくれます。
関連ページ 関西の花・セツブンソウ

Fig.2 素心花のセツブンソウ (兵庫県篠山市 2018.3/12)
赤紫色の色素を欠いた個体で、篠山市の集団でふつうのセツブンソウに混じって見られます。
関連ページ 関西の花・セツブンソウ

Fig.3 春植物の自生地 (兵庫県丹波市 2018.3/12)
クリの木の植えられた草刈りされる緩やかな斜面に、様々な春植物が自生しています。
ここではアズマイチゲの集団をメインにして、セツブンソウ、キクザキイチゲ、イチリンソウ、ニリンソウ、アマナなどが生育しています。
アズマイチゲの開花期ですが午前中の観察だったため、まだ花は全開していませんでした。

Fig.4 開花したアズマイチゲ (兵庫県篠山市 2018.3/12)
午後になって篠山市の自生地に行くと、日当たり良い場所のものは花が平開していました。
関連ページ 関西の花・アズマイチゲ

Fig.5 ユキワリイチゲ (兵庫県篠山市 2018.3/12)
社寺裏手の草刈りされた日当たり良い斜面ではユキワリイチゲも開花しはじめていました。。
関連ページ 関西の花・ユキワリイチゲ

Fig.6 バイカオウレン (兵庫県篠山市 2018.3/12)
里山周辺では近縁のセリバオウレンは開花終盤でしたが、奥山ではバイカオウレンが開花全盛期を向かえていました。
関連ページ 関西の花・バイカオウレン

Fig.7 ホソバナコバイモ (兵庫県播磨地方 2018.3/24)
兵庫県にはホソバナコバイモとコバイモ(ミノコバイモ)が自生していますが、自生地は極限されています。こちらはホソバナコバイモのほうで、花披片の幅が狭く、葉幅が広いのが特徴。
ここは放棄クリ園ですが保護管理されているようで、開花個体周辺で目印が付けられており、100個体弱が開花していました。

Fig.8 コバイモ (兵庫県播磨地方 2018.3/26)
別名ミノコバイモ。花披片の幅は広く、葉はホソバナコバイモより細身です。
こちらは現役のクリ園で持ち主の方が保護管理されておられ、ヒメニラやオオマルバコンロンソウも見られます。

Fig.9 コバイモの自生状況 (兵庫県播磨地方 2018.3/26)
開花個体数計測すると1600個体強でしたが、コバイモに日陰を作っていたクリの木が倒れて雑草の勢いが旺盛になったと心配されていました。
群生するコバイモの中には赤紫色の色素を欠いた白花品も混じっていました。

Fig.10 ホソバナコバイモとコバイモの花披 (兵庫県播磨地方 2018.3/24・26)
ホソバナコバイモの花披片は脈が赤紫色を帯びるあっさりとした清楚な感じ。
コバイモの花披片は脈間に赤紫色の斑紋が散りばめられ渋い美しさがあります。

Fig.11 満開のユキワリイチゲ (兵庫県播磨地方 2018.3/24)
播磨地方にもユキワリイチゲの自生地はあちこちにあって群生地も見られ、ぽかぽかの陽気の中で最盛期を向かえていました。
関連ページ 関西の花・ユキワリイチゲ

Fig.12 アマナ (兵庫県播磨地方 2018.3/24)
ホソバナコバイモと同時に、日当たりよい場所ではアマナも開花していました。
関連ページ 関西の花・アマナ

Fig.13 ジロボウエンゴサク (兵庫県播磨地方 2018.3/24)
兵庫県では播磨地方東部を境として、西にはジロボウエンゴサクが多く見られ、東にはキンキエンゴサクが多く見られます。
本種は春植物のなかでも開花期が長く、3月中旬から4月下旬まで見かけます。
関連ページ 関西の花・ジロボウエンゴサク

Fig.14 果実期のセツブンソウ (兵庫県播磨地方 2018.3/24)
ホソバナコバイモ自生地ではセツブンソウ、ユキワリイチゲ、オオマルバコンロンソウが微妙に環境を分けながら生育しています。わずかにセツブンソウが生育している箇所ではホソバナコバイモは見られませんでした。
セツブンソウの多くは3個の袋果をつけていましたが、周辺には幼個体はほとんど見られませんでした。刈り込まれたネザサの中に少数が点在しており、セツブンソウが増殖するにはもう少し裸地環境が必要なように思われます。
関連ページ 関西の花・セツブンソウ

Fig.15 オオマルバコンロンソウ (兵庫県播磨地方 2018.3/26)
ホソバナコバイモ、コバイモ自生地ともにオオマルバコンロンソウが随伴種として見られましたが、新たに2ヶ所の自生地を発見しました。
社寺境内の比較的人臭い場所と、小河川に面した山麓の畑作地跡と見られる場所です。
播磨地方では西部にオオマルバコンロンソウの記録が点在していますが、シカの食害が激しくなる以前には各所に自生していたのではないかと思います。
画像は社寺境内で新たに見つかった50個体強の集団です。
関連ページ 関西の花・オオマルバコンロンソウ

Fig.16 オオマルバコンロンソウの花 (兵庫県播磨地方 2018.3/26)
花はオオバタネツケバナより少し大きく、ニシノオオタネツケバナよりは少し小さいです。
過去に調査の入った地域である山麓の畑作地跡では、オオバタネツケバナ、コンロンソウ、ユリワサビと混生しており、発見が難しかったのだろうと思います。

Fig.17 イヌナズナ (兵庫県播磨地方 2018.3/26)
イヌナズナは兵庫県東部ではかなり稀な草本ですが、播磨地方西部では道端によく見かける雑草です。
特に社寺の駐車場や農地の未舗装の農道脇などで頻繁に見かけます。
関連ページ 関西の花・イヌナズナ

Fig.18 ヒナスミレ (兵庫県播磨地方 2018.3/26)
スミレ類の中ではアオイスミレ、コスミレとともに早期に開花する種で、今年は兵庫県東部では4月中旬には開花が終わっていました。
林床に見られるスミレで、播磨地方での記録は比較的多いですが、兵庫県東部では比較的稀な種です。
ここでは社寺林のスギ林下でオオマルバコンロンソウ、ヒメウズ、セントウソウ、ミタマカタバミなどとともに点在していました。

Fig.19 アオイスミレ (兵庫県丹波地方 2018.3/31)
先のヒナスミレよりも1週間後ですが、丹波地方はヒナスミレのあった地域よりも標高が高く、アオイスミレは開花全盛で観察適期でした。
草体には毛が多く、花弁の縁は波打ち、側弁が前側にせり出すのが特徴です。
関連ページ 関西の花・アオイスミレ

Fig.20 ヒロハノアマナ (兵庫県丹波地方 2018.3/31)
この日はヒロハノアマナの個体数調査が主な目的で、ここでは狭い草地斜面に500個体強の開花個体が生育していました。兵庫県内では丹波地方の2ヶ所で見られ、もう1ヶ所では未開花個体を含めて20個体がかろうじて残存しています。人為的な系統保存が必要な段階だと考えられ、種子を採取して信頼できる機関に維持して頂く予定です。
関連ページ 関西の花・ヒロハノアマナ

Fig.21 ヒロハノアマナを訪花した双翅目昆虫 (兵庫県丹波地方 2018.3/31)
個体数計測中に訪花昆虫がいたので、同行したNさんに訪花昆虫を撮影して頂きました。
蝶のような目立つ昆虫類の少ない早春の時期は、双翅目やハチ目(膜翅目)の仲間が主な送粉者になっているように思います。

Fig.22 カタクリ (兵庫県篠山市 2018.3/31)
篠山市でわずかに残るカタクリの様子を見に行くと、早くも開花している個体を見ることができました。丹波地方では丹波市の保護されている集団が規模も大きくよく知られていますが、篠山市では開花が10個体以下の集団がわずかに残る程度です。
篠山市での採集記録はここ80年ほどなく、ここが篠山市でのカタクリの最後の自生地でしょう。
時折盗掘された跡も見られ、自生地に近づくにも周囲に人がいないか神経を使います。
この場所のカタクリの種子も採取して、人為的に系統保存する必要があります。
関連ページ 関西の花・カタクリ

Fig.23 とある丹波市の春植物保護地 (兵庫県丹波市 2018.3/31)
画像の場所は知人であり同じ草刈隊有志であるNさんがほぼ独力で伐採、草刈り管理されているヒメニラ、レンプクソウ、アズマイチゲの自生地です。
数年前訪れた時はネザサが茂り、ダニに取り付かれながらヤブ漕ぎしてたどりついた場所でしたが、周辺の藪は刈り払われ、落葉広葉樹の大木が選択的に残して低木は伐木され、
地表に陽光がかなり当たるように手入れされていました。手入れされた範囲はシカの被害が及ばないように電柵が張られています。
Nさん自身は趣味と仰っていますが、そこに払われた労力は並大抵のものではありません。
そこには危機的状況を見逃せずに行動を起こしても、自ら趣味とか変人とかしか言わざるをえないような社会的な貢献度の許容範囲の狭さを感じます。
このような状況を民間レベルで打開する方策が、クラウドファインディングなどの資金調達で切り開くことができないか思案しているところです。

Fig.24 ヒメニラ (兵庫県丹波市 2018.3/31)
ヒメニラの兵庫県での自生地は限られ、丹波地方ではここで見られるのみです。
例年では4月半ば頃に開花しますが、連日の陽気で早くも開花しているのが見られました。
葉はアマナに似ていますが粉白は帯びずに黄緑色、踏みつけるとニラ様の臭いがします。
この場所の集団は雌性集団で、花には雄蕊は見られません。
関連ページ 関西の花・ヒメニラ

Fig.25 レンプクソウ (兵庫県丹波市 2018.3/31)
レンプクソウも通常なら4月に入ってから開花がみられますが、今年は1~2週間早目に開花していました。兵庫県内では稀な種で、丹波地方ではここだけで見られ、他に播磨西部で数ヶ所自生地があります。
恐らくは兵庫県内ではジロボウエンゴサクのように分布の優勢な地域は播磨西部であり、丹波地方ではここで局所的に残存しているのだと思います。
関連ページ 関西の花・レンプクソウ

Fig.26 キンキエンゴサク (兵庫県丹波市 2018.3/31)
丹波地方ではキンキエンゴサクはニリンソウやイチリンソウの開花が本格化する4月に入ってから開花するのですが、Nさんの保全区では日照時間の長い斜面で多くの個体が新鮮な花を開いていました。
変種関係にある酷似するヒメエンゴサクとの区別は難しいのですが、これまで見たところヒメエンゴサクは県内では未見です。
関連ページ 関西の花・ヤマエンゴサク(広義)

Fig.27 キバナノアマナ (兵庫県丹波市 2018.3/31)
Nさんの保全区ではキバナノアマナの充実した個体も見頃に開花していました。
丹波地方ではキバナノアマナはあまり群生することなく、古くからの草地的な環境が残されている場所にぽつぽつと点在しているという印象です。
アマナやヒロハノアマナのように狭い範囲に群生することは少なく、分球によって殖えるのではなく、種子によって広範囲に薄く広がる生存戦略を取っている可能性があります。
関連ページ 関西の花・キバナノアマナ

Fig.28 キクザキイチゲ (兵庫県丹波市 2018.3/31)
3月後半ならばキクザキイチゲの開花最盛期なのですが、自生地に着いたのが夕暮れ近くで陽は差しておらず、すでに花はすぼみかけていました。
キクザキイチゲは兵庫県内では兵庫県南部を除いた広い地域に自生地が点在しており、かつ青花品でないとなれば他の花についでの観察とならざるをえんません。
関連ページ 関西の花・キクザキイチゲ
今回は春先のコバイモ類とヒロハノアマナなどの3月の個体数調査の際に見た春植物を中心にまとめました。4月に入るとスミレのシーズンに突入します。
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Fig.1 セツブンソウ (兵庫県丹波市 2018.3/12)
春一番に咲くのはやはりセツブンソウ。
草刈り管理される果樹園の林床に群生して、毎年楽しませてくれます。
関連ページ 関西の花・セツブンソウ

Fig.2 素心花のセツブンソウ (兵庫県篠山市 2018.3/12)
赤紫色の色素を欠いた個体で、篠山市の集団でふつうのセツブンソウに混じって見られます。
関連ページ 関西の花・セツブンソウ

Fig.3 春植物の自生地 (兵庫県丹波市 2018.3/12)
クリの木の植えられた草刈りされる緩やかな斜面に、様々な春植物が自生しています。
ここではアズマイチゲの集団をメインにして、セツブンソウ、キクザキイチゲ、イチリンソウ、ニリンソウ、アマナなどが生育しています。
アズマイチゲの開花期ですが午前中の観察だったため、まだ花は全開していませんでした。

Fig.4 開花したアズマイチゲ (兵庫県篠山市 2018.3/12)
午後になって篠山市の自生地に行くと、日当たり良い場所のものは花が平開していました。
関連ページ 関西の花・アズマイチゲ

Fig.5 ユキワリイチゲ (兵庫県篠山市 2018.3/12)
社寺裏手の草刈りされた日当たり良い斜面ではユキワリイチゲも開花しはじめていました。。
関連ページ 関西の花・ユキワリイチゲ

Fig.6 バイカオウレン (兵庫県篠山市 2018.3/12)
里山周辺では近縁のセリバオウレンは開花終盤でしたが、奥山ではバイカオウレンが開花全盛期を向かえていました。
関連ページ 関西の花・バイカオウレン

Fig.7 ホソバナコバイモ (兵庫県播磨地方 2018.3/24)
兵庫県にはホソバナコバイモとコバイモ(ミノコバイモ)が自生していますが、自生地は極限されています。こちらはホソバナコバイモのほうで、花披片の幅が狭く、葉幅が広いのが特徴。
ここは放棄クリ園ですが保護管理されているようで、開花個体周辺で目印が付けられており、100個体弱が開花していました。

Fig.8 コバイモ (兵庫県播磨地方 2018.3/26)
別名ミノコバイモ。花披片の幅は広く、葉はホソバナコバイモより細身です。
こちらは現役のクリ園で持ち主の方が保護管理されておられ、ヒメニラやオオマルバコンロンソウも見られます。

Fig.9 コバイモの自生状況 (兵庫県播磨地方 2018.3/26)
開花個体数計測すると1600個体強でしたが、コバイモに日陰を作っていたクリの木が倒れて雑草の勢いが旺盛になったと心配されていました。
群生するコバイモの中には赤紫色の色素を欠いた白花品も混じっていました。

Fig.10 ホソバナコバイモとコバイモの花披 (兵庫県播磨地方 2018.3/24・26)
ホソバナコバイモの花披片は脈が赤紫色を帯びるあっさりとした清楚な感じ。
コバイモの花披片は脈間に赤紫色の斑紋が散りばめられ渋い美しさがあります。

Fig.11 満開のユキワリイチゲ (兵庫県播磨地方 2018.3/24)
播磨地方にもユキワリイチゲの自生地はあちこちにあって群生地も見られ、ぽかぽかの陽気の中で最盛期を向かえていました。
関連ページ 関西の花・ユキワリイチゲ

Fig.12 アマナ (兵庫県播磨地方 2018.3/24)
ホソバナコバイモと同時に、日当たりよい場所ではアマナも開花していました。
関連ページ 関西の花・アマナ

Fig.13 ジロボウエンゴサク (兵庫県播磨地方 2018.3/24)
兵庫県では播磨地方東部を境として、西にはジロボウエンゴサクが多く見られ、東にはキンキエンゴサクが多く見られます。
本種は春植物のなかでも開花期が長く、3月中旬から4月下旬まで見かけます。
関連ページ 関西の花・ジロボウエンゴサク

Fig.14 果実期のセツブンソウ (兵庫県播磨地方 2018.3/24)
ホソバナコバイモ自生地ではセツブンソウ、ユキワリイチゲ、オオマルバコンロンソウが微妙に環境を分けながら生育しています。わずかにセツブンソウが生育している箇所ではホソバナコバイモは見られませんでした。
セツブンソウの多くは3個の袋果をつけていましたが、周辺には幼個体はほとんど見られませんでした。刈り込まれたネザサの中に少数が点在しており、セツブンソウが増殖するにはもう少し裸地環境が必要なように思われます。
関連ページ 関西の花・セツブンソウ

Fig.15 オオマルバコンロンソウ (兵庫県播磨地方 2018.3/26)
ホソバナコバイモ、コバイモ自生地ともにオオマルバコンロンソウが随伴種として見られましたが、新たに2ヶ所の自生地を発見しました。
社寺境内の比較的人臭い場所と、小河川に面した山麓の畑作地跡と見られる場所です。
播磨地方では西部にオオマルバコンロンソウの記録が点在していますが、シカの食害が激しくなる以前には各所に自生していたのではないかと思います。
画像は社寺境内で新たに見つかった50個体強の集団です。
関連ページ 関西の花・オオマルバコンロンソウ

Fig.16 オオマルバコンロンソウの花 (兵庫県播磨地方 2018.3/26)
花はオオバタネツケバナより少し大きく、ニシノオオタネツケバナよりは少し小さいです。
過去に調査の入った地域である山麓の畑作地跡では、オオバタネツケバナ、コンロンソウ、ユリワサビと混生しており、発見が難しかったのだろうと思います。

Fig.17 イヌナズナ (兵庫県播磨地方 2018.3/26)
イヌナズナは兵庫県東部ではかなり稀な草本ですが、播磨地方西部では道端によく見かける雑草です。
特に社寺の駐車場や農地の未舗装の農道脇などで頻繁に見かけます。
関連ページ 関西の花・イヌナズナ

Fig.18 ヒナスミレ (兵庫県播磨地方 2018.3/26)
スミレ類の中ではアオイスミレ、コスミレとともに早期に開花する種で、今年は兵庫県東部では4月中旬には開花が終わっていました。
林床に見られるスミレで、播磨地方での記録は比較的多いですが、兵庫県東部では比較的稀な種です。
ここでは社寺林のスギ林下でオオマルバコンロンソウ、ヒメウズ、セントウソウ、ミタマカタバミなどとともに点在していました。

Fig.19 アオイスミレ (兵庫県丹波地方 2018.3/31)
先のヒナスミレよりも1週間後ですが、丹波地方はヒナスミレのあった地域よりも標高が高く、アオイスミレは開花全盛で観察適期でした。
草体には毛が多く、花弁の縁は波打ち、側弁が前側にせり出すのが特徴です。
関連ページ 関西の花・アオイスミレ

Fig.20 ヒロハノアマナ (兵庫県丹波地方 2018.3/31)
この日はヒロハノアマナの個体数調査が主な目的で、ここでは狭い草地斜面に500個体強の開花個体が生育していました。兵庫県内では丹波地方の2ヶ所で見られ、もう1ヶ所では未開花個体を含めて20個体がかろうじて残存しています。人為的な系統保存が必要な段階だと考えられ、種子を採取して信頼できる機関に維持して頂く予定です。
関連ページ 関西の花・ヒロハノアマナ

Fig.21 ヒロハノアマナを訪花した双翅目昆虫 (兵庫県丹波地方 2018.3/31)
個体数計測中に訪花昆虫がいたので、同行したNさんに訪花昆虫を撮影して頂きました。
蝶のような目立つ昆虫類の少ない早春の時期は、双翅目やハチ目(膜翅目)の仲間が主な送粉者になっているように思います。

Fig.22 カタクリ (兵庫県篠山市 2018.3/31)
篠山市でわずかに残るカタクリの様子を見に行くと、早くも開花している個体を見ることができました。丹波地方では丹波市の保護されている集団が規模も大きくよく知られていますが、篠山市では開花が10個体以下の集団がわずかに残る程度です。
篠山市での採集記録はここ80年ほどなく、ここが篠山市でのカタクリの最後の自生地でしょう。
時折盗掘された跡も見られ、自生地に近づくにも周囲に人がいないか神経を使います。
この場所のカタクリの種子も採取して、人為的に系統保存する必要があります。
関連ページ 関西の花・カタクリ

Fig.23 とある丹波市の春植物保護地 (兵庫県丹波市 2018.3/31)
画像の場所は知人であり同じ草刈隊有志であるNさんがほぼ独力で伐採、草刈り管理されているヒメニラ、レンプクソウ、アズマイチゲの自生地です。
数年前訪れた時はネザサが茂り、ダニに取り付かれながらヤブ漕ぎしてたどりついた場所でしたが、周辺の藪は刈り払われ、落葉広葉樹の大木が選択的に残して低木は伐木され、
地表に陽光がかなり当たるように手入れされていました。手入れされた範囲はシカの被害が及ばないように電柵が張られています。
Nさん自身は趣味と仰っていますが、そこに払われた労力は並大抵のものではありません。
そこには危機的状況を見逃せずに行動を起こしても、自ら趣味とか変人とかしか言わざるをえないような社会的な貢献度の許容範囲の狭さを感じます。
このような状況を民間レベルで打開する方策が、クラウドファインディングなどの資金調達で切り開くことができないか思案しているところです。

Fig.24 ヒメニラ (兵庫県丹波市 2018.3/31)
ヒメニラの兵庫県での自生地は限られ、丹波地方ではここで見られるのみです。
例年では4月半ば頃に開花しますが、連日の陽気で早くも開花しているのが見られました。
葉はアマナに似ていますが粉白は帯びずに黄緑色、踏みつけるとニラ様の臭いがします。
この場所の集団は雌性集団で、花には雄蕊は見られません。
関連ページ 関西の花・ヒメニラ

Fig.25 レンプクソウ (兵庫県丹波市 2018.3/31)
レンプクソウも通常なら4月に入ってから開花がみられますが、今年は1~2週間早目に開花していました。兵庫県内では稀な種で、丹波地方ではここだけで見られ、他に播磨西部で数ヶ所自生地があります。
恐らくは兵庫県内ではジロボウエンゴサクのように分布の優勢な地域は播磨西部であり、丹波地方ではここで局所的に残存しているのだと思います。
関連ページ 関西の花・レンプクソウ

Fig.26 キンキエンゴサク (兵庫県丹波市 2018.3/31)
丹波地方ではキンキエンゴサクはニリンソウやイチリンソウの開花が本格化する4月に入ってから開花するのですが、Nさんの保全区では日照時間の長い斜面で多くの個体が新鮮な花を開いていました。
変種関係にある酷似するヒメエンゴサクとの区別は難しいのですが、これまで見たところヒメエンゴサクは県内では未見です。
関連ページ 関西の花・ヤマエンゴサク(広義)

Fig.27 キバナノアマナ (兵庫県丹波市 2018.3/31)
Nさんの保全区ではキバナノアマナの充実した個体も見頃に開花していました。
丹波地方ではキバナノアマナはあまり群生することなく、古くからの草地的な環境が残されている場所にぽつぽつと点在しているという印象です。
アマナやヒロハノアマナのように狭い範囲に群生することは少なく、分球によって殖えるのではなく、種子によって広範囲に薄く広がる生存戦略を取っている可能性があります。
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Fig.28 キクザキイチゲ (兵庫県丹波市 2018.3/31)
3月後半ならばキクザキイチゲの開花最盛期なのですが、自生地に着いたのが夕暮れ近くで陽は差しておらず、すでに花はすぼみかけていました。
キクザキイチゲは兵庫県内では兵庫県南部を除いた広い地域に自生地が点在しており、かつ青花品でないとなれば他の花についでの観察とならざるをえんません。
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# [2023/03/11 13:34] edit
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# [2023/03/29 18:14] edit
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