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Satoyama, Plants & Nature

6月のフィールドで 前半 

6月のメモの前半です。花の少ない端境期で、シダやちょうどシーズン中のスゲが多くなりました。
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ウマスゲ
Fig.1 ウマスゲ (兵庫県阪神地方 2015.6/1)
ウマスゲ自生の情報を頂き、見に行ってきました。
ウマスゲと言うと大河川の氾濫原に生育するものという印象ですが、ここでは中河川の氾濫原由来の水田地帯と谷津の境界付近に生育していました。
関連ページ 湿生植物・ウマスゲ

ヤワラスゲ
Fig.2 ヤワラスゲ (兵庫県阪神地方 2015.6/1)
ウマスゲが生育していた流れを遡ると、よく似たヤワラスゲが生育していました。
湿った草地や農耕地周辺によく見られます。
ウマスゲよりも果胞は小さく、上部の小穂はウマスゲよりも相接してつきます。
関連ページ 湿生植物・ヤワラスゲ

ヌマエビ
Fig.3 ヌマエビ (兵庫県阪神地方 2015.6/1)
ヤワラスゲの傍らの流れの中を覗いてみるとヌマエビが沢山みられました。
腹部に卵をいっぱい抱いている親エビもいます。

カモノハシ
Fig.4 カモノハシ (兵庫県播磨地方 2015.6/1)
播磨地方に移動。溜池跡の土堤下でカモノハシが開花中でした。
関連ページ 湿生植物・カモノハシ

ノテンツキ
Fig.5 ノテンツキ (兵庫県播磨地方 2015.6/1)
カモノハシの隣ではノテンツキも開花中。
テンツキの仲間では最も早い時期に花序を上げます。
関連ページ 湿生植物・ノテンツキ

ササユリ
Fig.6 ササユリ (兵庫県播磨地方 2015.6/1)
森に入るとあちこちでササユリが開花しており、あたりはいい香りが漂っていました。
林縁ではオケラやキキョウも生育していました。
関連ページ 関西の花・ササユリ

ヒメヒカゲ
Fig.7 ヒメヒカゲ (兵庫県播磨地方 2015.6/1)
若い頃に愛知県で見て以来、数十年ぶりに出会えました。
湿地開発や遷移によって激減した蝶で、兵庫県版RDBのAランクに指定され、各地で保護活動が行われています。西宮市にも古い記録がありますが、現在では絶滅して見られません。

ビロードスゲ
Fig.8 ビロードスゲ (京都府山城地方 2015.6/4)
有難いことにM先生のご厚意で、京都のビロードスゲ自生地を案内していただきました。
河川近くの砂地に群生する種で、兵庫県内ではほとんど見られないスゲです。
生育環境は河川高水敷の上部の砂質で湿った場所で、匐枝を横走して群生しています。

エナシヒゴクサ
Fig.9 エナシヒゴクサ (京都府山城地方 2015.6/4)
ビロードスゲ群生地周辺から、河川の林縁部の広い範囲で群生していました。
やや湿った林縁部で見かけたりしますが、おそらく、こういった河川周辺部が本来の生育環境なのでしょう。
関連ページ 湿生植物・エナシヒゴクサ

セイタカシケシダ
Fig.10 セイタカシケシダ (京都府山城地方 2015.6/4)
河川沿いに通る樹木に覆われた車道の脇で、セイタカシケシダを教えていただきました。
兵庫県内でもどこかで同じものを見ているのですが、場所を失念して思い出せません。

ヤシャゼンマイ
Fig.11 ヤシャゼンマイ (京都府山城地方 2015.6/4)
比較的稀なシダで、河川の岩上に点在していました。
ゼンマイよりも小型で、小羽片は細長く、涼しげな草姿です。

ゼンマイの仲間3種
Fig.12 ヤシャゼンマイ、ゼンマイ、雑種 (京都府山城地方 2015.6/4)
道端の岩上で3種が並んで生育しており、特徴がよく把握できました。
左からヤシャゼンマイ、オオバヤシャゼンマイ(雑種・オクタマゼンマイ)、ゼンマイ。
見分けのポイントは小羽片基部で、ヤシャゼンマイはくさび形、ゼンマイは斜め切形、オオバヤシャゼンマイは小羽片の幅や基部が両種のちょうど中間的な形となります。
狭い画幅では分かりにくいので、この画像だけ拡大画像は1600×1200ピクセルとしました。

アオミヤマカンスゲ
Fig.13 アオミヤマカンスゲ (京都府山城地方 2015.6/4)
兵庫県では見られないスゲで、このあたりが近畿地方の分布の北限地となるようです。
葉はミヤマカンスゲよりもかなり柔らかく、見た目の印象はかなり異なっています。。

ヤマトテンナンショウ
Fig.14 ヤマトテンナンショウ (京都府山城地方 2015.6/4)
テンナンショウ類も今年は開花期が早まっているようで、この谷にあったものはほとんど開花後で仏炎苞がしおれていましたが、ヤマトテンナンショウはなんとか1個体のみが開花していてくれました。
この谷にはヤマトテンナンショウのほか、オオマムシグサ、キシダマムシグサ、ムロウテンナンショウが生育していました。

キノクニベニシダ
Fig.15 キノクニベニシダ (兵庫県丹波地方 2015.6/9)
キノクニベニシダのページを作るべく丹波地方に出掛けましたが、雨のため画像がいまひとつ。
葉軸が強く赤味を帯び、羽片は葉軸と直交してつき立体的な階段状となり、最下羽片下側の最下小羽片には鋸歯が出て、ソーラスはつねに紅色となります。

ヤノネシダ
Fig.16 ヤノネシダ (兵庫県丹波地方 2015.6/9)
ゼンマイやベニシダに埋もれて、林縁の斜面で生育していました。
関連ページ 関西の花・ヤノネシダ

シモツケヌリトラノオ
Fig.17 シモツケヌリトラノオ (兵庫県丹波地方 2015.6/9)
岩上に生育しているシモツケヌリトラノオが新葉を上げていました。
関連ページ 関西の花・シモツケヌリトラノオ

ムヨウラン
Fig.18 ムヨウラン (兵庫県丹波地方 2015.6/9)
社寺の林床に見られるものですが、ここのものはいつもほとんど花を開きません。
結実率はそれほど悪くないので、自家受粉しているのでしょうか?
しかし、花を分解しても花粉塊が蕊柱の雌蕊に付くような仕組みは無いような感じです。
花が開くのが夜間であるとしたら、虫媒の可能性が大きく広がります。
関連ページ 関西の花・ムヨウラン

タチクラマゴケ
Fig.18 タチクラマゴケ (兵庫県丹波地方 2015.6/9)
一昨年の冬に社寺の石垣で紅葉していたタチクラマゴケを見つけていました。
京都で立ち上がって胞子嚢をつけたものがあったので、こちらのものもそろそろだろうと立ち寄りました。胞子嚢をつける枝が10cmほど立ち上がっており、上部には小胞子嚢を、下部には大胞子嚢を葉腋につけていました。

ヤマトキソウ
Fig.19 ヤマトキソウ (西宮市 2015.6/9)
6年前から西宮市内の数ヶ所で見ていますが、いつも開花期を逃して標本を採り損ねていたヤマトキソウです。西宮市からは標本記録はありませんでしたが、これでやっと標本を収めることができます。
関連ページ 湿生植物・ヤマトキソウ

アリマグミ
Fig.20 アリマグミ (西宮市 2015.6/9)
里山の谷津を歩くと、用水路脇でアリマグミが熟しかかっていました。
関連ページ 関西の花・アリマグミ

マンゴクドジョウツナギ
Fig.21 マンゴクドジョウツナギ (西宮市 2015.6/9)
西宮市内には谷津に1mを越す大型のドジョウツナギが多く、一度詳しく調べ直す必要を感じていました。茎は基部が倒伏気味に斜上し、太さは7mmにおよび、葉鞘表面は平行脈に加えて横脈が明瞭に見られ(画像左)、やはりマンゴクドジョウツナギでした。この場所のものは結実が見られるので花粉を調べてみると、不稔のものと正常な花粉が混在していました。

ヒメアシナガコガネ
Fig.22 ヒメアシナガコガネ (西宮市 2015.6/9)
この時期、満開のクリの花に昆虫を探しながら見て廻るのは楽しいものです。
残念ながらこの日は天候がやや不順で、あまり昆虫類はみられませんでしたが、この時期の定番ヒメアシナガコガネは沢山見られました。
他にジョウカイボン、コアオハナムグリ、アカシジミなどを見かけました。

モノサシトンボ
Fig.23 モノサシトンボ (西宮市 2015.6/9)
上はオス、下はメス。毎年この時期から見かける機会の多くなるトンボです。
谷津の奥にある溜池周辺で見ることが多いです。

ムーアシロホシテントウ
Fig.24 ムーアシロホシテントウ (西宮市 2015.6/9)
ネザサの葉上で見かけたもので、ササの葉上に付いた菌類を食べるとのこと。

アギスミレ
Fig.25 アギスミレ (西宮市 2015.6/9)
他のスミレ類の開花がとっくに終わった6月に入っても、まだ新鮮な花が見られる湿生スミレです。
西宮市内では谷津奥の水路周辺や溜池畔の湿地で見られます。
関連ページ 湿生植物・アギスミレ

オニスゲ
Fig.26 オニスゲ (西宮市 2015.6/9)
アギスミレとともに谷津奥で群生しています。
周辺に見られるヤチカワズスゲやマツバスゲは果実期を終えて果胞も落ちています。
関連ページ 湿生植物・オニスゲ

イトモ
Fig.27 イトモ (西宮市 2015.6/9)
山間の溜池にイトモが開花していないか見に立ち寄りましたが、まだ開花は見られませんでした。
池の周囲の樹木には沢山のモリアオガエルの卵塊が付き、水面上にはミズスマシやオオアメンボが泳ぐ自然度の高い池です。
関連ページ 沈水植物・イトモ

アサザとフトヒルムシロ
Fig.28 アサザ(左上)とフトヒルムシロ(右下) (西宮市 2015.6/9)
アサザが投げ込まれた砂防ダムの堰き止め池を見にいくと、アサザは昨年よりも生育範囲が広がり、開花しはじめていました。近年、多くの溜池で人為的に移入されたものが増えているようです。
関連ページ 浮葉植物・アサザ
関連ページ 浮葉植物・フトヒルムシロ

コチャバネセセリ
Fig.29 コチャバネセセリ (西宮市 2015.6/10)
昼過ぎから時間が空いたので、近場の渓流の枝谷を遡ってみることにしました。渓流畔のアプローチの林道ではコチャバネセセリ、アカシジミ、アサマイチモンジなどが見られました。

ヒシモンナガタマムシ
Fig.30 ヒシモンナガタマムシ (西宮市 2015.6/10)
林道脇のエノキに食痕が見られたので宿主を探してみると、葉上に小さなナガタマムシとその幼虫が見られました。比較的よく見かけるナガタマムシの仲間です。

モリアオガエル卵塊・オタマジャクシ
Fig.31 モリアオガエルの卵塊とオタマジャクシ (西宮市 2015.6/9)
枝谷を遡りますが、花崗岩の急峻な谷は風化が激しいため、砂防ダムが連続しています。
砂防ダム上には堰き止め池が出来ている場所がしばしば見られ、そのような池の周囲の樹木には必ずモリアオガエルの卵塊が見られます。開けた堰き止め池ではツルヨシやヒメガマが侵入していることがあり、時にツルヨシに卵塊が産みつけられていることもあります(左)。すでに溶け落ちた卵塊も数多く見られ、池の中には1cmあまりの小さなオタマジャクシ(右)が沢山見られました。
池の中にはマメゲンゴロウが多数生息し、コオニヤンマやコシボソヤンマのヤゴなどが見られました。

ミドリカミキリ
Fig.32 ミドリカミキリ (西宮市 2015.6/10)
砂防ダムの堰き止め池の流れ込み部で休憩していると、ミドリカミキリが飛んできてそばに降り立ちました。この時期によく見られる種ですが、メタリックな青銅色が美しいカミキリムシです。
この日は植物はタニイヌワラビ、ミドリヒメワラビ、イノデモドキを見た程度で、大した成果はありませんでした。

イナモリソウ
Fig.33 イナモリソウ (兵庫県但馬地方 2015.6/13)
イナモリソウの花の色の変異が気になって、但馬山域定点調査参加前の早朝に立ち寄ってきました。
花の色は白色とピンク色が混じり、開花初期は白色で後にピンクになるものなど様々。
日当たりよい場所では濃いピンク色のものがほとんどでした。

オウギカズラ
Fig.34 オウギカズラ (兵庫県但馬地方 2015.6/13)
イナモリソウの咲く谷間ではオウギカズラもちょうど開花全盛でした。
キランソウやジュウニヒトエなどと同属ですが、兵庫県ではそれらのものより稀な種です。

ツルアジサイ
Fig.35 ツルアジサイ (兵庫県但馬地方 2015.6/13)
登山口へと移動の最中に、林道脇で満開のツルアジサイがありました。
朝方だし多少の訪花昆虫が見れるだろうと、クルマを止めて少し観察。

ツルアジサイの訪花昆虫
Fig.36 ツルアジサイの訪花昆虫 (兵庫県但馬地方 2015.6/13)
ツルアジサイの花上には数種の甲虫類が見られました。
画像ではトゲヒゲトラカミキリのペア(左)とニセヨコモンヒメハナカミキリ(右)が見られます。
他にクロハナカミキリ、フタオビヒメハナカミキリ、ヘリグロホソハナカミキリが訪花していました。

ヒロバスゲ
Fig.37 ヒロバスゲ (兵庫県但馬地方 2015.6/13)
登山口で定点調査隊と合流し、登りはじめて最初に現れた山地性スゲです。
分布の中心は中部地方以北の日本海側ですが、西日本では近畿から九州(大分県)の標高1000mを越える山地に隔離分布しています。
関連ページ 関西の花・ヒロバスゲ

コハリスゲ
Fig.38 コハリスゲ (兵庫県但馬地方 2015.6/13)
ブナ-シラビソ帯の湿った林縁や林床に生育する可愛らしいスゲです。
登るにつれて登山道脇に数多く現れるようになります。
関連ページ 関西の花・コハリスゲ

コミネカエデ
Fig.39 コミネカエデ (兵庫県但馬地方 2015.6/13)
樹木は勉強不足で1ヶ所で花のついている観察しやすいものを1,2種程度覚えるようにしています。
今回はコミネカエデ。カエデの中では開花期の遅いほうで、雌雄異株。
穂状の花序を上げますが、画像のものは2個の花柱が目立っているので雌花を上げた雌株ということになるでしょう。花粉がないためか、訪花昆虫は見られませんでした。

ミヤマニガイチゴ
Fig.40 ミヤマニガイチゴ (兵庫県但馬地方 2015.6/13)
近畿以北の亜高山帯に生育する種で、葉の切れ込みは深く先は尖り、花弁の幅はニガイチゴよりも広いものです。キバネオドリバエらしきオドリバエの仲間が訪花しており、長い口吻で盛んに吸蜜していました。

マイヅルソウとグレーンスゲ
Fig.41 マイヅルソウとグレーンスゲ (兵庫県但馬地方 2015.6/13)
中部山岳地帯ではどこでも当たり前のようにある両種も、兵庫県では分布の限られた稀な種となります。周囲には同時期に開花するユキザサも沢山見られました。
関連ページ 湿生植物・グレーンスゲ

エゾヒカゲノカズラ
Fig.42 エゾヒカゲノカズラ (兵庫県但馬地方 2015.6/13)
胞子嚢穂が伸び始めているものなので分かりにくいですが、どうやら胞子嚢穂に柄(小梗)はなさそうです。生育条件によるものかもしれませんが、側枝につく葉はヒカゲノカズラよりも密についている印象を受けました。

岩稜上の植生1
Fig.43 岩稜上の定点調査地 (兵庫県但馬地方 2015.6/13)
風衡地で調査中も強い風が吹き付けているような場所で、周囲の樹木は矮小化して低木林となっています。低木はアカミイヌツゲが優占し、リョウブ、ノリウツギ、ミヤマシグレ、コミネカエデ、クロヅル、ホツツジ、ダイセンミツバツツジ、ヤマツツジ、オオバスノキなどが生育し、周辺ではダイセンキャラボク、ミズメ、シナノキなどが見られました。
安山岩質の岩上にはカンサイイワスゲ、ミヤマキンバイ、ヘビノネゴザが見られます。

岩稜上の植生2
Fig.44 岩稜下部に見られる草本類 (兵庫県但馬地方 2015.6/13)
岩稜下部の割れ目や、多少の表土や蘚苔類が草本生育の足場をつくる部分では、小低木のコケモモ、ネビノネゴザ、ハリガネワラビ、ナガミヒメスゲ、ミヤマヌカボ、アキノキリンソウ(ミヤマアキノキリンソウ?)、イワカガミ(オオイワカガミ?)が見られました。

カンサイイワスゲ
Fig.45 カンサイイワスゲ (兵庫県但馬地方 2015.6/13)
この場所で最も大きかった個体です。
日当たりの良い岩上のみに見られ、小低木の被る場所では全く見られませんでした。
ショウジョウスゲを除いたイワカンスゲ節のスゲ類は、各地の高地の風衡地に隔離されつつ種分化しており、カンサイイワスゲは近畿地方の風衡地の岩場のみに見られる非常に稀少なものです。
関連ページ 関西の花・カンサイイワスゲ

コケモモ
Fig.46 コケモモ (兵庫県但馬地方 2015.6/13)
中部山岳地帯ではありふれた草本ですが、兵庫県ではこの付近でしか見られません。
ちょうど開花期に当たったようで、小さな花を沢山つけていました。

クジュウスゲ
Fig.47 クジュウスゲ (兵庫県但馬地方 2015.6/13)
第1調査地を後にし、下りの登山道脇の林縁でクジュウスゲを見つけました。
コンデジでの撮影のため、手前の小穂にピントが合わずボケてしまいました。
ヌカスゲ節の中でもオオイトスゲの変種群は区別の難しいものです。
兵庫県では高標高地に出現します。この周辺では兵庫県でここだけにしか見られないキイトスゲもありますが、今回は時間がなく自生場所に立ち寄りませんでした。
関連ページ 関西の花・クジュウスゲ

第2調査地・湿地
Fig.48 第2調査地の湿地 (兵庫県但馬地方 2015.6/13)
萌芽間もない小型のカヤツリグサ科草本はミヤマイヌノハナヒゲ、大きめの葉を広げているのはアブラガヤsp.、青みを帯びてわずかに小穂が見えるものはヤチスゲです。湿地の中心部はこの3種によって特徴付けられ、ところどころでツマトリソウ、モウセンゴケ、トキソウが混じります。
ミヤマイヌノハナヒゲやヤチスゲは近畿以北の亜高山帯や高層湿原に出現する種です。

ヒメミズゴケ-ヤチスゲ群落
Fig.49 ヒメミズゴケとヤチスゲの群落 (兵庫県但馬地方 2015.6/13)
湿地の最も水位の高い場所に成立している群落で、ヒメミズゴケは浮島状になって水面に浮いており、ヤチスゲはヒメミズゴケ群落中に匐枝を伸ばして群生しています。
スゲ属ヤチスゲ節のものは国内で4種が分布しますが、近畿地方で見られるのはヤチスゲ1種のみで、兵庫県ではここだけに生育しています。
関連ページ 湿生植物・ヒメミズゴケ

オオミズゴケ群落中のツマトリソウ
Fig.50 オオミズゴケ群落中のツマトリソウ (兵庫県但馬地方 2015.6/13)
ヒメミズゴケ群落が発達する中心部の外側にはオオミズゴケ群落が発達し、そこには様々な湿生植物と貧栄養地を好む草本が生育しています。
ここではツマトリソウの他に、アカモノ、ノギラン、アブラガヤsp.、ホソイといった湿地を好むもの、エゾヒカゲノカズラ、イワナシなど貧栄養地に生育するものが見られます。

ツマトリソウの花
Fig.51 ツマトリソウの花 (兵庫県但馬地方 2015.6/13)
ツマトリソウも中部山岳地帯ではふつうですが、兵庫県ではこの周辺に限って生育しています。

アカモノの花・モウセンゴケ
Fig.51 アカモノとモウセンゴケ (兵庫県但馬地方 2015.6/13)
アカモノはオオミズゴケ群落の発達する湿地外周部から周縁部にかけて見られ、ちょうど開花期で多くの開花個体が見れました。モウセンゴケは平地から亜高山帯まで、生育条件がフィットしていればよく出現する種で、ショウジョウスゲやショウジョウバカマと同じような逞しさを感じます。
関連ページ 湿生植物・モウセンゴケ

マンネンスギ
Fig.52 マンネンスギ (兵庫県但馬地方 2015.6/13)
この周辺では尾根筋の比較的湿度条件のよい低木下のほか、湿地内にもアブラガヤsp.の生育密度の高い場所に点在していました。
関連ページ 関西の花・マンネンスギ

湿地周縁部・ヤマドリゼンマイ
Fig.53 湿地周縁部のヤマドリゼンマイ (兵庫県但馬地方 2015.6/13)
遷移が進み、アカミイヌツゲ、イヌツゲ、マルバマンサク、ホツツジ、オオバスノキなどが進入しているあたりにヤマドリゼンマイが点在しています。このあたりでは枯死しかかっているオオミズゴケのマットが広がり、ミヤマイヌノハナヒゲは見られず、アブラガヤsp.、ホソイが点在し、グレーンスゲ、ノギラン、ショウジョウバカマ、ツマトリソウ、アカモノ、リンドウ、イワナシ、エゾヒカゲノカズラが見られました。

湿地周縁部・マイヅルソウなど
Fig.54 湿地周縁部の植生 (兵庫県但馬地方 2015.6/13)
ヤマドリゼンマイとは別の湿地周縁部の一画に見られる植生です。
画像右上には湧水が流れる細流があって、イグサが優占する区画があります。
地表はオオミズゴケのほか、スギゴケsp.が大きなマットをつくっていました。
スギゴケsp.はマイヅルソウが好むようで、湿地内の他の場所でもスギゴケsp.のマット上で群生が見られます。画像中には他にオオバショリマ、メシダ科sp.、ノガリヤス、バイケイソウ、ツマトリソウ、進入したノリウツギなどが見られます。
バイケイソウは鹿の忌避植物であるため、周辺の山域では殖えつつあります。

ナルコスゲ
Fig.55 渓流畔のナルコスゲとヒメレンゲ (兵庫県但馬地方 2015.6/13)
翌日もブナ林の定点調査がありましたが、播磨地方でのシダ観察会参加が既に決まっていたので、調査隊と別れて帰途につきました。
帰途に通る林道は幾つもの沢を跨いでいますが、そのうちの一つの沢沿いのスゲを観察しました。
ナルコスゲとヒメレンゲの組み合わせは兵庫県の山域の定番です。
関連ページ 関西の花・ナルコスゲ

カンスゲ
Fig.56 カンスゲ (兵庫県但馬地方 2015.6/13)
渓流畔の転石の間の腐植土が溜まっているようなところに点在していました。
関連ページ 関西の花・カンスゲ

ハバビロスゲ
Fig.57 ハバビロスゲ (兵庫県但馬地方 2015.6/13)
オクノカンスゲの日本海側の多雪地帯に生育する変種で、葉幅がヌカスゲ節とは思えないほど広くなり、有花茎も太いものです。ここでは渓流に面した多湿な斜面に、ヤグルマソウ、ヤマブキショウマ、クサアジサイ、シラネセンキュウ、ウワバミソウなどの草薮に隠れるように群生していました。
関連ページ 関西の花・オクノカンスゲ

ヘラシダ
Fig.58 ヘラシダ (兵庫県播磨地方 2015.6/14)
播磨地方でのシダの会の観察会。周辺はハゲ山が連なる一帯だったので、あまり珍しいシダはありませんでしたが、シダ以外でいろいろと面白いものが見れました。
画像は小さな流れの土崖にベニシダと群生していたヘラシダです。
関連ページ 関西の花・ヘラシダ

イシモチソウ
Fig.59 イシモチソウ (兵庫県播磨地方 2015.6/14)
ハゲ山地帯なので立派なイシモチソウ、トウカイコモウセンゴケ、ノグサの群落がいたるところで見られました。その名の通り、捕虫葉の粘液の粘性はモウセンゴケやコモウセンゴケよりも強く、小さな石も引っ付きます。
関連ページ 湿生植物・イシモチソウ

オオイシアブ
Fig.60 オオイシアブ (兵庫県播磨地方 2015.6/14)
熊のように毛むくじゃらのアブ。シオヤアブに近い仲間で、他の小昆虫を捕らえて体液を吸います。

ムカゴソウ
Fig.61 ムカゴソウ (兵庫県播磨地方 2015.6/14)
ハゲ山の一角にわずかに生育しています。草原環境の減少によって各地で絶滅危惧種とされていて、兵庫県でもBランクになっています。
周辺ではイガクサ、ノグサなどが生育し、ヒメヒカゲも舞っているような場所でした。

ムカゴソウの花
Fig.62 ムカゴソウの花 (兵庫県播磨地方 2015.6/14)
黄緑色で小さくて地味な花です。花柄(子房)はラン科らしく180度捩れていますね。

マンネンタケ
Fig.63 マンネンタケ (兵庫県播磨地方 2015.6/14)
生育途上のマンネンタケが立ち枯れたクヌギの幹から出ていました。

ガガブタ
Fig.64 ガガブタ (兵庫県播磨地方 2015.6/14)
山麓の溜池ではガガブタが開花しはじめていました。
関連ページ 浮葉植物・ガガブタ

オオハンゲ
Fig.65 オオハンゲ (兵庫県播磨地方 2015.6/14)
Mさんが来る途中でオオハンゲを見つけられたとのことで、観察会が終わってから案内していただきました。道路沿いにあるためしばしば草刈りに遭っているようで、小~中型の個体が群生していました。
仏炎苞が強く紫色を帯びている集団で、さらに分けるとしたら品種のムラサキオオハンゲということになります。

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