春から初夏のハナヤスリ類 -ヒロハハナヤスリと雑種をめぐって-
2014/07/13 Sun. 07:40 [edit]
2014年、阪神地域での春の棚田の植物の観察会の折、立ち寄った棚田でヒロハハナヤスリではないかと思われるものを見つけましたが、栄養葉は大きいもののコハナヤスリともとれるような形でした。さらに同じ棚田の畦畔ではより小型のコヒロハハナヤスリらしきものも見られ、これらの集団の間に形態的な明確な線引きができるかどうか疑問に思われました。
同じ時期、丹波地方の雑木林の林床で明らかにヒロハハナヤスリと思われる集団を発見し、棚田のヒロハハナヤスリらしき集団とは生育環境と草体の様子がかなり異なっていました。その後、阪神地域において以前と同様な立地条件の棚田で水辺ネットの鈴木氏によりヒロハハナヤスリではないかと思われる栄養葉の大きな集団が近隣地域で発見されました。ここの集団は栄養葉の基部が胞子葉の柄を抱いておらず、栄養葉に明瞭な葉柄が認められるもので、トネハナヤスリや大型のコヒロハハナヤスリを思わせるものでした。また、この棚田では栄養葉が小さなものや、栄養葉の葉柄のないものなどが見られ、あきらかに複数種が混生しているように思われました。
これらの諸集団は発見した時点ではまだ胞子嚢穂は成熟しておらず、成熟を待って胞子を調べてみることにしました。また、これとは別に母種がハマハナヤスリである雑種が生育している場所が知られており、新たに発見したハマハナヤスリを母種とする雑種集団との比較も行い、春~初夏の調査・観察結果を暫定的にまとめてみました。
以下、文章は「です・ます調」から「である調」の簡潔文となりますがご了承のほど。
以下は関西で春から初夏にかけて見られるハナヤスリ類の主要5種と、主な特徴。
*画像クリックで、別ウィンドで画像が表示されますが、最近FC2ブログの仕様が変わったのか、リンク先で大きな画像が表示されなくなってしまいました。
大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。

Fig.1 ハマハナヤスリ(Ophioglossum thermale) (兵庫県播磨地方 2014.6/20)
4~11月に見られる。栄養葉は小さく、長さ0.7~5cm、幅0.3~2cm、線形~狭倒卵形、最も幅の広い場所は中央よりも上にあり、無柄または短柄がある。葉脈は2次脈が発達しない。
胞子表面は見かけ上ほとんど平滑。染色体数はn=240,480で4倍体、8倍体。
関連ページ 湿生植物・ハマハナヤスリ

Fig.2 コハナヤスリ(O. thermale var. nipponicum) (兵庫県阪神地方 2014.5/22)
4~11月に見られる。栄養葉は長さ2.5~5cm、幅0.8~2cm、長卵形~卵形3角形、最も幅の広い場所は中央よりも下にあり、無柄。葉脈は2次脈が発達しない。
胞子表面は見かけ上ほとんど平滑。染色体数はハマハナヤスリに準ずる(?)。
関連ページ 湿生植物・コハナヤスリ

Fig.3 ヒロハハナヤスリ(O. vulgatum) (兵庫県丹波地方 2014.5/7)
4~7月に見られる。栄養葉は大きく、長さ4~12cm、幅2.5~7cm、広披針形~広卵形、基部は切形~心形で胞子葉の柄を包む。葉脈は細かい網目をつくり、2次脈も発達する。
胞子表面にはあらい網目模様があり、こぶ状の突起があるように見える。染色体数はn=240で4倍体。
かつて関東の竹林から報告された種内分類群にナガバノハルハナヤスリ(var. longifolium)があり、栄養葉が長いものをいうが、現在では顧みられていない。
関連ページ 関西の花/シダ・ヒロハハナヤスリ

Fig.4 コヒロハハナヤスリ(O. petiolatum) (兵庫県丹波地方 2014.5/27)
4~11月に見られる。栄養葉は環境により変異が多く、長さ1~6cm、幅1~3cm、長楕円形~広卵形、基部は急に狭くなって短い柄がある。葉脈はあらい網目状で、2次脈は発達しない。
胞子表面には細かい網目模様があるが、見かけ上ほとんど平滑に見える。染色体数はn=480,ca.510,2n=ca.960,ca.1100と変異が多い。
かつて報告された種内分類群(?)にシモフサハナヤスリがあり、葉脈が発達し網目が細かいとされるが、詳細は不明。
関連ページ 湿生植物・コヒロハハナヤスリ

Fig.5 トネハナヤスリ(O. namegatae) (大阪府淀川水系 2013.4/16)
4~6月に見られる。栄養葉は長さ2.5~11cm、幅1~4cm、広披針形~卵状3角形、基部はくさび形で長さ1~2.8cmの葉柄に流れる。葉脈は細かい網目をつくり、2次脈も発達する。
胞子表面には細かい網目模様があるが、見かけ上ほとんど平滑に見え、コヒロハハナヤスリよりも小さい。染色体数はn=240で4倍体。関西では淀川水系のアシ原にのみ生育する。
関連ページ 湿生植物・トネハナヤスリ
ヒロハハナヤスリの栄養葉の変異
兵庫県内では落葉広葉樹林内に生育するものは図鑑の記述に見られるような典型的なものが見られるが、草刈りや野焼きなどの人為的な影響を受ける棚田の土手に生育するものは変異が多い。

Fig.6 阪神地方A地区の棚田最上部の農道脇に生育するもの (兵庫県阪神地方 2014.4/26)
午前中は日当たりがあるような狭いシバ地に生育しており、栄養葉は平開せずに斜開し、葉面にシワが多く、一見するとコハナヤスリのように見える。多少は踏みつけに遭うと思われる場所で、すぐ近くの棚田の畦にはコヒロハハナヤスリも生育している。

Fig.7 Fig.6の胞子 (兵庫県阪神地方 2014.5/13)
胞子の形状は一定しており、表面にはこぶ状の突起が見られるためヒロハハナヤスリと同定できる。

Fig.8 阪神地方A地区の棚田の土手に生育するもの (兵庫県阪神地方 2014.5/13)
急斜面の土手にワラビやイタドリ、ミヤマナルコユリの下に隠れるように生育する集団で、高密度に生育している。
この集団では栄養葉基部と胞子葉の柄が完全に合着しているものが多く見られた。

Fig.9 阪神地方B地区の棚田の土手に生育するもの (兵庫県阪神地方 2014.5/11)
この場所の集団は葉は大きいが、次に示すように明瞭な葉柄が見られた。
しかし、胞子表面にはこぶ状突起が見られ、大きさも一定しているため、ヒロハハナヤスリと考えられる。

Fig.10 阪神地方B地区集団に見られる葉柄と胞子 (兵庫県阪神地方 2014.5/28)
一見すると生育状態の良いコヒロハハナヤスリに見える。
ここでは一段上の棚田土手には大型のコハナヤスリが、1段下の溜池土堤にはコヒロハハナヤスリが生育し、非常に紛らわしく、外見で区別するのが難しい。このような場所に生育するものは胞子の形状を必ず確認すべきだろう。

Fig.11 栄養葉基部の変異 (兵庫県阪神地方 2014.5/13)
左は阪神Aのヒロハハナヤスリで、右は阪神Bのコハナヤスリ。
左は葉身基部が心形だが、基部と胞子葉柄が合着している。右は葉身の形状はコハナヤスリだが、葉柄基部は胞子葉柄を抱いている。

Fig.12 県下各地のヒロハハナヤスリと近縁種
スケールの左側はヒロハハナヤスリ、右側はコハナヤスリとコヒロハハナヤスリ。
阪神A,B両地区のものは同じ棚田に生育しているもの。阪神Cのコヒロハハナヤスリは夏以降に地上部が消える暫定コヒロハハナヤスリで検討が必要なものである。

Fig.13 各地のヒロハハナヤスリと近縁種の胞子比較
全て同一倍率で撮影したもの。
ヒロハハナヤスリは表面のいぼ状突起が顕著で、近縁種4種とは明らかに異なっている。
コハナヤスリ、ハマハナヤスリ、コヒロハハナヤスリ、トネハナヤスリのうちでは、トネハナヤスリが他の種に比べて有意に小さいことが分かる。
以上のように、棚田に生育するヒロハハナヤスリは変異が多く、コハナヤスリやコヒロハハナヤスリなどの近縁種も変異が見られ、胞子の形状を観察しないと正確な同定はほぼ不可能だといえる。
これら棚田に生育するヒロハハナヤスリは、午後からは山の陰になるような場所や林縁部か、生育期後半にはススキ、イタドリ、ワラビなどの高茎草本に隠れてしまうような場所に見られ、終日直射光の当たる場所には見られない。

Fig.14 丹波地方のヒロハハナヤスリの生育環境 (兵庫県丹波地方 2014.5/7)
木漏れ日が差し込むような落葉広葉樹林の林床に生育しており、同じ林床にはエビネ、ヒトリシズカ、オオマルバコンロンソウ、イチリンソウ、アマナ、ヤマシャクヤクが見られ、古い土壌が残っている場所だと考えられる。

Fig.15 農道脇の林縁に生育するヒロハハナヤスリ (兵庫県阪神地方 2014.5/28)
Fig.6の集団の生育状況で、多少踏みつけのある雑木林の林縁の農道脇で、午前中は日当たりよい半日陰地である。
表面は乾いており、シバやノゲヌカスゲ、マスクサなどが生育しているが、ヒロハハナヤスリの根茎は丹波地方の雑木林のものに比べて地下深くにあり、根掘りを使用しても根茎を含めた植物体全体を掘り上げるのは難しい。

Fig.16 棚田土手のヒロハハナヤスリの生育環境 (兵庫県阪神地方 2014.5/28)
Fig.8が生育する箇所の遠景。
かなり急傾斜の土手でイタドリ、ワラビ、ミヤマナルコユリが密生しており、その下草のようにスギナとヒロハハナヤスリが密生している。ここの集団も根茎は地下深くにある。
周辺は阪神地域では稀なオカオグルマやカセンソウが生育し、古い土壌があまり撹乱されずに残っていると考えられる。
この場所では春先に一部で野焼きが行われているようだが、いつどのような規模で行われているのかが来年の課題となる。
ハマハナヤスリを母種とする2集団の雑種
過去、兵庫県下ではハマハナヤスリを一方の母種とする雑種の自生地が知られていたが、溜池畔に生育するハマハナヤスリ群落中に外見上コハナヤスリに見える集団があり、もしかしたら雑種ではないかと考えていた。
今季、既知の雑種集団と雑種と思われる集団の胞子を調べ、比較してみた。
ここでは、それぞれの雑種集団を阪神D地区集団、播磨地方集団とする。

Fig.17 阪神D地区に見られた雑種集団 (兵庫県阪神地方 2014.6/20)
この場所ではハマハナヤスリよりも雑種のほうが多く生育している。

Fig.18 阪神D地区の雑種の胞子 (兵庫県阪神地方 2014.6/20)
胞子は変形し大きさも一定せず、不稔である。

Fig.19 阪神D地区の雑種とハマハナヤスリ (兵庫県阪神地方 2014.6/20)

Fig.20 阪神D地区雑種の栄養葉 (兵庫県阪神地方 2014.6/20)
栄養葉基部には葉柄が見られ、コヒロハハナヤスリの影響を思わせる。

Fig.21 播磨地方に見られた雑種集団 (兵庫県播磨地方 2014.7/3)
溜池畔の湿原にハマハナヤスリの群落が広がり、その一部に雑種集団が混生している。

Fig.22 播磨地方の雑種集団の胞子 (兵庫県播磨地方 2014.6/20)
Fig.18同様、胞子はほぼ不稔である。

Fig.23 播磨地方の雑種とハマハナヤスリ (兵庫県播磨地方 2014.6/20)

Fig.24 播磨地方雑種の栄養葉 (兵庫県播磨地方 2014.6/20)
栄養葉基部には柄がなく、コナハヤスリの影響を思わせる。
もし、これがコハナヤスリとの雑種だとすると、ハマハナヤスリとコハナヤスリは別種ではないかということになる。

Fig.25 栄養葉の葉脈比較
ヒロハハナヤスリは他種に比べて全体に脈がよく発達している。
葉はヒロハハナヤスリ、コヒロハハナヤスリ、コハナヤスリ、ハマハナヤスリの順にしだいに厚くなっていく。
葉質の厚いハマハナヤスリは、透過光での葉脈の詳しい観察はしがたい。
2次脈の様子はこれでは判り難いので、同一倍率で拡大したものを次に揚げる。

Fig.26 葉脈の拡大比較
画像スペースの都合からヒロハハナヤスリの画像は阪神A地区のもだけを掲載した。
ヒロハハナヤスリの2次脈の発達は良く、遊離するもののほか、1次脈にまで達するものもある。
コハナヤスリの2次脈は遊離し、あまり発達しない。
コヒロハハナヤスリは微妙だが、コハナヤスリよりわずかに2次脈が発達しているように思われた。
ハマハナヤスリは葉の厚味の影響から、脈自体がかなり不明瞭となる。
2ヶ所の雑種はハマハナヤスリの形質を受けて、葉質が厚く脈が不明瞭となっており、特にコハナヤスリとの雑種と推定されるものは脈がはっきりしない。
暫定的なまとめ
今季のハナヤスリ類調査では以下のようなことが判った。
棚田など人為的な影響を受ける場所ではヒロハハナヤスリの変異幅は広く、栄養葉の形状から他種と区別することは難しく、胞子を確認する必要がある。
ヒロハハナヤスリが出現する棚田では同一の棚田内で複数種のハナヤスリが混生するため特に注意が必要である。他種とは2次脈の発達加減である程度区別する目安がつくが、2次脈の発達するコヒロハハナヤスリも報告されていることから、最終的には胞子の検鏡が必要だろう。
コヒロハハナヤスリ、コハナヤスリとトネハナヤスリには胞子の大きさには有意な差があり、混生地域では同定上の重要なキーとなりうる。
ハマハナヤスリとコハナヤスリの雑種と推定される集団があることから、ハマハナヤスリとコハナヤスリは別種である可能性が考えられるが、浸透交雑によりその境界は明瞭ではないのかもしれない。
以上のような結論が得られたが、夏に消えてしまうコヒロハハナヤスリなど、今後の課題もまだまだ多い。
今回の調査にあたり、トネハナヤスリの胞子葉をお送り頂き、様々な情報とアドバイスを頂いた光田先生と、自生地情報をいただいた兵庫水辺ネットの鈴木氏に謝意を申し上げます。
【参考文献】
岩槻邦男. 1992. ハナヤスリ科ハナヤスリ属. 『日本の野生植物 シダ』 p.62~64. pls.17~18 平凡社
佐々木あや子. 2001. ハナヤスリ科ハナヤスリ属. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 22~24. 神奈川県立生命の星・地球博物館
光田重幸. 1986. ハナヤスリ科. 『しだの図鑑』 p.41. pl.39. 保育社
同じ時期、丹波地方の雑木林の林床で明らかにヒロハハナヤスリと思われる集団を発見し、棚田のヒロハハナヤスリらしき集団とは生育環境と草体の様子がかなり異なっていました。その後、阪神地域において以前と同様な立地条件の棚田で水辺ネットの鈴木氏によりヒロハハナヤスリではないかと思われる栄養葉の大きな集団が近隣地域で発見されました。ここの集団は栄養葉の基部が胞子葉の柄を抱いておらず、栄養葉に明瞭な葉柄が認められるもので、トネハナヤスリや大型のコヒロハハナヤスリを思わせるものでした。また、この棚田では栄養葉が小さなものや、栄養葉の葉柄のないものなどが見られ、あきらかに複数種が混生しているように思われました。
これらの諸集団は発見した時点ではまだ胞子嚢穂は成熟しておらず、成熟を待って胞子を調べてみることにしました。また、これとは別に母種がハマハナヤスリである雑種が生育している場所が知られており、新たに発見したハマハナヤスリを母種とする雑種集団との比較も行い、春~初夏の調査・観察結果を暫定的にまとめてみました。
以下、文章は「です・ます調」から「である調」の簡潔文となりますがご了承のほど。
以下は関西で春から初夏にかけて見られるハナヤスリ類の主要5種と、主な特徴。
*画像クリックで、別ウィンドで画像が表示されますが、最近FC2ブログの仕様が変わったのか、リンク先で大きな画像が表示されなくなってしまいました。
大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。

Fig.1 ハマハナヤスリ(Ophioglossum thermale) (兵庫県播磨地方 2014.6/20)
4~11月に見られる。栄養葉は小さく、長さ0.7~5cm、幅0.3~2cm、線形~狭倒卵形、最も幅の広い場所は中央よりも上にあり、無柄または短柄がある。葉脈は2次脈が発達しない。
胞子表面は見かけ上ほとんど平滑。染色体数はn=240,480で4倍体、8倍体。
関連ページ 湿生植物・ハマハナヤスリ

Fig.2 コハナヤスリ(O. thermale var. nipponicum) (兵庫県阪神地方 2014.5/22)
4~11月に見られる。栄養葉は長さ2.5~5cm、幅0.8~2cm、長卵形~卵形3角形、最も幅の広い場所は中央よりも下にあり、無柄。葉脈は2次脈が発達しない。
胞子表面は見かけ上ほとんど平滑。染色体数はハマハナヤスリに準ずる(?)。
関連ページ 湿生植物・コハナヤスリ

Fig.3 ヒロハハナヤスリ(O. vulgatum) (兵庫県丹波地方 2014.5/7)
4~7月に見られる。栄養葉は大きく、長さ4~12cm、幅2.5~7cm、広披針形~広卵形、基部は切形~心形で胞子葉の柄を包む。葉脈は細かい網目をつくり、2次脈も発達する。
胞子表面にはあらい網目模様があり、こぶ状の突起があるように見える。染色体数はn=240で4倍体。
かつて関東の竹林から報告された種内分類群にナガバノハルハナヤスリ(var. longifolium)があり、栄養葉が長いものをいうが、現在では顧みられていない。
関連ページ 関西の花/シダ・ヒロハハナヤスリ

Fig.4 コヒロハハナヤスリ(O. petiolatum) (兵庫県丹波地方 2014.5/27)
4~11月に見られる。栄養葉は環境により変異が多く、長さ1~6cm、幅1~3cm、長楕円形~広卵形、基部は急に狭くなって短い柄がある。葉脈はあらい網目状で、2次脈は発達しない。
胞子表面には細かい網目模様があるが、見かけ上ほとんど平滑に見える。染色体数はn=480,ca.510,2n=ca.960,ca.1100と変異が多い。
かつて報告された種内分類群(?)にシモフサハナヤスリがあり、葉脈が発達し網目が細かいとされるが、詳細は不明。
関連ページ 湿生植物・コヒロハハナヤスリ

Fig.5 トネハナヤスリ(O. namegatae) (大阪府淀川水系 2013.4/16)
4~6月に見られる。栄養葉は長さ2.5~11cm、幅1~4cm、広披針形~卵状3角形、基部はくさび形で長さ1~2.8cmの葉柄に流れる。葉脈は細かい網目をつくり、2次脈も発達する。
胞子表面には細かい網目模様があるが、見かけ上ほとんど平滑に見え、コヒロハハナヤスリよりも小さい。染色体数はn=240で4倍体。関西では淀川水系のアシ原にのみ生育する。
関連ページ 湿生植物・トネハナヤスリ
ヒロハハナヤスリの栄養葉の変異
兵庫県内では落葉広葉樹林内に生育するものは図鑑の記述に見られるような典型的なものが見られるが、草刈りや野焼きなどの人為的な影響を受ける棚田の土手に生育するものは変異が多い。

Fig.6 阪神地方A地区の棚田最上部の農道脇に生育するもの (兵庫県阪神地方 2014.4/26)
午前中は日当たりがあるような狭いシバ地に生育しており、栄養葉は平開せずに斜開し、葉面にシワが多く、一見するとコハナヤスリのように見える。多少は踏みつけに遭うと思われる場所で、すぐ近くの棚田の畦にはコヒロハハナヤスリも生育している。

Fig.7 Fig.6の胞子 (兵庫県阪神地方 2014.5/13)
胞子の形状は一定しており、表面にはこぶ状の突起が見られるためヒロハハナヤスリと同定できる。

Fig.8 阪神地方A地区の棚田の土手に生育するもの (兵庫県阪神地方 2014.5/13)
急斜面の土手にワラビやイタドリ、ミヤマナルコユリの下に隠れるように生育する集団で、高密度に生育している。
この集団では栄養葉基部と胞子葉の柄が完全に合着しているものが多く見られた。

Fig.9 阪神地方B地区の棚田の土手に生育するもの (兵庫県阪神地方 2014.5/11)
この場所の集団は葉は大きいが、次に示すように明瞭な葉柄が見られた。
しかし、胞子表面にはこぶ状突起が見られ、大きさも一定しているため、ヒロハハナヤスリと考えられる。

Fig.10 阪神地方B地区集団に見られる葉柄と胞子 (兵庫県阪神地方 2014.5/28)
一見すると生育状態の良いコヒロハハナヤスリに見える。
ここでは一段上の棚田土手には大型のコハナヤスリが、1段下の溜池土堤にはコヒロハハナヤスリが生育し、非常に紛らわしく、外見で区別するのが難しい。このような場所に生育するものは胞子の形状を必ず確認すべきだろう。

Fig.11 栄養葉基部の変異 (兵庫県阪神地方 2014.5/13)
左は阪神Aのヒロハハナヤスリで、右は阪神Bのコハナヤスリ。
左は葉身基部が心形だが、基部と胞子葉柄が合着している。右は葉身の形状はコハナヤスリだが、葉柄基部は胞子葉柄を抱いている。

Fig.12 県下各地のヒロハハナヤスリと近縁種
スケールの左側はヒロハハナヤスリ、右側はコハナヤスリとコヒロハハナヤスリ。
阪神A,B両地区のものは同じ棚田に生育しているもの。阪神Cのコヒロハハナヤスリは夏以降に地上部が消える暫定コヒロハハナヤスリで検討が必要なものである。

Fig.13 各地のヒロハハナヤスリと近縁種の胞子比較
全て同一倍率で撮影したもの。
ヒロハハナヤスリは表面のいぼ状突起が顕著で、近縁種4種とは明らかに異なっている。
コハナヤスリ、ハマハナヤスリ、コヒロハハナヤスリ、トネハナヤスリのうちでは、トネハナヤスリが他の種に比べて有意に小さいことが分かる。
以上のように、棚田に生育するヒロハハナヤスリは変異が多く、コハナヤスリやコヒロハハナヤスリなどの近縁種も変異が見られ、胞子の形状を観察しないと正確な同定はほぼ不可能だといえる。
これら棚田に生育するヒロハハナヤスリは、午後からは山の陰になるような場所や林縁部か、生育期後半にはススキ、イタドリ、ワラビなどの高茎草本に隠れてしまうような場所に見られ、終日直射光の当たる場所には見られない。

Fig.14 丹波地方のヒロハハナヤスリの生育環境 (兵庫県丹波地方 2014.5/7)
木漏れ日が差し込むような落葉広葉樹林の林床に生育しており、同じ林床にはエビネ、ヒトリシズカ、オオマルバコンロンソウ、イチリンソウ、アマナ、ヤマシャクヤクが見られ、古い土壌が残っている場所だと考えられる。

Fig.15 農道脇の林縁に生育するヒロハハナヤスリ (兵庫県阪神地方 2014.5/28)
Fig.6の集団の生育状況で、多少踏みつけのある雑木林の林縁の農道脇で、午前中は日当たりよい半日陰地である。
表面は乾いており、シバやノゲヌカスゲ、マスクサなどが生育しているが、ヒロハハナヤスリの根茎は丹波地方の雑木林のものに比べて地下深くにあり、根掘りを使用しても根茎を含めた植物体全体を掘り上げるのは難しい。

Fig.16 棚田土手のヒロハハナヤスリの生育環境 (兵庫県阪神地方 2014.5/28)
Fig.8が生育する箇所の遠景。
かなり急傾斜の土手でイタドリ、ワラビ、ミヤマナルコユリが密生しており、その下草のようにスギナとヒロハハナヤスリが密生している。ここの集団も根茎は地下深くにある。
周辺は阪神地域では稀なオカオグルマやカセンソウが生育し、古い土壌があまり撹乱されずに残っていると考えられる。
この場所では春先に一部で野焼きが行われているようだが、いつどのような規模で行われているのかが来年の課題となる。
ハマハナヤスリを母種とする2集団の雑種
過去、兵庫県下ではハマハナヤスリを一方の母種とする雑種の自生地が知られていたが、溜池畔に生育するハマハナヤスリ群落中に外見上コハナヤスリに見える集団があり、もしかしたら雑種ではないかと考えていた。
今季、既知の雑種集団と雑種と思われる集団の胞子を調べ、比較してみた。
ここでは、それぞれの雑種集団を阪神D地区集団、播磨地方集団とする。

Fig.17 阪神D地区に見られた雑種集団 (兵庫県阪神地方 2014.6/20)
この場所ではハマハナヤスリよりも雑種のほうが多く生育している。

Fig.18 阪神D地区の雑種の胞子 (兵庫県阪神地方 2014.6/20)
胞子は変形し大きさも一定せず、不稔である。

Fig.19 阪神D地区の雑種とハマハナヤスリ (兵庫県阪神地方 2014.6/20)

Fig.20 阪神D地区雑種の栄養葉 (兵庫県阪神地方 2014.6/20)
栄養葉基部には葉柄が見られ、コヒロハハナヤスリの影響を思わせる。

Fig.21 播磨地方に見られた雑種集団 (兵庫県播磨地方 2014.7/3)
溜池畔の湿原にハマハナヤスリの群落が広がり、その一部に雑種集団が混生している。

Fig.22 播磨地方の雑種集団の胞子 (兵庫県播磨地方 2014.6/20)
Fig.18同様、胞子はほぼ不稔である。

Fig.23 播磨地方の雑種とハマハナヤスリ (兵庫県播磨地方 2014.6/20)

Fig.24 播磨地方雑種の栄養葉 (兵庫県播磨地方 2014.6/20)
栄養葉基部には柄がなく、コナハヤスリの影響を思わせる。
もし、これがコハナヤスリとの雑種だとすると、ハマハナヤスリとコハナヤスリは別種ではないかということになる。

Fig.25 栄養葉の葉脈比較
ヒロハハナヤスリは他種に比べて全体に脈がよく発達している。
葉はヒロハハナヤスリ、コヒロハハナヤスリ、コハナヤスリ、ハマハナヤスリの順にしだいに厚くなっていく。
葉質の厚いハマハナヤスリは、透過光での葉脈の詳しい観察はしがたい。
2次脈の様子はこれでは判り難いので、同一倍率で拡大したものを次に揚げる。

Fig.26 葉脈の拡大比較
画像スペースの都合からヒロハハナヤスリの画像は阪神A地区のもだけを掲載した。
ヒロハハナヤスリの2次脈の発達は良く、遊離するもののほか、1次脈にまで達するものもある。
コハナヤスリの2次脈は遊離し、あまり発達しない。
コヒロハハナヤスリは微妙だが、コハナヤスリよりわずかに2次脈が発達しているように思われた。
ハマハナヤスリは葉の厚味の影響から、脈自体がかなり不明瞭となる。
2ヶ所の雑種はハマハナヤスリの形質を受けて、葉質が厚く脈が不明瞭となっており、特にコハナヤスリとの雑種と推定されるものは脈がはっきりしない。
暫定的なまとめ
今季のハナヤスリ類調査では以下のようなことが判った。
棚田など人為的な影響を受ける場所ではヒロハハナヤスリの変異幅は広く、栄養葉の形状から他種と区別することは難しく、胞子を確認する必要がある。
ヒロハハナヤスリが出現する棚田では同一の棚田内で複数種のハナヤスリが混生するため特に注意が必要である。他種とは2次脈の発達加減である程度区別する目安がつくが、2次脈の発達するコヒロハハナヤスリも報告されていることから、最終的には胞子の検鏡が必要だろう。
コヒロハハナヤスリ、コハナヤスリとトネハナヤスリには胞子の大きさには有意な差があり、混生地域では同定上の重要なキーとなりうる。
ハマハナヤスリとコハナヤスリの雑種と推定される集団があることから、ハマハナヤスリとコハナヤスリは別種である可能性が考えられるが、浸透交雑によりその境界は明瞭ではないのかもしれない。
以上のような結論が得られたが、夏に消えてしまうコヒロハハナヤスリなど、今後の課題もまだまだ多い。
今回の調査にあたり、トネハナヤスリの胞子葉をお送り頂き、様々な情報とアドバイスを頂いた光田先生と、自生地情報をいただいた兵庫水辺ネットの鈴木氏に謝意を申し上げます。
【参考文献】
岩槻邦男. 1992. ハナヤスリ科ハナヤスリ属. 『日本の野生植物 シダ』 p.62~64. pls.17~18 平凡社
佐々木あや子. 2001. ハナヤスリ科ハナヤスリ属. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 22~24. 神奈川県立生命の星・地球博物館
光田重幸. 1986. ハナヤスリ科. 『しだの図鑑』 p.41. pl.39. 保育社
スポンサーサイト
category: シダ
初夏の湿地・溜池 2
2014/07/09 Wed. 20:46 [edit]
かなり期間が空きましたが、初夏の湿地・溜池の続き(6月以降)です。
画像:6月の溜池、アギスミレ、ヒルムシロ、ジュンサイの花と芽、タチモ陸生形、ヤマアワ、
ハナビゼキショウ、ホソバノヨツバムグラ、ハリコウガイゼキショウ、イヌノハナヒゲ、
ノハナショウブ、カキラン、ヤマトキソウ、コバノトンボソウ、ホソバミズヒキモ、
イトモ、ヤマトミクリ、ヒメガマ、トウカイコモウセンゴケ、ミミカキグサ、ホシクサ、
ネジバナ、シロバナネジバナ
*画像クリックで、別ウィンドで表示されます。
FC2ブログの仕様が変わったのか、リンク先で大きな画像が表示されなくなってしまいました。
大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。

Fig.1 6月の溜池 (兵庫県丹波地方 2014.6/10)
6月に入るとヒツジグサをはじめとした浮葉植物の開花も盛んになってきます。

Fig.2 アギスミレ (兵庫県丹波地方 2014.6/10)
溜池畔の湿地で開花していました。ニョイスミレとともに最も遅くまで開花の見られるスミレです。匍匐性のヒメアギスミレと違って、イグサやスゲ類に寄りかかるようにして上に伸びます。
関連ページ 湿生植物・アギスミレ

Fig.3 ヒルムシロ (兵庫県丹波地方 2014.6/16)
ヒルムシロの開花が始まっていました。
周辺の溜池にはフトヒルムシロのほうが多く見られ、そちらは既に結実しています。
関連ページ 浮葉植物・ヒルムシロ

Fig.4 ジュンサイの花 (兵庫県丹波地方 2014.6/16)
ジュンサイは開花全盛期でした。葉腋に花をつけ、次々に開花していきます。
開花1日目は雌性期で、2日目は雄性期で、画像は雄性期のもの。
裂開前の雄蕊の葯は鮮やかな赤色をしています。
関連ページ 浮葉植物・ジュンサイ

Fig.5 ジュンサイの芽 (兵庫県丹波地方 2014.6/16)
ジュンサイの芽は夏の風物詩として食され、秋田県が名産地として有名です。
かつては兵庫県内でもジュンサイ採りがよく見られたそうですが、今では数世帯しかありません。
多くの溜池ではジュンサイは放置されており、時々採取して肴として頂いています。

Fig.6 タチモ陸生形 (兵庫県播磨地方 2014.6/20)
溜池畔の湿地でタチモの陸生形が開花していました。
タチモは雌雄異株で、画像のものは雌花がついているので雌株ということになります。
関連ページ 抽水~沈水植物・タチモ

Fig.7 ヤマアワ (兵庫県播磨地方 2014.6/20)
溜池畔の湿原でヤマアワが開花中でした。
開花が終わると一旦花序は閉じて柱状となり、結実期に再び花序が開きます。
関連ページ 湿生植物・ヤマアワ

Fig.8 ハナビゼキショウ (兵庫県播磨地方 2014.6/20)
溜池直下の用水路内でハナビゼキショウの大株が生育していました。
アオコウガイゼキショウやハリコウガイゼキショウ、タチコウガイゼキショウとは扁平で多管質の葉があることで、同じ多管質であるコウガイゼキショウやヒロハノコウガイゼキショウとは蒴果の先が急に狭くなって凸端となることで区別できます。
関連ページ 湿生植物・ハナビゼキショウ

Fig.9 ホソバノヨツバムグラ (兵庫県播磨地方 2014.6/20)
ハナビゼキショウの傍ではホソバノヨツバムグラが開花中でした。
果実の表面は平滑となるのが特徴です。
関連ページ 湿生植物・ホソバノヨツバムグラ

Fig.10 ハリコウガイゼキショウ (兵庫県丹波地方 2014.6/24)
溜池畔の湿原の一角でハリコウガイゼキショウが群生していました。
先のハナビゼキショウと違って、茎や葉は単菅質で円柱形となります。
同じ単菅質のアオコウガイゼキショウ、タチコウガイゼキショウとは蒴果の先がスムースに狭くなり、鋭尖頭となることにより区別できます。
関連ページ 湿生植物・ハリコウガイゼキショウ

Fig.11 開花中のイヌノハナヒゲ (兵庫県丹波地方 2014.6/24)
溜池畔の湿原で群生し、開花していました。
貧栄養湿地の指標となるカヤツリグサ科草本です。
関連ページ 湿生植物・イヌノハナヒゲ

Fig.12 ノハナショウブ (兵庫県丹波地方 2014.6/24)
溜池畔の湿原内で点々と小群落をつくっていました。
関連ページ 湿生植物・ノハナショウブ

Fig.13 カキラン (兵庫県丹波地方 2014.6/24)
溜池畔の湿原中でも比較的周縁部に多数の個体が生育していました。
関連ページ 湿生植物・カキラン

Fig.14 ヤマトキソウ (兵庫県丹波地方 2014.6/24)
カキランと同じ湿原周縁部に生育していましたが、個体数は多くありません。
花はまだ開いておらず、明日にでも開花しそうでした。
関連ページ 湿生植物・ヤマトキソウ

Fig.15 コバノトンボソウ (兵庫県播磨地方 2014.6/24)
上記2種とは別の溜池畔ではカキランは終わりかけで、コバノトンボソウが開花全盛でした。
ツレサギソウ属ということもあって、花の形がユニークです。
関連ページ 湿生植物・コバノトンボソウ

Fig.16 ホソバミズヒキモとヒツジグサ (兵庫県播磨地方 2014.6/24)
山間の小さな溜池でホソバミズヒキモ(手前)とヒツジグサ(後方)が開花中でした。
関連ページ 浮葉植物・ホソバミズヒキモ
関連ページ 浮葉植物・ヒツジグサ

Fig.17 イトモ (兵庫県播磨地方 2014.6/24)
イトモは開花も結実もともに見られました。画像は開花中のものです。
関連ページ 沈水植物・イトモ

Fig.18 ヤマトミクリ (兵庫県播磨地方 2014.6/24)
小さな溜池に抽水状態で群生しています。
周囲にはヤマトミクリを食草とするキンイロネクイハムシが沢山飛び交っていました。
関連ページ 抽水植物・ヤマトミクリ

Fig.19 ヒメガマ (兵庫県播磨地方 2014.7/2)
溜池畔の湿原中で開花していました。
関連ページ 抽水植物・ヒメガマ

Fig.20 トウカイコモウセンゴケ (兵庫県播磨地方 2014.7/2)
開花終盤の個体が大半でしたが、まだこれから開花する個体も見られます。
トウカコモウセンゴケは盛夏の開花は減るものの、秋から晩秋にかけても開花が見られます。
関連ページ 湿生植物・トウカイコモウセンゴケ

Fig.21 ミミカキグサ (兵庫県播磨地方 2014.7/2)
水際の泥濘地ではミミカキグサの開花が始まりました。
地表には地下茎から出た小さな葉が密生しています。
関連ページ 湿生植物・ミミカキグサ

Fig.22 ホシクサ黒花型 (兵庫県播磨地方 2014.7/2)
黒花型のホシクサが早くも開花していました。
一見するとクロホシクサのように見えますが、苞や花弁に白色棍棒状毛はありません。
関連ページ 湿生植物・ホシクサ

Fig.23 ネジバナ (兵庫県播磨地方 2014.7/2)
湿原中のチゴザサ群落中にネジバナが群生していました。
中には水没している個体も見られ、根は嫌気的な状態でも耐性があるのでしょうか。
関連ページ 関西の花・ネジバナ

Fig.24 シロバナネジバナ (兵庫県播磨地方 2014.7/2)
個体数が多いため、完全に白色のネジバナも生育していました。
画像:6月の溜池、アギスミレ、ヒルムシロ、ジュンサイの花と芽、タチモ陸生形、ヤマアワ、
ハナビゼキショウ、ホソバノヨツバムグラ、ハリコウガイゼキショウ、イヌノハナヒゲ、
ノハナショウブ、カキラン、ヤマトキソウ、コバノトンボソウ、ホソバミズヒキモ、
イトモ、ヤマトミクリ、ヒメガマ、トウカイコモウセンゴケ、ミミカキグサ、ホシクサ、
ネジバナ、シロバナネジバナ
*画像クリックで、別ウィンドで表示されます。
FC2ブログの仕様が変わったのか、リンク先で大きな画像が表示されなくなってしまいました。
大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。

Fig.1 6月の溜池 (兵庫県丹波地方 2014.6/10)
6月に入るとヒツジグサをはじめとした浮葉植物の開花も盛んになってきます。

Fig.2 アギスミレ (兵庫県丹波地方 2014.6/10)
溜池畔の湿地で開花していました。ニョイスミレとともに最も遅くまで開花の見られるスミレです。匍匐性のヒメアギスミレと違って、イグサやスゲ類に寄りかかるようにして上に伸びます。
関連ページ 湿生植物・アギスミレ

Fig.3 ヒルムシロ (兵庫県丹波地方 2014.6/16)
ヒルムシロの開花が始まっていました。
周辺の溜池にはフトヒルムシロのほうが多く見られ、そちらは既に結実しています。
関連ページ 浮葉植物・ヒルムシロ

Fig.4 ジュンサイの花 (兵庫県丹波地方 2014.6/16)
ジュンサイは開花全盛期でした。葉腋に花をつけ、次々に開花していきます。
開花1日目は雌性期で、2日目は雄性期で、画像は雄性期のもの。
裂開前の雄蕊の葯は鮮やかな赤色をしています。
関連ページ 浮葉植物・ジュンサイ

Fig.5 ジュンサイの芽 (兵庫県丹波地方 2014.6/16)
ジュンサイの芽は夏の風物詩として食され、秋田県が名産地として有名です。
かつては兵庫県内でもジュンサイ採りがよく見られたそうですが、今では数世帯しかありません。
多くの溜池ではジュンサイは放置されており、時々採取して肴として頂いています。

Fig.6 タチモ陸生形 (兵庫県播磨地方 2014.6/20)
溜池畔の湿地でタチモの陸生形が開花していました。
タチモは雌雄異株で、画像のものは雌花がついているので雌株ということになります。
関連ページ 抽水~沈水植物・タチモ

Fig.7 ヤマアワ (兵庫県播磨地方 2014.6/20)
溜池畔の湿原でヤマアワが開花中でした。
開花が終わると一旦花序は閉じて柱状となり、結実期に再び花序が開きます。
関連ページ 湿生植物・ヤマアワ

Fig.8 ハナビゼキショウ (兵庫県播磨地方 2014.6/20)
溜池直下の用水路内でハナビゼキショウの大株が生育していました。
アオコウガイゼキショウやハリコウガイゼキショウ、タチコウガイゼキショウとは扁平で多管質の葉があることで、同じ多管質であるコウガイゼキショウやヒロハノコウガイゼキショウとは蒴果の先が急に狭くなって凸端となることで区別できます。
関連ページ 湿生植物・ハナビゼキショウ

Fig.9 ホソバノヨツバムグラ (兵庫県播磨地方 2014.6/20)
ハナビゼキショウの傍ではホソバノヨツバムグラが開花中でした。
果実の表面は平滑となるのが特徴です。
関連ページ 湿生植物・ホソバノヨツバムグラ

Fig.10 ハリコウガイゼキショウ (兵庫県丹波地方 2014.6/24)
溜池畔の湿原の一角でハリコウガイゼキショウが群生していました。
先のハナビゼキショウと違って、茎や葉は単菅質で円柱形となります。
同じ単菅質のアオコウガイゼキショウ、タチコウガイゼキショウとは蒴果の先がスムースに狭くなり、鋭尖頭となることにより区別できます。
関連ページ 湿生植物・ハリコウガイゼキショウ

Fig.11 開花中のイヌノハナヒゲ (兵庫県丹波地方 2014.6/24)
溜池畔の湿原で群生し、開花していました。
貧栄養湿地の指標となるカヤツリグサ科草本です。
関連ページ 湿生植物・イヌノハナヒゲ

Fig.12 ノハナショウブ (兵庫県丹波地方 2014.6/24)
溜池畔の湿原内で点々と小群落をつくっていました。
関連ページ 湿生植物・ノハナショウブ

Fig.13 カキラン (兵庫県丹波地方 2014.6/24)
溜池畔の湿原中でも比較的周縁部に多数の個体が生育していました。
関連ページ 湿生植物・カキラン

Fig.14 ヤマトキソウ (兵庫県丹波地方 2014.6/24)
カキランと同じ湿原周縁部に生育していましたが、個体数は多くありません。
花はまだ開いておらず、明日にでも開花しそうでした。
関連ページ 湿生植物・ヤマトキソウ

Fig.15 コバノトンボソウ (兵庫県播磨地方 2014.6/24)
上記2種とは別の溜池畔ではカキランは終わりかけで、コバノトンボソウが開花全盛でした。
ツレサギソウ属ということもあって、花の形がユニークです。
関連ページ 湿生植物・コバノトンボソウ

Fig.16 ホソバミズヒキモとヒツジグサ (兵庫県播磨地方 2014.6/24)
山間の小さな溜池でホソバミズヒキモ(手前)とヒツジグサ(後方)が開花中でした。
関連ページ 浮葉植物・ホソバミズヒキモ
関連ページ 浮葉植物・ヒツジグサ

Fig.17 イトモ (兵庫県播磨地方 2014.6/24)
イトモは開花も結実もともに見られました。画像は開花中のものです。
関連ページ 沈水植物・イトモ

Fig.18 ヤマトミクリ (兵庫県播磨地方 2014.6/24)
小さな溜池に抽水状態で群生しています。
周囲にはヤマトミクリを食草とするキンイロネクイハムシが沢山飛び交っていました。
関連ページ 抽水植物・ヤマトミクリ

Fig.19 ヒメガマ (兵庫県播磨地方 2014.7/2)
溜池畔の湿原中で開花していました。
関連ページ 抽水植物・ヒメガマ

Fig.20 トウカイコモウセンゴケ (兵庫県播磨地方 2014.7/2)
開花終盤の個体が大半でしたが、まだこれから開花する個体も見られます。
トウカコモウセンゴケは盛夏の開花は減るものの、秋から晩秋にかけても開花が見られます。
関連ページ 湿生植物・トウカイコモウセンゴケ

Fig.21 ミミカキグサ (兵庫県播磨地方 2014.7/2)
水際の泥濘地ではミミカキグサの開花が始まりました。
地表には地下茎から出た小さな葉が密生しています。
関連ページ 湿生植物・ミミカキグサ

Fig.22 ホシクサ黒花型 (兵庫県播磨地方 2014.7/2)
黒花型のホシクサが早くも開花していました。
一見するとクロホシクサのように見えますが、苞や花弁に白色棍棒状毛はありません。
関連ページ 湿生植物・ホシクサ

Fig.23 ネジバナ (兵庫県播磨地方 2014.7/2)
湿原中のチゴザサ群落中にネジバナが群生していました。
中には水没している個体も見られ、根は嫌気的な状態でも耐性があるのでしょうか。
関連ページ 関西の花・ネジバナ

Fig.24 シロバナネジバナ (兵庫県播磨地方 2014.7/2)
個体数が多いため、完全に白色のネジバナも生育していました。
category: 湿地・溜池
6月の花
2014/07/07 Mon. 00:16 [edit]
西日本は6月の梅雨期に入っても空梅雨で、結構フィールドに出る機会に恵まれました。
7月に入りましたが、どうもこれから西日本では降雨の日が多くなるようです。
画像:ヒトツボクロ、オオマムシグサ、カラスビシャク、ニワフジ、ササユリ、
トウゴクシソバタツナミ、ツルアリドオシ、テイカカズラ、ヤマボウシ、ヤマトウバナ、
クサイ、クモキリソウ、サイハイラン、ナツトウダイ、ミヤマカラマツ、
オオバノヨツバムグラ、オオバミゾホオズキ、ミゾホオズキ、ムヨウラン、ムギラン、
オオカモメヅル、コウヤザサ、オカトラノオ、アカショウマ、ショウキラン、
ギンリョウソウ、ツクバネソウ、ツルアジサイ、オオバスノキ、アカモノ、
ヒオドシチョウ、ダイセンセダカコブヤハズカミキリ
*画像クリックで、別ウィンドで表示されます。
FC2ブログの仕様が変わったのか、リンク先で大きな画像が表示されなくなってしまいました。
大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。

Fig.1 ヒトツボクロ (兵庫県丹波地方 2014.6/3)
ヒトツボクロらしきものがあると連絡を受け、確認してきました。
周辺をよく探しましたが、開花した1個体があるのみでした。

Fig.2 オオマムシグサ (兵庫県丹波地方 2014.6/3)
マムシグサの仲間では最も遅く開花し、大型で1mを越える個体でした。
付属体は細いものから、ユキモチソウのように太くなるものまで非常に変異に富んでいます。

Fig.3 カラスビシャク (兵庫県丹波地方 2014.6/3)
オオマムシグサが林立する林道脇に生育していました。
よく見かけるものよりもかなり生育状態が良く、大きな個体でした。
関連ページ 関西の花・カラスビシャク

Fig.4 ニワフジ (兵庫県丹波地方 2014.6/3)
古い神社の石垣で、雨に濡れながら開花していました。
本来は渓流畔の岩上に見られ、丹波地方にも記録がありますが、移植された可能性があります。

Fig.5 ササユリ (兵庫県丹波地方 2014.6/10)
毎年沢山の開花が見られる場所で、一番花が開花していました。
関連ページ 関西の花・ササユリ

Fig.6 トウゴクシソバタツナミ (兵庫県丹波地方 2014.6/10)
タツナミソウの仲間では最も遅く開花し、県下では分布域の広い種です。
社寺境内のカエデの木陰で開花真っ盛りでした。
関連ページ 関西の花・トウゴクシソバタツナミ

Fig.7 ツルアリドオシ (兵庫県丹波地方 2014.6/10)
コウヤコケシノブが着生する社寺の古い石垣から、垂れ下がって開花していました。

Fig.8 テイカカズラ (兵庫県阪神地方 2014.6/12)
山道の脇で盛大に開花しており、思わずクルマを止めて撮影。

Fig.9 ヤマボウシ (兵庫県摂津地方 2014.6/12)
渓流に沿って敷かれた林道沿いではあちこちでヤマボウシが満開。

Fig.10 ヤマトウバナ (兵庫県摂津地方 2014.6/12)
渓流畔ではホクリクタツナミソウの開花が終わると、ヤマトウバナが開花します。
関連ページ 関西の花・ヤマトウバナ

Fig.11 クサイ (兵庫県摂津地方 2014.6/12)
林道の細流脇でクサイが開花していました。イグサ属の開花シーズンに入りました。
関連ページ 湿生植物・クサイ

Fig.12 クモキリソウ (兵庫県摂津地方 2014.6/12)
林道脇に点々と生育しており、開花しはじめていました。
関連ページ 関西の花・クモキリソウ

Fig.13 サイハイラン (兵庫県但馬地方 2014.6/15)
ツボミを見つけていた個体でしたが、寄り道して見に行くと、すでに開花晩期になっていました。

Fig.14 ナツトウダイ (兵庫県但馬地方 2014.6/15)
シカの食害を受けないためか、草地斜面に繁茂しています。
左端の草本はバイケイソウで、これも食害を受けないため群生しています。
関連ページ 関西の花・ナツトウダイ

Fig.15 ミヤマカラマツ (兵庫県但馬地方 2014.6/15)
岩壁に着生するような状態で多数の個体が生育し、開花していました。
淡紅色に色づいた終わりかけの花もありました。

Fig.16 オオバノヨツバムグラ (兵庫県但馬地方 2014.6/15)
ヨツバムグラの仲間では県下では高標高地に出現する種です。
私には近似種のエゾノヨツバムグラとの違いがわかりません。

Fig.17 オオバミゾホオズキ (兵庫県但馬地方 2014.6/15)
本来は湿生植物ですが、県下では高標高地の沢沿いにのみ見られます。
ミゾホオズキと比べると、植物体全体が大柄です。

Fig.18 ミゾホオズキ (兵庫県但馬地方 2014.6/25)
日付が前後しますが、オオバミゾホオズキのついでにここに載せました。
岩場を流れる細流脇で点々と開花していました。
関連ページ 湿生植物・ミゾホオズキ

Fig.19 ムヨウラン (兵庫県丹波地方 2014.6/16)
花はほとんど開かず、これが開花している状態です。
こんな状態でも割と結実率が良いのは、いったい誰が送紛者となっているのでしょうか。
最近、林床が荒れたり乾燥したりで、見られなくなった場所も多いです。

Fig.20 ムギラン (兵庫県阪神地方 2014.6/20)
花はとても小さくて3mm程度。これが撮影できる精一杯の大きさ。
蒴果はバルブとそっくりで、一見すると区別がつきません。

Fig.21 オオカモメヅル (兵庫県阪神地方 2014.6/20)
頭に「オオ」がつきますが花の大きさはコカモメヅルとほとんど変わりません。
花数が少ない分だけ、むしろ貧相に見えてしまいます。

Fig.22 コウヤザサ (兵庫県阪神地方 2014.6/20)
林縁で群生していました。
繊細で涼しげな姿が良く、好きなイネ科草本のひとつです。
関連ページ 関西の花/イネ科・コウヤザサ

Fig.23 オカトラノオ (兵庫県阪神地方 2014.6/24)
棚田の土手に群生している集団が開花していました。
関連ページ 関西の花・オカトラノオ

Fig.24 アカショウマ (兵庫県但馬地方 2014.6/25)
水の滴る岩壁周辺に群生していました。開花最盛期です。
関連ページ 湿生植物・アカショウマ

Fig.25 ショウキラン (兵庫県但馬地方 2014.6/25)
残念ながら開花は終わりで、花は虫に喰われてぼろぼろになっていました。

Fig.26 ギンリョウソウ (兵庫県但馬地方 2014.6/25)
ギンリョウソウはかなり果実が膨らんでいましたが、まだ上を向いていません。

Fig.27 ツクバネソウ (兵庫県但馬地方 2014.6/25)
ちょうど最盛期で、あちこちで開花中でした。

Fig.28 ツルアジサイ (兵庫県但馬地方 2014.6/25)
ブナやトチの大木に這い上がって開花しています。
県下では県北の比較的標高の高い地域でしか開花が見られません。

Fig.29 オオバスノキ (兵庫県但馬地方 2014.6/25)
これも県北の山地が分布域となっています。
開花期はとっくに終わっていますが、膨らみはじめた果実が割と絵になります。
果実が熟すのは夏後半頃でしょうか。

Fig.30 アカモノ (兵庫県但馬地方 2014.6/25)
ヘタすると踏みつけに遭うような登山道脇で小さな花を開いていました。
アカモノは「赤桃」が訛ったものだとか。

Fig.31 ヒオドシチョウ (兵庫県但馬地方 2014.6/25)
岩場の頂で休んでいると、上昇気流に吹き上げられて蝶達がやってきます。
このヒオドシチョウはなかなか岩場から離れず、少し遊んでもらいました。

Fig.32 ダイセンセダカコブヤハズカミキリ (兵庫県但馬地方 2014.6/25)
飛べないカミキリムシで、登山道を歩いていたオスです。倒木の上に載せて撮影。
タニグチコブヤハズカミキリを探して中央アルプスを歩いていた頃を思い出しました。
7月に入りましたが、どうもこれから西日本では降雨の日が多くなるようです。
画像:ヒトツボクロ、オオマムシグサ、カラスビシャク、ニワフジ、ササユリ、
トウゴクシソバタツナミ、ツルアリドオシ、テイカカズラ、ヤマボウシ、ヤマトウバナ、
クサイ、クモキリソウ、サイハイラン、ナツトウダイ、ミヤマカラマツ、
オオバノヨツバムグラ、オオバミゾホオズキ、ミゾホオズキ、ムヨウラン、ムギラン、
オオカモメヅル、コウヤザサ、オカトラノオ、アカショウマ、ショウキラン、
ギンリョウソウ、ツクバネソウ、ツルアジサイ、オオバスノキ、アカモノ、
ヒオドシチョウ、ダイセンセダカコブヤハズカミキリ
*画像クリックで、別ウィンドで表示されます。
FC2ブログの仕様が変わったのか、リンク先で大きな画像が表示されなくなってしまいました。
大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。

Fig.1 ヒトツボクロ (兵庫県丹波地方 2014.6/3)
ヒトツボクロらしきものがあると連絡を受け、確認してきました。
周辺をよく探しましたが、開花した1個体があるのみでした。

Fig.2 オオマムシグサ (兵庫県丹波地方 2014.6/3)
マムシグサの仲間では最も遅く開花し、大型で1mを越える個体でした。
付属体は細いものから、ユキモチソウのように太くなるものまで非常に変異に富んでいます。

Fig.3 カラスビシャク (兵庫県丹波地方 2014.6/3)
オオマムシグサが林立する林道脇に生育していました。
よく見かけるものよりもかなり生育状態が良く、大きな個体でした。
関連ページ 関西の花・カラスビシャク

Fig.4 ニワフジ (兵庫県丹波地方 2014.6/3)
古い神社の石垣で、雨に濡れながら開花していました。
本来は渓流畔の岩上に見られ、丹波地方にも記録がありますが、移植された可能性があります。

Fig.5 ササユリ (兵庫県丹波地方 2014.6/10)
毎年沢山の開花が見られる場所で、一番花が開花していました。
関連ページ 関西の花・ササユリ

Fig.6 トウゴクシソバタツナミ (兵庫県丹波地方 2014.6/10)
タツナミソウの仲間では最も遅く開花し、県下では分布域の広い種です。
社寺境内のカエデの木陰で開花真っ盛りでした。
関連ページ 関西の花・トウゴクシソバタツナミ

Fig.7 ツルアリドオシ (兵庫県丹波地方 2014.6/10)
コウヤコケシノブが着生する社寺の古い石垣から、垂れ下がって開花していました。

Fig.8 テイカカズラ (兵庫県阪神地方 2014.6/12)
山道の脇で盛大に開花しており、思わずクルマを止めて撮影。

Fig.9 ヤマボウシ (兵庫県摂津地方 2014.6/12)
渓流に沿って敷かれた林道沿いではあちこちでヤマボウシが満開。

Fig.10 ヤマトウバナ (兵庫県摂津地方 2014.6/12)
渓流畔ではホクリクタツナミソウの開花が終わると、ヤマトウバナが開花します。
関連ページ 関西の花・ヤマトウバナ

Fig.11 クサイ (兵庫県摂津地方 2014.6/12)
林道の細流脇でクサイが開花していました。イグサ属の開花シーズンに入りました。
関連ページ 湿生植物・クサイ

Fig.12 クモキリソウ (兵庫県摂津地方 2014.6/12)
林道脇に点々と生育しており、開花しはじめていました。
関連ページ 関西の花・クモキリソウ

Fig.13 サイハイラン (兵庫県但馬地方 2014.6/15)
ツボミを見つけていた個体でしたが、寄り道して見に行くと、すでに開花晩期になっていました。

Fig.14 ナツトウダイ (兵庫県但馬地方 2014.6/15)
シカの食害を受けないためか、草地斜面に繁茂しています。
左端の草本はバイケイソウで、これも食害を受けないため群生しています。
関連ページ 関西の花・ナツトウダイ

Fig.15 ミヤマカラマツ (兵庫県但馬地方 2014.6/15)
岩壁に着生するような状態で多数の個体が生育し、開花していました。
淡紅色に色づいた終わりかけの花もありました。

Fig.16 オオバノヨツバムグラ (兵庫県但馬地方 2014.6/15)
ヨツバムグラの仲間では県下では高標高地に出現する種です。
私には近似種のエゾノヨツバムグラとの違いがわかりません。

Fig.17 オオバミゾホオズキ (兵庫県但馬地方 2014.6/15)
本来は湿生植物ですが、県下では高標高地の沢沿いにのみ見られます。
ミゾホオズキと比べると、植物体全体が大柄です。

Fig.18 ミゾホオズキ (兵庫県但馬地方 2014.6/25)
日付が前後しますが、オオバミゾホオズキのついでにここに載せました。
岩場を流れる細流脇で点々と開花していました。
関連ページ 湿生植物・ミゾホオズキ

Fig.19 ムヨウラン (兵庫県丹波地方 2014.6/16)
花はほとんど開かず、これが開花している状態です。
こんな状態でも割と結実率が良いのは、いったい誰が送紛者となっているのでしょうか。
最近、林床が荒れたり乾燥したりで、見られなくなった場所も多いです。

Fig.20 ムギラン (兵庫県阪神地方 2014.6/20)
花はとても小さくて3mm程度。これが撮影できる精一杯の大きさ。
蒴果はバルブとそっくりで、一見すると区別がつきません。

Fig.21 オオカモメヅル (兵庫県阪神地方 2014.6/20)
頭に「オオ」がつきますが花の大きさはコカモメヅルとほとんど変わりません。
花数が少ない分だけ、むしろ貧相に見えてしまいます。

Fig.22 コウヤザサ (兵庫県阪神地方 2014.6/20)
林縁で群生していました。
繊細で涼しげな姿が良く、好きなイネ科草本のひとつです。
関連ページ 関西の花/イネ科・コウヤザサ

Fig.23 オカトラノオ (兵庫県阪神地方 2014.6/24)
棚田の土手に群生している集団が開花していました。
関連ページ 関西の花・オカトラノオ

Fig.24 アカショウマ (兵庫県但馬地方 2014.6/25)
水の滴る岩壁周辺に群生していました。開花最盛期です。
関連ページ 湿生植物・アカショウマ

Fig.25 ショウキラン (兵庫県但馬地方 2014.6/25)
残念ながら開花は終わりで、花は虫に喰われてぼろぼろになっていました。

Fig.26 ギンリョウソウ (兵庫県但馬地方 2014.6/25)
ギンリョウソウはかなり果実が膨らんでいましたが、まだ上を向いていません。

Fig.27 ツクバネソウ (兵庫県但馬地方 2014.6/25)
ちょうど最盛期で、あちこちで開花中でした。

Fig.28 ツルアジサイ (兵庫県但馬地方 2014.6/25)
ブナやトチの大木に這い上がって開花しています。
県下では県北の比較的標高の高い地域でしか開花が見られません。

Fig.29 オオバスノキ (兵庫県但馬地方 2014.6/25)
これも県北の山地が分布域となっています。
開花期はとっくに終わっていますが、膨らみはじめた果実が割と絵になります。
果実が熟すのは夏後半頃でしょうか。

Fig.30 アカモノ (兵庫県但馬地方 2014.6/25)
ヘタすると踏みつけに遭うような登山道脇で小さな花を開いていました。
アカモノは「赤桃」が訛ったものだとか。

Fig.31 ヒオドシチョウ (兵庫県但馬地方 2014.6/25)
岩場の頂で休んでいると、上昇気流に吹き上げられて蝶達がやってきます。
このヒオドシチョウはなかなか岩場から離れず、少し遊んでもらいました。

Fig.32 ダイセンセダカコブヤハズカミキリ (兵庫県但馬地方 2014.6/25)
飛べないカミキリムシで、登山道を歩いていたオスです。倒木の上に載せて撮影。
タニグチコブヤハズカミキリを探して中央アルプスを歩いていた頃を思い出しました。
category: 6月の花
| h o m e |