淡路島のハマアザミ個体群動態調査
2012/12/04 Tue. 23:08 [edit]

Fig.1 ハマアザミ
兵庫県植物誌研究会が毎年行っている淡路島生石海岸でのハマアザミ個体群追跡調査に参加した。
ハマアザミは兵庫県下では淡路島のみに生育しており、兵庫県版RDB Aランクとされている。
『改訂増補 淡路島の植物誌』によると、自生個体群は海崖にわずかに生育しているという。
生石海岸のものは道路拡張工事によって破壊されつつあった洲本市平安浦に生育していたものを移植したものだ。
当初移植されたのは10株ということだが、生育条件が適合したのか、昨年の調査では開花株が739、幼株1549生育しているのが確認されている。

Fig.2 調査地の全景

調査地は砂嘴状に突き出した岩礫地で、中央付近はハマゴウとテリハノイバラの群落が広がっている。
全景画像の左側の茶枯れたように見える部分がハマゴウとテリハノイバラの群落。
ハマアザミはハマゴウとテリハノイバラの群落中から漂着した流木の体積しているあたりまで生育している。

Fig.3 ハマゴウ群落中に生育するハマアザミ


Fig.4 岩礫地に点在するハマアザミ


Fig.5 こんもりとした繁みをつくるハマアザミ

海岸では強い風が吹くためか、ハマアザミは丈高く伸びずに、根際で多数分枝してこんもりとした繁みをつくっており、大きなものでは1mを超える。

強い光沢のある葉

葉は他のアザミよりも厚く丈夫で、表面には強い光沢がある。
鋸歯の先には硬いトゲがあり、触れると大変痛い。

Fig.6 ハマアザミの総苞

総苞片は上部が斜開し、先端は硬いトゲとなっている。

Fig.7 ハマアザミの花


Fig.8 調査の様子

生育している全個体の生育位置、大きさ、生育状態(開花・結実・幼個体)を記録していく。

Fig.9 流木や漂着物の間で力強く生育するハマアザミ
調査直前の11月29日、30の両日、淡路島にほど近い大阪・舞洲で震災がれきの焼却試験が行われた。
このがれきにはアスベストをはじめ砒素、六価クロムなどの重金属、さらには2000bq以下の放射性廃棄物が混じっている。
岩手、宮城両県で、当初広域処理が必要と見込まれていた量は401万トン。
しかし、その後処理が進み247万トンに激減し、広域処理の必要性が疑問視されていた。
にもかかわらず大阪市は1.8本/lという基準値超えが指摘されているアスベストの調査もせぬまま試験焼却を強行してしまった。
11月29日は大阪から淡路島に向かって風が吹き付け、淡路島はバグフィルターを通り抜けた様々な汚染物質により汚染されたはずだ。
がれき広域処理には膨大な予算が当てられ、そこに利権が発生する。
利権目当てで行われるがれき焼却が、放射能や有毒物質を撒き散らして、自らの国土を汚し、多くの有用な可能性を秘めた地域の資産・資源を損なっていることを、行政は早く気付くべきだ。
関西にはお子さんを連れて被災地から避難してきた人々も大勢いる。
来年2月からは2年間、昼夜ぶっ通しで36000トンもの瓦礫を焼却予定である。
そうなれば大阪湾沿岸部を中心として兵庫、京都、奈良、和歌山まで汚染が広がるだろう。
大阪で本焼却が始まれば、私たちは多かれ少なかれ「被爆」してしまうのだ。

Fig.10 開花中のテリハノイバラ

花はノイバラやよりも大きく、開花中であれば区別は容易。

Fig.11 紅葉したハマゴウ


Fig.12 枯れた花茎の残ったハマウド 陸地寄りのやや肥沃な場所に生育。


Fig.13 ハマナタマメの果実


Fig.14 果実をつけたクルマバアカネ 一昨年のもので、今年は見られなかった。


Fig.15 浜辺でお出迎え 「ニャ二しに来ただ~?」
| h o m e |