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Satoyama, Plants & Nature

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秋の溜池・湿地・水田 2 

9月に引き続き、主に10月、秋後半に出会った湿生・水生植物たちの様子です。
画像:ヒメミソハギ、クロホシクサ、イトタヌキモ、クロミノニシゴリ、ノタヌキモ、
   サイコクヌカボ、イヌセンブリ、アメリカキカシグサ、ホソバリンドウ、
   スイラン、タヌキモ、ハマハナヤスリ、ミズニラsp.、セキショウモ、
   アイノコイトモ、アキノタネツケバナ、ホソバノウナギツカミ、
   セイタカハリイ、ホタルイ3種、オギノツメ、ヒメミクリ、ナガボノワレモコウ、
   ヤマラッキョウ、神戸層群の植物化石
*画像クリックで、別ウィンドで拡大表示されます。
ヒメミソハギ
Fig1. ヒメミソハギ (西宮市 2013.9/30)
西宮市北部の刈り取り後の水田でヒメミソハギが生育していました。
今年はミズキカシグサを除いて、大体の水田雑草を見ることができました。
関連ページ 湿生植物・ヒメミソハギ

クロホシクサ
Fig.2 クロホシクサ (京都府 2013.10/2)
兵庫県で見るクロホシクサは生育環境によるものか小さなものばかりですが、ここのものは伸び伸びと生育し、かなりの群生でした。
関連ページ 湿生植物・クロホシクサ

イトタヌキモ
Fig.3 イトタヌキモ (京都府 2013.10/2)
草体が重層的に重なりあっているため、一ヵ所に沢山の花が見られました。
関連ページ 湿生~浮遊植物・イトタヌキモ

クロミノニシゴリ
Fig.4 クロミノニシゴリ (京都府 2013.10/2)
東海丘陵要素とされ、関西ではあまり見る機会のない湿地性の木本です。
近縁のタンナサワフタギやサワフタギは兵庫県内でもお馴染みですが、本種は絶滅寸前です。

ノタヌキモ
Fig.5 ノタヌキモ (京都府亀岡市 2013.10/8)
兵庫県では比較的普通なノタヌキモですが、京都では少ないようで、今回初めて見ました。
この溜池にはヒメホタルイ、サワトウガラシ、サイコクヌカボ、ウキシバらしきものがありました。
関連ページ 浮遊植物・ノタヌキモ

サイコクヌカボの花
Fig.6 開花中のサイコクヌカボ (京都府亀岡市 2013.10/8)
近縁のヤナギヌカボの花は中途半端にやっと開いていますが、サイコクヌカボの花はしっかり開き、花披の基部には蜜腺が光っているのが見えます。ヤナギヌカボとの区別点として葉裏の腺点の有無が言われますが、京都府内でも腺点のあるものが見つかっています。
関連ページ 湿生~抽水植物・サイコクヌカボ

イヌセンブリ1
Fig.7 イヌセンブリ (京都府亀岡市 2013.10/8)
Fig.6と同じサイコクヌカボのある溜池で開花し始めていました。
野生動物の撹乱の多い場所でしたが、つぼみを付けた個体が多く見られ、今頃は満開でしょう。
関連ページ 湿生植物・イヌセンブリ

イヌセンブリ2
Fig.8 イヌセンブリの花 (兵庫県篠山市 2013.10/18)
センブリの花に似ていますが、花の蜜腺の縁に生える毛は多くて長く、蜜腺が見えません。
センブリは毛が少なく、黄緑色の蜜腺がはっきりと見えます。

アメリカキカシグサ
Fig.9 アメリカキカシグサ (京都県亀岡市 2013.10/8)
盆地の平坦部にある水田地帯に侵入し、繁茂していました。
刈り取り後の水田で、同じ外来種であるホソバヒメミソハギを凌ぐ勢いで群生しています。
現在、関東から近畿地方に定着が見られ、今後猛威を振るう恐れがあるように感じます。
関連ページ 湿生植物・アメリカキカシグサ

ホソバリンドウ
Fig.10 ホソバリンドウ (兵庫県小野市 2013.10/18)
北向きの溜池土堤下の休耕田の畦ですでに満開の状態でした。
葉の細い湿地タイプのリンドウで、兵庫県南部では比較的普通に見られます。
関連ページ 湿生植物・ホソバリンドウ

スイラン
Fig.11 スイラン (兵庫県姫路市 2013.10/18)
ホソバリンドウとともにヤマラッキョウよりも早く開花する湿地の晩秋の花です。
湿地の中で細いひょろりとした根生葉とともに全体を撮影することは難しく、今回も花だけの画像です。
関連ページ 湿生植物・スイラン

タヌキモ
Fig.12 タヌキモ (兵庫県播磨地方 2013.10/21)
タヌキモ疑惑のあるイヌタヌキモを県内数ヶ所で発見しているので、殖芽比較のためS氏に自生地を教えていただきました。草体はすでに枯れつつあるものが多く、緑色から褐色を帯びたものまで、様々な形の殖芽を形成していました。

ハマハナヤスリ
Fig.13 コハナヤスリ (兵庫県播磨地方 2013.10/21)
兵庫県産維管束植物ではコハナヤスリとハマハナヤスリを分けていないので、コハナ型のハマハナヤスリということになります。 兵庫県内では内陸の溜池土堤から、ときに池の水中にかけて生育しているのが見られます。
播磨地方の溜池ではよく眼にしますが、東に行くにつれて稀になるように思います。

ミズニラsp.
Fig.14 ミズニラsp. (兵庫県播磨地方 2013.10/21)
やや中栄養な小さな溜池の水中で生育していました。
丹波地方ではミズニラばかりですが、このあたりのものはミズニラモドキではないかと思います。
両種は外見では全く区別できず、小胞子表面に突起があるかどうか検鏡する必要があります。

セキショウモ
Fig.15 セキショウモ (兵庫県播磨地方 2013.10/21)
比較的植生豊富な皿池で群生しており、沢山の花茎を上げていました。
関連ページ 沈水植物・セキショウモ

アイノコイトモ
Fig.16 アイノコイトモ (兵庫県播磨地方 2013.10/21)
Fig.15と同じ溜池で見られたもので、イトモとヤナギモの種間雑種とされるものです。
古い茎の葉腋や茎頂には、イトモよりやや大きく、開き気味の殖芽を形成していました。
よくあることですが、同じ池でイトモは見つかりましたがヤナギモはありませんでした。

アキノタネツケバナなど
Fig.17 水路内のアキノタネツケバナなど (兵庫県播磨地方 2013.10/21)
湧水の流入があるのか、底面がウキゴケに覆われた用水路がありました。
水路内にはミズハコベとともにアキノタネツケバナが生育していました。
最近、アキノタネツケバナはミズタネツケバナの秋開花型ではないかと思っているのですが・・・
関連ページ 湿生植物・アキノタネツケバナ

ホソバノウナギツカミ
Fig.18 ホソバノウナギツカミ (兵庫県播磨地方 2013.10/21)
干上がった溜池畔で群生しているホソバノウナギツカミが開花していました。
県南部、とくに播磨地方では水辺に普通に見られる草本です。
関連ページ 湿生~抽水植物・ホソバノウナギツカミ

セイタカハリイ
Fig.19 セイタカハリイ (神戸市 2013.10/22)
ハリイ属草本のうちでは比較的稀の部類に入る種で、自然度の高い場所に現れます。
小穂は広卵形で、熟した痩果は淡褐色、柱基は圧扁された3角状、刺針状花披片は痩果と同長かやや長い点が特徴です。ここではエゾアブラガヤ、タコノアシ、サイコクヌカボなどと休耕田に生育していました。周辺にはアワボスゲやヒメミコシガヤも見られるような自然度の高い場所です。
関連ページ 湿生~抽水植物・セイタカハリイ

ホタルイ3種の花序
Fig.20 ホタルイ近縁3種の花序 (神戸市 2013.10/22)
上からタイワンヤマイ、ホタルイ、イヌホタルイ。
Fig.19の休耕田の近隣では3種のホタルイの仲間が見られました。
タイワンヤマイは草高に比べて、苞葉の比率が長く、小穂は長楕円状披針形で緑色であることですぐに区別できます。ホタルイは小穂が卵形であればあまり問題はありませんが、ここのものは長卵形でイヌホタルイとの差は微妙です。こういった時は柱頭の分岐数を、最低でも10個は丁寧に調べなければなりません。図鑑では3岐がホタルイ、2岐がイヌホタルイと簡単に書いていますが、両種とも全ての柱頭が2岐、3岐とはっきり分かれるものは少なく、形質にはばらつきがあり、ホタルイでも稀に2岐するものが混じり、イヌホタルイでも3岐するものが混じっていることがあります。
同じカヤツリグサ科の中でも、似た感じのハリイ属は柱頭の分岐数が安定しているようですが、フトイ属ではその形質がそれほど安定していないように思います。
関連ページ 湿生~抽水植物・タイワンヤマイ
関連ページ 湿生~抽水植物・ホタルイ
関連ページ 湿生~抽水植物・イヌホタルイ

オギノツメ
Fig.21 オギノツメ (神戸市 2013.10/22)
丘陵部の谷津の下部に広がる休耕田で、かなり大きな規模で群生していました。
すでに果実期に入っており、花は見られませんでした。
関連ページ 湿生植物・オギノツメ

ヒメミクリ
Fig.22 ヒメミクリ (神戸市 2013.10/22)
底の抜けた溜池跡の水路内にわずかに生き残っています。
時期的に遅いためか、果実をつけた花茎は2本しか見られませんでした。
関連ページ 湿生~抽水植物・ヒメミクリ

ナガボノワレモコウ1
Fig.23 ナガボノワレモコウ (神戸市 2013.10/22)
昨年見つかった自生地のもので、畦や土手に夥しい数が生育しています。
県内の他の自生地では白花品が多いのですが、ここは濃紅紫色~白色まで変異幅が広かったです。
関連ページ 湿生植物・ナガボノワレモコウ

ナガボノワレモコウ2
Fig.24 濃紅紫色の個体 (神戸市 2013.10/22)
濃紅紫色のものは花穂が細く、コバナノワレモコウの範疇に入るものも生育しています。

ナガボノワレモコウ3
Fig.25 白花品 (神戸市 2013.10/22)
県内ではこのタイプがよく見られます。

ナガボノワレモコウの花穂
Fig.26 花穂の拡大 (神戸市 2013.10/22)

ヤマラッキョウ
Fig.27 ヤマラッキョウ (神戸市 2013.10/22)
湿地や棚田などで最も遅く開花しはじめ、シーズンの終わりを告げる草本です。
関連ページ 湿生植物・ヤマラッキョウ

神戸層群の植物化石
Fig.28 神戸層群の植物化石 (神戸市 2013.10/22)
神戸層群の凝灰岩中に含まれる植物化石です。
調べてみると、カエデ属とフウ属の木の葉が入っているようです。
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category: 湿地・溜池

thread: 博物学・自然・生き物 - janre: 学問・文化・芸術

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10月の花 

このひと月にあちこちで見かけた、湿生・水生植物以外の花です。
花の季節だというのに、イネ科が多くて少し地味になってしまいましたが・・・
画像:秋の里山の草原、ウンヌケ、オオアブラススキ、オガルカヤ、ツクシハギ、
   オミナエシ、カシワバハグマ、キバナアキギリ、アキギリ、オオクサキビ、
   アキカラマツ、モロコシガヤ、セトウチホトトギス、イナカギク、アキチョウジ、
   ミカエリソウ、ウシクサ
*画像クリックで、別ウィンドで拡大表示されます。
里山の草地
Fig.1 秋の里山の草原 (兵庫県播磨地方 2013.9/24)
毎年1度草刈りの行われる草地です。
ウンヌケ、オミナエシ、ツクシハギが見えています。

ウンヌケの群生
Fig.2 溜池土堤のウンヌケ群落 (兵庫県播磨地方 2013.9/24)
ウンヌケは東海地方以西、四国、九州に局所的に分布する稀なイネ科草本です。
兵庫県では溜池土堤など草刈り管理される場所や、被植の少ない貧栄養なハゲ山に出現します。
ここではススキよりも個体数が多く、堤体斜面に群落をつくっていました。
関連ページ 関西の花・イネ科・ウンヌケ

ウンヌケとススキ
Fig.3 ウンヌケとススキ (兵庫県播磨地方 2013.9/24)
左端がウンヌケ、中央手前から右がススキで、バックでボケている花序はウンウケです。
ウンヌケの花序の枝は直立し、黄褐色を帯びています。
ウンヌケは開花中は花序の枝が開いていますが、その後花序は閉じ気味に狭くなります。
近くにはウンヌケモドキも生えていたのですが、いい画像が撮れずNGに。
ウンヌケモドキはウンヌケよりも小型で、葉に毛が多く、基部にはほとんど毛がありません。

開花中のウンヌケ
Fig.4 開花中のウンヌケの花序 (兵庫県播磨地方 2013.9/24)
硬そうな芒が目立ちます。

オオアブラススキ
Fig.5 開花中のオオアブラススキ (兵庫県播磨地方 2013.9/24)
ウンヌケに混じって点々と生えていました。
関連ページ 関西の花・イネ科・オオアブラススキ

オガルカヤ
Fig.6 オガルカヤ (兵庫県播磨地方 2013.9/24)
棚田の土手や溜池土堤にはメガルカヤ、オガルカヤが目立ちます。
今回はオガルカヤ。メガルカヤは草地、オガルカヤは貧栄養なハゲ山や岩場のイメージ。
関連ページ 関西の花・イネ科・オガルカヤ

ツクシハギ
Fig.7 ツクシハギ (兵庫県播磨地方 2013.9/24)
秋の里山ではハギ類の花がよく目立ちます。
このあたりではヤマハギ、マルバハギ、カワチハギ、ビッチュウヤマハギ、ツクシハギなどが見られますが、これは最も多く見られたツクシハギ。花序が長く、旗弁が強く反るのが特徴です。

オミナエシ
Fig.8 オミナエシ (兵庫県播磨地方 2013.9/24)
これも秋の里山を代表する種のひとつ。
各地で減少傾向にあるようですが、兵庫県ではまだ群生地が多いです。
関連ページ 湿生植物・オミナエシ

カシワバハグマ1
Fig.9 カシワバハグマ (兵庫県神戸市 2013.9/27)
雑木林で新たな群生地を見つけました。
トキワイカリソウやアリマイトスゲとともに林床に群生しています。

カシワバハグマ2
Fig.10 カシワバハグマの花序の変異 (兵庫県三田市 2013.9/30)
花序には変異があるようで、これはごく短く詰まって花が集合しているように見えるものです。

キバナアキギリ
Fig.11 キバナアキギリ (兵庫県三田市 2013.9/30)
兵庫県南部では珍しいキバナアキギリの自生地です。
半ば庭園化されていますが、ここにあるものは元々ここに自生しているものです。
関連ページ 関西の花・キバナアキギリ

アキギリ
Fig.12 アキギリ (京都府 2013.10/11)
アキギリのほうはさすがに瀬戸内側では見られず、日本海側に生育しています。
時期がすでに遅いのか、花の最盛期は終わっていました。

オオクサキビ
Fig.13 オオクサキビ (兵庫県三田市 2013.9/30)
やや湿った荒地で時折見かける外来種ですが、殖えそうな兆しはありません。

アキカラマツ
Fig.14 アキカラマツ (西宮市 2013.9/30)
盛夏に草刈りされた場所では、今頃がアキカラマツの開花期となるようです。
関連ページ 関西の花・アキカラマツ

モロコシガヤ
Fig.15 モロコシガヤ (神戸市 2013.10/5)
二次的自然度の高い草地に隔離分布しているイネ科草本です。
旧くから土壌をいじっていない棚田の土手や、溜池土堤に稀に見られます。
関連ページ 関西の花・イネ科・モロコシガヤ

セトウチホトトギス
Fig.16 セトウチホトトギス (神戸市 2013.10/5)
その名のとおりホトトギスの仲間のうち、県内では瀬戸内海沿岸部で最も普通に見られる種です。
花披片が平開し、基部付近に黄斑があるのが特徴です。

イナカギク
Fig.17 イナカギク (兵庫県三木市 2013.10/10)
農道の法面からこぼれ落ちるように多くの花が咲いていました。
関連ページ 関西の花・イナカギク

アキチョウジ
Fig.18 アキチョウジ (兵庫県篠山市 2013.10/15)
刈り込まれた林縁の草地で、雨に濡れながらしっとりと開花していました。
関連ページ 関西の花・アキチョウジ

ミカエリソウ
Fig.19 ミカエリソウ (兵庫県篠山市 2013.10/15)
アキチョウジのそばの明るい林下ではミカエリソウが見頃でした。

ウシクサ
Fig.20 ウシクサ (兵庫県姫路市 2013.10/18)
ありそうでなかなか無い、貧栄養な半裸地や草地に生育する小型のイネ科草本です。
普段は地味でなかなか気付きにくく、この時期になると紅変するので少しだけ目立つようになります。
関連ページ 湿生植物・ウシクサ

category: 10月の花

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京都の棚田で見られたスブタ属3種 

京都の棚田にセトヤナギスブタらしきものがあり、そこでの植物調査のお誘いがあったので行って来ました。そこはこれまで除草剤が全く使用されてこなかった棚田で、全面がサンショウモに覆われた水田もある素晴らしい場所でした。
今回はその棚田の水田の様子と、そこで見られたスブタ属3種の形態の比較をしてみました。

画像:ヒロハイヌノヒゲ、サンショウモ、マルバノサワトウガラシ、在来水田雑草群落、
   セトヤナギスブタ、スブタ属3種比較、スブタ、ヤナギスブタ、溜池のスブタ、
   セトヤナギスブタの葉、スブタ属3種の鋸歯、開花中のセトヤナギスブタ、
   スブタ属3種の果実、スブタ属3種の種子、淡緑色のセトヤナギスブタ、ゲンゴロウ、
   水田減反部のスブタとヤナギスブタなど。
*画像クリックで、別ウィンドで拡大表示されます。
ヒロハイヌノヒゲ
Fig.1 密生するヒロハイヌノヒゲ (京都府 2013.10/11)
棚田には乾田と湿田が混在していて、下部の乾田ではヒロハイヌノヒゲが密生していました。
これまで見たことの無い生育密度でした。
この棚田ではいずれの水田でも水田雑草の生育密度が非常に高く、しかも外来雑草は全く見られませんでした。
関連ページ 湿生植物・ヒロハイヌノヒゲ

サンショウモ
Fig.2 サンショウモ (京都府 2013.10/11)
山際から湧水が湧出するような場所では膝まで泥に沈む湿田となっていて、そのような水田ではサンショウモが密生しています。
周辺に見られる浮葉植物には沈水葉がありませんでしたが、おそらくヒルムシロでしょう。

マルバノサワトウガラシ
Fig.3 マルバノサワトウガラシなど (京都府 2013.10/11)
画像が不鮮明ですが、ニッポンイヌノヒゲやマツバイとともにマルバノサワトウガラシが生育しています。他にゴマノハグサ科ではサワトウガラシ、アゼトウガラシ、エダウチスズメノトウガラシ、トキワハゼが生育していましたが、自然度の高い水田によく出現するシソクサとスズメハコベは見られませんでした。
関連ページ 湿生植物・マルバノサワトウガラシ

水田雑草群落
Fig.4 在来水田雑草群落 (京都府 2013.10/11)
密生するヤナギスブタ、サンショウモ、水田型イヌタヌキモ、ヒロハイヌノヒゲ、ニッポンイヌノヒゲ、コナギ、チゴザサ、ヤノネグサ、クログワイ・・・とても刈り取り後の水田とは思えない光景でした。

セトヤナギスブタ1
Fig.5 水路内に生育するセトヤナギスブタ (京都府 2013.10/11)
セトヤナギスブタは山側の湧水を温めるために掘られた水田の水路内に多く見られました。
棚田でも限られた水田にのみ生育しており、個体数は多くありません。おそらくヤナギスブタの数十分の一ほどでしょう。

スブタ属3種
Fig.6 スブタ属3種の生体標本 (京都府 2013.10/11)
左からセトヤナギスブタ、スブタ、ヤナギスブタです。
同一水田内から採集したもので、セトヤナギスブタはヤナギスブタの2倍ほどの大きさであるのが分かります。
茎の径はセトヤナギスブタが約3mm、ヤナギスブタが約2mmでした。

スブタ1
Fig.7 スブタ (兵庫県小野市 2011.9/19)
現地ではあまり良い画像が撮れなかったので兵庫県内で過去に撮影したものを持って来ました。
葉はセトヤナギスブタよりも幅広く、ほぼ根生し、明瞭な茎を持たないのが特徴です。

ヤナギスブタ1
Fig.8 ヤナギスブタ (兵庫県小野市 2011.9/19)
これも兵庫県内のもの。
明瞭な茎を持ちますが、セトヤナギスブタよりも葉は短く、葉幅も狭くなります。
以下、3種の葉の長さと葉幅です。
 ・セトヤナギスブタ・・・葉長:6~8cm 葉幅:2.5~4mm(3.5mm程度が多かった)
 ・スブタ・・・葉長:10~30cm以上 葉幅:3~9mm
 ・ヤナギスブタ・・・葉長:2.5~5cm 葉幅:1.5~2.3mm


溜池のスブタ
Fig.9 溜池のスブタ (兵庫県小野市 2011.9/19)
溜池などの水深のある場所に生育するスブタは、ときに葉が長く伸びて40cmほどになることがあります。

セトヤナギスブタの葉
Fig.10 セトヤナギスブタの葉 (京都府 2013.10/11)
明瞭な鋸歯が見られます。

スブタ属3種の鋸歯
Fig.11 スブタ属3種の鋸歯 (京都府 2013.10/11)
左からセトヤナギスブタ、スブタ、ヤナギスブタです。同じ縮尺で撮影しています。
セトヤナギスブタの鋸歯が最も明瞭であることが判ります。

開花中のセトヤナギスブタ
Fig.12 開花中のセトヤナギスブタ (京都府 2013.10/11)
花弁の長さは13mmとスブタと同程度の大きさです。
ヤナギスブタの花弁の長さは3~8mmと小型です。

スブタ属3種の果実
Fig.13 スブタ属3種の果実 (京都府 2013.10/11)
上からセトヤナギスブタ、スブタ、ヤナギスブタです。
スブタの果実は長く、セトヤナギスブタの果実の長さはヤナギスブタとあまり差はないようでした。果実内の種子数はセトヤナギスブタが圧倒的に少なく、このため自生地での個体数も少なくなるのでしょう。

スブタ属3種の種子
Fig.14 スブタ属3種の種子 (京都府 2013.10/11)
左からセトヤナギスブタ、スブタ、ヤナギスブタです。
セトヤナギスブタの種子は大きく、1.8~2.5mmの範囲に納まりました。
表面の突起数は『日本水草図鑑』では2~10個と記されていますが、この個体は20個以上突起があるものも見られました。
しかし、種子の突起数は変異の範疇で、草体の様子からセトヤナギスブタであると思います。
結実も正常なのでスブタとヤナギスブタの雑種は考えにくいと思います。

セトヤナギスブタ2
Fig.15 淡緑色のセトヤナギスブタ (京都府 2013.10/11)
セトヤナギスブタは赤紫色を帯びる傾向がありますが、日陰では他の水草と同様、あまり色づかないようです。このような草体の色の変化は生育条件によって変化があるため、あまり同定の区別点としては使えません。
ただ、この場所にあったヤナギスブタとスブタは全く色づくものがなく、日当たりよい場所のものは区別が容易でした。
以下の2点の画像は色づいたスブタとヤナギスブタです。

スブタ2
Fig.16 一部の葉が色づいたスブタ (兵庫県小野市 2011.9/19)
溜池に生育しているもので一部の葉が赤紫色を帯びています。

ヤナギスブタ2
Fig.17 赤紫色に色づいたヤナギスブタ (兵庫県宝塚市 2012.10/8)
溜池に生育していたものです。

セトヤナギスブタとヤナギスブタ
Fig.18 セトヤナギスブタとヤナギスブタ (京都府 2013.10/11)
水田内に生育しているもので、左がセトヤナギスブタ、右がヤナギスブタです。
同一環境下では色に差が出ていることが解ります。

クロゲンゴロウとヤナギスブタ
Fig.19 クロゲンゴロウとヤナギスブタ (京都府 2013.10/11)
棚田ではクロゲンゴロウやタイコウチが沢山見られました。

以下は兵庫県で見られたスブタとヤナギスブタの混生地です。
兵庫県では最近セトヤナギスブタの自生のニュースを聞いたことがなく、現状不明です。
京都府のようにどこかの谷津に残っているといいのですが。

水田減反地のスブタとヤナギスブタ
Fig.20 水田の減反部に生育するスブタとヤナギスブタ (兵庫県小野市 2011.9/19)
シソクサ、アブノメ、キクモ、イヌミゾハコベ、アゼナ、アメリカアゼナ、アゼトウガラシなどとともに生育していました。
関連ページ 沈水植物・セトヤナギスブタ
関連ページ 沈水植物・スブタ
関連ページ 沈水植物・ヤナギスブタ

category: 京都・稀少種

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