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Satoyama, Plants & Nature

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春から初夏の花 1 

今年は春の花の開花が遅れている傾向があり、兵庫県内でも但馬地方の高所ではまだ雪が残り通行できない林道もあります。そのため、山麓ではすでに初夏の花が開花しているのに、高所ではまだ早春の様相の場所が見られます。平地の花の開花から、高所の花の開花時期を推し量るのは難しくなっています。
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草刈り管理中の棚田
Fig.1 草刈り管理中の棚田 (兵庫県神戸市 2017.4/29)
この日は行政の支援を受けつつ、有志で草刈り管理している耕作放棄棚田の観察会とモニタリング調査でした。ここではヒロハハナヤスリを始めとした稀少な種が多数生育しています。

ヒロハハナヤスリ
Fig.2 ヒロハハナヤスリ (兵庫県神戸市 2017.4/29)
おそらく兵庫県内でも最も生育規模の大きな集団で、およそ25㎡範囲内に足の踏み場もないほど密生しています。ハナヤスリ属は野焼きした場所を好む傾向が見られることから、この場所で刈り草を焼いています。
関連ページ 関西の花/シダ・ヒロハハナヤスリ

オカオグルマ
Fig.3 オカオグルマ (兵庫県神戸市 2017.4/29)
この斜面周辺では春にオカオグルマが、夏~秋にはカセンソウが開花します。
関連ページ 関西の花・オカオグルマ

訪花したキマダラハナバチの仲間
Fig.4 訪花したキマダラハナバチの仲間 (兵庫県神戸市 2017.4/29)
キク科の花好きで、この場所でオカオグルマが開花すると必ず訪花しているハナバチです。比較的大型なのでおそらくダイミョウキマダラハナバチだと思いますが、資料が手元にないので断定はできません。この仲間はヒメハナバチの巣内に産卵し、幼虫のために作っておいた花粉団子を横取りする「労働寄生」をすることが知られています。

ヒゲナガハナノミ ♂
Fig.5 ヒゲナガハナノミ ♂ (兵庫県神戸市 2017.4/29)
展葉しかけのワラビの葉上でヒゲナガハナノミが休んでいました。
この時期に湿地周辺や水田(特に棚田)に行くと、必ずといっていいほど見かける1cm程の甲虫です。
幼虫は水中生活するようですが、詳しい生態は解っていないとか。

アカネスミレ
Fig.6 アカネスミレ (兵庫県神戸市 2017.4/29)
これまでどこに行ってもオカスミレめいた個体ばかりでしたが、ようやく距にしっかり毛のあるアカネスミレに出会えました。ここでは日当たりよいややザレた斜面に数個体生育していました。

ホタルカズラ
Fig.7 ホタルカズラ (兵庫県神戸市 2017.4/29)
この付近は阪神地域でもホタルカズラの多い場所で、農道脇の斜面や林縁でよく見かけます。
斜面を適度に草刈りすれば、今後も存続するでしょう。
関連ページ 関西の花・ホタルカズラ

スミレの花の変異
Fig.8 スミレの花の変異 (兵庫県神戸市 2017.4/29)
別の草刈り管理地への移動途中にある棚田土手に生育していたもので、花弁に濃淡があり、白いカスリ模様が入っているようにも見える集団がありました。
まとまった数が見られるので、変異は遺伝的に固定している可能性があるかもしれません。
関連ページ 関西の花・スミレ

ヤブレガサモドキの出芽
Fig.9 ヤブレガサモドキの出芽 (兵庫県神戸市 2017.4/29)
草刈り管理しつつ出芽個体数、幼植物個体数、開花個体数をモニタリング調査している場所です。
冬期に刈り込むので、陽地を好むミツバツチグリが増えて賑やかな光景になっています。
ヤブレガサモドキは年々増加しつつあり、国内でもっとも安定した自生地となっているはずです。
関連ページ 関西の花・ヤブレガサモドキ

トリガタハンショウヅル
Fig.10 トリガタハンショウヅル (兵庫県神戸市 2017.4/29)
刈り残された林縁でトリガタハンショウヅルが多数の花をつけていました。
ことしはトリガタハンショウヅルの当たり年のようです。

マツバスゲ
Fig.11 マツバスゲ (兵庫県神戸市 2017.4/29)
棚田土手下の掘り込み脇で勢いのあるマツバスゲが生育していました。
付近の水路脇や湿地などにふつうに見られます。
関連ページ 湿生植物・マツバスゲ

コカンスゲ
Fig.12 コカンスゲ (兵庫県神戸市 2017.4/29)
調査が終わった後、日没までにまだたっぷりと時間があったので、六甲の谷筋に入ってみました。
北側の斜面では群生するコカンスゲがちょうど開花中でした。
関連ページ 関西の花・コカンスゲ

エイザンスミレ
Fig.13 エイザンスミレ (兵庫県神戸市 2017.4/29)
開花には少し遅かったようで、花はかなりくたびれており、花粉もほぼ排出された後でした。
相性が悪いようで、なかなかバッチリ全盛期のものに出会えません。

ニッコウネコノメ
Fig.14 ニッコウネコノメ (兵庫県神戸市 2017.4/29)
兵庫県では但馬南部より南によく見られ、六甲山地でも時々見かけます。
六甲山地では他にシロバナネコノメ、タチネコノメソウなどの山地性のネコノメソウが見られます。
関連ページ 関西の花・ニッコウネコノメ

カンザシギボウシの出芽
Fig.15 カンザシギボウシの出芽 (兵庫県神戸市 2017.4/29)
谷筋では各草本の新葉が鮮やかで、撮影対象に事欠きませんでした。
そのうちの何点かを掲載してみます。
関連ページ 関西の花・カンザシギボウシ

フクオウソウの出芽
Fig.16 フクオウソウの出芽 (兵庫県神戸市 2017.4/29)
花を着ける大きな個体は風化しつつある崖の上にあって、これはその直下のザレ場に生育しているもの。開花個体には近づけず、まだ花の画像が撮れていません。

ウスゲタマブキの出芽
Fig.17 ウスゲタマブキの出芽 (兵庫県神戸市 2017.4/29)
小さいながらもコウモリソウ属らしい特徴が出ています。
関連ページ 関西の花・ウスゲタマブキ

サワハコベの出芽
Fig.18 サワハコベの出芽 (兵庫県神戸市 2017.4/29)
正確には「サワハコベらしきもの」の出芽です。
実際のサワハコベはタイプ標本を確認しないと断定できない状態と考えています。
本種は冬期にシュートの先端から伸びた匍匐茎が岩屑の間に潜って越冬し、地上部はほぼ消失します。
春の出芽期には、画像のように岩屑の隙間から1本ずつ点々と出芽してきます。

イブキシモツケ
Fig.19 イブキシモツケ (兵庫県神戸市 2017.5/1)
この日は夕刻に山菜採りがてらの散歩に出掛けました。
林道脇に群生するイブキシモツケが開花し始めていましたが、まだ多くの雄蕊が内側に畳まれた状態でした。

イトスゲ
Fig.20 イトスゲ (兵庫県神戸市 2017.5/1)
この付近の斜面や河畔の岩場にはイトスゲが多く見られ、所によっては群生しています。
名の通りスゲ属の中でも最も葉が細く、群生する様子は涼しげに感じます。
関連ページ 関西の花・イトスゲ

ハルトラノオ
Fig.21 ハルトラノオ (兵庫県北播地方 2017.5/5)
山地性スミレ目当てに車中泊2泊3日で北播~但馬地方を廻りました。
谷筋の入り口、シカ柵に囲まれた村落の一画でハルトラノオが群生し、丁度開花していました。
シカ柵の外では小さな個体がかろうじて見られる程度で、かつては谷筋にも群生が見られたのでしょう。

谷筋に散乱する金糞
Fig.22 谷筋に散乱する金糞 (兵庫県北播地方 2017.5/5)
北播地域はかつて鉄穴流しとたたら製鉄が盛んだった場所で、谷筋では金糞をよく見かけます。
北播では天児屋たたら公園が大規模たたら製鉄の史跡として残されています。
またススキで有名な砥峰高原は、大規模に山を削って砂鉄採取が行われた跡にススキ草原が成立したものです。

マルバコンロンソウ
Fig.23 マルバコンロンソウ (兵庫県北播地方 2017.5/5)
シカの食害が激しく、林床では忌避植物であるコバノイシカグマやイワヒメワラビ、マツカゼソウの出芽ばかりが目立ちます。
谷に降りてみると食害の難を逃れたマルバコンロンソウが開花し始めていました。
関連ページ 関西の花・マルバコンロンソウ

コガネネコノメソウ
Fig.24 コガネネコノメソウ (兵庫県北播地方 2017.5/5)
コガネネコノメソウは県内では播磨・丹波地方で自生地が点在しています。
丹波地方ではシカの食害によりかなり衰退しており、結実期の花茎が食害されて種子が観察できません。
関連ページ 関西の花・コガネネコノメソウ

コガネネコノメソウの花
Fig.25 コガネネコノメソウの花 (兵庫県北播地方 2017.5/5)
京都府特産のヤマシロネコノメに似ますが、花はより小さく、雄蕊は萼裂片の外に出ないことにより区別されます。
関連ページ 関西の花・ヤマシロネコノメ

ホクリクネコノメ群の不明種
Fig.26 ホクリクネコノメ群の不明種 (兵庫県北播地方 2017.5/5)
一見すると萼裂片が淡褐色であるため、ヒダボタンのように見えましたが、花は中途半端なものでした。

ホクリクネコノメ群の不明種の花
Fig.27 Fig.26の花 (兵庫県北播地方 2017.5/5)
萼は直立して淡褐色ですが、雄蕊は萼の1/2~2/3程度と短く、葯は淡橙色でヒダボタンそのものとは言えないものでした。ヒダボタンとボタンネコノメソウ、キンシベボタンネコノメソウの3角形の中心にあるような、どれとも取れないものです。
関連ページ 関西の花・ヒダボタン
関連ページ 関西の花・ボタンネコノメソウ
関連ページ 関西の花・キンシベボタンネコノメソウ

大きな花を持つシハイスミレ
Fig.28 大きな花を持つシハイスミレ (兵庫県北播地方 2017.5/5)
沢筋のスギ林の林縁斜面で遠くから見てもはっきりと解るような、大きな花を着けたシハイスミレの一群がありました。アケボノスミレ大の花だったので、Yさんにお尋ねしたところシハイスミレの変異の範疇だろうとのこと。大きな花を持つ個体がかたまって生育しているので、変異は遺伝的に固定されているように思います。
関連ページ 関西の花・シハイスミレ

シコクスミレ
Fig.29 シコクスミレ (兵庫県北播地方 2017.5/5)
兵庫県では自生地の少ないスミレで、この谷筋ではハート型の葉は見かけますが、開花個体は少数でした。谷筋斜面のザレた場所や、斜面の岩上などに生育しています。

ユリワサビ
Fig.30 ユリワサビ (兵庫県北播地方 2017.5/5)
シコクスミレが生育するザレ場で点在していました。
山麓では開花が終わっている場所もありますが、ここではまだ開花し始めたばかりです。
関連ページ 関西の花・ユリワサビ

ベニイトスゲ
Fig.31 ベニイトスゲ (兵庫県北播地方 2017.5/6)
匍匐根茎を持つため、古い社寺林の林床を広く覆うように群生していました。
基部の鞘や鱗片が赤紫色となるのが特徴で、他のイトスゲよりもやや大型となります。

タマツリスゲ
Fig.32 タマツリスゲ (兵庫県北播地方 2017.5/6)
県内では播磨地方と淡路島が分布域の中心となるスゲで、それ以外の地域では社寺林のような長く土壌の撹乱のない場所で稀に見られる程度です。
ここは分布の中心域であるためか、社寺林の林床に多くの個体が見られました。
関連ページ 関西の花・タマツリスゲ

ヒゴスミレ
Fig.33 ヒゴスミレ (兵庫県北播地方 2017.5/6)
ススキ草原にスミレ類を見にいきましたが、生憎の雨でデジ一は出せませんでした。
フモトスミレ、ニオイタチツボスミレ、アカネスミレ(オカスミレ)、アケボノスミレ、ヒゴスミレなどの高原のスミレ類が見られましたが、皆濡れそぼっています。
ヒゴスミレが1株だけ、雨のかからない木の根元で美しい花を見せてくれました。
関連ページ 関西の花・ヒゴスミレ

ワダソウ
Fig.34 ワダソウ (兵庫県北播地方 2017.5/6)
兵庫県では一部地域にのみ生育している稀なもので、期待していなかった嬉しい出会いです。
ワチガイソウよりも花が大きく草体も頑丈に見え、花弁の先が2裂しているのが特徴です。

シコクスミレの生育状況
Fig.35 シコクスミレの生育状況 (兵庫県北播地方 2017.5/6)
雨が上がったので、前日とは別の谷にシコクスミレを見に入りました。
前日の谷よりも開花個体数が多く、なんとか見れる生育環境の画像が撮影できました。

イチヨウラン
Fig.36 イチヨウラン (兵庫県北播地方 2017.5/6)
イチヨウランは数年前見たときより個体数が減り、わずか1個体のみが残って開花していました。

コウライテンナンショウ
Fig.37 コウライテンナンショウ (兵庫県但馬地方 2017.5/7)
マムシグサの仲間ではこの地方では最もふつうに見られる種ですが、立派なものがあると思わず撮影してしまいます。山麓ではコウライテンナンショウが全盛期ですが、高所のヒロハテンナンショウはまだまだでした。
関連ページ 関西の花・コウライテンナンショウ

ジュウニヒトエ
Fig.38 ジュウニヒトエ (兵庫県但馬地方 2017.5/7)
ここでは数多くの個体が谷筋の斜面を飾っています。
本種は県内では「あるところにはある」といった感じで、分布は局所的です。
関連ページ 関西の花・ジュウニヒトエ

オキナグサ
Fig.39 オキナグサ (兵庫県但馬地方 2017.5/7)
高原の水田地帯に残っている集団で、開花し始めといった感じでした。
相変わらず盗掘の絶えない花で、よく知られた自生箇所は2年前に盗掘されて消滅しました。
関連ページ 関西の花・オキナグサ

アケボノスミレ
Fig.40 アケボノスミレ (兵庫県但馬地方 2017.5/7)
前日と違って好天に恵まれ、スミレ類の観察日和となりました。
例年野焼きされる場所が、残雪のためか手付かずの状態で、アケボノスミレ、アカネスミレ(オカスミレ)、フモトスミレ、ホコバスミレなど沢山のスミレ類が開花していました。
サクラスミレは開花が遅れているようで、まだ開花個体が見られませんでした。
関連ページ 関西の花・アケボノスミレ

ザゼンソウ
Fig.41 ザゼンソウ (兵庫県但馬地方 2017.5/7)
この様子ではまだザゼンソウも咲いているのではないかと思い、自生地に立ち寄りました。
意に反してほぼ開花が終わっており、長く雪に覆われている場所でわずかに残り花が見られました。
関連ページ 湿生植物・ザゼンソウ

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category: 春植物

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春の花々 2 

 この時期から春~初夏の草本の開花ラッシュが始まり、植生調査も重なり忙しくなってきます。遠方の複数地を効率よく廻るため、車中泊する機会が多くなります。山菜のシーズンでもあるので、夕食には付近にある山菜を摘んで食事の足しにします。屋外ということもありますが、単に山菜を入れるでけで、インスタント食品も驚くほどの美味しさになります。
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トウゴクサバノオ
Fig.1 トウゴクサバノオ (兵庫県丹波地方 2017.4/22)
9年前に発見した自生地を数年置きに継続観察中ですが、シカの忌避植物であるらしく、発見当初よりもかなり個体数が増えています。
この個体は発見当初から存続しているもので、沢山の花茎を上げた充実した株になっています。
関連ページ 関西の花・トウゴクサバノオ

トウゴクサバノオの花
Fig.2 トウゴクサバノオの花 (兵庫県丹波地方 2017.4/22)
花は淡黄緑色~白色で、小さく、橙黄色の密弁が目立っています。

トウゴクサバノオ群落
Fig.3 トウゴクサバノオ群落 (兵庫県丹波地方 2017.4/27)
これは上記の自生地とは別の沢筋に見られるもので、足の踏み場もないほど高密度に広がっていました。周辺にはシカの忌避植物であるマツカゼソウのほか、ヤマネコノメソウ、シロバナネコノメ、ニッコウネコノメ、マルバコンロンソウ、ミヤマチドメ、ミズタビラコ、ニシノヤマクワガタ、ヤマトウバナなどの小型草本が残っています。

フイリハグロシハイスミレ
Fig.4 フイリハグロシハイスミレ(通称) (兵庫県丹波地方 2017.4/22)
沢沿いの伐採された明るい斜面に通常のシハイスミレとともに群生していました。
兵庫県はシハイスミレの分布とマキノスミレの分布が交差し、この個体は長めの葉が立ち上がり気味で、かなりマキノスミレ寄りです。
関連ページ 関西の花・シハイスミレ

トクワカソウ
Fig.5 トクワカソウ (兵庫県丹波地方 2017.4/22)
別名イワウチワ。トクワカソウをイワウチワの変種とすることもあるが、葉の変異は連続しています。
昨年も見に来ましたが、花期終わりでモヤモヤが残ったので、そのリベンジで再訪しました。
兵庫県では稀なもので、今回は新鮮な花が沢山見れました。

ヒカゲツツジ
Fig.6 ヒカゲツツジ (兵庫県丹波地方 2017.4/22)
兵庫県ではヒカゲツツジとトクワカソウの開花期が一致し、丁度満開のころでした。
急峻な岩峰の北側斜面に生育していることが多く、周辺には着生シダが多く、時にセッコクが見られます。

ツルハコベ
Fig.7 ツルハコベ (兵庫県丹波地方 2017.4/22)
従来からサワハコベと混同されているもので、多くの図鑑では掲載されておらず、牧野図鑑にのみ掲載されています。
兵庫県ではサワハコベと考えられるものは比較的稀であり、生態的に明瞭な差が見られます。
ツルハコベは地表に匍匐茎をはわせ、葉は小型だが、サワハコベと考えられるものは匍匐茎は地中、地表ともに確認でき、晩秋になるとシュートの先端が細く地中に入り、地中茎となって越冬し、細かく破砕された岩屑斜面に好んで生育します。
ツルハコベには晩秋にこのような挙動は見られず、矮小化した草体が地表で越冬し、どちらかというと沢沿いの平坦地を好むようい思います。

ワチガイソウ
Fig.8 ワチガイソウ (兵庫県丹波地方 2017.4/22)
8年前に発見したワチガイソウの様子を久しぶりに見に行きました。
但馬地方では自生地が点在していますが、丹波地方ではここだけに生育しているものです。
特に個体数の増減はないような感じで、土砂による氾濫で埋まらない限り、この状態が続くと思われます。
関連ページ 関西の花・ワチガイソウ

ワチガイソウの花
Fig.9 ワチガイソウの花 (兵庫県丹波地方 2017.4/22)

オキナグサ
Fig.10 オキナグサ (兵庫県阪神地方 2017.4/22)
丹波地方からの帰途、県内の瀬戸内側で唯一の自生地を見に立ち寄りました。
ここは草地ではなく、人が近寄り難い岩場でわずかに残っています。
全国的に草原で見られることが少なくなっているようで、このような場所で残っている県も多いようです。
関連ページ 関西の花・オキナグサ

シロバナウンゼン
Fig.11 シロバナウンゼン (兵庫県阪神地方 2017.4/22)
このあたりでは急峻な山腹や谷筋の斜面で比較的よく見かける低木です。

トリガタハンショウヅル
Fig.12 トリガタハンショウヅル (兵庫県阪神地方 2017.4/22)
林道脇のヤマウグイスカグラの木にトリガタハンショウヅルが巻き上り、開花し始めていました。
毎年どこかで見かけますが、県内にそれほど多いものでもありません。

ムロウマムシグサ(キシダマムシグサ)
Fig.13 キシダマムシグサ(ムロウマムシグサ) (兵庫県阪神地方 2017.4/22)
林道脇の林縁から明るい林床に多数の個体が生育しており、開花し始めていました。
この場所の集団は、小葉の中肋に沿って白斑が入るものが見られます。
関連ページ 関西の花・キシダマムシグサ

ケイリュウタチツボスミレ
Fig.14 ケイリュウタチツボスミレ (兵庫県阪神地方 2017.4/22)
河畔の増水すれば水没するような岩の隙間に生育しています。
開花前に濁流に一度飲まれてしまったのか、葉や萼が砂まみれになっていました。
タチツボスミレよりも草体は小型、葉も小さくやや光沢があり、タチツボスミレよりも多数の花をつけ、花弁の幅は狭いものが多いようです。環境に適応した結果か、種子の発芽率はほぼ100%と『近畿地方のスミレ類』で報告されています。

砥峰高原の野焼き跡
Fig.15 砥峰高原の野焼き跡 (兵庫県北播地方 2017.4/25)
毎年、早春に野焼きが行われ、ススキ草原が長く保たれている場所で、ノルウェイの森のロケ地として有名になりました。
なにか草本が出ていないか様子を見ましたが、開花しているのはショウジョウバカマくらいで、アザミ類の萌芽が見られた程度でした。RDB見直しに際し、ここでしか記録されていない稀産種の存続の確認が必要な場所です。

周氷河地形
Fig.16 周氷河地形 (兵庫県北播地方 2017.4/25)
砥峰・峰山高原から流れ出る沢の源頭部には大きな岩塊が累積する周氷河地形が見られます。
このような場所では岩の隙間から地下水によって冷やされた冷気が流れ出し、本来は湿度と低温を好む草本類が見られるものですが、シカの食害が激しく、林床にはツルシキミが点在している貧相な植生となっています。画像右下にサカゲイノデのフィドルヘッドが見えますが、柔らかい葉が展葉すると食害を受けてしまいます。

キンシベボタンネコノメソウ
Fig.17 キンシベボタンネコノメソウ (兵庫県北播地方 2017.4/25)
沢の源頭部ではコチャルメルソウやキンシベボタンネコノメソウの小群落が開花全盛でした。
関連ページ 関西の花・キンシベボタンネコノメソウ

キンシベボタンネコノメソウの花
Fig.18 キンシベボタンネコノメソウの花 (兵庫県北播地方 2017.4/25)
ボタンネコノメソウの変種で、萼裂片は直立し、淡緑色~淡黄色で、鈍頭。雄蕊は8個で萼裂片の2/3長で萼から出ず、葯は黄色。花柱は萼から超出せず、花後には2個の心皮の大きさが異なります。
似たものは多く、上記の特徴を総合してボタンネコノメソウ、ヒダボタン、ヒメヒダボタン、アカヒダボタン、サンインネコノメ、ホクリクネコノメなどと区別します。

ナルコスゲ
Fig.19 ナルコスゲ (兵庫県北播地方 2017.4/25)
渓流畔の岩場の隙間でナルコスゲが開花中でした。
兵庫県北部では清流の脇にふつうに見られますが、瀬戸内側では西宮市内の沢沿いに隔離分布しています。
関連ページ 関西の花・ナルコスゲ

オクノカンスゲ
Fig.20 オクノカンスゲ (兵庫県北播地方 2017.4/25)
県内では中部以北の日本海側に多いスゲで、高標高地の多雪地になると変種のハバビロスゲに置き換わります。
関連ページ 関西の花・オクノカンスゲ

ショウジョウスゲ
Fig.21 ショウジョウスゲ (兵庫県北播地方 2017.4/25)
低地の畦畔から高地の岩場にまで現れるイワカンスゲ節の普遍的なスゲですが、この節のものは地域と環境により分化しているものも多く、一度各地の集団の形質を精査すれば違いがあるのではないかとも思っていますが、まだ手をつけていません。
関連ページ 湿生植物・ショウジョウスゲ

ミヤマヨメナ
Fig.22 ミヤマヨメナ (兵庫県北播地方 2017.4/25)
山麓の社寺林ではミヤマヨメナが開花し始めており、ここではラショウモンカズラも咲き始め、はやくも初夏の様相でした。

ムサシアブミ
Fig.23 ムサシアブミ (兵庫県北播地方 2017.4/25)
ムサシアブミも開花し始めで、まだ開花途上のものも多く、開花が進むステージが観察できました。
関連ページ 関西の花・ムサシアブミ

ムベ
Fig.24 ムベ (兵庫県丹波地方 2017.4/27)
ムベはアケビ同様、雌雄同株で雌雄異花らしいが、雄花しか見られませんでした。
ムベの果実はこのあたりではほとんど見かけないが、雄花だけのものが多いのが原因かもしれません。

ハリマスミレ
Fig.25 ハリマスミレ (兵庫県丹波地方 2017.4/27)
山間の休耕中の畑地でアリアケスミレに混じってかなりの個体が見られました。
ここではスミレは少し離れた農道脇に見られます。
関連ページ 関西の花・ハリマスミレ

アマドコロ
Fig.26 アマドコロ (京都府丹後地方 2017.4/28)
兵庫県丹波地方で篠山自然の会の方々をご案内した後、但馬から京丹後に移動、車中泊して翌日は日本海側を廻って、滋賀県に抜けました。京丹後の海岸では朝日を浴びてアマドコロの開花が始まっていました。

モミジチャルメルソウ
Fig.27 モミジチャルメルソウ (京都府丹後地方 2017.4/28)
京都・滋賀・福井の日本海側には比較的ふつうに生育しているようですが、それ以外の場所では全く見られない地域特異性の著しい種です。ここでは渓流畔の岩上でジュウモンジシダやミゾシダなどとともに生育していました。

モミジチャルメルソウの花
Fig.28 モミジチャルメルソウの花 (京都府丹後地方 2017.4/28)
花は花序とともに、淡黄緑色のものと赤褐色のものとがあり、画像のものは花序が赤褐色のものです。
花弁はチャルメルソウ同様に3~5裂しますが、花序には花がより密についている印象を受けます。

ニシキゴロモ
Fig.29 ニシキゴロモ (滋賀県 2017.4/28)
京都から福井を抜けてオオバキスミレを見に滋賀県に足を伸ばしました。
オオバキスミレを見に行く途上の林道脇にはトキワイカリソウ、スミレ類などとともにニシキゴロモが開花中でした。この場所では紫色、桃色、白色のニシキゴロモが混在していました。
関連ページ 関西の花・ニシキゴロモ

ニシキゴロモの花
Fig.30 ニシキゴロモの花 (滋賀県 2017.4/28)
画像は桃色品の個体で、太平洋側に分布する変種のツクバキンモンソウとは花冠上唇の長さで区別します。ニシキゴロモでは長さ2.5~3mmとなりますが、ツクバキンモンソウでは長さ1mmとなります。
関連ページ 関西の花・ツクバキンモンソウ

トクワカソウ群落
Fig.31 トクワカソウ群落 (滋賀県 2017.4/28)
トクワカソウはシカの忌避植物であるためか、十数年前見たときよりも増えたように思います。
兵庫県では峻険な場所に生育してゆっくり観察できませんが、ここではなだらかなブナ林下に群生しており、観察が容易でした。

オオバキスミレ
Fig.32 オオバキスミレ (滋賀県 2017.4/28)
十数年振りの久々に見るオオバキスミレで、当時よりも群生は衰退しているように感じましたが、シカの食害によるものでしょうか。

オオバキスミレの花
Fig.33 オオバキスミレの花 (滋賀県 2017.4/28)
側弁と唇弁には暗紫褐色の条があり、側弁基部には太くて短い毛が生えています。

オオバキスミレの生育環境
Fig.34 オオバキスミレの生育環境 (滋賀県 2017.4/28)
風化した花崗岩が堆積した斜面の向陽~半日陰地に生育しており、水分条件が良い半日陰に生育するものは草体がやや大きくなります。数十年前はこのような様子が林道脇の各所で見られましたが、現在では所々に点在しているという感じでした。

オオバキスミレとニホンカイタチツボスミレ(仮称)
Fig.35 オオバキスミレとニホンカイタチツボスミレ(仮称) (滋賀県 2017.4/28)
両種ともに同じような環境を好むため、ときに混生し、色彩の賑やかな場所が見られました。
他に半日陰地ではトクワカソウやシハイスミレと混生している箇所も見られました。
関連ページ 関西の花・タチツボスミレ

タチスズシロソウ
Fig.36 タチスズシロソウ (滋賀県 2017.4/28)
オオバキスミレを観察したあと、まだ日没にはかなり時間があったので琵琶湖畔の砂浜に立ち寄りました。丁度タチスズシロソウが満開で、場所によっては白い紗をかけたように見えるほど群生していました。

タチスズシロソウ群落
Fig.39 タチスズシロソウ群落 (滋賀県 2017.4/28)
多くの場所では草丈の低いものが群生していますが、撹乱されにくい木立の周辺では比較的大型の個体となり、草丈の高い群落となっています。

アナマスミレとタチスズシロソウ
Fig.40 アナマスミレとタチスズシロソウ (滋賀県 2017.4/28)
琵琶湖畔では遺存的な海浜植物が多数生育しておりタチスズシロソウのほか、ハマヒルガオ、ハマエンドウ、ハマゴウなどが見られます。
* Y氏から、琵琶湖畔にあるものはアナマスミレではなく、ふつうのスミレであると教えて頂きました。同所的に生育している海浜植物からアナマスミレと見ましたがそうではなく、スミレ、アナマスミレ、アツバスミレの区別は容易ではないようです。

冷凍鴨だし蕎麦の山菜アレンジ
Fig.41 冷凍鴨だし蕎麦の山菜アレンジ (2017.4/27)
植林地で放棄されたサンショウの花山椒(雄花のつぼみ)とモミジガサが採れたので、移動途中のスーパーで冷凍のソバを購入。
モミジガサは沸騰した湯に冷凍のソバとともに投入し、花山椒はソバが茹で上がる15秒位前に入れる。
屋外で風や水の流れの音、カエルの鳴き声を聴きながら夕食摂る贅沢な時を過ごせます。

インスタント味噌煮込みうどんの山菜アレンジ 
Fig.42 インスタント味噌煮込みうどんの山菜アレンジ (2017.4/13)
この日は谷筋の倒木から採取したヒラタケ、渓流畔のシャクを採取して利用。画像は煮込んでいる最中です。一人の車中泊では手の込んだことはせず、インスタントの食品に山菜を加えるのが手軽、かつ味わい深いです。
キノコを虫出しせずに生で煮るとキノコバエやキノコムシの幼虫が浮かんでくることがありますが、ハチノコやザザムシ、イナゴを食していたので抵抗はありません。気になる時はスプーンなどでサッと掬い出して捨てます。昆虫類は豆腐や肉類が広まるまでは、庶民の重要な蛋白源+キチン・キトサン源となっていたと考えられ、種によっては積極的に利用すべきものもあると考えています。

category: 春植物

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