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Satoyama, Plants & Nature

琵琶湖の湿生・水生植物 2 

湖西の水路
Fig.1 水路のナガエミクリとヤナギモ  ハグロトンボ(♂)も見える。

棚田から湧水の多い田園地帯へと移動する。
湖西では安曇川水系の伏流水が湧水として各所で噴出しており、排水路が張り巡らされている。
このような排水路や湧水の流入する河川は多くの水生植物が生育している。
上の画像も集落内を流れる水路で、ここではナガエミクリやヤナギモのほか、エビモ、センニンモ、ササバモ、ネジレモ、サイコクヒメコウホネ、クロモなどが見られた。
湖西では針江地区のバイカモが良く知られているが、これは元々湖西の別の地区から移植したものらしい。
昨年、滋賀在住のKさんからオリジナルの自生地を数ヶ所お教え頂いたが、その全ての場所で生育を確認できなかった。

バイカモ
Fig.2 針江地区のバイカモ

湖西の平地は大部分が水田となっているが、耕作放棄された場所では遷移が進んでアシ原やハンノキ-ヤナギ林などの原野環境に戻りつつある場所も見られる。
こういった場所ではちょうど開花期のコバノカモメヅルがアシ原の縁や林縁で沢山生育していた。

コバノカモメヅルの花
Fig.3 コバノカモメヅルの花

アシに絡みついたコバノカモメヅル
Fig.4 アシに絡みついたコバノカモメヅル

ノリウツギ
Fig.5 ハンノキ林の林縁で開花したノリウツギ

Kさんにはオヒルムシロの自生地もいくつか教わった。
オヒルムシロは琵琶湖周辺でも次第に自生地が減ってきており、数年前見つけていた規模の大きな自生地も、昨年には全く見られなくなってしまった。
今回教えていただいたオヒルムシロの生育環境はいずれも小さな水路で、数メートルにわたって生育しているが、生育基盤は脆弱だと言わざるをえないような場所だった。

水路のオヒルムシロ
Fig.6 用水路に生育するオヒルムシロ

ohirumusiro02.jpg
Fig.7 流水中のオヒルムシロ  水中には細い線形の沈水葉が見られる。

オヒルムシロの花穂
Fig.8 オヒルムシロの花序  初めて観察することができた。

周辺の水田ではナゴヤダルマガエルの非常に多い場所もあった。
ナゴヤダルマガエルは環境省絶滅危惧IB類(EN)に指定されており、鳴き声によって名古屋種族と岡山種族に分けられるが、滋賀県に生育するものは名古屋種族であるらしい。
湖西の湧水の多い田園地帯は地下水位が低いため、稲刈り後も乾田とならず水の溜まっている水田も多い。
ナゴヤダルマガエルが越冬するには乾かない土地が必要であり、このような環境が残されているのが、この種にとって幸いしているのだろう。

ナゴヤダルマガエル
fig.9 ナゴヤダルマガエル  トノサマガエルよりも足が短く、ジャンプ力も弱い。

マツバイ沈水形
Fig.10 沈水形のマツバイ

コウホネとミクリ
Fig.11 コウホネとミクリ  湖岸に近くなってくると出現する。

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category: 琵琶湖

thread: 博物学・自然・生き物 - janre: 学問・文化・芸術

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琵琶湖の湿生・水生植物 1 

湖西から望む琵琶湖
湖西から望む琵琶湖  湖面には竹生島が浮かぶ

『西宮の湿生・水生植物』トップ・ページのフィールド・メモをこちらのブログに移しました。
ブログだと更新が少しでも早くなるかなと考えています。
バックはテンプレートをそのまま使用していますが、後々カスタマイズする予定です。
是非、こちらのブログもブックマークにお加えください。



湖西の棚田周辺を巡って
前夜発で琵琶湖に行ってきました。
少し仮眠をとったあと、夜が明けてきたので湖岸から、山際にかけての棚田を歩きました。
すでに稲刈りを終えた水田も多く、畦には朝露が降りていました。
湖岸に近い水田は土壌に砂質を多く含み、コナギ、オモダカ、アゼナ、キクモ、萌芽した無数のヒメミズワラビが生育しています。
畦ではヒメクグ、ヒンジガヤツリ、テンツキ、ヒメヒラテンツキ、クロテンツキなどのカヤツリグサ科草本が目立ちます。
また、用水路脇ではサンカクイやシカクイ(狭義)の群生が見られました。

テンツキ
Fig.1 テンツキ  

シカクイ
Fig.2 シカクイ

山際に向かうにつれて傾斜を利用した棚田となってきます。
ここは小規模な地すべり地跡と思われる斜面に石垣を積んで棚田としており、このような場所では湧水がにじみ出て地下水位の高い多湿な水田があることが多く、時にに稀少種であるマルバノサワトウガラシやスズメハコベが見つかることが多い。
ここでは2枚目に覗き込んだ水田で早くもマルバノサワトウガラシを見つけることができた。
他には成長途上のシソクサもあったが、スズメハコベは見つからなかった。

マルバノサワトウガラシ
Fig.3 マルバノサワトウガラシ  花は朝露に濡れていた。

この棚田には減反調整のためか数枚の休耕田も見られ、アゼナ、アゼトウガラシ、ミゾカクシ、セリ、チドメグサ、ミズタガラシ、スカシタゴボウ、ヤノネグサ、ハシカグサ、チョウジタデ、アカバナ、オモダカ、コナギ、イヌホタルイ、タマガヤツリ、ヒナガヤツリ、ヒンジガヤツリ、ヒデリコ、ヒメヒラテンツキ、タイヌビエなどの一般的な水田雑草とともに大きく成長したヒメミズワラビや近畿地方では比較的稀なアゼテンツキも生育していた。

ヒメミズワラビ
Fig.4 ヒメミズワラビ  刈り取りに遭わず大きく成長している。

アゼテンツキ
Fig.5 アゼテンツキ  兵庫県では数例しか記録がなく、実物を見るのは初めて。

ヒンジガヤツリ
Fig.6 ヒンジガヤツリ 花序が「品」字形をしたユニークなカヤツリグサ。

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