東播磨の湿地・溜池の巡回
2016/10/05 Wed. 01:25 [edit]
定期的に稀少種の自生地の巡回を行っています。9~10月はその最盛期。
個体数の変化や自生環境の変化がないかチェエクし、地元の研究者や愛好家と情報を共有してモニタリングしています。それにしても連日の降雨と台風襲来に予定が狂いまくりです。
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FC2ブログの仕様が変わったのか、リンク先で大きな画像が表示されなくなってしまいました。
大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。

Fig.1 ヒメナエ その1 (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
昨年は湿地内の地下水位が高く自生箇所が水没して確認できませんでしたが、今年は数個体が生育していました。チゴザサやイヌノヒゲ、イヌシカクイに埋もれるように生育し、注意していないと踏み潰してしまうでしょう。
関連ページ 湿生植物・ヒメナエ

Fig.2 キセルアザミ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
湿原内にはキセルアザミが群生する一画があり、開花全盛となっていました。
関連ページ 湿生植物・キセルアザミ

Fig.3 訪花したオオハラナガツチバチ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
秋に訪花が目立つハチで、コガネムシの幼虫に産卵する寄生蜂です。

Fig.4 ホソバリンドウ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
湿地に適応して葉が細くなったリンドウの品種。県南部ではよく見られます。
関連ページ 湿生植物・ホソバリンドウ

Fig.5 アイナエ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
水の染み出す裸地や、粘土質の半裸地によく見られます。
アリノトウグサ、イトハナビテンツキ、センブリなどと生育していることが多いです。
関連ページ 湿生植物・アイナエ

Fig.6 ゴマクサの花 (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
今年はゴマクサの当たり年のようで、自生地では多くの個体が見られます。
関連ページ 湿生植物・ゴマクサ

Fig.7 オミナエシ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
表土の少ない荒地状の草地にヤマハギとともに群生していました。
オミナエシの群生地が多い秋の播磨地方の風物詩です。
関連ページ 湿生植物・オミナエシ

Fig.8 クロタマガヤツリ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
今年は夏場の降雨が少なかったためか、昨年の半数程度の個体数でした。
1年生草本であるため出現は不安定で、全く出現しない年もあります。
関連ページ 湿生植物・クロタマガヤツリ

Fig.9 ツルナシコアゼガヤツリ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
兵庫県では南部に行くほど本種の自生地が多くなります。
コアゼガヤツリは多年草ですが、こちらは1年草です。
関連ページ 湿生植物・ツルナシコアゼガヤツリ

Fig.10 ウキシバ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
水面にたなびくウキシバが花序を出し始めていました。
ウキシバは水面下で節間を長く伸ばし、水面に達すると節間が短くなり、花序を出します。
関連ページ 湿生植物・ウキシバ

Fig.11 ツクシクロイヌノヒゲ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
本種は兵庫県南部に広く見られ、自然度の高い溜池の指標となります。
関連ページ 湿生植物・ツクシクロイヌノヒゲ

Fig.12 ミズトラノオ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
兵庫県では播磨地方のほか、丹波地方にも記録がありますが、丹波地方で見かけたことがありません。
本来は氾濫原植物と考えられ、そのような環境が無くなってしまったからでしょうか。
関連ページ 湿生植物・ミズトラノオ

Fig.13 ヒメナエ その2 (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
Fig.1とは別の場所に自生するもので、ここもせいぜい10個体が生育している程度です。
夏場の降雨が少なかった影響だと思われます。
関連ページ 湿生植物・ヒメナエ

Fig.14 オオタニシ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
播磨地方では淡水貝類が溜池で豊富に見られます。
オオタニシは自然度の高い溜池に生息し、県下全体でもよく見かけます。
いっぽうで近郊の用水路や水田に生育するマルタニシを見かける機会は減りつつあります。

Fig.15 ヌマダイコン (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
県内での記録はそこそこあるようですが、それほど見かける機会がありません。
私は県内ではまだこの1ヶ所でしか見たことがありません。
関連ページ 湿生植物・ヌマダイコン

Fig.16 スズメノコビエ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
ぱっと見はスズメノヒエやアメリカスズメノヒエのように見えますが、生育場所は自然度の高い溜池畔とそこに付随する湿地にのみ生育しています。
兵庫県では東播磨に偏在しており、この地域でのみふつうに見られます。
関連ページ 湿生植物・スズメノコビエ

Fig.17 ヤナギヌカボ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
自生している溜池にソーラーパネルが設置されたので少し心配でしたが確認できました。
同じ池にはサイコクヌカボが沢山生育していますが、本種は1個体見られたのみでした。
花序の花はサイコクヌカボよりも密についてあまりしなだれず、葉は細長くて両縁が平行となる部分があり、葉裏にはふくらんだ明瞭な腺点があります。
関連ページ 湿生植物・ヤナギヌカボ

Fig.18 サイコクヌカボ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
ヤナギヌカボと同じ池に生育しているもので、東播磨では比較的ふつうに見られます。
サイコクヌカボの花序には花はまばらにつき、ややしなだれます。葉裏に腺点が見られることがありますが、葉肉に埋まるような形で不明瞭です。
関連ページ 湿生植物・サイコクヌカボ

Fig.19 ヌカボタデ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
サイコクヌカボに似ていますが、草体や葉はより小型、花序軸は細く、花はよりまばらにつきます。
痩果表面には光沢がありますが縮緬状の細かいしわがありますが、サイコクヌカボでは表面は平滑です。
関連ページ 湿生植物・ヌカボタデ

Fig.20 ミズネコノオ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
例年、ミズネコノオが生育する溜池はこの時期に干上がっているのですが、連日の降雨で満水状態となっていて、ミズネコノオも多くの個体が水没していました。
関連ページ 湿生植物・ミズネコノオ

Fig.21 ミズネコノオの沈水形 (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
水深のある場所のものは細長い葉を多数輪生して沈水形となっています。
沈水状態にあっても最も左のものは花芽ができていました。

Fig.22 カガシラ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
兵庫県内でも数ヶ所しか生育していませんが、ここでは大小無数の個体が生育しています。
画像のものはまだ大きいほうで、小さなものは2cmほどで花序をつけています。
1年草なので年によって増減がありますが、今年は生育領域を他の場所にも広げていました。
関連ページ 湿生植物・カガシラ

Fig.23 ヒナザサ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
本種は環境省準絶滅危惧(NT)とされ、多くの都府県で絶滅危惧種とされていますが、兵庫県では南部~中部にかけての溜池畔や湿地に広く見られます。キキョウ、スズサイコ、イヌタヌキモなども同様な種で、これは兵庫県内には流紋岩質や花崗岩質の基岩が多く、貧栄養な風化土壌が広く分布するためです。基岩が風化した薄い土壌で草地環境が残り、酸性寄りになりがちの湿地や溜池が多数残っているためです。サギスゲ、ミカヅキグサ、ヌマガヤ、ウメバチソウなどが低地の湿地に遺存的に生育しているのも同様な理由によるものです。
関連ページ 湿生植物・ヒナザサ
個体数の変化や自生環境の変化がないかチェエクし、地元の研究者や愛好家と情報を共有してモニタリングしています。それにしても連日の降雨と台風襲来に予定が狂いまくりです。
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FC2ブログの仕様が変わったのか、リンク先で大きな画像が表示されなくなってしまいました。
大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。

Fig.1 ヒメナエ その1 (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
昨年は湿地内の地下水位が高く自生箇所が水没して確認できませんでしたが、今年は数個体が生育していました。チゴザサやイヌノヒゲ、イヌシカクイに埋もれるように生育し、注意していないと踏み潰してしまうでしょう。
関連ページ 湿生植物・ヒメナエ

Fig.2 キセルアザミ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
湿原内にはキセルアザミが群生する一画があり、開花全盛となっていました。
関連ページ 湿生植物・キセルアザミ

Fig.3 訪花したオオハラナガツチバチ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
秋に訪花が目立つハチで、コガネムシの幼虫に産卵する寄生蜂です。

Fig.4 ホソバリンドウ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
湿地に適応して葉が細くなったリンドウの品種。県南部ではよく見られます。
関連ページ 湿生植物・ホソバリンドウ

Fig.5 アイナエ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
水の染み出す裸地や、粘土質の半裸地によく見られます。
アリノトウグサ、イトハナビテンツキ、センブリなどと生育していることが多いです。
関連ページ 湿生植物・アイナエ

Fig.6 ゴマクサの花 (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
今年はゴマクサの当たり年のようで、自生地では多くの個体が見られます。
関連ページ 湿生植物・ゴマクサ

Fig.7 オミナエシ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
表土の少ない荒地状の草地にヤマハギとともに群生していました。
オミナエシの群生地が多い秋の播磨地方の風物詩です。
関連ページ 湿生植物・オミナエシ

Fig.8 クロタマガヤツリ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
今年は夏場の降雨が少なかったためか、昨年の半数程度の個体数でした。
1年生草本であるため出現は不安定で、全く出現しない年もあります。
関連ページ 湿生植物・クロタマガヤツリ

Fig.9 ツルナシコアゼガヤツリ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
兵庫県では南部に行くほど本種の自生地が多くなります。
コアゼガヤツリは多年草ですが、こちらは1年草です。
関連ページ 湿生植物・ツルナシコアゼガヤツリ

Fig.10 ウキシバ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
水面にたなびくウキシバが花序を出し始めていました。
ウキシバは水面下で節間を長く伸ばし、水面に達すると節間が短くなり、花序を出します。
関連ページ 湿生植物・ウキシバ

Fig.11 ツクシクロイヌノヒゲ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
本種は兵庫県南部に広く見られ、自然度の高い溜池の指標となります。
関連ページ 湿生植物・ツクシクロイヌノヒゲ

Fig.12 ミズトラノオ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
兵庫県では播磨地方のほか、丹波地方にも記録がありますが、丹波地方で見かけたことがありません。
本来は氾濫原植物と考えられ、そのような環境が無くなってしまったからでしょうか。
関連ページ 湿生植物・ミズトラノオ

Fig.13 ヒメナエ その2 (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
Fig.1とは別の場所に自生するもので、ここもせいぜい10個体が生育している程度です。
夏場の降雨が少なかった影響だと思われます。
関連ページ 湿生植物・ヒメナエ

Fig.14 オオタニシ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
播磨地方では淡水貝類が溜池で豊富に見られます。
オオタニシは自然度の高い溜池に生息し、県下全体でもよく見かけます。
いっぽうで近郊の用水路や水田に生育するマルタニシを見かける機会は減りつつあります。

Fig.15 ヌマダイコン (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
県内での記録はそこそこあるようですが、それほど見かける機会がありません。
私は県内ではまだこの1ヶ所でしか見たことがありません。
関連ページ 湿生植物・ヌマダイコン

Fig.16 スズメノコビエ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
ぱっと見はスズメノヒエやアメリカスズメノヒエのように見えますが、生育場所は自然度の高い溜池畔とそこに付随する湿地にのみ生育しています。
兵庫県では東播磨に偏在しており、この地域でのみふつうに見られます。
関連ページ 湿生植物・スズメノコビエ

Fig.17 ヤナギヌカボ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
自生している溜池にソーラーパネルが設置されたので少し心配でしたが確認できました。
同じ池にはサイコクヌカボが沢山生育していますが、本種は1個体見られたのみでした。
花序の花はサイコクヌカボよりも密についてあまりしなだれず、葉は細長くて両縁が平行となる部分があり、葉裏にはふくらんだ明瞭な腺点があります。
関連ページ 湿生植物・ヤナギヌカボ

Fig.18 サイコクヌカボ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
ヤナギヌカボと同じ池に生育しているもので、東播磨では比較的ふつうに見られます。
サイコクヌカボの花序には花はまばらにつき、ややしなだれます。葉裏に腺点が見られることがありますが、葉肉に埋まるような形で不明瞭です。
関連ページ 湿生植物・サイコクヌカボ

Fig.19 ヌカボタデ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
サイコクヌカボに似ていますが、草体や葉はより小型、花序軸は細く、花はよりまばらにつきます。
痩果表面には光沢がありますが縮緬状の細かいしわがありますが、サイコクヌカボでは表面は平滑です。
関連ページ 湿生植物・ヌカボタデ

Fig.20 ミズネコノオ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
例年、ミズネコノオが生育する溜池はこの時期に干上がっているのですが、連日の降雨で満水状態となっていて、ミズネコノオも多くの個体が水没していました。
関連ページ 湿生植物・ミズネコノオ

Fig.21 ミズネコノオの沈水形 (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
水深のある場所のものは細長い葉を多数輪生して沈水形となっています。
沈水状態にあっても最も左のものは花芽ができていました。

Fig.22 カガシラ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
兵庫県内でも数ヶ所しか生育していませんが、ここでは大小無数の個体が生育しています。
画像のものはまだ大きいほうで、小さなものは2cmほどで花序をつけています。
1年草なので年によって増減がありますが、今年は生育領域を他の場所にも広げていました。
関連ページ 湿生植物・カガシラ

Fig.23 ヒナザサ (兵庫県東播磨地方 2016.10/2)
本種は環境省準絶滅危惧(NT)とされ、多くの都府県で絶滅危惧種とされていますが、兵庫県では南部~中部にかけての溜池畔や湿地に広く見られます。キキョウ、スズサイコ、イヌタヌキモなども同様な種で、これは兵庫県内には流紋岩質や花崗岩質の基岩が多く、貧栄養な風化土壌が広く分布するためです。基岩が風化した薄い土壌で草地環境が残り、酸性寄りになりがちの湿地や溜池が多数残っているためです。サギスゲ、ミカヅキグサ、ヌマガヤ、ウメバチソウなどが低地の湿地に遺存的に生育しているのも同様な理由によるものです。
関連ページ 湿生植物・ヒナザサ
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category: 湿地・溜池
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