雨上がりの森を歩けば -西宮の自然-
2016/09/30 Fri. 23:51 [edit]
このところ毎日降雨があり、遠出がはばかられますが、降雨の合間を縫って近場の森に出掛けています。長雨が続いているので、キノコが沢山出ていると予想できます。
下草の少ない森の中なら蚊の攻撃は受けるかもしれませんが、雨に濡れた草で衣服がびしょぬれになることはありません。長雨続きなので、普段見かけないキノコもありそうで、少し期待して出掛けました。
*画像クリックで、別ウィンドで表示されます。
FC2ブログの仕様が変わったのか、リンク先で大きな画像が表示されなくなってしまいました。
大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。

Fig.1 オニイグチモドキ (西宮市 2016.9/26)
森の入口ですぐに出てきたのはオニイグチモドキでした。
オニイグチ、オニイグチモドキともに雑木林ではしばしば眼にするキノコです。
オニイグチよりも傘の上の突起は細かく、裏の管孔部を傷つけると赤くなった後に黒変します。

Fig.2 ベニヒガサ (西宮市 2016.9/26)
鮮やかな朱赤色のキノコは暗い林内でもよく目立ちます。
まるで蝋細工のような感じで、傘の上には非常に細かい鱗片があり、ひだは柄に垂生します。

Fig.3 ソライロタケ (西宮市 2016.9/26)
草本ではこのような青い色の花は珍しくありませんが、菌類でこの色は稀なものです。
花の青よりも少しケミカル系の色合いで、傷つけると黄変します。

Fig.4 オチバタケ (西宮市 2016.9/26)
ブレてしまいましたが、地表に落ちている経年したスギの果実から出ていました。
柄は針金のように細く、長く伸びていました。

Fig.5 ハナオチバタケ (西宮市 2016.9/26)
小さいながらもオレンジ色の美しいキノコでこれも林内で目立っていました。

Fig.6 カバイロツルタケ (西宮市 2016.9/26)
テングタケ科の中では数少ない食用菌です。
ツルタケに似ていますが、柄が褐色を帯びることで区別できます。
美味しい菌ということですが、キノコ狩りするほどの群生に出会ったことがありません。

Fig.7 セイタカイグチ (西宮市 2016.9/26)
老生して傘が褐色を帯びており、背丈は低いですがセイタカイグチです。
なかなか出会えないキノコで、これも長雨が続いたおかげでしょう。

Fig.8 セイタカイグチの柄と管孔部 (西宮市 2016.9/26)
柄の網目は惚れ惚れするほどの隆起具合です。
管孔部は黄色で、傷つけても色は変わりません。

Fig.9 ホウキタケの仲間 (西宮市 2016.9/26)
コホウキタケかウスムラサキホウキタケかと思うのですが、老菌で色褪せて区別できません。
基部からの分枝が多いのでコホウキタケのほうかもしれません。

Fig.10 ホコリタケの仲間 (西宮市 2016.9/26)
林道脇の落ち葉の溜まった場所で点在していました。
成熟して周辺には表面の刺状の突起が落ちていました。

Fig.11 キホコリタケ (西宮市 2016.9/26)
キホコリタケの未成熟なものが枯れ葉の間から出ていました。
最初は白色ですが、成熟するにつれて黄色を帯びていきます。

Fig.12 ドクベニタケとニッケイタケ (西宮市 2016.9/26)
これも林道脇の枯れ枝や落ち葉の溜まった場所に見られました。
ニッケイタケはもう少し大きくなると、傘に独特の模様が現れます。

Fig.13 ヤブレベニタケ (西宮市 2016.9/26)
ドクベニタケよりも大型で、柄が赤くなりますが、画像のものは降雨で柄の色が色褪せています。
傘が破れることが多く、傘の外周に接したひだが赤くなります。
可食ですが、まだ試してみたことはありません。

Fig.14 ヤマドリタケモドキ (西宮市 2016.9/26)
今日はこれが目当ての雑木林探査でもあります。
柄には網目模様が入りますが、柄全体にはっきり出るものから、柄上部に薄く出るものまで様々です。
根元からちらっと出ている黄色のものはナギナタタケです。

Fig.15 本日収穫分のヤマドリタケモドキ (西宮市 2016.9/26)
中央のやや大きなものは夕食のピザの具材となりました。それ以外のものはスライスして乾燥させます。乾燥させるとより香りよく、よい出汁がでるようになります。
なお、野生キノコの利用は自己責任でお願いします。自己流の判断は危険です。必ず熟達した人のもとで講習を受けて知識を集積した上でお試しください。

Fig.16 若いタマゴタケ (西宮市 2016.9/26)
タマゴタケはこの1本にだけ出会いました。
しばし撮影した後、採取せずに置いておきました。

Fig.17 ギンリョウソウモドキ (西宮市 2016.9/26)
降雨が多いと腐生植物も元気なようで、あちこちでギンリョウソウモドキが見られました。

Fig.18 アズキガイ (西宮市 2016.9/26)
アズキガイは京都・大阪・滋賀などでは絶滅危惧種となっていますが、西宮市ではよく見られます。
ふだんは落ち葉の下、木の洞、腐食した倒木の隙間に居ますが、雨後の濡れたアカメガシワの樹幹をはっていました。カタツムリ類と異なってフタを持っており、ニナ目に属しています。

Fig.19 センチコガネ (西宮市 2016.9/26)
センチコガネもまだまだ活発に活動していました。これは崩れかけたヤマドリタケモドキのそばにいたもので、腐りかけたキノコを食べていたのでしょうか?

Fig.20 マムシ (西宮市 2016.9/26)
湿地でよく見かけるマムシ君。湿度が高いためか森の中で見かけました。
胴体がくすんだ灰褐色をした温厚なほうのマムシで、野外で出会うと逃げていくマムシです。
胴体が赤褐色をしたものは少し小型で攻撃性が高く、野外で出会うと「シャー」という威嚇音を出して身構えます。西宮市内では温厚なマムシしか見たことがなく、赤味の強いマムシは内陸部で見かけます。

Fig.21 甌穴の連続する十八丁川 (西宮市 2016.9/26)
林内はあまりの高湿度で汗だくとなったので、涼しげな光景を求めて十八丁川(とはっちょうがわ)を訪れました。この川の河床は粘土質の砂礫層が広がっている区間があって、そこに連続した大きな甌穴が発達しています。上流から転がってきた花崗岩が、河床の一ヶ所で流水により回転して河床がえぐれたものです。甌穴は風呂よりも深いものがあり、清流とともに涼しげな光景が見られます。

Fig.22 ホシクサ (西宮市 2016.9/26)
帰途、ホシクサの生育する水田に立ち寄ってきました。
同所的に生育するアブノメ、ミズマツバ、ヒメミソハギとともに健在でした。
関連ページ 湿生植物・ホシクサ

Fig.23 ヌメリコウジタケ (西宮市 2016.9/28)
この日は昼の間3時間程雨がやんだので、家から車で5分、ごく近場での探査。
林内にはヌメリコウジタケが沢山出ていました。
傘は赤褐色で強い粘性があり、管孔部は鮮やかな黄色で傷つけても変色せず、解りやすい特徴を持っています。酸味があってまだ試していないが、ジュンサイなんかと組み合わせるといいかもしれません。

Fig.24 ブドウニガイグチ (西宮市 2016.9/28)
苦くて食用になりませんが、紫色を帯びた美しいイグチの仲間です。
管孔部は白色ですが、傷つけると褐色に変わり、見分けやすいキノコです。

Fig.25 若いキクバナイグチ (西宮市 2016.9/28)
赤紫色の色合いが美しく、管孔部は黄色で傷つけると青変する、これもわかりやすいイグチの仲間です。食用に利用できますが、ここでは若いものでも傘の内部まで食い荒らされ、残念ながら食べられるものはありませでした。

Fig.26 老成したキクバナイグチ (西宮市 2016.9/28)
成熟すると傘のささくれが菊花のように見えることからキクバナイグチと命名されました。
傘の裏の画像は黄色の管孔部と青変した部分を示したもの。

Fig.27 テングタケ属sp. (西宮市 2016.9/28)
シロウロコツルタケのような感じもあるし、スオウシロオニタケのような感じもあり、特定できません。傘のササクレが毛羽立たないAmanitaにフクロツルタケがありますが、肝心の根元の袋の確認をしていませんでした。

Fig.28 ヤグラタケ (西宮市 2016.9/28)
キノコの上に生える小さなキノコで、老成したクロハツの上から出ています。
注意していれば案外見つかるキノコです。

Fig.29 チョウジチチタケ (西宮市 2016.9/28)
渋い環紋を持った小さなキノコで、傷つけるとチチタケのような乳液を出します。
乾くと調味料のクローブ(丁字)のような臭いがあることから命名されました。

Fig.30 アシグロタケ (西宮市 2016.9/28)
硬いキノコで、ふつうは枯れ木上に群生していますが、1本だけが土中の枯れ木から出ていました。
乾燥させるとよい出汁が取れますが、1本だけ獲ってもしれているので、そのまま放置しました。

Fig.31 キツネノカラカサ (西宮市 2016.9/28)
キツネ絡みのキノコ3連発です。森の中でよく見かける小さなキノコ。
可食とありますが、小さいものなので手を出す気にはなれません。

Fig.32 キツネノハナガサ (西宮市 2016.9/28)
まだ幼菌で傘が開いておらず、マッチ棒が生えている感じに見えました。
2日前のものですが、もう崩れ去って無くなっているでしょう。

Fig.33 キツネノエフデ (西宮市 2016.9/28)
もうグレバは雨で流れ落ちて、子実体も倒伏していました。
よく似たものにコイヌノエフデ、キツネノタイマツ、キツネノロウソクがあってなかなか微妙です。
下草の少ない森の中なら蚊の攻撃は受けるかもしれませんが、雨に濡れた草で衣服がびしょぬれになることはありません。長雨続きなので、普段見かけないキノコもありそうで、少し期待して出掛けました。
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Fig.1 オニイグチモドキ (西宮市 2016.9/26)
森の入口ですぐに出てきたのはオニイグチモドキでした。
オニイグチ、オニイグチモドキともに雑木林ではしばしば眼にするキノコです。
オニイグチよりも傘の上の突起は細かく、裏の管孔部を傷つけると赤くなった後に黒変します。

Fig.2 ベニヒガサ (西宮市 2016.9/26)
鮮やかな朱赤色のキノコは暗い林内でもよく目立ちます。
まるで蝋細工のような感じで、傘の上には非常に細かい鱗片があり、ひだは柄に垂生します。

Fig.3 ソライロタケ (西宮市 2016.9/26)
草本ではこのような青い色の花は珍しくありませんが、菌類でこの色は稀なものです。
花の青よりも少しケミカル系の色合いで、傷つけると黄変します。

Fig.4 オチバタケ (西宮市 2016.9/26)
ブレてしまいましたが、地表に落ちている経年したスギの果実から出ていました。
柄は針金のように細く、長く伸びていました。

Fig.5 ハナオチバタケ (西宮市 2016.9/26)
小さいながらもオレンジ色の美しいキノコでこれも林内で目立っていました。

Fig.6 カバイロツルタケ (西宮市 2016.9/26)
テングタケ科の中では数少ない食用菌です。
ツルタケに似ていますが、柄が褐色を帯びることで区別できます。
美味しい菌ということですが、キノコ狩りするほどの群生に出会ったことがありません。

Fig.7 セイタカイグチ (西宮市 2016.9/26)
老生して傘が褐色を帯びており、背丈は低いですがセイタカイグチです。
なかなか出会えないキノコで、これも長雨が続いたおかげでしょう。

Fig.8 セイタカイグチの柄と管孔部 (西宮市 2016.9/26)
柄の網目は惚れ惚れするほどの隆起具合です。
管孔部は黄色で、傷つけても色は変わりません。

Fig.9 ホウキタケの仲間 (西宮市 2016.9/26)
コホウキタケかウスムラサキホウキタケかと思うのですが、老菌で色褪せて区別できません。
基部からの分枝が多いのでコホウキタケのほうかもしれません。

Fig.10 ホコリタケの仲間 (西宮市 2016.9/26)
林道脇の落ち葉の溜まった場所で点在していました。
成熟して周辺には表面の刺状の突起が落ちていました。

Fig.11 キホコリタケ (西宮市 2016.9/26)
キホコリタケの未成熟なものが枯れ葉の間から出ていました。
最初は白色ですが、成熟するにつれて黄色を帯びていきます。

Fig.12 ドクベニタケとニッケイタケ (西宮市 2016.9/26)
これも林道脇の枯れ枝や落ち葉の溜まった場所に見られました。
ニッケイタケはもう少し大きくなると、傘に独特の模様が現れます。

Fig.13 ヤブレベニタケ (西宮市 2016.9/26)
ドクベニタケよりも大型で、柄が赤くなりますが、画像のものは降雨で柄の色が色褪せています。
傘が破れることが多く、傘の外周に接したひだが赤くなります。
可食ですが、まだ試してみたことはありません。

Fig.14 ヤマドリタケモドキ (西宮市 2016.9/26)
今日はこれが目当ての雑木林探査でもあります。
柄には網目模様が入りますが、柄全体にはっきり出るものから、柄上部に薄く出るものまで様々です。
根元からちらっと出ている黄色のものはナギナタタケです。

Fig.15 本日収穫分のヤマドリタケモドキ (西宮市 2016.9/26)
中央のやや大きなものは夕食のピザの具材となりました。それ以外のものはスライスして乾燥させます。乾燥させるとより香りよく、よい出汁がでるようになります。
なお、野生キノコの利用は自己責任でお願いします。自己流の判断は危険です。必ず熟達した人のもとで講習を受けて知識を集積した上でお試しください。

Fig.16 若いタマゴタケ (西宮市 2016.9/26)
タマゴタケはこの1本にだけ出会いました。
しばし撮影した後、採取せずに置いておきました。

Fig.17 ギンリョウソウモドキ (西宮市 2016.9/26)
降雨が多いと腐生植物も元気なようで、あちこちでギンリョウソウモドキが見られました。

Fig.18 アズキガイ (西宮市 2016.9/26)
アズキガイは京都・大阪・滋賀などでは絶滅危惧種となっていますが、西宮市ではよく見られます。
ふだんは落ち葉の下、木の洞、腐食した倒木の隙間に居ますが、雨後の濡れたアカメガシワの樹幹をはっていました。カタツムリ類と異なってフタを持っており、ニナ目に属しています。

Fig.19 センチコガネ (西宮市 2016.9/26)
センチコガネもまだまだ活発に活動していました。これは崩れかけたヤマドリタケモドキのそばにいたもので、腐りかけたキノコを食べていたのでしょうか?

Fig.20 マムシ (西宮市 2016.9/26)
湿地でよく見かけるマムシ君。湿度が高いためか森の中で見かけました。
胴体がくすんだ灰褐色をした温厚なほうのマムシで、野外で出会うと逃げていくマムシです。
胴体が赤褐色をしたものは少し小型で攻撃性が高く、野外で出会うと「シャー」という威嚇音を出して身構えます。西宮市内では温厚なマムシしか見たことがなく、赤味の強いマムシは内陸部で見かけます。

Fig.21 甌穴の連続する十八丁川 (西宮市 2016.9/26)
林内はあまりの高湿度で汗だくとなったので、涼しげな光景を求めて十八丁川(とはっちょうがわ)を訪れました。この川の河床は粘土質の砂礫層が広がっている区間があって、そこに連続した大きな甌穴が発達しています。上流から転がってきた花崗岩が、河床の一ヶ所で流水により回転して河床がえぐれたものです。甌穴は風呂よりも深いものがあり、清流とともに涼しげな光景が見られます。

Fig.22 ホシクサ (西宮市 2016.9/26)
帰途、ホシクサの生育する水田に立ち寄ってきました。
同所的に生育するアブノメ、ミズマツバ、ヒメミソハギとともに健在でした。
関連ページ 湿生植物・ホシクサ

Fig.23 ヌメリコウジタケ (西宮市 2016.9/28)
この日は昼の間3時間程雨がやんだので、家から車で5分、ごく近場での探査。
林内にはヌメリコウジタケが沢山出ていました。
傘は赤褐色で強い粘性があり、管孔部は鮮やかな黄色で傷つけても変色せず、解りやすい特徴を持っています。酸味があってまだ試していないが、ジュンサイなんかと組み合わせるといいかもしれません。

Fig.24 ブドウニガイグチ (西宮市 2016.9/28)
苦くて食用になりませんが、紫色を帯びた美しいイグチの仲間です。
管孔部は白色ですが、傷つけると褐色に変わり、見分けやすいキノコです。

Fig.25 若いキクバナイグチ (西宮市 2016.9/28)
赤紫色の色合いが美しく、管孔部は黄色で傷つけると青変する、これもわかりやすいイグチの仲間です。食用に利用できますが、ここでは若いものでも傘の内部まで食い荒らされ、残念ながら食べられるものはありませでした。

Fig.26 老成したキクバナイグチ (西宮市 2016.9/28)
成熟すると傘のささくれが菊花のように見えることからキクバナイグチと命名されました。
傘の裏の画像は黄色の管孔部と青変した部分を示したもの。

Fig.27 テングタケ属sp. (西宮市 2016.9/28)
シロウロコツルタケのような感じもあるし、スオウシロオニタケのような感じもあり、特定できません。傘のササクレが毛羽立たないAmanitaにフクロツルタケがありますが、肝心の根元の袋の確認をしていませんでした。

Fig.28 ヤグラタケ (西宮市 2016.9/28)
キノコの上に生える小さなキノコで、老成したクロハツの上から出ています。
注意していれば案外見つかるキノコです。

Fig.29 チョウジチチタケ (西宮市 2016.9/28)
渋い環紋を持った小さなキノコで、傷つけるとチチタケのような乳液を出します。
乾くと調味料のクローブ(丁字)のような臭いがあることから命名されました。

Fig.30 アシグロタケ (西宮市 2016.9/28)
硬いキノコで、ふつうは枯れ木上に群生していますが、1本だけが土中の枯れ木から出ていました。
乾燥させるとよい出汁が取れますが、1本だけ獲ってもしれているので、そのまま放置しました。

Fig.31 キツネノカラカサ (西宮市 2016.9/28)
キツネ絡みのキノコ3連発です。森の中でよく見かける小さなキノコ。
可食とありますが、小さいものなので手を出す気にはなれません。

Fig.32 キツネノハナガサ (西宮市 2016.9/28)
まだ幼菌で傘が開いておらず、マッチ棒が生えている感じに見えました。
2日前のものですが、もう崩れ去って無くなっているでしょう。

Fig.33 キツネノエフデ (西宮市 2016.9/28)
もうグレバは雨で流れ落ちて、子実体も倒伏していました。
よく似たものにコイヌノエフデ、キツネノタイマツ、キツネノロウソクがあってなかなか微妙です。
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category: 西宮の自然
9月の山野と草原性植物
2016/09/29 Thu. 00:17 [edit]
9月は天候がもう一つで、なかなか遠出ができませんでした。遠出らしい遠出は1度但馬の方へ行けただけで欲求不満気味。今日も外では雨が降っています。秋晴れが恋しい・・・
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Fig.1 ツルボ (兵庫県篠山市 2016.9/15)
半日時間ができたので、篠山市へと足を伸ばしました。
ヒガンバナとともに水田の土手ではツルボが開花していました。
関連ページ 関西の花・ツルボ

Fig.2 イヌショウマ (兵庫県篠山市 2016.9/15)
林縁ではイヌショウマのはしりが開花していました。今頃がちょうど見頃でしょう。
付近にはサラシナショウマも生育していますが、小花の柄がないことで区別できます。
関連ページ 関西の花・イヌショウマ

Fig.3 コシオガマ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
この日は草原性草本の観察に但馬に出掛けました。
ススキ草原に最初に出てきたのは生育状態の良いコシオガマでした。

Fig.4 シオガマギク (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
コシオガマは兵庫県南部の里山でも見ることができますが、シオガマギクは南部の低地では見られません。半寄生植物でススキやオオアブラススキに半寄生しているのでしょう。

Fig.5 ウメバチソウ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
山麓ではまだつぼみですが、高所に登ると開花が始まっていました。
県南部では湿地に見られますが、ここでは草原の被植の少ない場所に生育しています。
関連ページ 湿生植物・ウメバチソウ

Fig.6 ホクチアザミ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
兵庫県ではRDBに指定されていませんが、あまり見かけないトウヒレン属の草本です。
トウヒレン属は草原性のものが多く、草原の遷移により全体的に減少しています。
この日は同属のヒメヒゴタイには出会えませんでした。

Fig.7 ホクチアザミの花 (兵庫県但馬地方 2016.9/17)

Fig.8 キュウシュウコゴメグサ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
ススキ草原の草丈の低い礫交じりの斜面にのみ生育していました。
西日本のおよそ1000m以上の日当たりよい草地に生育しています。

Fig.9 キュウシュウコゴメグサの花 (兵庫県但馬地方 2016.9/17)

Fig.10 カワラボウフウ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
いつもキアゲハの食害に遭っていてロクな画像が撮れないのですが、ここのものは少しましでした。
日当たりよい草原に生育し、県南部の里山でも見られます。

Fig.11 カワラボウフウの花 (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
クロハナケシキスイが訪花していました。

Fig.12 ネバリタデ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
やや高所の日当たりよいやや湿った草地に生育し、茎上部に粘液を出す部分があります。
ここではスキー場の草地でイヌタデ(紅色の花穂のもの)とともに生育していました。
オオネバリタデのほうはより湿った草地に生育する印象があります。

Fig.13 ミヤマノキシノブ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
沢沿いにあるミズナラの古木に沢山着生していました。
このあたりでは比較的ふつうに見られます。
関連ページ 関西の花/シダ・ミヤマノキシノブ

Fig.14 オクモミジハグマ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
温帯林の林縁で生育していましたが、多くの個体が葉を完全に食べられていました。
ここではオオカニコウモリとともに生育していましたが、なかなか満足のいく画像が撮れません。

Fig.15 サンヨウブシ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
花冠と花柄は無毛で、葉は中裂しているのでサンヨウブシです。
ここでは初夏には沢山の個体がみられますが、開花するまでに黒化して枯れてしまうものが多いように思います。

Fig.16 ナメコ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
古い倒木からナメコの走りがでていました。降雨で少し色褪せています。
すでに多くのものは溶け始めており、採取できたのはわずかの量でした。

Fig.17 ムラサキホウキタケ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
なぜか登山道の上に色鮮やかなムラサキホウキタケが生えていました。

Fig.18 モトマチハナワラビ (兵庫県丹波地方 2016.9/27)
今年もハナワラビのシーズンがやってきました。
本種は冬期に出るハナワラビの中でも、葉面に最も光沢のある種です。
関連ページ 関西の花/シダ・モトマチハナワラビ

Fig.19 ヒカゲワラビ (兵庫県丹波地方 2016.9/27)
社寺林の林床に群生しています。
かなりの個体数ですが、他のシダはそれほど種数は多くありませんでした。
関連ページ 関西の花/シダ・ヒカゲワラビ
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FC2ブログの仕様が変わったのか、リンク先で大きな画像が表示されなくなってしまいました。
大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。

Fig.1 ツルボ (兵庫県篠山市 2016.9/15)
半日時間ができたので、篠山市へと足を伸ばしました。
ヒガンバナとともに水田の土手ではツルボが開花していました。
関連ページ 関西の花・ツルボ

Fig.2 イヌショウマ (兵庫県篠山市 2016.9/15)
林縁ではイヌショウマのはしりが開花していました。今頃がちょうど見頃でしょう。
付近にはサラシナショウマも生育していますが、小花の柄がないことで区別できます。
関連ページ 関西の花・イヌショウマ

Fig.3 コシオガマ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
この日は草原性草本の観察に但馬に出掛けました。
ススキ草原に最初に出てきたのは生育状態の良いコシオガマでした。

Fig.4 シオガマギク (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
コシオガマは兵庫県南部の里山でも見ることができますが、シオガマギクは南部の低地では見られません。半寄生植物でススキやオオアブラススキに半寄生しているのでしょう。

Fig.5 ウメバチソウ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
山麓ではまだつぼみですが、高所に登ると開花が始まっていました。
県南部では湿地に見られますが、ここでは草原の被植の少ない場所に生育しています。
関連ページ 湿生植物・ウメバチソウ

Fig.6 ホクチアザミ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
兵庫県ではRDBに指定されていませんが、あまり見かけないトウヒレン属の草本です。
トウヒレン属は草原性のものが多く、草原の遷移により全体的に減少しています。
この日は同属のヒメヒゴタイには出会えませんでした。

Fig.7 ホクチアザミの花 (兵庫県但馬地方 2016.9/17)

Fig.8 キュウシュウコゴメグサ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
ススキ草原の草丈の低い礫交じりの斜面にのみ生育していました。
西日本のおよそ1000m以上の日当たりよい草地に生育しています。

Fig.9 キュウシュウコゴメグサの花 (兵庫県但馬地方 2016.9/17)

Fig.10 カワラボウフウ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
いつもキアゲハの食害に遭っていてロクな画像が撮れないのですが、ここのものは少しましでした。
日当たりよい草原に生育し、県南部の里山でも見られます。

Fig.11 カワラボウフウの花 (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
クロハナケシキスイが訪花していました。

Fig.12 ネバリタデ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
やや高所の日当たりよいやや湿った草地に生育し、茎上部に粘液を出す部分があります。
ここではスキー場の草地でイヌタデ(紅色の花穂のもの)とともに生育していました。
オオネバリタデのほうはより湿った草地に生育する印象があります。

Fig.13 ミヤマノキシノブ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
沢沿いにあるミズナラの古木に沢山着生していました。
このあたりでは比較的ふつうに見られます。
関連ページ 関西の花/シダ・ミヤマノキシノブ

Fig.14 オクモミジハグマ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
温帯林の林縁で生育していましたが、多くの個体が葉を完全に食べられていました。
ここではオオカニコウモリとともに生育していましたが、なかなか満足のいく画像が撮れません。

Fig.15 サンヨウブシ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
花冠と花柄は無毛で、葉は中裂しているのでサンヨウブシです。
ここでは初夏には沢山の個体がみられますが、開花するまでに黒化して枯れてしまうものが多いように思います。

Fig.16 ナメコ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
古い倒木からナメコの走りがでていました。降雨で少し色褪せています。
すでに多くのものは溶け始めており、採取できたのはわずかの量でした。

Fig.17 ムラサキホウキタケ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
なぜか登山道の上に色鮮やかなムラサキホウキタケが生えていました。

Fig.18 モトマチハナワラビ (兵庫県丹波地方 2016.9/27)
今年もハナワラビのシーズンがやってきました。
本種は冬期に出るハナワラビの中でも、葉面に最も光沢のある種です。
関連ページ 関西の花/シダ・モトマチハナワラビ

Fig.19 ヒカゲワラビ (兵庫県丹波地方 2016.9/27)
社寺林の林床に群生しています。
かなりの個体数ですが、他のシダはそれほど種数は多くありませんでした。
関連ページ 関西の花/シダ・ヒカゲワラビ
category: 9月の花
9月の湿地と溜池
2016/09/25 Sun. 23:46 [edit]
矢継ぎ早のようでもありますが、もう9月も後半、今月観察した湿生・水生植物の観察メモをUPします。
*画像クリックで、別ウィンドで表示されます。
FC2ブログの仕様が変わったのか、リンク先で大きな画像が表示されなくなってしまいました。
大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。

Fig.1 オオトリゲモ (神戸市 2016.9/11)
この日はY氏とともに、神戸市西部から播磨地方にかけてトリゲモ類の探査に出掛けました。
1週間前に確認済みの平野部の溜池でオオトリゲモの特徴をおさらい。
関連ページ 沈水植物・オオトリゲモ

Fig.2 オオトリゲモの雄花 (神戸市 2016.9/11)
左は葉と葉鞘を取り除いて露出させた雄花で、長さ2.5mm程度あります。
右は苞鞘から取り出した葯室。葯室は長さ1.8mmほどあり、トリゲモのように花粉粒が透けて見えることはありません。顕微鏡下では葯室が複数あることは未熟な雄花でないと確認し辛く、ルーペで観察するほうが分かりやすいです。
一方、トリゲモは雄花が小さく、葯室も0.5mmと微小なので、顕微鏡下での観察が必須となります。
この日播磨地方の溜池で確認できたのはホッスモとオオトリゲモばかりで、新たなトリゲモの自生地は発見できませんでした。

Fig.3 アイノコイトモ (神戸市 2016.9/11)
オオトリゲモとともに同じ池に生育しているのが見られました。
イトモよりも葉が長く、ホソバミズヒキモの沈水葉ほど細くなく、ヤナギモほどの葉幅がないのが特徴。果実は不稔で、殖芽を多産して繁殖します。
関連ページ 沈水植物・アイノコイトモ

Fig.4 セスジイトトンボ (神戸市 2016.9/11)
この溜池ではヒシがよく繁茂し、その周辺で多数のセスジイトトンボが飛翔していました。
セスジイトトンボは抽水植物の多い溜池でもふつうに見られます。

Fig.5 葯が黄色のホソバヘラオモダカ (神戸市 2016.9/11)
この場所に生育しているものは花弁が淡紅色(ホソバヘラオモダカの特徴)、葯が黄色(ヘラオモダカの特徴)、植物体は大型で葉幅がやや広い(ヘラオモダカの特徴)という特徴を持っています。
このように両種の特徴を併せ持つものは、痩果の大きさによって区別するのが無難です。
この場所のものは昨年痩果の大きさを測って、ホソバヘラオモダカと確定しました。
関連ページ 抽水植物・ホソバヘラオモダカ

Fig.6 ホソバヘラオモダカとヘラオモダカの痩果の比較
ホソバヘラオモダカでは長さ2.6~3.0mm(突起部は含まない)、幅1.4~1.7mmとなり、花柱が突起となり宿存します。ヘラオモダカでは長さ2~2.5mm、幅1.5~1.7mmとなり、花柱はホソバヘラオモダカほど宿存せず、楕円状の窪みが明瞭です。

Fig.7 ヒメオトギリ (神戸市 2016.9/11)
ヒメオトギリには2つのタイプがあることは、以前から三重の花かんざしさんがブログ上で指摘しておられました。兵庫県下でも2つのタイプが見られ、ここではホソバヘラオモダカと混生しています。

Fig.8 ヒメオトギリの花 (神戸市 2016.9/11)
花の径は約1cm、花弁は倒卵形で縁が重なりあい、3脈あって中央脈が目立ち、雄蕊は少なくとも15本以上ときに30本を越えています。花かんざしさんはこのタイプを「ヒメオトギリ」とされており、兵庫県下では自然度の高い場所に稀に見かけます。県下でよく見かけるのは花かんざしさんが「Type3」とされるもので、花の径が8mmほどで、花弁は長楕円形で花弁の間には隙間が空き、雄蕊は7~12本程度です。
「ヒメオトギリ」と「Type3」は遺伝子的には全く別のものであることが分かっており、将来的には独立種として分けられることになりそうです。以下は花かんざしさんの「Type3」に言及しておられるブログページです。
「Type3の情報をお願いします。」

Fig.9 「ヒメオトギリ」と「Type3」の花の比較
フィールドで見ると両タイプには明瞭な差がありますが、標本にすると花は縮れて区別しづらくなります。関連ページとしてリンクしているメインサイトの「ヒメオトギリ」としているものは「Type3」のほうで、このページも改訂して「ヒメオトギリ」を併記する必要があります。
関連ページ 湿生植物・ヒメオトギリ

Fig.10 ゴマクサ (兵庫県播磨地方 2016.9/11)
溜池畔の湿地に群生しているもので、ここでは丈の低いものがカワラケツメイとともに群生していました。半寄生植物であるためか、同じ湿地内でもチガヤやヒメヒラテンツキ、メリケンカルカヤが群生する場所では枝を分けた大株となっています。
ここでは先の「Type3」のヒメオトギリが大群生していました。
関連ページ 湿生植物・ゴマクサ

Fig.11 ニオイタデ (兵庫県播磨地方 2016.9/11)
時期的にタイミングよく開花している花穂を見ることができました。
兵庫県版RDBではCランクとされていますが、ランクと比較するとあまり見る機会のない草本です。
関連ページ 湿生植物・ニオイタデ

Fig.12 オオホシクサ (兵庫県播磨地方 2016.9/11)
ニオイタデの近くではオオホシクサが点々と生育していました。
播磨地方では溜池畔でふつうに見られますが、他の地域では全く見かけない種です。
関連ページ 湿生植物・オオホシクサ

Fig.13 ヌマカゼクサ (兵庫県播磨地方 2016.9/11)
本種も播磨地方ではごくふつうに多産しますが、他の地域では全く見かけません。
同じイネ科のスズメノコビエも同様の偏在的な分布が見られます。
関連ページ 湿生植物・ヌマカゼクサ

Fig.14 タヌキマメ (兵庫県播磨地方 2016.9/11)
移動途中の小規模な湿地に、大きく育った個体の群生が見られました。
このあたりではふつうに見られますが、形態がユニークなので見つけると嬉しくなります。
ここでは同所的にタチカモメヅルも見られました。
関連ページ 湿生植物・タヌキマメ

Fig.15 イトイヌノヒゲ (兵庫県播磨地方 2016.9/11)
溜池土堤直下の湿地で群生していました。
栄養状態がよいのと、ヌマガヤ、イヌノハナヒゲなどの草丈の高い競合種が多いためか、長い花茎を伸ばして群生していました。
関連ページ 湿生植物・イトイヌノヒゲ

Fig.16 イガクサ (兵庫県播磨地方 2016.9/11)
イガクサは湿地環境と草原環境が交錯するような裸地状の場所でよく見かけます。
このような場所ではイトイヌノハナヒゲ、イトハナビテンツキ、カキラン、ヤマトキソウ、トウカイコモウセンゴケ、イシモチソウ、ヒナノカンザシ、オミナエシなどが混生していることが多いです。
関連ページ 湿生植物・イガクサ

Fig.17 イトテンツキ (兵庫県播磨地方 2016.9/11)
毎年継続観察しているイトテンツキの様子を見に行くとちょうど開花期でした。
各地で注意して探していますが、まだこの場所以外では見かけたことがなく非常に稀なもののようです。そろそろ兵庫県版RDBに記載するべきものでしょう。
関連ページ 湿生植物・イトテンツキ

Fig.18 ゴマナとツリフネソウ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
この日は初夏に自生を確認したロッカクイの標本採集と草原性植物の観察に、有志とともに但馬地方の高原地帯に。途中立ち寄った棚田の用水路脇は花盛りで、ゴマナ、ツリフネソウ、クロバナヒキオコシ、オタカラコウの花の競演が賑やかでした。
関連ページ 湿生植物・ツリフネソウ

Fig.19 オタカラコウを訪花したオオウラギンスジヒョウモン (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
昼からの活動に備えてオオウラギンスジヒョウモンがオタカラコウの花で腹ごしらえしていました。
蝶の吸蜜の撮影は午前中の早い時間が適しています。
関連ページ 湿生植物・オタカラコウ

Fig.20 マルバノサワトウガラシ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
このあたりの水田にはマルバノサワトウガラシが比較的ふつうに見られます。
刈り取り後の水田ですでに開花は見られず、草体は寒気で紅変しています。
関連ページ 湿生植物・マルバノサワトウガラシ

Fig.21 ロッカクイ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
野焼き直後のススキ草原を歩き回り、初夏の時点で確認していたロッカクイで、ススキ原をヤブ漕ぎして自生する湿地にたどり着きました。この地域のロッカクイは1967年以降の記録がなく、再確認が課題となっていましたが、ようやく確認・記録できました。
ロッカクイは日本全土で現状自生地が7ヶ所しかなく、うち2ヶ所が兵庫県内にあります。
関連ページ 湿生植物・ロッカクイ

Fig.22 ヒロハノドジョウツナギ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
本種も但馬地方では1991年の記録を最後にして確認できておらず、但馬地方では絶滅したとされていたものです。特にこの地域のものは1937年以降の記録はありませんでした。
ロッカクイと同じ湿地に生育しており、最初は花茎をシカに齧られたものばかりで気づきませんでしたが、花序が完全なものを見つけて気づきました。ドジョウツナギとの雑種で同様な大きさとなるマンゴクドジョウツナギと違って、茎下方は倒伏・斜上せず、地下茎から太い茎(稈)を直立します。
同じ湿地にはオオヌマハリイも群生していますが、野生動物の撹乱が顕著でした。
関連ページ 湿生植物・ヒロハノドジョウツナギ

Fig.23 高原の撹乱の多い湿地 (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
人為的撹乱の多いスキー場内の湿地では、ゴマナ、サワヒヨドリ、オタカラコウなどの秋の草花によるお花畑が出きていました。撹乱地であるためアブラガヤやエゾアブラガヤなどのカヤツリグサ科草本も多く見られます。
関連ページ 湿生植物・サワヒヨドリ
関連ページ 湿生植物・アブラガヤ
関連ページ 湿生植物・エゾアブラガヤ
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Fig.1 オオトリゲモ (神戸市 2016.9/11)
この日はY氏とともに、神戸市西部から播磨地方にかけてトリゲモ類の探査に出掛けました。
1週間前に確認済みの平野部の溜池でオオトリゲモの特徴をおさらい。
関連ページ 沈水植物・オオトリゲモ

Fig.2 オオトリゲモの雄花 (神戸市 2016.9/11)
左は葉と葉鞘を取り除いて露出させた雄花で、長さ2.5mm程度あります。
右は苞鞘から取り出した葯室。葯室は長さ1.8mmほどあり、トリゲモのように花粉粒が透けて見えることはありません。顕微鏡下では葯室が複数あることは未熟な雄花でないと確認し辛く、ルーペで観察するほうが分かりやすいです。
一方、トリゲモは雄花が小さく、葯室も0.5mmと微小なので、顕微鏡下での観察が必須となります。
この日播磨地方の溜池で確認できたのはホッスモとオオトリゲモばかりで、新たなトリゲモの自生地は発見できませんでした。

Fig.3 アイノコイトモ (神戸市 2016.9/11)
オオトリゲモとともに同じ池に生育しているのが見られました。
イトモよりも葉が長く、ホソバミズヒキモの沈水葉ほど細くなく、ヤナギモほどの葉幅がないのが特徴。果実は不稔で、殖芽を多産して繁殖します。
関連ページ 沈水植物・アイノコイトモ

Fig.4 セスジイトトンボ (神戸市 2016.9/11)
この溜池ではヒシがよく繁茂し、その周辺で多数のセスジイトトンボが飛翔していました。
セスジイトトンボは抽水植物の多い溜池でもふつうに見られます。

Fig.5 葯が黄色のホソバヘラオモダカ (神戸市 2016.9/11)
この場所に生育しているものは花弁が淡紅色(ホソバヘラオモダカの特徴)、葯が黄色(ヘラオモダカの特徴)、植物体は大型で葉幅がやや広い(ヘラオモダカの特徴)という特徴を持っています。
このように両種の特徴を併せ持つものは、痩果の大きさによって区別するのが無難です。
この場所のものは昨年痩果の大きさを測って、ホソバヘラオモダカと確定しました。
関連ページ 抽水植物・ホソバヘラオモダカ

Fig.6 ホソバヘラオモダカとヘラオモダカの痩果の比較
ホソバヘラオモダカでは長さ2.6~3.0mm(突起部は含まない)、幅1.4~1.7mmとなり、花柱が突起となり宿存します。ヘラオモダカでは長さ2~2.5mm、幅1.5~1.7mmとなり、花柱はホソバヘラオモダカほど宿存せず、楕円状の窪みが明瞭です。

Fig.7 ヒメオトギリ (神戸市 2016.9/11)
ヒメオトギリには2つのタイプがあることは、以前から三重の花かんざしさんがブログ上で指摘しておられました。兵庫県下でも2つのタイプが見られ、ここではホソバヘラオモダカと混生しています。

Fig.8 ヒメオトギリの花 (神戸市 2016.9/11)
花の径は約1cm、花弁は倒卵形で縁が重なりあい、3脈あって中央脈が目立ち、雄蕊は少なくとも15本以上ときに30本を越えています。花かんざしさんはこのタイプを「ヒメオトギリ」とされており、兵庫県下では自然度の高い場所に稀に見かけます。県下でよく見かけるのは花かんざしさんが「Type3」とされるもので、花の径が8mmほどで、花弁は長楕円形で花弁の間には隙間が空き、雄蕊は7~12本程度です。
「ヒメオトギリ」と「Type3」は遺伝子的には全く別のものであることが分かっており、将来的には独立種として分けられることになりそうです。以下は花かんざしさんの「Type3」に言及しておられるブログページです。
「Type3の情報をお願いします。」

Fig.9 「ヒメオトギリ」と「Type3」の花の比較
フィールドで見ると両タイプには明瞭な差がありますが、標本にすると花は縮れて区別しづらくなります。関連ページとしてリンクしているメインサイトの「ヒメオトギリ」としているものは「Type3」のほうで、このページも改訂して「ヒメオトギリ」を併記する必要があります。
関連ページ 湿生植物・ヒメオトギリ

Fig.10 ゴマクサ (兵庫県播磨地方 2016.9/11)
溜池畔の湿地に群生しているもので、ここでは丈の低いものがカワラケツメイとともに群生していました。半寄生植物であるためか、同じ湿地内でもチガヤやヒメヒラテンツキ、メリケンカルカヤが群生する場所では枝を分けた大株となっています。
ここでは先の「Type3」のヒメオトギリが大群生していました。
関連ページ 湿生植物・ゴマクサ

Fig.11 ニオイタデ (兵庫県播磨地方 2016.9/11)
時期的にタイミングよく開花している花穂を見ることができました。
兵庫県版RDBではCランクとされていますが、ランクと比較するとあまり見る機会のない草本です。
関連ページ 湿生植物・ニオイタデ

Fig.12 オオホシクサ (兵庫県播磨地方 2016.9/11)
ニオイタデの近くではオオホシクサが点々と生育していました。
播磨地方では溜池畔でふつうに見られますが、他の地域では全く見かけない種です。
関連ページ 湿生植物・オオホシクサ

Fig.13 ヌマカゼクサ (兵庫県播磨地方 2016.9/11)
本種も播磨地方ではごくふつうに多産しますが、他の地域では全く見かけません。
同じイネ科のスズメノコビエも同様の偏在的な分布が見られます。
関連ページ 湿生植物・ヌマカゼクサ

Fig.14 タヌキマメ (兵庫県播磨地方 2016.9/11)
移動途中の小規模な湿地に、大きく育った個体の群生が見られました。
このあたりではふつうに見られますが、形態がユニークなので見つけると嬉しくなります。
ここでは同所的にタチカモメヅルも見られました。
関連ページ 湿生植物・タヌキマメ

Fig.15 イトイヌノヒゲ (兵庫県播磨地方 2016.9/11)
溜池土堤直下の湿地で群生していました。
栄養状態がよいのと、ヌマガヤ、イヌノハナヒゲなどの草丈の高い競合種が多いためか、長い花茎を伸ばして群生していました。
関連ページ 湿生植物・イトイヌノヒゲ

Fig.16 イガクサ (兵庫県播磨地方 2016.9/11)
イガクサは湿地環境と草原環境が交錯するような裸地状の場所でよく見かけます。
このような場所ではイトイヌノハナヒゲ、イトハナビテンツキ、カキラン、ヤマトキソウ、トウカイコモウセンゴケ、イシモチソウ、ヒナノカンザシ、オミナエシなどが混生していることが多いです。
関連ページ 湿生植物・イガクサ

Fig.17 イトテンツキ (兵庫県播磨地方 2016.9/11)
毎年継続観察しているイトテンツキの様子を見に行くとちょうど開花期でした。
各地で注意して探していますが、まだこの場所以外では見かけたことがなく非常に稀なもののようです。そろそろ兵庫県版RDBに記載するべきものでしょう。
関連ページ 湿生植物・イトテンツキ

Fig.18 ゴマナとツリフネソウ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
この日は初夏に自生を確認したロッカクイの標本採集と草原性植物の観察に、有志とともに但馬地方の高原地帯に。途中立ち寄った棚田の用水路脇は花盛りで、ゴマナ、ツリフネソウ、クロバナヒキオコシ、オタカラコウの花の競演が賑やかでした。
関連ページ 湿生植物・ツリフネソウ

Fig.19 オタカラコウを訪花したオオウラギンスジヒョウモン (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
昼からの活動に備えてオオウラギンスジヒョウモンがオタカラコウの花で腹ごしらえしていました。
蝶の吸蜜の撮影は午前中の早い時間が適しています。
関連ページ 湿生植物・オタカラコウ

Fig.20 マルバノサワトウガラシ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
このあたりの水田にはマルバノサワトウガラシが比較的ふつうに見られます。
刈り取り後の水田ですでに開花は見られず、草体は寒気で紅変しています。
関連ページ 湿生植物・マルバノサワトウガラシ

Fig.21 ロッカクイ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
野焼き直後のススキ草原を歩き回り、初夏の時点で確認していたロッカクイで、ススキ原をヤブ漕ぎして自生する湿地にたどり着きました。この地域のロッカクイは1967年以降の記録がなく、再確認が課題となっていましたが、ようやく確認・記録できました。
ロッカクイは日本全土で現状自生地が7ヶ所しかなく、うち2ヶ所が兵庫県内にあります。
関連ページ 湿生植物・ロッカクイ

Fig.22 ヒロハノドジョウツナギ (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
本種も但馬地方では1991年の記録を最後にして確認できておらず、但馬地方では絶滅したとされていたものです。特にこの地域のものは1937年以降の記録はありませんでした。
ロッカクイと同じ湿地に生育しており、最初は花茎をシカに齧られたものばかりで気づきませんでしたが、花序が完全なものを見つけて気づきました。ドジョウツナギとの雑種で同様な大きさとなるマンゴクドジョウツナギと違って、茎下方は倒伏・斜上せず、地下茎から太い茎(稈)を直立します。
同じ湿地にはオオヌマハリイも群生していますが、野生動物の撹乱が顕著でした。
関連ページ 湿生植物・ヒロハノドジョウツナギ

Fig.23 高原の撹乱の多い湿地 (兵庫県但馬地方 2016.9/17)
人為的撹乱の多いスキー場内の湿地では、ゴマナ、サワヒヨドリ、オタカラコウなどの秋の草花によるお花畑が出きていました。撹乱地であるためアブラガヤやエゾアブラガヤなどのカヤツリグサ科草本も多く見られます。
関連ページ 湿生植物・サワヒヨドリ
関連ページ 湿生植物・アブラガヤ
関連ページ 湿生植物・エゾアブラガヤ
category: 湿地・溜池
8月の湿地と溜池
2016/09/23 Fri. 17:11 [edit]
8月中に湿地や溜池で観察した湿生・水生植物と淡水藻類です。もっとも淡水藻類に関してはなかなか手が廻らず、よほど時間のある時でないと手が出せません。細かい作業を要する蘚苔類や淡水藻類はまだまだハードルが高いと感じます。
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大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。

Fig.1 溜池で開花したイヌタヌキモ (兵庫県篠山市 2016.8/6)
有志の観察会でヤマトミクリの自生する溜池に立ち寄りましたが、岸辺に群生していたものがほとんど見られなくなっていました。農家の方によるとヌートリアが侵入したとのことで、ヤマトミクリの根茎を好んで食べていたとのこと。とうとうこんな田舎の棚田にも侵入したかと茫然とする中、ヌートリアの撹乱によって濁った溜池の水面では無数のイヌタヌキモが開花していました。
関連ページ 浮遊植物・イヌタヌキモ

Fig.2 群生するハタベカンガレイ (兵庫県篠山市 2016.8/6)
兵庫県内では最も北にあるハタベカンガレイの自生地で、発見当初は数個体でしたが数年前にウェーダーを履いて撹乱したところ、池全体に生育領域が広がりました。
一般に湧水のある小河川での記録が多いのですが、近畿地方では溜池で発見される例がほとんどです。
関連ページ 抽水植物・ハタベカンガレイ

Fig.3 オトコゼリ (兵庫県篠山市 2016.8/6)
兵庫県内でも比較的稀な種ですが、兵庫県東部には西宮市から篠山市にわたって自生地が点在しています。キツネノボタンなどの近縁種と比べて草丈が高く、花が咲いていればすぐに分かります。
ここでは休耕田内に多数の個体が群生していました。
関連ページ 湿生植物・オトコゼリ

Fig.4 オモダカ (兵庫県三田市 2016.8/10)
休耕田に異常なほどの高密度に群生するオモダカのコロニーがありました。
他の草本の侵入を許さずほとんど純群落を形成していて、その見事さに思わず撮影してしまいました。
関連ページ 湿生植物・オモダカ

Fig.5 キカシグサとシャジクモ (兵庫県三田市 2016.8/10)
なんてこともない水中の小さな風景・・・でもこの佇まいがいいのです。
関連ページ 湿生植物・キカシグサ
関連ページ 淡水藻類・シャジクモ

Fig.6 ウキアゼナ (兵庫県三田市 2016.8/10)
帰化植物で、もとは水草として入ってきたもの。
すでに近郊ではふつうに見られるようになっています。
関連ページ 湿生植物・ウキアゼナ

Fig.7 ミツモトソウ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
沢の源頭部にある湿地に1花だけ咲いていました。
関連ページ 湿生植物・ミツモトソウ

Fig.8 コウヤワラビ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
山間湿地で胞子葉を上げ始めていました。
関連ページ 湿生植物・コウヤワラビ

Fig.9 トリゲモ (兵庫県播磨地方 2016.8/25)
兵庫県某所の溜池にあるトリゲモsp.がトリゲモではないかとの知らせを受け、確認しに行きました。
この池のものはオオトリゲモだろうくらいに思っていましたが、結果は全てトリゲモでした。
関連ページ 沈水植物・トリゲモ

Fig.10 トリゲモの雄花 (兵庫県播磨地方 2016.8/25)
雄花の全長は約1mm、葯室は1室で長さ0.5mmで、中の花粉粒が透けて見えます。
これに対してオオトリゲモは雄花の全長約2mm、葯室は4室で長さ約1.5mmと大型で肉眼でも確認できます。画像のマイクロメーターの1目盛は25μmです。

Fig.11 ヒシモドキ (兵庫県播磨地方 2016.8/25)
今年は昨年に比べてヒシモドキの生育領域が少し狭まっており、オニバスも発生していませんでした。
ウェーダーを履いての人力撹乱に効果があるかどうか分かりませんが、底を掻き回すように歩いておきました。
関連ページ 浮葉植物・ヒシモドキ

Fig.12 ヒルムシロ (兵庫県播磨地方 2016.8/25)
中栄養な溜池でよく見かける浮葉植物ですが、個体数はわずかでした。
関連ページ 浮葉植物・ヒルムシロ

Fig.13 クロモ (兵庫県播磨地方 2016.8/25)
水面上で雌花が開花していないか注意して見ましたが、見当たりませんでした。
雌雄異株タイプの雄株なのでしょう。画像の底面を覆っているのはフラスコモの仲間です。
関連ページ 沈水植物・クロモ

Fig.14 フラスコモsp. (兵庫県播磨地方 2016.8/25)
前出の溜池底面を覆っているフラスコモsp.を少し持ち帰って調べてみました。
ちなみに昨年は底面を覆い隠すほど繁茂していませんでした。
第1分射枝は4本、第2分射枝は5~7本、第3分射枝は4本程度です。

Fig.15 フラスコモsp.の細部 (兵庫県播磨地方 2016.8/25)
最終枝は2細胞。雌器は単生~群生し螺旋は5~6本。雄器は径240μ。
卵胞子は黄褐色で長さ250μ程度、螺旋は6本。卵胞子膜はほとんど平滑に見える。
この手のフラスコモの同定は自信ありませんが、ナガフラスコモではないかと思っています。

Fig.16 カミガモソウ (兵庫県播磨地方 2016.8/25)
シカの多い地域でヤマビルも多いと聞いていたので、太陽の照りつける最も暑い時間帯に現地に出掛けました。山中の休耕田はシカの食害によってハイチゴザサ、ハリイ、イヌノヒゲ、ミズユキノシタなどの草丈の低い草本で占められ、そこにカミガモソウが点在していました。
数日間降雨もなく、カンカン照りだったこともあり、ヤマビルに悩まされることなくゆっくり観察できました。

Fig.17 カミガモソウの花 (兵庫県播磨地方 2016.8/25)
花はかなり地味で、同じオオバコ科(旧ゴマノハグサ科)のシソクサやオオアブノメに似た感じです。
他の場所にもあってよさそうなものですが、この一帯でしか見られません。

Fig.18 タヌキモ (兵庫県播磨地方 2016.8/25)
毎年様子を見にくる場所ですが、まだ1度も開花しているのが見られません。
山間の溜池でガガブタも生育していますが、栄養分が足りないのかもしれません。

Fig.19 ホッスモとイトシャジクモ (兵庫県播磨地方 2016.8/25)
クログワイやカンガレイが生育する浅い溜池で生育していました。
ホッスモはふつうに見られますが、イトシャジクモが見られる場所はあまりありません。
関連ページ 沈水植物・ホッスモ
関連ページ 淡水藻類・イトシャジクモ
*画像クリックで、別ウィンドで表示されます。
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Fig.1 溜池で開花したイヌタヌキモ (兵庫県篠山市 2016.8/6)
有志の観察会でヤマトミクリの自生する溜池に立ち寄りましたが、岸辺に群生していたものがほとんど見られなくなっていました。農家の方によるとヌートリアが侵入したとのことで、ヤマトミクリの根茎を好んで食べていたとのこと。とうとうこんな田舎の棚田にも侵入したかと茫然とする中、ヌートリアの撹乱によって濁った溜池の水面では無数のイヌタヌキモが開花していました。
関連ページ 浮遊植物・イヌタヌキモ

Fig.2 群生するハタベカンガレイ (兵庫県篠山市 2016.8/6)
兵庫県内では最も北にあるハタベカンガレイの自生地で、発見当初は数個体でしたが数年前にウェーダーを履いて撹乱したところ、池全体に生育領域が広がりました。
一般に湧水のある小河川での記録が多いのですが、近畿地方では溜池で発見される例がほとんどです。
関連ページ 抽水植物・ハタベカンガレイ

Fig.3 オトコゼリ (兵庫県篠山市 2016.8/6)
兵庫県内でも比較的稀な種ですが、兵庫県東部には西宮市から篠山市にわたって自生地が点在しています。キツネノボタンなどの近縁種と比べて草丈が高く、花が咲いていればすぐに分かります。
ここでは休耕田内に多数の個体が群生していました。
関連ページ 湿生植物・オトコゼリ

Fig.4 オモダカ (兵庫県三田市 2016.8/10)
休耕田に異常なほどの高密度に群生するオモダカのコロニーがありました。
他の草本の侵入を許さずほとんど純群落を形成していて、その見事さに思わず撮影してしまいました。
関連ページ 湿生植物・オモダカ

Fig.5 キカシグサとシャジクモ (兵庫県三田市 2016.8/10)
なんてこともない水中の小さな風景・・・でもこの佇まいがいいのです。
関連ページ 湿生植物・キカシグサ
関連ページ 淡水藻類・シャジクモ

Fig.6 ウキアゼナ (兵庫県三田市 2016.8/10)
帰化植物で、もとは水草として入ってきたもの。
すでに近郊ではふつうに見られるようになっています。
関連ページ 湿生植物・ウキアゼナ

Fig.7 ミツモトソウ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
沢の源頭部にある湿地に1花だけ咲いていました。
関連ページ 湿生植物・ミツモトソウ

Fig.8 コウヤワラビ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
山間湿地で胞子葉を上げ始めていました。
関連ページ 湿生植物・コウヤワラビ

Fig.9 トリゲモ (兵庫県播磨地方 2016.8/25)
兵庫県某所の溜池にあるトリゲモsp.がトリゲモではないかとの知らせを受け、確認しに行きました。
この池のものはオオトリゲモだろうくらいに思っていましたが、結果は全てトリゲモでした。
関連ページ 沈水植物・トリゲモ

Fig.10 トリゲモの雄花 (兵庫県播磨地方 2016.8/25)
雄花の全長は約1mm、葯室は1室で長さ0.5mmで、中の花粉粒が透けて見えます。
これに対してオオトリゲモは雄花の全長約2mm、葯室は4室で長さ約1.5mmと大型で肉眼でも確認できます。画像のマイクロメーターの1目盛は25μmです。

Fig.11 ヒシモドキ (兵庫県播磨地方 2016.8/25)
今年は昨年に比べてヒシモドキの生育領域が少し狭まっており、オニバスも発生していませんでした。
ウェーダーを履いての人力撹乱に効果があるかどうか分かりませんが、底を掻き回すように歩いておきました。
関連ページ 浮葉植物・ヒシモドキ

Fig.12 ヒルムシロ (兵庫県播磨地方 2016.8/25)
中栄養な溜池でよく見かける浮葉植物ですが、個体数はわずかでした。
関連ページ 浮葉植物・ヒルムシロ

Fig.13 クロモ (兵庫県播磨地方 2016.8/25)
水面上で雌花が開花していないか注意して見ましたが、見当たりませんでした。
雌雄異株タイプの雄株なのでしょう。画像の底面を覆っているのはフラスコモの仲間です。
関連ページ 沈水植物・クロモ

Fig.14 フラスコモsp. (兵庫県播磨地方 2016.8/25)
前出の溜池底面を覆っているフラスコモsp.を少し持ち帰って調べてみました。
ちなみに昨年は底面を覆い隠すほど繁茂していませんでした。
第1分射枝は4本、第2分射枝は5~7本、第3分射枝は4本程度です。

Fig.15 フラスコモsp.の細部 (兵庫県播磨地方 2016.8/25)
最終枝は2細胞。雌器は単生~群生し螺旋は5~6本。雄器は径240μ。
卵胞子は黄褐色で長さ250μ程度、螺旋は6本。卵胞子膜はほとんど平滑に見える。
この手のフラスコモの同定は自信ありませんが、ナガフラスコモではないかと思っています。

Fig.16 カミガモソウ (兵庫県播磨地方 2016.8/25)
シカの多い地域でヤマビルも多いと聞いていたので、太陽の照りつける最も暑い時間帯に現地に出掛けました。山中の休耕田はシカの食害によってハイチゴザサ、ハリイ、イヌノヒゲ、ミズユキノシタなどの草丈の低い草本で占められ、そこにカミガモソウが点在していました。
数日間降雨もなく、カンカン照りだったこともあり、ヤマビルに悩まされることなくゆっくり観察できました。

Fig.17 カミガモソウの花 (兵庫県播磨地方 2016.8/25)
花はかなり地味で、同じオオバコ科(旧ゴマノハグサ科)のシソクサやオオアブノメに似た感じです。
他の場所にもあってよさそうなものですが、この一帯でしか見られません。

Fig.18 タヌキモ (兵庫県播磨地方 2016.8/25)
毎年様子を見にくる場所ですが、まだ1度も開花しているのが見られません。
山間の溜池でガガブタも生育していますが、栄養分が足りないのかもしれません。

Fig.19 ホッスモとイトシャジクモ (兵庫県播磨地方 2016.8/25)
クログワイやカンガレイが生育する浅い溜池で生育していました。
ホッスモはふつうに見られますが、イトシャジクモが見られる場所はあまりありません。
関連ページ 沈水植物・ホッスモ
関連ページ 淡水藻類・イトシャジクモ
category: 湿地・溜池
8月の山と高原で
2016/09/19 Mon. 22:39 [edit]
ようやく通常ペースのブログ更新ができるようになってきました。 今回は8月の山地やススキの取材に出掛けた草原で出会った植物や昆虫類が多くなりました。草原環境は管理放棄や遷移によって昭和~平成にかけて急激に減少し、それにより草原環境に依存する草本の多くが危機的状況にあります。生物多様性が注目されつつありますが、前時代的な農業が衰退することにより、草原が失われつつある状況に変わりありません。
今後はHPに湿生・水生植物とともに草原性草本にも力を入れたコンテンツを増やしていく予定です。
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Fig.1 ニシノヤマタイミンガサ (兵庫県但馬地方 2016.8/4)
但馬での着生ランの調査後に自生地を案内して頂きました。
タイミンガサと比べて華奢な感じで、花茎は1本しか上げていませんでした。
シカの忌避植物で生き残っているようで、周辺では同じくシカの忌避植物であるサワルリソウが群生していました。

Fig.2 オオキヌタソウ (兵庫県但馬地方 2016.8/4)
着生ラン調査地の林床に生育していたもので、果実が熟しかかっていました。
キヌタソウよりもかなり大型で、兵庫県では深山の林床にやや稀に見られます。
周辺にはミヤマムグラやミヤマヤブタバコなどのあまり見られない草本も生育していました。

Fig.3 クロナガキマワリ (兵庫県但馬地方 2016.8/4)
キマワリは身近にふつうに見かけますが、本種は山地でないと見られません。
林道脇にあった朽ちた伐採木上を歩いていました。

Fig.4 ツマグロキチョウ (兵庫県篠山市 2016.8/6)
夏型のペアが交尾しているのが農道の土手で見られました。
農道の土手は二次的自然環境がよく保持されており、食草であるカワラケツメイが群生し、スズサイコ、ナルコビエが生育していました。ツマグロキチョウはかつては普通でしたが、現在ではあまり見かけず、環境省絶滅危惧ⅠB類(EN)に指定されています。

Fig.5 ヒオウギ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
ススキの取材のため、但馬地方の高原地帯へ出掛けました。
高原のススキ草原へ向かう途中、棚田の土手でヒオウギが開花していました。
シカの忌避植物であるため、他の草本が食害を受ける中でも残存している種です。
関連ページ 関西の花・ヒオウギ

Fig.5 クロバナヒキオコシ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
但馬地方では林縁でも草原でも農地の土手でもよく見かける種です。
どちらかというと秋の花ですが、開花の走りが出ていました。
関連ページ 関西の花・クロバナヒキオコシ

Fig.6 オオアブラススキ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
オオアブラススキはススキに先立って出穂します。
8月中旬にこのススキ草原に来たのは初めてで、オオアブラススキがこれほど多いとは思いませんでした。9月に入ってススキが出穂すると、それほど目立たなくなります。
関連ページ 関西の花・オオアブラススキ

Fig.7 ススキ原の表層に見られる黒ボク土 (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
黒ボク土は野焼きや焼畑農耕が行われた痕跡で、火山灰や褐色森林土に微粒炭が混じったものです。
世界的には稀な土壌で、日本とニュージーランドに分布し、ニュージーランドのものは移住してきたマオリ族の焼畑農耕に由来することが分かっています。
日本では多くの場所で約1万年前の縄文時代から堆積が始まっており、静岡県の愛鷹山山麓では火山灰層をはさみながら、約4万年前の旧石器時代の地層にも確認されています。

Fig.8 コオニユリ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
兵庫県南部では少ないコオニユリですが、北部では高原の草原や海崖の風衡草地でよく見られます。
オニユリと違ってムカゴを作らず、捻性があって、種子で繁殖します。
関連ページ 関西の花・コオニユリ

Fig.9 キセワタ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
最初はメハジキかと思いましたが、よく見るとキセワタでここで出会えるとは思ってもいませんでした。草原環境の減少とともに、急激に見られなくなった種で、ほとんどの都道府県で絶滅危惧種に指定されています。兵庫県版RDBでもBランクとなっており、6年振りに出会いました。

Fig.10 クサボタン (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
兵庫県では北部高原地帯の草原や林縁に生育する種で、ススキ草原の縁などに点在しています。
シカの忌避植物で群生するとそれなりに美しいのですが、兵庫県ではそのような場所はありません。

Fig.11 ムカゴソウ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
非常に地味な草本ですが、草原環境に依存しており、全国的に急激に減少している種です。
満鮮要素と呼ばれる大陸内部起源の草本で、兵庫県では野焼きが行われるススキ草原や、ハゲ山地帯に残存しています。このススキ草原では野焼きが行われるため、ススキ草原内で点在しています。
関連ページ 関西の花・ムカゴソウ

Fig.12 オオナンバンギセル (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
低地ではナンバンギセルをよく見かけますが、高原のススキ草原ではより大型のオオナンバンギセルが見られます。ここではオオナンバンギセルは野焼きの行われない場所で見られましたが、他の場所ではどうなのでしょうか?

Fig.13 クロルリトゲハムシ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
かつてはクロルリトゲトゲと呼称されていたススキを食草とするユニークなハムシです。
高原地帯のススキ草原に生育し、葉表の表皮細胞を線状に食していき、画像でもその様子が見られます。新称のトゲハムシよりもトゲトゲのほうがユニークでインパクトがあって好きなのですがねえ。

Fig.14 ミヤマチャバネセセリ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
草原環境の減少により低地ではほとんど見られなくなっている種ですが、ここでは健在でした。
この日は同様に減少しているギンイチモンジセセリも見られましたが、残念ながら撮影する隙を与えてくれませんでした。

Fig.15 ダイミョウセセリ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
低地でも見かけるヤマノイモ科ヤマノイモ属を食草とする蝶で、ここでは沢山飛び交っていました。

Fig.16 ヤマキマダラヒカゲ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
里山に見られるサトキマダラヒカゲに対して、山地寄りに生育するのでヤマキマダラヒカゲ。
両種は後翅の斑紋や眼状紋で区別し、なかなか微妙ですが、これはヤマキマダラヒカゲで間違いないでしょう。ここではヒメキマダラヒカゲ、ヒカゲチョウ、ジャノメチョウなどと混生していました。
まだ兵庫県内でキマダラモドキやオオヒカゲは見たことがありません。

Fig.17 ヤマクダマキモドキ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
里山では樹上でサトクダマキモドキを見かけますが、ここではササ原でヤマクダマキモドキと出会いました。ヤマクダマキモドキは前脚や中脚が褐色を帯びるのが特徴です。

Fig.18 シナノキの大木の着生シダ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
炎天下の中、ススキ草原の外れにはシナノキの大木が心地よい日陰を作っていてくれました。
樹幹にはオシャグジデンダとミヤマノキシノブが着生していました。
木陰は適湿な環境になっていて、ハコネシケチシダ、トガリバイヌワラビ、フタリシズカ、モミジガサが目立っていました。
関連ページ 関西の花/シダ・オシャグジデンダ
関連ページ 関西の花/シダ・ミヤマノキシノブ

Fig.19 カリガネソウ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
温帯林の林床でカリガネソウが開花し始めていました。
とてもユニークな花で、しばしば見るのですが、詰めが甘くてまだページが作れていません。

Fig.20 マルバノホロシ (兵庫県篠山市 2016.8/24)
丹波地方では林床でマルバノホロシとヤマホロシを見ますが、マルバノホロシのほうがふつうに見られます。マルバノホロシは下方の葉でも裂葉とならず、葉面には突起はあるが毛はなく、花冠基部は緑色となります。

Fig.21 キツネノカミソリ (兵庫県篠山市 2016.8/24)
8月初め頃から開花が始まりますが、個体によって開花期にギャップがあり、8月下旬まで花が見られます。8月下旬、この自生地では熟しつつある蒴果も観察できました。
本種についても詰めが甘くて、未だにページが立ち上げられません。

Fig.22 アオマツムシ (兵庫県播磨地方 2016.8/25)
播磨地方の溜池を廻る途上、ヒメクラマゴケ観察のためにとある社寺に立ち寄ったところ、駐車場のフェンスに絡まるカエデドコロの葉上でアオマツムシを見つけました。
アオマツムシは明治時代に中国大陸から帰化した外来種と言われており、街路樹で大きな音でやかましく鳴きます。鳴き声にマツムシのような奥ゆかしさと風情はありません。見つけて捕獲しても、室内で飼育することはお勧めできません。

Fig.23 マツムシソウ (兵庫県神戸市 2016.8/30)
この日は毎年恒例となった神戸市主催の草原性植物観察会のガイドをさせて頂きました。
天候が良好で、ハイライトは兵庫県ではごく稀少となったマツムシソウの観察。
この花を見ると霧が峰や美ヶ原の広大な草原を彷徨したことを思い出します。

Fig.24 ツルフジバカマ (兵庫県神戸市 2016.8/30)
観察会終了後、県内唯一のツルフジバカマの自生地へと移動。
これまで何度か訪れていますが、生育範囲は少しずつ広がっているように思います。
草深い場所ですが、ツルフジバカマは周囲の草本を足場として利用して広がっていました。

Fig.25 オオホソバシケシダ? (兵庫県神戸市 2016.8/30)
帰途、雑種の疑いのある怪しげなホソバシケシダが生育する場所に立ち寄りました。
ふつうのホソバシケシダであれば胞子嚢が充実している時期です。
斜上している胞子葉を持ち帰りソーラスを調べてみました。

Fig.26 オオホソバシケシダのソーラス (兵庫県神戸市 2016.8/30)
胞子嚢は空だったり、小さく萎縮していたり、平板であったりして正常な胞子は形成されていませんでした。包膜は全縁ではなく、縁が細裂しています。ホソバシケシダとシケシダの種間雑種であるオオホソバシケシダと結論付けることができそうです。
今後はHPに湿生・水生植物とともに草原性草本にも力を入れたコンテンツを増やしていく予定です。
*画像クリックで、別ウィンドで表示されます。
FC2ブログの仕様が変わったのか、リンク先で大きな画像が表示されなくなってしまいました。
大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。

Fig.1 ニシノヤマタイミンガサ (兵庫県但馬地方 2016.8/4)
但馬での着生ランの調査後に自生地を案内して頂きました。
タイミンガサと比べて華奢な感じで、花茎は1本しか上げていませんでした。
シカの忌避植物で生き残っているようで、周辺では同じくシカの忌避植物であるサワルリソウが群生していました。

Fig.2 オオキヌタソウ (兵庫県但馬地方 2016.8/4)
着生ラン調査地の林床に生育していたもので、果実が熟しかかっていました。
キヌタソウよりもかなり大型で、兵庫県では深山の林床にやや稀に見られます。
周辺にはミヤマムグラやミヤマヤブタバコなどのあまり見られない草本も生育していました。

Fig.3 クロナガキマワリ (兵庫県但馬地方 2016.8/4)
キマワリは身近にふつうに見かけますが、本種は山地でないと見られません。
林道脇にあった朽ちた伐採木上を歩いていました。

Fig.4 ツマグロキチョウ (兵庫県篠山市 2016.8/6)
夏型のペアが交尾しているのが農道の土手で見られました。
農道の土手は二次的自然環境がよく保持されており、食草であるカワラケツメイが群生し、スズサイコ、ナルコビエが生育していました。ツマグロキチョウはかつては普通でしたが、現在ではあまり見かけず、環境省絶滅危惧ⅠB類(EN)に指定されています。

Fig.5 ヒオウギ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
ススキの取材のため、但馬地方の高原地帯へ出掛けました。
高原のススキ草原へ向かう途中、棚田の土手でヒオウギが開花していました。
シカの忌避植物であるため、他の草本が食害を受ける中でも残存している種です。
関連ページ 関西の花・ヒオウギ

Fig.5 クロバナヒキオコシ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
但馬地方では林縁でも草原でも農地の土手でもよく見かける種です。
どちらかというと秋の花ですが、開花の走りが出ていました。
関連ページ 関西の花・クロバナヒキオコシ

Fig.6 オオアブラススキ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
オオアブラススキはススキに先立って出穂します。
8月中旬にこのススキ草原に来たのは初めてで、オオアブラススキがこれほど多いとは思いませんでした。9月に入ってススキが出穂すると、それほど目立たなくなります。
関連ページ 関西の花・オオアブラススキ

Fig.7 ススキ原の表層に見られる黒ボク土 (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
黒ボク土は野焼きや焼畑農耕が行われた痕跡で、火山灰や褐色森林土に微粒炭が混じったものです。
世界的には稀な土壌で、日本とニュージーランドに分布し、ニュージーランドのものは移住してきたマオリ族の焼畑農耕に由来することが分かっています。
日本では多くの場所で約1万年前の縄文時代から堆積が始まっており、静岡県の愛鷹山山麓では火山灰層をはさみながら、約4万年前の旧石器時代の地層にも確認されています。

Fig.8 コオニユリ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
兵庫県南部では少ないコオニユリですが、北部では高原の草原や海崖の風衡草地でよく見られます。
オニユリと違ってムカゴを作らず、捻性があって、種子で繁殖します。
関連ページ 関西の花・コオニユリ

Fig.9 キセワタ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
最初はメハジキかと思いましたが、よく見るとキセワタでここで出会えるとは思ってもいませんでした。草原環境の減少とともに、急激に見られなくなった種で、ほとんどの都道府県で絶滅危惧種に指定されています。兵庫県版RDBでもBランクとなっており、6年振りに出会いました。

Fig.10 クサボタン (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
兵庫県では北部高原地帯の草原や林縁に生育する種で、ススキ草原の縁などに点在しています。
シカの忌避植物で群生するとそれなりに美しいのですが、兵庫県ではそのような場所はありません。

Fig.11 ムカゴソウ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
非常に地味な草本ですが、草原環境に依存しており、全国的に急激に減少している種です。
満鮮要素と呼ばれる大陸内部起源の草本で、兵庫県では野焼きが行われるススキ草原や、ハゲ山地帯に残存しています。このススキ草原では野焼きが行われるため、ススキ草原内で点在しています。
関連ページ 関西の花・ムカゴソウ

Fig.12 オオナンバンギセル (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
低地ではナンバンギセルをよく見かけますが、高原のススキ草原ではより大型のオオナンバンギセルが見られます。ここではオオナンバンギセルは野焼きの行われない場所で見られましたが、他の場所ではどうなのでしょうか?

Fig.13 クロルリトゲハムシ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
かつてはクロルリトゲトゲと呼称されていたススキを食草とするユニークなハムシです。
高原地帯のススキ草原に生育し、葉表の表皮細胞を線状に食していき、画像でもその様子が見られます。新称のトゲハムシよりもトゲトゲのほうがユニークでインパクトがあって好きなのですがねえ。

Fig.14 ミヤマチャバネセセリ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
草原環境の減少により低地ではほとんど見られなくなっている種ですが、ここでは健在でした。
この日は同様に減少しているギンイチモンジセセリも見られましたが、残念ながら撮影する隙を与えてくれませんでした。

Fig.15 ダイミョウセセリ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
低地でも見かけるヤマノイモ科ヤマノイモ属を食草とする蝶で、ここでは沢山飛び交っていました。

Fig.16 ヤマキマダラヒカゲ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
里山に見られるサトキマダラヒカゲに対して、山地寄りに生育するのでヤマキマダラヒカゲ。
両種は後翅の斑紋や眼状紋で区別し、なかなか微妙ですが、これはヤマキマダラヒカゲで間違いないでしょう。ここではヒメキマダラヒカゲ、ヒカゲチョウ、ジャノメチョウなどと混生していました。
まだ兵庫県内でキマダラモドキやオオヒカゲは見たことがありません。

Fig.17 ヤマクダマキモドキ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
里山では樹上でサトクダマキモドキを見かけますが、ここではササ原でヤマクダマキモドキと出会いました。ヤマクダマキモドキは前脚や中脚が褐色を帯びるのが特徴です。

Fig.18 シナノキの大木の着生シダ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
炎天下の中、ススキ草原の外れにはシナノキの大木が心地よい日陰を作っていてくれました。
樹幹にはオシャグジデンダとミヤマノキシノブが着生していました。
木陰は適湿な環境になっていて、ハコネシケチシダ、トガリバイヌワラビ、フタリシズカ、モミジガサが目立っていました。
関連ページ 関西の花/シダ・オシャグジデンダ
関連ページ 関西の花/シダ・ミヤマノキシノブ

Fig.19 カリガネソウ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
温帯林の林床でカリガネソウが開花し始めていました。
とてもユニークな花で、しばしば見るのですが、詰めが甘くてまだページが作れていません。

Fig.20 マルバノホロシ (兵庫県篠山市 2016.8/24)
丹波地方では林床でマルバノホロシとヤマホロシを見ますが、マルバノホロシのほうがふつうに見られます。マルバノホロシは下方の葉でも裂葉とならず、葉面には突起はあるが毛はなく、花冠基部は緑色となります。

Fig.21 キツネノカミソリ (兵庫県篠山市 2016.8/24)
8月初め頃から開花が始まりますが、個体によって開花期にギャップがあり、8月下旬まで花が見られます。8月下旬、この自生地では熟しつつある蒴果も観察できました。
本種についても詰めが甘くて、未だにページが立ち上げられません。

Fig.22 アオマツムシ (兵庫県播磨地方 2016.8/25)
播磨地方の溜池を廻る途上、ヒメクラマゴケ観察のためにとある社寺に立ち寄ったところ、駐車場のフェンスに絡まるカエデドコロの葉上でアオマツムシを見つけました。
アオマツムシは明治時代に中国大陸から帰化した外来種と言われており、街路樹で大きな音でやかましく鳴きます。鳴き声にマツムシのような奥ゆかしさと風情はありません。見つけて捕獲しても、室内で飼育することはお勧めできません。

Fig.23 マツムシソウ (兵庫県神戸市 2016.8/30)
この日は毎年恒例となった神戸市主催の草原性植物観察会のガイドをさせて頂きました。
天候が良好で、ハイライトは兵庫県ではごく稀少となったマツムシソウの観察。
この花を見ると霧が峰や美ヶ原の広大な草原を彷徨したことを思い出します。

Fig.24 ツルフジバカマ (兵庫県神戸市 2016.8/30)
観察会終了後、県内唯一のツルフジバカマの自生地へと移動。
これまで何度か訪れていますが、生育範囲は少しずつ広がっているように思います。
草深い場所ですが、ツルフジバカマは周囲の草本を足場として利用して広がっていました。

Fig.25 オオホソバシケシダ? (兵庫県神戸市 2016.8/30)
帰途、雑種の疑いのある怪しげなホソバシケシダが生育する場所に立ち寄りました。
ふつうのホソバシケシダであれば胞子嚢が充実している時期です。
斜上している胞子葉を持ち帰りソーラスを調べてみました。

Fig.26 オオホソバシケシダのソーラス (兵庫県神戸市 2016.8/30)
胞子嚢は空だったり、小さく萎縮していたり、平板であったりして正常な胞子は形成されていませんでした。包膜は全縁ではなく、縁が細裂しています。ホソバシケシダとシケシダの種間雑種であるオオホソバシケシダと結論付けることができそうです。
category: 8月の花
初夏の野草料理
2016/09/13 Tue. 17:25 [edit]
「自然を食べる」シリーズの第4弾ですが、今年はジュンサイやウワバミソウを取っている時間がなく、今回は短いコンテンツになりました。キノコについても紹介してますが、野性キノコには非常に毒性の強いものもあるので、種の特定には専門家か経験豊富なインストラクターが開催する講習会などでしっかり学んでください。野草料理は自己責任でお願いいたします。
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ヤブカンゾウ

Fig.1 開花し始めたヤブカンゾウ (西宮市 2011.7/15)
ヤブカンゾウは史前帰化植物とされ、3倍体で雄蕊は花弁化し、結実は見られません。
春先の新芽、開花期のつぼみが食用となり、恐らく食用として持ち込まれたものでしょう。
開花期のつぼみはクセがなく、ほのかな甘味があって様々な料理に利用できます。
大量に採取したら蒸して乾燥させると、中華料理の「金針菜」と同じように利用できる。

Fig.2 ヤブカンゾウの花茎とつぼみの煮浸し
暑い日は煮浸しにして冷やして頂きます。
茎がやわらかそうだったので、一緒に調理してみましたが、風味に乏しいので、つぼみのほうが利用価値が高いと感じました。そのほうが後々つぼみの収量も増えることになります。
【調理法】
油揚げを熱湯で油抜きして、細めのひとくちサイズに切る。
ヤブカンゾウのつぼみと花茎は洗っておく。
鍋に
出し汁 150ml
醤油 小匙1
酒 大匙1
味醂 大匙1
黒糖 少々
を入れて煮立て、沸騰したら油揚げと花茎を入れて2分煮る。
2分経ったらつぼみを入れて2分煮て火から下ろし、放置して冷ます。
粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やす。
食す際に刻んだ小葱、茗荷、大葉、生姜などを散らしてもよい。
・ポイント
特に気をつける点はなく、ナスやオクラやキノコと組み合わせても美味しい。

Fig.3 サワラとヤブカンゾウのつぼみの蒸し物
あっさりしていて、食欲の無い時でも美味しく食べれます。
【調理法】
ヤブカンゾウのつぼみは洗って斜めに2等分しておく。
サワラはほとんど臭みがないので、料理直前に塩コショウする。
鍋またはフライパンにサワラを入れ、上からヤブカンゾウをのせ、酒大匙4を入れて火に掛け、蓋をして弱中火にして15~20分蒸し焼きにする。
蒸しあがったら皿にサワラを並べ、上にヤブカンゾウをのせ、食べる直前にポン酢をかける。
・ポイント
臭みの少ない白味魚であればどんな魚でもOK。
ヤブカンゾウのつぼみをたっぷりと使うこと。

Fig.4 ヤブカンゾウのつぼみとフィノッキオのコンソメ・スープ
フィノッキオは若いフェンネルを香味野菜として収穫したもの。コールスローにすると美味しい食材。
若いセロリとはまた違った風味があり、初夏に店頭に並んでいることがあります。
【調理法】
ヤブカンゾウのつぼみは洗っておく。
フィノッキオは細かい輪切りにする。フェンネルを利用する場合は細かく刻む。
鍋に水とコンソメ(水400ccにつきキューブ1個)を入れ、沸騰したら刻んだフィノッキオを入れて好みの柔らかさ一歩手前まで煮る。
ヤブカンゾウのつぼみを入れて、好みの硬さまで煮る。
・ポイント
あっさりしたスープなので、濃厚にしたい時はベーコンやサルシッチャを入れたり、淡白な魚介類を入れても。水分を減らして、フィノッキオとつぼみの量増やし、魚介類を一緒に煮てフードプロセッサーにかけると複雑な味わいのポタージュができます。

Fig.5 ヤブカンゾウのつぼみのフライ
ヤブカンゾウのつぼみはアスパラガスの穂先と同様に扱って大丈夫です。
ふつうにフライにして、早めに上げればいいです。
タマゴタケ

Fig.6 タマゴタケ (神戸市 2014.9/17)
タマゴタケはテングタケの仲間ではほとんど唯一食用となるキノコで、他の多くの種は有毒で、知識がなければリスクが高いと言えます。
シャキシャキと歯応えの良い食菌ですが、類似のベニテングタケやタマゴタケモドキは毒性が強いので同定の自信の無い方は手を出さないでください。
低地での発生は秋になりますが、六甲山系の中腹以上では7月から発生が見られます。

Fig.7 キノコ、ヤブカンゾウ、豆腐のサンラータン
猛暑の気候にぴったりの生姜とラー油の利いた冷めても美味しい主菜です。
兵庫県内のフィールドではタマゴタケはそれほど多くは獲れないので、他のキノコで補います。
アラゲキクラゲが獲れたので、それと市販のハタケシメジとシイタケを加えました。
【調理法】
タマゴタケの収量は不安定なので、ここではヤブカンゾウのつぼみをメインとした分量を記します。
挽き肉 60g ・ ヤブカンゾウのつぼみ 20個
キクラゲ細切り 10g ・ キノコ類 20g
豆腐 1/2丁 ・ 生姜 2片 ・ 炒め用油 大匙1 ・ 水 600cc
●酒 大匙1 ●塩 ●鶏ガラスープの素 小匙2 ●醤油 小匙2
○黒酢 小匙3 ○黒コショウ 小匙1/4
水溶きカタクリ粉(カタクリ粉大匙2:水40cc)
ラー油 適量
鍋に油を敷き、生姜を炒め、香りが立ったら挽き肉を炒める。
挽き肉が白っぽくなったら、キクラゲとキノコ類を入れて炒める。
キノコに油がまわったらヤブカンゾウのつぼみを入れて炒める。
2分ほど炒めたら水600ccを入れ、●を左から順に入れ弱火にかける。
適当に切った豆腐と○を加え、沸騰したら水溶きカタクリ粉を入れる。
器に入れて、お好みの量のラー油を入れる。
・ポイント
さっぱりとした味付けでタマゴタケのシャキシャキ感を楽しみます。
ダイモンジソウ・イワタバコ

Fig.8 ダイモンジソウの葉 (神戸市 2016.7/16)
ダイモンジソウは大きな個体から葉を2枚だけ採取します。

Fig.9 イワタバコ (神戸市 2016.7/16)
イワタバコは大きな個体から葉を1枚だけ採取します。

Fig.10 初夏の野草の天ぷら
皿の下から時計周りにダイモンジソウ、ウドの穂先、マタタビのつる先、イワタバコ、中央はヤブカンゾウのつぼみ。
おまけの1皿

Fig.11 アミガサタケと鱒のクリームパスタ
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大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。
ヤブカンゾウ

Fig.1 開花し始めたヤブカンゾウ (西宮市 2011.7/15)
ヤブカンゾウは史前帰化植物とされ、3倍体で雄蕊は花弁化し、結実は見られません。
春先の新芽、開花期のつぼみが食用となり、恐らく食用として持ち込まれたものでしょう。
開花期のつぼみはクセがなく、ほのかな甘味があって様々な料理に利用できます。
大量に採取したら蒸して乾燥させると、中華料理の「金針菜」と同じように利用できる。

Fig.2 ヤブカンゾウの花茎とつぼみの煮浸し
暑い日は煮浸しにして冷やして頂きます。
茎がやわらかそうだったので、一緒に調理してみましたが、風味に乏しいので、つぼみのほうが利用価値が高いと感じました。そのほうが後々つぼみの収量も増えることになります。
【調理法】
油揚げを熱湯で油抜きして、細めのひとくちサイズに切る。
ヤブカンゾウのつぼみと花茎は洗っておく。
鍋に
出し汁 150ml
醤油 小匙1
酒 大匙1
味醂 大匙1
黒糖 少々
を入れて煮立て、沸騰したら油揚げと花茎を入れて2分煮る。
2分経ったらつぼみを入れて2分煮て火から下ろし、放置して冷ます。
粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やす。
食す際に刻んだ小葱、茗荷、大葉、生姜などを散らしてもよい。
・ポイント
特に気をつける点はなく、ナスやオクラやキノコと組み合わせても美味しい。

Fig.3 サワラとヤブカンゾウのつぼみの蒸し物
あっさりしていて、食欲の無い時でも美味しく食べれます。
【調理法】
ヤブカンゾウのつぼみは洗って斜めに2等分しておく。
サワラはほとんど臭みがないので、料理直前に塩コショウする。
鍋またはフライパンにサワラを入れ、上からヤブカンゾウをのせ、酒大匙4を入れて火に掛け、蓋をして弱中火にして15~20分蒸し焼きにする。
蒸しあがったら皿にサワラを並べ、上にヤブカンゾウをのせ、食べる直前にポン酢をかける。
・ポイント
臭みの少ない白味魚であればどんな魚でもOK。
ヤブカンゾウのつぼみをたっぷりと使うこと。

Fig.4 ヤブカンゾウのつぼみとフィノッキオのコンソメ・スープ
フィノッキオは若いフェンネルを香味野菜として収穫したもの。コールスローにすると美味しい食材。
若いセロリとはまた違った風味があり、初夏に店頭に並んでいることがあります。
【調理法】
ヤブカンゾウのつぼみは洗っておく。
フィノッキオは細かい輪切りにする。フェンネルを利用する場合は細かく刻む。
鍋に水とコンソメ(水400ccにつきキューブ1個)を入れ、沸騰したら刻んだフィノッキオを入れて好みの柔らかさ一歩手前まで煮る。
ヤブカンゾウのつぼみを入れて、好みの硬さまで煮る。
・ポイント
あっさりしたスープなので、濃厚にしたい時はベーコンやサルシッチャを入れたり、淡白な魚介類を入れても。水分を減らして、フィノッキオとつぼみの量増やし、魚介類を一緒に煮てフードプロセッサーにかけると複雑な味わいのポタージュができます。

Fig.5 ヤブカンゾウのつぼみのフライ
ヤブカンゾウのつぼみはアスパラガスの穂先と同様に扱って大丈夫です。
ふつうにフライにして、早めに上げればいいです。
タマゴタケ

Fig.6 タマゴタケ (神戸市 2014.9/17)
タマゴタケはテングタケの仲間ではほとんど唯一食用となるキノコで、他の多くの種は有毒で、知識がなければリスクが高いと言えます。
シャキシャキと歯応えの良い食菌ですが、類似のベニテングタケやタマゴタケモドキは毒性が強いので同定の自信の無い方は手を出さないでください。
低地での発生は秋になりますが、六甲山系の中腹以上では7月から発生が見られます。

Fig.7 キノコ、ヤブカンゾウ、豆腐のサンラータン
猛暑の気候にぴったりの生姜とラー油の利いた冷めても美味しい主菜です。
兵庫県内のフィールドではタマゴタケはそれほど多くは獲れないので、他のキノコで補います。
アラゲキクラゲが獲れたので、それと市販のハタケシメジとシイタケを加えました。
【調理法】
タマゴタケの収量は不安定なので、ここではヤブカンゾウのつぼみをメインとした分量を記します。
挽き肉 60g ・ ヤブカンゾウのつぼみ 20個
キクラゲ細切り 10g ・ キノコ類 20g
豆腐 1/2丁 ・ 生姜 2片 ・ 炒め用油 大匙1 ・ 水 600cc
●酒 大匙1 ●塩 ●鶏ガラスープの素 小匙2 ●醤油 小匙2
○黒酢 小匙3 ○黒コショウ 小匙1/4
水溶きカタクリ粉(カタクリ粉大匙2:水40cc)
ラー油 適量
鍋に油を敷き、生姜を炒め、香りが立ったら挽き肉を炒める。
挽き肉が白っぽくなったら、キクラゲとキノコ類を入れて炒める。
キノコに油がまわったらヤブカンゾウのつぼみを入れて炒める。
2分ほど炒めたら水600ccを入れ、●を左から順に入れ弱火にかける。
適当に切った豆腐と○を加え、沸騰したら水溶きカタクリ粉を入れる。
器に入れて、お好みの量のラー油を入れる。
・ポイント
さっぱりとした味付けでタマゴタケのシャキシャキ感を楽しみます。
ダイモンジソウ・イワタバコ

Fig.8 ダイモンジソウの葉 (神戸市 2016.7/16)
ダイモンジソウは大きな個体から葉を2枚だけ採取します。

Fig.9 イワタバコ (神戸市 2016.7/16)
イワタバコは大きな個体から葉を1枚だけ採取します。

Fig.10 初夏の野草の天ぷら
皿の下から時計周りにダイモンジソウ、ウドの穂先、マタタビのつる先、イワタバコ、中央はヤブカンゾウのつぼみ。
おまけの1皿

Fig.11 アミガサタケと鱒のクリームパスタ
category: 自然を食べる
西宮の自然 2016年 5~8月
2016/09/08 Thu. 02:11 [edit]
このところHPの充実に力を入れており、ブログの更新はおろそかになっていました。身近な西宮市内の観察も怠っていなかったのですが、あまり目新しいものはなく、画像が溜まるまで置いておきました。今年に入って年始から5月はほとんど外出できず、少しの観察記録。6月後半からは田植え直後に水田に発生するカイエビ、ホウネンエビ、カブトエビの分布調査を行いました。
7月はフィールドでの感覚を取り戻すため、身近な市内のフィールドに何度か出掛けて、行動範囲を広げていきました。
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Fig.1 クサノオウ (西宮市 2016.5/15)
西宮市中北部の船坂地区でのみ見られます。兵庫県下では緑色岩地に広く分布しています。
船坂周辺では花崗岩と凝灰岩が接触している地域で、凝灰岩中の成分が接触変性して石灰分が多くなった可能性が考えられます。この場所では西宮市内ではここでしか見られないナガバノヤノネグサなども生育しています。
関連ページ 関西の花・クサノオウ

Fig.2 ヤブウツギと訪花したコマルハナバチ (西宮市 2016.5/15)
兵庫県では六甲山系では淡紅色のタニウツギのほか、濃紅色のヤブウツギが分布しています。
コマルハナバチは初夏のハナバチで、雌は黒色で腹の先は朱色となります。
クロマルハナバチは体毛が短く、低地の草原性蜂類で、近年は減少しています。
関連ページ 関西の花・ヤブウツギ

Fig.3 ハラビロトンボ (西宮市 2016.5/15)
西宮市内では中~北部にふつうに見られるトンボです。
一見するとメスのように見えますが、羽化したばかりの未成熟なオスです。
これから黒化して、さらに淡青色になっていきます。

Fig.4 クモキリソウ (西宮市 2016.6/20)
夕方、少し時間があったので西宮市内の六甲山系東部にある谷に入ってみました。
谷の本流から支谷へ入る林床にクモキリソウが点在していました。
西宮市内では2次林のやや湿った林床でよく見かけます。
関連ページ 関西の花・クモキリソウ

Fig.5 ヒメワラビ (西宮市 2016.6/20)
木漏れ日の当たる渓流畔にヒメワラビが多数生育していました。
本来は明るい場所を好むシダなので、このまま樹木が生長するとやがては消える運命です。
関連ページ 関西の花/シダ・ヒメワラビ

Fig.6 トゲヤマイヌワラビ (西宮市 2016.6/20)
ヤマイヌワラビの1型。羽軸表面のトゲが顕著なもので、小羽片は混みあってつき、六甲山系ではよく見られます。
関連ページ 関西の花/シダ・ヤマイヌワラビ

Fig.7 ルリハムシ (西宮市 2016.6/20)
砂防ダム上の川原に生育するオオバヤシャブシの葉上にルリハムシがいました。
カバノキ科の樹木を広くホストとする美しいハムシです。
Fig.8 砂防ダムの溜まり (西宮市 2016.6/20)
周辺の樹木にはモリアオガエルの卵塊が多く、水中に孵化したオタマジャクシが見られ、水面にはミズスマシが泳いでいます。ミズスマシは画像では捉えにくいので動画にしました。

Fig.9 エゴノネコアシ (西宮市 2016.6/27)
今年もいろいろな場所でエゴノネコアシが見られました。
エゴノネコアシは虫えいで、中にエゴノネコアシアブラムシの棲家になっています。

Fig.10 アカクビナガハムシ (西宮市 2016.6/27)
この時期に食痕のあるサルトリイバラをよく観察すると、アカクビナガハムシが見つかります。
シオデ、ヤマカシュウの葉上にもよく見られます。
関連ページ 関西の花・ヤマカシュウ

Fig.11 クチベニマイマイ (西宮市 2016.6/27)
西宮市内ではナミマイマイとともに分布する大型のカタツムリです。
晴天が続く中、葉にピッタリとくっつき、身体を貝殻の奥のほうに引っ込めています。

Fig.12 イチモンジカメノコハムシの幼虫 (西宮市 2016.6/27)
ムラサキシキブの葉上に特徴的な幼虫が見られました。脱皮殻や糞を背負ってゴミのようにカモフラージュしていますが、この特徴を知っていると見つけやすいものです。

Fig.13 カシルリオトシブミ (西宮市 2016.6/27)
コナラなどの葉上でふつうに見られる甲虫ですが、ここではエビヅルやヨモギの葉上で沢山見られました。小さいながらも美しいオトシブミです。

Fig.14 群生するノアザミ (西宮市 2016.6/27)
里山の田園地帯に移動すると、ノアザミが開花全盛でした。
土手では草刈りが始まっており、やがてはきれいに刈り取られてしまうのでしょう。
関連ページ 湿生植物・ノアザミ

Fig.15 訪花したトラマルハナバチ (西宮市 2016.6/27)
ふわふわの可愛いこのハチは送粉者として大活躍です。

Fig.16 ミゾカクシ (西宮市 2016.6/27)
どこにでもある雑草ですが、休耕田で群生開花する姿は美しいものです。
関連ページ 湿生植物・ミゾカクシ

Fig.17 ヒロハノコウガイゼキショウ (西宮市 2016.6/27)
休耕田にコウガイゼキショウに混じって点々と生えていました。
関連ページ 湿生植物・ヒロハノコウガイゼキショウ

Fig.18 イチョウウキゴケ (西宮市 2016.6/27)
ミズオオバコが新葉を広げつつある休耕田ではイチョウウキゴケも生育していました。
陸生状態なので、胞子嚢をつくるか期待したいものです。
関連ページ 浮遊植物・イチョウウキゴケ

Fig.19 ミズユキノシタ (西宮市 2016.6/27)
西宮市内では自生地が限られる湿生植物です。水槽で水に沈ませて育てると美しい姿となるので、アクアリウムで使われます。
ここでは多湿な旧畑作地に生育しています。隣で小さな花をつけているのはトウバナ。
関連ページ 湿生植物・ミズユキノシタ

Fig.20 フタトゲチマダニ (西宮市 2016.6/27)
シダを見にちょっとした草地に入ると、ズボンに3匹たかっていました。
付近はイノシシの多い場所なので、マダニが沢山いても不思議ではありません。
マダニ類は3回吸血すると、千~数千匹の稚ダニを生みます。
薄い色の衣服を着ていれば、たかられても発見が容易です。

Fig.21 黒穂病のクサヨシ (西宮市 2016.6/27)
麦角菌に罹災したもので、麦角アルカロイドにより毒性がありますが、薬用にもされます。
イネ科草本でよく見かけますが、スゲなどのカヤツリグサ科でも時々見かけます。
関連ページ 湿生植物・クサヨシ

Fig.22 ハイイロゲンゴロウ (西宮市 2016.6/27)
水田で最もふつうに見られるゲンゴロウの仲間です。
水面から直接飛び立ってよく飛翔し、時々翅をブーブー鳴らします。

Fig.23 ネジバナ (西宮市 2016.6/27)
水田の畦で沢山開花していました。今回はアップ画像で。
関連ページ 関西の花・ネジバナ

Fig.24 カワラマツバ (西宮市 2016.6/27)
西宮市北部の水田の土手や堤防でよく見られる草原性植物です。
ここでは農地の土手で旺盛に生育し、沢山の花をつけていました。

Fig.25 ネムノキ (西宮市 2016.6/27)
里山の土手で開花中でした。
そろそろ日も傾き、これから葉が閉じようかというところです。

Fig.26 ホウネンエビ (西宮市 2016.6/27)
カイエビやホウネンエビが沢山見られた水田が休耕田となったので、他の場所で見られないか探したところ、北部の水田5ヶ所で生息していました。谷津の奥の水田では水温が低いためか生息しておらず、谷津の下のほうの水田で見られました。
この水田ではホウネンエビ、カイエビ、チスイビル、ハイイロゲンゴロウ、コガムシが見られました。

Fig.27 タイコウチ幼生 (西宮市 2016.6/27)
一方で谷津奥の水田ではタイコウチの幼生が見られました。
この水田の素掘り排水路ではヒツジグサやヘラオモダカが生育しています。

Fig.28 ミズスギ (西宮市 2016.6/27)
棚田の土手の急で被植の少ない斜面ではミズスギが見られます。
兵庫県版RDBではCランクとされています。胞子嚢穂はまだ上がっていません。
関連ページ 湿生植物・ミズスギ

Fig.29 オミナエシ (西宮市 2016.6/27)
秋の七草として知られますが、6月の終わり頃から開花し始めます。
草地環境の遷移から減少しつつある種です。
関連ページ 湿生植物・オミナエシ

Fig.30 谷津奥の溜池 (西宮市 2016.6/27)
西宮市北部ではこのような溜池がまだ点在していて、潅漑用に機能している池もあります。
池にはご他聞に漏れずブラックバスが棲みついていますが、稀少な湿生植物も見られます。
画像手前側には浮葉植物のジュンサイが生育しています。
関連ページ 浮葉植物・ジュンサイ

Fig.31 シズイ (西宮市 2016.6/27)
シズイはカヤツリグサ科の抽水植物で、兵庫県版RDBではBランクとされ減少傾向にあります。
西宮市では2ヶ所の溜池で生育しています。
関連ページ 抽水植物・シズイ

Fig.32 オニヤンマ (西宮市 2016.6/27)
まだ複眼が緑色に色付いていない、未成熟なオニヤンマが木陰で休んでいました。
西宮市北部では比較的ふつうに見られます。

Fig.33 キイトトンボ? (西宮市 2016.6/27)
まだ色付いていないキイトトンボでしょうか?
アジアイトトンボではないので、残るはベニイトトンボかキイトトンボということになりますが・・・

Fig.34 ヤナギチビタマムシ (西宮市 2016.6/27)
アカメヤナギの低木の葉上でヤナギチビタマムシが食事中でした。
チビタマムシの中では比較的よく見かける種です。

Fig.35 ヤブカンゾウ (西宮市 2016.7/2)
谷筋の入口の土手でヤブカンゾウが開花しはじめていました。
つぼみはほんのり甘味があって美味しいので、よく献立に利用しています。
眼を付けていた群生地が開花前にさっぱり草刈りされて、悔しい思いをすることがよくあります。
関連ページ 関西の花・ヤブカンゾウ

Fig.36 オカトラノオ (西宮市 2016.7/2)
林縁ではオカトラノオが満開でした。
関連ページ 関西の花・オカトラノオ

Fig.37 マンネンタケ (西宮市 2016.7/2)
昨年に出た子実体の脇から、新しい子実体がでてきていました。
「霊芝(れいし)」と呼ばれて薬用として珍重されますが、それほど稀なものではありません。

Fig.38 ジャコウアゲハの前蛹 (西宮市 2016.7/2)
社寺境内の机の足でジャコウアゲハの前蛹を見つけました。西宮市内にはホストとなるアリマウマノスズクサが多産するので、所々でジャコウアゲハが発生しています。
関連ページ 関西の花・アリマウマノスズクサ

Fig.39 ミドリリンガ (西宮市 2016.7/2)
前翅が緑色、後翅が褐色の美しい蛾で、アラカシをホストとします。
道路の下をくぐる隧道の壁面で静止していました。

Fig.40 谷津の小さな溜池 (西宮市 2016.7/2)
小さな溜池ですが、周囲の樹木にはモリアオガエルの卵塊が沢山ぶら下がり、水中にはミナミメダカ(ニホンメダカ)が生育し、水面をフトヒルムシロとジュンサイ、ヒツジグサが覆い、ハデフラスコモの生育も確認しています。

Fig.41 ノギラン (西宮市 2016.7/2)
ノギランは水田の土手や用水路脇などの湿った場所でよく見られます。
今回は用水路に倒れこんだ花序のアップ画像で。
関連ページ 湿生植物・ノギラン

Fig.42 カイエビ (西宮市 2016.7/2)
水田を覗き込むとカイエビが沢山泳いでいました。
カブトエビやホウネンエビと違って、西宮市内の水田ではまだまだあちこちで見ることができます。
短いながら動画もUPしてみました。

Fig.43 カブトエビ (西宮市 2016.7/4)
ホウネンエビが健在なのが分かったので、ではカブトエビはどうなのか?と思い、平野部の水田を調べました。西宮市中部~南部の水田をかなり廻りましたが、確認できたのはわずか2枚の水田のみでした。平野部では水田が急速に無くなっているので、いずれ見れなくなる生き物のひとつでしょう。この水田は武庫川から水を引いており、水田内にミナミヌマエビが見られました。
画像とは別のもう1ヶ所の水田のものを動画にしました。

Fig.44 ミズハコベ (西宮市 2016.7/7)
近所の水田跡を散歩していると、水の溜まった溝の中でミズハコベが生育していました。
ミズハコベは西宮市内ではあまり見られない水田雑草で、湧水の湧くような場所に生育します。
ここも恐らく湧水がでているのでしょう。溝の中にはヤナギゴケも生育していました。
関連ページ 湿生植物・ミズハコベ

Fig.45 ミドリヒメワラビ (西宮市 2016.7/23)
西宮市ではまだミドリヒメワラビの記録が無かったので、以前見つけた里山の自生地に標本を採りに行きました。やや湿った半日陰に生育していることが多く、形は前出のヒメワラビに酷似します。
周囲にはミゾシダ、ヒメシダ、アオミズ、ミズタマソウ、ニョイスミレ、ミツバなどが生育していました。
関連ページ 関西の花/シダ・ミドリヒメワラビ

Fig.46 サトキマダラヒカゲ (西宮市 2016.7/23)
バッタにサトクダマキモドキとヤマクダマキモドキがあるように、チョウにもサトキマダラヒカゲとヤマキマダラヒカゲがあります。
サトキマダラヒカゲは丘陵や低山に、ヤマキマダラヒカゲはやや高所に生息しています。
いつも忙しく飛び回っては藪に入ってしまい、なかなか撮影させてくれないチョウです。

Fig.47 ヘラオオバコとモンキチョウ (西宮市 2016.7/23)
河川の堤防で帰化植物のヘラオオバコにモンキチョウが止まっていました。
どうも口吻が伸びている様子はなさそうで、吸蜜しているのではなさそうです。

Fig.48 コシンジュガヤ (西宮市 2016.8/10)
今年はトリゲモ類の調査に本腰を入れていて、そろそろシーズンなので西宮市内の水田を探査しました。水田の畦では真っ白で可愛い実をつけるコシンジュガヤがお出迎え。
兵庫県では珍しくも無い種ですが、多くの都府県で絶滅危惧種に指定されています。
関連ページ 湿生植物・コシンジュガヤ

Fig.49 クルマバナ (西宮市 2016.8/10)
用水路脇で草刈りに遭いながらも可憐な花を咲かせていました。
関連ページ 関西の花・クルマバナ

Fig.50 ミズオオバコ (西宮市 2016.8/10)
西宮市内でも減農薬のため数多くの水田でミズオオバコが見られるようになってきました。
この水田では畦と稲の間をびっしりと埋めるほど群生していました。
関連ページ 沈水植物・ミズオオバコ

Fig.51 ミズオオバコ群落 (西宮市 2016.8/10)
このような群落を西宮市内で見るのは初めてです。
このような水田では必ず数種のトリゲモ類が生育しているものです。

Fig.52 イトトリゲモ (西宮市 2016.8/10)
上記の水田にホッスモとともに生育していました。
イトトリゲモは環境省の準絶滅危惧、兵庫県版RDBではCランクとされています。
糸状の細い葉が5輪性状につくこと、各節に2個の果実がつくことによって、この仲間では比較的見分けやすい種です。
関連ページ 沈水植物・イトトリゲモ

Fig.53 スズメウリ (西宮市 2016.8/10)
ヨシ、ガマ、アゼナルコが茂った休耕田に、他物に絡みつくようにスズメウリが生育していました。
すでに未熟な果実を沢山つけていました。
関連ページ 湿生植物・スズメウリ

Fig.54 コヤブラン (西宮市 2016.8/18)
いつも開花を逃している西宮市内にあるコヤブランの様子を見に行ってきました。
ネザサを掻き分けてみると、あまり花茎は上がっておらず、どうもパッとしません。
画像もあまりパッとしないものになってしまいました。
自生地は少なく、兵庫県版RDBではCランクとなっています。

Fig.55 イガガヤツリ (西宮市 2016.8/22)
昨年見つけた社寺境内のイガガヤツリの様子を見に出掛けてきました。
一部草むしりされていましたが、広場の外部にも進出して生育領域が広がっており安泰でした。
関連ページ 湿生植物・イガガヤツリ

Fig.56 ウリクサ (西宮市 2016.8/22)
イガガヤツリの周りの踏み付けに遭うような場所に、広く生育していました。
ここには外来種のニワサキタネツケバナが生育していますが、時期的に休眠期なのか、ほとんど確認できませんでした。
関連ページ 湿生植物・ウリクサ

Fig.57 コヒロハハナヤスリ (西宮市 2016.8/22)
同じ境内にあるコヒロハハナヤスリも、胞子嚢穂を上げて元気に生育していました。
西宮市内では自生箇所が少ない小型のシダ植物です。
関連ページ 湿生植物・コヒロハハナヤスリ

Fig.58 市内北部の水田 (西宮市 2016.8/22)
ミズオオバコ、オモダカ、ミゾハコベがいい風情で生育し自然のビオトープになっています。
ここではかつてヒロハトリゲモが見られましたが、近年確認できていません。
水田に生育する1年性の水草は消長が極端で、ある年埋土種子から突然発生したりします。

Fig.59 クログワイ (西宮市 2016.8/22)
隣の水田では嫌われ者の水田雑草クログワイが小穂を上げ、雌性期を終えていました。
関連ページ 抽水植物・クログワイ

Fig.60 キカシグサとミズマツバ (西宮市 2016.8/22)
キカシグサは環境の良い水田の指標となる水田雑草です。
ミズマツバは圃場整備や除草剤などで減少傾向にあり、兵庫県版RDBではCランクとされています。
関連ページ 湿生植物・キカシグサ
関連ページ 湿生植物・ミズマツバ

Fig.61 ミソハギ群落 (西宮市 2016.8/22)
スズサイコの開花を待って、夕闇が迫るまで田園地帯を散策すると、休耕田でミソハギの大きな群落がありました。以前は点々と生育している程度でしたが、耕作放棄後の条件があっていたのか群生するようになっていました。ミソハギの名は、酒に漬けてそれを振って場所を清める「禊ぎ萩」が由来です。
関連ページ 湿生植物・ミソハギ

Fig.62 スズサイコ (西宮市 2016.8/22)
スズサイコは草原環境の減少によって絶滅が危惧されていて、環境省の準絶滅危惧、全国では兵庫県と長野県を除いた各都道府県で絶滅危惧種に指定されていますが、西宮市をはじめとした兵庫県各地で比較的ふつうに見られます。花は夕方~早朝の夜間に開花し、日中の開花は見れません。
関連ページ 関西の花・スズサイコ
7月はフィールドでの感覚を取り戻すため、身近な市内のフィールドに何度か出掛けて、行動範囲を広げていきました。
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Fig.1 クサノオウ (西宮市 2016.5/15)
西宮市中北部の船坂地区でのみ見られます。兵庫県下では緑色岩地に広く分布しています。
船坂周辺では花崗岩と凝灰岩が接触している地域で、凝灰岩中の成分が接触変性して石灰分が多くなった可能性が考えられます。この場所では西宮市内ではここでしか見られないナガバノヤノネグサなども生育しています。
関連ページ 関西の花・クサノオウ

Fig.2 ヤブウツギと訪花したコマルハナバチ (西宮市 2016.5/15)
兵庫県では六甲山系では淡紅色のタニウツギのほか、濃紅色のヤブウツギが分布しています。
コマルハナバチは初夏のハナバチで、雌は黒色で腹の先は朱色となります。
クロマルハナバチは体毛が短く、低地の草原性蜂類で、近年は減少しています。
関連ページ 関西の花・ヤブウツギ

Fig.3 ハラビロトンボ (西宮市 2016.5/15)
西宮市内では中~北部にふつうに見られるトンボです。
一見するとメスのように見えますが、羽化したばかりの未成熟なオスです。
これから黒化して、さらに淡青色になっていきます。

Fig.4 クモキリソウ (西宮市 2016.6/20)
夕方、少し時間があったので西宮市内の六甲山系東部にある谷に入ってみました。
谷の本流から支谷へ入る林床にクモキリソウが点在していました。
西宮市内では2次林のやや湿った林床でよく見かけます。
関連ページ 関西の花・クモキリソウ

Fig.5 ヒメワラビ (西宮市 2016.6/20)
木漏れ日の当たる渓流畔にヒメワラビが多数生育していました。
本来は明るい場所を好むシダなので、このまま樹木が生長するとやがては消える運命です。
関連ページ 関西の花/シダ・ヒメワラビ

Fig.6 トゲヤマイヌワラビ (西宮市 2016.6/20)
ヤマイヌワラビの1型。羽軸表面のトゲが顕著なもので、小羽片は混みあってつき、六甲山系ではよく見られます。
関連ページ 関西の花/シダ・ヤマイヌワラビ

Fig.7 ルリハムシ (西宮市 2016.6/20)
砂防ダム上の川原に生育するオオバヤシャブシの葉上にルリハムシがいました。
カバノキ科の樹木を広くホストとする美しいハムシです。
Fig.8 砂防ダムの溜まり (西宮市 2016.6/20)
周辺の樹木にはモリアオガエルの卵塊が多く、水中に孵化したオタマジャクシが見られ、水面にはミズスマシが泳いでいます。ミズスマシは画像では捉えにくいので動画にしました。

Fig.9 エゴノネコアシ (西宮市 2016.6/27)
今年もいろいろな場所でエゴノネコアシが見られました。
エゴノネコアシは虫えいで、中にエゴノネコアシアブラムシの棲家になっています。

Fig.10 アカクビナガハムシ (西宮市 2016.6/27)
この時期に食痕のあるサルトリイバラをよく観察すると、アカクビナガハムシが見つかります。
シオデ、ヤマカシュウの葉上にもよく見られます。
関連ページ 関西の花・ヤマカシュウ

Fig.11 クチベニマイマイ (西宮市 2016.6/27)
西宮市内ではナミマイマイとともに分布する大型のカタツムリです。
晴天が続く中、葉にピッタリとくっつき、身体を貝殻の奥のほうに引っ込めています。

Fig.12 イチモンジカメノコハムシの幼虫 (西宮市 2016.6/27)
ムラサキシキブの葉上に特徴的な幼虫が見られました。脱皮殻や糞を背負ってゴミのようにカモフラージュしていますが、この特徴を知っていると見つけやすいものです。

Fig.13 カシルリオトシブミ (西宮市 2016.6/27)
コナラなどの葉上でふつうに見られる甲虫ですが、ここではエビヅルやヨモギの葉上で沢山見られました。小さいながらも美しいオトシブミです。

Fig.14 群生するノアザミ (西宮市 2016.6/27)
里山の田園地帯に移動すると、ノアザミが開花全盛でした。
土手では草刈りが始まっており、やがてはきれいに刈り取られてしまうのでしょう。
関連ページ 湿生植物・ノアザミ

Fig.15 訪花したトラマルハナバチ (西宮市 2016.6/27)
ふわふわの可愛いこのハチは送粉者として大活躍です。

Fig.16 ミゾカクシ (西宮市 2016.6/27)
どこにでもある雑草ですが、休耕田で群生開花する姿は美しいものです。
関連ページ 湿生植物・ミゾカクシ

Fig.17 ヒロハノコウガイゼキショウ (西宮市 2016.6/27)
休耕田にコウガイゼキショウに混じって点々と生えていました。
関連ページ 湿生植物・ヒロハノコウガイゼキショウ

Fig.18 イチョウウキゴケ (西宮市 2016.6/27)
ミズオオバコが新葉を広げつつある休耕田ではイチョウウキゴケも生育していました。
陸生状態なので、胞子嚢をつくるか期待したいものです。
関連ページ 浮遊植物・イチョウウキゴケ

Fig.19 ミズユキノシタ (西宮市 2016.6/27)
西宮市内では自生地が限られる湿生植物です。水槽で水に沈ませて育てると美しい姿となるので、アクアリウムで使われます。
ここでは多湿な旧畑作地に生育しています。隣で小さな花をつけているのはトウバナ。
関連ページ 湿生植物・ミズユキノシタ

Fig.20 フタトゲチマダニ (西宮市 2016.6/27)
シダを見にちょっとした草地に入ると、ズボンに3匹たかっていました。
付近はイノシシの多い場所なので、マダニが沢山いても不思議ではありません。
マダニ類は3回吸血すると、千~数千匹の稚ダニを生みます。
薄い色の衣服を着ていれば、たかられても発見が容易です。

Fig.21 黒穂病のクサヨシ (西宮市 2016.6/27)
麦角菌に罹災したもので、麦角アルカロイドにより毒性がありますが、薬用にもされます。
イネ科草本でよく見かけますが、スゲなどのカヤツリグサ科でも時々見かけます。
関連ページ 湿生植物・クサヨシ

Fig.22 ハイイロゲンゴロウ (西宮市 2016.6/27)
水田で最もふつうに見られるゲンゴロウの仲間です。
水面から直接飛び立ってよく飛翔し、時々翅をブーブー鳴らします。

Fig.23 ネジバナ (西宮市 2016.6/27)
水田の畦で沢山開花していました。今回はアップ画像で。
関連ページ 関西の花・ネジバナ

Fig.24 カワラマツバ (西宮市 2016.6/27)
西宮市北部の水田の土手や堤防でよく見られる草原性植物です。
ここでは農地の土手で旺盛に生育し、沢山の花をつけていました。

Fig.25 ネムノキ (西宮市 2016.6/27)
里山の土手で開花中でした。
そろそろ日も傾き、これから葉が閉じようかというところです。

Fig.26 ホウネンエビ (西宮市 2016.6/27)
カイエビやホウネンエビが沢山見られた水田が休耕田となったので、他の場所で見られないか探したところ、北部の水田5ヶ所で生息していました。谷津の奥の水田では水温が低いためか生息しておらず、谷津の下のほうの水田で見られました。
この水田ではホウネンエビ、カイエビ、チスイビル、ハイイロゲンゴロウ、コガムシが見られました。

Fig.27 タイコウチ幼生 (西宮市 2016.6/27)
一方で谷津奥の水田ではタイコウチの幼生が見られました。
この水田の素掘り排水路ではヒツジグサやヘラオモダカが生育しています。

Fig.28 ミズスギ (西宮市 2016.6/27)
棚田の土手の急で被植の少ない斜面ではミズスギが見られます。
兵庫県版RDBではCランクとされています。胞子嚢穂はまだ上がっていません。
関連ページ 湿生植物・ミズスギ

Fig.29 オミナエシ (西宮市 2016.6/27)
秋の七草として知られますが、6月の終わり頃から開花し始めます。
草地環境の遷移から減少しつつある種です。
関連ページ 湿生植物・オミナエシ

Fig.30 谷津奥の溜池 (西宮市 2016.6/27)
西宮市北部ではこのような溜池がまだ点在していて、潅漑用に機能している池もあります。
池にはご他聞に漏れずブラックバスが棲みついていますが、稀少な湿生植物も見られます。
画像手前側には浮葉植物のジュンサイが生育しています。
関連ページ 浮葉植物・ジュンサイ

Fig.31 シズイ (西宮市 2016.6/27)
シズイはカヤツリグサ科の抽水植物で、兵庫県版RDBではBランクとされ減少傾向にあります。
西宮市では2ヶ所の溜池で生育しています。
関連ページ 抽水植物・シズイ

Fig.32 オニヤンマ (西宮市 2016.6/27)
まだ複眼が緑色に色付いていない、未成熟なオニヤンマが木陰で休んでいました。
西宮市北部では比較的ふつうに見られます。

Fig.33 キイトトンボ? (西宮市 2016.6/27)
まだ色付いていないキイトトンボでしょうか?
アジアイトトンボではないので、残るはベニイトトンボかキイトトンボということになりますが・・・

Fig.34 ヤナギチビタマムシ (西宮市 2016.6/27)
アカメヤナギの低木の葉上でヤナギチビタマムシが食事中でした。
チビタマムシの中では比較的よく見かける種です。

Fig.35 ヤブカンゾウ (西宮市 2016.7/2)
谷筋の入口の土手でヤブカンゾウが開花しはじめていました。
つぼみはほんのり甘味があって美味しいので、よく献立に利用しています。
眼を付けていた群生地が開花前にさっぱり草刈りされて、悔しい思いをすることがよくあります。
関連ページ 関西の花・ヤブカンゾウ

Fig.36 オカトラノオ (西宮市 2016.7/2)
林縁ではオカトラノオが満開でした。
関連ページ 関西の花・オカトラノオ

Fig.37 マンネンタケ (西宮市 2016.7/2)
昨年に出た子実体の脇から、新しい子実体がでてきていました。
「霊芝(れいし)」と呼ばれて薬用として珍重されますが、それほど稀なものではありません。

Fig.38 ジャコウアゲハの前蛹 (西宮市 2016.7/2)
社寺境内の机の足でジャコウアゲハの前蛹を見つけました。西宮市内にはホストとなるアリマウマノスズクサが多産するので、所々でジャコウアゲハが発生しています。
関連ページ 関西の花・アリマウマノスズクサ

Fig.39 ミドリリンガ (西宮市 2016.7/2)
前翅が緑色、後翅が褐色の美しい蛾で、アラカシをホストとします。
道路の下をくぐる隧道の壁面で静止していました。

Fig.40 谷津の小さな溜池 (西宮市 2016.7/2)
小さな溜池ですが、周囲の樹木にはモリアオガエルの卵塊が沢山ぶら下がり、水中にはミナミメダカ(ニホンメダカ)が生育し、水面をフトヒルムシロとジュンサイ、ヒツジグサが覆い、ハデフラスコモの生育も確認しています。

Fig.41 ノギラン (西宮市 2016.7/2)
ノギランは水田の土手や用水路脇などの湿った場所でよく見られます。
今回は用水路に倒れこんだ花序のアップ画像で。
関連ページ 湿生植物・ノギラン

Fig.42 カイエビ (西宮市 2016.7/2)
水田を覗き込むとカイエビが沢山泳いでいました。
カブトエビやホウネンエビと違って、西宮市内の水田ではまだまだあちこちで見ることができます。
短いながら動画もUPしてみました。

Fig.43 カブトエビ (西宮市 2016.7/4)
ホウネンエビが健在なのが分かったので、ではカブトエビはどうなのか?と思い、平野部の水田を調べました。西宮市中部~南部の水田をかなり廻りましたが、確認できたのはわずか2枚の水田のみでした。平野部では水田が急速に無くなっているので、いずれ見れなくなる生き物のひとつでしょう。この水田は武庫川から水を引いており、水田内にミナミヌマエビが見られました。
画像とは別のもう1ヶ所の水田のものを動画にしました。

Fig.44 ミズハコベ (西宮市 2016.7/7)
近所の水田跡を散歩していると、水の溜まった溝の中でミズハコベが生育していました。
ミズハコベは西宮市内ではあまり見られない水田雑草で、湧水の湧くような場所に生育します。
ここも恐らく湧水がでているのでしょう。溝の中にはヤナギゴケも生育していました。
関連ページ 湿生植物・ミズハコベ

Fig.45 ミドリヒメワラビ (西宮市 2016.7/23)
西宮市ではまだミドリヒメワラビの記録が無かったので、以前見つけた里山の自生地に標本を採りに行きました。やや湿った半日陰に生育していることが多く、形は前出のヒメワラビに酷似します。
周囲にはミゾシダ、ヒメシダ、アオミズ、ミズタマソウ、ニョイスミレ、ミツバなどが生育していました。
関連ページ 関西の花/シダ・ミドリヒメワラビ

Fig.46 サトキマダラヒカゲ (西宮市 2016.7/23)
バッタにサトクダマキモドキとヤマクダマキモドキがあるように、チョウにもサトキマダラヒカゲとヤマキマダラヒカゲがあります。
サトキマダラヒカゲは丘陵や低山に、ヤマキマダラヒカゲはやや高所に生息しています。
いつも忙しく飛び回っては藪に入ってしまい、なかなか撮影させてくれないチョウです。

Fig.47 ヘラオオバコとモンキチョウ (西宮市 2016.7/23)
河川の堤防で帰化植物のヘラオオバコにモンキチョウが止まっていました。
どうも口吻が伸びている様子はなさそうで、吸蜜しているのではなさそうです。

Fig.48 コシンジュガヤ (西宮市 2016.8/10)
今年はトリゲモ類の調査に本腰を入れていて、そろそろシーズンなので西宮市内の水田を探査しました。水田の畦では真っ白で可愛い実をつけるコシンジュガヤがお出迎え。
兵庫県では珍しくも無い種ですが、多くの都府県で絶滅危惧種に指定されています。
関連ページ 湿生植物・コシンジュガヤ

Fig.49 クルマバナ (西宮市 2016.8/10)
用水路脇で草刈りに遭いながらも可憐な花を咲かせていました。
関連ページ 関西の花・クルマバナ

Fig.50 ミズオオバコ (西宮市 2016.8/10)
西宮市内でも減農薬のため数多くの水田でミズオオバコが見られるようになってきました。
この水田では畦と稲の間をびっしりと埋めるほど群生していました。
関連ページ 沈水植物・ミズオオバコ

Fig.51 ミズオオバコ群落 (西宮市 2016.8/10)
このような群落を西宮市内で見るのは初めてです。
このような水田では必ず数種のトリゲモ類が生育しているものです。

Fig.52 イトトリゲモ (西宮市 2016.8/10)
上記の水田にホッスモとともに生育していました。
イトトリゲモは環境省の準絶滅危惧、兵庫県版RDBではCランクとされています。
糸状の細い葉が5輪性状につくこと、各節に2個の果実がつくことによって、この仲間では比較的見分けやすい種です。
関連ページ 沈水植物・イトトリゲモ

Fig.53 スズメウリ (西宮市 2016.8/10)
ヨシ、ガマ、アゼナルコが茂った休耕田に、他物に絡みつくようにスズメウリが生育していました。
すでに未熟な果実を沢山つけていました。
関連ページ 湿生植物・スズメウリ

Fig.54 コヤブラン (西宮市 2016.8/18)
いつも開花を逃している西宮市内にあるコヤブランの様子を見に行ってきました。
ネザサを掻き分けてみると、あまり花茎は上がっておらず、どうもパッとしません。
画像もあまりパッとしないものになってしまいました。
自生地は少なく、兵庫県版RDBではCランクとなっています。

Fig.55 イガガヤツリ (西宮市 2016.8/22)
昨年見つけた社寺境内のイガガヤツリの様子を見に出掛けてきました。
一部草むしりされていましたが、広場の外部にも進出して生育領域が広がっており安泰でした。
関連ページ 湿生植物・イガガヤツリ

Fig.56 ウリクサ (西宮市 2016.8/22)
イガガヤツリの周りの踏み付けに遭うような場所に、広く生育していました。
ここには外来種のニワサキタネツケバナが生育していますが、時期的に休眠期なのか、ほとんど確認できませんでした。
関連ページ 湿生植物・ウリクサ

Fig.57 コヒロハハナヤスリ (西宮市 2016.8/22)
同じ境内にあるコヒロハハナヤスリも、胞子嚢穂を上げて元気に生育していました。
西宮市内では自生箇所が少ない小型のシダ植物です。
関連ページ 湿生植物・コヒロハハナヤスリ

Fig.58 市内北部の水田 (西宮市 2016.8/22)
ミズオオバコ、オモダカ、ミゾハコベがいい風情で生育し自然のビオトープになっています。
ここではかつてヒロハトリゲモが見られましたが、近年確認できていません。
水田に生育する1年性の水草は消長が極端で、ある年埋土種子から突然発生したりします。

Fig.59 クログワイ (西宮市 2016.8/22)
隣の水田では嫌われ者の水田雑草クログワイが小穂を上げ、雌性期を終えていました。
関連ページ 抽水植物・クログワイ

Fig.60 キカシグサとミズマツバ (西宮市 2016.8/22)
キカシグサは環境の良い水田の指標となる水田雑草です。
ミズマツバは圃場整備や除草剤などで減少傾向にあり、兵庫県版RDBではCランクとされています。
関連ページ 湿生植物・キカシグサ
関連ページ 湿生植物・ミズマツバ

Fig.61 ミソハギ群落 (西宮市 2016.8/22)
スズサイコの開花を待って、夕闇が迫るまで田園地帯を散策すると、休耕田でミソハギの大きな群落がありました。以前は点々と生育している程度でしたが、耕作放棄後の条件があっていたのか群生するようになっていました。ミソハギの名は、酒に漬けてそれを振って場所を清める「禊ぎ萩」が由来です。
関連ページ 湿生植物・ミソハギ

Fig.62 スズサイコ (西宮市 2016.8/22)
スズサイコは草原環境の減少によって絶滅が危惧されていて、環境省の準絶滅危惧、全国では兵庫県と長野県を除いた各都道府県で絶滅危惧種に指定されていますが、西宮市をはじめとした兵庫県各地で比較的ふつうに見られます。花は夕方~早朝の夜間に開花し、日中の開花は見れません。
関連ページ 関西の花・スズサイコ
category: 西宮の自然
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