7月のフィールドで
2015/08/05 Wed. 13:58 [edit]
7月前半は多忙となり、ほとんどフィールドに出られませんでした。これまでは月の前半と後半に分けていましたが、7月は1つにまとめました。掲示板で時々に上げた画像と重複するものもありますが、備忘録ということでご了承のほど。
*画像クリックで、別ウィンドで表示されます。
FC2ブログの仕様が変わったのか、リンク先で大きな画像が表示されなくなってしまいました。
大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。

Fig.1 クモノスシダ (岡山県真庭市 2015.7/4)
野暮用で岡山県北部に出掛ける用事があり、わずかな空き時間に石灰岩地の谷を見てきました。
岩場にはあちこちにクモノスシダが着生していました。ここではクモノスシダは普通種のようでした。
コタニワタリやコバノヒノキシダ、ヘラシダも多く、また時間があればゆっくりと探査したい場所です。

Fig.2 アカショウマ (神戸市 2015.7/13)
午前中の空き時間に六甲の谷に出掛けると、立派なアカショウマが開花していました。
花茎が何本も分枝して、多くの花序をつけ、重たそうに倒れこんでいます。
関連ページ 湿生植物・アカショウマ

Fig.3 ミヤコオトギリ (神戸市 2015.7/13)
ミヤコオトギリは山地の沢沿いや明るい疎林の湿った林床に見られます。
腺点の散布はオトギリソウとほとんど変わりませんが、花は小さく、葉が長楕円形~広披針形と細いのが特徴。

Fig.4 カンザシギボウシ (神戸市 2015.7/13)
前回掲載した時(6/24)はまだツボミでしたが、すでに開花終盤となっていました。
現在のところ兵庫県が分布の東限で、花は花茎の先に集まってつくのが特徴です。

Fig.5 ノギラン (西宮市 2015.7/13)
六甲から降りた里山ではノギランが開花全盛でした。
葉に紅変が見られるものは、紅色を帯びた花をつけるものが多い傾向が見られます。
関連ページ 湿生植物・ノギラン

Fig.6 カワラサイコ (西宮市 2015.7/13)
午後は野暮用の帰りに久々に河川敷に寄り道。あちこちでカワラサイコが開花中でした。
草刈りがなされて花茎の低い個体が多い中、植え込みの陰のものは刈り込みの難を逃れて高く花茎を上げていました。

Fig.7 ヒナギキョウ (西宮市 2015.7/13)
河川敷の芝地で沢山の個体が開花していました。ここではほぼ通年開花が見られます。
関連ページ 関西の花・ヒナギキョウ

Fig.8 ヌマハリイ(オオヌマハリイ) (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
シダの会の調査・観察会の日ですが、車中泊で現地入りし、早朝から集合時間の間に周辺を探査しました。ヌマハリイは兵庫県ではやや高所の湿地に生育する種で、開花結実が早く、今回ようやく観察適期に間に合いました。この湿地ではヒメカンガレイ、エゾシロネ、シカクイ(狭義)、ミズチドリなどが同所的に生育しています。

Fig.9 ミズチドリ (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
ヌマハリイの生育する湿地でちょうど開花中でした。個体数はわずかです。
前日の台風の影響でしょうか、草体は倒伏気味でした。

Fig.10 オオモミジガサ (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
小さな沢を遡るとオオモミジガサが開花し始めていました。
周囲ではヤマアジサイ、クサアジサイが開花し、ギンバイソウ、モミジガサ、タイミンガサ、ソバナなどが花茎を上げ始めており、これから秋まで花の時期が続きそうです。

Fig.11 クサアジサイを訪花したヨツスジハナカミキリ (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
この時期になると様々な花上に最もふつうに見られるようになるハナカミキリです。

Fig.12 ウラギンヒョウモン (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
朝露に濡れた草原に咲くノアザミに多くの個体が訪花していました。
盛夏の猛暑の日が続く期間は夏眠して、一時的に姿が見られなくなります。

Fig.13 ヤマジノホトトギスを訪花したコマルハナバチ (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
花筒に首を突っ込んで吸蜜すると、ハチの背中に花粉が付く様子が分かります。

Fig.14 イワヤシダの小型個体 (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
シダの会に合流して、本日のメインのイワヤシダ自生地での調査です。
かつて群生していた場所はシカの食害によって小さな葉の個体ばかりになり、画像のものは倒木の陰に見られた最も大きな個体でしたが、葉裏にソーラスは見られませんでした。
周囲にはトゲカラクサイヌワラビも沢山見られましたが、いずれも葉の小さな個体ばかりでした。

Fig.15 タンゴワラビの群落 (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
イワヤシダ自生地から小さな尾根を越えた谷間は、タンゴワラビの群落によって埋め尽くされていました。

Fig.16 オニヒカゲワラビ (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
タンゴワラビと比較すると個体数は少数で、周辺に点在しています。
タンゴワラビとオニヒカゲワラビの雑種があるのかもしれませんが、そこまで眼が肥えていないので今回は断念。
関連ページ 関西の花/シダ・オニヒカゲワラビ

Fig.17 サキモリイヌワラビ (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
シカの多い地域ではどこでも同様ですが、ここでも防獣柵の内側にある林で基本種が一通り残っている場所があり、多くのシダが見られました。
サキモリイヌワラビは兵庫県では県南部では見られず、但馬地方中心に広く分布するイヌワラビの仲間です。

Fig.18 フナコシイノデ (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
同じ林内にイノデ類が多い箇所があり、そこに一際大きなイノデがあったため、葉軸裏を確認したところ大きな鱗片が並んでいました。
林内にはイノデ、アイアスカイノデ、サカゲイノデ、サイゴクイノデが見られ、特徴が重複するものはイノデとサカゲイノデであり、両種の推定種間雑種のフナコシイノデということになります。
関連ページ 関西の花/シダ・フナコシイノデ(雑種)

Fig.19 サンインコベソマイマイ (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
ひとはくの鈴木さんから、サンインコベソマイマイだと教えて頂きました。成貝になっても臍孔が開くのが、コベソマイマイとの区別点とのことです。
丹波地方でも似たものを見ますが、幼貝が多く、丹波はどちらの分布域になるのでしょうか。

Fig.20 ミクリsp. (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
シダの会散会後、日没までにまだ時間があるので高原地帯へと向かいました。
棚田の中段付近の小さな池にフトヒルムシロとともに生育しているもので、生育環境からヤマトミクリの可能性が高いだろうと見ていますが、いつも水量が多くてこんな状態で、花茎を上げたところを見たことがありません。今のところ但馬地方からヤマトミクリの記録はなく、花茎を上げるのを期待しているのですが。
関連ページ 抽水植物・ヤマトミクリ

Fig.21 オオバギボウシ (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
道端のちょっとした水の滴る岩場でオオバギボウシが開花中でした。
但馬の高原地帯に生育するものは、花に青味の少ないものがほとんどのようです。
関連ページ 関西の花・オオバギボウシ

Fig.22 ミツカドシカクイ (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
兵庫県ではだいたい標高800m以上の湿地に出現するシカクイの仲間で、その名のとおり有花茎の横断面は3稜形です。
関連ページ 湿生植物・ミツカドシカクイ

Fig.23 ウツボグサを訪花したヒメキマダラセセリ (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
湿地で開花しているウツボグサの周りで多くの個体が飛び交っては、訪花していました。

Fig.24 グンバイトンボ (兵庫県篠山市 2015.7/23)
ハタベカンガレイの茂る溜池の木陰で休んでいました。
二次的自然環境の高い湧水のある川や池に見られ、兵庫県ではまだよく見る部類に入るモノサシトンボの仲間です。

Fig.25 ノカンゾウ (西宮市 2015.7/23)
高茎草本に埋もれつつある棚田の休耕田の土手に数個体が生育し、開花していました。
結実は稀でまだ本種の蒴果を見たことがありません。ここのものは未確認なので、今秋にでもまた見に行きたいと思います。
関連ページ 湿生植物・ノカンゾウ

Fig.26 ヤシャゼンマイ (阪神地方 2015.7/26)
時期的には少し遅くなりましたが、Sさんに案内して頂いてウチョウランの自生地を見に行ってきました。渓谷を遡行しているうちに特徴的な細い小羽片を持ったヤシャゼンマイに出会いました。
この山域からの記録はなく、小さなものがたった3個体あっただけでしたが、思っても見ない嬉しい出会いでした。

Fig.27 ウチョウラン (阪神地方 2015.7/26)
やはり時期的に遅く、多くの花は咲き終わっており、画像のものが花の状態が最も良いものでした。
周辺には比較的多くの中~小個体が見られ、自然状態では崩落でもない限り安泰のように見えます。
盗掘に遭わないことを願うばかりです。

Fig.28 サギソウ (阪神地方 2015.7/26)
溜池へと移動し湿地を探査していると、早くも開花したサギソウがありました。
周辺には花茎を上げ始めた個体が無数に生育していました。
関連ページ 湿生植物・サギソウ

Fig.29 コマツカサアブラガヤ (阪神地方 2015.7/26)
Sさんに変なアブラガヤがあるという溜池にも案内していただきました。
小穂は不自然に細長く伸び、枝先には複数の小穂をつけていることからアブラガヤとコマツカサススキの推定種間雑種コマツカサアブラガヤであると思われます。
兵庫県ではコマツカサススキとアブラガヤの混生地が多く、このタイプのものは比較的よく見られます。
関連ページ 湿生植物・アブラガヤ
関連ページ 湿生植物・コマツカサススキ

Fig.30 ウリカワの花と水田雑草 (西宮市 2015.7/28)
溶けるような暑さの中、午後から市内の田園地帯を歩きました。
山際の水田ではウリカワやオモダカの開花が始まっており、水田内ではアブノメやキカシグサが伸び始めています。
関連ページ 湿生植物・ウリカワ
関連ページ 湿生植物・アブノメ
関連ページ 湿生植物・キカシグサ

Fig.31 オオヨツスジハナカミキリ♀ (西宮市 2015.7/28)
先のヨツスジハナカミキリよりも大型で、見かける機会も比較的少ないハナカミキリです。
照り返しの強いアスファルトの農道を歩いていると、どこからか飛んできてナゼか農道の溝に降り立ちました。

Fig.32 ジャノメチョウ (西宮市 2015.7/28)
ススキが優占する草地では新鮮なジャノメチョウが頻繁に見られるようになりました。
画像はアキノタムラソウで吸蜜するメスの個体です。

Fig.33 ヒメミソハギ (西宮市 2015.7/28)
有馬川の氾濫原由来の水田ではヒメミソハギが開花し始めていました。
絶滅危惧種に指定されている地域が多い種ですが、農家の方からすれば稲の収穫時に小さな種子が混じって厄介だとのこと。
個人的には毒が無ければ他の種子が混じっても構わない派です。
関連ページ 湿生植物・ヒメミソハギ

Fig.34 イヌエンジュ (西宮市 2015.7/28)
畑地へと続く土手ではイヌエンジュが満開を迎えていました。
かつてはハネミイヌエンジュとされていましたが、最近の研究によりイヌエンジュと分けない傾向にあるようです。

Fig.35 スズサイコ (西宮市 2015.7/28)
各地で絶滅危惧種に指定されていますが、西宮市内ではかなり普通に見られる種です。
夕暮れ近くなり、開花し始めていました。
関連ページ 関西の花・スズサイコ

Fig.36 ナツエビネ (兵庫県丹波地方 2015.7/31)
昨年は季節外れの早い台風の直撃でダメ。今年は2日前の大雨で、花茎が黒変して傷んでいるものが多く、もう一つでした。この様子では今年もほとんど結実は望めないでしょう。画像の個体は大株ですが、昨年は結実が見られませんでした。

Fig.37 コガマ群落 (京都府中丹地方 2015.7/31)
この日は午後から京都の氾濫原由来の田園地帯の種組成調査に向かいました。
最初に眼に飛び込んできたのは休耕田のコガマ群落。ひと月前はガマの群落が目立っていましたが全て伐採され、開花中のコガマ群落が目立ちました。これまでに見た最も大きな群落規模です。
関連ページ 湿生~抽水植物・コガマ

Fig.38 タコノアシ (京都府中丹地方 2015.7/31)
モザイク状に点在する休耕田で大きな株が生育しており、開花し始めていました。
休耕田は時期をずらして草刈りされたり、耕起されたりしており、それがタコノアシが良好な状態で生き残っている理由なのでしょう。コガマとともに、これまでに観察した最も大きな集団でした。
関連ページ 湿生~抽水植物・タコノアシ

Fig.39 ウシノシッペイ (京都府中丹地方 2015.7/31)
こういった氾濫原由来の田園地帯には出現率の高いイネ科草本です。
氾濫原ではしばしば大きな群落をつくりますが、ここでは休耕田の一角で群生が見られる程度でした。
関連ページ 湿生植物・ウシノシッペイ

Fig.40 オオフサモ (京都府中丹地方 2015.7/31)
ここでは氾濫原の原風景的な光景が残る中、特定外来生物に指定されているオオフサモも幅を効かせています。近くには住宅街や市街地も広がっているのでやむを得ないことなのでしょう。
特筆すべきはオオカワヂシャの侵入が見られなかったことでしょうか。
関連ページ 抽水~沈水植物・オオフサモ

Fig.41 セリ群落 (京都府中丹地方 2015.7/31)
広大な氾濫原の一角であるためか、群生のスケールも大きなもので、まるでキアゲハの楽園のようなセリの群落がありました。暑さのあまりコンデジのPLフィルターが曇ってソフトフォーカスのような効果が生まれ、偶然にも「楽園」のような雰囲気に。面白いのでUPしてみました。ここでは実際に沢山のキアゲハが舞っていました。
関連ページ 湿生植物・セリ

Fig.41 キクモ (京都府中丹地方 2015.7/31)
キクモもいたるところで見られ、沈水状態から陸生形へと移行する途上でした。
8月半ば頃に開花することでしょう。
関連ページ 湿生~抽水~沈水植物・キクモ

Fig.42 スズメノハコベ (京都府中丹地方 2015.7/31)
緯度的に当然あってしかるべきと思っていましたが、ここでは休耕田内で絨毯状に生育している箇所がありました。まだ沈水状態のものばかりで、葉腋にツボミをつけているものは見られません。
画像中には同所的に点在しているアブノメも写っています。
関連ページ 湿生植物・スズメノハコベ

Fig.43 休耕田の水田雑草群 (京都府中丹地方 2015.7/31)
画像には水田雑草にとって良好な生育環境であることを示すホシクサ、サワトウガラシ、スズメノハコベが見られます。他にアゼナ、アメリカアゼナ、アゼトウガラシ、キカシグサ、コナギなどが見られました。
関連ページ 湿生植物・ホシクサ
関連ページ 湿生植物・サワトウガラシ

Fig.44 ミズネコノオの若い個体 (京都府中丹地方 2015.7/31)
今回の調査は出現が予想されたミズネコノオを見つけることが目的でした。
まだ1cmほどの若い個体ですが、9月中旬以降には開花が見られることでしょう。
水田や休耕田内に若い個体が点々と見られました。
現在の様子からすると、9月に入ればシソクサ、ヒメミズワラビの出現が予想されます。
関連ページ 湿生植物・ミズネコノオ

Fig.45 アサマイチモンジ (京都府中丹地方 2015.7/31)
遮るもののない田園地帯を歩いた後、周縁部にある放棄されたクワ林に涼みに行くと、林縁でアサマイチモンジがふわふわと飛翔していました。
おそらく夏に羽化したものでしょう。まだ羽に痛みもなく新鮮な個体でした。

Fig.46 ミソハギ (京都府中丹地方 2015.7/31)
日が傾き始めた田園地帯では休耕田のミソハギ群落が斜光を浴びて輝いていました。
今日の成果に満足しつつ、控え目加減の情緒的なショットを撮ってみました(笑)
関連ページ 湿生植物・ミソハギ

Fig.47 溜池のイトモ群落 (京都府中丹地方 2015.7/31)
日没までまだ時間があったので、課題であるトリゲモsp.の自生する溜池に立ち寄りました。
この時期はイトモの果実期で、底面を鬱蒼と覆ったイトモが結実して、その切れ藻が水面に浮かび上がっていました。
トリゲモsp.はこの密生したイトモの間に混生していますが、まだ発育途上のようでした。
関連ページ 沈水植物・イトモ

Fig.48 トリゲモsp. (京都府中丹地方 2015.7/31)
溜池から流れ出す水路内に見られるものですが、まだ花を確認できるものはありませんでした。
葉鞘の形、種子表面の横長の格子模様からトリゲモかオオトリゲモか判断保留としているものです。
前回訪れた時は時期的に遅くて雄花が見られず、今回は早すぎて花自体が見られませんでした。
こんなにタイミングを合わせるのが難しいのかと、改めて思い知らされました。
8月中~下旬にリトライです。
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FC2ブログの仕様が変わったのか、リンク先で大きな画像が表示されなくなってしまいました。
大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。

Fig.1 クモノスシダ (岡山県真庭市 2015.7/4)
野暮用で岡山県北部に出掛ける用事があり、わずかな空き時間に石灰岩地の谷を見てきました。
岩場にはあちこちにクモノスシダが着生していました。ここではクモノスシダは普通種のようでした。
コタニワタリやコバノヒノキシダ、ヘラシダも多く、また時間があればゆっくりと探査したい場所です。

Fig.2 アカショウマ (神戸市 2015.7/13)
午前中の空き時間に六甲の谷に出掛けると、立派なアカショウマが開花していました。
花茎が何本も分枝して、多くの花序をつけ、重たそうに倒れこんでいます。
関連ページ 湿生植物・アカショウマ

Fig.3 ミヤコオトギリ (神戸市 2015.7/13)
ミヤコオトギリは山地の沢沿いや明るい疎林の湿った林床に見られます。
腺点の散布はオトギリソウとほとんど変わりませんが、花は小さく、葉が長楕円形~広披針形と細いのが特徴。

Fig.4 カンザシギボウシ (神戸市 2015.7/13)
前回掲載した時(6/24)はまだツボミでしたが、すでに開花終盤となっていました。
現在のところ兵庫県が分布の東限で、花は花茎の先に集まってつくのが特徴です。

Fig.5 ノギラン (西宮市 2015.7/13)
六甲から降りた里山ではノギランが開花全盛でした。
葉に紅変が見られるものは、紅色を帯びた花をつけるものが多い傾向が見られます。
関連ページ 湿生植物・ノギラン

Fig.6 カワラサイコ (西宮市 2015.7/13)
午後は野暮用の帰りに久々に河川敷に寄り道。あちこちでカワラサイコが開花中でした。
草刈りがなされて花茎の低い個体が多い中、植え込みの陰のものは刈り込みの難を逃れて高く花茎を上げていました。

Fig.7 ヒナギキョウ (西宮市 2015.7/13)
河川敷の芝地で沢山の個体が開花していました。ここではほぼ通年開花が見られます。
関連ページ 関西の花・ヒナギキョウ

Fig.8 ヌマハリイ(オオヌマハリイ) (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
シダの会の調査・観察会の日ですが、車中泊で現地入りし、早朝から集合時間の間に周辺を探査しました。ヌマハリイは兵庫県ではやや高所の湿地に生育する種で、開花結実が早く、今回ようやく観察適期に間に合いました。この湿地ではヒメカンガレイ、エゾシロネ、シカクイ(狭義)、ミズチドリなどが同所的に生育しています。

Fig.9 ミズチドリ (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
ヌマハリイの生育する湿地でちょうど開花中でした。個体数はわずかです。
前日の台風の影響でしょうか、草体は倒伏気味でした。

Fig.10 オオモミジガサ (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
小さな沢を遡るとオオモミジガサが開花し始めていました。
周囲ではヤマアジサイ、クサアジサイが開花し、ギンバイソウ、モミジガサ、タイミンガサ、ソバナなどが花茎を上げ始めており、これから秋まで花の時期が続きそうです。

Fig.11 クサアジサイを訪花したヨツスジハナカミキリ (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
この時期になると様々な花上に最もふつうに見られるようになるハナカミキリです。

Fig.12 ウラギンヒョウモン (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
朝露に濡れた草原に咲くノアザミに多くの個体が訪花していました。
盛夏の猛暑の日が続く期間は夏眠して、一時的に姿が見られなくなります。

Fig.13 ヤマジノホトトギスを訪花したコマルハナバチ (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
花筒に首を突っ込んで吸蜜すると、ハチの背中に花粉が付く様子が分かります。

Fig.14 イワヤシダの小型個体 (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
シダの会に合流して、本日のメインのイワヤシダ自生地での調査です。
かつて群生していた場所はシカの食害によって小さな葉の個体ばかりになり、画像のものは倒木の陰に見られた最も大きな個体でしたが、葉裏にソーラスは見られませんでした。
周囲にはトゲカラクサイヌワラビも沢山見られましたが、いずれも葉の小さな個体ばかりでした。

Fig.15 タンゴワラビの群落 (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
イワヤシダ自生地から小さな尾根を越えた谷間は、タンゴワラビの群落によって埋め尽くされていました。

Fig.16 オニヒカゲワラビ (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
タンゴワラビと比較すると個体数は少数で、周辺に点在しています。
タンゴワラビとオニヒカゲワラビの雑種があるのかもしれませんが、そこまで眼が肥えていないので今回は断念。
関連ページ 関西の花/シダ・オニヒカゲワラビ

Fig.17 サキモリイヌワラビ (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
シカの多い地域ではどこでも同様ですが、ここでも防獣柵の内側にある林で基本種が一通り残っている場所があり、多くのシダが見られました。
サキモリイヌワラビは兵庫県では県南部では見られず、但馬地方中心に広く分布するイヌワラビの仲間です。

Fig.18 フナコシイノデ (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
同じ林内にイノデ類が多い箇所があり、そこに一際大きなイノデがあったため、葉軸裏を確認したところ大きな鱗片が並んでいました。
林内にはイノデ、アイアスカイノデ、サカゲイノデ、サイゴクイノデが見られ、特徴が重複するものはイノデとサカゲイノデであり、両種の推定種間雑種のフナコシイノデということになります。
関連ページ 関西の花/シダ・フナコシイノデ(雑種)

Fig.19 サンインコベソマイマイ (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
ひとはくの鈴木さんから、サンインコベソマイマイだと教えて頂きました。成貝になっても臍孔が開くのが、コベソマイマイとの区別点とのことです。
丹波地方でも似たものを見ますが、幼貝が多く、丹波はどちらの分布域になるのでしょうか。

Fig.20 ミクリsp. (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
シダの会散会後、日没までにまだ時間があるので高原地帯へと向かいました。
棚田の中段付近の小さな池にフトヒルムシロとともに生育しているもので、生育環境からヤマトミクリの可能性が高いだろうと見ていますが、いつも水量が多くてこんな状態で、花茎を上げたところを見たことがありません。今のところ但馬地方からヤマトミクリの記録はなく、花茎を上げるのを期待しているのですが。
関連ページ 抽水植物・ヤマトミクリ

Fig.21 オオバギボウシ (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
道端のちょっとした水の滴る岩場でオオバギボウシが開花中でした。
但馬の高原地帯に生育するものは、花に青味の少ないものがほとんどのようです。
関連ページ 関西の花・オオバギボウシ

Fig.22 ミツカドシカクイ (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
兵庫県ではだいたい標高800m以上の湿地に出現するシカクイの仲間で、その名のとおり有花茎の横断面は3稜形です。
関連ページ 湿生植物・ミツカドシカクイ

Fig.23 ウツボグサを訪花したヒメキマダラセセリ (兵庫県但馬地方 2015.7/19)
湿地で開花しているウツボグサの周りで多くの個体が飛び交っては、訪花していました。

Fig.24 グンバイトンボ (兵庫県篠山市 2015.7/23)
ハタベカンガレイの茂る溜池の木陰で休んでいました。
二次的自然環境の高い湧水のある川や池に見られ、兵庫県ではまだよく見る部類に入るモノサシトンボの仲間です。

Fig.25 ノカンゾウ (西宮市 2015.7/23)
高茎草本に埋もれつつある棚田の休耕田の土手に数個体が生育し、開花していました。
結実は稀でまだ本種の蒴果を見たことがありません。ここのものは未確認なので、今秋にでもまた見に行きたいと思います。
関連ページ 湿生植物・ノカンゾウ

Fig.26 ヤシャゼンマイ (阪神地方 2015.7/26)
時期的には少し遅くなりましたが、Sさんに案内して頂いてウチョウランの自生地を見に行ってきました。渓谷を遡行しているうちに特徴的な細い小羽片を持ったヤシャゼンマイに出会いました。
この山域からの記録はなく、小さなものがたった3個体あっただけでしたが、思っても見ない嬉しい出会いでした。

Fig.27 ウチョウラン (阪神地方 2015.7/26)
やはり時期的に遅く、多くの花は咲き終わっており、画像のものが花の状態が最も良いものでした。
周辺には比較的多くの中~小個体が見られ、自然状態では崩落でもない限り安泰のように見えます。
盗掘に遭わないことを願うばかりです。

Fig.28 サギソウ (阪神地方 2015.7/26)
溜池へと移動し湿地を探査していると、早くも開花したサギソウがありました。
周辺には花茎を上げ始めた個体が無数に生育していました。
関連ページ 湿生植物・サギソウ

Fig.29 コマツカサアブラガヤ (阪神地方 2015.7/26)
Sさんに変なアブラガヤがあるという溜池にも案内していただきました。
小穂は不自然に細長く伸び、枝先には複数の小穂をつけていることからアブラガヤとコマツカサススキの推定種間雑種コマツカサアブラガヤであると思われます。
兵庫県ではコマツカサススキとアブラガヤの混生地が多く、このタイプのものは比較的よく見られます。
関連ページ 湿生植物・アブラガヤ
関連ページ 湿生植物・コマツカサススキ

Fig.30 ウリカワの花と水田雑草 (西宮市 2015.7/28)
溶けるような暑さの中、午後から市内の田園地帯を歩きました。
山際の水田ではウリカワやオモダカの開花が始まっており、水田内ではアブノメやキカシグサが伸び始めています。
関連ページ 湿生植物・ウリカワ
関連ページ 湿生植物・アブノメ
関連ページ 湿生植物・キカシグサ

Fig.31 オオヨツスジハナカミキリ♀ (西宮市 2015.7/28)
先のヨツスジハナカミキリよりも大型で、見かける機会も比較的少ないハナカミキリです。
照り返しの強いアスファルトの農道を歩いていると、どこからか飛んできてナゼか農道の溝に降り立ちました。

Fig.32 ジャノメチョウ (西宮市 2015.7/28)
ススキが優占する草地では新鮮なジャノメチョウが頻繁に見られるようになりました。
画像はアキノタムラソウで吸蜜するメスの個体です。

Fig.33 ヒメミソハギ (西宮市 2015.7/28)
有馬川の氾濫原由来の水田ではヒメミソハギが開花し始めていました。
絶滅危惧種に指定されている地域が多い種ですが、農家の方からすれば稲の収穫時に小さな種子が混じって厄介だとのこと。
個人的には毒が無ければ他の種子が混じっても構わない派です。
関連ページ 湿生植物・ヒメミソハギ

Fig.34 イヌエンジュ (西宮市 2015.7/28)
畑地へと続く土手ではイヌエンジュが満開を迎えていました。
かつてはハネミイヌエンジュとされていましたが、最近の研究によりイヌエンジュと分けない傾向にあるようです。

Fig.35 スズサイコ (西宮市 2015.7/28)
各地で絶滅危惧種に指定されていますが、西宮市内ではかなり普通に見られる種です。
夕暮れ近くなり、開花し始めていました。
関連ページ 関西の花・スズサイコ

Fig.36 ナツエビネ (兵庫県丹波地方 2015.7/31)
昨年は季節外れの早い台風の直撃でダメ。今年は2日前の大雨で、花茎が黒変して傷んでいるものが多く、もう一つでした。この様子では今年もほとんど結実は望めないでしょう。画像の個体は大株ですが、昨年は結実が見られませんでした。

Fig.37 コガマ群落 (京都府中丹地方 2015.7/31)
この日は午後から京都の氾濫原由来の田園地帯の種組成調査に向かいました。
最初に眼に飛び込んできたのは休耕田のコガマ群落。ひと月前はガマの群落が目立っていましたが全て伐採され、開花中のコガマ群落が目立ちました。これまでに見た最も大きな群落規模です。
関連ページ 湿生~抽水植物・コガマ

Fig.38 タコノアシ (京都府中丹地方 2015.7/31)
モザイク状に点在する休耕田で大きな株が生育しており、開花し始めていました。
休耕田は時期をずらして草刈りされたり、耕起されたりしており、それがタコノアシが良好な状態で生き残っている理由なのでしょう。コガマとともに、これまでに観察した最も大きな集団でした。
関連ページ 湿生~抽水植物・タコノアシ

Fig.39 ウシノシッペイ (京都府中丹地方 2015.7/31)
こういった氾濫原由来の田園地帯には出現率の高いイネ科草本です。
氾濫原ではしばしば大きな群落をつくりますが、ここでは休耕田の一角で群生が見られる程度でした。
関連ページ 湿生植物・ウシノシッペイ

Fig.40 オオフサモ (京都府中丹地方 2015.7/31)
ここでは氾濫原の原風景的な光景が残る中、特定外来生物に指定されているオオフサモも幅を効かせています。近くには住宅街や市街地も広がっているのでやむを得ないことなのでしょう。
特筆すべきはオオカワヂシャの侵入が見られなかったことでしょうか。
関連ページ 抽水~沈水植物・オオフサモ

Fig.41 セリ群落 (京都府中丹地方 2015.7/31)
広大な氾濫原の一角であるためか、群生のスケールも大きなもので、まるでキアゲハの楽園のようなセリの群落がありました。暑さのあまりコンデジのPLフィルターが曇ってソフトフォーカスのような効果が生まれ、偶然にも「楽園」のような雰囲気に。面白いのでUPしてみました。ここでは実際に沢山のキアゲハが舞っていました。
関連ページ 湿生植物・セリ

Fig.41 キクモ (京都府中丹地方 2015.7/31)
キクモもいたるところで見られ、沈水状態から陸生形へと移行する途上でした。
8月半ば頃に開花することでしょう。
関連ページ 湿生~抽水~沈水植物・キクモ

Fig.42 スズメノハコベ (京都府中丹地方 2015.7/31)
緯度的に当然あってしかるべきと思っていましたが、ここでは休耕田内で絨毯状に生育している箇所がありました。まだ沈水状態のものばかりで、葉腋にツボミをつけているものは見られません。
画像中には同所的に点在しているアブノメも写っています。
関連ページ 湿生植物・スズメノハコベ

Fig.43 休耕田の水田雑草群 (京都府中丹地方 2015.7/31)
画像には水田雑草にとって良好な生育環境であることを示すホシクサ、サワトウガラシ、スズメノハコベが見られます。他にアゼナ、アメリカアゼナ、アゼトウガラシ、キカシグサ、コナギなどが見られました。
関連ページ 湿生植物・ホシクサ
関連ページ 湿生植物・サワトウガラシ

Fig.44 ミズネコノオの若い個体 (京都府中丹地方 2015.7/31)
今回の調査は出現が予想されたミズネコノオを見つけることが目的でした。
まだ1cmほどの若い個体ですが、9月中旬以降には開花が見られることでしょう。
水田や休耕田内に若い個体が点々と見られました。
現在の様子からすると、9月に入ればシソクサ、ヒメミズワラビの出現が予想されます。
関連ページ 湿生植物・ミズネコノオ

Fig.45 アサマイチモンジ (京都府中丹地方 2015.7/31)
遮るもののない田園地帯を歩いた後、周縁部にある放棄されたクワ林に涼みに行くと、林縁でアサマイチモンジがふわふわと飛翔していました。
おそらく夏に羽化したものでしょう。まだ羽に痛みもなく新鮮な個体でした。

Fig.46 ミソハギ (京都府中丹地方 2015.7/31)
日が傾き始めた田園地帯では休耕田のミソハギ群落が斜光を浴びて輝いていました。
今日の成果に満足しつつ、控え目加減の情緒的なショットを撮ってみました(笑)
関連ページ 湿生植物・ミソハギ

Fig.47 溜池のイトモ群落 (京都府中丹地方 2015.7/31)
日没までまだ時間があったので、課題であるトリゲモsp.の自生する溜池に立ち寄りました。
この時期はイトモの果実期で、底面を鬱蒼と覆ったイトモが結実して、その切れ藻が水面に浮かび上がっていました。
トリゲモsp.はこの密生したイトモの間に混生していますが、まだ発育途上のようでした。
関連ページ 沈水植物・イトモ

Fig.48 トリゲモsp. (京都府中丹地方 2015.7/31)
溜池から流れ出す水路内に見られるものですが、まだ花を確認できるものはありませんでした。
葉鞘の形、種子表面の横長の格子模様からトリゲモかオオトリゲモか判断保留としているものです。
前回訪れた時は時期的に遅くて雄花が見られず、今回は早すぎて花自体が見られませんでした。
こんなにタイミングを合わせるのが難しいのかと、改めて思い知らされました。
8月中~下旬にリトライです。
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category: 7月の花
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