初夏の野草料理
2016/09/13 Tue. 17:25 [edit]
「自然を食べる」シリーズの第4弾ですが、今年はジュンサイやウワバミソウを取っている時間がなく、今回は短いコンテンツになりました。キノコについても紹介してますが、野性キノコには非常に毒性の強いものもあるので、種の特定には専門家か経験豊富なインストラクターが開催する講習会などでしっかり学んでください。野草料理は自己責任でお願いいたします。
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ヤブカンゾウ

Fig.1 開花し始めたヤブカンゾウ (西宮市 2011.7/15)
ヤブカンゾウは史前帰化植物とされ、3倍体で雄蕊は花弁化し、結実は見られません。
春先の新芽、開花期のつぼみが食用となり、恐らく食用として持ち込まれたものでしょう。
開花期のつぼみはクセがなく、ほのかな甘味があって様々な料理に利用できます。
大量に採取したら蒸して乾燥させると、中華料理の「金針菜」と同じように利用できる。

Fig.2 ヤブカンゾウの花茎とつぼみの煮浸し
暑い日は煮浸しにして冷やして頂きます。
茎がやわらかそうだったので、一緒に調理してみましたが、風味に乏しいので、つぼみのほうが利用価値が高いと感じました。そのほうが後々つぼみの収量も増えることになります。
【調理法】
油揚げを熱湯で油抜きして、細めのひとくちサイズに切る。
ヤブカンゾウのつぼみと花茎は洗っておく。
鍋に
出し汁 150ml
醤油 小匙1
酒 大匙1
味醂 大匙1
黒糖 少々
を入れて煮立て、沸騰したら油揚げと花茎を入れて2分煮る。
2分経ったらつぼみを入れて2分煮て火から下ろし、放置して冷ます。
粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やす。
食す際に刻んだ小葱、茗荷、大葉、生姜などを散らしてもよい。
・ポイント
特に気をつける点はなく、ナスやオクラやキノコと組み合わせても美味しい。

Fig.3 サワラとヤブカンゾウのつぼみの蒸し物
あっさりしていて、食欲の無い時でも美味しく食べれます。
【調理法】
ヤブカンゾウのつぼみは洗って斜めに2等分しておく。
サワラはほとんど臭みがないので、料理直前に塩コショウする。
鍋またはフライパンにサワラを入れ、上からヤブカンゾウをのせ、酒大匙4を入れて火に掛け、蓋をして弱中火にして15~20分蒸し焼きにする。
蒸しあがったら皿にサワラを並べ、上にヤブカンゾウをのせ、食べる直前にポン酢をかける。
・ポイント
臭みの少ない白味魚であればどんな魚でもOK。
ヤブカンゾウのつぼみをたっぷりと使うこと。

Fig.4 ヤブカンゾウのつぼみとフィノッキオのコンソメ・スープ
フィノッキオは若いフェンネルを香味野菜として収穫したもの。コールスローにすると美味しい食材。
若いセロリとはまた違った風味があり、初夏に店頭に並んでいることがあります。
【調理法】
ヤブカンゾウのつぼみは洗っておく。
フィノッキオは細かい輪切りにする。フェンネルを利用する場合は細かく刻む。
鍋に水とコンソメ(水400ccにつきキューブ1個)を入れ、沸騰したら刻んだフィノッキオを入れて好みの柔らかさ一歩手前まで煮る。
ヤブカンゾウのつぼみを入れて、好みの硬さまで煮る。
・ポイント
あっさりしたスープなので、濃厚にしたい時はベーコンやサルシッチャを入れたり、淡白な魚介類を入れても。水分を減らして、フィノッキオとつぼみの量増やし、魚介類を一緒に煮てフードプロセッサーにかけると複雑な味わいのポタージュができます。

Fig.5 ヤブカンゾウのつぼみのフライ
ヤブカンゾウのつぼみはアスパラガスの穂先と同様に扱って大丈夫です。
ふつうにフライにして、早めに上げればいいです。
タマゴタケ

Fig.6 タマゴタケ (神戸市 2014.9/17)
タマゴタケはテングタケの仲間ではほとんど唯一食用となるキノコで、他の多くの種は有毒で、知識がなければリスクが高いと言えます。
シャキシャキと歯応えの良い食菌ですが、類似のベニテングタケやタマゴタケモドキは毒性が強いので同定の自信の無い方は手を出さないでください。
低地での発生は秋になりますが、六甲山系の中腹以上では7月から発生が見られます。

Fig.7 キノコ、ヤブカンゾウ、豆腐のサンラータン
猛暑の気候にぴったりの生姜とラー油の利いた冷めても美味しい主菜です。
兵庫県内のフィールドではタマゴタケはそれほど多くは獲れないので、他のキノコで補います。
アラゲキクラゲが獲れたので、それと市販のハタケシメジとシイタケを加えました。
【調理法】
タマゴタケの収量は不安定なので、ここではヤブカンゾウのつぼみをメインとした分量を記します。
挽き肉 60g ・ ヤブカンゾウのつぼみ 20個
キクラゲ細切り 10g ・ キノコ類 20g
豆腐 1/2丁 ・ 生姜 2片 ・ 炒め用油 大匙1 ・ 水 600cc
●酒 大匙1 ●塩 ●鶏ガラスープの素 小匙2 ●醤油 小匙2
○黒酢 小匙3 ○黒コショウ 小匙1/4
水溶きカタクリ粉(カタクリ粉大匙2:水40cc)
ラー油 適量
鍋に油を敷き、生姜を炒め、香りが立ったら挽き肉を炒める。
挽き肉が白っぽくなったら、キクラゲとキノコ類を入れて炒める。
キノコに油がまわったらヤブカンゾウのつぼみを入れて炒める。
2分ほど炒めたら水600ccを入れ、●を左から順に入れ弱火にかける。
適当に切った豆腐と○を加え、沸騰したら水溶きカタクリ粉を入れる。
器に入れて、お好みの量のラー油を入れる。
・ポイント
さっぱりとした味付けでタマゴタケのシャキシャキ感を楽しみます。
ダイモンジソウ・イワタバコ

Fig.8 ダイモンジソウの葉 (神戸市 2016.7/16)
ダイモンジソウは大きな個体から葉を2枚だけ採取します。

Fig.9 イワタバコ (神戸市 2016.7/16)
イワタバコは大きな個体から葉を1枚だけ採取します。

Fig.10 初夏の野草の天ぷら
皿の下から時計周りにダイモンジソウ、ウドの穂先、マタタビのつる先、イワタバコ、中央はヤブカンゾウのつぼみ。
おまけの1皿

Fig.11 アミガサタケと鱒のクリームパスタ
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ヤブカンゾウ

Fig.1 開花し始めたヤブカンゾウ (西宮市 2011.7/15)
ヤブカンゾウは史前帰化植物とされ、3倍体で雄蕊は花弁化し、結実は見られません。
春先の新芽、開花期のつぼみが食用となり、恐らく食用として持ち込まれたものでしょう。
開花期のつぼみはクセがなく、ほのかな甘味があって様々な料理に利用できます。
大量に採取したら蒸して乾燥させると、中華料理の「金針菜」と同じように利用できる。

Fig.2 ヤブカンゾウの花茎とつぼみの煮浸し
暑い日は煮浸しにして冷やして頂きます。
茎がやわらかそうだったので、一緒に調理してみましたが、風味に乏しいので、つぼみのほうが利用価値が高いと感じました。そのほうが後々つぼみの収量も増えることになります。
【調理法】
油揚げを熱湯で油抜きして、細めのひとくちサイズに切る。
ヤブカンゾウのつぼみと花茎は洗っておく。
鍋に
出し汁 150ml
醤油 小匙1
酒 大匙1
味醂 大匙1
黒糖 少々
を入れて煮立て、沸騰したら油揚げと花茎を入れて2分煮る。
2分経ったらつぼみを入れて2分煮て火から下ろし、放置して冷ます。
粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やす。
食す際に刻んだ小葱、茗荷、大葉、生姜などを散らしてもよい。
・ポイント
特に気をつける点はなく、ナスやオクラやキノコと組み合わせても美味しい。

Fig.3 サワラとヤブカンゾウのつぼみの蒸し物
あっさりしていて、食欲の無い時でも美味しく食べれます。
【調理法】
ヤブカンゾウのつぼみは洗って斜めに2等分しておく。
サワラはほとんど臭みがないので、料理直前に塩コショウする。
鍋またはフライパンにサワラを入れ、上からヤブカンゾウをのせ、酒大匙4を入れて火に掛け、蓋をして弱中火にして15~20分蒸し焼きにする。
蒸しあがったら皿にサワラを並べ、上にヤブカンゾウをのせ、食べる直前にポン酢をかける。
・ポイント
臭みの少ない白味魚であればどんな魚でもOK。
ヤブカンゾウのつぼみをたっぷりと使うこと。

Fig.4 ヤブカンゾウのつぼみとフィノッキオのコンソメ・スープ
フィノッキオは若いフェンネルを香味野菜として収穫したもの。コールスローにすると美味しい食材。
若いセロリとはまた違った風味があり、初夏に店頭に並んでいることがあります。
【調理法】
ヤブカンゾウのつぼみは洗っておく。
フィノッキオは細かい輪切りにする。フェンネルを利用する場合は細かく刻む。
鍋に水とコンソメ(水400ccにつきキューブ1個)を入れ、沸騰したら刻んだフィノッキオを入れて好みの柔らかさ一歩手前まで煮る。
ヤブカンゾウのつぼみを入れて、好みの硬さまで煮る。
・ポイント
あっさりしたスープなので、濃厚にしたい時はベーコンやサルシッチャを入れたり、淡白な魚介類を入れても。水分を減らして、フィノッキオとつぼみの量増やし、魚介類を一緒に煮てフードプロセッサーにかけると複雑な味わいのポタージュができます。

Fig.5 ヤブカンゾウのつぼみのフライ
ヤブカンゾウのつぼみはアスパラガスの穂先と同様に扱って大丈夫です。
ふつうにフライにして、早めに上げればいいです。
タマゴタケ

Fig.6 タマゴタケ (神戸市 2014.9/17)
タマゴタケはテングタケの仲間ではほとんど唯一食用となるキノコで、他の多くの種は有毒で、知識がなければリスクが高いと言えます。
シャキシャキと歯応えの良い食菌ですが、類似のベニテングタケやタマゴタケモドキは毒性が強いので同定の自信の無い方は手を出さないでください。
低地での発生は秋になりますが、六甲山系の中腹以上では7月から発生が見られます。

Fig.7 キノコ、ヤブカンゾウ、豆腐のサンラータン
猛暑の気候にぴったりの生姜とラー油の利いた冷めても美味しい主菜です。
兵庫県内のフィールドではタマゴタケはそれほど多くは獲れないので、他のキノコで補います。
アラゲキクラゲが獲れたので、それと市販のハタケシメジとシイタケを加えました。
【調理法】
タマゴタケの収量は不安定なので、ここではヤブカンゾウのつぼみをメインとした分量を記します。
挽き肉 60g ・ ヤブカンゾウのつぼみ 20個
キクラゲ細切り 10g ・ キノコ類 20g
豆腐 1/2丁 ・ 生姜 2片 ・ 炒め用油 大匙1 ・ 水 600cc
●酒 大匙1 ●塩 ●鶏ガラスープの素 小匙2 ●醤油 小匙2
○黒酢 小匙3 ○黒コショウ 小匙1/4
水溶きカタクリ粉(カタクリ粉大匙2:水40cc)
ラー油 適量
鍋に油を敷き、生姜を炒め、香りが立ったら挽き肉を炒める。
挽き肉が白っぽくなったら、キクラゲとキノコ類を入れて炒める。
キノコに油がまわったらヤブカンゾウのつぼみを入れて炒める。
2分ほど炒めたら水600ccを入れ、●を左から順に入れ弱火にかける。
適当に切った豆腐と○を加え、沸騰したら水溶きカタクリ粉を入れる。
器に入れて、お好みの量のラー油を入れる。
・ポイント
さっぱりとした味付けでタマゴタケのシャキシャキ感を楽しみます。
ダイモンジソウ・イワタバコ

Fig.8 ダイモンジソウの葉 (神戸市 2016.7/16)
ダイモンジソウは大きな個体から葉を2枚だけ採取します。

Fig.9 イワタバコ (神戸市 2016.7/16)
イワタバコは大きな個体から葉を1枚だけ採取します。

Fig.10 初夏の野草の天ぷら
皿の下から時計周りにダイモンジソウ、ウドの穂先、マタタビのつる先、イワタバコ、中央はヤブカンゾウのつぼみ。
おまけの1皿

Fig.11 アミガサタケと鱒のクリームパスタ
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category: 自然を食べる
春の山菜料理 2
2016/07/06 Wed. 20:32 [edit]
前回に続いて春の山菜料理を紹介します。
今回はウド、チシマザサ(スズコ)、シャク、ヤマブキショウマ、ゼンマイ、オオバギボウシ、サンショウ、モミジガサなどを取り上げます。
なお、山野草の利用は各自の自己責任でお願いいたします。
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ウド

Fig.1 ウド (兵庫県但馬地方 2016.5/12)
里山の林縁などにも点々と生育しているのを見ますが、山地の高原では沢山収穫できます。
収量が多いときはアク抜きして冷凍保存します。

Fig.2 ウドの味噌漬け
天然ウドを沢山獲った時には必ず作る定番です。
【調理法】
ウドは茎の部分を使い、表面の皮をむいて熱湯に5~10分漬けてアク抜きする。
冷水に取って水気を切り、浅漬け用の容器に入れ、味噌:味醂を5:1の分量で漬け込み、重しネジで締め付けて冷蔵庫に。翌日から食べられ、冷蔵庫で1週間~10日程度日持ちします。
・ポイント
浅漬け用の容器で重しをかけることによって水気を出し、日持ちするようにします。

Fig.3 ウド・春キャベツ・アサリの酒バター蒸し
ウドとアサリだけで風味も旨味も充分ですが、野菜も沢山食べれるメニューに。
【調理法】
アサリは2時間程度ひたひたの塩水につけて、新聞紙を被せて砂出ししておく。
ウドの茎は皮を剥いて3~4mm幅の斜め薄切りにし、酢水につけ置き、キャベツは1口サイズに適当に切っておく。
フライパンにバター少々、酒(アサリ1パックに対して50~100cc)、ニンニク薄切り、キャベツ、ウド、アサリを入れて強火で煮立て、アサリが開いたら完成。
・ポイント
野菜は春キャベツの他、アスパラガス、ベビーコーン、新タマネギ、キノコ類などお好みで。
アサリは直前に50℃洗いすると甘味と旨味が増します。
食す後半に茹でたパスタを加えても美味しく頂けます。

Fig.4 ウドそぼろ
ウドと豚の挽き肉を使ったそぼろ。塩そぼろでも味噌そぼろでも美味です。
【調理法】
①塩そぼろの場合
豚肉はウドの1/2量を用意し、フードプロセッサーでミンチにして、少量の酒を振りかけておく。
ウドは茎先と若い葉を細かく刻み、アク抜きはしない。
フライパンに豚挽き肉を油を敷かずに入れて、木ベラなどで切るように中火で炒める。
肉にだいたい火が通ったら刻んだウドを入れてウドが鮮やかな緑色になるまで炒める。
ウドの色が変わったら天日塩(豚肉約400gに対して小匙1杯)を入れ、粗引きコショウをミルでたっぷりと挽き入れる。
②味噌そぼろの場合
豚挽き肉とウドは塩そぼろと同様な仕込みをしておく。
鷹の爪1本を2等分し、つまようじなどで中の種子を取り除いておく。
フライパンに油を敷かず豚挽き肉とともに鷹の爪を入れて、木ベラなどで切るように中火で炒める。
肉にだいたい火が通ったら刻んだウドを入れてウドが鮮やかな緑色になるまで炒める。
ウドの色が変わったら酒と味噌を1:1の分量、好みにより味醂や昆布ダシ、砂糖を加える。
・ポイント
辛味は塩そぼろにはコショウ、味噌そぼろには鷹の爪が合います。
油は豚挽き肉から出たものを利用します。
仕上げにゴマ油を回しかけるとより香ばしくなります。
ニンニク、ショウガ、ネギなどの微塵切り、摺りゴマ、七味唐辛子などを加えて様々にアレンジできます。ウドのかわりにタラノメを使っても美味しくできます。

Fig.5 ウドとコゴミのグラタン
画像は冷凍保存していたキクイモのポタージュをグラタンソースに利用した山菜グラタンです。
調理法では正統的なグラタンソースの作り方を紹介しています。
【調理法】
タマネギ1/2個(2~3人分)を5mm幅にスライスする。
ウドは茎の皮を剥いて5mm幅の斜め切りにし、酢水に漬け置く。
コゴミは3~5分下茹でして、冷水にとって色止めしておく。
卵は冷蔵庫から出して室温に戻し、牛乳400ccを湯煎しておく。
オーブン又はトースターを200度に加熱しておく。
フライパンにバター大匙1/2を弱火で溶かし、バター溶けたらスライスしたタマネギをフライパンに入れて強中火にして、しんなりするまで炒める。
タマネギがしんなりしたらウドを加えて2分程度炒め、小麦粉大匙2杯(2~3人分)を入れてよく馴染ませながら炒める。
小麦粉が馴染んだら牛乳を少しずつ加えながら、小麦粉がダマにならないよう泡だて器でよく混ぜる。
牛乳を全て混ぜてとろみが出たら、塩・コショウ・ナツメグを少々加えて火を止める。
グラタン皿にウドとコゴミを交互に並べてグラタンソースを流し込み、シュレッド・チーズ、パルミジャーノ・レッジャーノをかける。
室温に戻した卵をグラタン皿に割り入れて、オーブンに入れて卵が半熟になるまで様子を見ながら加熱する。
・ポイント
グラタン・ソース(ベシャメル・ソース)は大量に作っておいて冷凍保存しておくと便利です。
グラタン・ソースはホワイト・シチューやクリーム系のポタージュでも代用できます。
茎の太いボリュームのある山菜類はグラタンにするとよく合います。
ウドはやわらかい食感が好きな場合には下茹でしておきます。

Fig.6 ウドとワラビの炊き込みご飯
春から初夏にかけて山菜の炊き込みご飯を何度も作ります。
ウドを利用した炊き込みご飯や混ぜご飯は、春から初夏にかけての我が家での定番です。
【調理法】2合分
白米2合を軽く研いでザルに上げておく。
ウドの茎の皮を剥き、3~4cmのぶつ切りにし、さらに3~5mmの短冊切りにし、切った端から酢水に漬けておく。ワラビはアク抜きしたものを長さ3~4cmに切っておく。
油揚げは横半分に切って幅4~5mm程度の短冊切りにしてザルにいれ、熱湯をかけて油抜きする。
炊飯器に白米を入れ、醤油・味醂・酒を各大匙1杯、出し醤油または白出汁を小匙1杯、天日塩・甜菜糖少々を入れてよくかき混ぜる。
炊飯器の釜に2合分の目盛りまで水を入れ、ウド、ワラビ、油揚げを上に広げて炊飯器のスウィッチを入れる。炊き上がったらよく混ぜて再度蓋を閉め、30分ほど蒸らして出来上がり。
・ポイント
山菜の炊き込みご飯自体は簡単なものですが、どんなオカズと組み合わせるかが思案のしどころ。
炊き込みご飯と混ぜご飯が連日続く場合は、飽きのこない常備菜を作り置きしたり、卵料理をサッと作るようにしています。
チシマザサ(ネマガリダケ、スズコ)やハチクなどのタケノコ類(スズコ・モウソウチク・ハチク・メダケ・ホテイチクなど)

Fig.6 チシマザサの筍 (兵庫県但馬地方 2016.5/12)
兵庫県では日本海側の標高約800m以上の高原地帯に生育しています。
氷ノ山周辺では一体どうやって担ぎ下ろすのかと思うくらい麻袋に大量に収穫している人を見る。
私見ではチシマザサよりもハチクやホテイチクのほうが利用価値が高いと感じる。

Fig.7 ハチクの筍 (西宮市 2016.5/12)
伐採後のハチク林では翌年初夏に沢山の筍が出てきます。
いずれのタケノコ類も保存するには10%以上の塩水で全体が漬かるように冷蔵保存すれば半年~1年保存可能です。塩抜きするには水道水で1日に数度水換えし、2~3日塩抜きして利用します。
メダケの筍の場合はアクが強いので、モウソウチク(一般に流通するタケノコ)よりもヌカを多めにしてアク抜きします。

Fig.8 焼きスズコ
チシマザサ採取は初夏の登山の楽しみの一部です。
チシマザサの筍採取は、群生して斜面を覆う群落の多過を適度にコントロールする作用もあります。
チシマザサの筍はツキノワグマの初夏の主要な食餌であるため、採取する際にはクマ対策をしっかりしてください。
【調理法】
8時間以内に採取したスズコ(チシマザサの筍)を洗って泥を落として水気を切る。
あらかじめ200度にオーブン又はトースターを加熱しておく。
オーブンで加熱する間に調味料を用意しておく。
水を切ったスズコをオーブンに並べ入れ、皮が乾燥して一部が焦げ付いたらオーブンから取り出す。
熱いうちに皮を剥き、用意した調味料をつけて筍の上から下に向かって食べる。
下方の筋が発達して噛み切れない部分は食べずに残す。
調味料の例:天日塩、藻塩、昆布塩、醤油、味噌、塩オリーブオイル、辛子マヨネーズ、醤油マヨ、化学調味料無添加の梅昆布茶など
・ポイント
スズコ採取初日の贅沢な食べ方。アクはほとんど感じられません。
モウソウチクは獲った直後、ハチク、ホテイチクでは採取8時間以内でスズコ同様に楽しめます。
ホテイチクは最もアクがなく肉厚で甘味があり利用価値の高い筍で、採取適期はライバルが多く、執着心のない私にはなかなかありつけません。今年も味わえませんでした。

Fig.9 ウド・スズコ・燻製サバのピザ
燻製のサバと山菜のキド味がよく合って絶品です。
我が家では通常のマルゲリータやミックスピザも一緒に作って食べ較べて楽しんでいます。
【調理法】
ヒメダケの処理方法。収穫したスズコは沸騰した水をたっぷり入れた大きな鍋に皮をつけたまま入れて10分茹で、火を止めてそのまま冷めるまで放置する。
冷めたらスズコの皮を剥き、水を換えながら3時間~半日晒してアクを抜く。アク抜きの終わったスズコは水を張った容器で毎日水換えしながら冷蔵保存して5日以内に使いきる。
5日以内に使いきれない分は、10%以上の塩水に漬け込んで冷蔵庫で保存する。
塩サバのフィレをキッチン・ペーパーとラップで包み込み、ペーパーを毎日取り替えながら2~3日間水気を取った後、すのこを敷いたバットに並べて1昼夜冷蔵庫で乾かす。
中華鍋に厚めのアルミホイルを敷いて、燻製用のサクラ・チップを一掴みとザラメ少々を混ぜてのせ、チップの上にアルミホイルを被せて強火にかける。
チップから煙が出たら、中華鍋の直径よりも少し小さな円形の焼き網を載せ、その上に乾かした塩サバのフィレを置いて蓋を被せ、強火のまま5分、その後極弱火にして20分燻製にかけて火を止めて冷めるまで放置する。常温になったらラップにくるんで冷蔵庫で1日寝かせて味と香りを馴染ませます。
ウドは細めの茎を軽く塩茹でしてアク抜きしておく。
バジル1束とその半量の松の実(クルミ、カシューナッツでも代用可)、塩麹、EXオリーブオイル、塩コショウ少々をフードプロセッサーにかけてバジルペーストを作る。
シイタケの柄を取り除いて薄くスライスし、オーブン又はトースターを220℃で余熱しておく。
ピザ生地にバジルペーストを塗り広げた上に、粗めにほぐしたサバ燻製を散らし、その上にスライスしたシイタケを並べる。
次に中心から放射状にスズコとウドを交互に並べ、その上にシュレッド・チーズを散らし、オーブンで6~8分焼きチーズに軽く焦げ目がついたら取り出す。
焼きあがったピザの中央部にウドそぼろを盛って完成。
・ポイント
サバ缶を利用しても美味ですが、ひと手間かけて塩サバを燻製して使うと一段と美味しくなります。
塩サバを乾かす場合は室内で扇風機を使って表面を1時間乾かすことで、行程を短縮することができます。サクラのチップが手元にない場合は紅茶と麦茶の茶葉を混ぜたもので代用可能です。
スモークしたサバは冷蔵庫で1週間程保存可能です。
スズコは冷凍保存すると歯ごたえや風味が落ちるので濃度10%以上の塩水に漬け込んで保存します。
塩水漬けのスズコは冷蔵庫で1年以上保存可能で、料理する前に2,3日換水しながら塩抜きします。
バジルペーストは市販のジェノベーゼソースでも代用可能ですが、少し塩味がきつくなります。
ピザ生地はふっくらした厚味のある自家製のものがベストですが、厚めの市販のものを利用しても美味しくできます。

Fig.10 スズコ・新タマネギ・サクラエビの掻揚げ風
旬のものを少量の油で炒め揚げにしました。酒のつまみにぴったり!
【調理法】
茹でてアク抜きしたスズコは3cmに切ってさらに薄切りにする。
新タマネギは縦に2分し、くし切りにしておく。
スズコ、タマネギ、サクラエビ、小麦粉大匙2~3杯をボールに入れ混ぜる。
別のボールに卵1個を割り入れ、同量程度の水を入れてよくかき混ぜる。
混ざったらスズコ、タマネギ、サクラエビのボールに入れて混ぜる。
フライパンに5mm程度の炒め揚げ用の油を張って熱する。
フライ返しでボールのネタをすくってフライパンに入れ、バラけないように整えながら炒め揚げる。
裏返して軽く色付いたら油から上げて、よく油分を切る。
皿に盛り付けて、塩か天つゆをつけて頂く。
・ポイント
勿論ふつうの掻揚げにしてもOKです。
ウドの皮を千切りにして混ぜても美味しいです。
画像のものは衣に冷凍保存したセリのみじん切りを混ぜています。

Fig.11 スズコの混ぜご飯
春の混ぜご飯の定番です。
【調理法】3合分
干しシイタケ15gを1時間程水で戻し、柄の部分は除いて傘の部分を薄切りにし、戻し汁は取っておく。
スズコ100gは茹でてアク抜きして幅3~4mmの斜め薄切りにし、キクラゲを幅5mm程度に切る。
油揚げは横に2等分し、さらに5mm幅の短冊に切り、熱湯をかけて油抜きしておく。
米は白米をふつうに炊いておく。シイタケの戻し汁に水を加えて200ccにしておく。
フライパンに薄く油を敷いてスズコ、油揚げ、キクラゲ、シイタケを炒める。
だいたい火が通ったら、戻し汁+水200cc、酒大匙1、味醂大匙2、醤油大匙2、昆布粉小匙1を入れて煮汁が少なくなるまで煮詰める。
火を止めて粗熱がとれたらボールで炊きたてのご飯とよく混ぜ、濡れた布巾をかぶせて数分蒸らしてできあがり。
・ポイント
ニンジンやコンニャクなどを入れて具沢山にしても美味しいです。
具材をご飯に混ぜる前に味見して甘味が足りなければ砂糖を足してください。

Fig.12 ハチク入りウド汁
サバ缶を利用した中部地方の郷土料理です。
ふつうはそれぞれ別に汁にしますが、今回は合わせて作ってみました。
【調理法】
ウドは茎の部位は皮を剥いて斜めに切り、茎先は食べやすい大きさに切り、酢水にさらしアク抜き。
ハチクは皮を剥いてナベに入る大きさに切って、たっぷりの水で水から煮て沸騰したら弱火にして20分程度煮る。煮えたらそのまま冷まし、水を換えながら3時間程晒しておく。
下処理の終わったハチクは下方の硬い部分は取り除き、食べやすい大きさに切る。
ナベに水800ccを入れて沸騰させ、サバ水煮缶1缶分、ウド、ハチクを入れ、再沸騰したら酒大匙1を加え、ひと煮立ちしたら味噌大匙2~3を加えてできあがり。
・ポイント
サバ水煮缶は汁ごと投入します。
ウドとハチクの量を少し減らして、大きめに切った木綿豆腐を入れても美味しいです。
ウド、ハチクともに採取した当日なら、アク抜きは不要です。
シャク

Fig.13 シャク (兵庫県但馬地方 2016.5/12)
兵庫県では南部ではほとんど見られない草本ですが、但馬地方では至る所で雑草のごとく生育しています。爽やかな香りがあり、開花前の柔らかい花茎や、花茎が上がる前のやわらかい葉などを利用します。画像のように開花したものはスジっぽくなって食べられません。

Fig.13 シャクのクルミ味噌和え
シャクはウドのような香りがありますが、ウドのようなキド味やアクは全くありません。
アクがないので、アイデア次第でいろいろな料理に利用できますが、これは定番の料理です。
【調理法】
シャクはやわらかい花茎を30秒ほど塩茹でして、冷水にとっておく。
クルミはフライパンで軽く乾煎りし、擂鉢で粗めに食感を多少残す程度にすり潰す。
ボールに味噌:醤油を2:1、砂糖少々を混ぜ合わせておく。
冷水に取ったシャクの水気を絞り、潰したクルミとともに調味料の入ったボールに入れて混ぜ合わせる。
・ポイント
シャクはアクがないので、さっと茹でるだけで大丈夫。

Fig.14 シャクとセリのうどんすき
セリ科2種をたっぷり入れて両種の香りと味を楽しむうどんすきです。
【調理法】
ナベに水を張り、出汁用昆布と冷凍キノコ2種以上を凍ったまま入れ、極弱火から20分程かけてゆっくり熱していく。沸騰直前に出汁昆布を引き上げ、沸騰したら中弱火にして出汁パックに入れた鰹節を入れてやや濃いめに煮出す。
出汁が出たら出汁パックを引き上げ、日本酒、醤油、塩を加え、味見して調整する。
長ネギ、木綿豆腐を入れ、豆腐が温まったら下茹でしたうどんか冷凍うどんとともにたっぷりのシャクとセリを入れる。
・ポイント
シャクやセリはすぐに火が通るので最後にうどんとともに投入します。
ヤマブキショウマ

Fig.15 ヤマブキショウマの出芽 (兵庫県但馬地方 2016.5/12)
アク抜きをうまくやればコクがあって美味しい山菜ですが、あまり知られていないようです。
但馬地方の高原地帯ではごくふつうに生育している種です。

Fig.16 ヤマブキショウマとハチクの白だし漬け
白だしによる淡白な味付けが、ヤマブキショウマのコクを活かします。
【調理法】
採取してきたヤマブキショウマは50℃洗いを30秒~1分程行い、冷水で冷やして水気を切って冷蔵庫に保存する。
ナベに水1Lに対して小麦粉大匙3、塩小匙1を入れて、泡だて器でよく掻き混ぜて完全に溶かし込む。
小麦粉が溶けたらナベを火にかけ、時々木ベラで底からゆっくりと掻き混ぜる。
沸騰したらヤマブキショウマを入れ、再沸騰したら弱火にして木ベラでゆっくり掻き混ぜながら4分弱煮込み、ザルに上げて冷水に晒す。
時々換水しながら3時間~半日アク抜きする。アク抜きの最中、味見しながら時間調整する。
小鍋に水:酒:白だしを3:1:2の割合で入れてひと煮立ちさせてアルコールを飛ばし、火を止めて冷ます。ヤマブキショウマとアク抜きしたハチクを食べやすい大きさに切り、ジップロックか容器に入れ、漬け汁を注ぐ。冷蔵庫に入れ1日置いたら食べられます。
・ポイント
私の場合、ヤマブキショウマのアク抜きは小麦粉水で3分40秒煮て、3時間程水で晒しています。
あまり長い時間水に晒すと旨味であるコクも抜けるので、小マメに味見するとよいです。
ゼンマイ

Fig.17 ゼンマイの出芽 (兵庫県篠山市 2016.4/22)
ゼンマイ自体はどこにでもあるものですが、充実した株で太くやわらかい芽を出す個体はどこにでもあるという訳ではないようです。ゼンマイも小麦粉水でアク抜きすることができます。

Fig.18 山菜3種のダシ醤油漬け
左からゼンマイ、ヤマブキショウマ、ワラビ。
ダシ醤油漬けは前回紹介しましたが、ゼンマイのアク抜き時間が少々異なります。
アク抜きしたゼンマイは様々な料理に利用できます。
【調理法】
ゼンマイの毛と胞子葉部を50度洗いまたは水洗いしながら毟り取り、鍋に収まる長さに揃えておく。
鍋に水1Lに対して小麦粉大匙3、塩小匙1を入れてダマが無くなるまで泡だて器でかき混ぜ、中火にかける。沸騰したらゼンマイを入れ、再沸騰したら弱火にし、木ベラで小麦粉が底に凝固しないように底からゆっくりかき混ぜ4分煮る。
ザルに上げて冷水にとって熱を取り、苦味が気にならなくまで水に晒しておく。
漬け汁を作る。水:酒:味醂:醤油を4:2:1:1cupの割合で鍋に入れて弱火に掛けて、沸騰したら削り節20gを入れてアクを取りながら2分間煮て、削り節は漉しとって除き放置して粗熱を取る。
粗熱が取れたらタッパーやジップロックに漬け汁を入れて、アク抜きの終わったゼンマイを1日漬け込む。
・ポイント
ゼンマイはワラビよりも多少アクが強いので、小麦粉水で4分煮るようにします。
4分を超えると繊維状に分解して溶けはじめるので、以後は水に晒してアク抜きします。
オオバギボウシ(ウルイ)

Fig.19 オオバギボウシの出芽 (兵庫県但馬地方 2016.5/12)
里山にも生育しているが、山地の草原の湿った場所に生えるものに太い芽を上げるものが多い。
降雨量の多い地域では、庭に植えておいて利用するのもよいだろう。

Fig.20 メカジキのスモーク、山菜4種のボイル、ムスリンソースで
淡白なメカジキを短時間熱燻して香りにアクセントを加え、アクの無い山菜、アク抜きした山菜を添えて、優しい味のムスリンソースで頂きます。
山菜は左からコゴミ、オオバギボウシ(ウルイ)、ヤマブキショウマ、ワラビ。
ワンプレートで複数の食材をバランスよくのせて、一つのソースで頂くというのは素材に対する試行錯誤が必要で、奥深いものがあります。
【調理法】
ヤマブキショウマとワラビは事前にアク抜きしておく。
メカジキの熱燻のために事前に漬け込むソミュール液を作る。水300ccに塩と砂糖ともに10g、ローズマリー、タイム、ディルなどの香草を混ぜる。
ソミュール液をジッパーに入れて2~3時間メカジキを漬けこむ。
メカジキを時間通り漬け込んだらよく水気を拭い去り、すのこを敷いたバットの上に並べ、扇風機を回して1時間風乾。メカジキの表面が乾いたら、中華鍋の底にアルミホイルを敷き、その上に一掴みのサクラのウッドチップ、大匙1のザラメを混ぜる。
さらにその上にメカジキからの脂や肉汁がチップにかからないようにアルミホイルを被せ、強中火にかける。鍋底のチップから煙が立ってきたら鍋の外径より少し小さな丸網を乗せ、その上にメカジキを並べ蓋をする。
そのまま中火で5分熱燻し、火をとめて蓋をしたまま冷めるまで放置する。ソース用の卵1~2個を冷蔵庫から出して室温に戻す。
メカジキが冷めたらビニール袋に入れ、中の空気をしっかり抜いて口を結んで、60~70℃の湯で40分湯煎する。メカジキを湯煎する間、コゴミとオオバギボウシを塩茹でする。コゴミは5分、オオバギボウシは1分塩茹でし、冷水に取る。
山菜類は食べやすい大きさに切り、ワンプレートの皿の上方に並べておく。
卵を固ゆでして流水中で殻を剥いて冷まし、細かく刻んでおく。さらにムスリンソースを作る。
室温に戻した卵を卵黄と卵白に分け、卵白は卵黄よりやや大きめのボールに入れる。
卵黄1個分に対してディジョン・マスタード小匙1を入れてよく混ぜる。
良質な米油、グレープシードオイル、オリーブオイルなどを卵黄1個分に対して200cc用意しておく。
卵黄とマスタードを混ぜたものに、少しずつオイルを足しては小さな泡だて器で混ぜることを繰り返し、マヨネーズくらいのネバリが出たら、オイルを足すのを止めて、味見し掻き混ぜながら塩をを加える。この状態がマヨネーズ状態あるいはオランデーズ・ソースとされているもので、マヨネーズは簡単に自家製できます。
湯煎が終わる5分前に大きめのボールに分けておいた卵白を泡だて器で休み無く素早くメランジェして泡立てる。卵白の液がほとんど泡状となったら、マヨネーズ状のオランデーズ・ソースをなるべく泡を壊さないようにさっくりと混ぜる。
皿に並べた山菜の下方に湯煎したメカジキを置いて、ソースをたっぷりとかけ、メカジキの上に刻んだゆで卵を乗せる。
・ポイント
メカジキは単に火を通して燻香をつけるなら中火で熱燻20分すればよいのですが、食感を柔らかくするため短時間熱燻したあと、湯煎で低温調理しています。
メカジキの食感が硬めでよいのであれば熱燻20分して放置し、湯煎する必要はありません。
オランデーズ・ソースはホワイト・アスパラのソースの定番で、アスパラの味と風味に近いコゴミ、オオバギボウシが美味しく食べられると思い採用してみました。
卵白を無駄にしないためメランジェしてオランデーズ・ソースに混ぜ、ふんわりとしたムスリン・ソースにします。
卵黄に油を加える際には少しずつ混ぜながら加える。
油を一度に大量に加えるを卵黄と油が分離してしまいます。
サンショウ

Fig.21 若い実をつけたアサクラザンショウ (西宮市 2016.5/12)
耕作放棄地が増えるにしたがって、かつて利用されていたはずのサンショウが、草深い土手などで人知れず結実しているのをよく見かけるようになりました。
画像のものもそのひとつで、やがては周囲の低木に埋もれてしまいそうです。
サンショウは在来種。古くから利用されてきた香辛料で、様々な利用法があります。

Fig.22 サンショウの雄花(花山椒)
木の芽が出回り始める時期にわずかに市場に流通しています。
これは植林地で放置されていた株から採取したもので、今回は鍋に利用します。
基本はスキヤキですが、1年のうちでもわずかな期間だけ楽しめる贅沢な鍋料理です。

Fig.23 花山椒鍋
国産の花山椒は中華で利用する「花椒」とは異なります。
「花椒」は国産のサンショウとは種が異なり、カホクザンショウの果皮を乾燥させたものです。
花山椒は実山椒や花椒と比べて香り高く、それでいて刺激のやわらかなもので、沢山食べられます。
【調理法】
先に書いたように基本スキヤキですが、牛肉の扱いが多少異なります。
最初に出汁用に牛肉4~5枚を少量の牛脂で炒めて肉汁を出してから割り下を加え、具材を入れていきます。具材は冷凍キノコ数種(出汁用)、ささがきゴボウなどの根菜類、ネギなどの葉物野菜、豆腐や厚揚げの順に入れていきます。
花山椒は最後にたっぷりと投入し、牛肉をしゃぶしゃぶのようにして、花山椒を包んで溶いた生卵をつけて頂きます。〆にはうどんがよく合います。
・ポイント
花山椒は肉の量に合わせて数回に分けて投入するので、充分な量を用意しておきます。

Fig.24 イワシの山椒焼き
なんか画像がイマイチですが、味は絶品です。
実山椒の佃煮を利用したもので、毎年大量に作っています。
佃煮のレシピはネット上に沢山あるので、ここでは省きます。
【調理法】
イワシは頭を切り落として内蔵を取り、手開きして骨を取ったのち30~40℃のぬるま湯に10分ほどつけおき、血抜きして臭みをとる。
血抜きしたら冷水で軽く洗って水気を拭き取り、ジッパーやビニール袋に入れる。
袋の中に実山椒の佃煮と塩麹を入れて口を閉じ、イワシに揉み込み、冷蔵庫で1時間ほど漬け込んでおく。トースターを200℃で余熱しておく。
1時間程経ったら袋からイワシを取り出し、表面の塩麹を拭い取り、イワシの開いた面に実山椒を並べて、開いた面を閉じる。
アルミホイルを一度軽くクシャクシャにして、凹凸が残る状態でトースターの網の上に広げる。
アルミホイルの上にイワシを並べて軽く酒を振ったのち、焦げ防止にもう1枚アルミホイルを上から被せて10分焼く。10分経ったら被せていたアルミホイルを取り除き、焼き色がつくまで焼く。
・ポイント
実山椒は硬くなっていない弾力のある若い実を摘んで佃煮にする。
イワシは腹膜と血合いに臭みがあるので、ぬるま湯に漬けて臭みのある部分を除きながら血抜きする。
下に敷くアルミホイルをクシャクシャにすることで、余分な脂をホイルの凹部に落とします。
画像のものは手抜きをしてホイルを被せなかったので、少し焦げ付いてしまいました
モミジガサ(シドケ)

Fig.25 モミジガサ (兵庫県但馬地方 2016.5/12)
中部地方や東北地方ではよく利用されている山菜ですが、西日本で利用する人はほとんどいないようです。独特なクセのある山菜ですが、食べ慣れるとこのクセが病みつきになります。

Fig.26 モミジガサの塩揉み
モミジガサの独特のクセが味わえるシンプルな1品です。
その年の最初に獲ったモミジガサは、先ずこのレシピで味わっています。
【調理法】
モミジガサは茎先は残して葉の部分は取り除き、沸騰した湯に塩を一つまみ入れて塩茹でする。
再沸騰したら1分でザルに空けて、すぐに冷水に取る。
水気を除き食べやすい大きさに切ってボールに入れ、多目の塩を振ってしっかり目に揉み込む。
アクと水分がでてくるのでそれを捨てて、器に盛ってできあがり。
・ポイント
塩揉みするとアクが出てくるので、アク抜きは不要です。
塩揉みするとしゃっきり感は無くなるので、歯応えを期待するなら別の調理法で。

Fig.27 モミジガサとヤマブキショウマの豚肉ロール、バルサミコ・ソース
独特のクセやコクのある山菜は豚肉とよく合います。
酸味と甘味のあるソースであっさりと頂けます。
【調理法】
モミジガサのアク抜き。沸騰した湯に塩を一つまみ入れて塩茹でする。
再沸騰したら1分でザルに空けて、すぐに冷水に取り、水に10~30分晒してアク抜きする。
ヤマブキショウマは小麦粉水でアク抜きしておく。
豚バラ肉の薄切りを広げ、軽く塩コショウして下味を付け、モミジガサとヤマブキショウマをそれぞれ別に斜めに巻いていく。
巻き終わったら外側に片栗粉をまぶし、余分な粉をはたき落とす。
フライパンに油を敷いて巻き終わりの部分を下にして焼き始め、途中から転がしながら外側がパリッとするまで焼く。
焼けたら熱いうちにアルミホイルに包んで寝かし、その間にバルサミコ・ソースを作ります。
小鍋に卸したタマネギ大匙2、バルサミコ酢大匙1、赤ワイン大匙1/2、醤油大匙1、メープルシロップまたは蜂蜜大匙1/2、刻んだプルーン1個分をフライパンに入れて弱火にかけ、少しトロ味がついたら火を止める。寝かせていた肉ロールを皿に並べて、バルサミコ・ソースをかけて頂きます。
・ポイント
モミジガサは長く水に晒すと、独特のクセが薄れるのでほどほどに。
モミジガサとヤマブキショウマは別々の肉で巻きます。

Fig.28 モミジガサとノビルの餃子
モミジガサは葉を、ノビルはムカゴや蕾のついた花茎上部の柔らかい部分を利用します。
一度に大量に作って冷凍しておくと、季節に関係なく楽しめます。
【調理法】
モミジガサの葉はボールに入れて熱湯を回し掛けて湯通しし、すぐにザルに上げて冷水に取る。
よく絞って水気を切ったら幅2~3mmに刻みます。ノビル坊主も洗って微塵切りに。
刻んだモミジガサの葉をノビル坊主をボールに入れ、塩を振ってしっかり塩揉みする。
塩揉みして出てきた水分を捨て、水気をしっかり絞る。
半解凍状態の豚挽き肉(200g)に、下処理の終わったモミジガサとノビル坊主、摺り下ろしたショウガ1片分、鶏がらスープの素大匙1、昆布粉小匙1/2、米油小匙1、酒50ccを加えてよく捏ね混ぜる。
餃子の皮に具を包みます。小さな器に水50cc、薄力粉小匙1を入れて水溶き薄力粉をつくっておく。
フライパンに油を敷き、餃子を入れて中火で下面に焼き色がついたら、水溶き薄力粉をよく混ぜて回しかけ、蓋を被せて3分蒸し焼きにする。
3分たったら蓋を取って水分を飛ばし、餃子のフチが少し反り返ったら、鍋肌にゴマ油を回しかけ香り付けして完成。
・ポイント
モミジガサの葉はたっぷりと入れてください。
ノビル坊主を使うのでニンニクは入れていませんが、ニンニク好きの方はニンニクの摺り下ろしをお好みの量入れてください。
水溶き薄力粉で蒸すことによって羽根付き餃子に仕上がります。
豚肉に合うフキノトウ、セリ、シャク、タラノメ、コシアブラ、ウドなどの山菜も応用できます。
ジューシーな餃子がお好みなら、挽き肉に背脂かラードを混ぜてください。
その他の山菜

Fig.29 ツリガネニンジン(サイヨウシャジン) (兵庫県篠山市 2016.4/22)
どこにでもある山菜で、アクやクセはほとんどなく様々な料理に利用できます。

Fig.30 ナルコユリ (兵庫県但馬地方 2016.5/12)
甘味の強い山菜で、ホワイトアスパラのようにオランデーズ・ソースで味わうのがよい。
出芽状態は有毒のホウチャクソウにやや似ているので注意が必要です。

Fig.31 山菜の天ぷら盛り合わせ
山菜料理の定番。
中央左下から時計周りで、若い実山椒の花序、スズコ、ナルコユリ、結んだノビル坊主、ハリエンジュの花序、ヤマブキショウマ、ワラビ、モミジガサ、ウド、タラノメ、ツリガネニンジン。
山菜の天ぷらは食卓中央に天ぷら鍋を置いて、好きなものに天ぷら粉をつけてその場で揚げていくのが最高の食べ方です。
おまけの山菜料理

Fig.32 クレソンのサルシッチャ炒め
サルシッチャをほぐしながらクレソンを炒めた、クレソン大量消費の簡単料理。

Fig.33 クレソンのポタージュ
クレソンの爽やかな苦味が味わえます。

Fig.34 セリと鮭のポタージュ
ディルを使うところをセリに置きかえたら、ディルとはまた違った風味で美味に。
今回はウド、チシマザサ(スズコ)、シャク、ヤマブキショウマ、ゼンマイ、オオバギボウシ、サンショウ、モミジガサなどを取り上げます。
なお、山野草の利用は各自の自己責任でお願いいたします。
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ウド

Fig.1 ウド (兵庫県但馬地方 2016.5/12)
里山の林縁などにも点々と生育しているのを見ますが、山地の高原では沢山収穫できます。
収量が多いときはアク抜きして冷凍保存します。

Fig.2 ウドの味噌漬け
天然ウドを沢山獲った時には必ず作る定番です。
【調理法】
ウドは茎の部分を使い、表面の皮をむいて熱湯に5~10分漬けてアク抜きする。
冷水に取って水気を切り、浅漬け用の容器に入れ、味噌:味醂を5:1の分量で漬け込み、重しネジで締め付けて冷蔵庫に。翌日から食べられ、冷蔵庫で1週間~10日程度日持ちします。
・ポイント
浅漬け用の容器で重しをかけることによって水気を出し、日持ちするようにします。

Fig.3 ウド・春キャベツ・アサリの酒バター蒸し
ウドとアサリだけで風味も旨味も充分ですが、野菜も沢山食べれるメニューに。
【調理法】
アサリは2時間程度ひたひたの塩水につけて、新聞紙を被せて砂出ししておく。
ウドの茎は皮を剥いて3~4mm幅の斜め薄切りにし、酢水につけ置き、キャベツは1口サイズに適当に切っておく。
フライパンにバター少々、酒(アサリ1パックに対して50~100cc)、ニンニク薄切り、キャベツ、ウド、アサリを入れて強火で煮立て、アサリが開いたら完成。
・ポイント
野菜は春キャベツの他、アスパラガス、ベビーコーン、新タマネギ、キノコ類などお好みで。
アサリは直前に50℃洗いすると甘味と旨味が増します。
食す後半に茹でたパスタを加えても美味しく頂けます。

Fig.4 ウドそぼろ
ウドと豚の挽き肉を使ったそぼろ。塩そぼろでも味噌そぼろでも美味です。
【調理法】
①塩そぼろの場合
豚肉はウドの1/2量を用意し、フードプロセッサーでミンチにして、少量の酒を振りかけておく。
ウドは茎先と若い葉を細かく刻み、アク抜きはしない。
フライパンに豚挽き肉を油を敷かずに入れて、木ベラなどで切るように中火で炒める。
肉にだいたい火が通ったら刻んだウドを入れてウドが鮮やかな緑色になるまで炒める。
ウドの色が変わったら天日塩(豚肉約400gに対して小匙1杯)を入れ、粗引きコショウをミルでたっぷりと挽き入れる。
②味噌そぼろの場合
豚挽き肉とウドは塩そぼろと同様な仕込みをしておく。
鷹の爪1本を2等分し、つまようじなどで中の種子を取り除いておく。
フライパンに油を敷かず豚挽き肉とともに鷹の爪を入れて、木ベラなどで切るように中火で炒める。
肉にだいたい火が通ったら刻んだウドを入れてウドが鮮やかな緑色になるまで炒める。
ウドの色が変わったら酒と味噌を1:1の分量、好みにより味醂や昆布ダシ、砂糖を加える。
・ポイント
辛味は塩そぼろにはコショウ、味噌そぼろには鷹の爪が合います。
油は豚挽き肉から出たものを利用します。
仕上げにゴマ油を回しかけるとより香ばしくなります。
ニンニク、ショウガ、ネギなどの微塵切り、摺りゴマ、七味唐辛子などを加えて様々にアレンジできます。ウドのかわりにタラノメを使っても美味しくできます。

Fig.5 ウドとコゴミのグラタン
画像は冷凍保存していたキクイモのポタージュをグラタンソースに利用した山菜グラタンです。
調理法では正統的なグラタンソースの作り方を紹介しています。
【調理法】
タマネギ1/2個(2~3人分)を5mm幅にスライスする。
ウドは茎の皮を剥いて5mm幅の斜め切りにし、酢水に漬け置く。
コゴミは3~5分下茹でして、冷水にとって色止めしておく。
卵は冷蔵庫から出して室温に戻し、牛乳400ccを湯煎しておく。
オーブン又はトースターを200度に加熱しておく。
フライパンにバター大匙1/2を弱火で溶かし、バター溶けたらスライスしたタマネギをフライパンに入れて強中火にして、しんなりするまで炒める。
タマネギがしんなりしたらウドを加えて2分程度炒め、小麦粉大匙2杯(2~3人分)を入れてよく馴染ませながら炒める。
小麦粉が馴染んだら牛乳を少しずつ加えながら、小麦粉がダマにならないよう泡だて器でよく混ぜる。
牛乳を全て混ぜてとろみが出たら、塩・コショウ・ナツメグを少々加えて火を止める。
グラタン皿にウドとコゴミを交互に並べてグラタンソースを流し込み、シュレッド・チーズ、パルミジャーノ・レッジャーノをかける。
室温に戻した卵をグラタン皿に割り入れて、オーブンに入れて卵が半熟になるまで様子を見ながら加熱する。
・ポイント
グラタン・ソース(ベシャメル・ソース)は大量に作っておいて冷凍保存しておくと便利です。
グラタン・ソースはホワイト・シチューやクリーム系のポタージュでも代用できます。
茎の太いボリュームのある山菜類はグラタンにするとよく合います。
ウドはやわらかい食感が好きな場合には下茹でしておきます。

Fig.6 ウドとワラビの炊き込みご飯
春から初夏にかけて山菜の炊き込みご飯を何度も作ります。
ウドを利用した炊き込みご飯や混ぜご飯は、春から初夏にかけての我が家での定番です。
【調理法】2合分
白米2合を軽く研いでザルに上げておく。
ウドの茎の皮を剥き、3~4cmのぶつ切りにし、さらに3~5mmの短冊切りにし、切った端から酢水に漬けておく。ワラビはアク抜きしたものを長さ3~4cmに切っておく。
油揚げは横半分に切って幅4~5mm程度の短冊切りにしてザルにいれ、熱湯をかけて油抜きする。
炊飯器に白米を入れ、醤油・味醂・酒を各大匙1杯、出し醤油または白出汁を小匙1杯、天日塩・甜菜糖少々を入れてよくかき混ぜる。
炊飯器の釜に2合分の目盛りまで水を入れ、ウド、ワラビ、油揚げを上に広げて炊飯器のスウィッチを入れる。炊き上がったらよく混ぜて再度蓋を閉め、30分ほど蒸らして出来上がり。
・ポイント
山菜の炊き込みご飯自体は簡単なものですが、どんなオカズと組み合わせるかが思案のしどころ。
炊き込みご飯と混ぜご飯が連日続く場合は、飽きのこない常備菜を作り置きしたり、卵料理をサッと作るようにしています。
チシマザサ(ネマガリダケ、スズコ)やハチクなどのタケノコ類(スズコ・モウソウチク・ハチク・メダケ・ホテイチクなど)

Fig.6 チシマザサの筍 (兵庫県但馬地方 2016.5/12)
兵庫県では日本海側の標高約800m以上の高原地帯に生育しています。
氷ノ山周辺では一体どうやって担ぎ下ろすのかと思うくらい麻袋に大量に収穫している人を見る。
私見ではチシマザサよりもハチクやホテイチクのほうが利用価値が高いと感じる。

Fig.7 ハチクの筍 (西宮市 2016.5/12)
伐採後のハチク林では翌年初夏に沢山の筍が出てきます。
いずれのタケノコ類も保存するには10%以上の塩水で全体が漬かるように冷蔵保存すれば半年~1年保存可能です。塩抜きするには水道水で1日に数度水換えし、2~3日塩抜きして利用します。
メダケの筍の場合はアクが強いので、モウソウチク(一般に流通するタケノコ)よりもヌカを多めにしてアク抜きします。

Fig.8 焼きスズコ
チシマザサ採取は初夏の登山の楽しみの一部です。
チシマザサの筍採取は、群生して斜面を覆う群落の多過を適度にコントロールする作用もあります。
チシマザサの筍はツキノワグマの初夏の主要な食餌であるため、採取する際にはクマ対策をしっかりしてください。
【調理法】
8時間以内に採取したスズコ(チシマザサの筍)を洗って泥を落として水気を切る。
あらかじめ200度にオーブン又はトースターを加熱しておく。
オーブンで加熱する間に調味料を用意しておく。
水を切ったスズコをオーブンに並べ入れ、皮が乾燥して一部が焦げ付いたらオーブンから取り出す。
熱いうちに皮を剥き、用意した調味料をつけて筍の上から下に向かって食べる。
下方の筋が発達して噛み切れない部分は食べずに残す。
調味料の例:天日塩、藻塩、昆布塩、醤油、味噌、塩オリーブオイル、辛子マヨネーズ、醤油マヨ、化学調味料無添加の梅昆布茶など
・ポイント
スズコ採取初日の贅沢な食べ方。アクはほとんど感じられません。
モウソウチクは獲った直後、ハチク、ホテイチクでは採取8時間以内でスズコ同様に楽しめます。
ホテイチクは最もアクがなく肉厚で甘味があり利用価値の高い筍で、採取適期はライバルが多く、執着心のない私にはなかなかありつけません。今年も味わえませんでした。

Fig.9 ウド・スズコ・燻製サバのピザ
燻製のサバと山菜のキド味がよく合って絶品です。
我が家では通常のマルゲリータやミックスピザも一緒に作って食べ較べて楽しんでいます。
【調理法】
ヒメダケの処理方法。収穫したスズコは沸騰した水をたっぷり入れた大きな鍋に皮をつけたまま入れて10分茹で、火を止めてそのまま冷めるまで放置する。
冷めたらスズコの皮を剥き、水を換えながら3時間~半日晒してアクを抜く。アク抜きの終わったスズコは水を張った容器で毎日水換えしながら冷蔵保存して5日以内に使いきる。
5日以内に使いきれない分は、10%以上の塩水に漬け込んで冷蔵庫で保存する。
塩サバのフィレをキッチン・ペーパーとラップで包み込み、ペーパーを毎日取り替えながら2~3日間水気を取った後、すのこを敷いたバットに並べて1昼夜冷蔵庫で乾かす。
中華鍋に厚めのアルミホイルを敷いて、燻製用のサクラ・チップを一掴みとザラメ少々を混ぜてのせ、チップの上にアルミホイルを被せて強火にかける。
チップから煙が出たら、中華鍋の直径よりも少し小さな円形の焼き網を載せ、その上に乾かした塩サバのフィレを置いて蓋を被せ、強火のまま5分、その後極弱火にして20分燻製にかけて火を止めて冷めるまで放置する。常温になったらラップにくるんで冷蔵庫で1日寝かせて味と香りを馴染ませます。
ウドは細めの茎を軽く塩茹でしてアク抜きしておく。
バジル1束とその半量の松の実(クルミ、カシューナッツでも代用可)、塩麹、EXオリーブオイル、塩コショウ少々をフードプロセッサーにかけてバジルペーストを作る。
シイタケの柄を取り除いて薄くスライスし、オーブン又はトースターを220℃で余熱しておく。
ピザ生地にバジルペーストを塗り広げた上に、粗めにほぐしたサバ燻製を散らし、その上にスライスしたシイタケを並べる。
次に中心から放射状にスズコとウドを交互に並べ、その上にシュレッド・チーズを散らし、オーブンで6~8分焼きチーズに軽く焦げ目がついたら取り出す。
焼きあがったピザの中央部にウドそぼろを盛って完成。
・ポイント
サバ缶を利用しても美味ですが、ひと手間かけて塩サバを燻製して使うと一段と美味しくなります。
塩サバを乾かす場合は室内で扇風機を使って表面を1時間乾かすことで、行程を短縮することができます。サクラのチップが手元にない場合は紅茶と麦茶の茶葉を混ぜたもので代用可能です。
スモークしたサバは冷蔵庫で1週間程保存可能です。
スズコは冷凍保存すると歯ごたえや風味が落ちるので濃度10%以上の塩水に漬け込んで保存します。
塩水漬けのスズコは冷蔵庫で1年以上保存可能で、料理する前に2,3日換水しながら塩抜きします。
バジルペーストは市販のジェノベーゼソースでも代用可能ですが、少し塩味がきつくなります。
ピザ生地はふっくらした厚味のある自家製のものがベストですが、厚めの市販のものを利用しても美味しくできます。

Fig.10 スズコ・新タマネギ・サクラエビの掻揚げ風
旬のものを少量の油で炒め揚げにしました。酒のつまみにぴったり!
【調理法】
茹でてアク抜きしたスズコは3cmに切ってさらに薄切りにする。
新タマネギは縦に2分し、くし切りにしておく。
スズコ、タマネギ、サクラエビ、小麦粉大匙2~3杯をボールに入れ混ぜる。
別のボールに卵1個を割り入れ、同量程度の水を入れてよくかき混ぜる。
混ざったらスズコ、タマネギ、サクラエビのボールに入れて混ぜる。
フライパンに5mm程度の炒め揚げ用の油を張って熱する。
フライ返しでボールのネタをすくってフライパンに入れ、バラけないように整えながら炒め揚げる。
裏返して軽く色付いたら油から上げて、よく油分を切る。
皿に盛り付けて、塩か天つゆをつけて頂く。
・ポイント
勿論ふつうの掻揚げにしてもOKです。
ウドの皮を千切りにして混ぜても美味しいです。
画像のものは衣に冷凍保存したセリのみじん切りを混ぜています。

Fig.11 スズコの混ぜご飯
春の混ぜご飯の定番です。
【調理法】3合分
干しシイタケ15gを1時間程水で戻し、柄の部分は除いて傘の部分を薄切りにし、戻し汁は取っておく。
スズコ100gは茹でてアク抜きして幅3~4mmの斜め薄切りにし、キクラゲを幅5mm程度に切る。
油揚げは横に2等分し、さらに5mm幅の短冊に切り、熱湯をかけて油抜きしておく。
米は白米をふつうに炊いておく。シイタケの戻し汁に水を加えて200ccにしておく。
フライパンに薄く油を敷いてスズコ、油揚げ、キクラゲ、シイタケを炒める。
だいたい火が通ったら、戻し汁+水200cc、酒大匙1、味醂大匙2、醤油大匙2、昆布粉小匙1を入れて煮汁が少なくなるまで煮詰める。
火を止めて粗熱がとれたらボールで炊きたてのご飯とよく混ぜ、濡れた布巾をかぶせて数分蒸らしてできあがり。
・ポイント
ニンジンやコンニャクなどを入れて具沢山にしても美味しいです。
具材をご飯に混ぜる前に味見して甘味が足りなければ砂糖を足してください。

Fig.12 ハチク入りウド汁
サバ缶を利用した中部地方の郷土料理です。
ふつうはそれぞれ別に汁にしますが、今回は合わせて作ってみました。
【調理法】
ウドは茎の部位は皮を剥いて斜めに切り、茎先は食べやすい大きさに切り、酢水にさらしアク抜き。
ハチクは皮を剥いてナベに入る大きさに切って、たっぷりの水で水から煮て沸騰したら弱火にして20分程度煮る。煮えたらそのまま冷まし、水を換えながら3時間程晒しておく。
下処理の終わったハチクは下方の硬い部分は取り除き、食べやすい大きさに切る。
ナベに水800ccを入れて沸騰させ、サバ水煮缶1缶分、ウド、ハチクを入れ、再沸騰したら酒大匙1を加え、ひと煮立ちしたら味噌大匙2~3を加えてできあがり。
・ポイント
サバ水煮缶は汁ごと投入します。
ウドとハチクの量を少し減らして、大きめに切った木綿豆腐を入れても美味しいです。
ウド、ハチクともに採取した当日なら、アク抜きは不要です。
シャク

Fig.13 シャク (兵庫県但馬地方 2016.5/12)
兵庫県では南部ではほとんど見られない草本ですが、但馬地方では至る所で雑草のごとく生育しています。爽やかな香りがあり、開花前の柔らかい花茎や、花茎が上がる前のやわらかい葉などを利用します。画像のように開花したものはスジっぽくなって食べられません。

Fig.13 シャクのクルミ味噌和え
シャクはウドのような香りがありますが、ウドのようなキド味やアクは全くありません。
アクがないので、アイデア次第でいろいろな料理に利用できますが、これは定番の料理です。
【調理法】
シャクはやわらかい花茎を30秒ほど塩茹でして、冷水にとっておく。
クルミはフライパンで軽く乾煎りし、擂鉢で粗めに食感を多少残す程度にすり潰す。
ボールに味噌:醤油を2:1、砂糖少々を混ぜ合わせておく。
冷水に取ったシャクの水気を絞り、潰したクルミとともに調味料の入ったボールに入れて混ぜ合わせる。
・ポイント
シャクはアクがないので、さっと茹でるだけで大丈夫。

Fig.14 シャクとセリのうどんすき
セリ科2種をたっぷり入れて両種の香りと味を楽しむうどんすきです。
【調理法】
ナベに水を張り、出汁用昆布と冷凍キノコ2種以上を凍ったまま入れ、極弱火から20分程かけてゆっくり熱していく。沸騰直前に出汁昆布を引き上げ、沸騰したら中弱火にして出汁パックに入れた鰹節を入れてやや濃いめに煮出す。
出汁が出たら出汁パックを引き上げ、日本酒、醤油、塩を加え、味見して調整する。
長ネギ、木綿豆腐を入れ、豆腐が温まったら下茹でしたうどんか冷凍うどんとともにたっぷりのシャクとセリを入れる。
・ポイント
シャクやセリはすぐに火が通るので最後にうどんとともに投入します。
ヤマブキショウマ

Fig.15 ヤマブキショウマの出芽 (兵庫県但馬地方 2016.5/12)
アク抜きをうまくやればコクがあって美味しい山菜ですが、あまり知られていないようです。
但馬地方の高原地帯ではごくふつうに生育している種です。

Fig.16 ヤマブキショウマとハチクの白だし漬け
白だしによる淡白な味付けが、ヤマブキショウマのコクを活かします。
【調理法】
採取してきたヤマブキショウマは50℃洗いを30秒~1分程行い、冷水で冷やして水気を切って冷蔵庫に保存する。
ナベに水1Lに対して小麦粉大匙3、塩小匙1を入れて、泡だて器でよく掻き混ぜて完全に溶かし込む。
小麦粉が溶けたらナベを火にかけ、時々木ベラで底からゆっくりと掻き混ぜる。
沸騰したらヤマブキショウマを入れ、再沸騰したら弱火にして木ベラでゆっくり掻き混ぜながら4分弱煮込み、ザルに上げて冷水に晒す。
時々換水しながら3時間~半日アク抜きする。アク抜きの最中、味見しながら時間調整する。
小鍋に水:酒:白だしを3:1:2の割合で入れてひと煮立ちさせてアルコールを飛ばし、火を止めて冷ます。ヤマブキショウマとアク抜きしたハチクを食べやすい大きさに切り、ジップロックか容器に入れ、漬け汁を注ぐ。冷蔵庫に入れ1日置いたら食べられます。
・ポイント
私の場合、ヤマブキショウマのアク抜きは小麦粉水で3分40秒煮て、3時間程水で晒しています。
あまり長い時間水に晒すと旨味であるコクも抜けるので、小マメに味見するとよいです。
ゼンマイ

Fig.17 ゼンマイの出芽 (兵庫県篠山市 2016.4/22)
ゼンマイ自体はどこにでもあるものですが、充実した株で太くやわらかい芽を出す個体はどこにでもあるという訳ではないようです。ゼンマイも小麦粉水でアク抜きすることができます。

Fig.18 山菜3種のダシ醤油漬け
左からゼンマイ、ヤマブキショウマ、ワラビ。
ダシ醤油漬けは前回紹介しましたが、ゼンマイのアク抜き時間が少々異なります。
アク抜きしたゼンマイは様々な料理に利用できます。
【調理法】
ゼンマイの毛と胞子葉部を50度洗いまたは水洗いしながら毟り取り、鍋に収まる長さに揃えておく。
鍋に水1Lに対して小麦粉大匙3、塩小匙1を入れてダマが無くなるまで泡だて器でかき混ぜ、中火にかける。沸騰したらゼンマイを入れ、再沸騰したら弱火にし、木ベラで小麦粉が底に凝固しないように底からゆっくりかき混ぜ4分煮る。
ザルに上げて冷水にとって熱を取り、苦味が気にならなくまで水に晒しておく。
漬け汁を作る。水:酒:味醂:醤油を4:2:1:1cupの割合で鍋に入れて弱火に掛けて、沸騰したら削り節20gを入れてアクを取りながら2分間煮て、削り節は漉しとって除き放置して粗熱を取る。
粗熱が取れたらタッパーやジップロックに漬け汁を入れて、アク抜きの終わったゼンマイを1日漬け込む。
・ポイント
ゼンマイはワラビよりも多少アクが強いので、小麦粉水で4分煮るようにします。
4分を超えると繊維状に分解して溶けはじめるので、以後は水に晒してアク抜きします。
オオバギボウシ(ウルイ)

Fig.19 オオバギボウシの出芽 (兵庫県但馬地方 2016.5/12)
里山にも生育しているが、山地の草原の湿った場所に生えるものに太い芽を上げるものが多い。
降雨量の多い地域では、庭に植えておいて利用するのもよいだろう。

Fig.20 メカジキのスモーク、山菜4種のボイル、ムスリンソースで
淡白なメカジキを短時間熱燻して香りにアクセントを加え、アクの無い山菜、アク抜きした山菜を添えて、優しい味のムスリンソースで頂きます。
山菜は左からコゴミ、オオバギボウシ(ウルイ)、ヤマブキショウマ、ワラビ。
ワンプレートで複数の食材をバランスよくのせて、一つのソースで頂くというのは素材に対する試行錯誤が必要で、奥深いものがあります。
【調理法】
ヤマブキショウマとワラビは事前にアク抜きしておく。
メカジキの熱燻のために事前に漬け込むソミュール液を作る。水300ccに塩と砂糖ともに10g、ローズマリー、タイム、ディルなどの香草を混ぜる。
ソミュール液をジッパーに入れて2~3時間メカジキを漬けこむ。
メカジキを時間通り漬け込んだらよく水気を拭い去り、すのこを敷いたバットの上に並べ、扇風機を回して1時間風乾。メカジキの表面が乾いたら、中華鍋の底にアルミホイルを敷き、その上に一掴みのサクラのウッドチップ、大匙1のザラメを混ぜる。
さらにその上にメカジキからの脂や肉汁がチップにかからないようにアルミホイルを被せ、強中火にかける。鍋底のチップから煙が立ってきたら鍋の外径より少し小さな丸網を乗せ、その上にメカジキを並べ蓋をする。
そのまま中火で5分熱燻し、火をとめて蓋をしたまま冷めるまで放置する。ソース用の卵1~2個を冷蔵庫から出して室温に戻す。
メカジキが冷めたらビニール袋に入れ、中の空気をしっかり抜いて口を結んで、60~70℃の湯で40分湯煎する。メカジキを湯煎する間、コゴミとオオバギボウシを塩茹でする。コゴミは5分、オオバギボウシは1分塩茹でし、冷水に取る。
山菜類は食べやすい大きさに切り、ワンプレートの皿の上方に並べておく。
卵を固ゆでして流水中で殻を剥いて冷まし、細かく刻んでおく。さらにムスリンソースを作る。
室温に戻した卵を卵黄と卵白に分け、卵白は卵黄よりやや大きめのボールに入れる。
卵黄1個分に対してディジョン・マスタード小匙1を入れてよく混ぜる。
良質な米油、グレープシードオイル、オリーブオイルなどを卵黄1個分に対して200cc用意しておく。
卵黄とマスタードを混ぜたものに、少しずつオイルを足しては小さな泡だて器で混ぜることを繰り返し、マヨネーズくらいのネバリが出たら、オイルを足すのを止めて、味見し掻き混ぜながら塩をを加える。この状態がマヨネーズ状態あるいはオランデーズ・ソースとされているもので、マヨネーズは簡単に自家製できます。
湯煎が終わる5分前に大きめのボールに分けておいた卵白を泡だて器で休み無く素早くメランジェして泡立てる。卵白の液がほとんど泡状となったら、マヨネーズ状のオランデーズ・ソースをなるべく泡を壊さないようにさっくりと混ぜる。
皿に並べた山菜の下方に湯煎したメカジキを置いて、ソースをたっぷりとかけ、メカジキの上に刻んだゆで卵を乗せる。
・ポイント
メカジキは単に火を通して燻香をつけるなら中火で熱燻20分すればよいのですが、食感を柔らかくするため短時間熱燻したあと、湯煎で低温調理しています。
メカジキの食感が硬めでよいのであれば熱燻20分して放置し、湯煎する必要はありません。
オランデーズ・ソースはホワイト・アスパラのソースの定番で、アスパラの味と風味に近いコゴミ、オオバギボウシが美味しく食べられると思い採用してみました。
卵白を無駄にしないためメランジェしてオランデーズ・ソースに混ぜ、ふんわりとしたムスリン・ソースにします。
卵黄に油を加える際には少しずつ混ぜながら加える。
油を一度に大量に加えるを卵黄と油が分離してしまいます。
サンショウ

Fig.21 若い実をつけたアサクラザンショウ (西宮市 2016.5/12)
耕作放棄地が増えるにしたがって、かつて利用されていたはずのサンショウが、草深い土手などで人知れず結実しているのをよく見かけるようになりました。
画像のものもそのひとつで、やがては周囲の低木に埋もれてしまいそうです。
サンショウは在来種。古くから利用されてきた香辛料で、様々な利用法があります。

Fig.22 サンショウの雄花(花山椒)
木の芽が出回り始める時期にわずかに市場に流通しています。
これは植林地で放置されていた株から採取したもので、今回は鍋に利用します。
基本はスキヤキですが、1年のうちでもわずかな期間だけ楽しめる贅沢な鍋料理です。

Fig.23 花山椒鍋
国産の花山椒は中華で利用する「花椒」とは異なります。
「花椒」は国産のサンショウとは種が異なり、カホクザンショウの果皮を乾燥させたものです。
花山椒は実山椒や花椒と比べて香り高く、それでいて刺激のやわらかなもので、沢山食べられます。
【調理法】
先に書いたように基本スキヤキですが、牛肉の扱いが多少異なります。
最初に出汁用に牛肉4~5枚を少量の牛脂で炒めて肉汁を出してから割り下を加え、具材を入れていきます。具材は冷凍キノコ数種(出汁用)、ささがきゴボウなどの根菜類、ネギなどの葉物野菜、豆腐や厚揚げの順に入れていきます。
花山椒は最後にたっぷりと投入し、牛肉をしゃぶしゃぶのようにして、花山椒を包んで溶いた生卵をつけて頂きます。〆にはうどんがよく合います。
・ポイント
花山椒は肉の量に合わせて数回に分けて投入するので、充分な量を用意しておきます。

Fig.24 イワシの山椒焼き
なんか画像がイマイチですが、味は絶品です。
実山椒の佃煮を利用したもので、毎年大量に作っています。
佃煮のレシピはネット上に沢山あるので、ここでは省きます。
【調理法】
イワシは頭を切り落として内蔵を取り、手開きして骨を取ったのち30~40℃のぬるま湯に10分ほどつけおき、血抜きして臭みをとる。
血抜きしたら冷水で軽く洗って水気を拭き取り、ジッパーやビニール袋に入れる。
袋の中に実山椒の佃煮と塩麹を入れて口を閉じ、イワシに揉み込み、冷蔵庫で1時間ほど漬け込んでおく。トースターを200℃で余熱しておく。
1時間程経ったら袋からイワシを取り出し、表面の塩麹を拭い取り、イワシの開いた面に実山椒を並べて、開いた面を閉じる。
アルミホイルを一度軽くクシャクシャにして、凹凸が残る状態でトースターの網の上に広げる。
アルミホイルの上にイワシを並べて軽く酒を振ったのち、焦げ防止にもう1枚アルミホイルを上から被せて10分焼く。10分経ったら被せていたアルミホイルを取り除き、焼き色がつくまで焼く。
・ポイント
実山椒は硬くなっていない弾力のある若い実を摘んで佃煮にする。
イワシは腹膜と血合いに臭みがあるので、ぬるま湯に漬けて臭みのある部分を除きながら血抜きする。
下に敷くアルミホイルをクシャクシャにすることで、余分な脂をホイルの凹部に落とします。
画像のものは手抜きをしてホイルを被せなかったので、少し焦げ付いてしまいました
モミジガサ(シドケ)

Fig.25 モミジガサ (兵庫県但馬地方 2016.5/12)
中部地方や東北地方ではよく利用されている山菜ですが、西日本で利用する人はほとんどいないようです。独特なクセのある山菜ですが、食べ慣れるとこのクセが病みつきになります。

Fig.26 モミジガサの塩揉み
モミジガサの独特のクセが味わえるシンプルな1品です。
その年の最初に獲ったモミジガサは、先ずこのレシピで味わっています。
【調理法】
モミジガサは茎先は残して葉の部分は取り除き、沸騰した湯に塩を一つまみ入れて塩茹でする。
再沸騰したら1分でザルに空けて、すぐに冷水に取る。
水気を除き食べやすい大きさに切ってボールに入れ、多目の塩を振ってしっかり目に揉み込む。
アクと水分がでてくるのでそれを捨てて、器に盛ってできあがり。
・ポイント
塩揉みするとアクが出てくるので、アク抜きは不要です。
塩揉みするとしゃっきり感は無くなるので、歯応えを期待するなら別の調理法で。

Fig.27 モミジガサとヤマブキショウマの豚肉ロール、バルサミコ・ソース
独特のクセやコクのある山菜は豚肉とよく合います。
酸味と甘味のあるソースであっさりと頂けます。
【調理法】
モミジガサのアク抜き。沸騰した湯に塩を一つまみ入れて塩茹でする。
再沸騰したら1分でザルに空けて、すぐに冷水に取り、水に10~30分晒してアク抜きする。
ヤマブキショウマは小麦粉水でアク抜きしておく。
豚バラ肉の薄切りを広げ、軽く塩コショウして下味を付け、モミジガサとヤマブキショウマをそれぞれ別に斜めに巻いていく。
巻き終わったら外側に片栗粉をまぶし、余分な粉をはたき落とす。
フライパンに油を敷いて巻き終わりの部分を下にして焼き始め、途中から転がしながら外側がパリッとするまで焼く。
焼けたら熱いうちにアルミホイルに包んで寝かし、その間にバルサミコ・ソースを作ります。
小鍋に卸したタマネギ大匙2、バルサミコ酢大匙1、赤ワイン大匙1/2、醤油大匙1、メープルシロップまたは蜂蜜大匙1/2、刻んだプルーン1個分をフライパンに入れて弱火にかけ、少しトロ味がついたら火を止める。寝かせていた肉ロールを皿に並べて、バルサミコ・ソースをかけて頂きます。
・ポイント
モミジガサは長く水に晒すと、独特のクセが薄れるのでほどほどに。
モミジガサとヤマブキショウマは別々の肉で巻きます。

Fig.28 モミジガサとノビルの餃子
モミジガサは葉を、ノビルはムカゴや蕾のついた花茎上部の柔らかい部分を利用します。
一度に大量に作って冷凍しておくと、季節に関係なく楽しめます。
【調理法】
モミジガサの葉はボールに入れて熱湯を回し掛けて湯通しし、すぐにザルに上げて冷水に取る。
よく絞って水気を切ったら幅2~3mmに刻みます。ノビル坊主も洗って微塵切りに。
刻んだモミジガサの葉をノビル坊主をボールに入れ、塩を振ってしっかり塩揉みする。
塩揉みして出てきた水分を捨て、水気をしっかり絞る。
半解凍状態の豚挽き肉(200g)に、下処理の終わったモミジガサとノビル坊主、摺り下ろしたショウガ1片分、鶏がらスープの素大匙1、昆布粉小匙1/2、米油小匙1、酒50ccを加えてよく捏ね混ぜる。
餃子の皮に具を包みます。小さな器に水50cc、薄力粉小匙1を入れて水溶き薄力粉をつくっておく。
フライパンに油を敷き、餃子を入れて中火で下面に焼き色がついたら、水溶き薄力粉をよく混ぜて回しかけ、蓋を被せて3分蒸し焼きにする。
3分たったら蓋を取って水分を飛ばし、餃子のフチが少し反り返ったら、鍋肌にゴマ油を回しかけ香り付けして完成。
・ポイント
モミジガサの葉はたっぷりと入れてください。
ノビル坊主を使うのでニンニクは入れていませんが、ニンニク好きの方はニンニクの摺り下ろしをお好みの量入れてください。
水溶き薄力粉で蒸すことによって羽根付き餃子に仕上がります。
豚肉に合うフキノトウ、セリ、シャク、タラノメ、コシアブラ、ウドなどの山菜も応用できます。
ジューシーな餃子がお好みなら、挽き肉に背脂かラードを混ぜてください。
その他の山菜

Fig.29 ツリガネニンジン(サイヨウシャジン) (兵庫県篠山市 2016.4/22)
どこにでもある山菜で、アクやクセはほとんどなく様々な料理に利用できます。

Fig.30 ナルコユリ (兵庫県但馬地方 2016.5/12)
甘味の強い山菜で、ホワイトアスパラのようにオランデーズ・ソースで味わうのがよい。
出芽状態は有毒のホウチャクソウにやや似ているので注意が必要です。

Fig.31 山菜の天ぷら盛り合わせ
山菜料理の定番。
中央左下から時計周りで、若い実山椒の花序、スズコ、ナルコユリ、結んだノビル坊主、ハリエンジュの花序、ヤマブキショウマ、ワラビ、モミジガサ、ウド、タラノメ、ツリガネニンジン。
山菜の天ぷらは食卓中央に天ぷら鍋を置いて、好きなものに天ぷら粉をつけてその場で揚げていくのが最高の食べ方です。
おまけの山菜料理

Fig.32 クレソンのサルシッチャ炒め
サルシッチャをほぐしながらクレソンを炒めた、クレソン大量消費の簡単料理。

Fig.33 クレソンのポタージュ
クレソンの爽やかな苦味が味わえます。

Fig.34 セリと鮭のポタージュ
ディルを使うところをセリに置きかえたら、ディルとはまた違った風味で美味に。
category: 自然を食べる
春の山菜料理 1
2016/06/19 Sun. 19:54 [edit]
前回はフキノトウ、セリ、ナズナ、オランダガラシ(クレソン)、ツクシ、ヤブカンゾウなど早春に出る野草の料理を紹介しました。
今回はそれ以後、山菜シーズン真っ盛りの前期に出てくる野草を利用した料理を紹介します。
なお、山野草の利用は各自の自己責任でお願いいたします。
*画像クリックで、別ウィンドで表示されます。
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大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。
アサツキ(シロウマアサツキ)

Fig.1 シロウマアサツキの出芽 (兵庫県丹波市 2016.3/17)
兵庫県東部では丹波地方以北の河川堤防、河川敷、里山の土手などで比較的普通に見られます。
栽培品も市販されているものなので、あえて料理法など挙げる必要もないかもしれませんが。
関連ページ 関西の花・シロウマアサツキ

Fig.2 アサツキ、ヤブカンゾウ、タケノコ、アミエビの炒飯
ネギを使うところをアサツキとヤブカンゾウの芽を使って食感の違いを楽しみます。
【調理法】
アサツキは3cm、ヤブカンゾウは1cm、水煮のタケノコは熱湯で湯通しして1cm角に切る。
冷凍保存したみじん切りのブラウンマッシュルームを小鍋に水(大匙2~3)を張り、極弱火にして沸騰させずに60度近辺を保ったまま出汁を出す。
フライパンで卵を半熟状態になるように炒めて、皿に取っておく。
フライパンの油を拭いてバターを入れ、みじん切りのタマネギを飴色になるまでじっくりと炒める。
タマネギが色付いたらタケノコを入れて炒め、次にヤブカンゾウを炒め、小鍋のマッシュルームを煮汁ごと入れる。
水分が大方飛んだら、皿に取っておいた卵、ご飯とアサツキをいれ、顆粒状のスープの素を入れる。
ご飯と卵をヘラで切るように炒め、塩・コショーして具材とご飯が馴染んだら、香付けにゴマ油少々を鍋肌に回しかけて皿に盛り付け、釜茹でアミエビを振り掛ける。
・ポイント
飴色タマネギは甘味タップリ。冷凍ストックしておけば、幅広い料理に使える。
冷凍キノコは60度前後の湯で煮ることで、美味しい出汁が出る。
アミエビで普段は摂取しにくいキチン・キトサンを取り入れることができます。

Fig.3 アサツキ、シメジ、アミエビ塩辛のパスタ、自家製ハム添え
アサツキ消費のためのすぐできるパスタです。
【調理法】
パスタを茹ではじめる。
大黒シメジ(ホンシメジ)は柄の根元に十字に切れ込みを入れ4つに裂く。
ニンニク1片をみじん切りにして、フライパンにオリーブオイルをしいて香りが出るまで炒める。
香りが立ったらシメジを入れて炒め、油がまわったらアサツキを入れ、アミエビの塩辛を入れる。
茹で上がったパスタをフライパンに入れて和え、皿に盛もって乾燥アミエビを振り、薄切りにしたハムを並べる。
・ポイント
アンチョビの代わりにアミエビの塩辛を使う。アンチョビよりもクセのない優しい仕上がりになる。
アミエビの塩辛はあまり出回っていませんが、販売価格は安いものなので、見つけた時はまとめ買いして冷凍庫に保存しています。
アミエビの塩辛は製造元により塩加減が違うので、味見しながら増減してください。
自家製ハムは塊肉の外側にたっぷりの粗引きコショウを摺り付けたパストラミ風。
アミガサタケ

Fig.4 トガリアミガサタケ (兵庫県加東市 2016.4/5)
アミガサタケ類はヨーロッパではモレルと呼ばれる人気のキノコ。
トガリアミガサタケは欧州でブラック・モレルとされているものと同種のものと思われます。
極上のダシの出るキノコですが、農薬中の砒素や鉛、放射能を蓄積するので、採取場所には注意が必要です。また微量の毒(ヒドラジン)があるので、加熱して毒を飛ばす必要があります。
乾燥させると一層旨味たっぷりの出汁が出るようになります。

Fig.5 マルアミガサタケ (兵庫県但馬地方 2016.5/12)
こちらはイエロー・モレルと同一と思われるものです。
時期的に遅かったのか見つけたのはこの1本のみで、周囲を探しても見つかりませんでした。

Fig.6 アミガサタケとブラウンマッシュルームのポタージュ
アミガサタケの出し汁は乳製品との相性が抜群です。
乾燥させたアミガサタケは戻してもボロボロなゴムのような食感なので、細かく刻むか粉砕して利用。
【調理法】
乾燥させたアミガサタケを1時間ほど水につけて戻し、戻し水は漉して取り置く。
冷凍保存したみじん切りのブラウンマッシュルームを小鍋に水を張り、極弱火にして沸騰させずに出汁を出す。
鍋にバターを熱し、みじん切りの新タマネギを飴色になるか、しんなりするまで炒める。
ブラウンマッシュを煮汁とともに鍋に加え、アミガサタケも戻し水とともに入れ、水を加えて10分程煮る。
火を止めて粗熱が取れたら飾り用のアミガサタケを皿に取って置き、それ以外は全てフードプロセッサーかミキサーにかける。
鍋に戻し、豆乳または牛乳を入れて弱火に掛け、味見しながら塩・コショウして味を調え、沸騰直前で火を止める。
器に入れて生クリームをあしらい、飾り用のアミガサタケを飾り、乾燥パセリを振って完成。
・ポイント
2種のキノコを利用することにより、味の深みが増します。
アミガサタケの旨味成分はグアニル酸・アデニル酸、マッシュルームの旨味成分はアミノ酸・グアニル酸。キノコの旨味を味わうためブイヨンは使用せず、塩・コショウのみで味付けします。

Fig.7 鯛のソテー、アミガサタケのクリームソース、山菜2種添え
アミガサタケと生クリームや牛乳の組み合わせは鉄板。
クリームソースにすることでパスタやリゾットに絡めたり、淡白な食材と合わせて利用できます。
【調理法】
乾燥させたアミガサタケを1時間ほど水につけて戻し、戻し水は漉して取り置く。
新キャベツは50度洗いして適当な大きさに切り、蒸し器で蒸しておく。
山菜は鍋で塩茹でするが、コシアブラは再沸騰後1分ほどで上げて、コゴミは5分ほどで上げて冷水にとって色止めする。
鯛は40度のお湯に10分程付け置いて血抜きし、さらに50度洗いして臭みを取り、30分程塩麹に漬け込んでおく。
ソースを作る。戻したアミガサタケと新タマネギをみじん切りにする。
小さなフライパンにバターを熱し、新タマネギをじっくりと炒めて甘味を引き出したら、刻んだアミガサタケを入れ軽く炒める。
生クリームと戻し汁を入れて弱火で煮詰めてトロミが出たら、塩・コショウで味付けし、極弱火で保温しておく。
漬け込んでいた鯛の表面の塩麹と水分を拭い取り、小麦粉を振って余分な粉をはたき落とす。
フライパンでバターを熱し、鯛の鱗がある面から中強火で焼き、焼き色がついたら裏返して白ワインを50ccほど振って蓋を閉めて弱火で蒸し焼きにする。
フライパンのワインが無くなったら完成。皿にキャベツを敷き、ソテーした鯛と山菜2種を盛り付けてアミガサタケのソースをかける。
・ポイント
淡白な白身魚を利用することによって、アミガサタケの出汁の旨味を堪能できます。
コゴミは煮る時間によって堅さを調整します。5分は少し歯ごたえが残る程度。柔らかくするなら8分ほど塩茹でします。
コシアブラは風味を損ねないために茹で時間は少なめにします。
50度洗いは野菜がシャッキリし、表面の農薬も洗い流せるのでオススメです。
新キャベツは茹でずに蒸すことによって栄養分が損なわれません。電子レンジは電磁波により成分が変質するので使用しません。
コゴミ(クサソテツ)

Fig.8 コゴミ(クサソテツのフィドルヘッド) (兵庫県篠山市 2016.4/9)
コゴミは肥沃な河川敷に生育しているものが太く締まって食べ応えがあります。
アクやクセはほとんど無く、わずかなヌメリがあっていろいろな料理に合わせることができます。
単品で味わうにはゴマ・ベースの調味料(ゴマ味噌、ゴマドレ、ゴママヨなど)で和えるのがオススメです。
関連ページ 湿生植物・クサソテツ

Fig.9 コゴミとゼンマイ、自家製パンチェッタのペペロンチーノ
この時期の定番のパスタ。コゴミとワラビの組み合わせにすることも多く、レシピもほぼ同様。
パンチェッタは豚バラ肉の塊を、ベーコンにする過程の燻製にかける直前の状態のものです。
【調理法】
ゼンマイのあく抜き。ゼンマイは綿毛を取り除き、巻いている胞子葉や栄養葉部分を取り去り、鍋に入る大きさに切り分ける。
鍋に1リットルの水、大匙3の小麦粉、小匙1の塩を入れ、泡だて器でダマが無くなるまでしっかり攪拌する。
ダマが無くなったら火に掛けて沸騰するまで時々泡だて器でかき混ぜ、沸騰したらゼンマイを入れる。
再沸騰したら弱火にし、鍋底に小麦粉が凝固しないよう、木ベラなどでゆっくりとかき混ぜ4分煮る。
4分経ったら火を止めてザルに上げて冷水に取り、15~30分ほど水に晒し、味見して苦味が気になったらさらに水に晒しておく。
コゴミは5~8分塩茹でして、冷水にとって色止めする。ニンニク1片の芽の部位を取り除きみじん切りに、鷹の爪は2分して種を取り除き、パンチェッタは薄切りに。
晒し終わったゼンマイとコゴミは食べやすい大きさに切っておく。鍋にたっぷりの水と塩を入れて(水1リットルに対して塩10gが基本)パスタをゆではじめる。
フライパンでパンチェッタを弱火で熱し、油が出てきたらニンニクと鷹の爪を炒めて、香りが立ったら鷹の爪を取り除く。
アンチョビまたはアンチョビペーストを1人分約大匙1/2~1を加えて軽く炒め、コゴミとゼンマイを加えて3~5分程炒め、パスタの鍋の汁をお玉1杯入れて乳化させる。
パスタを表示時間の1分前に鍋から上げて、フライパンに投入してよく和えて味見して塩気を整えて皿に盛る。
・ポイント
ゼンマイ、ワラビ、アザミなどアクの強い山菜は「水+小麦粉+塩」で鍋で煮た後、水に晒すことによって手軽にアク抜きできます。
アクの強さと繊維(維管束の筋)の硬さによって、煮沸時間と水に晒す時間を調整します。
ゼンマイは5分も茹でるとヤワヤワになるので4分で押さえ、あとは水に晒して苦味が気にならないまで置きますが、わずかな苦味は旨味のうち。
塩茹でした後のコゴミは長時間熱すると色褪せてしまうので、できるだけ短時間にします。
パンチェッタは自宅の冷蔵庫を使って自家製のものが簡単に作れます。パンチェッタの塩加減によってアンチョビの添加量も加減します。
自家製パンチェッタの作り方はクックパッドなどweb上でいろいろな方法が公開されています。アンチョビも自家製することができます。
他の野菜やキノコを入れる場合は、アンチョビを入れる時点で加えて炒めます。

Fig.10 サワラと山菜とキノコのポワレ、セリのベシャメルソース
ポワレは「蓋をした底の深い銅鍋に、少量のフォンを入れ 蒸し焼きにする」こと。
銅鍋はないので、ほうろうのル・クルーゼの鍋でサワラと山菜をポワレして、セリの香るベシャメルソースを合わせました。
【調理法】
サワラは30~60分間、塩麹につけて冷蔵庫に入れて置く。セリはさっと湯通しにて冷水にとり、水気を切ってフードプロセッサーにかける。
シイタケは柄の部分は包丁で切らず、柄を持って捻りつつ前後左右に倒して柄をもぎ取る。柄は出汁用に細かく刻んで乾燥または冷凍保存。
シイタケの傘の部分を大きなものは4等分、小さなものは2等分する。タマネギをみじん切りにしておく。
薹立ちしたフキノトウは花と葉を取り除いて茎のみにして、3~4cmに切って酢水につけ置き、コゴミは洗って食べやすい大きさに切り分ける。
鍋にクッキングシートを敷き、サワラ、冷凍ナメコ、シイタケ、コゴミを入れ、白ワインを1人当たり大匙1を入れ極弱火で10分、その後沸騰させ弱火で10分。
鍋で蒸し煮する間に、ベシャメルソースを作る。鍋にバターを溶かし、刻んだタマネギをしんなりするまで炒める。
タマネギがしんなりしたら小麦粉1人当たり大匙1を入れてしっかり炒めて弱火にし、一人当たり100ccの牛乳を少しずつ加えてトロみがでるまで加熱。
程よいトロみになる直前にセリのみじんを加えて火を止め、皿全面に敷き詰め、ポワレしたサワラと山菜、キノコを並べる。
・ポイント
初めてコゴミを蒸し焼きにしてみましたが、仕上がりは水分が抜けて硬いものになってしまいました。
いつものように5~8分塩茹でしたものを添えるようにしたほうが良いように思います。
冷凍ナメコとシイタケから出汁が出るように、最初は低温加熱します。
ベシャメルソースは時間のある時に大量に作って冷凍保存しておくと各種欧風料理が時短できます。
ベシャメルソース作成、解凍時に、冷凍保存しておいた飴色タマネギやアサリの煮汁を加えるとより美味しくなります。
セリの香りを生かすには、できるだけ熱を加えないようにします。
家では湯通ししたセリをフードプロセッサーに掛けたものを袋で小分け冷凍保存しています。

Fig.11 コゴミとクレソン、新ジャガの南インド風サブジ
コゴミはクセがないので、西洋料理にもエスニック料理にも使えます。
通常はオクラを使うところ、ネバリつながりでコゴミをココナッツフレークとともに炒めたら、南インド風の美味しいサブジに仕上がりました。
【調理法】
ジャガイモを串がすっと通るくらいまで水を張った鍋で茹でておく。
クレソンは50度洗いして、黄色くなった葉を取り除いて冷水に漬けた後、食べやすい2~3cmの長さに切っておく。
コゴミは食べやすい大きさに切って、3~5分程食感が残る程度に塩茹でし、冷水に取って色止めする。
フライパンに熱劣化しない油を敷いて、すり鉢で引いたピーナッツかカシューナッツを炒め、クミンシード、マスタードシードを弱火で蓋を被せ炒める。
スパイス類が炒まったら、茹で置いたジャガイモ、コゴミ、クレソンをよく混ぜながら炒め、仕上げにココナッツフレークを混ぜ合わせ炒める。
ココナッツフレークに油が回ったら皿に盛りつける。
・ポイント
ピーナッツやカシューナッツが無い場合はゴマのペーストを使っても美味しくなると思います。
お菓子用のココナッツフレークは漂白剤を使っていることが多いので、そうでないものが手に入った時に試してみてください。
ココナッツフレークが無い場合はココナッツを使わない北インド風の美味しいサブジになります。
セントウソウ

Fig.12 セントウソウ (兵庫県篠山市 2016.4/9)
あまり利用されていない野草ですが、イタリアンパセリに少しパクチーを加えた香味があり、ハーブとして利用可能です。草体は柔らかいので、開花期の全草を利用できます。種子は特に利用するような特異な香味はありません。
乾燥保存する術がないので、湯通ししてフードプロセッサーでみじん切りにして冷凍庫で保存して利用しています。
関連ページ 関西の花・セントウソウ

Fig.13 セントウソウとホウレンソウのパラク・パニール
パラク・パニールはホウレンソウとパクチーをミキサーに掛けて、各種スパイスとインドのカッテージ・チーズを入れたカレー。
少しパクチー風味のあるセントウソウを利用し、パクチー苦手な家族にパラク・パニールを堪能してもらいました。
【調理法】
ホウレンソウ:セントウソウを2:1に用意しておく。
セントウソウはさっと湯通しして冷水に取り、ホウレンソウは根元から塩を入れて沸騰した湯に2~3分茹でて冷水に取り、フードプロセッサーにかけておく。
パニール(カッテージチーズ)は市販のものを購入しても良いが、自家製することも可能。以下はその手順で1~半日前に用意します。
牛乳を沸騰するまで煮て、時々鍋底が焦げ付かないように木ベラで底からしっかり混ぜる。
沸騰したら弱火にしてレモン汁を入れて(牛乳1Lに対してレモン汁40ml)やさしく混ぜ、分離するまで待つ。
ザルにガーゼや布巾を敷いて漉し、余分な水気を絞り、皿などに載せて重しをかけ、1時間後ラップでくるんで冷蔵庫で寝かせる。
レモンの酸味を除く場合、漉す時点で軽く水洗いするとよい。
スタータースパイス(シナモンスティック、カルダモンホール、クローブホール、クミンシード、ブラッククミンシード、黒粒コショウ、マスタードシード)を用意しておく。
ニンニク、ショウガ各1片を摩り下ろしておく。鍋に油を敷き、シナモンスティック、カルダモンホールを入れて弱火にかける。
カルダモンが膨らんできたら残りのスタータースパイスを投入してクミンシードが色付いたらニンニク、ショウガを炒める。
ニンニクの香りが立ったらみじん切りにしたタマネギを、飴色になるまでじっくり炒める。最初は中火、水気が飛んだら弱火で。
タマネギが色付いたらカルダモンホール、クローブホール、黒粒コショウを取り除き、粗みじんに切ったトマトを入れて完全に煮崩れるまで弱火で炒める。
香り付け味付け用のスパイス(コリアンダーパウダー、ターメリック、クミンパウダー、カイエンペッパー、ブラックペッパー)を用意する。
トマトが煮崩れて水分が飛んだら、用意したスパイスを入れてよくかき混ぜ、ホウレンソウとセントウソウ、切り分けたパニールを入れる。
ひと煮立ちして仕上げにフェネグリークパウダーとガラムマサラを加えて混ぜ、器に入れて生クリームを回しかける。
スパイス分量(4人分)
シナモンスティック・・・2cm
カルダモンホール・・・3個
クローブホール・・・2個
クミンシード・・・小匙1/2
ブラッククミンシード・・・小匙1/2
黒粒コショウ・・・5粒
マスタードシード・・・小匙1/2
コリアンダーパウダー・・・大匙3
ターメリックパウダー・・・大匙2
クミンパウダー・・・大匙2
カイエンペッパー・・・大匙1
ブラックペッパー・・・小匙1
フェネグリークパウダー・・・小匙1
ガラムマサラ・・・少々
・ポイント
画像のものはホウレンソウとセントウソウをフードプロッセサーにかけただけのものです。
最後にひと煮立ちさせる前にミキサーにかけると、よりなめらかな仕上がりになります。
フェネグリークは火を通すと苦味が強く出るので、仕上げに混ぜ入れれます。
4人分だとタマネギ2個、トマトは4個くらい使います。
ホウレンソウとセントウソウは熱を加えすぎると褪色するので、最後に加えます。
塩は使っていませんが、塩気が欲しい場合、仕上げ時に味見しながら加えてください。
辛味はカイエンペッパーで調整してください。
ワラビ

Fig.14 ワラビ (兵庫県篠山市 2016.4/22)
かつては木灰や重曹によるアク抜きが一般的でしたが、最近は小麦粉と塩による時短アク抜きが主流になってきたようです。
比較的長い期間に亘って採集できるので重宝する山菜で、初夏でも伐採後に出てきたりします。

Fig.15 ワラビのダシ醤油漬け
ワラビ料理の基本です。
【調理法】
ワラビの表面の細毛を50度洗いまたは水洗いしながら擦り落とし、鍋に収まる長さに揃えておく。
ワラビのあく抜き。鍋に水1Lに対して小麦粉大匙3、塩小匙1を入れてダマが無くなるまで泡だて器でかき混ぜ、中火にかける。
沸騰したらワラビを入れ、再沸騰したら弱火にし、木ベラで小麦粉が底に凝固しないように底からゆっくりかき混ぜ3分30秒程度煮る。
ザルに上げて冷水にとって熱を取り、苦味が気にならなくまで水に晒しておく。
漬け汁を作る。水:酒:味醂:醤油を4:2:1:1cupの割合で鍋に入れて弱火に掛けて、沸騰したら削り節20gを入れてアクを取りながら2分間煮て、削り節は漉しとって除き放置して粗熱を取る。
粗熱が取れたらタッパーやジップロックに漬け汁を入れて、アク抜きの終わったワラビを1日漬け込む。
・ポイント
漬け汁は山菜に対して万能で、コゴミ、モミジガサ、ウド、タラノメ、コシアブラ、ヒメダケなどの漬け込みに利用でき、茹でたキノコと混ぜて山菜ミックス漬けもできます。
この漬け汁を基本として味醂と醤油を味噌に置き換えることで味噌漬けに、味醂と醤油、削り節を白ダシに変えたり、山椒やワサビを加えて変化を付けれます。
アク抜きの茹で時間は3~3分半程度がいいように思います。長い時間茹でると苦味は消えますが、4分を超えると茎(実は葉柄)が溶けはじめてきます。
ワラビの歯ごたえを残すには、煮る時間を3分程度にし、水に晒す時間を長くして苦味を取り除くようにします。
アク抜きしたワラビは水気を切って冷凍することにより、長期間保存可能です。

Fig.16 フキノトウの茎、ワラビ、コゴミとがんもどきの煮物
ワラビと揚げ物系の煮物は和食の定番。今回は董立ちしたフキノトウの茎とコゴミとともに煮物にしました。懐かしい味と感じるのは醤油ベースの味付けによるものなのでしょうか?
【調理法】
アク抜きしたフキノトウの茎、ワラビ、コゴミを3cm程度に切る。
出汁100ccに酒:醤油を1:2の割合で入れて砂糖少々を加え、切った山菜とがんもどきを入れ5~10分程煮る。
・ポイント
フキノトウの茎は30秒程塩茹ですることでアク抜きし、コゴミも3~5分程下茹でしておくこと。
がんもどきが煮汁を吸って煮汁が減ってしまったら出汁を追い足しする。
できあがったら少し置いたほうが味がよく馴染みます。
タラノキ(タラノメ)

Fig.17 タラノキ (兵庫県丹波市 2016.4/22)
春先にはスーパーにも並ぶ馴染み深い山菜。「山菜の王」とも言われる。
かぶれ易い人はアレルギーを起こすこともあるので、最初は少量から食すようにしてください。

Fig.18 タラノメのチーズ焼き
シンプルな1品。タラノメとチーズはよく合います。
【調理法】
タラノメは2~3分程塩茹でし、ザルに上げて冷水にとり色止めする。
オーブンまたはトースターを200度にして余熱する。
小さなボールなどに生クリーム1/4カップ、塩2つまみ、コショウ少々を混ぜておく→A。
耐熱皿に水気を切ったタラノメを並べてAをかけ、ピザ用シュレッドチーズ、パルミジャーノ・レッジャーノ、パン粉をちらす。
オーブンまたはトースターで10分程、チーズに焼き色が付くまで焼く。
・ポイント
特にありませんが、A液にナツメグ少々を入れても美味しい。

Fig.19 タラノメとパンチェッタのパスタ
タラノメをあらかじめ2~3分塩茹でしておくほかは、Fig.9のレシピと一緒です。
コシアブラ

Fig.20 コシアブラ (兵庫県篠山市 2016.4/22)
タラノメが「山菜の王」と呼ばれるのに対して、コシアブラは「山菜の女王」と言われています。
私はタラノメよりもコシアブラのほうが好きで、いろいろな料理に利用しています。

Fig.21 山菜と春野菜のアクアパッア
旬の山菜と春野菜を魚介の出汁で美味しく頂きます。
【調理法】
アサリは2時間程3%の塩水にバットなどにひたひたにつけて、上から新聞紙などを乗せて暗くし、砂出しする。
白身魚は40度のお湯に15分ほど漬け置き血抜きした後、2分ほど50度洗いして、冷水に取り、水気を拭き取ったら塩麹に10分程度漬け込む。
アスパラガスは下から3cmくらいで手折れる場所で折り、ブロッコリーは小房に分け、柔らかくしたい場合は下茹でする。
軟白ウドは皮を剥いて斜め薄切りにして、切った端から酢水につけてアクを抜く。
コシアブラは1分程サッと塩茹でし、コゴミは3分ほど塩茹でしておく。
砂出ししたアサリをよく水洗いしてボールに入れ、50度の湯を入れて15分放置してさらに砂出したら、殻同士をすり合わせるように水洗いしザルに上げる。
ニンニク1片をスライスしたら、フライパンにEVオリーブオイルを弱火で熱して炒める。
香りが立ったらニンニクを取り出し、中火にして白身魚を皮目から焼き、焼き色が付いたら裏返して両面に火を通す。
その間、冷凍キノコを別の小鍋で60度の少量のお湯に入れて極弱火にかけて出汁を取る。
白身魚に大方火が通ったらアサリ、白ワインと同量の水+キノコと出汁(計100~200cc)、野菜・山菜・ケイパーを入れて蓋をして弱火にし、アサリの殻が全て開いたら完成。
・ポイント
野菜、山菜ともに硬めがいい場合は、下茹でせずに生のままアサリを入れる時に同時に入れてください。白身魚は今回はスズキを使いましたが、ホウボウ、コチ、タラなどの底魚が美味しいですが、底魚は産地に注意してください。
アサリは50度洗いとこすり洗いでストレスをかけることにより、甘味が増して美味しくなります。
ニンニクは白身魚を焼く過程で焦げ付いてしまうので、その前に取り出します。
ニンニクの風味がもっと欲しい時はアサリ、白ワインを入れる時点で刻んだニンニクを入れる。
彩りよく仕上げたい場合は、山菜・野菜を入れる際に、トマトや赤ピーマン、パプリカなどを入れる。
冷凍キノコは今回はヒラタケと刻んだマッシュルームを使用しましたが、どんなキノコでも冷凍すればよい出汁がでます。
食べている途中で、茹でたパスタと粗引きコショウを加えると2度美味しく頂けます。
ワサビ

Fig.22 ワサビ (兵庫県篠山市 2016.4/22)
ワサビは兵庫東部では丹波地方以北に見られますが、丹波地方の多くの場所は栽培品の放棄・逸出したものと考えられます。県北部の標高400m以上に生育するものは自生種のものがあると考えられます。
関連ページ 湿生植物・ワサビ

Fig.23 葉ワサビ・花茎の醤油漬け
葉ワサビの基本料理で、これを調味料としていろいろな料理に使います。
多量に作った時は小分け冷凍して、適宜使用しています。
【調理法】
葉ワサビは葉柄と葉身を分け、葉柄と花茎は2cm長に切り、葉身は手で細かく裂き、ともにボールに入れる。葉ワサビを入れたボールに天日塩を一つまみ撒き入れ、しっかり塩揉みする。
塩揉みして柔らかくなったら、出てきた水気をしっかり絞って水気を切る。
80℃のお湯に絞った葉ワサビを入れ、10秒間かき混ぜたらザルに上げ、すぐに冷水に晒して熱を取る。
タッパーやガラス瓶に醤油:味醂:酒:酢を2:2:1:1の割合で入れ、水気を絞った葉ワサビを入れ、堅く蓋を閉めて激しくシェイクする。
冷蔵庫に入れて、食べる直前に再びシェイクする。余りそうなら1週間後に小分けして冷凍保存する。
・ポイント
葉ワサビは採集後または購入後時間が経ったものは50度洗いして冷水に漬け置くとシャッキリします。
シェイクすることで細胞内のシニグリンと酵素が反応して辛味成分のアリルイソチオシアネートが生成されます。
細胞内の酵素を破壊しないよう、80℃のお湯につけて細胞壁を破壊させます。
酒のアテ、茶漬けの素、刺身を漬け込むと美味しい漬けができ、魚類とともにパスタの調味料にと、様々な料理に利用できます。
ウコギ

Fig.24 ヤマウコギ (兵庫県篠山市 2016.4/22)
ウコギにはヤマウコギの他、オカウコギ、エゾウコギ、ヒメウコギなどがあり、オカウコギは救荒作物として垣根で栽培されていることもあります。
ウコギの仲間は雌雄異株で、花期の花序も食用となることはあまり知られていません。
タラノキ、コシアブラ、ウド、タカノツメ、ハリギリなどの山菜は近縁で、花序や果実が同様に利用できます。ウコギの仲間は石灰岩地や石灰分を含む緑色岩地、安山岩地に点在しています。

Fig.25 ウコギ飯、桜エビ入り
山形県では藩政時代に普及して5月に欠かせない郷土料理となっていますが、西日本で利用する人は少ないようです。
山菜好きの私は高校時代から、ありそうな場所を探して毎年ウコギ飯を作っています。
ウコギの新芽の収量が少ない時は、前後して出芽する同属で味と香りの似たコシアブラやハリギリを混ぜて利用します。
ウコギ飯はシンプルに春を実感できるご飯で、キチン・キトサンを摂れる桜エビと合わせました。
【調理法】
ウコギは展開しつつある新芽を鱗片ごと採取し、持ち帰ったら水洗いしながら鱗片を取り除く。
鍋に湯を沸騰させ、沸騰したら一つまみの塩を入れて火を止め、ウコギを入れてひと混ぜして、ザルに上げて冷水に取って水気を絞る。
桜エビはサッと熱湯に通し、ザルに取って水切りしておく。
大きなボールに白ダシと天日塩を入れ、水気を切って細かく刻んだウコギと桜エビを混ぜ入れ、そこに炊きたての白米を入れて切り混ぜる。
混ざったら湿らせた布巾で飯の上を覆いかぶせて数分蒸らし、5~10分ほど蒸らしたら茶碗に盛り付ける。
・ポイント
出芽まもない新葉はアクも少なく、軽く湯通しするだけで利用できます。
ウコギの新葉は小さく収量も限られるので、桜エビの塩味を利用して炊きたての白米と混ぜ、その風味と香りを楽しみます。
以後、「春の山菜料理 2」に続きます
今回はそれ以後、山菜シーズン真っ盛りの前期に出てくる野草を利用した料理を紹介します。
なお、山野草の利用は各自の自己責任でお願いいたします。
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アサツキ(シロウマアサツキ)

Fig.1 シロウマアサツキの出芽 (兵庫県丹波市 2016.3/17)
兵庫県東部では丹波地方以北の河川堤防、河川敷、里山の土手などで比較的普通に見られます。
栽培品も市販されているものなので、あえて料理法など挙げる必要もないかもしれませんが。
関連ページ 関西の花・シロウマアサツキ

Fig.2 アサツキ、ヤブカンゾウ、タケノコ、アミエビの炒飯
ネギを使うところをアサツキとヤブカンゾウの芽を使って食感の違いを楽しみます。
【調理法】
アサツキは3cm、ヤブカンゾウは1cm、水煮のタケノコは熱湯で湯通しして1cm角に切る。
冷凍保存したみじん切りのブラウンマッシュルームを小鍋に水(大匙2~3)を張り、極弱火にして沸騰させずに60度近辺を保ったまま出汁を出す。
フライパンで卵を半熟状態になるように炒めて、皿に取っておく。
フライパンの油を拭いてバターを入れ、みじん切りのタマネギを飴色になるまでじっくりと炒める。
タマネギが色付いたらタケノコを入れて炒め、次にヤブカンゾウを炒め、小鍋のマッシュルームを煮汁ごと入れる。
水分が大方飛んだら、皿に取っておいた卵、ご飯とアサツキをいれ、顆粒状のスープの素を入れる。
ご飯と卵をヘラで切るように炒め、塩・コショーして具材とご飯が馴染んだら、香付けにゴマ油少々を鍋肌に回しかけて皿に盛り付け、釜茹でアミエビを振り掛ける。
・ポイント
飴色タマネギは甘味タップリ。冷凍ストックしておけば、幅広い料理に使える。
冷凍キノコは60度前後の湯で煮ることで、美味しい出汁が出る。
アミエビで普段は摂取しにくいキチン・キトサンを取り入れることができます。

Fig.3 アサツキ、シメジ、アミエビ塩辛のパスタ、自家製ハム添え
アサツキ消費のためのすぐできるパスタです。
【調理法】
パスタを茹ではじめる。
大黒シメジ(ホンシメジ)は柄の根元に十字に切れ込みを入れ4つに裂く。
ニンニク1片をみじん切りにして、フライパンにオリーブオイルをしいて香りが出るまで炒める。
香りが立ったらシメジを入れて炒め、油がまわったらアサツキを入れ、アミエビの塩辛を入れる。
茹で上がったパスタをフライパンに入れて和え、皿に盛もって乾燥アミエビを振り、薄切りにしたハムを並べる。
・ポイント
アンチョビの代わりにアミエビの塩辛を使う。アンチョビよりもクセのない優しい仕上がりになる。
アミエビの塩辛はあまり出回っていませんが、販売価格は安いものなので、見つけた時はまとめ買いして冷凍庫に保存しています。
アミエビの塩辛は製造元により塩加減が違うので、味見しながら増減してください。
自家製ハムは塊肉の外側にたっぷりの粗引きコショウを摺り付けたパストラミ風。
アミガサタケ

Fig.4 トガリアミガサタケ (兵庫県加東市 2016.4/5)
アミガサタケ類はヨーロッパではモレルと呼ばれる人気のキノコ。
トガリアミガサタケは欧州でブラック・モレルとされているものと同種のものと思われます。
極上のダシの出るキノコですが、農薬中の砒素や鉛、放射能を蓄積するので、採取場所には注意が必要です。また微量の毒(ヒドラジン)があるので、加熱して毒を飛ばす必要があります。
乾燥させると一層旨味たっぷりの出汁が出るようになります。

Fig.5 マルアミガサタケ (兵庫県但馬地方 2016.5/12)
こちらはイエロー・モレルと同一と思われるものです。
時期的に遅かったのか見つけたのはこの1本のみで、周囲を探しても見つかりませんでした。

Fig.6 アミガサタケとブラウンマッシュルームのポタージュ
アミガサタケの出し汁は乳製品との相性が抜群です。
乾燥させたアミガサタケは戻してもボロボロなゴムのような食感なので、細かく刻むか粉砕して利用。
【調理法】
乾燥させたアミガサタケを1時間ほど水につけて戻し、戻し水は漉して取り置く。
冷凍保存したみじん切りのブラウンマッシュルームを小鍋に水を張り、極弱火にして沸騰させずに出汁を出す。
鍋にバターを熱し、みじん切りの新タマネギを飴色になるか、しんなりするまで炒める。
ブラウンマッシュを煮汁とともに鍋に加え、アミガサタケも戻し水とともに入れ、水を加えて10分程煮る。
火を止めて粗熱が取れたら飾り用のアミガサタケを皿に取って置き、それ以外は全てフードプロセッサーかミキサーにかける。
鍋に戻し、豆乳または牛乳を入れて弱火に掛け、味見しながら塩・コショウして味を調え、沸騰直前で火を止める。
器に入れて生クリームをあしらい、飾り用のアミガサタケを飾り、乾燥パセリを振って完成。
・ポイント
2種のキノコを利用することにより、味の深みが増します。
アミガサタケの旨味成分はグアニル酸・アデニル酸、マッシュルームの旨味成分はアミノ酸・グアニル酸。キノコの旨味を味わうためブイヨンは使用せず、塩・コショウのみで味付けします。

Fig.7 鯛のソテー、アミガサタケのクリームソース、山菜2種添え
アミガサタケと生クリームや牛乳の組み合わせは鉄板。
クリームソースにすることでパスタやリゾットに絡めたり、淡白な食材と合わせて利用できます。
【調理法】
乾燥させたアミガサタケを1時間ほど水につけて戻し、戻し水は漉して取り置く。
新キャベツは50度洗いして適当な大きさに切り、蒸し器で蒸しておく。
山菜は鍋で塩茹でするが、コシアブラは再沸騰後1分ほどで上げて、コゴミは5分ほどで上げて冷水にとって色止めする。
鯛は40度のお湯に10分程付け置いて血抜きし、さらに50度洗いして臭みを取り、30分程塩麹に漬け込んでおく。
ソースを作る。戻したアミガサタケと新タマネギをみじん切りにする。
小さなフライパンにバターを熱し、新タマネギをじっくりと炒めて甘味を引き出したら、刻んだアミガサタケを入れ軽く炒める。
生クリームと戻し汁を入れて弱火で煮詰めてトロミが出たら、塩・コショウで味付けし、極弱火で保温しておく。
漬け込んでいた鯛の表面の塩麹と水分を拭い取り、小麦粉を振って余分な粉をはたき落とす。
フライパンでバターを熱し、鯛の鱗がある面から中強火で焼き、焼き色がついたら裏返して白ワインを50ccほど振って蓋を閉めて弱火で蒸し焼きにする。
フライパンのワインが無くなったら完成。皿にキャベツを敷き、ソテーした鯛と山菜2種を盛り付けてアミガサタケのソースをかける。
・ポイント
淡白な白身魚を利用することによって、アミガサタケの出汁の旨味を堪能できます。
コゴミは煮る時間によって堅さを調整します。5分は少し歯ごたえが残る程度。柔らかくするなら8分ほど塩茹でします。
コシアブラは風味を損ねないために茹で時間は少なめにします。
50度洗いは野菜がシャッキリし、表面の農薬も洗い流せるのでオススメです。
新キャベツは茹でずに蒸すことによって栄養分が損なわれません。電子レンジは電磁波により成分が変質するので使用しません。
コゴミ(クサソテツ)

Fig.8 コゴミ(クサソテツのフィドルヘッド) (兵庫県篠山市 2016.4/9)
コゴミは肥沃な河川敷に生育しているものが太く締まって食べ応えがあります。
アクやクセはほとんど無く、わずかなヌメリがあっていろいろな料理に合わせることができます。
単品で味わうにはゴマ・ベースの調味料(ゴマ味噌、ゴマドレ、ゴママヨなど)で和えるのがオススメです。
関連ページ 湿生植物・クサソテツ

Fig.9 コゴミとゼンマイ、自家製パンチェッタのペペロンチーノ
この時期の定番のパスタ。コゴミとワラビの組み合わせにすることも多く、レシピもほぼ同様。
パンチェッタは豚バラ肉の塊を、ベーコンにする過程の燻製にかける直前の状態のものです。
【調理法】
ゼンマイのあく抜き。ゼンマイは綿毛を取り除き、巻いている胞子葉や栄養葉部分を取り去り、鍋に入る大きさに切り分ける。
鍋に1リットルの水、大匙3の小麦粉、小匙1の塩を入れ、泡だて器でダマが無くなるまでしっかり攪拌する。
ダマが無くなったら火に掛けて沸騰するまで時々泡だて器でかき混ぜ、沸騰したらゼンマイを入れる。
再沸騰したら弱火にし、鍋底に小麦粉が凝固しないよう、木ベラなどでゆっくりとかき混ぜ4分煮る。
4分経ったら火を止めてザルに上げて冷水に取り、15~30分ほど水に晒し、味見して苦味が気になったらさらに水に晒しておく。
コゴミは5~8分塩茹でして、冷水にとって色止めする。ニンニク1片の芽の部位を取り除きみじん切りに、鷹の爪は2分して種を取り除き、パンチェッタは薄切りに。
晒し終わったゼンマイとコゴミは食べやすい大きさに切っておく。鍋にたっぷりの水と塩を入れて(水1リットルに対して塩10gが基本)パスタをゆではじめる。
フライパンでパンチェッタを弱火で熱し、油が出てきたらニンニクと鷹の爪を炒めて、香りが立ったら鷹の爪を取り除く。
アンチョビまたはアンチョビペーストを1人分約大匙1/2~1を加えて軽く炒め、コゴミとゼンマイを加えて3~5分程炒め、パスタの鍋の汁をお玉1杯入れて乳化させる。
パスタを表示時間の1分前に鍋から上げて、フライパンに投入してよく和えて味見して塩気を整えて皿に盛る。
・ポイント
ゼンマイ、ワラビ、アザミなどアクの強い山菜は「水+小麦粉+塩」で鍋で煮た後、水に晒すことによって手軽にアク抜きできます。
アクの強さと繊維(維管束の筋)の硬さによって、煮沸時間と水に晒す時間を調整します。
ゼンマイは5分も茹でるとヤワヤワになるので4分で押さえ、あとは水に晒して苦味が気にならないまで置きますが、わずかな苦味は旨味のうち。
塩茹でした後のコゴミは長時間熱すると色褪せてしまうので、できるだけ短時間にします。
パンチェッタは自宅の冷蔵庫を使って自家製のものが簡単に作れます。パンチェッタの塩加減によってアンチョビの添加量も加減します。
自家製パンチェッタの作り方はクックパッドなどweb上でいろいろな方法が公開されています。アンチョビも自家製することができます。
他の野菜やキノコを入れる場合は、アンチョビを入れる時点で加えて炒めます。

Fig.10 サワラと山菜とキノコのポワレ、セリのベシャメルソース
ポワレは「蓋をした底の深い銅鍋に、少量のフォンを入れ 蒸し焼きにする」こと。
銅鍋はないので、ほうろうのル・クルーゼの鍋でサワラと山菜をポワレして、セリの香るベシャメルソースを合わせました。
【調理法】
サワラは30~60分間、塩麹につけて冷蔵庫に入れて置く。セリはさっと湯通しにて冷水にとり、水気を切ってフードプロセッサーにかける。
シイタケは柄の部分は包丁で切らず、柄を持って捻りつつ前後左右に倒して柄をもぎ取る。柄は出汁用に細かく刻んで乾燥または冷凍保存。
シイタケの傘の部分を大きなものは4等分、小さなものは2等分する。タマネギをみじん切りにしておく。
薹立ちしたフキノトウは花と葉を取り除いて茎のみにして、3~4cmに切って酢水につけ置き、コゴミは洗って食べやすい大きさに切り分ける。
鍋にクッキングシートを敷き、サワラ、冷凍ナメコ、シイタケ、コゴミを入れ、白ワインを1人当たり大匙1を入れ極弱火で10分、その後沸騰させ弱火で10分。
鍋で蒸し煮する間に、ベシャメルソースを作る。鍋にバターを溶かし、刻んだタマネギをしんなりするまで炒める。
タマネギがしんなりしたら小麦粉1人当たり大匙1を入れてしっかり炒めて弱火にし、一人当たり100ccの牛乳を少しずつ加えてトロみがでるまで加熱。
程よいトロみになる直前にセリのみじんを加えて火を止め、皿全面に敷き詰め、ポワレしたサワラと山菜、キノコを並べる。
・ポイント
初めてコゴミを蒸し焼きにしてみましたが、仕上がりは水分が抜けて硬いものになってしまいました。
いつものように5~8分塩茹でしたものを添えるようにしたほうが良いように思います。
冷凍ナメコとシイタケから出汁が出るように、最初は低温加熱します。
ベシャメルソースは時間のある時に大量に作って冷凍保存しておくと各種欧風料理が時短できます。
ベシャメルソース作成、解凍時に、冷凍保存しておいた飴色タマネギやアサリの煮汁を加えるとより美味しくなります。
セリの香りを生かすには、できるだけ熱を加えないようにします。
家では湯通ししたセリをフードプロセッサーに掛けたものを袋で小分け冷凍保存しています。

Fig.11 コゴミとクレソン、新ジャガの南インド風サブジ
コゴミはクセがないので、西洋料理にもエスニック料理にも使えます。
通常はオクラを使うところ、ネバリつながりでコゴミをココナッツフレークとともに炒めたら、南インド風の美味しいサブジに仕上がりました。
【調理法】
ジャガイモを串がすっと通るくらいまで水を張った鍋で茹でておく。
クレソンは50度洗いして、黄色くなった葉を取り除いて冷水に漬けた後、食べやすい2~3cmの長さに切っておく。
コゴミは食べやすい大きさに切って、3~5分程食感が残る程度に塩茹でし、冷水に取って色止めする。
フライパンに熱劣化しない油を敷いて、すり鉢で引いたピーナッツかカシューナッツを炒め、クミンシード、マスタードシードを弱火で蓋を被せ炒める。
スパイス類が炒まったら、茹で置いたジャガイモ、コゴミ、クレソンをよく混ぜながら炒め、仕上げにココナッツフレークを混ぜ合わせ炒める。
ココナッツフレークに油が回ったら皿に盛りつける。
・ポイント
ピーナッツやカシューナッツが無い場合はゴマのペーストを使っても美味しくなると思います。
お菓子用のココナッツフレークは漂白剤を使っていることが多いので、そうでないものが手に入った時に試してみてください。
ココナッツフレークが無い場合はココナッツを使わない北インド風の美味しいサブジになります。
セントウソウ

Fig.12 セントウソウ (兵庫県篠山市 2016.4/9)
あまり利用されていない野草ですが、イタリアンパセリに少しパクチーを加えた香味があり、ハーブとして利用可能です。草体は柔らかいので、開花期の全草を利用できます。種子は特に利用するような特異な香味はありません。
乾燥保存する術がないので、湯通ししてフードプロセッサーでみじん切りにして冷凍庫で保存して利用しています。
関連ページ 関西の花・セントウソウ

Fig.13 セントウソウとホウレンソウのパラク・パニール
パラク・パニールはホウレンソウとパクチーをミキサーに掛けて、各種スパイスとインドのカッテージ・チーズを入れたカレー。
少しパクチー風味のあるセントウソウを利用し、パクチー苦手な家族にパラク・パニールを堪能してもらいました。
【調理法】
ホウレンソウ:セントウソウを2:1に用意しておく。
セントウソウはさっと湯通しして冷水に取り、ホウレンソウは根元から塩を入れて沸騰した湯に2~3分茹でて冷水に取り、フードプロセッサーにかけておく。
パニール(カッテージチーズ)は市販のものを購入しても良いが、自家製することも可能。以下はその手順で1~半日前に用意します。
牛乳を沸騰するまで煮て、時々鍋底が焦げ付かないように木ベラで底からしっかり混ぜる。
沸騰したら弱火にしてレモン汁を入れて(牛乳1Lに対してレモン汁40ml)やさしく混ぜ、分離するまで待つ。
ザルにガーゼや布巾を敷いて漉し、余分な水気を絞り、皿などに載せて重しをかけ、1時間後ラップでくるんで冷蔵庫で寝かせる。
レモンの酸味を除く場合、漉す時点で軽く水洗いするとよい。
スタータースパイス(シナモンスティック、カルダモンホール、クローブホール、クミンシード、ブラッククミンシード、黒粒コショウ、マスタードシード)を用意しておく。
ニンニク、ショウガ各1片を摩り下ろしておく。鍋に油を敷き、シナモンスティック、カルダモンホールを入れて弱火にかける。
カルダモンが膨らんできたら残りのスタータースパイスを投入してクミンシードが色付いたらニンニク、ショウガを炒める。
ニンニクの香りが立ったらみじん切りにしたタマネギを、飴色になるまでじっくり炒める。最初は中火、水気が飛んだら弱火で。
タマネギが色付いたらカルダモンホール、クローブホール、黒粒コショウを取り除き、粗みじんに切ったトマトを入れて完全に煮崩れるまで弱火で炒める。
香り付け味付け用のスパイス(コリアンダーパウダー、ターメリック、クミンパウダー、カイエンペッパー、ブラックペッパー)を用意する。
トマトが煮崩れて水分が飛んだら、用意したスパイスを入れてよくかき混ぜ、ホウレンソウとセントウソウ、切り分けたパニールを入れる。
ひと煮立ちして仕上げにフェネグリークパウダーとガラムマサラを加えて混ぜ、器に入れて生クリームを回しかける。
スパイス分量(4人分)
シナモンスティック・・・2cm
カルダモンホール・・・3個
クローブホール・・・2個
クミンシード・・・小匙1/2
ブラッククミンシード・・・小匙1/2
黒粒コショウ・・・5粒
マスタードシード・・・小匙1/2
コリアンダーパウダー・・・大匙3
ターメリックパウダー・・・大匙2
クミンパウダー・・・大匙2
カイエンペッパー・・・大匙1
ブラックペッパー・・・小匙1
フェネグリークパウダー・・・小匙1
ガラムマサラ・・・少々
・ポイント
画像のものはホウレンソウとセントウソウをフードプロッセサーにかけただけのものです。
最後にひと煮立ちさせる前にミキサーにかけると、よりなめらかな仕上がりになります。
フェネグリークは火を通すと苦味が強く出るので、仕上げに混ぜ入れれます。
4人分だとタマネギ2個、トマトは4個くらい使います。
ホウレンソウとセントウソウは熱を加えすぎると褪色するので、最後に加えます。
塩は使っていませんが、塩気が欲しい場合、仕上げ時に味見しながら加えてください。
辛味はカイエンペッパーで調整してください。
ワラビ

Fig.14 ワラビ (兵庫県篠山市 2016.4/22)
かつては木灰や重曹によるアク抜きが一般的でしたが、最近は小麦粉と塩による時短アク抜きが主流になってきたようです。
比較的長い期間に亘って採集できるので重宝する山菜で、初夏でも伐採後に出てきたりします。

Fig.15 ワラビのダシ醤油漬け
ワラビ料理の基本です。
【調理法】
ワラビの表面の細毛を50度洗いまたは水洗いしながら擦り落とし、鍋に収まる長さに揃えておく。
ワラビのあく抜き。鍋に水1Lに対して小麦粉大匙3、塩小匙1を入れてダマが無くなるまで泡だて器でかき混ぜ、中火にかける。
沸騰したらワラビを入れ、再沸騰したら弱火にし、木ベラで小麦粉が底に凝固しないように底からゆっくりかき混ぜ3分30秒程度煮る。
ザルに上げて冷水にとって熱を取り、苦味が気にならなくまで水に晒しておく。
漬け汁を作る。水:酒:味醂:醤油を4:2:1:1cupの割合で鍋に入れて弱火に掛けて、沸騰したら削り節20gを入れてアクを取りながら2分間煮て、削り節は漉しとって除き放置して粗熱を取る。
粗熱が取れたらタッパーやジップロックに漬け汁を入れて、アク抜きの終わったワラビを1日漬け込む。
・ポイント
漬け汁は山菜に対して万能で、コゴミ、モミジガサ、ウド、タラノメ、コシアブラ、ヒメダケなどの漬け込みに利用でき、茹でたキノコと混ぜて山菜ミックス漬けもできます。
この漬け汁を基本として味醂と醤油を味噌に置き換えることで味噌漬けに、味醂と醤油、削り節を白ダシに変えたり、山椒やワサビを加えて変化を付けれます。
アク抜きの茹で時間は3~3分半程度がいいように思います。長い時間茹でると苦味は消えますが、4分を超えると茎(実は葉柄)が溶けはじめてきます。
ワラビの歯ごたえを残すには、煮る時間を3分程度にし、水に晒す時間を長くして苦味を取り除くようにします。
アク抜きしたワラビは水気を切って冷凍することにより、長期間保存可能です。

Fig.16 フキノトウの茎、ワラビ、コゴミとがんもどきの煮物
ワラビと揚げ物系の煮物は和食の定番。今回は董立ちしたフキノトウの茎とコゴミとともに煮物にしました。懐かしい味と感じるのは醤油ベースの味付けによるものなのでしょうか?
【調理法】
アク抜きしたフキノトウの茎、ワラビ、コゴミを3cm程度に切る。
出汁100ccに酒:醤油を1:2の割合で入れて砂糖少々を加え、切った山菜とがんもどきを入れ5~10分程煮る。
・ポイント
フキノトウの茎は30秒程塩茹ですることでアク抜きし、コゴミも3~5分程下茹でしておくこと。
がんもどきが煮汁を吸って煮汁が減ってしまったら出汁を追い足しする。
できあがったら少し置いたほうが味がよく馴染みます。
タラノキ(タラノメ)

Fig.17 タラノキ (兵庫県丹波市 2016.4/22)
春先にはスーパーにも並ぶ馴染み深い山菜。「山菜の王」とも言われる。
かぶれ易い人はアレルギーを起こすこともあるので、最初は少量から食すようにしてください。

Fig.18 タラノメのチーズ焼き
シンプルな1品。タラノメとチーズはよく合います。
【調理法】
タラノメは2~3分程塩茹でし、ザルに上げて冷水にとり色止めする。
オーブンまたはトースターを200度にして余熱する。
小さなボールなどに生クリーム1/4カップ、塩2つまみ、コショウ少々を混ぜておく→A。
耐熱皿に水気を切ったタラノメを並べてAをかけ、ピザ用シュレッドチーズ、パルミジャーノ・レッジャーノ、パン粉をちらす。
オーブンまたはトースターで10分程、チーズに焼き色が付くまで焼く。
・ポイント
特にありませんが、A液にナツメグ少々を入れても美味しい。

Fig.19 タラノメとパンチェッタのパスタ
タラノメをあらかじめ2~3分塩茹でしておくほかは、Fig.9のレシピと一緒です。
コシアブラ

Fig.20 コシアブラ (兵庫県篠山市 2016.4/22)
タラノメが「山菜の王」と呼ばれるのに対して、コシアブラは「山菜の女王」と言われています。
私はタラノメよりもコシアブラのほうが好きで、いろいろな料理に利用しています。

Fig.21 山菜と春野菜のアクアパッア
旬の山菜と春野菜を魚介の出汁で美味しく頂きます。
【調理法】
アサリは2時間程3%の塩水にバットなどにひたひたにつけて、上から新聞紙などを乗せて暗くし、砂出しする。
白身魚は40度のお湯に15分ほど漬け置き血抜きした後、2分ほど50度洗いして、冷水に取り、水気を拭き取ったら塩麹に10分程度漬け込む。
アスパラガスは下から3cmくらいで手折れる場所で折り、ブロッコリーは小房に分け、柔らかくしたい場合は下茹でする。
軟白ウドは皮を剥いて斜め薄切りにして、切った端から酢水につけてアクを抜く。
コシアブラは1分程サッと塩茹でし、コゴミは3分ほど塩茹でしておく。
砂出ししたアサリをよく水洗いしてボールに入れ、50度の湯を入れて15分放置してさらに砂出したら、殻同士をすり合わせるように水洗いしザルに上げる。
ニンニク1片をスライスしたら、フライパンにEVオリーブオイルを弱火で熱して炒める。
香りが立ったらニンニクを取り出し、中火にして白身魚を皮目から焼き、焼き色が付いたら裏返して両面に火を通す。
その間、冷凍キノコを別の小鍋で60度の少量のお湯に入れて極弱火にかけて出汁を取る。
白身魚に大方火が通ったらアサリ、白ワインと同量の水+キノコと出汁(計100~200cc)、野菜・山菜・ケイパーを入れて蓋をして弱火にし、アサリの殻が全て開いたら完成。
・ポイント
野菜、山菜ともに硬めがいい場合は、下茹でせずに生のままアサリを入れる時に同時に入れてください。白身魚は今回はスズキを使いましたが、ホウボウ、コチ、タラなどの底魚が美味しいですが、底魚は産地に注意してください。
アサリは50度洗いとこすり洗いでストレスをかけることにより、甘味が増して美味しくなります。
ニンニクは白身魚を焼く過程で焦げ付いてしまうので、その前に取り出します。
ニンニクの風味がもっと欲しい時はアサリ、白ワインを入れる時点で刻んだニンニクを入れる。
彩りよく仕上げたい場合は、山菜・野菜を入れる際に、トマトや赤ピーマン、パプリカなどを入れる。
冷凍キノコは今回はヒラタケと刻んだマッシュルームを使用しましたが、どんなキノコでも冷凍すればよい出汁がでます。
食べている途中で、茹でたパスタと粗引きコショウを加えると2度美味しく頂けます。
ワサビ

Fig.22 ワサビ (兵庫県篠山市 2016.4/22)
ワサビは兵庫東部では丹波地方以北に見られますが、丹波地方の多くの場所は栽培品の放棄・逸出したものと考えられます。県北部の標高400m以上に生育するものは自生種のものがあると考えられます。
関連ページ 湿生植物・ワサビ

Fig.23 葉ワサビ・花茎の醤油漬け
葉ワサビの基本料理で、これを調味料としていろいろな料理に使います。
多量に作った時は小分け冷凍して、適宜使用しています。
【調理法】
葉ワサビは葉柄と葉身を分け、葉柄と花茎は2cm長に切り、葉身は手で細かく裂き、ともにボールに入れる。葉ワサビを入れたボールに天日塩を一つまみ撒き入れ、しっかり塩揉みする。
塩揉みして柔らかくなったら、出てきた水気をしっかり絞って水気を切る。
80℃のお湯に絞った葉ワサビを入れ、10秒間かき混ぜたらザルに上げ、すぐに冷水に晒して熱を取る。
タッパーやガラス瓶に醤油:味醂:酒:酢を2:2:1:1の割合で入れ、水気を絞った葉ワサビを入れ、堅く蓋を閉めて激しくシェイクする。
冷蔵庫に入れて、食べる直前に再びシェイクする。余りそうなら1週間後に小分けして冷凍保存する。
・ポイント
葉ワサビは採集後または購入後時間が経ったものは50度洗いして冷水に漬け置くとシャッキリします。
シェイクすることで細胞内のシニグリンと酵素が反応して辛味成分のアリルイソチオシアネートが生成されます。
細胞内の酵素を破壊しないよう、80℃のお湯につけて細胞壁を破壊させます。
酒のアテ、茶漬けの素、刺身を漬け込むと美味しい漬けができ、魚類とともにパスタの調味料にと、様々な料理に利用できます。
ウコギ

Fig.24 ヤマウコギ (兵庫県篠山市 2016.4/22)
ウコギにはヤマウコギの他、オカウコギ、エゾウコギ、ヒメウコギなどがあり、オカウコギは救荒作物として垣根で栽培されていることもあります。
ウコギの仲間は雌雄異株で、花期の花序も食用となることはあまり知られていません。
タラノキ、コシアブラ、ウド、タカノツメ、ハリギリなどの山菜は近縁で、花序や果実が同様に利用できます。ウコギの仲間は石灰岩地や石灰分を含む緑色岩地、安山岩地に点在しています。

Fig.25 ウコギ飯、桜エビ入り
山形県では藩政時代に普及して5月に欠かせない郷土料理となっていますが、西日本で利用する人は少ないようです。
山菜好きの私は高校時代から、ありそうな場所を探して毎年ウコギ飯を作っています。
ウコギの新芽の収量が少ない時は、前後して出芽する同属で味と香りの似たコシアブラやハリギリを混ぜて利用します。
ウコギ飯はシンプルに春を実感できるご飯で、キチン・キトサンを摂れる桜エビと合わせました。
【調理法】
ウコギは展開しつつある新芽を鱗片ごと採取し、持ち帰ったら水洗いしながら鱗片を取り除く。
鍋に湯を沸騰させ、沸騰したら一つまみの塩を入れて火を止め、ウコギを入れてひと混ぜして、ザルに上げて冷水に取って水気を絞る。
桜エビはサッと熱湯に通し、ザルに取って水切りしておく。
大きなボールに白ダシと天日塩を入れ、水気を切って細かく刻んだウコギと桜エビを混ぜ入れ、そこに炊きたての白米を入れて切り混ぜる。
混ざったら湿らせた布巾で飯の上を覆いかぶせて数分蒸らし、5~10分ほど蒸らしたら茶碗に盛り付ける。
・ポイント
出芽まもない新葉はアクも少なく、軽く湯通しするだけで利用できます。
ウコギの新葉は小さく収量も限られるので、桜エビの塩味を利用して炊きたての白米と混ぜ、その風味と香りを楽しみます。
以後、「春の山菜料理 2」に続きます
category: 自然を食べる
早春を味わう
2016/03/15 Tue. 23:58 [edit]
皆さん、ご無沙汰しております。
久々の記事ですが、冬眠していた訳ではなく諸事情のためなかなかフィールドに出られず更新が遅くなってしまいました。今回はネタがあまりないので、植物の観察や見聞ではなく、植物を食べる話しです。
3月に入ると、早春の山菜がいつ出てくるかとソワソワします。最初はフキノトウ、セリ、ナズナ、オランダガラシ(クレソン)、ノビル、続いてツクシ、ヤブカンゾウなどが採れるようになります。これらの山野草を自宅でどのように利用しているか、ご紹介しましょう。
料理法も紹介いたしますが、山野草の利用は各自の自己責任でお願いいたします。
*画像クリックで、別ウィンドで表示されます。
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大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。
オランダガラシとセリ

Fig.1 オランダガラシ(クレソン)の群生 (兵庫県篠山市 2016.2/25)
外来種で要注意外来生物に指定されており、各所で繁茂していますが、食べようと思うような場所ではなかなか発見できません。生食できるのは湧水が湧出していて、水田や河川の水が入らない場所のものに限られます。それ以外の場所に生育しているものはしっかり火を通す必要があり、そうするとクレソン特有の風味がほとんど損なわれてしまいます。
この場所では小さな湧水池にビッシリ繁茂していました。

Fig.2 セリ (兵庫県三田市 2016.2/26)
この時期は、無農薬水田や休耕田で湛水しているものか、谷津奥の細流脇や用水枡に生育しているものを利用します。画像は無農薬水田の素彫り水路内に生育しているもの。無農薬水田か休耕田で湛水しているものは、外側(下側)2枚ほどの葉は越冬葉で、水中の葉の表面にケイソウ類などのプランクトンがコロニーを形成してヌメるので、気になる場合は取り除くかシッカリこすって洗う。

Fig.3 山際の用水枡に生育するセリ (兵庫県篠山市 2015.3/16)
ここでは山間から流下する小渓流を農業用水として水路に取り込むための用水枡があり、そこに多くの湿生植物と生育しています。底面を覆っているのはネコノメソウ。有毒のヤマキツネノボタンも生育しており慣れないうちは注意が必要です。
セリは2月中はまだ小さく、採取には手間取りますが、3月半ばにもなると個体も大きくなり、収量も増えます。ここでは、オオバタネツケバナも混生しており、このような場所に生育するオオバタネツケバナも、サッと湯通しして利用できます。
●クレソンとセリで鴨鍋

Fig.4 クレソン・セリ・岩津ネギの京丹波合鴨鍋
毎年、2月下旬の早春のセリとクレソンを収穫したら最初に楽しむ料理です。
鴨鍋は年に2~3回の楽しみ。今回は京丹波の合鴨を使いました。
合鴨鍋は年の最初にクレソンとセリが揃った早春と、ソバとともに頂く大晦日の鍋。
それ以外はほとんどリーズナブルな豚シャブで利用しています。
【調理法】
野生のクレソンは節から出ている細根と、黄化しかかった茎下方の葉を取り除きながらよく洗う。
セリは根にも独特の風味があるので、できれば根を残してよく洗う。
太めのネギ(今回は兵庫県但馬地方特産の岩津ネギ)の白い部分を3~5cmに切って、横方向に数本隠し包丁を入れておく。
購入した京丹波合鴨ロース(だいたい1パックが1人分)は皮と脂身部分が一方向に揃うように広い面を密着させる。
フライパンに油をひかずに中強火で熱し、密着させた合鴨ロースをトングなどで掴み、皮目の面に焦げ色をつける。
皮目に充分に焦げ色がつく頃には、皮下にある脂身から油が出るが拭き取らず、皮に焦げ色がついたら、中火にして切っておいたネギを入れる。
ネギは転がさず、一面にしっかり焼き色をつけ、下面に焼き色がついたら、トングや箸で裏返し、反対側の面にも焼き色をつける。
こうすることにより合鴨から出た油の旨みを、香ばしく焼いたネギに吸収させることができる。
鍋に水を張り出汁用昆布、冷凍しておいた出汁用キノコを入れて弱火にかける。
美味しい出汁の出るキノコは冷凍することによって保存でき、冷凍によって細胞が壊れて複雑な深みのある出汁の元として利用できる。
キノコの各種の出汁の味わい、魚類の乾節、昆布の有無、調味料との組み合わせにより、味の裾野は無限大!
今回は冷凍したタモギタケ、冷凍した傘の開いた原木栽培ナメコを利用。
冷凍することにより、ほとんどキノコが美味しくなりますが、特にヒラタケ、トキイロヒラタケ、ナラタケ、ナラタケモドキ、クリタケ、チチタケ、タモギタケ、ヌメリスギタケモドキ、シモコシ、フユヤマタケ、エノキタケ、ナメコが美味しく感じた。
キノコには冷凍・乾燥いずれかの処理をするといい出汁が出て美味しくなるものが多く、複数種を使うことにより味に深みが出る。
乾燥して美味しい出汁が出る代表はシイタケやアミガサタケ、イグチの仲間ですが、ヒラタケやエノキタケも冷凍に劣らず乾燥でも良い出汁が出ます。
冷凍キノコを鍋に入れたら出汁の出やすい60度近辺の水温で20分程キープしてから火力を上げて沸騰させる。
沸騰したら昆布を取り出し、カツオ節を投入して弱火にして数分煮だして取り出し、適量の酒・醤油を入れひと煮立ちさせる。
器の中に鍋の汁を入れ、醤油またはポン酢、出汁醤油を加えて好みの濃さにしておく。
沸騰したら合鴨肉とともにすぐに食べれる分量の焼いたネギを入れて、30秒後にたっぷりのクレソンを入れ、その30秒後くらいにクレソンとともに合鴨肉を器のつけ汁につけて頂く。
2~3切れ食べて、必要であればニンニク・パウダー、胡椒、七味、一味、粉山椒などのスパイスを足します。
野生のクレソンは野生のセリに比べてアッサリしているので、セリはクレソンを全て食べ終えてから合鴨肉とともに投入する。
2月の野生セリは合鴨肉と同時に投入し、鴨肉とともに器に取る。
この時期の野生セリはスーパーに出回る水耕栽培とはまるで別種のような鮮烈な香りと味わいがあり、春の到来を印象付けてくれます。
鍋料理が一通り終了したら、茹でた生ソバまたは冷凍のソバを投入してソバが美味しく頂ける。
今回はナメコと大根おろしを投入して、ナメコおろしソバとしました。
宴の後の鍋にはソバ粉によって濁った煮汁が残りますが、この中には旨味と栄養のカオスがあるので、捨てずに料理に利用する。
・ポイント
野生クレソンよりも野生セリのほうが香りやクセが濃厚なので、クレソンが終わってからセリを投入する。
鴨肉は30分を越えない煮物では時間経過に比例して硬くなって旨味も減退するので、1分くらいで引き上げて食べる。
出汁に冷凍または乾燥したキノコを低温煮出しによって活用することにより、汁の旨味が倍増する。
豚や牛のしゃぶしゃぶ用の薄切り肉でも美味しくいただけますが、その場合はアクが出やすいのでこまめに取り除く。
豚や牛のしゃぶしゃぶの場合はネギは必要ではない。
●セリの薬味的な利用

Fig.5 ハマグリとセリのつみれ汁
春が旬のハマグリと野生のセリを使った贅沢な汁物です。
ハマグリは3月3日の翌日にセールで安くなるので、ウチではこの日だけ利用しています。
【調理法】
つみれはイワシ、アジなどの青物の魚を包丁で細かく叩くかフードプロセッサーにかけて、摺り下ろしたショウガ、刻んだネギ、卵、片栗粉、同量の酒と醤油を練りまぜておきます。
鍋に水を張って昆布と冷凍キノコを低温で煮だし、20~30分後に火を強め、沸騰直前に昆布を上げて、沸騰したら弱火にして鰹節を投入にして出汁をとる。
出汁が出たら鰹節を鍋から引き上げ、ハマグリを投入して貝が開いたら一旦取り出しておく。
この間、冷凍キノコは取り出さずそのまま煮てOK。
スプーンを使いながらつみれを丸めて鍋に投入し、アクが出たらすくい取る。
つみれが煮えたら鍋の汁の味見をして、味が薄ければ天日塩か醤油を足す。
取り上げておいたハマグリと、よく洗ったセリを入れて、ひと煮立ちしたらできあがり。
昆布・冷凍キノコ・鰹節・ハマグリから出た出汁の4重奏の汁が絶品。
・ポイント
ハマグリは3月3日の雛祭りの翌日がセールで激安!
摺り下し生姜はチューブ入りのものではなく、添加物のない生姜を摺り下し、つみれにたっぷり練りこむ。
つみれの味を濃くした時は汁は薄めの味付けで。つみれをアッサリ味とする場合はその逆に汁の味を濃いめにする。
味見用の小さなつみれを2,3個作っておくと味のバランスを決めやすい。
ハマグリにはあまり火を通さない。
フキノトウ

Fig.6 フキノトウ (京都府福知山市 2016.3/6)
爽やかな香りと苦味が堪らない早春の山菜の王者です。
これを食べないことには、春が来たことを実感できないほどで、毎年いろいろな調理法で利用しています。

Fig.7 走りのフキノトウ (兵庫県篠山市 2016.2/25)
日当たりよい斜面に出ていた走りのフキノトウです。
走りのフキノトウは茹でてそのまま食べるか、天ぷらでシンプルに頂きます。
●茹でフキノトウ

Fig.8 茹でフキノトウ
早春初の開花していないフキノトウは、先ずは茹でて頂きます。
【調理法】
鍋にたっぷりの湯を沸かし、3%程度の塩を入れてフキノトウを30秒ほどサッと茹でる。
茹でたらザルに取り、すぐに冷水につけて冷ます。
堅くしぼって水気を切り、EXバージンオリーブオイル、グレープシードオイル、エゴマ油、太白胡麻油など良質で美味しいオイルをかけて、天日塩や岩塩をふって頂く。
春の香りが口いっぱいに広がるシンプルな食べ方。
・ポイント
採りたてで新鮮なものほど美味。
長時間煮ると独特の風味が台無しになるので、サッと茹でる。
できるだけ美味しいオイルと塩で頂く。
●フキノトウのパスタ

Fig.9 フキノトウと自家製サルシッチャのクリームパスタ
フキノトウはオイル、バター、チーズ、豚肉などとの相性がよく、イタリアンな味付けによくあいます。
コゴミ、ワラビ、ウド、コシアブラなどとともにオリーブオイル、ニンニク、鷹の爪、アンチョビで炒めたペペロンチーノが定番ですが、今回は自家製サルシッチャ(イタリアンソーセージ)とともに濃厚なクリームパスタにしました。
【調理法】
サルシッチャ(*)は小さく丸めておく。
フキノトウは包丁で縦に2分し、塩を入れた湯で30~60秒程サッと茹でて冷水に放ち、水気を切る。
ニンニク1片をみじん切りにし、フライパンか鍋に入れ、オリーブオイルとともに弱火で香りが充分に立つまで炒める。
香りが立ったらみじん切りにしたタマネギを中弱火で、アメ色になるまでじっくりと炒め、別の鍋でパスタを茹で始める。
タマネギを炒めたフライパン(鍋)に丸めたサルシッチャを投入し、表面に焼き色が付くまで中弱火で炒める。
小麦粉大匙2(2~3人分)を加え、具材によく馴染ませながら炒める。
小麦粉が馴染んだら豆乳または牛乳を序々に加えて弱火にしてフュメ・ド・ポワソンかコンソメを適量溶かし込み1~2分程度少しトロみが出るまで煮る。
味見して塩気が足りなければ天日塩か岩塩を適宜加えて、茹で置いたフキノトウと摺り下ろしたパルミジャーノ・レッジャーノまたはペコリーノを加えて茹でたパスタと絡める。
食べる直前に粗引きコショウやパルミジャーノ・レッジャーノ、みじん切りのパセリやディルなど好みのハーブを振って頂く。
画像のものはクリームソースを冷凍ストックしておいたキクイモのポタージュで代用しました。
・ポイント
行程最初の炒めたタマネギみじん切りは、ヒマな時に大量に作っておいて小袋に分けて冷凍ストックしておくと非常に便利で、様々な料理の時短ができます。
テフロン加工のフライパンではタマネギがアメ色には色付きませんが、水分が飛んでペースト状になればOKです。

*サルシッチャ(イタリアンソーセージ)
ミックスピザの上によく乗っているコロコロとした小さな丸いミンチ状のものがサルシッチャです。
作り方はハーブ類を揃えればハンバーグよりも簡単。
肉は豚肉を利用し、2ヶ所の異なった部位の肉を用意すれば味わいが深まります。
ハンバーグ同様、肉の脂が溶けると味が落ちるので半解凍状態で調理します。
豚肉は食感をよくするために半分をフードプロセッサーにかけてミンチにし、半分は包丁で粗みじん切りに。
これをボールに入れ天日塩(豚肉250gに対して小匙1が目安)、アルコールを飛ばした赤ワイン(豚肉250gに対して30~50cc)、セージ、タイム、オレガノ、ローズマリー、バジル、オールスパイス、ナツメグ、フェンネルシード、ディルシード、ブラッククミンシード、黒胡椒、カイエンヌペッパーなどの好みのハーブ類を擂り鉢で粉末状にしたものを加え、ゴムベラなどでしっかり練る。
挽肉の量が1kg以下と少ない場合、手で練ると体温で挽肉の温度が上昇してしまうので、ヘラで混ぜるのがお勧めです。
ハーブ類の配合はお好みで。最初はセージ主体にして、少しずつ他のハーブを加えて好みの味にしていくといいでしょう。
タイムを入れすぎると薬臭くなったり、ナツメグを入れすぎるとハンバーグのような味になってしまいます。
全体を混ぜるおうに意識しつつ、よく捏ねてネバリがでてきたらOK。
ラップを広げておいてボールから移し、空気を抜くようにヘラで叩き、できるだけ空気を追い出すようにラップでしっかり包む。
あるいはタッパーに押さえつけるように詰めて、表面を平らに均して空気に触れないようにラップで覆ってもよい。
冷蔵庫で最低1時間寝かせる。5日程寝かせると肉がピンク色を帯びて熟成され、さらに旨味が増します。
これをストックしておくと市販のソーセージは必要なくなり、味が付いているので様々な料理に利用できます。
市販のソーセージのように食べたい時は、棒状に形成してラップに包んで沸騰直前の湯(80度前後が理想的)で茹でるか、蒸し器で蒸した後に、フライパンで炒めて表面にこんがりと焼き目をつける。
本格的にやりたいのであれば、豚腸を水や牛乳で戻して腸詰めにし、好みの長さでひねって1日干してから冷蔵庫で熟成させる。
冷蔵庫で10日~2週間ほど保存でき、大量に作ったときは用途を見越して小分けして冷凍保存し、2ヶ月以内に食べきるようにします。
●フキノトウのクリームチーズ和え

Fig.10 フキノトウのクリームチーズ和え
クラッカーやパンにディップのように塗って頂くか、軽く湯煎してゆるめて新タマネギ、茹でた春キャベツやアスパラに付けて頂きます。
画像のものは刻んだディルを混ぜています。
【調理法】
粗みじんに切ったフキノトウを、塩ひとつまみ入れた湯でサッと茹でてザルに上げ、熱いうちにクリームチーズと和える。
好みにより塩、粗引きコショウ、ヨーグルト、レモン汁、刻んだハーブ、メープルシロップ、ディジョンマスタードなどを混ぜ、粗熱が取れてクリームチーズが少し固まったら完成。
・ポイント
茹でたフキノトウを熱いうちにクリームチーズに混ぜ込むことによって、クリームチーズを乳化させて混ぜ合わせ易いようにし、その状態で他の調味料も混ぜる。
少し食べてから味に変化をつけたい時は、器ごと湯煎して調味料を混ぜる。
塩気を強めれば、冷蔵庫で10日は保存できる。
●フキノトウのグラタン

Fig.11 フキノトウ・アサリ・岩津ネギのグラタン
残り物と冷凍庫のストックを利用して、早春の素材を生かしてみました。
スープ類はいつも余分に作って冷凍ストックしておくと便利です。
【調理法】
フキノトウは包丁で縦に2分し、塩ひとつまみ入れた湯でサッと茹でて冷水に放ち、水気をよく切って、一部は粗みじんに切る。
アサリはひたひたの塩水で2~3時間ほど砂出しし、フライパンに白ワインを入れて蒸し、貝が開いたら殻から身を外し、煮汁はとっておく。
卵黄1と味噌大匙1(2~3人分目安)と冷めたアサリの煮汁をよく混ぜておく。
オーブンまたはトースターを200度程度で余熱しておく。
ネギは白い部分を4cm程に切り揃え、少量のバターで裏表2面に焼き色がつくまで炒める。
アメ色に炒めたタマネギのみじん切りに小麦粉を振り入れてよく炒め、豆乳か牛乳を入れてホワイトソースを作る。
卵黄、味噌、アサリ煮汁を混ぜたものをホワイトソースに溶かし込み、味見して塩気が足りなければ味噌を追加する。
グラタン皿にバターを塗り、フキノトウとネギを交互に並べて、周囲にアサリの身をちらし、ホワイトソースを流し入れる。
上から刻んだフキノトウを散らし、好みで溶けるチーズや摺り下ろしたパルミジャーノ・レッジャーノを降りかけてオーブンに入れ、表面に焼きが付いたら出来上がり。
画像のものはホワイトソースの代わりに、前日の残りのジャガイモとネギのスープをフードプロセッサーにかけたものと、冷凍ストックのキクイモのポタージュを使っています。
岩津ネギはFig.4の鴨鍋で余ったものを使いました。
・ポイント
アサリは殻が開いたらすぐに取り出す。
素材全てにあらかじめ火が通っているので、表面に焼き色が付いたらOKです。
アサリの代わりにカキやホタテでも美味しい。
ホワイトソースは小麦粉や牛乳を使わずに冷凍ストックしたポタージュで代用するとヘルシー、便利&時短。
●フキ味噌

Fig.12 フキ味噌、八丁味噌仕立て
【調理法】
フキノトウは細かく刻む。
フライパンに米油、菜種油、オリーブオイル、ココナッツオイルなど、加熱しても劣化しない油を敷いて、刻んだフキノトウを炒める。
油がまわったら酒、味醂を同量(フキノトウ10個に対し大匙1/2~1が目安)入れて、水気がある程度飛んだら八丁味噌を加えて混ぜ、フキノトウと馴染んだら火を止める。
・ポイント
八丁味噌は長く火を通すと苦味が出るので、サッと火を通す程度にしておく。
フキノトウの苦味を抑えたいのであれば、茹でてから刻んで炒める。
ゴマ油は長時間加熱すると劣化するので、風味付けしたい時は最後の行程で八丁味噌とともに加える。
冷凍保存可能。

Fig.13 薹立ちしたフキノトウ (京都府福知山市 2016.3/6)
薹立ちしたフキノトウはほとんど見向きされませんが、花序部分を取り除けば料理に利用できます。
フキ味噌のかさ増しにも最適です。
●フキノトウの茎の肉巻き

Fig.14 フキノトウの茎とナズナの牛肉ロール、バルサミコソース
フキノトウは薹立ちして、高さ30~50cmに伸びたものの茎の部分を使います。
この時期のナズナはツボミを付けた柔らかい花茎を使います。
キク科の可食草本の苦味と爽やかな香りは酸味の効いたバルサミコ酢を使ったソースともよくあいます。
【調理法】
フキノトウの茎は長さ10cm程度に切り、2分間塩茹でし、途中でナズナも加えてサッと茹で、冷水に取る。
フキノトウの茎が太い場合は縦に切る。
しゃぶしゃぶ用牛肉などの薄切り肉を広げ、塩コショウして、少量のナツメグを振り掛ける。
肉の端にフキノトウの茎とナズナを並べ、それを軸にして肉をクルクルと巻き、外側に片栗粉を振って、余分な粉ははたいておく。
フライパンに油を敷いて巻き終わりの部分を下にし、中火で焼き色がつくまで炒め、後は時々転がしながら他の面も炒める。
巻いた肉の中心部がレア状態となるのが、肉汁が多くて美味しい。
全体に焼き色がついたらフライパンから取り出し、アルミホイルに包んで寝かせておく。
フライパンの肉汁は捨てず、卸したタマネギ大匙2、バルサミコ酢大匙1、赤ワイン大匙1/2、醤油大匙1、メープルシロップまたは蜂蜜大匙1/2、刻んだプルーン1個分をフライパンに入れて弱火にかけ、少しトロ味がついたら火を止める。
寝かせていた肉ロールを一口サイズに切って皿に並べ、上からバルサミコソースを掛けて完成。
・ポイント
豚肉でも出来ますが、その場合生焼け部分がないようにシッカリ炒めるか、途中フタをして蒸し焼きにする。
アザミの根を下茹でして一緒に巻くと更に美味しい。
この時期のナズナの根は中心に硬い芯ができるためあまり利用しない。
一般的に花茎が立った植物は、根に芯ができたり、繊維が硬くなるため、根を利用するには花茎の伸びていないものを利用するのが、根菜類を料理に使うコツとなる。
ツクシ

Fig.15 休耕田で一斉に伸びたツクシ (京都府福知山市 2016.3/6)
ハカマの処理に手間が掛かるのであまり欲張らず、上から2~3節程度で折り取るようにします。
収量が多いときは茹でてアク抜きした状態で冷凍保存できます。
●ツクシの佃煮

Fig.16 ツクシのキンピラ風佃煮
最もポピュラーなツクシ料理です。
【調理法】
ツクシはハカマを取り去ってよく洗い、水に30分程漬けておき、その間に少なくとも1度は水換えする。
たっぷりのお湯を沸かし、ひとつまみの塩を入れてツクシを2分ほど煮てザルに上げて水気を切る。
フライパンに油を敷き、油が充分回るまでツクシを炒める。
油が回ったら酒・出汁醤油・味醂を10:10:4の割合で入れ、甘めが好みの場合は黒糖や甜菜糖などの糖類を適量加え、水気が無くなるまで炒め煮る。
火を止める間際に少量のゴマ油を鍋肌に回し掛け、掻き混ぜて火を止める。
・ポイント
キンピラ風にしたくない場合は最初に油で炒めない。
ゴマ油は長時間加熱すると劣化するので、火を止める間際に入れる。
水に着けていると水が緑色になるのは胞子が出ているため。この胞子は苦味とえぐ味があります。
適度な苦味やえぐ味は酒のつまみにあう、大人の味わいとなります。
苦味やえぐ味目当ての場合は、できるだけツクシの頭が開いていないものを採取し、水換えの頻度も少なくします。
●ツクシの卵とじ

Fig.17 ツクシの卵とじ
佃煮とともにツクシの基本料理です。
【調理法】
ツクシを炒めるまでの行程はキンピラ風佃煮と同様で、酒・出汁醤油・味醂の割合を1:1:1の量で入れる。
だいたいMサイズの卵1個につき、各大匙1程度で、隠し味で黒酢を小匙1加える。
卵を割って溶いておき、フライパンの水気が少なくなったら卵を流し入れ、適度に掻き混ぜる。
卵が半熟状態になったら火を止めて皿に盛る。
・ポイント
この時期に手に入る釜揚げアミエビやサクラエビを混ぜても美味しい。
●混ぜご飯

Fig.18 早春の野草の混ぜご飯
春先に一度は食べたい、爽やかな香りが漂う混ぜご飯です。
画像のものはツクシ、セリ、フキノトウ、ナズナ、軟白ウド(栽培品)、緑茶葉などを混ぜ込んでいます。
【調理法】
ツクシは佃煮を作り、フキノトウは縦に2分してナズナとともにサッと下茹でし、冷水に取り水気を絞る。
緑茶を水で戻し、セリは5mm程に刻み、ウドは皮を剥いて薄く輪切りにして酢水に放ちアクを取る。
下茹でしたフキノトウ粗みじんに切り、少量の油を敷いたフライパンで炒める。
フキノトウに油が回ったらシラス干しを一握り程入れ、酒大匙2を入れてアルコールを飛ばす。
濃口醤油小匙1を入れてナズナ、ウドを入れて1分ほど炒め、味見をして塩、コショウする。
味が決まったら刻んだセリを入れて軽く炒めて皿に取っておく。
ボールかお櫃に炊いた白米を入れて、戻して水気を切った緑茶を混ぜる。
次にツクシの佃煮を混ぜた後、炒め合せたフキノトウなどを混ぜ合わせて、絞った布巾を被せて10分程蒸し、好みにより千切りにしたショウガか、ミョウガを加えて茶碗に盛る。
上から摺りゴマを掛けて完成。
・ポイント
冷めても美味しいが、翌日になるとアクが出て茶色くなりエグ味も少し出るので、できるだけ作ったその日に食べる。
味付けした煎り卵や、薄塩味のサケのほぐし身を混ぜても彩りもよく美味しい。
ヤブカンゾウ

Fig.19 ヤブカンゾウの萌芽 (西宮市 2016.3/12)
ツクシと同様、里山に行けば沢山採取でき、利用価値の高い野草です。
旧い時代に移入されて定着したものですが、かつては野菜として利用されていたはずです。
●ヤブカンゾウのスープ

Fig.20 ヤブカンゾウの中華スープ
ヤブカンゾウの芽はスープ類や油を使っての炒め物によくあいます。
今回は中華スープを作ってみました。
【調理法】
ヤブカンゾウはよく洗い、下方の傷んだ葉を取り除く。
鍋で適当に刻んだベーコンとクローブ2個を炒める。
ベーコンから油が出たらヤブカンゾウの芽を入れて油が回るまで炒める。
ヤブカンゾウに油が回ったらスープストックを入れ、八角ひとかけらと、クコの実を入れて弱火にして10分程度煮る。
オイスターソースを小匙2入れて味見し、塩気が足りなければ天日塩を足す。
食べる直前に浮いている八角のかけらとクローブを取り除き、水溶きカタクリ粉を入れてスープにトロ味をつけ、溶き卵を高い位置から垂らし入れてゆっくり混ぜ、好みによりゴマ油を垂らす。
器に入れて、粗引きコショウを振って完成。
・ポイント
スープストックはスペアリブを下茹でした際の残りを使い、豚骨スープになっていますが、鶏がらスープの素を使うのもよい。
八角を沢山入れるとくどくなるので、あまり沢山入れない。
オイスターソースをナンプラーに換えて、フォーを茹で入れレモン汁・ラー油を入れて、たっぷりの刻んだパクチーとフライド・オニオンを散らせばベトナム風にも。
番外:軟白ウド(栽培品)
●軟白ウドの炒めもの

Fig.21 軟白ウドとアスパラガス、ベーコンとサルシッチャ炒め
野生のウドは4月下旬以降がシーズンですが、待ちきれずに店頭に並んだ軟白ウドを買い求めてしまいます。
ウドは捨てるところが無く、全部食べられるのが良いところ。
【調理法】
アスパラガスは下方の硬いところを折り捨てて、3~4cmの斜め切りにし、2分程下茹でしておく。
ウドは包丁でやや厚く皮を剥き、厚さ5mm程の斜め切りにする。
ベーコンは幅8mmほどに切り、サルシッチャはほぐしておく。
フライパンを中弱火に掛け、ベーコンとサルシッチャを炒めて油を引き出す。
油が出たらウドを入れて5分程炒め、下茹でしたアスパラガスを加えて、好みの硬さになるまで炒める。
最後に味見して、塩気が足りなければ天日塩を足し、粗引きコショウをかける。
・ポイント
油はベーコンとサルシッチャから出るものを利用する。
ベーコンとサルシッチャから豚肉とハーブの旨味、塩気が出てウドとアスパラに移るので、特別の味付けをする必要がない。
剥いた皮は捨てずに、キンピラや掻き揚げにして食べたり、細かく刻んでシラス干しや乾燥アミエビ・刻み昆布などと炒めれば、風味豊かなフリカケが作れる。

Fig.22 コオイムシ (兵庫県三田市 2016.2/26)
セリを摘んだ水田の素彫り水路内にいました。
無農薬水田の証拠ですね。
久々の記事ですが、冬眠していた訳ではなく諸事情のためなかなかフィールドに出られず更新が遅くなってしまいました。今回はネタがあまりないので、植物の観察や見聞ではなく、植物を食べる話しです。
3月に入ると、早春の山菜がいつ出てくるかとソワソワします。最初はフキノトウ、セリ、ナズナ、オランダガラシ(クレソン)、ノビル、続いてツクシ、ヤブカンゾウなどが採れるようになります。これらの山野草を自宅でどのように利用しているか、ご紹介しましょう。
料理法も紹介いたしますが、山野草の利用は各自の自己責任でお願いいたします。
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大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。
オランダガラシとセリ

Fig.1 オランダガラシ(クレソン)の群生 (兵庫県篠山市 2016.2/25)
外来種で要注意外来生物に指定されており、各所で繁茂していますが、食べようと思うような場所ではなかなか発見できません。生食できるのは湧水が湧出していて、水田や河川の水が入らない場所のものに限られます。それ以外の場所に生育しているものはしっかり火を通す必要があり、そうするとクレソン特有の風味がほとんど損なわれてしまいます。
この場所では小さな湧水池にビッシリ繁茂していました。

Fig.2 セリ (兵庫県三田市 2016.2/26)
この時期は、無農薬水田や休耕田で湛水しているものか、谷津奥の細流脇や用水枡に生育しているものを利用します。画像は無農薬水田の素彫り水路内に生育しているもの。無農薬水田か休耕田で湛水しているものは、外側(下側)2枚ほどの葉は越冬葉で、水中の葉の表面にケイソウ類などのプランクトンがコロニーを形成してヌメるので、気になる場合は取り除くかシッカリこすって洗う。

Fig.3 山際の用水枡に生育するセリ (兵庫県篠山市 2015.3/16)
ここでは山間から流下する小渓流を農業用水として水路に取り込むための用水枡があり、そこに多くの湿生植物と生育しています。底面を覆っているのはネコノメソウ。有毒のヤマキツネノボタンも生育しており慣れないうちは注意が必要です。
セリは2月中はまだ小さく、採取には手間取りますが、3月半ばにもなると個体も大きくなり、収量も増えます。ここでは、オオバタネツケバナも混生しており、このような場所に生育するオオバタネツケバナも、サッと湯通しして利用できます。
●クレソンとセリで鴨鍋

Fig.4 クレソン・セリ・岩津ネギの京丹波合鴨鍋
毎年、2月下旬の早春のセリとクレソンを収穫したら最初に楽しむ料理です。
鴨鍋は年に2~3回の楽しみ。今回は京丹波の合鴨を使いました。
合鴨鍋は年の最初にクレソンとセリが揃った早春と、ソバとともに頂く大晦日の鍋。
それ以外はほとんどリーズナブルな豚シャブで利用しています。
【調理法】
野生のクレソンは節から出ている細根と、黄化しかかった茎下方の葉を取り除きながらよく洗う。
セリは根にも独特の風味があるので、できれば根を残してよく洗う。
太めのネギ(今回は兵庫県但馬地方特産の岩津ネギ)の白い部分を3~5cmに切って、横方向に数本隠し包丁を入れておく。
購入した京丹波合鴨ロース(だいたい1パックが1人分)は皮と脂身部分が一方向に揃うように広い面を密着させる。
フライパンに油をひかずに中強火で熱し、密着させた合鴨ロースをトングなどで掴み、皮目の面に焦げ色をつける。
皮目に充分に焦げ色がつく頃には、皮下にある脂身から油が出るが拭き取らず、皮に焦げ色がついたら、中火にして切っておいたネギを入れる。
ネギは転がさず、一面にしっかり焼き色をつけ、下面に焼き色がついたら、トングや箸で裏返し、反対側の面にも焼き色をつける。
こうすることにより合鴨から出た油の旨みを、香ばしく焼いたネギに吸収させることができる。
鍋に水を張り出汁用昆布、冷凍しておいた出汁用キノコを入れて弱火にかける。
美味しい出汁の出るキノコは冷凍することによって保存でき、冷凍によって細胞が壊れて複雑な深みのある出汁の元として利用できる。
キノコの各種の出汁の味わい、魚類の乾節、昆布の有無、調味料との組み合わせにより、味の裾野は無限大!
今回は冷凍したタモギタケ、冷凍した傘の開いた原木栽培ナメコを利用。
冷凍することにより、ほとんどキノコが美味しくなりますが、特にヒラタケ、トキイロヒラタケ、ナラタケ、ナラタケモドキ、クリタケ、チチタケ、タモギタケ、ヌメリスギタケモドキ、シモコシ、フユヤマタケ、エノキタケ、ナメコが美味しく感じた。
キノコには冷凍・乾燥いずれかの処理をするといい出汁が出て美味しくなるものが多く、複数種を使うことにより味に深みが出る。
乾燥して美味しい出汁が出る代表はシイタケやアミガサタケ、イグチの仲間ですが、ヒラタケやエノキタケも冷凍に劣らず乾燥でも良い出汁が出ます。
冷凍キノコを鍋に入れたら出汁の出やすい60度近辺の水温で20分程キープしてから火力を上げて沸騰させる。
沸騰したら昆布を取り出し、カツオ節を投入して弱火にして数分煮だして取り出し、適量の酒・醤油を入れひと煮立ちさせる。
器の中に鍋の汁を入れ、醤油またはポン酢、出汁醤油を加えて好みの濃さにしておく。
沸騰したら合鴨肉とともにすぐに食べれる分量の焼いたネギを入れて、30秒後にたっぷりのクレソンを入れ、その30秒後くらいにクレソンとともに合鴨肉を器のつけ汁につけて頂く。
2~3切れ食べて、必要であればニンニク・パウダー、胡椒、七味、一味、粉山椒などのスパイスを足します。
野生のクレソンは野生のセリに比べてアッサリしているので、セリはクレソンを全て食べ終えてから合鴨肉とともに投入する。
2月の野生セリは合鴨肉と同時に投入し、鴨肉とともに器に取る。
この時期の野生セリはスーパーに出回る水耕栽培とはまるで別種のような鮮烈な香りと味わいがあり、春の到来を印象付けてくれます。
鍋料理が一通り終了したら、茹でた生ソバまたは冷凍のソバを投入してソバが美味しく頂ける。
今回はナメコと大根おろしを投入して、ナメコおろしソバとしました。
宴の後の鍋にはソバ粉によって濁った煮汁が残りますが、この中には旨味と栄養のカオスがあるので、捨てずに料理に利用する。
・ポイント
野生クレソンよりも野生セリのほうが香りやクセが濃厚なので、クレソンが終わってからセリを投入する。
鴨肉は30分を越えない煮物では時間経過に比例して硬くなって旨味も減退するので、1分くらいで引き上げて食べる。
出汁に冷凍または乾燥したキノコを低温煮出しによって活用することにより、汁の旨味が倍増する。
豚や牛のしゃぶしゃぶ用の薄切り肉でも美味しくいただけますが、その場合はアクが出やすいのでこまめに取り除く。
豚や牛のしゃぶしゃぶの場合はネギは必要ではない。
●セリの薬味的な利用

Fig.5 ハマグリとセリのつみれ汁
春が旬のハマグリと野生のセリを使った贅沢な汁物です。
ハマグリは3月3日の翌日にセールで安くなるので、ウチではこの日だけ利用しています。
【調理法】
つみれはイワシ、アジなどの青物の魚を包丁で細かく叩くかフードプロセッサーにかけて、摺り下ろしたショウガ、刻んだネギ、卵、片栗粉、同量の酒と醤油を練りまぜておきます。
鍋に水を張って昆布と冷凍キノコを低温で煮だし、20~30分後に火を強め、沸騰直前に昆布を上げて、沸騰したら弱火にして鰹節を投入にして出汁をとる。
出汁が出たら鰹節を鍋から引き上げ、ハマグリを投入して貝が開いたら一旦取り出しておく。
この間、冷凍キノコは取り出さずそのまま煮てOK。
スプーンを使いながらつみれを丸めて鍋に投入し、アクが出たらすくい取る。
つみれが煮えたら鍋の汁の味見をして、味が薄ければ天日塩か醤油を足す。
取り上げておいたハマグリと、よく洗ったセリを入れて、ひと煮立ちしたらできあがり。
昆布・冷凍キノコ・鰹節・ハマグリから出た出汁の4重奏の汁が絶品。
・ポイント
ハマグリは3月3日の雛祭りの翌日がセールで激安!
摺り下し生姜はチューブ入りのものではなく、添加物のない生姜を摺り下し、つみれにたっぷり練りこむ。
つみれの味を濃くした時は汁は薄めの味付けで。つみれをアッサリ味とする場合はその逆に汁の味を濃いめにする。
味見用の小さなつみれを2,3個作っておくと味のバランスを決めやすい。
ハマグリにはあまり火を通さない。
フキノトウ

Fig.6 フキノトウ (京都府福知山市 2016.3/6)
爽やかな香りと苦味が堪らない早春の山菜の王者です。
これを食べないことには、春が来たことを実感できないほどで、毎年いろいろな調理法で利用しています。

Fig.7 走りのフキノトウ (兵庫県篠山市 2016.2/25)
日当たりよい斜面に出ていた走りのフキノトウです。
走りのフキノトウは茹でてそのまま食べるか、天ぷらでシンプルに頂きます。
●茹でフキノトウ

Fig.8 茹でフキノトウ
早春初の開花していないフキノトウは、先ずは茹でて頂きます。
【調理法】
鍋にたっぷりの湯を沸かし、3%程度の塩を入れてフキノトウを30秒ほどサッと茹でる。
茹でたらザルに取り、すぐに冷水につけて冷ます。
堅くしぼって水気を切り、EXバージンオリーブオイル、グレープシードオイル、エゴマ油、太白胡麻油など良質で美味しいオイルをかけて、天日塩や岩塩をふって頂く。
春の香りが口いっぱいに広がるシンプルな食べ方。
・ポイント
採りたてで新鮮なものほど美味。
長時間煮ると独特の風味が台無しになるので、サッと茹でる。
できるだけ美味しいオイルと塩で頂く。
●フキノトウのパスタ

Fig.9 フキノトウと自家製サルシッチャのクリームパスタ
フキノトウはオイル、バター、チーズ、豚肉などとの相性がよく、イタリアンな味付けによくあいます。
コゴミ、ワラビ、ウド、コシアブラなどとともにオリーブオイル、ニンニク、鷹の爪、アンチョビで炒めたペペロンチーノが定番ですが、今回は自家製サルシッチャ(イタリアンソーセージ)とともに濃厚なクリームパスタにしました。
【調理法】
サルシッチャ(*)は小さく丸めておく。
フキノトウは包丁で縦に2分し、塩を入れた湯で30~60秒程サッと茹でて冷水に放ち、水気を切る。
ニンニク1片をみじん切りにし、フライパンか鍋に入れ、オリーブオイルとともに弱火で香りが充分に立つまで炒める。
香りが立ったらみじん切りにしたタマネギを中弱火で、アメ色になるまでじっくりと炒め、別の鍋でパスタを茹で始める。
タマネギを炒めたフライパン(鍋)に丸めたサルシッチャを投入し、表面に焼き色が付くまで中弱火で炒める。
小麦粉大匙2(2~3人分)を加え、具材によく馴染ませながら炒める。
小麦粉が馴染んだら豆乳または牛乳を序々に加えて弱火にしてフュメ・ド・ポワソンかコンソメを適量溶かし込み1~2分程度少しトロみが出るまで煮る。
味見して塩気が足りなければ天日塩か岩塩を適宜加えて、茹で置いたフキノトウと摺り下ろしたパルミジャーノ・レッジャーノまたはペコリーノを加えて茹でたパスタと絡める。
食べる直前に粗引きコショウやパルミジャーノ・レッジャーノ、みじん切りのパセリやディルなど好みのハーブを振って頂く。
画像のものはクリームソースを冷凍ストックしておいたキクイモのポタージュで代用しました。
・ポイント
行程最初の炒めたタマネギみじん切りは、ヒマな時に大量に作っておいて小袋に分けて冷凍ストックしておくと非常に便利で、様々な料理の時短ができます。
テフロン加工のフライパンではタマネギがアメ色には色付きませんが、水分が飛んでペースト状になればOKです。

*サルシッチャ(イタリアンソーセージ)
ミックスピザの上によく乗っているコロコロとした小さな丸いミンチ状のものがサルシッチャです。
作り方はハーブ類を揃えればハンバーグよりも簡単。
肉は豚肉を利用し、2ヶ所の異なった部位の肉を用意すれば味わいが深まります。
ハンバーグ同様、肉の脂が溶けると味が落ちるので半解凍状態で調理します。
豚肉は食感をよくするために半分をフードプロセッサーにかけてミンチにし、半分は包丁で粗みじん切りに。
これをボールに入れ天日塩(豚肉250gに対して小匙1が目安)、アルコールを飛ばした赤ワイン(豚肉250gに対して30~50cc)、セージ、タイム、オレガノ、ローズマリー、バジル、オールスパイス、ナツメグ、フェンネルシード、ディルシード、ブラッククミンシード、黒胡椒、カイエンヌペッパーなどの好みのハーブ類を擂り鉢で粉末状にしたものを加え、ゴムベラなどでしっかり練る。
挽肉の量が1kg以下と少ない場合、手で練ると体温で挽肉の温度が上昇してしまうので、ヘラで混ぜるのがお勧めです。
ハーブ類の配合はお好みで。最初はセージ主体にして、少しずつ他のハーブを加えて好みの味にしていくといいでしょう。
タイムを入れすぎると薬臭くなったり、ナツメグを入れすぎるとハンバーグのような味になってしまいます。
全体を混ぜるおうに意識しつつ、よく捏ねてネバリがでてきたらOK。
ラップを広げておいてボールから移し、空気を抜くようにヘラで叩き、できるだけ空気を追い出すようにラップでしっかり包む。
あるいはタッパーに押さえつけるように詰めて、表面を平らに均して空気に触れないようにラップで覆ってもよい。
冷蔵庫で最低1時間寝かせる。5日程寝かせると肉がピンク色を帯びて熟成され、さらに旨味が増します。
これをストックしておくと市販のソーセージは必要なくなり、味が付いているので様々な料理に利用できます。
市販のソーセージのように食べたい時は、棒状に形成してラップに包んで沸騰直前の湯(80度前後が理想的)で茹でるか、蒸し器で蒸した後に、フライパンで炒めて表面にこんがりと焼き目をつける。
本格的にやりたいのであれば、豚腸を水や牛乳で戻して腸詰めにし、好みの長さでひねって1日干してから冷蔵庫で熟成させる。
冷蔵庫で10日~2週間ほど保存でき、大量に作ったときは用途を見越して小分けして冷凍保存し、2ヶ月以内に食べきるようにします。
●フキノトウのクリームチーズ和え

Fig.10 フキノトウのクリームチーズ和え
クラッカーやパンにディップのように塗って頂くか、軽く湯煎してゆるめて新タマネギ、茹でた春キャベツやアスパラに付けて頂きます。
画像のものは刻んだディルを混ぜています。
【調理法】
粗みじんに切ったフキノトウを、塩ひとつまみ入れた湯でサッと茹でてザルに上げ、熱いうちにクリームチーズと和える。
好みにより塩、粗引きコショウ、ヨーグルト、レモン汁、刻んだハーブ、メープルシロップ、ディジョンマスタードなどを混ぜ、粗熱が取れてクリームチーズが少し固まったら完成。
・ポイント
茹でたフキノトウを熱いうちにクリームチーズに混ぜ込むことによって、クリームチーズを乳化させて混ぜ合わせ易いようにし、その状態で他の調味料も混ぜる。
少し食べてから味に変化をつけたい時は、器ごと湯煎して調味料を混ぜる。
塩気を強めれば、冷蔵庫で10日は保存できる。
●フキノトウのグラタン

Fig.11 フキノトウ・アサリ・岩津ネギのグラタン
残り物と冷凍庫のストックを利用して、早春の素材を生かしてみました。
スープ類はいつも余分に作って冷凍ストックしておくと便利です。
【調理法】
フキノトウは包丁で縦に2分し、塩ひとつまみ入れた湯でサッと茹でて冷水に放ち、水気をよく切って、一部は粗みじんに切る。
アサリはひたひたの塩水で2~3時間ほど砂出しし、フライパンに白ワインを入れて蒸し、貝が開いたら殻から身を外し、煮汁はとっておく。
卵黄1と味噌大匙1(2~3人分目安)と冷めたアサリの煮汁をよく混ぜておく。
オーブンまたはトースターを200度程度で余熱しておく。
ネギは白い部分を4cm程に切り揃え、少量のバターで裏表2面に焼き色がつくまで炒める。
アメ色に炒めたタマネギのみじん切りに小麦粉を振り入れてよく炒め、豆乳か牛乳を入れてホワイトソースを作る。
卵黄、味噌、アサリ煮汁を混ぜたものをホワイトソースに溶かし込み、味見して塩気が足りなければ味噌を追加する。
グラタン皿にバターを塗り、フキノトウとネギを交互に並べて、周囲にアサリの身をちらし、ホワイトソースを流し入れる。
上から刻んだフキノトウを散らし、好みで溶けるチーズや摺り下ろしたパルミジャーノ・レッジャーノを降りかけてオーブンに入れ、表面に焼きが付いたら出来上がり。
画像のものはホワイトソースの代わりに、前日の残りのジャガイモとネギのスープをフードプロセッサーにかけたものと、冷凍ストックのキクイモのポタージュを使っています。
岩津ネギはFig.4の鴨鍋で余ったものを使いました。
・ポイント
アサリは殻が開いたらすぐに取り出す。
素材全てにあらかじめ火が通っているので、表面に焼き色が付いたらOKです。
アサリの代わりにカキやホタテでも美味しい。
ホワイトソースは小麦粉や牛乳を使わずに冷凍ストックしたポタージュで代用するとヘルシー、便利&時短。
●フキ味噌

Fig.12 フキ味噌、八丁味噌仕立て
【調理法】
フキノトウは細かく刻む。
フライパンに米油、菜種油、オリーブオイル、ココナッツオイルなど、加熱しても劣化しない油を敷いて、刻んだフキノトウを炒める。
油がまわったら酒、味醂を同量(フキノトウ10個に対し大匙1/2~1が目安)入れて、水気がある程度飛んだら八丁味噌を加えて混ぜ、フキノトウと馴染んだら火を止める。
・ポイント
八丁味噌は長く火を通すと苦味が出るので、サッと火を通す程度にしておく。
フキノトウの苦味を抑えたいのであれば、茹でてから刻んで炒める。
ゴマ油は長時間加熱すると劣化するので、風味付けしたい時は最後の行程で八丁味噌とともに加える。
冷凍保存可能。

Fig.13 薹立ちしたフキノトウ (京都府福知山市 2016.3/6)
薹立ちしたフキノトウはほとんど見向きされませんが、花序部分を取り除けば料理に利用できます。
フキ味噌のかさ増しにも最適です。
●フキノトウの茎の肉巻き

Fig.14 フキノトウの茎とナズナの牛肉ロール、バルサミコソース
フキノトウは薹立ちして、高さ30~50cmに伸びたものの茎の部分を使います。
この時期のナズナはツボミを付けた柔らかい花茎を使います。
キク科の可食草本の苦味と爽やかな香りは酸味の効いたバルサミコ酢を使ったソースともよくあいます。
【調理法】
フキノトウの茎は長さ10cm程度に切り、2分間塩茹でし、途中でナズナも加えてサッと茹で、冷水に取る。
フキノトウの茎が太い場合は縦に切る。
しゃぶしゃぶ用牛肉などの薄切り肉を広げ、塩コショウして、少量のナツメグを振り掛ける。
肉の端にフキノトウの茎とナズナを並べ、それを軸にして肉をクルクルと巻き、外側に片栗粉を振って、余分な粉ははたいておく。
フライパンに油を敷いて巻き終わりの部分を下にし、中火で焼き色がつくまで炒め、後は時々転がしながら他の面も炒める。
巻いた肉の中心部がレア状態となるのが、肉汁が多くて美味しい。
全体に焼き色がついたらフライパンから取り出し、アルミホイルに包んで寝かせておく。
フライパンの肉汁は捨てず、卸したタマネギ大匙2、バルサミコ酢大匙1、赤ワイン大匙1/2、醤油大匙1、メープルシロップまたは蜂蜜大匙1/2、刻んだプルーン1個分をフライパンに入れて弱火にかけ、少しトロ味がついたら火を止める。
寝かせていた肉ロールを一口サイズに切って皿に並べ、上からバルサミコソースを掛けて完成。
・ポイント
豚肉でも出来ますが、その場合生焼け部分がないようにシッカリ炒めるか、途中フタをして蒸し焼きにする。
アザミの根を下茹でして一緒に巻くと更に美味しい。
この時期のナズナの根は中心に硬い芯ができるためあまり利用しない。
一般的に花茎が立った植物は、根に芯ができたり、繊維が硬くなるため、根を利用するには花茎の伸びていないものを利用するのが、根菜類を料理に使うコツとなる。
ツクシ

Fig.15 休耕田で一斉に伸びたツクシ (京都府福知山市 2016.3/6)
ハカマの処理に手間が掛かるのであまり欲張らず、上から2~3節程度で折り取るようにします。
収量が多いときは茹でてアク抜きした状態で冷凍保存できます。
●ツクシの佃煮

Fig.16 ツクシのキンピラ風佃煮
最もポピュラーなツクシ料理です。
【調理法】
ツクシはハカマを取り去ってよく洗い、水に30分程漬けておき、その間に少なくとも1度は水換えする。
たっぷりのお湯を沸かし、ひとつまみの塩を入れてツクシを2分ほど煮てザルに上げて水気を切る。
フライパンに油を敷き、油が充分回るまでツクシを炒める。
油が回ったら酒・出汁醤油・味醂を10:10:4の割合で入れ、甘めが好みの場合は黒糖や甜菜糖などの糖類を適量加え、水気が無くなるまで炒め煮る。
火を止める間際に少量のゴマ油を鍋肌に回し掛け、掻き混ぜて火を止める。
・ポイント
キンピラ風にしたくない場合は最初に油で炒めない。
ゴマ油は長時間加熱すると劣化するので、火を止める間際に入れる。
水に着けていると水が緑色になるのは胞子が出ているため。この胞子は苦味とえぐ味があります。
適度な苦味やえぐ味は酒のつまみにあう、大人の味わいとなります。
苦味やえぐ味目当ての場合は、できるだけツクシの頭が開いていないものを採取し、水換えの頻度も少なくします。
●ツクシの卵とじ

Fig.17 ツクシの卵とじ
佃煮とともにツクシの基本料理です。
【調理法】
ツクシを炒めるまでの行程はキンピラ風佃煮と同様で、酒・出汁醤油・味醂の割合を1:1:1の量で入れる。
だいたいMサイズの卵1個につき、各大匙1程度で、隠し味で黒酢を小匙1加える。
卵を割って溶いておき、フライパンの水気が少なくなったら卵を流し入れ、適度に掻き混ぜる。
卵が半熟状態になったら火を止めて皿に盛る。
・ポイント
この時期に手に入る釜揚げアミエビやサクラエビを混ぜても美味しい。
●混ぜご飯

Fig.18 早春の野草の混ぜご飯
春先に一度は食べたい、爽やかな香りが漂う混ぜご飯です。
画像のものはツクシ、セリ、フキノトウ、ナズナ、軟白ウド(栽培品)、緑茶葉などを混ぜ込んでいます。
【調理法】
ツクシは佃煮を作り、フキノトウは縦に2分してナズナとともにサッと下茹でし、冷水に取り水気を絞る。
緑茶を水で戻し、セリは5mm程に刻み、ウドは皮を剥いて薄く輪切りにして酢水に放ちアクを取る。
下茹でしたフキノトウ粗みじんに切り、少量の油を敷いたフライパンで炒める。
フキノトウに油が回ったらシラス干しを一握り程入れ、酒大匙2を入れてアルコールを飛ばす。
濃口醤油小匙1を入れてナズナ、ウドを入れて1分ほど炒め、味見をして塩、コショウする。
味が決まったら刻んだセリを入れて軽く炒めて皿に取っておく。
ボールかお櫃に炊いた白米を入れて、戻して水気を切った緑茶を混ぜる。
次にツクシの佃煮を混ぜた後、炒め合せたフキノトウなどを混ぜ合わせて、絞った布巾を被せて10分程蒸し、好みにより千切りにしたショウガか、ミョウガを加えて茶碗に盛る。
上から摺りゴマを掛けて完成。
・ポイント
冷めても美味しいが、翌日になるとアクが出て茶色くなりエグ味も少し出るので、できるだけ作ったその日に食べる。
味付けした煎り卵や、薄塩味のサケのほぐし身を混ぜても彩りもよく美味しい。
ヤブカンゾウ

Fig.19 ヤブカンゾウの萌芽 (西宮市 2016.3/12)
ツクシと同様、里山に行けば沢山採取でき、利用価値の高い野草です。
旧い時代に移入されて定着したものですが、かつては野菜として利用されていたはずです。
●ヤブカンゾウのスープ

Fig.20 ヤブカンゾウの中華スープ
ヤブカンゾウの芽はスープ類や油を使っての炒め物によくあいます。
今回は中華スープを作ってみました。
【調理法】
ヤブカンゾウはよく洗い、下方の傷んだ葉を取り除く。
鍋で適当に刻んだベーコンとクローブ2個を炒める。
ベーコンから油が出たらヤブカンゾウの芽を入れて油が回るまで炒める。
ヤブカンゾウに油が回ったらスープストックを入れ、八角ひとかけらと、クコの実を入れて弱火にして10分程度煮る。
オイスターソースを小匙2入れて味見し、塩気が足りなければ天日塩を足す。
食べる直前に浮いている八角のかけらとクローブを取り除き、水溶きカタクリ粉を入れてスープにトロ味をつけ、溶き卵を高い位置から垂らし入れてゆっくり混ぜ、好みによりゴマ油を垂らす。
器に入れて、粗引きコショウを振って完成。
・ポイント
スープストックはスペアリブを下茹でした際の残りを使い、豚骨スープになっていますが、鶏がらスープの素を使うのもよい。
八角を沢山入れるとくどくなるので、あまり沢山入れない。
オイスターソースをナンプラーに換えて、フォーを茹で入れレモン汁・ラー油を入れて、たっぷりの刻んだパクチーとフライド・オニオンを散らせばベトナム風にも。
番外:軟白ウド(栽培品)
●軟白ウドの炒めもの

Fig.21 軟白ウドとアスパラガス、ベーコンとサルシッチャ炒め
野生のウドは4月下旬以降がシーズンですが、待ちきれずに店頭に並んだ軟白ウドを買い求めてしまいます。
ウドは捨てるところが無く、全部食べられるのが良いところ。
【調理法】
アスパラガスは下方の硬いところを折り捨てて、3~4cmの斜め切りにし、2分程下茹でしておく。
ウドは包丁でやや厚く皮を剥き、厚さ5mm程の斜め切りにする。
ベーコンは幅8mmほどに切り、サルシッチャはほぐしておく。
フライパンを中弱火に掛け、ベーコンとサルシッチャを炒めて油を引き出す。
油が出たらウドを入れて5分程炒め、下茹でしたアスパラガスを加えて、好みの硬さになるまで炒める。
最後に味見して、塩気が足りなければ天日塩を足し、粗引きコショウをかける。
・ポイント
油はベーコンとサルシッチャから出るものを利用する。
ベーコンとサルシッチャから豚肉とハーブの旨味、塩気が出てウドとアスパラに移るので、特別の味付けをする必要がない。
剥いた皮は捨てずに、キンピラや掻き揚げにして食べたり、細かく刻んでシラス干しや乾燥アミエビ・刻み昆布などと炒めれば、風味豊かなフリカケが作れる。

Fig.22 コオイムシ (兵庫県三田市 2016.2/26)
セリを摘んだ水田の素彫り水路内にいました。
無農薬水田の証拠ですね。
category: 自然を食べる
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