5月のフィールドで 後半
2015/05/30 Sat. 13:52 [edit]
5月のメモの後半です。それにしても今年は開花期の読みを外しっぱなし。1週間どころか2週間~20日くらいは開花期が早くなっているものもあります。
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大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。

Fig.1 ヘラシダ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
前夜発で車中で2時間ほど仮眠をとった後、夜明けとともに谷を歩きました。
最初に岩上に群生するヘラシダが出迎えてくれました。
関連ページ 関西の花・ヘラシダ

Fig.2 ヒメレンゲ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
ヒメレンゲは渓流がよく似合います。暗かったので露出を上げると背景がイイ感じに。

Fig.3 ヒロハヤブソテツ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
足元にはヒロハヤブソテツの若い株も現れました。若い株でも羽片は大きなものです。

Fig.4 コケイラン (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
温帯林の林床ではコケイランが満開でした。開花期には根生葉のないものが多いです。

Fig.5 ハナグモに捕らえられた訪花昆虫 (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
花から花へと飛んでいたアブが止まったので撮影したところ、アブの動きが止まってしまいました。
よく見るとアブは花で待ち構えていたハナグモに捕まっていました。アブの前胸背には花粉塊が一杯付いています。帰って調べるとアブはホソツヤヒラタアブで、図らずもポリネータを知ることになりました。

Fig.6 渓畔岩上の新緑 (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
山は新緑の美しい時期。渓流畔の岩上もクジャクシダ、イワタバコ、ヤマブキショウマ、ツタウルシ、ヤマアジサイなどの新緑が鮮やかでした。前年葉を垂らしているスゲはショウジョウスゲで、低地から亜高山までの様々な環境に適応しているスゲです。

Fig.7 イワハタザオ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
この谷筋の岩上ではあちこちでイワハタザオが生育していました。
暗いうえに渓流からの風があるため、なかなかよい画像が撮れません。

Fig.8 フジハムシ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
渓流畔のフジの葉上にフジハムシが眼につきました。風に煽られて葉が裏返った瞬間に卵らしきものが見えました。次の風を待って、雌親と卵塊を撮影することができました。

Fig.9 イブキシモツケ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
クルマで移動の途中の林道脇で開花したばかりのイブキシモツケが崖に点在していました。
イブキシモツケは西宮市内でも沢山見られますが、どうしても樹木は後回しになってしまいます。

Fig.10 ヘビゴネゴザとハクサンハタザオ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
両種ともに重金属に耐性があり、重金属を蓄積することがよく知られている種。
イブキシモツケが生えていた崖と連続した緑色岩の露頭に群生していました。
両種ともに見られる場所には、重金属が高い率で含まれる岩脈か鉱脈があるのでしょう。
近くの転石を調べてみましたが、転石自体が少なく、それらしいものは見られませんでした。
関連ページ 関西の花・ヘビノネゴザ
関連ページ 関西の花・ハクサンハタザオ

Fig.11 ゴマキ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
林道脇では所々でゴマキが開花し始めていました。その名の通りゴマの香りがします。
周辺はシカの食害が多く荒れた感じなのですが、この木は忌避植物なのか食み痕が見られません。

Fig.12 サクラスミレ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
高原地帯に移動してスミレ類を見に行きました。
今回見たかったのはサクラスミレとアケボノスミレでした。
サクラスミレはちょうど開花全盛。あちこちで開花個体が見られました。

Fig.13 アケボノスミレ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
こちらのほうは残念ながらかなり早い時期に開花期は終わったようで、花後に開いた葉が沢山見られました。わずかに野焼きとの境界付近でひねたような傷んだ花を開花しているものが2個体見られたのみでした。

Fig.14 ヒゴスミレ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
この高原ではヒゴスミレは少ないようで、この日確認できたのはこの1個体のみでした。
エイザンスミレは葉が基本3裂しますが、ヒゴスミレは5裂します。
この日は他にホコバスミレとホソバシロスミレも確認しましたが、強風が始終吹き付ける場所に生育しており、よい画像が撮れませんでした。

Fig.15 フモトシハイスミレ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
フモトスミレとシハイスミレの雑種で両種の中間的な形質が見られるもので、すみれ愛好会のYさんによるとフモトスミレを雌蕊親とする雑種だろうとのことでした。
花はシハイスミレの色ですが、唇弁の紫条、側弁の毛、距の長さ、茎の赤さはフモトスミレの形質が出ています。
関連ページ 関西の花・フモトスミレ
関連ページ 関西の花・シハイスミレ

Fig.16 レンゲツツジ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
野生のものは草刈りが行われるススキ草原に点々と見られますが、大きな個体はほとんど見られません。遷移が進むことによって次第に姿を消しつつある種のようです。

Fig.17 エンマムシの仲間 (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
野焼き後のススキ草原で、ペアが枯れ草を掻き分けて何かを漁っているか探っている様子でした。
1cmを越える大型なものだったので、おそらくヤマトエンマムシだと思います。
引っ張り出してちゃんと撮影しておくべきだったと少し後悔。

Fig.18 サルマメ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
草刈りされるススキ草原中に群生しており、ちょうど開花前半で雄株が開花全盛となっていました。
これも競合種が多いと姿を消してしまう種で、兵庫県では自生地自体も少ないためRDBのBランクとされています。

Fig.19 ミヤマベニシダ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
温帯林の湿った林床で、オクマワラビを大型にしたような印象を受けるミヤマベニシダが新葉を開いていました。隣接する湿地に群生しているヤマドリゼンマイはまだフィドルヘッドが固く巻いていました。

Fig.20 ルイヨウボタン (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
これもやや湿った林床に見られましたが、開花終盤で花は散りかけていました。
暗いうえに風が強く、残念な画像を量産しました。

Fig.21 ナツノハナワラビ (兵庫県播磨地方 2015.5/21)
これまで胞子葉を上げていない未成熟個体しか出会えたことがなかったのですが、ようやく胞子葉を上げた立派なものを見ることができました。
周囲をよく探してみましたが、見つかったのはこの1個体のみでした。
胞子葉が上がっていないと、ヤブニンジンのような細裂した葉を持ったセリ科植物と見間違えやすいものです。

Fig.22 サイハイラン (兵庫県播磨地方 2015.5/21)
社寺林下で多くの個体が開花していました。ちょうど地元の方がお見えで、こんなに沢山開花したのは20年振りくらいだと仰っていました。
撮影中にコマルハナバチが飛んできましたが、花に近づくや「あっ、コレ違う。」という感じですぐに飛び去ったのが印象的でした。

Fig.23 ニワフジ (兵庫県播磨地方 2015.5/21)
古い寺院に立ち寄ってみると、墓地の石垣でニワフジが開花していました。
ニワフジは社寺の石垣でよく見かけますが、これらは昔に植栽されたものでしょう。
本来は渓流の岩場などに生育するらしいのですが、そのようなものは未だ見たことがありません。

Fig.24 ホクリクタツナミソウ (兵庫県播磨地方 2015.5/21)
播磨北東部の山麓の細流脇にミズタビラコとともに生育していました。
播磨北西部の渓流畔ではデワノタツナミソウが生育していて、両種の境界がどのあたりになるのか、混生することがあるのかなど、興味が尽きません。
関連ページ 関西の花・ホクリクタツナミソウ

Fig.25 サイコクヒメコウホネ (兵庫県播磨地方 2015.5/21)
水生植物もそろそろシーズン突入のようです。
播磨地方では本種の開花も兵庫県東部よりかなり早いですね。
関連ページ 浮葉植物・サイコクヒメコウホネ

Fig.26 ヒツジグサ (兵庫県播磨地方 2015.5/21)
サイコクヒメコウホネとほぼ同時に開花し始めます。
ヒツジグサは秋まで開花しますが、5月下旬~7月上旬が花数も多く葉も新鮮で、最も美しい時期です。
関連ページ 浮葉植物・ヒツジグサ

Fig.27 オオハリイ (兵庫県播磨地方 2015.5/21)
先の2種が生育する池畔に見られたもので、すでに小穂基部から盛んに芽生していました。
この池では他にフトヒルムシロ、タヌキモsp.、フラスコモsp.、ミズユキノシタ、アシカキ、カンガレイ、タチスゲなどが見られました。
関連ページ 湿生植物・オオハリイ

Fig.28 セイタカハリイ (兵庫県阪神地方 2015.5/22)
農道脇の斜面から湧水が滲出して小湿地となっていて、そこにセイタカハリイが群生しています。
他にゴウソやタチスゲ、イグサなどが混生していますが、半裸地的な場所でノビノビと育ったのか大株となっていて、その様子はイヌシカクイと見紛うほどです。
これまで見たところでは、セイタカハリイは抽水状態となってもクローンの芽生はないようです。
関連ページ 湿生植物・セイタカハリイ

Fig.29 ヒゲナガハナノミ (兵庫県阪神地方 2015.5/22)
良好な湿地環境がある場所でこの時期に必ず現れる種で、ハナノミというよりはコメツキムシ?という印象を与える小型の甲虫です。この日も多くの個体を見かけ、交尾しているペアもいました。

Fig.30 アカシジミ (兵庫県阪神地方 2015.5/22)
今年初めて見るアカシジミです。花と違って昆虫類の出現時期はほぼ例年通りのように思います。
昨年はアカシジミの初見日とタツナミソウの全盛期がほぼ重なっていましたが、今年はタツナミソウは開花終盤となっています。
近縁のウラナミアカシジミの場合、昨年はトウゴクシソバタツナミの開花期と重なっていました。

Fig.31 ハンカイソウ (兵庫県阪神地方 2015.5/24)
林縁で開花していました。大型のキク科メタカラコウ属の草本ですが、メタカラコウやオタカラコウと違って低山に生育します。頭花の大きさは10cmにもおよび、遠くからでもよく目立ちます。

Fig.32 ヤブウツギ (兵庫県阪神地方 2015.5/24)
この近辺ではウツギ、ヤブウツギ、タニウツギが満開でした。
どれも「ウツギ」がつきますが、ウツギはアジサイ科、ヤブウツギとタニウツギはユキノシタ科です。
これはヤブウツギで兵庫県内では六甲山周辺に多産しますが、他の地域では稀産種です。
関連ページ 関西の花・ヤブウツギ

Fig.33 ヤマタツナミソウ (兵庫県阪神地方 2015.5/24)
この周辺地域では林床に生えるタツナミソウ類としてオカタツナミソウ、トウゴクシソバタツナミ、イガタツナミが見られますが、それらのものよりも眼にする機会がぐっと少ない種です。
花筒の基部が直角に曲がらず、斜上するのが他種との顕著な差になります。
関連ページ 関西の花・ヤマタツナミソウ

Fig.34 キシダマムシグサ (兵庫県阪神地方 2015.5/24)
驚いたことに5月下旬にまだ開花中のキシダマムシグサが見られました。
周囲には画像に見えるヒメレンゲのほか、ムラサキケマン、フウロケマン、ニシノオオタネツケバナが未だに開花中です。どの種も県内の他の地域ではとっくに開花が終わっています。
ここは流紋岩の岩屑が累々と堆積している斜面の下端部で、岩屑の隙間からは冷たい風が流れてきます。岩屑間の空気が夜間に冷やされて岩屑の下部へ移動してそれが流れてくるのか、あるいは岩屑下部の深部にある地下水に触れた空気が流れ出ているのかもしれません。キシダマムシグサがまだ開花しているのは、この冷たい空気が原因となっているようです。
同じ条件の別の岩屑斜面ではタチツボスミレが新鮮な花を開花していました。
関連ページ 関西の花・キシダマムシグサ

Fig.35 岩屑斜面に群生するヒメレンゲ (兵庫県阪神地方 2015.5/24)
ヒメレンゲは兵庫県内ではふつうな種ですが、このような大規模な群落を見たのは初めてでした。
しかも、分布の薄い県南部でこのような光景が見れるとは思ってもみませんでした。
冷気が流れ出す場所ではまだツボミの状態の個体も見られました。
群落中のシダはクマワラビ。他にジャニンジン、ニシノオオタネツケバナ、フウロケマン、ナツトウダイ、アキチョウジなどが生育しています。

Fig.36 エサキモンキツノカメムシ (兵庫県阪神地方 2015.5/24)
レモンイエローのハート印が人気のカメムシ。交尾中なので、いつものように逃げられるようなことはありませんでした。

Fig.37 エグリトラカミキリ (兵庫県阪神地方 2015.5/24)
トゲヒゲトラカミキリとともに最もふつうに見られるトラカミキリで、両種はよく似ています。他にクロトラカミキリもよく似ていますが出現時期が異なります。
ホソトラカミキリはもっとスマート。ヒメクロトラカミキリは小型で印象が異なります。

Fig.38 ヤハズカミキリ (兵庫県阪神地方 2015.5/24)
体色が淡紅色を帯び、触角が長く、前翅の先がヤハズ状になっているのが特徴。
前翅の複雑な色合いが魅力的です。

Fig.39 アカガネサルハムシ (兵庫県丹波地方 2015.5/25)
ノブドウ、エビヅルなどのブドウ科の草本でよく見られるお馴染みの種で、宝石のような光沢を持つため普通種ながら人気があります。
いつもは警戒心が強く、カメラを向けると葉上から転げ落ちますが、この時は食餌に懸命でかなり接近して撮影できました。

Fig.40 樹上のシノブ (兵庫県丹波地方 2015.5/25)
薄暗い社寺林にムヨウランの開花を期待して訪ねましたが、残念ながらまだツボミの状態。
境内にあるツクバネガシの大木を見上げると、樹幹に着生したシノブの新葉が木漏れ日を浴びて鮮やかに浮かび上がっていました。
関連ページ 関西の花・シノブ

Fig.41 トケンラン (兵庫県丹波地方 2015.5/25)
ネザサの生育がほとんど見られない管理された植林地の林床では、今年もトケンランが開花していました。やや薄暗いためか昆虫類は少なく、1時間ほど観察していましたが訪花する昆虫は見られませんでした。
ここでは3つの集団が距離を置いて生育していますが、どの集団も未だに結実しているのを見たことがありません。3つの集団があるということは、かつては結実し種子が飛散して分布を広げたと考えられますが、かつての送粉者が何らかの原因で訪花しなくなったか、トケンラン自体が受粉しにくい性質を持っていると考えられます。さらに2年程観察して結実が見られない場合は、集団間での人工授粉を試してみようと考えています。
関連ページ 関西の花・トケンラン

Fig.42 カキツバタ (兵庫県丹波地方 2015.5/25)
溜池畔にガマやオオフトイとともに群生していますが、おそらく過去に植栽されたものだろうと考えています。丹波地方ではカキツバタが見られる場合、フトイやオオフトイとともに見られる例が多いのですが、いずれも茶花として利用されてきた事実があります。裏を返せば、カキツバタとともに溜池畔や農耕地周辺に見られるフトイ、オオフトイ、コウホネ類、ハンゲショウは茶花として植栽された可能性があるということです。
このような場所ではショウブもよく見られ、過去に湿生・水生植物が食物以外でどのように利用されてきたか、植物と人の生活の繋がりを示す文化史的な端緒が隠されているように思います。
関連ページ 湿生植物・カキツバタ

Fig.43 ノハナショウブ (京都府中丹地方 2015.5/29)
ノハナショウブは兵庫県ではふつう6月に入ってから開花を見ますが、京都の氾濫原由来の田園ではもう開花していました。同所的に開花の終わったカキツバタも見られ、農家の方によると両種とも植栽したものではなく、昔からあるものとのことでした。ノハナショウブは周辺の休耕田内でも群生していました。
関連ページ 湿生植物・ノハナショウブ

Fig.44 ミズタカモジ (京都府中丹地方 2015.5/29)
田植え前の草刈りで全て刈り取られているだろうと予想していましたが、難を逃れた花序が点々と残っていました。西宮市内の自生地では完全に刈り取られて、頴果の観察ができないでいましたが、ここで熟した小穂を得ることができました。画像から分かるように、小穂が熟しても他のカモジグサ類のように花穂が垂れ下がることはありません。
関連ページ 湿生植物・ミズタカモジ

Fig.45 マルタニシ (京都府中丹地方 2015.5/29)
用水路内ではカワニナに混じって、多くのマルタニシが見られました。
圃場整備によりオオタニシよりも見かける機会が減ったタニシです。

Fig.46 アゼナルコ (京都府中丹地方 2015.5/29)
畦に一列に並んで、まさしくアゼナルコ!
ここでは他にヤワラスゲ、マスクサ、ジュズスゲ、アゼスゲ、アオスゲが見られた程度で、スゲ類は少し期待はずれでした。
関連ページ 湿生植物・アゼナルコ

Fig.47 ホソバノウナギツカミ (京都府中丹地方 2015.5/29)
休耕田に生育するホソバノウナギツカミも早々に開花しています。
不時開花現象ではなく、近隣の他の場所でも開花していたので、これから晩秋までずっと開花しているのでしょう。図鑑では1年草とありますが、近畿地方では常緑越冬するので、それだけ他の1年草のイヌタデ属草本よりも開花が早いのでしょう。
関連ページ 湿生植物・ホソバノウナギツカミ

Fig.48 沈水状態のホソバノウナギツカミ (京都府中丹地方 2015.5/29)
赤色を帯びていますが、沈水葉というよりも初夏の小型の葉という感じです。

Fig.49 ヤマジノタツナミソウ白花品 (京都府中丹地方 2015.5/29)
一昨年果実期に見つけたヤマジノタツナミソウが白花だったと知らせを受け、見に行ってきました。
多くの個体はすでに開花が終わっていましたが、残り花もちらほらあって、なんとか撮影することができました。画像の左側のシュートはツボミではなく、すでに閉鎖花をつけています。
それにしてもここは個体数が非常に多く、おそらく近畿地方では最も大きな集団でしょう。しかも、全て白花品でした。
関連ページ 関西の花・ヤマジノタツナミソウ

Fig.50 カミガモシダ (京都府中丹地方 2015.5/29)
ヤマジノタツナミソウの傍のスギの根元では、ホソバオキナゴケのマットの中でカミガモシダが新葉を展開していました。
関連ページ 関西の花・カミガモシダ

Fig.51 ヒメコウガイゼキショウ (兵庫県丹波地方 2015.5/29)
竹田川の河川敷でみられたものです。京都の中丹地方の氾濫原由来の休耕田でも生育していました。
兵庫県側のこのあたりの記録はありませんが、おそらくこのあたり一帯に分布しているのでしょう。
同所的に開花の終わったカワヂシャ、オオカワヂシャ、ホナガカワヂシャが見られました。
関連ページ 湿生植物・ヒメコウガイゼキショウ

Fig.52 キマダラカミキリ (兵庫県丹波地方 2015.5/29)
帰りの雑木林の脇にあった街灯に飛来していたものです。
比較的見かける機会の多いカミキリムシですが、ビロード状の毛が光を反射する美しい種です。

Fig.53 ベッコウガガンボ (兵庫県丹波地方 2015.5/29)
翅にシリアゲムシっぽい模様のある中型のガガンボで、脚が虎カラーでなかなか格好いいです。
車のラジオでは、ちょうど復帰したメッセンジャーがネバリ強く好投していました。
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Fig.1 ヘラシダ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
前夜発で車中で2時間ほど仮眠をとった後、夜明けとともに谷を歩きました。
最初に岩上に群生するヘラシダが出迎えてくれました。
関連ページ 関西の花・ヘラシダ

Fig.2 ヒメレンゲ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
ヒメレンゲは渓流がよく似合います。暗かったので露出を上げると背景がイイ感じに。

Fig.3 ヒロハヤブソテツ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
足元にはヒロハヤブソテツの若い株も現れました。若い株でも羽片は大きなものです。

Fig.4 コケイラン (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
温帯林の林床ではコケイランが満開でした。開花期には根生葉のないものが多いです。

Fig.5 ハナグモに捕らえられた訪花昆虫 (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
花から花へと飛んでいたアブが止まったので撮影したところ、アブの動きが止まってしまいました。
よく見るとアブは花で待ち構えていたハナグモに捕まっていました。アブの前胸背には花粉塊が一杯付いています。帰って調べるとアブはホソツヤヒラタアブで、図らずもポリネータを知ることになりました。

Fig.6 渓畔岩上の新緑 (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
山は新緑の美しい時期。渓流畔の岩上もクジャクシダ、イワタバコ、ヤマブキショウマ、ツタウルシ、ヤマアジサイなどの新緑が鮮やかでした。前年葉を垂らしているスゲはショウジョウスゲで、低地から亜高山までの様々な環境に適応しているスゲです。

Fig.7 イワハタザオ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
この谷筋の岩上ではあちこちでイワハタザオが生育していました。
暗いうえに渓流からの風があるため、なかなかよい画像が撮れません。

Fig.8 フジハムシ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
渓流畔のフジの葉上にフジハムシが眼につきました。風に煽られて葉が裏返った瞬間に卵らしきものが見えました。次の風を待って、雌親と卵塊を撮影することができました。

Fig.9 イブキシモツケ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
クルマで移動の途中の林道脇で開花したばかりのイブキシモツケが崖に点在していました。
イブキシモツケは西宮市内でも沢山見られますが、どうしても樹木は後回しになってしまいます。

Fig.10 ヘビゴネゴザとハクサンハタザオ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
両種ともに重金属に耐性があり、重金属を蓄積することがよく知られている種。
イブキシモツケが生えていた崖と連続した緑色岩の露頭に群生していました。
両種ともに見られる場所には、重金属が高い率で含まれる岩脈か鉱脈があるのでしょう。
近くの転石を調べてみましたが、転石自体が少なく、それらしいものは見られませんでした。
関連ページ 関西の花・ヘビノネゴザ
関連ページ 関西の花・ハクサンハタザオ

Fig.11 ゴマキ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
林道脇では所々でゴマキが開花し始めていました。その名の通りゴマの香りがします。
周辺はシカの食害が多く荒れた感じなのですが、この木は忌避植物なのか食み痕が見られません。

Fig.12 サクラスミレ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
高原地帯に移動してスミレ類を見に行きました。
今回見たかったのはサクラスミレとアケボノスミレでした。
サクラスミレはちょうど開花全盛。あちこちで開花個体が見られました。

Fig.13 アケボノスミレ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
こちらのほうは残念ながらかなり早い時期に開花期は終わったようで、花後に開いた葉が沢山見られました。わずかに野焼きとの境界付近でひねたような傷んだ花を開花しているものが2個体見られたのみでした。

Fig.14 ヒゴスミレ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
この高原ではヒゴスミレは少ないようで、この日確認できたのはこの1個体のみでした。
エイザンスミレは葉が基本3裂しますが、ヒゴスミレは5裂します。
この日は他にホコバスミレとホソバシロスミレも確認しましたが、強風が始終吹き付ける場所に生育しており、よい画像が撮れませんでした。

Fig.15 フモトシハイスミレ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
フモトスミレとシハイスミレの雑種で両種の中間的な形質が見られるもので、すみれ愛好会のYさんによるとフモトスミレを雌蕊親とする雑種だろうとのことでした。
花はシハイスミレの色ですが、唇弁の紫条、側弁の毛、距の長さ、茎の赤さはフモトスミレの形質が出ています。
関連ページ 関西の花・フモトスミレ
関連ページ 関西の花・シハイスミレ

Fig.16 レンゲツツジ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
野生のものは草刈りが行われるススキ草原に点々と見られますが、大きな個体はほとんど見られません。遷移が進むことによって次第に姿を消しつつある種のようです。

Fig.17 エンマムシの仲間 (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
野焼き後のススキ草原で、ペアが枯れ草を掻き分けて何かを漁っているか探っている様子でした。
1cmを越える大型なものだったので、おそらくヤマトエンマムシだと思います。
引っ張り出してちゃんと撮影しておくべきだったと少し後悔。

Fig.18 サルマメ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
草刈りされるススキ草原中に群生しており、ちょうど開花前半で雄株が開花全盛となっていました。
これも競合種が多いと姿を消してしまう種で、兵庫県では自生地自体も少ないためRDBのBランクとされています。

Fig.19 ミヤマベニシダ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
温帯林の湿った林床で、オクマワラビを大型にしたような印象を受けるミヤマベニシダが新葉を開いていました。隣接する湿地に群生しているヤマドリゼンマイはまだフィドルヘッドが固く巻いていました。

Fig.20 ルイヨウボタン (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
これもやや湿った林床に見られましたが、開花終盤で花は散りかけていました。
暗いうえに風が強く、残念な画像を量産しました。

Fig.21 ナツノハナワラビ (兵庫県播磨地方 2015.5/21)
これまで胞子葉を上げていない未成熟個体しか出会えたことがなかったのですが、ようやく胞子葉を上げた立派なものを見ることができました。
周囲をよく探してみましたが、見つかったのはこの1個体のみでした。
胞子葉が上がっていないと、ヤブニンジンのような細裂した葉を持ったセリ科植物と見間違えやすいものです。

Fig.22 サイハイラン (兵庫県播磨地方 2015.5/21)
社寺林下で多くの個体が開花していました。ちょうど地元の方がお見えで、こんなに沢山開花したのは20年振りくらいだと仰っていました。
撮影中にコマルハナバチが飛んできましたが、花に近づくや「あっ、コレ違う。」という感じですぐに飛び去ったのが印象的でした。

Fig.23 ニワフジ (兵庫県播磨地方 2015.5/21)
古い寺院に立ち寄ってみると、墓地の石垣でニワフジが開花していました。
ニワフジは社寺の石垣でよく見かけますが、これらは昔に植栽されたものでしょう。
本来は渓流の岩場などに生育するらしいのですが、そのようなものは未だ見たことがありません。

Fig.24 ホクリクタツナミソウ (兵庫県播磨地方 2015.5/21)
播磨北東部の山麓の細流脇にミズタビラコとともに生育していました。
播磨北西部の渓流畔ではデワノタツナミソウが生育していて、両種の境界がどのあたりになるのか、混生することがあるのかなど、興味が尽きません。
関連ページ 関西の花・ホクリクタツナミソウ

Fig.25 サイコクヒメコウホネ (兵庫県播磨地方 2015.5/21)
水生植物もそろそろシーズン突入のようです。
播磨地方では本種の開花も兵庫県東部よりかなり早いですね。
関連ページ 浮葉植物・サイコクヒメコウホネ

Fig.26 ヒツジグサ (兵庫県播磨地方 2015.5/21)
サイコクヒメコウホネとほぼ同時に開花し始めます。
ヒツジグサは秋まで開花しますが、5月下旬~7月上旬が花数も多く葉も新鮮で、最も美しい時期です。
関連ページ 浮葉植物・ヒツジグサ

Fig.27 オオハリイ (兵庫県播磨地方 2015.5/21)
先の2種が生育する池畔に見られたもので、すでに小穂基部から盛んに芽生していました。
この池では他にフトヒルムシロ、タヌキモsp.、フラスコモsp.、ミズユキノシタ、アシカキ、カンガレイ、タチスゲなどが見られました。
関連ページ 湿生植物・オオハリイ

Fig.28 セイタカハリイ (兵庫県阪神地方 2015.5/22)
農道脇の斜面から湧水が滲出して小湿地となっていて、そこにセイタカハリイが群生しています。
他にゴウソやタチスゲ、イグサなどが混生していますが、半裸地的な場所でノビノビと育ったのか大株となっていて、その様子はイヌシカクイと見紛うほどです。
これまで見たところでは、セイタカハリイは抽水状態となってもクローンの芽生はないようです。
関連ページ 湿生植物・セイタカハリイ

Fig.29 ヒゲナガハナノミ (兵庫県阪神地方 2015.5/22)
良好な湿地環境がある場所でこの時期に必ず現れる種で、ハナノミというよりはコメツキムシ?という印象を与える小型の甲虫です。この日も多くの個体を見かけ、交尾しているペアもいました。

Fig.30 アカシジミ (兵庫県阪神地方 2015.5/22)
今年初めて見るアカシジミです。花と違って昆虫類の出現時期はほぼ例年通りのように思います。
昨年はアカシジミの初見日とタツナミソウの全盛期がほぼ重なっていましたが、今年はタツナミソウは開花終盤となっています。
近縁のウラナミアカシジミの場合、昨年はトウゴクシソバタツナミの開花期と重なっていました。

Fig.31 ハンカイソウ (兵庫県阪神地方 2015.5/24)
林縁で開花していました。大型のキク科メタカラコウ属の草本ですが、メタカラコウやオタカラコウと違って低山に生育します。頭花の大きさは10cmにもおよび、遠くからでもよく目立ちます。

Fig.32 ヤブウツギ (兵庫県阪神地方 2015.5/24)
この近辺ではウツギ、ヤブウツギ、タニウツギが満開でした。
どれも「ウツギ」がつきますが、ウツギはアジサイ科、ヤブウツギとタニウツギはユキノシタ科です。
これはヤブウツギで兵庫県内では六甲山周辺に多産しますが、他の地域では稀産種です。
関連ページ 関西の花・ヤブウツギ

Fig.33 ヤマタツナミソウ (兵庫県阪神地方 2015.5/24)
この周辺地域では林床に生えるタツナミソウ類としてオカタツナミソウ、トウゴクシソバタツナミ、イガタツナミが見られますが、それらのものよりも眼にする機会がぐっと少ない種です。
花筒の基部が直角に曲がらず、斜上するのが他種との顕著な差になります。
関連ページ 関西の花・ヤマタツナミソウ

Fig.34 キシダマムシグサ (兵庫県阪神地方 2015.5/24)
驚いたことに5月下旬にまだ開花中のキシダマムシグサが見られました。
周囲には画像に見えるヒメレンゲのほか、ムラサキケマン、フウロケマン、ニシノオオタネツケバナが未だに開花中です。どの種も県内の他の地域ではとっくに開花が終わっています。
ここは流紋岩の岩屑が累々と堆積している斜面の下端部で、岩屑の隙間からは冷たい風が流れてきます。岩屑間の空気が夜間に冷やされて岩屑の下部へ移動してそれが流れてくるのか、あるいは岩屑下部の深部にある地下水に触れた空気が流れ出ているのかもしれません。キシダマムシグサがまだ開花しているのは、この冷たい空気が原因となっているようです。
同じ条件の別の岩屑斜面ではタチツボスミレが新鮮な花を開花していました。
関連ページ 関西の花・キシダマムシグサ

Fig.35 岩屑斜面に群生するヒメレンゲ (兵庫県阪神地方 2015.5/24)
ヒメレンゲは兵庫県内ではふつうな種ですが、このような大規模な群落を見たのは初めてでした。
しかも、分布の薄い県南部でこのような光景が見れるとは思ってもみませんでした。
冷気が流れ出す場所ではまだツボミの状態の個体も見られました。
群落中のシダはクマワラビ。他にジャニンジン、ニシノオオタネツケバナ、フウロケマン、ナツトウダイ、アキチョウジなどが生育しています。

Fig.36 エサキモンキツノカメムシ (兵庫県阪神地方 2015.5/24)
レモンイエローのハート印が人気のカメムシ。交尾中なので、いつものように逃げられるようなことはありませんでした。

Fig.37 エグリトラカミキリ (兵庫県阪神地方 2015.5/24)
トゲヒゲトラカミキリとともに最もふつうに見られるトラカミキリで、両種はよく似ています。他にクロトラカミキリもよく似ていますが出現時期が異なります。
ホソトラカミキリはもっとスマート。ヒメクロトラカミキリは小型で印象が異なります。

Fig.38 ヤハズカミキリ (兵庫県阪神地方 2015.5/24)
体色が淡紅色を帯び、触角が長く、前翅の先がヤハズ状になっているのが特徴。
前翅の複雑な色合いが魅力的です。

Fig.39 アカガネサルハムシ (兵庫県丹波地方 2015.5/25)
ノブドウ、エビヅルなどのブドウ科の草本でよく見られるお馴染みの種で、宝石のような光沢を持つため普通種ながら人気があります。
いつもは警戒心が強く、カメラを向けると葉上から転げ落ちますが、この時は食餌に懸命でかなり接近して撮影できました。

Fig.40 樹上のシノブ (兵庫県丹波地方 2015.5/25)
薄暗い社寺林にムヨウランの開花を期待して訪ねましたが、残念ながらまだツボミの状態。
境内にあるツクバネガシの大木を見上げると、樹幹に着生したシノブの新葉が木漏れ日を浴びて鮮やかに浮かび上がっていました。
関連ページ 関西の花・シノブ

Fig.41 トケンラン (兵庫県丹波地方 2015.5/25)
ネザサの生育がほとんど見られない管理された植林地の林床では、今年もトケンランが開花していました。やや薄暗いためか昆虫類は少なく、1時間ほど観察していましたが訪花する昆虫は見られませんでした。
ここでは3つの集団が距離を置いて生育していますが、どの集団も未だに結実しているのを見たことがありません。3つの集団があるということは、かつては結実し種子が飛散して分布を広げたと考えられますが、かつての送粉者が何らかの原因で訪花しなくなったか、トケンラン自体が受粉しにくい性質を持っていると考えられます。さらに2年程観察して結実が見られない場合は、集団間での人工授粉を試してみようと考えています。
関連ページ 関西の花・トケンラン

Fig.42 カキツバタ (兵庫県丹波地方 2015.5/25)
溜池畔にガマやオオフトイとともに群生していますが、おそらく過去に植栽されたものだろうと考えています。丹波地方ではカキツバタが見られる場合、フトイやオオフトイとともに見られる例が多いのですが、いずれも茶花として利用されてきた事実があります。裏を返せば、カキツバタとともに溜池畔や農耕地周辺に見られるフトイ、オオフトイ、コウホネ類、ハンゲショウは茶花として植栽された可能性があるということです。
このような場所ではショウブもよく見られ、過去に湿生・水生植物が食物以外でどのように利用されてきたか、植物と人の生活の繋がりを示す文化史的な端緒が隠されているように思います。
関連ページ 湿生植物・カキツバタ

Fig.43 ノハナショウブ (京都府中丹地方 2015.5/29)
ノハナショウブは兵庫県ではふつう6月に入ってから開花を見ますが、京都の氾濫原由来の田園ではもう開花していました。同所的に開花の終わったカキツバタも見られ、農家の方によると両種とも植栽したものではなく、昔からあるものとのことでした。ノハナショウブは周辺の休耕田内でも群生していました。
関連ページ 湿生植物・ノハナショウブ

Fig.44 ミズタカモジ (京都府中丹地方 2015.5/29)
田植え前の草刈りで全て刈り取られているだろうと予想していましたが、難を逃れた花序が点々と残っていました。西宮市内の自生地では完全に刈り取られて、頴果の観察ができないでいましたが、ここで熟した小穂を得ることができました。画像から分かるように、小穂が熟しても他のカモジグサ類のように花穂が垂れ下がることはありません。
関連ページ 湿生植物・ミズタカモジ

Fig.45 マルタニシ (京都府中丹地方 2015.5/29)
用水路内ではカワニナに混じって、多くのマルタニシが見られました。
圃場整備によりオオタニシよりも見かける機会が減ったタニシです。

Fig.46 アゼナルコ (京都府中丹地方 2015.5/29)
畦に一列に並んで、まさしくアゼナルコ!
ここでは他にヤワラスゲ、マスクサ、ジュズスゲ、アゼスゲ、アオスゲが見られた程度で、スゲ類は少し期待はずれでした。
関連ページ 湿生植物・アゼナルコ

Fig.47 ホソバノウナギツカミ (京都府中丹地方 2015.5/29)
休耕田に生育するホソバノウナギツカミも早々に開花しています。
不時開花現象ではなく、近隣の他の場所でも開花していたので、これから晩秋までずっと開花しているのでしょう。図鑑では1年草とありますが、近畿地方では常緑越冬するので、それだけ他の1年草のイヌタデ属草本よりも開花が早いのでしょう。
関連ページ 湿生植物・ホソバノウナギツカミ

Fig.48 沈水状態のホソバノウナギツカミ (京都府中丹地方 2015.5/29)
赤色を帯びていますが、沈水葉というよりも初夏の小型の葉という感じです。

Fig.49 ヤマジノタツナミソウ白花品 (京都府中丹地方 2015.5/29)
一昨年果実期に見つけたヤマジノタツナミソウが白花だったと知らせを受け、見に行ってきました。
多くの個体はすでに開花が終わっていましたが、残り花もちらほらあって、なんとか撮影することができました。画像の左側のシュートはツボミではなく、すでに閉鎖花をつけています。
それにしてもここは個体数が非常に多く、おそらく近畿地方では最も大きな集団でしょう。しかも、全て白花品でした。
関連ページ 関西の花・ヤマジノタツナミソウ

Fig.50 カミガモシダ (京都府中丹地方 2015.5/29)
ヤマジノタツナミソウの傍のスギの根元では、ホソバオキナゴケのマットの中でカミガモシダが新葉を展開していました。
関連ページ 関西の花・カミガモシダ

Fig.51 ヒメコウガイゼキショウ (兵庫県丹波地方 2015.5/29)
竹田川の河川敷でみられたものです。京都の中丹地方の氾濫原由来の休耕田でも生育していました。
兵庫県側のこのあたりの記録はありませんが、おそらくこのあたり一帯に分布しているのでしょう。
同所的に開花の終わったカワヂシャ、オオカワヂシャ、ホナガカワヂシャが見られました。
関連ページ 湿生植物・ヒメコウガイゼキショウ

Fig.52 キマダラカミキリ (兵庫県丹波地方 2015.5/29)
帰りの雑木林の脇にあった街灯に飛来していたものです。
比較的見かける機会の多いカミキリムシですが、ビロード状の毛が光を反射する美しい種です。

Fig.53 ベッコウガガンボ (兵庫県丹波地方 2015.5/29)
翅にシリアゲムシっぽい模様のある中型のガガンボで、脚が虎カラーでなかなか格好いいです。
車のラジオでは、ちょうど復帰したメッセンジャーがネバリ強く好投していました。
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category: 5月の花
5月のフィールドで 前半
2015/05/25 Mon. 00:27 [edit]
最近は掲示板に画像を投稿することが多くなって、ブログの更新が滞っていますが、やはり自分用の備忘録のために記録しておくことも必要でしょう。掲示板ではワード検索ができますが、カテゴリに分けて整理することができず、ブログよりも使い勝手に劣ります。
とりあえず5月のメモを2回に分けてUPしようと思います。
*画像クリックで、別ウィンドで表示されます。
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大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。

Fig.1 初夏の氷ノ山 (兵庫県但馬地方 2015.5/1)
5月初めはまだまだ残雪が残っていて、これから1ヶ月ほど経つうちにすっかり消えていくのでしょう。
岩場が連なる場所には雪も積もらないので地肌が出ていて縞模様になっています。
この岩場周辺は面白い場所ですが、到達するまでが一苦労で、熊の糞もあちこちに落ちています。
今回は氷ノ山には登らず、麓近辺をウロウロするだけです。

Fig.2 キンキエンゴサクの群生 (兵庫県但馬地方 2015.5/1)
久しぶりにキンキエンゴサクが一面に群生している場所に立ち寄ってみました。
沢の源頭部のような緩斜面の温帯林下に絨毯状に群生しています。
関連ページ 関西の花・ヤマエンゴサク(広義)

Fig.3 サンインスミレサイシン (兵庫県但馬地方 2015.5/1)
昨年よりも早く開花していました。前回紹介した『近畿地方のスミレ類』ではスミレサイシンとサンインスミレサイシンの形態の差は連続的とのことです。
関連ページ 関西の花・サンインスミレサイシン

Fig.4 ウスバサイシン (兵庫県但馬地方 2015.5/1)
サンインスミレサイシンと同じ斜面で混生しています。
花は開花中ですが、葉はまだ展開途上でした。

Fig.5 サンカヨウ (兵庫県但馬地方 2015.5/1)
少し標高の低い場所の谷筋ではサンカヨウが全盛でした。やはり今年は開花が早い。
関連ページ 関西の花・サンカヨウ

Fig.6 ヒトリシズカ (兵庫県但馬地方 2015.5/1)
谷筋の斜面で朝日を浴びて開花していました。
関連ページ 関西の花・ヒトリシズカ

Fig.7 ネコノメソウsp. (兵庫県但馬地方 2015.5/1)
萼裂片が赤褐色で直立しており、一見ボタンネコノメソウかと思いましたが、よく見ると葯が黄色でした。ボタンネコノメソウとキンシベボタンネコノメソウの中間的な集団です。
関連ページ 関西の花・ボタンネコノメソウ
関連ページ 関西の花・キンシベボタンネコノメソウ

Fig.8 ツルデンダ (兵庫県但馬地方 2015.5/1)
渓流畔の空中湿度の高い岩上ではイワタバコやウワバミソウに混じってツルデンダが生育していました。中に1個体見られる若いヤブソテツの仲間はヒロハヤブソテツかもしれません。
関連ページ 関西の花・ツルデンダ

Fig.9 スギタニルリシジミ (兵庫県但馬地方 2015.5/1)
谷の奥に日が差し始めると、スギタニルリシジミが舞い降りてきました。
このシジミチョウに会うのは何十年振りかです。

Fig.10 オチフジ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
もう遅いだろうと思いながら、枝谷をあちこちと探すと、まだ点々と咲き残っている場所がありました。これはその中でも最も新鮮な花が見られた集団。足場には苦労しました。
関連ページ 関西の花・オチフジ

Fig.11 ヤマトグサ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
湿った林床斜面に生育していました。何度見ても面白い花です。

Fig.12 ノコギリシダ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
空中湿度の高い岩上では、ノコギリシダが新葉を展開しはじめていました。

Fig.13 イワハリガネワラビ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
これも空中湿度の高い渓流畔の岩上に点在していました。
ハリガネワラビよりも小型で葉軸や葉柄が太く、葉柄は緑色で葉身よりも短いものです。
それにしても、基部に残っている古い葉柄の数が半端ではないですね。
小さいけれども経年している株であることが分かりますね。

Fig.14 オオギバセントウソウ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
この谷筋では沢山生育していて、セントウソウの裂片の数が少なく幅が広い品種です。
さすがにこの時期では開花終盤で、残り花は少ししかありませんでした。

Fig.15 バイカモ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
クルマで移動の途中に立ち寄った、湧水の豊富な田園地帯の水路内で群生していました。
関連ページ 沈水植物・バイカモ

Fig.16 水中で開花するバイカモ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
水中の様子です。水路は比較的流速がきついため、バイカモは水中で開花していました。
ここではエビモと混生していましたが、よく探せば他の水草も見られるだろうと思っています。

Fig.17 オオカメノキ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
高原地帯に移動しました。よく発達したミズナラ林はありますが林床はシカの食害で貧相な植生になっています。よく目に付いたのは開花したオオカメノキくらいでした。

Fig.18 キンシベボタンネコノメソウ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
Fig.6とは24kmほど離れた播磨北部にある山塊の谷筋に生育しているもので、典型品と言えるものでした。オオカサゴケやハバビロスゲとともに生育しています。
関連ページ 関西の花・キンシベボタンネコノメソウ

Fig.19 イワイタチシダ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
同じ谷筋の岩上にはイワイタチシダが点在しています。
ヤマイタチシダに較べてやや光沢がなく、小型で葉身は細身、葉柄の鱗片は図鑑などでは「開出する」と書かれていますが、どちらかというと下向きに斜開したのちに上向きに反る感じです。
関連ページ 関西の花・イワイタチシダ

Fig.20 ミヤマクマワラビ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
小雨が降る中、しっとりと濡れたミヤマクマワラビの新葉が際立って美しく感じられました。
やさしい感じの黄緑色の羽片と、漆黒の鱗片に覆われた中軸とのコントラスト、極端に長くも短くもない葉柄。とても均整のとれた美しいシダです。

Fig.21 チョウジソウ (兵庫県播磨地方 2015.5/6)
この日は超豪華なメンバーによるチョウジソウ観察会で、いろいろと勉強になりました。
2ヶ所の自生地を廻りましたが、うち溜池畔の300株ほどの群生地は、数年前の大雨による土砂で埋まってしまったようで、十数個体がなんとか生き残っていました。
画像はもう1ヶ所の溜池土堤に群生している集団のもので、見事な群落となっていました。

Fig.22 チョウジソウを訪花したツマグロハナカミキリ (兵庫県播磨地方 2015.5/6)
観察の時間が充分にあったので、訪花昆虫を追いかけてみました。
蝶類はベニシジミ、ハチではクロマルハナバチが最も多く、続いてコマルハナバチ、ヒゲナガハナバチの仲間などでした。アブやハエなどの双翅目もいましたが、種類の分かるものは見られませんでした。ハナカミキリなどは例外的で、このツマグロハナカミキリを1個体見ただけでした。

Fig.23 クロカタビロオサムシ (兵庫県播磨地方 2015.5/6)
樹上で幼虫類を食べる樹上性のオサムシですが、毛虫・芋虫の発生量の多いこの時期には、地上を歩いているのをよく見かけます。兵庫県南部ではこの時期限定でよく見かけるオサムシで、他の時期は樹上生活していてあまり眼につかないのでしょう。

Fig.24 ナンゴクウラシマソウ (兵庫県播磨地方 2015.5/6)
兵庫県では自生地が限られるウラシマソウの仲間で、小葉がシャープで美しいものです。
ここでは比較的多くの個体が生育していました。
関連ページ 関西の花・ナンゴクウラシマソウ

Fig.25 タチクラマゴケ (兵庫県播磨地方 2015.5/6)
山中の車道脇の斜面に比較的広い範囲にわたって群生していました。
胞子嚢穂がまだできていないので、ヒメクラマゴケかタチクラマゴケかをめぐって賑やかな会話になりました。

Fig.26 ヒロハハナヤスリ? (兵庫県丹波地方 2015.5/8)
昨年は全く胞子葉を上げていなかった集団で、すぐ近くにヒロハハナヤスリの生育箇所があるので、ここも同一種だろうと思っていました。しかし、胞子葉の上がり方が栄養葉に対して様々で、コヒロハハナヤスリとの雑種である可能性もあります。
そろそろ胞子葉が成熟する頃なので、また様子を見に行く必要があります。
関連ページ 関西の花・ヒロハハナヤスリ

Fig.27 フウロケマン (兵庫県丹波地方 2015.5/8)
フウロケマンといっても、蒴果には多少のくびれが見られ、ミヤマキケマンとの中間的なタイプといってよいものです。花序の花数が少ないこと、草体上部の葉は切れ込みが少なく裂片が大きいことにより、どちらかというとフウロケマンになります。丹波地方ではこのような中間型といえるものが多く、播磨地方にいくと典型品により近くなります。

Fig.28 カントウマムシグサ (兵庫県丹波地方 2015.5/8)
山間の日当たり良い道路脇の斜面に生育しているもので、草体は大きく、偽茎も固く丈夫で、縞模様もはっきりしています。薄暗い林下に生育するものとはまるで別種のような雰囲気がありますが、小葉に鋸歯のあるものが混じる、仏炎苞の白条が半透明とならない、口辺部が開出する、舷部が冑状にふくらまないなどの特徴からコウライテンナンショウではなく、どちらかというとカントウマムシグサの範疇に入るもののようです。
関連ページ 関西の花・カントウマムシグサ

Fig.29 ツルミヤマカンスゲ (兵庫県播磨地方 2015.5/11)
以前に見つけたツルミヤマカンスゲが生育する社寺林に、果胞が熟していないか見に出掛けたました。
残念ながらツルミヤマカンスゲは黒穂病に冒されて、結実する気配がありませんでした。
側小穂の一部の果胞が黒くふくらんでいるのが分かるでしょうか?

Fig.30 ミヤマヨメナ (兵庫県播磨地方 2015.5/11)
ツルミヤマカンスゲはアウトでしたが、周囲はミヤマヨメナが開花全盛となっていて慰められました。
花弁を淡い紫色を帯びていますが、画像でその色合いを再現するのはなかなか難しいものですね。
とりあえず5月のメモを2回に分けてUPしようと思います。
*画像クリックで、別ウィンドで表示されます。
FC2ブログの仕様が変わったのか、リンク先で大きな画像が表示されなくなってしまいました。
大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。

Fig.1 初夏の氷ノ山 (兵庫県但馬地方 2015.5/1)
5月初めはまだまだ残雪が残っていて、これから1ヶ月ほど経つうちにすっかり消えていくのでしょう。
岩場が連なる場所には雪も積もらないので地肌が出ていて縞模様になっています。
この岩場周辺は面白い場所ですが、到達するまでが一苦労で、熊の糞もあちこちに落ちています。
今回は氷ノ山には登らず、麓近辺をウロウロするだけです。

Fig.2 キンキエンゴサクの群生 (兵庫県但馬地方 2015.5/1)
久しぶりにキンキエンゴサクが一面に群生している場所に立ち寄ってみました。
沢の源頭部のような緩斜面の温帯林下に絨毯状に群生しています。
関連ページ 関西の花・ヤマエンゴサク(広義)

Fig.3 サンインスミレサイシン (兵庫県但馬地方 2015.5/1)
昨年よりも早く開花していました。前回紹介した『近畿地方のスミレ類』ではスミレサイシンとサンインスミレサイシンの形態の差は連続的とのことです。
関連ページ 関西の花・サンインスミレサイシン

Fig.4 ウスバサイシン (兵庫県但馬地方 2015.5/1)
サンインスミレサイシンと同じ斜面で混生しています。
花は開花中ですが、葉はまだ展開途上でした。

Fig.5 サンカヨウ (兵庫県但馬地方 2015.5/1)
少し標高の低い場所の谷筋ではサンカヨウが全盛でした。やはり今年は開花が早い。
関連ページ 関西の花・サンカヨウ

Fig.6 ヒトリシズカ (兵庫県但馬地方 2015.5/1)
谷筋の斜面で朝日を浴びて開花していました。
関連ページ 関西の花・ヒトリシズカ

Fig.7 ネコノメソウsp. (兵庫県但馬地方 2015.5/1)
萼裂片が赤褐色で直立しており、一見ボタンネコノメソウかと思いましたが、よく見ると葯が黄色でした。ボタンネコノメソウとキンシベボタンネコノメソウの中間的な集団です。
関連ページ 関西の花・ボタンネコノメソウ
関連ページ 関西の花・キンシベボタンネコノメソウ

Fig.8 ツルデンダ (兵庫県但馬地方 2015.5/1)
渓流畔の空中湿度の高い岩上ではイワタバコやウワバミソウに混じってツルデンダが生育していました。中に1個体見られる若いヤブソテツの仲間はヒロハヤブソテツかもしれません。
関連ページ 関西の花・ツルデンダ

Fig.9 スギタニルリシジミ (兵庫県但馬地方 2015.5/1)
谷の奥に日が差し始めると、スギタニルリシジミが舞い降りてきました。
このシジミチョウに会うのは何十年振りかです。

Fig.10 オチフジ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
もう遅いだろうと思いながら、枝谷をあちこちと探すと、まだ点々と咲き残っている場所がありました。これはその中でも最も新鮮な花が見られた集団。足場には苦労しました。
関連ページ 関西の花・オチフジ

Fig.11 ヤマトグサ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
湿った林床斜面に生育していました。何度見ても面白い花です。

Fig.12 ノコギリシダ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
空中湿度の高い岩上では、ノコギリシダが新葉を展開しはじめていました。

Fig.13 イワハリガネワラビ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
これも空中湿度の高い渓流畔の岩上に点在していました。
ハリガネワラビよりも小型で葉軸や葉柄が太く、葉柄は緑色で葉身よりも短いものです。
それにしても、基部に残っている古い葉柄の数が半端ではないですね。
小さいけれども経年している株であることが分かりますね。

Fig.14 オオギバセントウソウ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
この谷筋では沢山生育していて、セントウソウの裂片の数が少なく幅が広い品種です。
さすがにこの時期では開花終盤で、残り花は少ししかありませんでした。

Fig.15 バイカモ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
クルマで移動の途中に立ち寄った、湧水の豊富な田園地帯の水路内で群生していました。
関連ページ 沈水植物・バイカモ

Fig.16 水中で開花するバイカモ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
水中の様子です。水路は比較的流速がきついため、バイカモは水中で開花していました。
ここではエビモと混生していましたが、よく探せば他の水草も見られるだろうと思っています。

Fig.17 オオカメノキ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
高原地帯に移動しました。よく発達したミズナラ林はありますが林床はシカの食害で貧相な植生になっています。よく目に付いたのは開花したオオカメノキくらいでした。

Fig.18 キンシベボタンネコノメソウ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
Fig.6とは24kmほど離れた播磨北部にある山塊の谷筋に生育しているもので、典型品と言えるものでした。オオカサゴケやハバビロスゲとともに生育しています。
関連ページ 関西の花・キンシベボタンネコノメソウ

Fig.19 イワイタチシダ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
同じ谷筋の岩上にはイワイタチシダが点在しています。
ヤマイタチシダに較べてやや光沢がなく、小型で葉身は細身、葉柄の鱗片は図鑑などでは「開出する」と書かれていますが、どちらかというと下向きに斜開したのちに上向きに反る感じです。
関連ページ 関西の花・イワイタチシダ

Fig.20 ミヤマクマワラビ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
小雨が降る中、しっとりと濡れたミヤマクマワラビの新葉が際立って美しく感じられました。
やさしい感じの黄緑色の羽片と、漆黒の鱗片に覆われた中軸とのコントラスト、極端に長くも短くもない葉柄。とても均整のとれた美しいシダです。

Fig.21 チョウジソウ (兵庫県播磨地方 2015.5/6)
この日は超豪華なメンバーによるチョウジソウ観察会で、いろいろと勉強になりました。
2ヶ所の自生地を廻りましたが、うち溜池畔の300株ほどの群生地は、数年前の大雨による土砂で埋まってしまったようで、十数個体がなんとか生き残っていました。
画像はもう1ヶ所の溜池土堤に群生している集団のもので、見事な群落となっていました。

Fig.22 チョウジソウを訪花したツマグロハナカミキリ (兵庫県播磨地方 2015.5/6)
観察の時間が充分にあったので、訪花昆虫を追いかけてみました。
蝶類はベニシジミ、ハチではクロマルハナバチが最も多く、続いてコマルハナバチ、ヒゲナガハナバチの仲間などでした。アブやハエなどの双翅目もいましたが、種類の分かるものは見られませんでした。ハナカミキリなどは例外的で、このツマグロハナカミキリを1個体見ただけでした。

Fig.23 クロカタビロオサムシ (兵庫県播磨地方 2015.5/6)
樹上で幼虫類を食べる樹上性のオサムシですが、毛虫・芋虫の発生量の多いこの時期には、地上を歩いているのをよく見かけます。兵庫県南部ではこの時期限定でよく見かけるオサムシで、他の時期は樹上生活していてあまり眼につかないのでしょう。

Fig.24 ナンゴクウラシマソウ (兵庫県播磨地方 2015.5/6)
兵庫県では自生地が限られるウラシマソウの仲間で、小葉がシャープで美しいものです。
ここでは比較的多くの個体が生育していました。
関連ページ 関西の花・ナンゴクウラシマソウ

Fig.25 タチクラマゴケ (兵庫県播磨地方 2015.5/6)
山中の車道脇の斜面に比較的広い範囲にわたって群生していました。
胞子嚢穂がまだできていないので、ヒメクラマゴケかタチクラマゴケかをめぐって賑やかな会話になりました。

Fig.26 ヒロハハナヤスリ? (兵庫県丹波地方 2015.5/8)
昨年は全く胞子葉を上げていなかった集団で、すぐ近くにヒロハハナヤスリの生育箇所があるので、ここも同一種だろうと思っていました。しかし、胞子葉の上がり方が栄養葉に対して様々で、コヒロハハナヤスリとの雑種である可能性もあります。
そろそろ胞子葉が成熟する頃なので、また様子を見に行く必要があります。
関連ページ 関西の花・ヒロハハナヤスリ

Fig.27 フウロケマン (兵庫県丹波地方 2015.5/8)
フウロケマンといっても、蒴果には多少のくびれが見られ、ミヤマキケマンとの中間的なタイプといってよいものです。花序の花数が少ないこと、草体上部の葉は切れ込みが少なく裂片が大きいことにより、どちらかというとフウロケマンになります。丹波地方ではこのような中間型といえるものが多く、播磨地方にいくと典型品により近くなります。

Fig.28 カントウマムシグサ (兵庫県丹波地方 2015.5/8)
山間の日当たり良い道路脇の斜面に生育しているもので、草体は大きく、偽茎も固く丈夫で、縞模様もはっきりしています。薄暗い林下に生育するものとはまるで別種のような雰囲気がありますが、小葉に鋸歯のあるものが混じる、仏炎苞の白条が半透明とならない、口辺部が開出する、舷部が冑状にふくらまないなどの特徴からコウライテンナンショウではなく、どちらかというとカントウマムシグサの範疇に入るもののようです。
関連ページ 関西の花・カントウマムシグサ

Fig.29 ツルミヤマカンスゲ (兵庫県播磨地方 2015.5/11)
以前に見つけたツルミヤマカンスゲが生育する社寺林に、果胞が熟していないか見に出掛けたました。
残念ながらツルミヤマカンスゲは黒穂病に冒されて、結実する気配がありませんでした。
側小穂の一部の果胞が黒くふくらんでいるのが分かるでしょうか?

Fig.30 ミヤマヨメナ (兵庫県播磨地方 2015.5/11)
ツルミヤマカンスゲはアウトでしたが、周囲はミヤマヨメナが開花全盛となっていて慰められました。
花弁を淡い紫色を帯びていますが、画像でその色合いを再現するのはなかなか難しいものですね。
category: 5月の花
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