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Satoyama, Plants & Nature

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シダ学びの旅 - 南紀へ - 

 シダ類の勉強のため、和歌山県の熊野地方に行って来ました。車中2泊の予定でしたが、初日は家の野暮用で半日がつぶれ、前夜発+車中1泊とほぼ同様な日程になりました。主要な目的はシチトウハナワラビ(ナンキハナワラビ)を見ることと、シロヤマシダを認識することでしたが、まだまだ混乱が多く目的を達成できたとは言えません。
しかし、兵庫県では見ることのできないシダ類も数多く観察でき、非常に意義深い旅となりました。シダ類以外でも面白いものが沢山あるので、これから年に数度は熊野行脚が続きそうです。
いろいろと見るには現地の方にご案内頂くのがよいのですが、現地の感覚を掴むためにわずかな予備知識を収集したのみで、敢えて飛び込みで探索してきました。生育環境ごと自生地と種を捉えるのは、この方法が一番です。
*画像クリックで、別ウィンドで表示されます。
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大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。


果実をつけたフウトウカズラ
Fig.1 フウトウカズラ (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
暖地系の藤本植物で、コショウに近縁の種。
谷の入口の林道脇の岩場につるを伸ばしたものが結実していました。
このあたりではどこにでも見られますが、兵庫県では淡路島で見られるのみです。

マツザカシダとオオバノイノモトソウ
Fig.2 マツザカシダとオオバノイノモトソウ (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
林道の路傍にマツザカシダ(左)とオオバノイノモトソウ(右)が教科書的に並んで生えていました。
マツザカシダは側羽片が1~2対(稀に3対)で、葉身は濃緑色で葉縁が強く波打ち、明るい色のオオバノイノモトソウと区別できます。
マツザカシダもフウトウカズラと同様に兵庫県では淡路島で見られるのみです。

植林地の林床に繁茂するイズセンリョウ
Fig.3 植林地の林床に繁茂するイズセンリョウ (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
イズセンリョウはシカの忌避植物であり、近畿地方南部では近年林床で大きな群落を形成しつつあります。近畿中部以北の山間の林床ではイズセンリョウに変わってチャノキや植栽されたミツマタがシカ忌避植生として群落を形成しています。
南紀ではイズセンリョウ周辺では兵庫県と同様なマツカゼソウやオオバノイノモトソウ、葉質の硬いスゲ属草本が見られました。

ミヤマトベラ
Fig.4 ミヤマトベラ (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
近畿地方では稀少種であるミヤマトベラも、シカの忌避植物であるため果実をつけたまま遊歩道脇で残っていました。クリンソウと同じような位置にありますが、本来的に自生地の少ない種なので見かける機会はあまりありません。

岩場のシダ類
Fig.5 岩場のシダ類 (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
湿った崖がコウヤコケシノブに覆われ、画像に見えるヌリトラノオやシシランのほか、キジノオシダ、オオキジノオ、タニイヌワラビ、クルマシダ、ミヤマノコギリシダ、ナガバノイタチシダ、イノデモドキなどが生育していました。

イヌチャセンシダ
Fig.6 イヌチャセンシダ (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
谷沿いの林道をクルマで走っていると、林道脇の岩が緑に染まっていたので降りてみると、イヌチャセンシダに覆われていました。
イヌチャセンシダの葉は岩に沿って広がり、チャセンシダのように岩場から葉が立ち上がりません。
関連ページ 関西の花/シダ・イヌチャセンシダ

クルマシダ
Fig.7 クルマシダ (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
兵庫県では自生地が極限される種ですが、和歌山県ではシカの食害を受けにくい場所で沢山見られました。薄暗い照葉樹林下の急な沢沿いでは群生している場所にも度々出くわしました。
関連ページ 関西の花/シダ・クルマシダ

ナガバノイタチシダ
Fig.8 ナガバノイタチシダ (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
本種もシカの食害に遭いやすいようで、多くは急斜面で見られ、大きな個体はシカに食べられにくい岩場に見られました。
関連ページ 関西の花/シダ・ナガバノイタチシダ

ノコギリシダ
Fig.9 ノコギリシダ (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
倒木の多い植林地の林床で散在していました。
葉が硬いためか、キジノオシダやオオバノイノモトソウとともに食害をあまり受けずに生育していました。

シチトウハナワラビ(ナンキハナワラビ)
Fig.10 シチトウハナワラビ(ナンキハナワラビ) (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
何ヵ所か廻った社寺林では見ることができず、山腹の雑木林で1個体のみ見ることができました。
野生動物による撹乱を受けて胞子葉の柄から上が枯死しており、栄養葉は脇に生えているコバノカナワラビに邪魔されて暴れていました。
葉面に光沢があり、裂片の切れ込みは浅く、裂片の幅は狭いのが目立った特徴です。
ここのものは大阪府で見たナンキハナワラビとされているものよりも裂片の幅が若干広かったです。

シチトウハナワラビ(ナンキハナワラビ)の標本
Fig.11 シチトウハナワラビ(ナンキハナワラビ)の標本 (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
標本にすると葉面の光沢は失われて解らなくなりますが、裂片の幅や鋸歯の切れ込み具合がオオハナワラビと異なることが解ります。

オオハナワラビ変異個体
Fig.12 オオハナワラビ変異個体 (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
栄養葉はオオハナワラビとモトマチハナワラビの中間的な形状で、裂片の幅は狭く、葉身は赤紫色気味に色付いています。葉面にはそれなりに光沢があって、鋸歯もモトマチ的の特徴が見られますが、黄褐色の色素が全く表出していません。典型的なモトマチハナワラビではないものは、とりあえずはオオハナワラビとしておくべきでしょう。
関連ページ 関西の花/シダ・オオハナワラビ   関西の花/シダ・モトマチハナワラビ

ハイホラゴケ
Fig.13 ハイホラゴケ (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
兵庫県内ではハイホラゴケとヒメハイホラゴケが浸透交雑を繰り返したようなコハイホラゴケあるいはホクリクホラゴケのようなものばかりに出会いますが、ここでは典型的といえるハイホラゴケを見ることができ、様々な着生シダ類とともに渓流沿いの岩上に群生していました。

ハイホラゴケの全草標本
Fig.14 ハイホラゴケの全草標本 (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
羽片の裂片は立体的に広がることはなく、羽片は平面的で互いに重なりあう部分はほとんどありません。

ハイホラゴケのソーラス
Fig.15 ハイホラゴケのソーラス (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
ソーラスはラッパ状ですが、口部は浅い2弁状となり、胞子嚢床は糸状に長く伸びています。

オオコケシノブ全草標本
Fig.16 オオコケシノブ全草標本 (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
本種は兵庫県では一部の場所でしか見られずRDB Aランク種となっていますが、南紀では濡れた岩場でよく見かけました。兵庫県のものは葉身も小さく、ソーラスもほとんど見られませんが、こちらではソーラスを多数つけた立派なものが多く見られました。

オオコケシノブのソーラスと胞子嚢床
Fig.17 オオコケシノブのソーラスと胞子嚢床 (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
ソーラスは2弁状で、胞子嚢床は塊状となります。

ヤクシマホウビシダ
Fig.18 ヤクシマホウビシダ (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
最初はツルホラゴケかと思いましたが、ソーラスが全く異なりサンプルを持ち帰って調べたところヤクシマホウビシダと解りました。
オオコケシノブやホソバコケシノブ、コウヤコケシノブとともに、水のしたたる岩上に群生していました。

ヤクシマホウビシダのソーラス
Fig.19 ヤクシマホウビシダのソーラス (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
ヤクシマホウビシダの葉身は2層の細胞からなるため、透明感があり透けています。
ソーラスは中肋寄りにつき、羽片の後側のほうにより多くつきます。

イワヤナギシダ
Fig.20 イワヤナギシダ (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
兵庫県では稀なイワヤナギシダも、こちらでは谷筋の岩上のいたるところで見られました。
ただ、ソーラスをつけた葉は思いのほか少なかったです。

イワヤナギシダの葉柄基部とソーラス
Fig.21 イワヤナギシダの葉柄基部とソーラス (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
サジランに酷似しますが、葉柄基部は緑色で、ソーラスはサジランに比べて中肋に対して狭い角度でつきます。

タカノハウラボシ
Fig.22 タカノハウラボシ (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
渓流の苔むした巨岩上でタカノハウラボシが見られました。
画像のような充分に生長したものは間違いようがありませんが、周辺の小型個体もソーラスを形成しており、こちらはヒメタカノハウラボシ、ケイリュウウラボシ、裂片のないミツデウラボシと見紛います。

タカノハウラボシの根茎と鱗片
Fig.23 タカノハウラボシの根茎と鱗片 (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
1目盛=0.5mm。根茎は径約3mm、鱗片は褐色~淡褐色で長さ5~6mmで線形~線状披針形、全縁。
ヒメタカノハウラボシでは根茎の径1.5~2mmで、鱗片の長さ2~2.5mm。ミツデウラボシでは根茎の径2~4mm、鱗片の長さ3~4mm。
また、ミツデウラボシやケイリュウウラボシには胞子表面に突起がありますが、タカノハウラボシやヒメタカノハウラボシの胞子表面は平滑となります。

タカサゴキジノオ
Fig.24 タカサゴキジノオ (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
キジノオシダとヤマソテツの中間的な印象を与える常緑性のシダ。
頂羽片はありませんが、ヤマソテツよりも葉質は厚く、生育環境が重なることはないので区別は容易です。さすがにこの時期には胞子葉は見られませんでした。

アミシダ
Fig.25 アミシダ (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
ヒメシダ科の中でも独特の形態を持ち、一度見れば忘れることはないシダです。
岩壁の湿度の高い下部にそれなりの数が散在していました。

アミシダの胞子葉裏面
Fig.26 アミシダの胞子葉裏面 (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
ソーラスは遊離脈のない網状脈に沿ってつきます。

ホングウシダ
Fig.27 ホングウシダ (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
渓流沿いの岩壁の下部に群生していました。
同じ岩場にはヌリトラノオやシモツケヌリトラノオも見られなかなか紛らわしいですが、生育環境ははっきりと異なっていて、かなり水際近くまで生育していました。

ホングウシダのソーラス
Fig.28 ホングウシダのソーラス (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
渓流畔にはより小型のサイゴクホングウシダも出現しますが、ソーラスが羽片の切れ込みで寸断されることにより、ホングウシダと同定できます。

ホングウシダの群落
Fig.29 ホングウシダの群落 (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
渓流沿いの岩壁下部の向陽~半日陰部分に優占していました。
ホングウシダの群落のすぐ上にはヌカイタチシダモドキ、ヌカイタチシダ、キジノオシダが混生しており、その陰にヌリトラノオや小型のエダウチホングウシダが生育していました。
岩壁上部の比較的乾いた場所ではシモツケヌリトラノオが見られ、途中の日陰でやや空中湿度の高い部分にはアミシダやキミズらしきもの(キミズモドキ?)が見られました。

ヒノキシダ
Fig.30 ヒノキシダ (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
空中湿度の高い巨岩が累積する渓流沿いにヒノキシダの群落が発達していました。
付近にはイワヤナギシダも群生していますが、イワヤナギシダよりも渓流に近い岩上を覆って純群落を形成しています。兵庫県では見ることの出来ない美しいシダで、しばし見とれてしまいました。

ヒノキシダ群落
Fig.31 ヒノキシダ群落 (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
ヒノキシダは中軸の先端が長く伸びて、先にクローンを形成して栄養繁殖するため、このような純群落をつくるようです。

ミズスギ
Fig.32 ミズスギ (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
林道を上がると谷から離れて尾根を縫うように敷設されていましたが、乾いたように見える林道脇に胞子嚢穂をつけたミズスギが多数見られました。
兵庫県で見るものとは生育環境が異なっていますが、雨が多いためにこのような場所でも生育できるのでしょう。南紀滞在中には夜間から早朝にかっけては必ず降雨がありました。
関連ページ 湿生植物・ミズスギ

ヒュウガシダ
Fig.33 ヒュウガシダ (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
シカの食害は顕著で、奥山に行くほど地表の植生は単調となり、シロヤマシダ様のシダ類は全く見られませんでしたが、山麓の国道沿いの林下にそれらしいものがポツポツと見られました。
シロヤマシダよりも最下羽片の柄が長く見えるこの個体は、コウモウクジャクとシロヤマシダの中間的な形質を持つヒュウガシダのようです。

採集した葉身 ヒュウガシダ
Fig.34 採集した葉身 (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
画像と同じ場所で採集した葉。葉身は長3角状卵形、最下羽片の柄は長い。

採集品の葉柄基部鱗片とソーラス
Fig.35 採集品の葉柄基部鱗片とソーラス (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
恐らくソーラスでは近似種とは区別できないのでしょう。
葉柄基部の鱗片はコウモウクジャクほど残存していませんでした。
近似種との区別は1度訪れたくらいでは習得できず、何度も通う必要があると実感します。

開花したオニシバリ
Fig.36 開花したオニシバリ (和歌山県紀南地方 2018.2/2)
周辺の林床ではシカの忌避植物であるオニシバリが開花中でした。
花は黄緑色のもののほか、画像のような緑色が強く花披が紫色を帯びているものも見られました。

セリバオウレン
Fig.37 セリバオウレン (和歌山県紀南地方 2018.2/3)
翌日に向かった山域の麓ではセリバオウレンがちらほらと開花し始めていました。
兵庫県よりも開花が2~3週間程早いようです。
関連ページ 関西の花・セリバオウレン

アツミカンアオイ
Fig.38 アツミカンアオイ (和歌山県紀南地方 2018.2/3)
道中には林縁や樹冠の切れた場所でアツミカンアオイが点々と見られました。
葉身は厚い革質で光沢があり、脈が窪むのが特徴で、分布域は三重・奈良・和歌山の紀伊半島南部に偏在しています。
近畿地方の日本海側に見られるものもアツミカンアオイとされていますが、これほどの厚味と光沢はなく、サンインカンアオイと仮称されるようにおそらくは別種でしょうが、まだ正式に記載されていません。

アツミカンアオイの花
Fig.39 アツミカンアオイの花 (和歌山県紀南地方 2018.2/3)
花の色は変異に富み、紫褐色のもから淡黄色~汚緑色のものまで見られ、葉を掻き分けて花色を確かめるのは楽しいものです。

ナチクジャク
Fig.40 ナチクジャク (和歌山県紀南地方 2018.2/3)
訪れた山域ではマルバベニシダが多い場所でしたが、ナチクジャクとマルバベニシダとの中間的なイヌナチクジャクも見られました。
ナチクジャクはマルバベニシダやイヌナチクジャクよりも小型の個体ばかりでした。
関連ページ 関西の花/シダ・ナチクジャク

ヌカイタチシダ
Fig.41 ヌカイタチシダ (和歌山県紀南地方 2018.2/3)
兵庫県では非常に稀なシダですが、南紀では前日の岩場でも見かけ、比較的よく見られるシダのようです。ここではウラジロやコシダに被圧されない、遊歩道脇の地表に生えており、周辺の湿った岩上にも点々と生育していました。

ヌカイタチシダのソーラス
Fig.42 ヌカイタチシダのソーラス (和歌山県紀南地方 2018.2/3)
ソーラスは最下羽片の中軸寄りから羽片の先や葉先に向かって同心円状に広がってつき、小さく、包膜がありません。

ヌカイタチシダモドキ
Fig.43 ヌカイタチシダモドキ (和歌山県紀南地方 2018.2/3)
ヌカイタチシダモドキも南紀では比較的見られるもののようで、2日連続で見ることができました。
ヌカイタチシダよりもヌカイタチシダマガイに酷似していると感じます。
ヌカイタチシダマガイとの区別点として葉面の光沢の有無があげられますが、実際にはかなり微妙なもので、最初はヌカイタチシダマガイと思っていましたが、帰宅後に標本の鱗片を確認してヌカイタチシダモドキだと解りました。
Mさんによると、南紀ではヌカイタチシダマガイは稀なもののようです。

ヌカイタチシダモドキの下方の羽片と葉柄基部鱗片
Fig.44 ヌカイタチシダモドキの下方の羽片と葉柄基部鱗片 (和歌山県紀南地方 2018.2/3)
羽軸は中軸とほぼ直交し、羽片は無柄、先に向かって鎌状に曲がり、先端は急尾状に細まります。小羽片も羽片の中軸にほぼ直交してつきます。
鱗片は暗褐色~黒色、線形~線状披針形でヌカイタチシダマガイよりも幅が狭く、鱗片基部は軸に圧着しません。
兵庫県ではヌカイタチシダマガイ、アツギノヌカイタチシダマガが丹波層群の分布域を中心とした内陸部に点々と見られますが、両種は南紀では稀なものとなっており、このような分布の濃淡の原因がどこにあるのか、非常に興味深いところです。

エダウチホングウシダ
Fig.45 エダウチホングウシダ (和歌山県紀南地方 2018.2/3)
エダウチホングウシダも2日連続で観察できましたが、ここでは下方の羽片が羽状になった充実した個体が林縁のウラジロやコシダの葉陰で沢山見られました。

エダウチホングウシダの若い個体
Fig.45 エダウチホングウシダの若い個体 (和歌山県紀南地方 2018.2/3)
若い小型の個体では最下羽片は羽状にならず、丸みを帯びた横長の羽片となります。
このような小型個体でも葉縁裏面にはソーラスが形成されています。

コウモウクジャク
Fig.46 コウモウクジャク (和歌山県紀南地方 2018.2/3)
細流脇の倒木が折れ重なった場所に、倒木にしなだれるように大きな葉身を持たれ掛けながら生育しているシダがありました。
最下羽片の柄は長くタンゴワラビのようにも見えますが、タンゴワラビよりも葉質は柔らかく、葉柄基部には多くの鱗片が残っています。鱗片や脈の状態からコウモウクジャクではないかと見ましたが、自信はありません。

コウモウクジャクの鱗片、最下羽片、ソーラス
Fig.47 コウモウクジャクの鱗片、最下羽片、ソーラス (和歌山県紀南地方 2018.2/3)
タンゴワラビやシロヤマシダには見られないような黒味を帯びた鱗片が葉柄に残っており、辺縁には突起が見られました。
最下羽片には長い柄があり、小羽片はタンゴワラビよりもスマートで明瞭な短柄があります。
ソーラスは小さく中間生で、側脈はほとんど分岐していません。

ナチシダ
Fig.48 ナチシダ (和歌山県紀南地方 2018.2/3)
ナチシダはシカの忌避植物で近畿地方では増えつつあるシダで、兵庫県ではRDB種にランクされていますが、これまで見られなかった場所でも見つかっている種です。
南紀でもいたるところで見られましたが、夏緑性シダなので奥山では枯れた残骸が目立ちました。温暖な海岸寄りの社寺林ではまだ冬枯れしていない個体も見られました。
芽立ちのフィドルヘッドは兵庫県で殖えつつあるオニヒカゲワラビと同様に山菜として利用できるので、南紀では積極的に利用してもよいもののように思います。
関連ページ 関西の花/シダ・ナチシダ

リュウビンタイ
Fig.49 リュウビンタイ (和歌山県紀南地方 2018.2/3)
兵庫県では見られない大型の常緑シダで、奥山よりも海岸に近い常緑樹林下や社寺林の数ヶ所で見かけました。画像のものは社寺の裏山の日陰の多湿地で、大小30個体前後が部分的に群生していたものです。
このような大型のシダが群生している様子は地元では見られない光景で、細部を観察する前にしばし圧倒されてしまいます。

オオタニワタリとタマシダ
Fig.50 オオタニワタリとタマシダ (和歌山県紀南地方 2018.2/3)
社寺林を仕切る石垣にオオタニワタリとタマシダが群生していました。
境内の一画にはオオタニワタリが植栽されていると見られる場所があり、このオオタニワタリはそこから胞子が飛んで逸出して育ったものとも考えられます。
旺盛に繁殖しているタマシダは海岸沿いの石垣や斜面に繁茂しているのが見られ、自然分布と考えられるものです。

カゴノキに着生したオオタニワタリ
Fig.51 カゴノキに着生したオオタニワタリ (和歌山県紀南地方 2018.2/3)
境内の大木にはオオタニワタリの幼株が着生しているものが多く見られ、特にカゴノキには比較的大きな個体が着生していました。

マツバラン
Fig.52 マツバラン (和歌山県紀南地方 2018.2/3)
兵庫県では稀ですが、紀伊半島の海岸に面した場所では乾いた岩場や石垣で比較的よく見かけます。
江戸時代から続く園芸植物であるため、自生か栽培による胞子散布拡散の逸出か判断することは難しいものです。
西宮市内にも社寺内に見られますが、自生のものと断定するのは難しいものです。

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