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Satoyama, Plants & Nature

『神戸・六甲山の草花ハンドブック』 

 ビジュアル中心の図鑑のページをめくりながら「今度はこの植物のこの部分を詳しく観察してみよう」とか、「あの山のあのあたりの谷筋だったらこの植物があるかもしれない」と想像するのは楽しいものだ。
 相互リンクしていただいている「神戸・六甲山系の森林」の管理者であり、特定非営利活動法人・六甲山の自然を学ぼう会の理事長、森林インストラクターでもある清水孝之氏が『神戸・六甲山の草花ハンドブック(春-初夏編)』 『神戸・六甲山の草花ハンドブック(夏-秋編)』を相次いで発刊された。既刊の『神戸・六甲山の樹木ハンドブック』と合わせると相当のボリュームで、これまでの清水氏の植物観察と経験の集大成と言うべき素晴らしい内容だ。植物観察と探査を楽しくしてくれる図鑑がまた新たに世に出た。ここでは近刊の『神戸・六甲山の草花ハンドブック(春-初夏編)』 『神戸・六甲山の草花ハンドブック(夏-秋編)』の2冊を紹介したい。

神戸・六甲山の草花ハンドブック

 春~初夏編は331種収録の341ページ、夏~秋編は371種収録の379ページで、1冊だけでもかなりのボリュームがある。仕様はB6変型判で、110×182mmの片手に収まるサイズであり、裏表紙には1mm目盛のスケールが記されており、屋外に携行することが意図されている。収録種の中には近年になって六甲山地で生育が確認されたアオテンナンショウ、ホンゴウソウ、トケンラン、タシロラン、セッコク、ナガミノツルケマン、ナガボノワレモコウ、オオヤマハコベ、アイナエなどが含まれ、その中には氏が発見したものもある。
 表紙に表記されているとおり『神戸・六甲山の草花ハンドブック』(以下、『草花ハンドブック』と略記)はAPG-Ⅲに準拠して分類されている。したがって、従来の図鑑のように離弁花・合弁花というような分類・配置はなされておらず、基部被子植物から始まる。基部被子植物は原始的被子植物とも呼ばれ、被子植物全体から系統樹の大部分を占める真正双子葉植物と単子葉植物を除いた、系統樹の早い段階で分岐した側系統群で現生種の数%程度を占めると言われている。基部被子植物と真正双子葉植物の差異は形態的には花粉の形状が異なり、基部被子植物では一溝粒となり、真正双子葉植物では三溝粒が基本となる。
 APG体系については、以下のサイトが簡潔にまとめられているのでご参照頂きたい。
 福原のページ 植物形態学 9. 被子植物の系統・進化・多様性  9-1. 被子植物の系統樹と分類
 これまでの図鑑に親しんできた我々世代には馴染みが薄いだろうが、清水氏は「あとがき」で「この本で植物を初めて勉強しようとされる方のために今後の主流となるAPG体系で記載することとしました」と述べておられる。氏の言われるとおり、本書は「勉強」の一助となるような完成度の高さであり、今後神戸市や六甲山系で新産種が発見されても、当分の間はこの地域の野草ハンドブックのバイブルとなって活躍すると思われる。単子葉類の大部分を占めるイネ科、カヤツリグサ科は除外されているが、それらを収録すると大冊となって携行し難くなるので、これはこれで正解だろう。
 それではさっそく「目次」から見ていこう。

目次

 緑色の大見出しが5項目あり、うち1~3、5章は春-初夏編、夏-秋編ともに同一の内容で、どちらか1冊しか購入しない人への配慮だろう。4章が『草花ハンドブック』の本体部分で、APG-Ⅲに準拠して「被子植物・基部植物群」「被子植物・単子葉植物」「被子植物・真正双子葉植物」の順に収録種の科が並んでいる。科の右端には、その科の収録種数が記されていて、両巻総計でキク科が最も収録種数が多く102種(「その他植物」の頁をのぞく)に及んでいる。

植物用語1
植物用語2

 1章の「植物用語の説明」は図鑑類を使う際の基礎知識といったもので、17ページに亘ってカラーで図示されており、理解されやすいだろう。花冠の形や果実の形は見ていて楽しい上に勉強になる。

六甲山とは

 2章の「六甲山とは」では、収録地域の地形や地質が手短に記されている。

六甲山の草花の四季

 3章の「六甲山の草花の四季」では、6つのグループからなる六甲山の植物相の概要と、春から秋にかけて六甲山地を彩る代表的な草花の開花が時系列的に概説されている。

ページ凡例

 4章はこのハンドブックの本体となる「神戸・六甲山の草花」。
 最初のp.25「本章の使い方」をみると、1ページ内に含まれる情報量の多さが理解できる。
 分布域・稀少度・開花期・生育環境・有用性・RDBデータ・名称由来などの基礎情報はコンパクトに定型化され、それによりページ内の画像と解説文のスペースを大きく確保している。ハンドブック・サイズの1ページで1種を収めるのはなかなか大変な作業だが、画像と解説文のスペースを大きく確保することにより、特徴のある部位の画像や近似種との区別点も盛り込まれ、現地での同定にも充分耐えうるものとなっている。
 各種のページを数例かいつまんで見ていこう。

本文1

 春-初夏編からアマナとヒナランのページ。
 全体の雰囲気を掴むための大きな画像と、花の拡大画像と特徴を表す画像が添えられて、それぞれに解説文がついている。

本文2

 春-初夏編からフウロケマンとミヤマキケマンのページ。
 両種の区別点が明瞭に示されている。

本文3

 夏-秋編からトキリマメとタンキリマメのページ。
 似たもの同士が見開きになっているページは特に解りやすい。

本文4

 夏-秋編からムラサキミミカキグサとホザキノミミカキグサのページ。
 これも同様に解りやすい。

シオン属比較

 夏-秋編からシオン属の比較のページ。
 見分けの難しいシオン属については、特別に比較ページが設けられている。

外来種

 春-初夏編からコマツヨイグサ、ユウゲショウ、ヒルザキツキミソウのページ。
 身近でよく目立つ外来種も収録され、神戸市のブラックリストに載っているものは表記されている。
 加えて4章末尾の「その他の植物」には外来種をメインに1ページにつき4種が掲載されている。

 以上、かいつまんで本体を紹介した。
 5章では「神戸・六甲山の草花トレッキングコース」として春・初夏・夏・秋と分けて39コースが紹介されている。これらのコースは六甲山地の草花入門コースとしては最適だろう。
 索引のページでは春-初夏編、夏-秋編を統合して索引できるようになっていて非常に便利だ。

 神戸・六甲山地での自生は「知る人ぞ知る」といったユキモチソウ、マヤラン、トケンラン、カザグルマ、オキナグサ、ミカワタヌキモ(イトタヌキモ)、ゴマクサ、ヤブレガサモドキ、ヒメシオン、ミヤマコウモリソウ、キクアザミ、アオヤギバナといった稀少種から、道端や市街地でも見られる外来種までも、網羅的にヴィジュアルを優先した、入門的かつ地域的な書籍はこれまで無かった。
 一つだけ残念なのは国外分布が併記されていない点だろうか。六甲山の植物相は6つのグループからなると3章で簡単に記されているが、満鮮要素や北方系、海浜系要素などを知る手掛かりは国外分布にあるので、それはあったほうが良かったのではないだろうか。
 しかし、ハンドブックという形で販売価格も安価ながら完成度は高く、六甲山の草花を手軽に知るための必須の書となるだろう。本書によって身近な山野の植物に興味を持つ人も増えることだろう。清水氏は今後は子供達のために昆虫を調べると仰っておられた。その結果、今度はなにが飛び出してくるのだろう。氏の今後のご活躍にも大いに期待したい。

 最近刊の夏~秋編は清水氏のサイトから現在著者割りで購入が可能。
 以下のバナーをクリックすると清水氏のサイト『神戸・六甲山系の森林』のサイトが立ち上がります。

 神戸・六甲山系の森林バナー

書籍情報
『神戸・六甲山の草花ハンドブック 春~初夏編』 清水 孝之 撮影・著 ほおずき出版 定価(本体 2,500円+税)  ISBN978-4-434-21867-5
『神戸・六甲山の草花ハンドブック 夏~秋編』 清水 孝之 撮影・著 ほおずき出版 定価(本体 2,500円+税)  ISBN978-4-434-22060-9
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category: 書籍・植物

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スミレ愛好会発刊 『近畿地方のスミレ類 -その分布と形態-』 付記:最近見かけたスミレ類 

 スミレ愛好会のYさんから『近畿地方のスミレ類 -その分布と形態-』が送られてきました。
 兵庫、大阪、京都、滋賀、奈良、和歌山、三重の2府5県に分布するスミレ科が網羅的に紹介されたA4版全57ページに亘る労作です。身近にみられるタチツボスミレやスミレといった馴染み深い種から、京都府が分布西限となっているオオバキスミレ、隔離分布するエゾノタチツボスミレ、イブキスミレ、ヒメミヤマスミレ、海岸特有のイソスミレ、アナマスミレ、アツバスミレ、ツヤスミレ、仮称段階でまだ未記載であるニホンカイタチツボスミレ、トウカイスミレなどを含む計44種の形態的特長と生態が詳しく述べられています。形態の特徴は数多くの画像で示され、必要に応じて果実や果実期の葉の画像を提示しつつ、詳細な記述とともに同定の際には大変参考になります。また、各種の近畿地方での具体的な分布状況は本書で初めて明らかにされたもので、今後の近畿地方と各県のスミレ類の分布を検討する上で欠かせないものとなるでしょう。
 このような広範囲に亘る分布調査は非常に労力を要するもので、その結果を私のようなスミレ初心者でも共有できる本書の価値は計り知れないものです。本書をもとに近畿地方でスミレ類に新たに関心をもつ人も多くなるのではないかと思います。
 以下、ほんの一部ですが抜粋しながらその内容を見ていきたいと思います。

表紙
Fig.1 表紙はハグロシハイスミレ(通称)
シハイスミレは近畿地方を代表するスミレ。その中でも葉が黒紫色となるものはハグロシハイスミレ(通称)と呼ばれ、兵庫県でも各所に点在しています。これに葉脈に沿って白斑の入るものはフイリハグロシハイスミレと呼ばれ稀に見かけます。

近畿地方のスミレ研究
Fig.2 近畿地方でのスミレ類研究の概要
1972年の「日本すみれ研究会」に始まる近畿地方のスミレ研究史や活動が簡略に記されています。

近畿のスミレ類分布の特徴
Fig.3 近畿地方におけるスミレ類分布の特徴
各種を分布西限種、隔離分布を示す種、西日本分布型、日本海分布型、太平洋分布型、海岸型などに分類して記述しています。さらに9つの項目で近畿地方での分布の特徴が詳述されています。

スミレ類分布表
Fig.4 スミレ類の分布表
近畿2府5県のスミレの分布状況を開花期とともに表にしているものです。
各府県の分布欄は「○:分布している」「-:分布情報はない」「△:現状不明」「×:絶滅」に分けて記号化されています。
兵庫県の欄を見ると太平洋分布型の一部、太平洋側の海岸型、高所に隔離分布する種が分布していない特徴が見て取れます。

本文1
Fig.5 本文 1
ケイリュウタチツボスミレとニホンカイタチツボスミレ(仮称)のページです。
両種の特徴である葉の形が画像と記述により容易に理解できます。
またほとんどの種の果実の画像が掲載されているのも本書の特徴の一つでしょう。
ケイリュウタチツボスミレでは「種子は播種すると2~3週間でほぼ100%発芽する」、ニホンカイタチツボスミレでは「近畿地方では日本海側から瀬戸内海の中国地方へ分布が続くほか、滋賀・三重両県の鈴鹿山麓から伊賀地方を経て、京都府南部・奈良県・和歌山県北部、さらに四国へ続く分布も確認された。」などの最新の研究調査の成果が記されています。

本文2
Fig.6 本文 2
アギスミレとヒメアギスミレのページです。
標本画像により両種の生態形の違いが明白に示されています。
ヒメアギスミレのページでは四国や九州でヒメアギスミレとされてきたものはアギスミレの小型のタイプで近畿以南のものは再検討が必要だと、最新の知見が述べられています。

本文3
Fig.7 本文 3
シハイスミレとマキノスミレのページです。
近畿地方は両種が移り変わる地域で中間的なものが多く、しばしば悩んでしまうものです。
マキノスミレの分布西限は現在のところ兵庫県西部とのことです。

本文4
Fig.8 本文 4
近畿地方に見られる自然交雑種のリストで、そのうち18種が画像で紹介されています。

以上が『近畿地方のスミレ類 -その分布と形態-』の大まかなあらましです。
本書は 「すみれ愛好会」のホームページから1冊1,500円で購入できます。


付記:最近見かけたスミレ類
*ここからは画像クリックで別ウィンドで表示されます。
FC2ブログの仕様が変わったのか、リンク先で大きな画像が表示されなくなってしまいました。
大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。


アリアケスミレとスミレ
Fig.9 アリアケスミレ(左)とスミレ(右) (西宮市 2015.4/21)
里山の畑地で見かけたほっとする光景です。
両種ともに市街地に進出中とのことですが、まだアリアケスミレは市街地で見たことがありません。
関連ページ 関西の花・アリアケスミレ
関連ページ 関西の花・スミレ

ハリマスミレ1
Fig.10 ハリマスミレ 1 (兵庫県小野市 2015.4/12)
アリアケスミレとスミレの自然交雑種で、花粉を調べると不斉なものばかりです。
両親種が群生する中に様々なタイプが見られました。
これは背丈が低く、花をブーケ状に沢山つけているものです。

ハリマスミレ2
Fig.11 ハリマスミレ 2 (兵庫県小野市 2015.4/12)
こちらは花がまばらで背丈の高いものです。

フモトスミレとシハイスミレ
Fig.12 フモトスミレ(左)とシハイスミレ(右) (兵庫県小野市 2015.4/12)
兵庫県では低地でフモトスミレを見る機会は少ないのですが、ここでは洪積台地上の社寺林の半日陰地に見られました。
こんなに隣りあって生育しているのならフモトシハイスミレがあってもおかしくはなく、周囲を探しましたが見つかりませんでした。
関連ページ 関西の花・フモトスミレ
関連ページ 関西の花・シハイスミレ

シハイ・マキノの中間型
Fig.13 シハイスミレとマキノスミレの中間タイプ (兵庫県小野市 2015.4/12)
兵庫県内ではこのようなものが頻繁に現れます。葉裏の紫色もごく淡い色をしています。
シハイマキノスミレとしか言い様がありません。

マキノスミレ?
Fig.14 マキノスミレ? (兵庫県三田市 2015.4/17)
葉が立ち上がり、花色も濃いのでマキノスミレと言いたくなりますが、葉裏が先のFig.13のものよりも赤紫色が濃かったです。
ここには昨年見つけたエイザンスミレがあったのですが、シカの食害が急増して、跡形もありませんでした。

ウスアカネスミレ
Fig.15 ウスアカネスミレ (神戸市 2015.4/26)
アカネスミレの花色の淡い品種ですが、花色は連続的に変化するためどこに境界線を引くか微妙なもののようです。
Mさんに案内していただいた場所では、かろうじて木漏れ日が当たる尾根筋に生き残っているという感じでした。兵庫県では山地に見られる種で、神戸市ではあまり見られません。
他の山地性のスミレ類はまだこれからですね。

ナガバノタチツボスミレ白花品
Fig.16 ナガバノタチツボスミレの白花品 (兵庫県三田市 2015.4/17)
疎林の林床に小型で距まで白い白花品が点在していました。
関連ページ 関西の花・ナガバノタチツボスミレ

ニホンカイタチツボスミレ(仮称)
Fig.17 渓流畔の岩上に生育するニホンカイタチツボスミレ(仮称) (兵庫県三田市 2015.4/17)
周辺ではタチツボスミレが多いのですが、渓流沿いに限って本種が現れました。
ナガバノタチツボスミレとともに生育しています。
関連ページ 関西の花・タチツボスミレ

オオタチツボスミレ
Fig.18 オオタチツボスミレ (兵庫県篠山市 2015.4/9)
日本海型分布で、兵庫県東部では三田市以北に見られますが、宝塚市や六甲山に出てきてもおかしくはないと思っています。今年は開花期が例年よりも早かったような気がします。
関連ページ 関西の花・オオタチツボスミレ

ニオイタチツボスミレ
Fig.19 ニオイタチツボスミレ (兵庫県三田市 2015.3/31)
向陽地に現れ、開花時には茎が無いように見えます。
関連ページ 関西の花・ニオイタチツボスミレ

アオイスミレ
Fig.20 アオイスミレ (兵庫県篠山市 2015.3/21)
最も開花の早いスミレで、花がまだ少ない時期にこれが咲いていると、どうしてもカメラを向けてしまいます。
関連ページ 関西の花・アオイスミレ

category: 書籍・植物

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改訂増補 淡路島の植物誌 

淡路島の植物誌

   自然環境研究所発行 A4版 300ページ《CD-ROM版》(定価3,000円)
       入手希望の方は,兵庫県植物誌研究会 小林禧樹まで
           e-mail: arminus@kpa.biglobe.ne.jp

「改訂増補 淡路島植物誌《CD-ROM版》」が出版されました。
旧版から20年を経ての出版で、その間発見された約270種が追加掲載され、1520種余を目録に記載し,45種について新たに解説が加えられています。
私も微力ながら何度か分布調査やハマビシ、ハマアザミの保護活動に参加し、淡路島未記録の植物を追加させていただきました。
一昨年のこと、旧版にあったヒメカンガレイの採集記録を参考に、ヒメカンガレイのありそうな場所を虱潰しに巡ったことがありました。
その時はヒメカンガレイは確認できませんでしたが、その過程でシロガヤツリ、マネキシンジュガヤ、ヤナギヌカボなどの未記録種が見つかり、いい想い出となっています。
兵庫県ではほとんど見られないシンジュガヤやウミヒルモもいつか見に出かけたいと思っています。

今回はスクリーンショットで内容のいくつかをご紹介します。
巻頭の14ページは淡路島を特徴づけるカラーの生態写真や標本画像が掲載されています。

図版4

図版7

まえがきに続いて、淡路島の地形気候地質地史などの自然環境が詳しく解説されています。

地形

続いて淡路島植物研究史が13ページにわたって詳細に記されています。

研究史

次に淡路島の植物の記述ですが、島内に分布する植物を「暖地性植物」「山地性(温帯性)及び北方系植物」「大陸(中国東北部、朝鮮)要素」「淡路島を特徴づける植物」として分け、4ページにわたって詳述されており、植物の地域性を考える上での貴重な資料となっています。

植物相の概要
暖地性植物
地域特産種

続いて島内を「北部丘陵地帯」「津名山地」「先山山地周辺」「論鶴葉山地」「沼島」「海岸地帯」の6つの地域にわけ、それぞれの地域の植物相をあげ、各地域における保護上の問題点を解説しています。

北部丘陵地帯

次に植物地理上注目される種として以下の17種について詳述されています。
サイコクイカリソウ、キビヒトリシズカ、モメンヅル、クスドイゲ、オオカラスウリ、ヒメノダケ、クルマバアカネ、ハマクサギ、コケトウバナ、メジロホオズキ、マルバハダカホオズキ、ウンラン、キキョウラン、カンザシギボウシ、ミミガタテンナンショウ、ナンゴクウラシマソウ

地理的注目種

さらに淡路島を特徴づける種として以下の100種について詳述されています。
タカサゴキジノオ、エダウチホングウシダ、タマシダ、ハチジョウシダモドキ、ナチシダ、マツザカシダ、クルマシダ、ナガサキシダ、ナンカイイタチシダ、ナガバノイタチシダ、ハコネシケチシダ、イワヒトデ、イワヤナギシダ、ヌカボシクリハラン、サンショウモ、ケイヌビワ、ヤナギイチゴ、サデクサ、マツナ、ハママツナ、シロバナハンショウヅル、トウゴクサバノオ、オキナグサ、シマサルナシ、ハマヒサカキ、ヒメシャラ、オオバライチゴ、ヒメカジイチゴ、イヌザクラ、バクチノキ、ヤブイバラ、ハチジョウイチゴ、ホウロクイチゴ、オオフユイチゴ、シバハギ、ミヤマトベラ、ハマナタマメ、ハマビシ、イワタイゲキ、タカトウダイ、ヤマビワ、ツゲモチ、ウドカズラ、ハマボウ、オオナワシログミ、エゾミソハギ、シャク、ウチワゼニクサ、オンツツジ、ツルコウジ、モロコシソウ、カンザブロウノキ、ヒメシロアサザ、アサザ、チョウジソウ、シタキソウ、スナビキソウ、ヤマジオウ、コナミキ、トウオオバコ、ウスバヒョウタンボク、ヤブウツギ、キダチコンギク、フクド、ハマアザミ、アゼトウナ、イズハハコ、シマカンギク、タカサゴソウ、ヒメヒゴタイ、ウミヒルモ、オヒルムシロ、コアマモ、ホンゴウソウ、ノシラン、ナベワリ、ハマオモト、イトスズメガヤ、ウンヌケモドキ、チャボチヂミザサ、タキキビ、コウキヤガラ、ウマスゲ、カタスゲ、キノクニスゲ、フサスゲ、キシュウナキリスゲ、ヌマガヤツリ、シログワイ、トラノハナヒゲ、ヒメカンガレイ、エゾアブラガヤ、シンジュガヤ、サガミラン、タシロラン、アキザキヤツシロラン、ベニシュスラン、ムカゴソウ、イヨトンボ、オオヤマサギソウ

ヒメシロアサザ解説

続いて島内において特徴的な分布をする植物として「ニワトコ」「タケニグサ」「淡路島で分布が限定される植物」が紹介されています。

ニワトコ分布

淡路島において絶滅(あるいはその可能性のある)植物では開発や遷移によって絶滅あるいは絶滅した可能性のある植物が挙げられています。

淡路絶滅種

続く西神戸の植物相との比較では、「西神戸にあって淡路島には分布しない種」として220種がリストアップされています。

西神戸との比較

淡路島にあって徳島県に分布しない種では、海峡を隔ててすぐ隣にある徳島県では見られないもの15種をリストアップしています。

徳島県比較

島嶼の植物では日本列島の主な島嶼21について、植物種数と自然条件(島の面積、最高標高、陸からの距離、年降水量、年平均気温)の関係を重回帰分析によって分析した結果が示されており、貴重な資料となっている。

島嶼の植物

続いて旧版から引き継がれた1982年~1991年にかけての淡路島の植物調査記録が掲載されている。

調査記録

続いて、本植物誌のメインと言える淡路島の植物目録が始まる。
176ページにわたって、1524種(分類群数は1631)の採集地、採集者と標本番号が記載され、要注目種については短い解説が付されている。また、最後の2ページには「改定増補で追加した科および削除した植物一覧」のリストがある。以下に凡例とタデ科の一部のスクリーンショットを挙げておいた。

淡路島植物目録01


淡路島目録02

巻末には地点名一覧文献あとがき和名索引がある。
以下、7ページにわたる文献の一部と、あとがきを挙げておきます。

淡路文献


淡路あとがき

いかがでしたか?
情報量が非常に多く、地域の植物誌としては大変充実した内容であると思います。
最後に、著者のうちのひとり小林禧樹先生から送られてきた宣伝用のチラシを掲載します。

淡路宣伝ビラ01
淡路宣伝ビラ02

改訂増補 淡路島の植物誌《CD-ROM版》目次
まえがき(増補改訂版)・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
序(旧版)・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
まえがき(旧版)・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
1.淡路島の自然環境 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
 1.1. 位置および地形 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
 1.2. 気候 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
 1.3. 地質・地史 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
2.淡路島の植物研究史 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
 2.1. 植物調査研究史 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
 2.2. 県植物目録掲載の淡路島産植物の検討 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
3.淡路島の植物相 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
 3.1. 植物相の概略 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
 3.2. 地域の植物相 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
 3.3. 植物地理上注目される種 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・30
        サイコクイカリソウなど17種掲載
 3.4. 淡路島を特徴づける植物 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・42
        タカサゴキジノオなど100種掲載
 3.5. 島内において特徴的な分布をする植物 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・76
    1)ニワトコ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・76
    2)タケニグサ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・77
    3)淡路島で分布が限定される植物 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・77
 3.6. 淡路島において絶滅(あるいはその可能性のある)植物 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・78
 3.7. 西神戸の植物との比較 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・79
 3.8. 淡路島にあって徳島県に分布しない植物 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・80
4.島嶼の植物 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・81
5.淡路島の植物調査記録 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・84
6.淡路島の植物目録 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・96
 凡例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・96
 植物組成表 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・97
  シダ植物門 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・97
  種子植物門 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・113
   裸子植物亜門 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・113
   被子植物亜門 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・114
    双子葉植物綱 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・114
     離弁花類亜鋼 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・114
     合弁花類亜鋼 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・179
    単子葉類植物綱 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・223
 改訂増補で追加した科および削除した植物一覧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・271
7.地点名一覧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・273
8.文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・276
あとがき ・・・・・・・・・・・・・・・・・・283
和名索引 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・284


category: 書籍・植物

thread: 博物学・自然・生き物 - janre: 学問・文化・芸術

tag: 淡路島  植物  書籍 
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