京都丹後から兵庫但馬の海岸にて
2016/10/31 Mon. 19:57 [edit]
車中泊で京都~兵庫の日本海沿岸の海浜植物を観察して来ました。といっても1日目は大雨で、気になっていた由良川河口の氾濫原の調査は断念。翌日は海浜植物のみを巡る1日となりました。
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大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。

Fig.1 タマバシロヨメナ (京都府丹後地方 2016.10/27)
シロヨメナの変種で、本州の日本海側に分布し、特に海岸近くの山裾に多く見られます。
ここでは海岸の風衡草地でネザサやススキに埋もれるように開花していました。
その名の通り茎中部の葉の幅は広く、卵形となり鋸歯が目立ちます。
時にケシロヨメナと中間的なものも見られます。

Fig.2 ヒトモトススキ (京都府丹後地方 2016.10/27)
海岸に降りると湧水が溜まった窪地の周辺でヒトモトススキが生育していました。
京都では日本海側に自生地がわずかにあるようです。
関連ページ 湿生植物・ヒトモトススキ

Fig.3 ハマエノコロとメノマンネングサ (京都府丹後地方 2016.10/27)
岩礁の割れ目ですでに結実しおえ枯れ始めたハマエノコロが生育していました。
両種とも日本海沿岸ではふつうに見られます。

Fig.4 オオバスギカズラ (京都府丹後地方 2016.10/27)
兵庫県の日本海側の海岸では従来キジカクシが分布するとされていましたが、ほぼ全てがオオバスギカズラです。この場所のものも葉状枝は3稜形でオオバスギカズラでした。
すでに果実なども見られず、岩礁の割れ目で風に当たらぬよう縮こまっていました。

Fig.5 サンインカンアオイ (京都府丹後地方 2016.10/27)
海崖沿いの林道脇の林縁斜面にサンインカンアオイが生育していました。
株元に花芽がみられましたが、まだ開花は少し先になりそうです。

Fig.6 アミタケ (京都府丹後地方 2016.10/27)
海岸のクロマツ林の林床で半月状の菌輪を作っていました。
周囲に見える小型のロゼットはカワラナデシコのもので、海岸近くでは葉が丸みを帯び、先が円頭となるようです。日本海側では海岸でもカワラナデシコが多く見られ、ハマナデシコは稀です。

Fig.7 海岸に広がる砂丘 (京都府丹後地方 2016.10/27)
京都の日本海側には砂丘が広がる海岸がいくつかあって、多様な海浜植物が見られます。
ここではハマゴウ、ケカモノハシ、カワラヨモギが優占する中、兵庫県ではあまり見られない海浜植物が豊富に生育しています。

Fig.8 ハマベノギク (京都府丹後地方 2016.10/27)
日本海側ではハマベノギクは砂浜でも岩上でも海岸沿いに広く生育しています。
時期的には少し遅かったようで、結実個体が多く見られました。

Fig.9 ハマベノギクの草体 (京都府丹後地方 2016.10/27)
画像に写っているのは1個体で、中心に太く短い主茎があり、主茎下部から多数の側枝を出しています。側枝もよく分枝し、枝先に3.5cm内外の頭花を単生します。

Fig.10 ハマベノギクの花と果実 (京都府丹後地方 2016.10/27)

Fig.11 ビロードテンツキ (京都府丹後地方 2016.10/27)
期待していたのですが、少し時期的に遅かったようで、小穂が脱落しかかっていました。
兵庫県では過去にあった自生地でもほとんど見られなくなっている稀少種です。

Fig.12 ウンラン (京都府丹後地方 2016.10/27)
本種も兵庫県ではほとんど見られなくなったもので、自生地は数ヶ所しかありません。
ここではカワラヨモギやハイネズ、ケカモノハシの間に沢山生育していました。

Fig.13 ウンランの花 (京都府丹後地方 2016.10/27)
花は仮面状で、筒部の先は細長い距となっています。

Fig.14 ネコノシタ (京都府丹後地方 2016.10/27)
ここでは大量のランナーを出した大株が沢山生育しており、その規模に圧倒されました。

Fig.15 ネコノシタの花 (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
これは同じ日に兵庫県側で撮影したものですが、個体数はあまり多くありません。

Fig.16 オニシバ (京都府丹後地方 2016.10/27)
オニシバは近畿から東海にかけて絶滅危惧種に指定している府県が多く、このことから海岸開発によって減少していることが解ります。
近縁のナガミオニシバは砂浜ではなく汽水域の干潟状の湿地に見られます。
関連ページ 関西の花/イネ科・オニシバ

Fig.17 アナマスミレ (京都府丹後地方 2016.10/27)
砂丘上にはアナマスミレが点在していて、不時開花している個体もポツポツと見られました。
スミレよりも葉に厚味と光沢があり、葉縁が多少とも閉じ気味になるのが特徴です。

Fig.18 海浜植物の生育状態の例 (京都府丹後地方 2016.10/27)
ウンランを中心として、ネコノシタ、ケカモノハシ、ハマボウフウ、カワラヨモギが見えています。
カワラヨモギの根元には所々で立ち枯れたハマウツボも見られました。

Fig.19 淀洞門 (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
移動の途中に立ち寄ってみました。
但馬の海岸の名所で、山陰ジオパークとなったため、周辺はよく整備されています。

Fig.20 ツワブキ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
淀洞門周辺の斜面に沢山生育していました。
近くの植え込み周辺に、なぜか根生葉のみのオグルマが見られましたが、これは移入?

Fig.21 漁港のイワシ類の小群 (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
小さな漁港が沢山点在しており、どこでもイワシ類の群れがみられました。

Fig.22 マルバグミ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
海岸近くでよく見かける木本で、枝にびっしりと花をつけていました。
葉は広卵形で大きく、徒長した枝がつる状に伸びるのが特徴です。

Fig.23 キンギンボク (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
本種は日本海側に生育する落葉低木で、花期は春~初夏ですが、この個体は果実も見られず不時開花していました。ワカサハマギクやハマベノギクの咲く岩場の下にマルバグミとともに生育していました。

Fig.24 ハマニガナ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
ハマニガナは兵庫県ではCランクとされていますが、日本海側ではまだあちこちで見られます。
地下茎が砂中を長く伸び、節から3~5裂する特徴的な葉を単~複生します。
関連ページ 関西の花・ハマニガナ

Fig.25 ウシノシッペイ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
砂浜の後背湿地があっただろう場所が休耕されて草地状となっており、そこに群生していました。
隣接する水田ではホシクサ、ミズマツバ、アブノメが見られました。
関連ページ 湿生植物・ウシノシッペイ

Fig.26 ナギナタコウジュ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
但馬の海岸は急峻な場所が多いため、道路は所々で内陸に入っていきます。
内陸の田園地帯の土手で生育状態の良い個体が多数の花序を上げていました。
関連ページ 関西の花・ナギナタコウジュ

Fig.27 リュウノウギク (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
ナギナタコウジュの近くの林縁ではリュウノウギクが開花していました。
次のワカサハマギクとはごく近縁で、リュウノウギクが2倍体であるのに対してワカサハマギクは4倍体です。
関連ページ 関西の花・リュウノウギク

Fig.28 ワカサハマギク (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
但馬の海岸近くの至るところで見られ、群生する場所では景色が明るくなったのかと錯覚を覚えます。
リュウノウギクよりも沢山の花をつけ、花も少し大きく、舌状花は多数が密に重なり合ってつきます。

Fig.29 ハマベノギクとワカサハマギク (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
兵庫県側では広い砂丘がなく、ハマベノギクも岩場で見られることが多いです。
ワカサハマギクが咲き始めるとハマベノギクの花期も終わりになります。
ここではオニヤブソテツ、ツルボ、ハマエノコロ、テリハノイバラ、ハマサオトメカズラとともに海岸の岩上に生育しています。

Fig.30 イソヤマテンツキ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
最後に立ち寄った風衡草地ですが、ここでデジタル一眼のメモリーカードが一杯に。カードの予備は用意しておらず、ここからはコンデジの画像になり、ピントが甘くなってしまいました。
イソヤマテンツキはここでは海崖の風衡草地の湧水がにじむ場所で、ヤマイやミソハギとともに生育しています。瀬戸内海側では汽水域の湿地で見られますが、日本海側ではこのような場所で生育しています。
関連ページ 湿生植物・イソヤマテンツキ

Fig.31 結実したコオニユリ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
風衡草地は以前来た時よりも獣道が縦横についており、かなり荒れていました。
食べにくい崖に生育しているコオニユリは被害がなく、結実個体が見られました。
海岸部の草地もシカの被害が問題となっており、京都側でもユウスゲの食害が問題となっています。
関連ページ 関西の花・コオニユリ

Fig.32 結実したヒオウギ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
ヒオウギの種子は黒色で強い光沢があり、「ぬばたま(射干玉・野干玉)」という古名があり枕詞ともなっています。ヌバタマハナカミキリという甲虫も居ます。
ヒオウギはシカの忌避植物で、シカの多い場所ではヒオウギだけが残ってお花畑となっていることもあります。
関連ページ 関西の花・ヒオウギ

Fig.33 高波で洗われる岩礁 (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
この日は風も強く、打ち寄せる波も高く、時々波しぶきがかかることがありました。
打ち寄せる波を見ながら一服し、帰途につきました。
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Fig.1 タマバシロヨメナ (京都府丹後地方 2016.10/27)
シロヨメナの変種で、本州の日本海側に分布し、特に海岸近くの山裾に多く見られます。
ここでは海岸の風衡草地でネザサやススキに埋もれるように開花していました。
その名の通り茎中部の葉の幅は広く、卵形となり鋸歯が目立ちます。
時にケシロヨメナと中間的なものも見られます。

Fig.2 ヒトモトススキ (京都府丹後地方 2016.10/27)
海岸に降りると湧水が溜まった窪地の周辺でヒトモトススキが生育していました。
京都では日本海側に自生地がわずかにあるようです。
関連ページ 湿生植物・ヒトモトススキ

Fig.3 ハマエノコロとメノマンネングサ (京都府丹後地方 2016.10/27)
岩礁の割れ目ですでに結実しおえ枯れ始めたハマエノコロが生育していました。
両種とも日本海沿岸ではふつうに見られます。

Fig.4 オオバスギカズラ (京都府丹後地方 2016.10/27)
兵庫県の日本海側の海岸では従来キジカクシが分布するとされていましたが、ほぼ全てがオオバスギカズラです。この場所のものも葉状枝は3稜形でオオバスギカズラでした。
すでに果実なども見られず、岩礁の割れ目で風に当たらぬよう縮こまっていました。

Fig.5 サンインカンアオイ (京都府丹後地方 2016.10/27)
海崖沿いの林道脇の林縁斜面にサンインカンアオイが生育していました。
株元に花芽がみられましたが、まだ開花は少し先になりそうです。

Fig.6 アミタケ (京都府丹後地方 2016.10/27)
海岸のクロマツ林の林床で半月状の菌輪を作っていました。
周囲に見える小型のロゼットはカワラナデシコのもので、海岸近くでは葉が丸みを帯び、先が円頭となるようです。日本海側では海岸でもカワラナデシコが多く見られ、ハマナデシコは稀です。

Fig.7 海岸に広がる砂丘 (京都府丹後地方 2016.10/27)
京都の日本海側には砂丘が広がる海岸がいくつかあって、多様な海浜植物が見られます。
ここではハマゴウ、ケカモノハシ、カワラヨモギが優占する中、兵庫県ではあまり見られない海浜植物が豊富に生育しています。

Fig.8 ハマベノギク (京都府丹後地方 2016.10/27)
日本海側ではハマベノギクは砂浜でも岩上でも海岸沿いに広く生育しています。
時期的には少し遅かったようで、結実個体が多く見られました。

Fig.9 ハマベノギクの草体 (京都府丹後地方 2016.10/27)
画像に写っているのは1個体で、中心に太く短い主茎があり、主茎下部から多数の側枝を出しています。側枝もよく分枝し、枝先に3.5cm内外の頭花を単生します。

Fig.10 ハマベノギクの花と果実 (京都府丹後地方 2016.10/27)

Fig.11 ビロードテンツキ (京都府丹後地方 2016.10/27)
期待していたのですが、少し時期的に遅かったようで、小穂が脱落しかかっていました。
兵庫県では過去にあった自生地でもほとんど見られなくなっている稀少種です。

Fig.12 ウンラン (京都府丹後地方 2016.10/27)
本種も兵庫県ではほとんど見られなくなったもので、自生地は数ヶ所しかありません。
ここではカワラヨモギやハイネズ、ケカモノハシの間に沢山生育していました。

Fig.13 ウンランの花 (京都府丹後地方 2016.10/27)
花は仮面状で、筒部の先は細長い距となっています。

Fig.14 ネコノシタ (京都府丹後地方 2016.10/27)
ここでは大量のランナーを出した大株が沢山生育しており、その規模に圧倒されました。

Fig.15 ネコノシタの花 (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
これは同じ日に兵庫県側で撮影したものですが、個体数はあまり多くありません。

Fig.16 オニシバ (京都府丹後地方 2016.10/27)
オニシバは近畿から東海にかけて絶滅危惧種に指定している府県が多く、このことから海岸開発によって減少していることが解ります。
近縁のナガミオニシバは砂浜ではなく汽水域の干潟状の湿地に見られます。
関連ページ 関西の花/イネ科・オニシバ

Fig.17 アナマスミレ (京都府丹後地方 2016.10/27)
砂丘上にはアナマスミレが点在していて、不時開花している個体もポツポツと見られました。
スミレよりも葉に厚味と光沢があり、葉縁が多少とも閉じ気味になるのが特徴です。

Fig.18 海浜植物の生育状態の例 (京都府丹後地方 2016.10/27)
ウンランを中心として、ネコノシタ、ケカモノハシ、ハマボウフウ、カワラヨモギが見えています。
カワラヨモギの根元には所々で立ち枯れたハマウツボも見られました。

Fig.19 淀洞門 (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
移動の途中に立ち寄ってみました。
但馬の海岸の名所で、山陰ジオパークとなったため、周辺はよく整備されています。

Fig.20 ツワブキ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
淀洞門周辺の斜面に沢山生育していました。
近くの植え込み周辺に、なぜか根生葉のみのオグルマが見られましたが、これは移入?

Fig.21 漁港のイワシ類の小群 (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
小さな漁港が沢山点在しており、どこでもイワシ類の群れがみられました。

Fig.22 マルバグミ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
海岸近くでよく見かける木本で、枝にびっしりと花をつけていました。
葉は広卵形で大きく、徒長した枝がつる状に伸びるのが特徴です。

Fig.23 キンギンボク (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
本種は日本海側に生育する落葉低木で、花期は春~初夏ですが、この個体は果実も見られず不時開花していました。ワカサハマギクやハマベノギクの咲く岩場の下にマルバグミとともに生育していました。

Fig.24 ハマニガナ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
ハマニガナは兵庫県ではCランクとされていますが、日本海側ではまだあちこちで見られます。
地下茎が砂中を長く伸び、節から3~5裂する特徴的な葉を単~複生します。
関連ページ 関西の花・ハマニガナ

Fig.25 ウシノシッペイ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
砂浜の後背湿地があっただろう場所が休耕されて草地状となっており、そこに群生していました。
隣接する水田ではホシクサ、ミズマツバ、アブノメが見られました。
関連ページ 湿生植物・ウシノシッペイ

Fig.26 ナギナタコウジュ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
但馬の海岸は急峻な場所が多いため、道路は所々で内陸に入っていきます。
内陸の田園地帯の土手で生育状態の良い個体が多数の花序を上げていました。
関連ページ 関西の花・ナギナタコウジュ

Fig.27 リュウノウギク (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
ナギナタコウジュの近くの林縁ではリュウノウギクが開花していました。
次のワカサハマギクとはごく近縁で、リュウノウギクが2倍体であるのに対してワカサハマギクは4倍体です。
関連ページ 関西の花・リュウノウギク

Fig.28 ワカサハマギク (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
但馬の海岸近くの至るところで見られ、群生する場所では景色が明るくなったのかと錯覚を覚えます。
リュウノウギクよりも沢山の花をつけ、花も少し大きく、舌状花は多数が密に重なり合ってつきます。

Fig.29 ハマベノギクとワカサハマギク (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
兵庫県側では広い砂丘がなく、ハマベノギクも岩場で見られることが多いです。
ワカサハマギクが咲き始めるとハマベノギクの花期も終わりになります。
ここではオニヤブソテツ、ツルボ、ハマエノコロ、テリハノイバラ、ハマサオトメカズラとともに海岸の岩上に生育しています。

Fig.30 イソヤマテンツキ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
最後に立ち寄った風衡草地ですが、ここでデジタル一眼のメモリーカードが一杯に。カードの予備は用意しておらず、ここからはコンデジの画像になり、ピントが甘くなってしまいました。
イソヤマテンツキはここでは海崖の風衡草地の湧水がにじむ場所で、ヤマイやミソハギとともに生育しています。瀬戸内海側では汽水域の湿地で見られますが、日本海側ではこのような場所で生育しています。
関連ページ 湿生植物・イソヤマテンツキ

Fig.31 結実したコオニユリ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
風衡草地は以前来た時よりも獣道が縦横についており、かなり荒れていました。
食べにくい崖に生育しているコオニユリは被害がなく、結実個体が見られました。
海岸部の草地もシカの被害が問題となっており、京都側でもユウスゲの食害が問題となっています。
関連ページ 関西の花・コオニユリ

Fig.32 結実したヒオウギ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
ヒオウギの種子は黒色で強い光沢があり、「ぬばたま(射干玉・野干玉)」という古名があり枕詞ともなっています。ヌバタマハナカミキリという甲虫も居ます。
ヒオウギはシカの忌避植物で、シカの多い場所ではヒオウギだけが残ってお花畑となっていることもあります。
関連ページ 関西の花・ヒオウギ

Fig.33 高波で洗われる岩礁 (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
この日は風も強く、打ち寄せる波も高く、時々波しぶきがかかることがありました。
打ち寄せる波を見ながら一服し、帰途につきました。
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category: 10月の花
秋の但馬の高原と湿地ほか
2016/10/26 Wed. 02:29 [edit]
前日の昼に出発し夕方但馬に到着し、草原性植物の観察。車中泊して午前中は湿地と高原に、午後からはあまり情報のない谷にシダ目当てに入ってみました。谷でのシダ探査は後日に譲り、今回は草原と湿地の草本を少し取り上げたいと思います。
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Fig.1 ヤマジノギク (兵庫県但馬地方 2016.10/19)
ヤマジノギクは崩壊地や砂礫地のようなバッドランドや、表土の少ない貧栄養地に生育します。
ここでは溶岩上の表土の少ない貧栄養地で生育していました。
周辺にはイトハナビテンツキなどの貧栄養地を好む草本がみられます。
ヤマジノギクの茎葉は倒披針形から線形で新鮮な葉は斜上して付きます。
関連ページ 関西の花・ヤマジノギク

Fig.2 ヤマジノギクの花 (兵庫県但馬地方 2016.10/19)
この時期のノコンギク、ヨメナ、イナカギク、ケシロヨメナよりも花の径は大きく3~3.5cmとオオユウガギクと同様な大きさがあります。

Fig.3 キクアザミ (兵庫県但馬地方 2016.10/19)
キクアザミはキク科トウヒレン属の草本。風衡地草原や適度に管理された草地に生育する草原性植物で、近年草地の管理放棄により減少傾向の著しい種で、兵庫県版RDBではBランクとなっています。
兵庫県では他にトウヒレン属の草本にホクチアザミ、ネコヤマヒゴタイ、オオダイトウヒレン、ヒメヒゴタイ、ミヤコアザミがありますが、いずれもなかなか見られなくなっています。

Fig.4 キクアザミの花 (兵庫県但馬地方 2016.10/19)
トウヒレン属の花はいずれの種もよく似ており、総苞片に多少の差はありますが、葉に特徴が出ることが多いようです。

Fig.5 キクアザミの根生葉 (兵庫県但馬地方 2016.10/19)
長い葉柄があり、葉身は卵形、薄い革質で硬く、羽状に浅~中裂します。

Fig.6 オオシラヒゲソウ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
オオシラヒゲソウは本州の秋田県~兵庫県の日本海側の湿った岩場や湿地に生育しています。
兵庫県では数ヶ所から記録があり、ここでは中間湿地に生育しています。

Fig.7 オオシラヒゲソウの花 (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
本州の太平洋沿岸、四国、九州の温帯域の湿地に生育するシラヒゲソウが花径2~2.5cmあるのに対して、オオシラヒゲソウは3~3.5cmと大型です。
近縁のウメバチソウに比べて仮雄蕊の分枝数は3本と少数です。

Fig.8 オオシラヒゲソウの茎葉 (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
近縁のウメバチソウと異なり、茎には2個以上の無柄の葉がつきます。

Fig.9 ビッチュウフウロ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
ほとんどの個体がすでに果実を付けていましたが、わずかに1花が咲き残っていました。
国内では中国から近畿にかけてと、東海、中部の一部の湿地でわずかに見られます。

Fig.9 ビッチュウフウロの葉 (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
ゲンノショウコとアメリカフウロの中間的な形の葉を持っています。

Fig.10 ヤマラッキョウ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
高所にある湿地のため、すでに開花全盛期になっていました。
湿地の植生は素晴らしいものでしたが、0.2mmほどの稚ダニに20匹強取り付かれ、ズボンから取り落とすのに手間がかかりました。この時期に付くのは4~5mmで大型のタカサゴキララマダニか、ごく微小の産まれて間もないフタトゲチマダニの稚ダニであることが多いのです。
関連ページ 湿生植物・ヤマラッキョウ

Fig.11 シロヘリカメムシ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
ネザサやチシマザサの葉上で時々見かけるスマートなカメムシですが、ここでは移動中の林道上を這っていました。

Fig.12 ジンジソウ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
シダを探しに谷筋に入ると、入口の岩場でジンジソウが開花していました。
但馬の沢沿いではお馴染みの草本です。

Fig.13 タイミンガサ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
谷筋ではあちこちでタイミンガサの群生が見られ、果実形成期に入っていました。
関連ページ 関西の花・タイミンガサ

Fig.14 シモツケソウ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
比較的標高の低い谷ですが、5,60m級の滝の滝壺周辺で多湿冷涼であるためか、岩場の間にはシモツケソウが見られ、枯れた花茎が沢山立ち枯れていました。
周辺にはミヤマワラビも見られ、初夏や夏場に再訪すべき場所のようです。
他に種子形成したオオカニコウモリやキバナアキギリ、モミジガサ群落、サンインシロカネソウ、ツルネコノメソウなどが目立ちました。
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Fig.1 ヤマジノギク (兵庫県但馬地方 2016.10/19)
ヤマジノギクは崩壊地や砂礫地のようなバッドランドや、表土の少ない貧栄養地に生育します。
ここでは溶岩上の表土の少ない貧栄養地で生育していました。
周辺にはイトハナビテンツキなどの貧栄養地を好む草本がみられます。
ヤマジノギクの茎葉は倒披針形から線形で新鮮な葉は斜上して付きます。
関連ページ 関西の花・ヤマジノギク

Fig.2 ヤマジノギクの花 (兵庫県但馬地方 2016.10/19)
この時期のノコンギク、ヨメナ、イナカギク、ケシロヨメナよりも花の径は大きく3~3.5cmとオオユウガギクと同様な大きさがあります。

Fig.3 キクアザミ (兵庫県但馬地方 2016.10/19)
キクアザミはキク科トウヒレン属の草本。風衡地草原や適度に管理された草地に生育する草原性植物で、近年草地の管理放棄により減少傾向の著しい種で、兵庫県版RDBではBランクとなっています。
兵庫県では他にトウヒレン属の草本にホクチアザミ、ネコヤマヒゴタイ、オオダイトウヒレン、ヒメヒゴタイ、ミヤコアザミがありますが、いずれもなかなか見られなくなっています。

Fig.4 キクアザミの花 (兵庫県但馬地方 2016.10/19)
トウヒレン属の花はいずれの種もよく似ており、総苞片に多少の差はありますが、葉に特徴が出ることが多いようです。

Fig.5 キクアザミの根生葉 (兵庫県但馬地方 2016.10/19)
長い葉柄があり、葉身は卵形、薄い革質で硬く、羽状に浅~中裂します。

Fig.6 オオシラヒゲソウ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
オオシラヒゲソウは本州の秋田県~兵庫県の日本海側の湿った岩場や湿地に生育しています。
兵庫県では数ヶ所から記録があり、ここでは中間湿地に生育しています。

Fig.7 オオシラヒゲソウの花 (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
本州の太平洋沿岸、四国、九州の温帯域の湿地に生育するシラヒゲソウが花径2~2.5cmあるのに対して、オオシラヒゲソウは3~3.5cmと大型です。
近縁のウメバチソウに比べて仮雄蕊の分枝数は3本と少数です。

Fig.8 オオシラヒゲソウの茎葉 (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
近縁のウメバチソウと異なり、茎には2個以上の無柄の葉がつきます。

Fig.9 ビッチュウフウロ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
ほとんどの個体がすでに果実を付けていましたが、わずかに1花が咲き残っていました。
国内では中国から近畿にかけてと、東海、中部の一部の湿地でわずかに見られます。

Fig.9 ビッチュウフウロの葉 (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
ゲンノショウコとアメリカフウロの中間的な形の葉を持っています。

Fig.10 ヤマラッキョウ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
高所にある湿地のため、すでに開花全盛期になっていました。
湿地の植生は素晴らしいものでしたが、0.2mmほどの稚ダニに20匹強取り付かれ、ズボンから取り落とすのに手間がかかりました。この時期に付くのは4~5mmで大型のタカサゴキララマダニか、ごく微小の産まれて間もないフタトゲチマダニの稚ダニであることが多いのです。
関連ページ 湿生植物・ヤマラッキョウ

Fig.11 シロヘリカメムシ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
ネザサやチシマザサの葉上で時々見かけるスマートなカメムシですが、ここでは移動中の林道上を這っていました。

Fig.12 ジンジソウ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
シダを探しに谷筋に入ると、入口の岩場でジンジソウが開花していました。
但馬の沢沿いではお馴染みの草本です。

Fig.13 タイミンガサ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
谷筋ではあちこちでタイミンガサの群生が見られ、果実形成期に入っていました。
関連ページ 関西の花・タイミンガサ

Fig.14 シモツケソウ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
比較的標高の低い谷ですが、5,60m級の滝の滝壺周辺で多湿冷涼であるためか、岩場の間にはシモツケソウが見られ、枯れた花茎が沢山立ち枯れていました。
周辺にはミヤマワラビも見られ、初夏や夏場に再訪すべき場所のようです。
他に種子形成したオオカニコウモリやキバナアキギリ、モミジガサ群落、サンインシロカネソウ、ツルネコノメソウなどが目立ちました。
category: 10月の花
サラシナショウマの咲く植林地
2016/10/18 Tue. 02:16 [edit]
連休最終日、観察会が終わった後の午後、時間がたっぷりあったので丹波地方の森林に出掛けてきました。そろそろサラシナショウマが見頃かと思いましたが、まだ少し早いようでした。帰りは渋滞が激しく、帰宅したのは夜の9時になりました。翌日は植物誌研究会有志による稀少種の自生地調査で播磨地方へ。翌々日は京都での調査で、その一部を掲載しました。
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Fig.1 秋の山野にて (兵庫県篠山市 2016.10/10)
クリ園跡が適度に草刈りされる草地になっていて、そこでノコンギク、ヤマハッカ、ミゾソバ、イヌタデなどの野草が咲き乱れていました。秋たけなわといった光景です。ここは春になるとキンキエンゴサクやイチリンソウが咲き乱れます。
関連ページ 湿生植物・ノコンギク

Fig.2 ヤマハッカ (兵庫県篠山市 2016.10/10)
刈り取りの終わった水田の土手で群生するヤマハッカが開花全盛でした。
里山の秋を彩る花のうちのひとつで、草刈りがされるような場所で見られます。
関連ページ 関西の花・ヤマハッカ

Fig.3 サラシナショウマ (兵庫県篠山市 2016.10/10)
サラシナショウマはまだ開花しはじめで、完全に開花した花序をもつものはこの個体のみでした。
植林地内に点在していますが、同じ林内にはイヌショウマも混生していますがすでに開花は終わっています。

Fig.4 サラシナショウマの花序 (兵庫県篠山市 2016.10/10)
花序にはイヌショウマよりも密に花がつき、太く見え、イヌショウマよりも強壮な印象を与えます。

Fig.5 サラシナショウマの花 (兵庫県篠山市 2016.10/10)
イヌショウマの小花はほぼ無柄ですが、サラシナショウマの花には明瞭な柄があります。
柄があるために花序全体が太く見えます。

Fig.6 ミカエリソウ (兵庫県篠山市 2016.10/10)
サラシナショウマが生育する植林地内にはミカエリソウの群落もよく発達しています。
他に多種多様なシダ類、モミジガサ群落、ヤマトキホコリなどが生育しています。

Fig.7 ミカエリソウの花 (兵庫県篠山市 2016.10/10)
開花期には葉が虫の食害を受けてボロボロになっているものがほとんどです。
花は花序の下から咲き上がり、花冠から雄蕊と雌蕊が突出します。

Fig.8 ヤマミズのマット (兵庫県篠山市 2016.10/10)
近隣の植林地ではヤマミズがマット状に群生している場所もあります。
かなりの面積を占有しており、見事な群落となっています。

Fig.9 オオバチドメのマット (兵庫県篠山市 2016.10/10)
ヤマミズのマットを踏んで奥に行くと、今度はオオバチドメが見事なマット状の群落を形成しています。隣接してハダカホオズキ、マルバノホロシ、マルミノヤマゴボウ、オニルリソウなどが生育しています。
関連ページ 湿生植物・オオバチドメ

Fig.10 果実期のオオバチドメ (兵庫県篠山市 2016.10/10)
この時期は丁度オオバチドメの果実期にあたり、果実の観察ができます。
果実の形状を見るとセリ科の特徴がよく出ています。

Fig.11 果実期のハダカホオズキ (兵庫県篠山市 2016.10/10)
このあたりではハダカホオズキが林床にごくふつうに見られます。
ナス科草本はまだまだ不勉強で、そろそろじっくり観察しようと思っています。

Fig.12 果実期のイガホオズキ (兵庫県篠山市 2016.10/10)
ハダカホオズキよりも個体数の少ないナス科草本で、イガイガの果実をたわわに稔らせていました。

Fig.13 モトマチハナワラビ (兵庫県篠山市 2016.10/10)
このあたりの植林地ではモトマチハナワラビが比較的よく見られます。
比較的空中湿度の高い植林地が多く、オオハナワラビ、アカハナワラビと混生しています。
関連ページ 関西の花/シダ・モトマチハナワラビ

Fig.14 アカハナワラビ (兵庫県篠山市 2016.10/10)
山麓の社寺境内で3個体が生育しているのを見つけました。
まだ胞子嚢は弾けておらず、もちろん葉の紅変は始まっていません。
関連ページ 関西の花/シダ・アカハナワラビ

Fig.15 ハナワラビsp. (兵庫県篠山市 2016.10/10)
この社寺境内にはアカハナワラビとともにエゾフユノハナワラビの影響を受けたようなハナワラビ、オオハナワラビが混生しています。また裏山の谷筋にはモトマチハナワラビが生育しています。
このタイプは混生地で見られる浸透交雑を繰り返したと考えられるやっかいな個体です。

Fig.16 ハナワラビsp.の栄養葉 (兵庫県篠山市 2016.10/10)
羽片はニンジンの葉のように細裂し、裂片にはカスリ模様が見られ、中軸と羽軸の交点は紅変しています。冬が深まるにつれて葉面全体に紅変が進むことが予想されます。

Fig.17 ニホンミツバチの営巣 (兵庫県神崎郡 2016.10/11)
この日は兵庫県内で新たな新産種の自生地調査でした。
調査地近くのスギの根元にある洞でニホンミツバチが営巣し、沢山のミツバチが出入りしていました。

Fig.18 カリガネソウ (兵庫県神崎郡 2016.10/11)
調査後に河畔山際のカリガネソウ自生地に立ち寄りました。
山の林床はシカの食害でほとんど裸地となっていますが、岩場ではミサキカグマなどのシダ類がかろうじて見られました。カリガネソウは強い臭いがあり、シカが好まないようです。

Fig.19 カヤランとクモラン (兵庫県加西市 2016.10/11)
社寺の梅林のウメの樹におびただしい量の地衣類とともに着生し、両種とも果実をつけていました。
カヤランの大きな果実が目立ちます。
関連ページ 関西の花・カヤラン
関連ページ 関西の花・クモラン

Fig.20 イヌセンブリ (京都府南丹地方 2016.10/12)
この日は京都側の自然度の高い里山のフロラ調査。
休耕田の土手ではイヌセンブリが開花中でした。
関連ページ 湿生植物・イヌセンブリ

Fig.21 サンインヒキオコシ (京都府南丹地方 2016.10/12)
サンインヒキオコシはヒキオコシよりもアキチョウジによく似ています。
ここでは水田の土手に点在し、アキチョウジよりも花は紫色が濃く、草体の色は明るく、コントラストが鮮やかです。
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Fig.1 秋の山野にて (兵庫県篠山市 2016.10/10)
クリ園跡が適度に草刈りされる草地になっていて、そこでノコンギク、ヤマハッカ、ミゾソバ、イヌタデなどの野草が咲き乱れていました。秋たけなわといった光景です。ここは春になるとキンキエンゴサクやイチリンソウが咲き乱れます。
関連ページ 湿生植物・ノコンギク

Fig.2 ヤマハッカ (兵庫県篠山市 2016.10/10)
刈り取りの終わった水田の土手で群生するヤマハッカが開花全盛でした。
里山の秋を彩る花のうちのひとつで、草刈りがされるような場所で見られます。
関連ページ 関西の花・ヤマハッカ

Fig.3 サラシナショウマ (兵庫県篠山市 2016.10/10)
サラシナショウマはまだ開花しはじめで、完全に開花した花序をもつものはこの個体のみでした。
植林地内に点在していますが、同じ林内にはイヌショウマも混生していますがすでに開花は終わっています。

Fig.4 サラシナショウマの花序 (兵庫県篠山市 2016.10/10)
花序にはイヌショウマよりも密に花がつき、太く見え、イヌショウマよりも強壮な印象を与えます。

Fig.5 サラシナショウマの花 (兵庫県篠山市 2016.10/10)
イヌショウマの小花はほぼ無柄ですが、サラシナショウマの花には明瞭な柄があります。
柄があるために花序全体が太く見えます。

Fig.6 ミカエリソウ (兵庫県篠山市 2016.10/10)
サラシナショウマが生育する植林地内にはミカエリソウの群落もよく発達しています。
他に多種多様なシダ類、モミジガサ群落、ヤマトキホコリなどが生育しています。

Fig.7 ミカエリソウの花 (兵庫県篠山市 2016.10/10)
開花期には葉が虫の食害を受けてボロボロになっているものがほとんどです。
花は花序の下から咲き上がり、花冠から雄蕊と雌蕊が突出します。

Fig.8 ヤマミズのマット (兵庫県篠山市 2016.10/10)
近隣の植林地ではヤマミズがマット状に群生している場所もあります。
かなりの面積を占有しており、見事な群落となっています。

Fig.9 オオバチドメのマット (兵庫県篠山市 2016.10/10)
ヤマミズのマットを踏んで奥に行くと、今度はオオバチドメが見事なマット状の群落を形成しています。隣接してハダカホオズキ、マルバノホロシ、マルミノヤマゴボウ、オニルリソウなどが生育しています。
関連ページ 湿生植物・オオバチドメ

Fig.10 果実期のオオバチドメ (兵庫県篠山市 2016.10/10)
この時期は丁度オオバチドメの果実期にあたり、果実の観察ができます。
果実の形状を見るとセリ科の特徴がよく出ています。

Fig.11 果実期のハダカホオズキ (兵庫県篠山市 2016.10/10)
このあたりではハダカホオズキが林床にごくふつうに見られます。
ナス科草本はまだまだ不勉強で、そろそろじっくり観察しようと思っています。

Fig.12 果実期のイガホオズキ (兵庫県篠山市 2016.10/10)
ハダカホオズキよりも個体数の少ないナス科草本で、イガイガの果実をたわわに稔らせていました。

Fig.13 モトマチハナワラビ (兵庫県篠山市 2016.10/10)
このあたりの植林地ではモトマチハナワラビが比較的よく見られます。
比較的空中湿度の高い植林地が多く、オオハナワラビ、アカハナワラビと混生しています。
関連ページ 関西の花/シダ・モトマチハナワラビ

Fig.14 アカハナワラビ (兵庫県篠山市 2016.10/10)
山麓の社寺境内で3個体が生育しているのを見つけました。
まだ胞子嚢は弾けておらず、もちろん葉の紅変は始まっていません。
関連ページ 関西の花/シダ・アカハナワラビ

Fig.15 ハナワラビsp. (兵庫県篠山市 2016.10/10)
この社寺境内にはアカハナワラビとともにエゾフユノハナワラビの影響を受けたようなハナワラビ、オオハナワラビが混生しています。また裏山の谷筋にはモトマチハナワラビが生育しています。
このタイプは混生地で見られる浸透交雑を繰り返したと考えられるやっかいな個体です。

Fig.16 ハナワラビsp.の栄養葉 (兵庫県篠山市 2016.10/10)
羽片はニンジンの葉のように細裂し、裂片にはカスリ模様が見られ、中軸と羽軸の交点は紅変しています。冬が深まるにつれて葉面全体に紅変が進むことが予想されます。

Fig.17 ニホンミツバチの営巣 (兵庫県神崎郡 2016.10/11)
この日は兵庫県内で新たな新産種の自生地調査でした。
調査地近くのスギの根元にある洞でニホンミツバチが営巣し、沢山のミツバチが出入りしていました。

Fig.18 カリガネソウ (兵庫県神崎郡 2016.10/11)
調査後に河畔山際のカリガネソウ自生地に立ち寄りました。
山の林床はシカの食害でほとんど裸地となっていますが、岩場ではミサキカグマなどのシダ類がかろうじて見られました。カリガネソウは強い臭いがあり、シカが好まないようです。

Fig.19 カヤランとクモラン (兵庫県加西市 2016.10/11)
社寺の梅林のウメの樹におびただしい量の地衣類とともに着生し、両種とも果実をつけていました。
カヤランの大きな果実が目立ちます。
関連ページ 関西の花・カヤラン
関連ページ 関西の花・クモラン

Fig.20 イヌセンブリ (京都府南丹地方 2016.10/12)
この日は京都側の自然度の高い里山のフロラ調査。
休耕田の土手ではイヌセンブリが開花中でした。
関連ページ 湿生植物・イヌセンブリ

Fig.21 サンインヒキオコシ (京都府南丹地方 2016.10/12)
サンインヒキオコシはヒキオコシよりもアキチョウジによく似ています。
ここでは水田の土手に点在し、アキチョウジよりも花は紫色が濃く、草体の色は明るく、コントラストが鮮やかです。
category: 10月の花
10月の花と果実
2015/11/11 Wed. 00:24 [edit]
10月はあまりまとまった時間が取れず、短時間の市内探査が中心となりました。ですから、今回の記事は少し少な目。ともに少な目ですが、シダや湿地・溜池の植物は別の回に掲載します。
但馬の高原では、例年よりも秋が通り過ぎるのが早いようで、花よりも果実が目立っていました。
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Fig.1 ハマビシ (兵庫県播磨地方 2015.10/7)
この日は海岸での植物誌研究会のハマビシの個体群動態調査でした。
昨年に較べて水分条件があまり良くなかったのか、小型の個体がほとんどでした。
関連ページ 関西の花・ハマビシ

Fig.2 訪花したホソヒラタアブ (兵庫県播磨地方 2015.10/7)

Fig.3 ハマゴウ (兵庫県播磨地方 2015.10/7)
海岸でまだ残り花が開花していました。
関連ページ 関西の花・ハマゴウ

Fig.4 センダイスゲ (兵庫県播磨地方 2015.10/7)
調査終了後、センダイスゲの自生地に足を伸ばしました。
見た目はナキリスゲとほとんど変わりませんが、ナキリスゲよりも小型で側小穂は少なく、大株とはならずに根茎によって面的に広がります。ナキリスゲの仲間では兵庫県では稀なものです。

Fig.5 センダイスゲの全草標本 (兵庫県播磨地方 2015.10/7)
隣の子株と根茎でつながっています。

Fig.6 果実期のホソバテンナンショウ (兵庫県六甲山 2015.10/8)
この日はシダの探査で六甲山の谷筋に入りました。
ツリフネソウに囲まれてホソバテンナンショウの果実が色付き始めていました。
関連ページ 関西の花・ホソバテンナンショウ

Fig.7 ジンジソウ (兵庫県六甲山 2015.10/8)
谷筋に降りるとジンジソウが開花真っ盛りで、渓流岩上に群生した本種が見事な景観をつくっていました。

Fig.8 シラネセンキュウ (兵庫県六甲山 2015.10/8)
湿った岩場に点在するシラネセンキュウも開花中でした。
コンデジでかなり露出を抑えて撮ったのですが、どうしても白飛びしていまいます。

Fig.9 果実期のハナビゼリ (兵庫県六甲山 2015.10/8)
シラネセンキュウに似ていますが、より繊細に見え開花期も早いです。
シラネセンキュウよりも花序の花数は少なくまばらで、葉裏は強く白味を帯び、シラネセンキュウが2~3回3出羽状複葉なのに対して、ハナビゼリは1~2回3出羽状複葉となります。

Fig.10 ヒヨドリバナ2倍体 (兵庫県六甲山 2015.10/8)
ふつうに見かけるのは3,4,5倍体の倍数体のヒヨドリバナで、2n=20の2倍体の分布は限られ、兵庫県でも六甲山周辺のみで見られます。自生環境は山地の岩場や、林縁の崩壊地で、草体は倍数体よりも繊細で葉はキクバ形になる傾向が強いです。

Fig.11 テイショウソウ (兵庫県六甲山 2015.10/8)
兵庫県東南部では比較的見かける機会は多く、群生地も数ヶ所あります。
この日はヒロハ・タイプのものも1個体見かけました。
この日は同属のフクオウソウも見られましたが、崩壊地の岩場の上にあって撮影は断念、というかそこまでの根性や思い入れが足りないのかも。
どうもキク科草本についてはあまり関心が持てず、今回が初の大幅掲載だと思います。

Fig.12 ウスゲタマブキ (兵庫県六甲山 2015.10/8)
但馬地方で見るものは生育が良すぎてとりとめがないような草体になりがちですが、六甲山の岩場に生育するものはコンパクトでスマートにまとまっています。

Fig.13 ミヤマコウモリソウ (兵庫県六甲山 2015.10/8)
ウスギタマブキの変種ですがウスゲタマブキよりはるかに稀で、兵庫県内では六甲山のみに生育しています。コウモリソウ属のものはいずれも花が地味ですが、同属のモミジガサやヤブレガサよりもさらに一般には知られていない種でしょう。

Fig.14 ミチバタガラシ (兵庫県播磨地方 2015.10/26)
社寺の参道の一画でミチバタガラシがかたまって生育していました。
まるで外来種のような名前ですが、在来種で近縁のイヌガラシやスカシタゴボウにように多くは見られません。社寺境内の湿った場所で見る機会の多い雑草です。
関連ページ 関西の花・ミチバタガラシ

Fig.15 ウシクサ (兵庫県播磨地方 2015.10/26)
強度に草刈りされた溜池土堤で、草丈3cmほどのウシクサの草紅葉が見られました。
度重なる草刈りのためか、節間は極端に短くなって葉も小さく矮小化し、その間から花穂を高密度で上げています。
関連ページ 湿生植物・ウシクサ

Fig.16 色付いた自然林 (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
但馬の高原ではブナ、ミズナラ、トチノキなどの高木が色付き始めていました。

Fig.17 ミズナラの紅葉 (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
ミズナラはなかなか綺麗に紅葉しませんが、ここでは湿地に張り出すように生育しているものが綺麗に色付いていました。

Fig.18 ノブキ (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
紛らわしい近縁種もなく、あまりカメラを向けてこなかった草本ですが、新鮮な花が開花していたので撮影しました。頭花は白い筒状花の集まりで、果実には粘液を分泌する腺毛があって、「ひっつき虫」になります。

Fig.19 果実期のツチアケビ (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
比較的頻繁に見かけますが、立派な個体なので撮影。非常に存在感がありました。
関連ページ 関西の花・ツチアケビ

Fig.20 タチシオデの果実 (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
林縁でちょうど完熟した果実を付けていました。黒熟した液果のなかには、赤い種子が5個前後入っていて、画像でも破れた部分に種子が見えています。
関連ページ 関西の花・タチシオデ

Fig.21 オオナルコユリの果実 (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
タチシオデの脇に、葉をほとんど落としたオオナルコユリが果実をぶら下げていました。
すでに液果表面にはしわが寄って干からびはじめています。

Fig.22 トチバニンジンの果実 (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
トチバニンジンはすでに多くの果実が落果していました。
ここのものは果実に黒目が入っていないものでした。
残った果柄の風情が面白かったので撮影してみました。
関連ページ 関西の花・トチバニンジン

Fig.23 サルマメの果実 (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
小さなサルトリイバラといった感じのサルマメ。
葉腋につく総状花序の花数は少ないので、サルトリイバラのように果実はまとまってつきません。

Fig.24 果実期のミヤマニガウリ (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
小川の脇でミヤマニガウリが沢山の果実をぶら下げていました。雄性両全性異株でよく知られています。多くの果実は2枚に合わさった葉の内側に隠れるように付きますが、大きな個体ではぶら下げて付ける果実も多いようです。ぶら下がっている果実はほとんどゆがみが見られませんでした。

Fig.25 果実期のヒロハテンナンショウ (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
半ば倒伏したヒロハテンナンショウに果実が赤く熟していました。
葉は1枚で花序は葉よりも下にあるのは、今のところこの地域ではヒロハテンナショウだけです。
関連ページ 関西の花・ヒロハテンナンショウ

Fig.26 オオカニコウモリ (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
すでにほとんどの個体は果実期を迎えていましたが、この2本は開花が遅かったようで枯れかけた花の状態を保っていました。標高の高いタマガワホトトギスの生育するような氷ノ山中腹の沢筋では、8月中旬にすでに開花し始めていました。
先のウスゲタマブキ、ミヤモコウモリソウと同属のため、花は見栄えがしません。
兵庫県ではカニコウモリは分布しておらず、日本海側にオオカニコウモリのみが見られます。

Fig.27 開花中のオオタチツボスミレ (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
周辺に生育しているアケボノスミレはすでに葉が黄化して枯れかけていましたが、少し窪地になった場所ではオオタチツボスミレが元気に開花していました。
閉鎖花を形成するこのような草本類で、条件が揃えば開花する種は不時開花という言葉が似合わないような気もしてきます。それはタツナミソウの仲間にも言えるような気がします。
関連ページ 関西の花・オオタチツボスミレ

Fig.28 ウメバチソウ (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
ウメバチソウは開花が早かったようで、半数は果実を形成していました。
低地では湿地やその周辺で見かけますが、ここでは草地に生育していました。
関連ページ 湿生植物・ウメバチソウ

Fig.28 イトハナビテンツキ (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
スキー場の半裸地ではイトハナビテンツキが秋風に吹かれていました。イトテンツキが混じっていないかと探しましたが、全てイトハナビテンツキでした。同所的にアリノトウグサやセンブリが生育しており、周辺にはウメバチソウ、エゾヒカゲノカズラが生育していました。
関連ページ 湿生植物・イトハナビテンツキ

Fig.29 ヒメヤママユガ (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
この時期は秋の大型野生蚕蛾の活動シーズンです。
道の駅の休憩所の陰では夜間に飛来したであろうヒメヤママユガが夜を待って静止していました。
渋い色調の組み合わせと、前翅の目玉模様が魅力的です。

Fig.30 クスサン (兵庫県播磨地方 2015.10/26)
これも別の場所で見た大型蚕蛾の仲間で、後翅に魅力的な目玉模様がありますが、翅を広げてはくれませんでした。この付近ではヤママユガ・ウスタビガ>クスサン・シンジュサン>ヒメヤママユの順に低山から山地に現れるという印象があります。どの大型蚕蛾もじっくり観察すると美しいものです。渋い色調のグラデーションではなく、渋い色調の中でのやや格差のある色調のミニマルな段階的な移行が魅力的です。
但馬の高原では、例年よりも秋が通り過ぎるのが早いようで、花よりも果実が目立っていました。
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Fig.1 ハマビシ (兵庫県播磨地方 2015.10/7)
この日は海岸での植物誌研究会のハマビシの個体群動態調査でした。
昨年に較べて水分条件があまり良くなかったのか、小型の個体がほとんどでした。
関連ページ 関西の花・ハマビシ

Fig.2 訪花したホソヒラタアブ (兵庫県播磨地方 2015.10/7)

Fig.3 ハマゴウ (兵庫県播磨地方 2015.10/7)
海岸でまだ残り花が開花していました。
関連ページ 関西の花・ハマゴウ

Fig.4 センダイスゲ (兵庫県播磨地方 2015.10/7)
調査終了後、センダイスゲの自生地に足を伸ばしました。
見た目はナキリスゲとほとんど変わりませんが、ナキリスゲよりも小型で側小穂は少なく、大株とはならずに根茎によって面的に広がります。ナキリスゲの仲間では兵庫県では稀なものです。

Fig.5 センダイスゲの全草標本 (兵庫県播磨地方 2015.10/7)
隣の子株と根茎でつながっています。

Fig.6 果実期のホソバテンナンショウ (兵庫県六甲山 2015.10/8)
この日はシダの探査で六甲山の谷筋に入りました。
ツリフネソウに囲まれてホソバテンナンショウの果実が色付き始めていました。
関連ページ 関西の花・ホソバテンナンショウ

Fig.7 ジンジソウ (兵庫県六甲山 2015.10/8)
谷筋に降りるとジンジソウが開花真っ盛りで、渓流岩上に群生した本種が見事な景観をつくっていました。

Fig.8 シラネセンキュウ (兵庫県六甲山 2015.10/8)
湿った岩場に点在するシラネセンキュウも開花中でした。
コンデジでかなり露出を抑えて撮ったのですが、どうしても白飛びしていまいます。

Fig.9 果実期のハナビゼリ (兵庫県六甲山 2015.10/8)
シラネセンキュウに似ていますが、より繊細に見え開花期も早いです。
シラネセンキュウよりも花序の花数は少なくまばらで、葉裏は強く白味を帯び、シラネセンキュウが2~3回3出羽状複葉なのに対して、ハナビゼリは1~2回3出羽状複葉となります。

Fig.10 ヒヨドリバナ2倍体 (兵庫県六甲山 2015.10/8)
ふつうに見かけるのは3,4,5倍体の倍数体のヒヨドリバナで、2n=20の2倍体の分布は限られ、兵庫県でも六甲山周辺のみで見られます。自生環境は山地の岩場や、林縁の崩壊地で、草体は倍数体よりも繊細で葉はキクバ形になる傾向が強いです。

Fig.11 テイショウソウ (兵庫県六甲山 2015.10/8)
兵庫県東南部では比較的見かける機会は多く、群生地も数ヶ所あります。
この日はヒロハ・タイプのものも1個体見かけました。
この日は同属のフクオウソウも見られましたが、崩壊地の岩場の上にあって撮影は断念、というかそこまでの根性や思い入れが足りないのかも。
どうもキク科草本についてはあまり関心が持てず、今回が初の大幅掲載だと思います。

Fig.12 ウスゲタマブキ (兵庫県六甲山 2015.10/8)
但馬地方で見るものは生育が良すぎてとりとめがないような草体になりがちですが、六甲山の岩場に生育するものはコンパクトでスマートにまとまっています。

Fig.13 ミヤマコウモリソウ (兵庫県六甲山 2015.10/8)
ウスギタマブキの変種ですがウスゲタマブキよりはるかに稀で、兵庫県内では六甲山のみに生育しています。コウモリソウ属のものはいずれも花が地味ですが、同属のモミジガサやヤブレガサよりもさらに一般には知られていない種でしょう。

Fig.14 ミチバタガラシ (兵庫県播磨地方 2015.10/26)
社寺の参道の一画でミチバタガラシがかたまって生育していました。
まるで外来種のような名前ですが、在来種で近縁のイヌガラシやスカシタゴボウにように多くは見られません。社寺境内の湿った場所で見る機会の多い雑草です。
関連ページ 関西の花・ミチバタガラシ

Fig.15 ウシクサ (兵庫県播磨地方 2015.10/26)
強度に草刈りされた溜池土堤で、草丈3cmほどのウシクサの草紅葉が見られました。
度重なる草刈りのためか、節間は極端に短くなって葉も小さく矮小化し、その間から花穂を高密度で上げています。
関連ページ 湿生植物・ウシクサ

Fig.16 色付いた自然林 (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
但馬の高原ではブナ、ミズナラ、トチノキなどの高木が色付き始めていました。

Fig.17 ミズナラの紅葉 (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
ミズナラはなかなか綺麗に紅葉しませんが、ここでは湿地に張り出すように生育しているものが綺麗に色付いていました。

Fig.18 ノブキ (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
紛らわしい近縁種もなく、あまりカメラを向けてこなかった草本ですが、新鮮な花が開花していたので撮影しました。頭花は白い筒状花の集まりで、果実には粘液を分泌する腺毛があって、「ひっつき虫」になります。

Fig.19 果実期のツチアケビ (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
比較的頻繁に見かけますが、立派な個体なので撮影。非常に存在感がありました。
関連ページ 関西の花・ツチアケビ

Fig.20 タチシオデの果実 (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
林縁でちょうど完熟した果実を付けていました。黒熟した液果のなかには、赤い種子が5個前後入っていて、画像でも破れた部分に種子が見えています。
関連ページ 関西の花・タチシオデ

Fig.21 オオナルコユリの果実 (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
タチシオデの脇に、葉をほとんど落としたオオナルコユリが果実をぶら下げていました。
すでに液果表面にはしわが寄って干からびはじめています。

Fig.22 トチバニンジンの果実 (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
トチバニンジンはすでに多くの果実が落果していました。
ここのものは果実に黒目が入っていないものでした。
残った果柄の風情が面白かったので撮影してみました。
関連ページ 関西の花・トチバニンジン

Fig.23 サルマメの果実 (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
小さなサルトリイバラといった感じのサルマメ。
葉腋につく総状花序の花数は少ないので、サルトリイバラのように果実はまとまってつきません。

Fig.24 果実期のミヤマニガウリ (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
小川の脇でミヤマニガウリが沢山の果実をぶら下げていました。雄性両全性異株でよく知られています。多くの果実は2枚に合わさった葉の内側に隠れるように付きますが、大きな個体ではぶら下げて付ける果実も多いようです。ぶら下がっている果実はほとんどゆがみが見られませんでした。

Fig.25 果実期のヒロハテンナンショウ (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
半ば倒伏したヒロハテンナンショウに果実が赤く熟していました。
葉は1枚で花序は葉よりも下にあるのは、今のところこの地域ではヒロハテンナショウだけです。
関連ページ 関西の花・ヒロハテンナンショウ

Fig.26 オオカニコウモリ (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
すでにほとんどの個体は果実期を迎えていましたが、この2本は開花が遅かったようで枯れかけた花の状態を保っていました。標高の高いタマガワホトトギスの生育するような氷ノ山中腹の沢筋では、8月中旬にすでに開花し始めていました。
先のウスゲタマブキ、ミヤモコウモリソウと同属のため、花は見栄えがしません。
兵庫県ではカニコウモリは分布しておらず、日本海側にオオカニコウモリのみが見られます。

Fig.27 開花中のオオタチツボスミレ (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
周辺に生育しているアケボノスミレはすでに葉が黄化して枯れかけていましたが、少し窪地になった場所ではオオタチツボスミレが元気に開花していました。
閉鎖花を形成するこのような草本類で、条件が揃えば開花する種は不時開花という言葉が似合わないような気もしてきます。それはタツナミソウの仲間にも言えるような気がします。
関連ページ 関西の花・オオタチツボスミレ

Fig.28 ウメバチソウ (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
ウメバチソウは開花が早かったようで、半数は果実を形成していました。
低地では湿地やその周辺で見かけますが、ここでは草地に生育していました。
関連ページ 湿生植物・ウメバチソウ

Fig.28 イトハナビテンツキ (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
スキー場の半裸地ではイトハナビテンツキが秋風に吹かれていました。イトテンツキが混じっていないかと探しましたが、全てイトハナビテンツキでした。同所的にアリノトウグサやセンブリが生育しており、周辺にはウメバチソウ、エゾヒカゲノカズラが生育していました。
関連ページ 湿生植物・イトハナビテンツキ

Fig.29 ヒメヤママユガ (兵庫県但馬地方 2015.10/26)
この時期は秋の大型野生蚕蛾の活動シーズンです。
道の駅の休憩所の陰では夜間に飛来したであろうヒメヤママユガが夜を待って静止していました。
渋い色調の組み合わせと、前翅の目玉模様が魅力的です。

Fig.30 クスサン (兵庫県播磨地方 2015.10/26)
これも別の場所で見た大型蚕蛾の仲間で、後翅に魅力的な目玉模様がありますが、翅を広げてはくれませんでした。この付近ではヤママユガ・ウスタビガ>クスサン・シンジュサン>ヒメヤママユの順に低山から山地に現れるという印象があります。どの大型蚕蛾もじっくり観察すると美しいものです。渋い色調のグラデーションではなく、渋い色調の中でのやや格差のある色調のミニマルな段階的な移行が魅力的です。
category: 10月の花
10月の花
2013/10/24 Thu. 00:56 [edit]
このひと月にあちこちで見かけた、湿生・水生植物以外の花です。
花の季節だというのに、イネ科が多くて少し地味になってしまいましたが・・・
画像:秋の里山の草原、ウンヌケ、オオアブラススキ、オガルカヤ、ツクシハギ、
オミナエシ、カシワバハグマ、キバナアキギリ、アキギリ、オオクサキビ、
アキカラマツ、モロコシガヤ、セトウチホトトギス、イナカギク、アキチョウジ、
ミカエリソウ、ウシクサ
*画像クリックで、別ウィンドで拡大表示されます。

Fig.1 秋の里山の草原 (兵庫県播磨地方 2013.9/24)
毎年1度草刈りの行われる草地です。
ウンヌケ、オミナエシ、ツクシハギが見えています。

Fig.2 溜池土堤のウンヌケ群落 (兵庫県播磨地方 2013.9/24)
ウンヌケは東海地方以西、四国、九州に局所的に分布する稀なイネ科草本です。
兵庫県では溜池土堤など草刈り管理される場所や、被植の少ない貧栄養なハゲ山に出現します。
ここではススキよりも個体数が多く、堤体斜面に群落をつくっていました。
関連ページ 関西の花・イネ科・ウンヌケ

Fig.3 ウンヌケとススキ (兵庫県播磨地方 2013.9/24)
左端がウンヌケ、中央手前から右がススキで、バックでボケている花序はウンウケです。
ウンヌケの花序の枝は直立し、黄褐色を帯びています。
ウンヌケは開花中は花序の枝が開いていますが、その後花序は閉じ気味に狭くなります。
近くにはウンヌケモドキも生えていたのですが、いい画像が撮れずNGに。
ウンヌケモドキはウンヌケよりも小型で、葉に毛が多く、基部にはほとんど毛がありません。

Fig.4 開花中のウンヌケの花序 (兵庫県播磨地方 2013.9/24)
硬そうな芒が目立ちます。

Fig.5 開花中のオオアブラススキ (兵庫県播磨地方 2013.9/24)
ウンヌケに混じって点々と生えていました。
関連ページ 関西の花・イネ科・オオアブラススキ

Fig.6 オガルカヤ (兵庫県播磨地方 2013.9/24)
棚田の土手や溜池土堤にはメガルカヤ、オガルカヤが目立ちます。
今回はオガルカヤ。メガルカヤは草地、オガルカヤは貧栄養なハゲ山や岩場のイメージ。
関連ページ 関西の花・イネ科・オガルカヤ

Fig.7 ツクシハギ (兵庫県播磨地方 2013.9/24)
秋の里山ではハギ類の花がよく目立ちます。
このあたりではヤマハギ、マルバハギ、カワチハギ、ビッチュウヤマハギ、ツクシハギなどが見られますが、これは最も多く見られたツクシハギ。花序が長く、旗弁が強く反るのが特徴です。

Fig.8 オミナエシ (兵庫県播磨地方 2013.9/24)
これも秋の里山を代表する種のひとつ。
各地で減少傾向にあるようですが、兵庫県ではまだ群生地が多いです。
関連ページ 湿生植物・オミナエシ

Fig.9 カシワバハグマ (兵庫県神戸市 2013.9/27)
雑木林で新たな群生地を見つけました。
トキワイカリソウやアリマイトスゲとともに林床に群生しています。

Fig.10 カシワバハグマの花序の変異 (兵庫県三田市 2013.9/30)
花序には変異があるようで、これはごく短く詰まって花が集合しているように見えるものです。

Fig.11 キバナアキギリ (兵庫県三田市 2013.9/30)
兵庫県南部では珍しいキバナアキギリの自生地です。
半ば庭園化されていますが、ここにあるものは元々ここに自生しているものです。
関連ページ 関西の花・キバナアキギリ

Fig.12 アキギリ (京都府 2013.10/11)
アキギリのほうはさすがに瀬戸内側では見られず、日本海側に生育しています。
時期がすでに遅いのか、花の最盛期は終わっていました。

Fig.13 オオクサキビ (兵庫県三田市 2013.9/30)
やや湿った荒地で時折見かける外来種ですが、殖えそうな兆しはありません。

Fig.14 アキカラマツ (西宮市 2013.9/30)
盛夏に草刈りされた場所では、今頃がアキカラマツの開花期となるようです。
関連ページ 関西の花・アキカラマツ

Fig.15 モロコシガヤ (神戸市 2013.10/5)
二次的自然度の高い草地に隔離分布しているイネ科草本です。
旧くから土壌をいじっていない棚田の土手や、溜池土堤に稀に見られます。
関連ページ 関西の花・イネ科・モロコシガヤ

Fig.16 セトウチホトトギス (神戸市 2013.10/5)
その名のとおりホトトギスの仲間のうち、県内では瀬戸内海沿岸部で最も普通に見られる種です。
花披片が平開し、基部付近に黄斑があるのが特徴です。

Fig.17 イナカギク (兵庫県三木市 2013.10/10)
農道の法面からこぼれ落ちるように多くの花が咲いていました。
関連ページ 関西の花・イナカギク

Fig.18 アキチョウジ (兵庫県篠山市 2013.10/15)
刈り込まれた林縁の草地で、雨に濡れながらしっとりと開花していました。
関連ページ 関西の花・アキチョウジ

Fig.19 ミカエリソウ (兵庫県篠山市 2013.10/15)
アキチョウジのそばの明るい林下ではミカエリソウが見頃でした。

Fig.20 ウシクサ (兵庫県姫路市 2013.10/18)
ありそうでなかなか無い、貧栄養な半裸地や草地に生育する小型のイネ科草本です。
普段は地味でなかなか気付きにくく、この時期になると紅変するので少しだけ目立つようになります。
関連ページ 湿生植物・ウシクサ
花の季節だというのに、イネ科が多くて少し地味になってしまいましたが・・・
画像:秋の里山の草原、ウンヌケ、オオアブラススキ、オガルカヤ、ツクシハギ、
オミナエシ、カシワバハグマ、キバナアキギリ、アキギリ、オオクサキビ、
アキカラマツ、モロコシガヤ、セトウチホトトギス、イナカギク、アキチョウジ、
ミカエリソウ、ウシクサ
*画像クリックで、別ウィンドで拡大表示されます。

Fig.1 秋の里山の草原 (兵庫県播磨地方 2013.9/24)
毎年1度草刈りの行われる草地です。
ウンヌケ、オミナエシ、ツクシハギが見えています。

Fig.2 溜池土堤のウンヌケ群落 (兵庫県播磨地方 2013.9/24)
ウンヌケは東海地方以西、四国、九州に局所的に分布する稀なイネ科草本です。
兵庫県では溜池土堤など草刈り管理される場所や、被植の少ない貧栄養なハゲ山に出現します。
ここではススキよりも個体数が多く、堤体斜面に群落をつくっていました。
関連ページ 関西の花・イネ科・ウンヌケ

Fig.3 ウンヌケとススキ (兵庫県播磨地方 2013.9/24)
左端がウンヌケ、中央手前から右がススキで、バックでボケている花序はウンウケです。
ウンヌケの花序の枝は直立し、黄褐色を帯びています。
ウンヌケは開花中は花序の枝が開いていますが、その後花序は閉じ気味に狭くなります。
近くにはウンヌケモドキも生えていたのですが、いい画像が撮れずNGに。
ウンヌケモドキはウンヌケよりも小型で、葉に毛が多く、基部にはほとんど毛がありません。

Fig.4 開花中のウンヌケの花序 (兵庫県播磨地方 2013.9/24)
硬そうな芒が目立ちます。

Fig.5 開花中のオオアブラススキ (兵庫県播磨地方 2013.9/24)
ウンヌケに混じって点々と生えていました。
関連ページ 関西の花・イネ科・オオアブラススキ

Fig.6 オガルカヤ (兵庫県播磨地方 2013.9/24)
棚田の土手や溜池土堤にはメガルカヤ、オガルカヤが目立ちます。
今回はオガルカヤ。メガルカヤは草地、オガルカヤは貧栄養なハゲ山や岩場のイメージ。
関連ページ 関西の花・イネ科・オガルカヤ

Fig.7 ツクシハギ (兵庫県播磨地方 2013.9/24)
秋の里山ではハギ類の花がよく目立ちます。
このあたりではヤマハギ、マルバハギ、カワチハギ、ビッチュウヤマハギ、ツクシハギなどが見られますが、これは最も多く見られたツクシハギ。花序が長く、旗弁が強く反るのが特徴です。

Fig.8 オミナエシ (兵庫県播磨地方 2013.9/24)
これも秋の里山を代表する種のひとつ。
各地で減少傾向にあるようですが、兵庫県ではまだ群生地が多いです。
関連ページ 湿生植物・オミナエシ

Fig.9 カシワバハグマ (兵庫県神戸市 2013.9/27)
雑木林で新たな群生地を見つけました。
トキワイカリソウやアリマイトスゲとともに林床に群生しています。

Fig.10 カシワバハグマの花序の変異 (兵庫県三田市 2013.9/30)
花序には変異があるようで、これはごく短く詰まって花が集合しているように見えるものです。

Fig.11 キバナアキギリ (兵庫県三田市 2013.9/30)
兵庫県南部では珍しいキバナアキギリの自生地です。
半ば庭園化されていますが、ここにあるものは元々ここに自生しているものです。
関連ページ 関西の花・キバナアキギリ

Fig.12 アキギリ (京都府 2013.10/11)
アキギリのほうはさすがに瀬戸内側では見られず、日本海側に生育しています。
時期がすでに遅いのか、花の最盛期は終わっていました。

Fig.13 オオクサキビ (兵庫県三田市 2013.9/30)
やや湿った荒地で時折見かける外来種ですが、殖えそうな兆しはありません。

Fig.14 アキカラマツ (西宮市 2013.9/30)
盛夏に草刈りされた場所では、今頃がアキカラマツの開花期となるようです。
関連ページ 関西の花・アキカラマツ

Fig.15 モロコシガヤ (神戸市 2013.10/5)
二次的自然度の高い草地に隔離分布しているイネ科草本です。
旧くから土壌をいじっていない棚田の土手や、溜池土堤に稀に見られます。
関連ページ 関西の花・イネ科・モロコシガヤ

Fig.16 セトウチホトトギス (神戸市 2013.10/5)
その名のとおりホトトギスの仲間のうち、県内では瀬戸内海沿岸部で最も普通に見られる種です。
花披片が平開し、基部付近に黄斑があるのが特徴です。

Fig.17 イナカギク (兵庫県三木市 2013.10/10)
農道の法面からこぼれ落ちるように多くの花が咲いていました。
関連ページ 関西の花・イナカギク

Fig.18 アキチョウジ (兵庫県篠山市 2013.10/15)
刈り込まれた林縁の草地で、雨に濡れながらしっとりと開花していました。
関連ページ 関西の花・アキチョウジ

Fig.19 ミカエリソウ (兵庫県篠山市 2013.10/15)
アキチョウジのそばの明るい林下ではミカエリソウが見頃でした。

Fig.20 ウシクサ (兵庫県姫路市 2013.10/18)
ありそうでなかなか無い、貧栄養な半裸地や草地に生育する小型のイネ科草本です。
普段は地味でなかなか気付きにくく、この時期になると紅変するので少しだけ目立つようになります。
関連ページ 湿生植物・ウシクサ
category: 10月の花
thread: 博物学・自然・生き物 - janre: 学問・文化・芸術
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