8月の山と高原で
2016/09/19 Mon. 22:39 [edit]
ようやく通常ペースのブログ更新ができるようになってきました。 今回は8月の山地やススキの取材に出掛けた草原で出会った植物や昆虫類が多くなりました。草原環境は管理放棄や遷移によって昭和~平成にかけて急激に減少し、それにより草原環境に依存する草本の多くが危機的状況にあります。生物多様性が注目されつつありますが、前時代的な農業が衰退することにより、草原が失われつつある状況に変わりありません。
今後はHPに湿生・水生植物とともに草原性草本にも力を入れたコンテンツを増やしていく予定です。
*画像クリックで、別ウィンドで表示されます。
FC2ブログの仕様が変わったのか、リンク先で大きな画像が表示されなくなってしまいました。
大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。

Fig.1 ニシノヤマタイミンガサ (兵庫県但馬地方 2016.8/4)
但馬での着生ランの調査後に自生地を案内して頂きました。
タイミンガサと比べて華奢な感じで、花茎は1本しか上げていませんでした。
シカの忌避植物で生き残っているようで、周辺では同じくシカの忌避植物であるサワルリソウが群生していました。

Fig.2 オオキヌタソウ (兵庫県但馬地方 2016.8/4)
着生ラン調査地の林床に生育していたもので、果実が熟しかかっていました。
キヌタソウよりもかなり大型で、兵庫県では深山の林床にやや稀に見られます。
周辺にはミヤマムグラやミヤマヤブタバコなどのあまり見られない草本も生育していました。

Fig.3 クロナガキマワリ (兵庫県但馬地方 2016.8/4)
キマワリは身近にふつうに見かけますが、本種は山地でないと見られません。
林道脇にあった朽ちた伐採木上を歩いていました。

Fig.4 ツマグロキチョウ (兵庫県篠山市 2016.8/6)
夏型のペアが交尾しているのが農道の土手で見られました。
農道の土手は二次的自然環境がよく保持されており、食草であるカワラケツメイが群生し、スズサイコ、ナルコビエが生育していました。ツマグロキチョウはかつては普通でしたが、現在ではあまり見かけず、環境省絶滅危惧ⅠB類(EN)に指定されています。

Fig.5 ヒオウギ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
ススキの取材のため、但馬地方の高原地帯へ出掛けました。
高原のススキ草原へ向かう途中、棚田の土手でヒオウギが開花していました。
シカの忌避植物であるため、他の草本が食害を受ける中でも残存している種です。
関連ページ 関西の花・ヒオウギ

Fig.5 クロバナヒキオコシ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
但馬地方では林縁でも草原でも農地の土手でもよく見かける種です。
どちらかというと秋の花ですが、開花の走りが出ていました。
関連ページ 関西の花・クロバナヒキオコシ

Fig.6 オオアブラススキ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
オオアブラススキはススキに先立って出穂します。
8月中旬にこのススキ草原に来たのは初めてで、オオアブラススキがこれほど多いとは思いませんでした。9月に入ってススキが出穂すると、それほど目立たなくなります。
関連ページ 関西の花・オオアブラススキ

Fig.7 ススキ原の表層に見られる黒ボク土 (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
黒ボク土は野焼きや焼畑農耕が行われた痕跡で、火山灰や褐色森林土に微粒炭が混じったものです。
世界的には稀な土壌で、日本とニュージーランドに分布し、ニュージーランドのものは移住してきたマオリ族の焼畑農耕に由来することが分かっています。
日本では多くの場所で約1万年前の縄文時代から堆積が始まっており、静岡県の愛鷹山山麓では火山灰層をはさみながら、約4万年前の旧石器時代の地層にも確認されています。

Fig.8 コオニユリ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
兵庫県南部では少ないコオニユリですが、北部では高原の草原や海崖の風衡草地でよく見られます。
オニユリと違ってムカゴを作らず、捻性があって、種子で繁殖します。
関連ページ 関西の花・コオニユリ

Fig.9 キセワタ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
最初はメハジキかと思いましたが、よく見るとキセワタでここで出会えるとは思ってもいませんでした。草原環境の減少とともに、急激に見られなくなった種で、ほとんどの都道府県で絶滅危惧種に指定されています。兵庫県版RDBでもBランクとなっており、6年振りに出会いました。

Fig.10 クサボタン (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
兵庫県では北部高原地帯の草原や林縁に生育する種で、ススキ草原の縁などに点在しています。
シカの忌避植物で群生するとそれなりに美しいのですが、兵庫県ではそのような場所はありません。

Fig.11 ムカゴソウ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
非常に地味な草本ですが、草原環境に依存しており、全国的に急激に減少している種です。
満鮮要素と呼ばれる大陸内部起源の草本で、兵庫県では野焼きが行われるススキ草原や、ハゲ山地帯に残存しています。このススキ草原では野焼きが行われるため、ススキ草原内で点在しています。
関連ページ 関西の花・ムカゴソウ

Fig.12 オオナンバンギセル (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
低地ではナンバンギセルをよく見かけますが、高原のススキ草原ではより大型のオオナンバンギセルが見られます。ここではオオナンバンギセルは野焼きの行われない場所で見られましたが、他の場所ではどうなのでしょうか?

Fig.13 クロルリトゲハムシ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
かつてはクロルリトゲトゲと呼称されていたススキを食草とするユニークなハムシです。
高原地帯のススキ草原に生育し、葉表の表皮細胞を線状に食していき、画像でもその様子が見られます。新称のトゲハムシよりもトゲトゲのほうがユニークでインパクトがあって好きなのですがねえ。

Fig.14 ミヤマチャバネセセリ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
草原環境の減少により低地ではほとんど見られなくなっている種ですが、ここでは健在でした。
この日は同様に減少しているギンイチモンジセセリも見られましたが、残念ながら撮影する隙を与えてくれませんでした。

Fig.15 ダイミョウセセリ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
低地でも見かけるヤマノイモ科ヤマノイモ属を食草とする蝶で、ここでは沢山飛び交っていました。

Fig.16 ヤマキマダラヒカゲ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
里山に見られるサトキマダラヒカゲに対して、山地寄りに生育するのでヤマキマダラヒカゲ。
両種は後翅の斑紋や眼状紋で区別し、なかなか微妙ですが、これはヤマキマダラヒカゲで間違いないでしょう。ここではヒメキマダラヒカゲ、ヒカゲチョウ、ジャノメチョウなどと混生していました。
まだ兵庫県内でキマダラモドキやオオヒカゲは見たことがありません。

Fig.17 ヤマクダマキモドキ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
里山では樹上でサトクダマキモドキを見かけますが、ここではササ原でヤマクダマキモドキと出会いました。ヤマクダマキモドキは前脚や中脚が褐色を帯びるのが特徴です。

Fig.18 シナノキの大木の着生シダ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
炎天下の中、ススキ草原の外れにはシナノキの大木が心地よい日陰を作っていてくれました。
樹幹にはオシャグジデンダとミヤマノキシノブが着生していました。
木陰は適湿な環境になっていて、ハコネシケチシダ、トガリバイヌワラビ、フタリシズカ、モミジガサが目立っていました。
関連ページ 関西の花/シダ・オシャグジデンダ
関連ページ 関西の花/シダ・ミヤマノキシノブ

Fig.19 カリガネソウ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
温帯林の林床でカリガネソウが開花し始めていました。
とてもユニークな花で、しばしば見るのですが、詰めが甘くてまだページが作れていません。

Fig.20 マルバノホロシ (兵庫県篠山市 2016.8/24)
丹波地方では林床でマルバノホロシとヤマホロシを見ますが、マルバノホロシのほうがふつうに見られます。マルバノホロシは下方の葉でも裂葉とならず、葉面には突起はあるが毛はなく、花冠基部は緑色となります。

Fig.21 キツネノカミソリ (兵庫県篠山市 2016.8/24)
8月初め頃から開花が始まりますが、個体によって開花期にギャップがあり、8月下旬まで花が見られます。8月下旬、この自生地では熟しつつある蒴果も観察できました。
本種についても詰めが甘くて、未だにページが立ち上げられません。

Fig.22 アオマツムシ (兵庫県播磨地方 2016.8/25)
播磨地方の溜池を廻る途上、ヒメクラマゴケ観察のためにとある社寺に立ち寄ったところ、駐車場のフェンスに絡まるカエデドコロの葉上でアオマツムシを見つけました。
アオマツムシは明治時代に中国大陸から帰化した外来種と言われており、街路樹で大きな音でやかましく鳴きます。鳴き声にマツムシのような奥ゆかしさと風情はありません。見つけて捕獲しても、室内で飼育することはお勧めできません。

Fig.23 マツムシソウ (兵庫県神戸市 2016.8/30)
この日は毎年恒例となった神戸市主催の草原性植物観察会のガイドをさせて頂きました。
天候が良好で、ハイライトは兵庫県ではごく稀少となったマツムシソウの観察。
この花を見ると霧が峰や美ヶ原の広大な草原を彷徨したことを思い出します。

Fig.24 ツルフジバカマ (兵庫県神戸市 2016.8/30)
観察会終了後、県内唯一のツルフジバカマの自生地へと移動。
これまで何度か訪れていますが、生育範囲は少しずつ広がっているように思います。
草深い場所ですが、ツルフジバカマは周囲の草本を足場として利用して広がっていました。

Fig.25 オオホソバシケシダ? (兵庫県神戸市 2016.8/30)
帰途、雑種の疑いのある怪しげなホソバシケシダが生育する場所に立ち寄りました。
ふつうのホソバシケシダであれば胞子嚢が充実している時期です。
斜上している胞子葉を持ち帰りソーラスを調べてみました。

Fig.26 オオホソバシケシダのソーラス (兵庫県神戸市 2016.8/30)
胞子嚢は空だったり、小さく萎縮していたり、平板であったりして正常な胞子は形成されていませんでした。包膜は全縁ではなく、縁が細裂しています。ホソバシケシダとシケシダの種間雑種であるオオホソバシケシダと結論付けることができそうです。
今後はHPに湿生・水生植物とともに草原性草本にも力を入れたコンテンツを増やしていく予定です。
*画像クリックで、別ウィンドで表示されます。
FC2ブログの仕様が変わったのか、リンク先で大きな画像が表示されなくなってしまいました。
大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。

Fig.1 ニシノヤマタイミンガサ (兵庫県但馬地方 2016.8/4)
但馬での着生ランの調査後に自生地を案内して頂きました。
タイミンガサと比べて華奢な感じで、花茎は1本しか上げていませんでした。
シカの忌避植物で生き残っているようで、周辺では同じくシカの忌避植物であるサワルリソウが群生していました。

Fig.2 オオキヌタソウ (兵庫県但馬地方 2016.8/4)
着生ラン調査地の林床に生育していたもので、果実が熟しかかっていました。
キヌタソウよりもかなり大型で、兵庫県では深山の林床にやや稀に見られます。
周辺にはミヤマムグラやミヤマヤブタバコなどのあまり見られない草本も生育していました。

Fig.3 クロナガキマワリ (兵庫県但馬地方 2016.8/4)
キマワリは身近にふつうに見かけますが、本種は山地でないと見られません。
林道脇にあった朽ちた伐採木上を歩いていました。

Fig.4 ツマグロキチョウ (兵庫県篠山市 2016.8/6)
夏型のペアが交尾しているのが農道の土手で見られました。
農道の土手は二次的自然環境がよく保持されており、食草であるカワラケツメイが群生し、スズサイコ、ナルコビエが生育していました。ツマグロキチョウはかつては普通でしたが、現在ではあまり見かけず、環境省絶滅危惧ⅠB類(EN)に指定されています。

Fig.5 ヒオウギ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
ススキの取材のため、但馬地方の高原地帯へ出掛けました。
高原のススキ草原へ向かう途中、棚田の土手でヒオウギが開花していました。
シカの忌避植物であるため、他の草本が食害を受ける中でも残存している種です。
関連ページ 関西の花・ヒオウギ

Fig.5 クロバナヒキオコシ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
但馬地方では林縁でも草原でも農地の土手でもよく見かける種です。
どちらかというと秋の花ですが、開花の走りが出ていました。
関連ページ 関西の花・クロバナヒキオコシ

Fig.6 オオアブラススキ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
オオアブラススキはススキに先立って出穂します。
8月中旬にこのススキ草原に来たのは初めてで、オオアブラススキがこれほど多いとは思いませんでした。9月に入ってススキが出穂すると、それほど目立たなくなります。
関連ページ 関西の花・オオアブラススキ

Fig.7 ススキ原の表層に見られる黒ボク土 (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
黒ボク土は野焼きや焼畑農耕が行われた痕跡で、火山灰や褐色森林土に微粒炭が混じったものです。
世界的には稀な土壌で、日本とニュージーランドに分布し、ニュージーランドのものは移住してきたマオリ族の焼畑農耕に由来することが分かっています。
日本では多くの場所で約1万年前の縄文時代から堆積が始まっており、静岡県の愛鷹山山麓では火山灰層をはさみながら、約4万年前の旧石器時代の地層にも確認されています。

Fig.8 コオニユリ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
兵庫県南部では少ないコオニユリですが、北部では高原の草原や海崖の風衡草地でよく見られます。
オニユリと違ってムカゴを作らず、捻性があって、種子で繁殖します。
関連ページ 関西の花・コオニユリ

Fig.9 キセワタ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
最初はメハジキかと思いましたが、よく見るとキセワタでここで出会えるとは思ってもいませんでした。草原環境の減少とともに、急激に見られなくなった種で、ほとんどの都道府県で絶滅危惧種に指定されています。兵庫県版RDBでもBランクとなっており、6年振りに出会いました。

Fig.10 クサボタン (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
兵庫県では北部高原地帯の草原や林縁に生育する種で、ススキ草原の縁などに点在しています。
シカの忌避植物で群生するとそれなりに美しいのですが、兵庫県ではそのような場所はありません。

Fig.11 ムカゴソウ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
非常に地味な草本ですが、草原環境に依存しており、全国的に急激に減少している種です。
満鮮要素と呼ばれる大陸内部起源の草本で、兵庫県では野焼きが行われるススキ草原や、ハゲ山地帯に残存しています。このススキ草原では野焼きが行われるため、ススキ草原内で点在しています。
関連ページ 関西の花・ムカゴソウ

Fig.12 オオナンバンギセル (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
低地ではナンバンギセルをよく見かけますが、高原のススキ草原ではより大型のオオナンバンギセルが見られます。ここではオオナンバンギセルは野焼きの行われない場所で見られましたが、他の場所ではどうなのでしょうか?

Fig.13 クロルリトゲハムシ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
かつてはクロルリトゲトゲと呼称されていたススキを食草とするユニークなハムシです。
高原地帯のススキ草原に生育し、葉表の表皮細胞を線状に食していき、画像でもその様子が見られます。新称のトゲハムシよりもトゲトゲのほうがユニークでインパクトがあって好きなのですがねえ。

Fig.14 ミヤマチャバネセセリ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
草原環境の減少により低地ではほとんど見られなくなっている種ですが、ここでは健在でした。
この日は同様に減少しているギンイチモンジセセリも見られましたが、残念ながら撮影する隙を与えてくれませんでした。

Fig.15 ダイミョウセセリ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
低地でも見かけるヤマノイモ科ヤマノイモ属を食草とする蝶で、ここでは沢山飛び交っていました。

Fig.16 ヤマキマダラヒカゲ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
里山に見られるサトキマダラヒカゲに対して、山地寄りに生育するのでヤマキマダラヒカゲ。
両種は後翅の斑紋や眼状紋で区別し、なかなか微妙ですが、これはヤマキマダラヒカゲで間違いないでしょう。ここではヒメキマダラヒカゲ、ヒカゲチョウ、ジャノメチョウなどと混生していました。
まだ兵庫県内でキマダラモドキやオオヒカゲは見たことがありません。

Fig.17 ヤマクダマキモドキ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
里山では樹上でサトクダマキモドキを見かけますが、ここではササ原でヤマクダマキモドキと出会いました。ヤマクダマキモドキは前脚や中脚が褐色を帯びるのが特徴です。

Fig.18 シナノキの大木の着生シダ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
炎天下の中、ススキ草原の外れにはシナノキの大木が心地よい日陰を作っていてくれました。
樹幹にはオシャグジデンダとミヤマノキシノブが着生していました。
木陰は適湿な環境になっていて、ハコネシケチシダ、トガリバイヌワラビ、フタリシズカ、モミジガサが目立っていました。
関連ページ 関西の花/シダ・オシャグジデンダ
関連ページ 関西の花/シダ・ミヤマノキシノブ

Fig.19 カリガネソウ (兵庫県但馬地方 2016.8/16)
温帯林の林床でカリガネソウが開花し始めていました。
とてもユニークな花で、しばしば見るのですが、詰めが甘くてまだページが作れていません。

Fig.20 マルバノホロシ (兵庫県篠山市 2016.8/24)
丹波地方では林床でマルバノホロシとヤマホロシを見ますが、マルバノホロシのほうがふつうに見られます。マルバノホロシは下方の葉でも裂葉とならず、葉面には突起はあるが毛はなく、花冠基部は緑色となります。

Fig.21 キツネノカミソリ (兵庫県篠山市 2016.8/24)
8月初め頃から開花が始まりますが、個体によって開花期にギャップがあり、8月下旬まで花が見られます。8月下旬、この自生地では熟しつつある蒴果も観察できました。
本種についても詰めが甘くて、未だにページが立ち上げられません。

Fig.22 アオマツムシ (兵庫県播磨地方 2016.8/25)
播磨地方の溜池を廻る途上、ヒメクラマゴケ観察のためにとある社寺に立ち寄ったところ、駐車場のフェンスに絡まるカエデドコロの葉上でアオマツムシを見つけました。
アオマツムシは明治時代に中国大陸から帰化した外来種と言われており、街路樹で大きな音でやかましく鳴きます。鳴き声にマツムシのような奥ゆかしさと風情はありません。見つけて捕獲しても、室内で飼育することはお勧めできません。

Fig.23 マツムシソウ (兵庫県神戸市 2016.8/30)
この日は毎年恒例となった神戸市主催の草原性植物観察会のガイドをさせて頂きました。
天候が良好で、ハイライトは兵庫県ではごく稀少となったマツムシソウの観察。
この花を見ると霧が峰や美ヶ原の広大な草原を彷徨したことを思い出します。

Fig.24 ツルフジバカマ (兵庫県神戸市 2016.8/30)
観察会終了後、県内唯一のツルフジバカマの自生地へと移動。
これまで何度か訪れていますが、生育範囲は少しずつ広がっているように思います。
草深い場所ですが、ツルフジバカマは周囲の草本を足場として利用して広がっていました。

Fig.25 オオホソバシケシダ? (兵庫県神戸市 2016.8/30)
帰途、雑種の疑いのある怪しげなホソバシケシダが生育する場所に立ち寄りました。
ふつうのホソバシケシダであれば胞子嚢が充実している時期です。
斜上している胞子葉を持ち帰りソーラスを調べてみました。

Fig.26 オオホソバシケシダのソーラス (兵庫県神戸市 2016.8/30)
胞子嚢は空だったり、小さく萎縮していたり、平板であったりして正常な胞子は形成されていませんでした。包膜は全縁ではなく、縁が細裂しています。ホソバシケシダとシケシダの種間雑種であるオオホソバシケシダと結論付けることができそうです。
スポンサーサイト
category: 8月の花
8月中旬の花など
2015/09/05 Sat. 23:22 [edit]
多忙にかまけ、8月分がなかなか更新できないまま、とうとう9月になってしまいました。8月中旬以降のものを2回に分けて駆け足で掲載します。
*画像クリックで、別ウィンドで表示されます。
FC2ブログの仕様が変わったのか、リンク先で大きな画像が表示されなくなってしまいました。
大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。

Fig.1 シデシャジン (兵庫県丹波地方 2015.8/12)
林縁でネザサとせめぎ合いをしている集団ですが、今年も健在でした。
大きな個体はすでに開花がほぼ終わっていましたが、小型の個体はまだ開花していました。
関連ページ 関西の花・シデシャジン

Fig.2 ナルコビエ (兵庫県丹波地方 2015.8/12)
最近あまり見かけなくなったナルコビエもまだ健在でした。
1個体ですが広がって大株になっています。
関連ページ 関西の花・ナルコビエ

Fig.3 オモダカ (兵庫県丹波地方 2015.8/12)
水田の休耕部に生育しており、丹波地方ではこのような狭葉品が多く見られます。
関連ページ 湿生植物・オモダカ

Fig.4 ミズオオバコと狭葉品オモダカ (兵庫県丹波地方 2015.8/12)
丹波地方では水田に生育するミズオオバコもかなり大型となり径40cmを越えるものもあります。
関連ページ 沈水植物・ミズオオバコ

Fig.5 展葉しはじめたオオハナワラビ (兵庫県丹波地方 2015.8/12)
兵庫県ではモトマチハナワラビに続いて展葉します。
関連ページ 関西の花・オオハナワラビ

Fig.6 吸水するミヤマカラスアゲハ (兵庫県丹波地方 2015.8/12)
谷沿いの林道を歩いていくと水の染み出ている場所で沢山のミヤマカラスアゲハの♂が吸水していました。カラスアゲハよりも銀青緑色の部分が多く、非常にきれいです。

Fig.7 タツノヒゲ (兵庫県丹波地方 2015.8/12)
以前から探していた繊細なイネ科植物で、ようやく出会えたのですが、手前の溝状に割れた場所からキイロスズメバチが頻繁に出入りしており、近づくことができませんでした。
割れ目の中に巣があるようです。どうりでシカにも食われずに残っているわけです。

Fig.8 シカの食害の様子 (兵庫県丹波地方 2015.8/12)
ちなみに、この谷のシカの食害の様子です。
ネザサは食い尽くされ、周囲にはダンドボロギク、マツカゼソウ、イワヒメワラビ、コバノイシカグマ、クリンソウくらいしか残っていません。

Fig.9 ヒロハヤブソテツ (兵庫県丹波地方 2015.8/12)
同じ谷ですが、足場の悪い岩場に着いているため、まだ食害を受けていません。

Fig.10 イケマの花に集まったアリ (兵庫県丹波地方 2015.8/12)
この手のガガイモ科の花にはアリがよく集まっていますが、受粉には役立っているのでしょうか?
他にはルリマルノミハムシが見られた程度で、大きな昆虫類は見られませんでした。

Fig.11 イカリモンガ (兵庫県丹波地方 2015.8/12)
昼間によく飛んでいるのを見かける蛾です。イケマの葉上で休んでいました。
食草はイノデ類とのことで、シダ類を食草とする数少ない鱗翅類です。

Fig.12 ヒキヨモギ (兵庫県播磨地方 2015.8/13)
観察会の下見に行ったところ、溜池の土堤に沢山のヒキヨモギが生育していました。
周辺にはカナビキソウ、ママコナ、オオヒキヨモギといった半寄生植物も見られました。
貧栄養地には、このような半寄生植物や食虫植物が多いのも特徴でしょう。
関連ページ 関西の花・ヒキヨモギ

Fig.13 ヒキヨモギの花 (兵庫県播磨地方 2015.8/13)
オオヒキヨモギに較べて明るい黄色で、屋外ではより目立ちます。
生育場所もより明るく日当たり良い草地を好みます。

Fig.14 コガンピ (兵庫県播磨地方 2015.8/13)
別の溜池土堤ではコガンピが群生し、開花全盛となっていました。
この堤体ではキキョウやマネキシンジュガヤなどが見られました。
関連ページ 関西の花・コガンピ

Fig.15 メハジキ (兵庫県播磨地方 2015.8/13)
オオオナモミやワルナスビ、セイタカアワダチソウ、カナムグラなどが生える荒地状の旧畑作地に点在しています。時々撹乱のあるような荒地でよく見かける草本です。
関連ページ 関西の花・メハジキ

Fig.16 ケショウアザミ (兵庫県播磨地方 2015.8/13)
ユウスゲやアイナエなどが見られる溜池土堤で、淡く桃色を帯びたケショウアザミが生育していました。シロバナケショウアザミは時々見かけますが、このようなものは初めて見ました。
関連ページ 関西の花・ノアザミ/ケショウアザミ

Fig.17 ミヤマノキシノブ (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
定点調査地の湿地のカヤツリグサ科草本の調査のため、但馬地方に出掛けました。
ブナの大木や倒木、立ち枯れなどにはミヤマノキシノブがよく見られます。

Fig.18 ヤシャビシャクの未熟な果実 (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
大きな倒木に着いていたもので、間近で見ることができてラッキーでした。
果実は紅葉の頃に熟すとのことです。

Fig.19 ヒメキマダラヒカゲ (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
キマダラヒカゲの仲間で、西日本では高標高地に現れる種です。
コンデジで撮影しましたが、画質がもう一つです。

Fig.20 ゴイシシジミ (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
久しぶりに見ました。白黒の装いと、足先の黒点がキュートなシジミチョウです。
幼虫は昆虫食で、タケツノアブラムシ(ワタアブラムシ)を餌とします。
局所的に棲息し、数を減らしつつある種ですが、棲息地では複数の個体が見られることが多く、ここでも3頭ほど見られました。

Fig.21 コエゾゼミ (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
周囲の木々で沢山鳴いていましたが、すぐ近くの葉上で鳴いている個体がいたので、杖で葉を叩くと地表に落ちてきました。
拍手すると落ちてくると言われていますが、驚かすと飛ばずに落ちてくるのでしょうか?
画像は落下したものを近くの樹に止まらせて撮った、いわゆるヤラセ画像です。

Fig.22 アキアカネ (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
稜線上や山頂部には夥しい数の避暑中のアキアカネがいました。
まだ成熟していないので、それほど赤味が強くありません。

Fig.23 ミヤマイヌノハナヒゲ (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
近畿地方では但馬の高所のみで見られる種で、外見上はコイヌノハナヒゲとほとんど区別できません。
種を特定するには、小穂をほぐして、鱗片と痩果の観察が不可欠です。

Fig.24 ミヤマイヌノハナヒゲの痩果と刺針状花披片(右拡大) (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
刺針状花披片は痩果よりも長く、下向きの小刺があってざらつきます。
他に鱗片に短い芒がある点も区別する上でのキーとなります。

Fig.25 アカモノの果実 (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
前回は開花していましたが、今回はすでに結実が見られました。
ツマトリソウやマイヅルソウは結実が見られず、根茎で栄養繁殖しているようです。
ここでの課題はアブラガヤ類の解決でしたが、アブラガヤとアイバソウの両種が生育していました。

Fig.26 ミヤマタニタデ (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
但馬地方の高所の登山道脇の湿った場所や沢沿いによく見られるアカバナ科の草本です。
タニタデやミズタマソウのように果実にはかぎ状の刺毛があります。

Fig.27 コイチヨウラン (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
ミヤマタニタデを撮影している横で、同行のSさんが見つけたものです。
低木林の切れた斜面で十数個体が生育していました。小型のランで、引いた画像では特徴がハッキリしません。

Fig.28 コイチヨウランの花と葉 (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
花は淡黄緑色で半開し、径8mmほど。唇弁は黄色で縁近くはやや朱を帯びていました。
葉は2cmほどの小さなもので1枚だけあって、葉脈はやや紫色を帯び、イチヨウランのような厚味はありません。

Fig.29 イブキヌカボ (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
沢にかかる滝の落ち口の斜面に生育しているもので、画像の角度がちょっと変な感じになってしまいました。最初はタツノヒゲかと思いましたが、小穂の枝の分枝の角度が狭く、詳細を調べたところイブキヌカボと判りました。

Fig.30 ミヤマワラビ (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
林道沿いの小さな沢が流れ落ちる岩場に、わずかに生育している集団が健在でした。
兵庫県では高所に稀に見られるシダです。
関連ページ 関西の花・ミヤマワラビ

Fig.31 林道脇の草本 (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
高原の湿地へと移動中、林道脇のちょっとした岩場で夏の山の草本が開花していて賑やかでした。
多数のフシグロセンノウに混じって、カワミドリ、ソバナ、タニタデ、フジカンゾウなどが開花していました。

Fig.32 カリガネソウ (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
カリガネソウもこの時期の花で、開花全盛でした。

Fig.33 オオミズアオ (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
湿地の入り口近くで新鮮な個体が静止していました。
オオミズアオによく似たものにオナガミズアオがありますが、近頃はほとんど見かけません。

Fig.34 ミズオトギリ (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
湿地に到着したのは夕方頃だったので、ちょうど開花しているミズオトギリが見れました。
まだ開花し始めのものが多かったです。
関連ページ 湿生植物・ミズオトギリ

Fig.35 ヒメカンガレイ (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
ヒメカンガレイはようやく小花が開花しはじめている時期で、まだ結実はみられませんでした。
やはり、今年も有花茎が4稜っぽいものや、非常に細いものが見られました。
関連ページ 湿生植物・ヒメカンガレイ

Fig.36 エゾシロネ (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
ずっと開花期を逃していましたが、やっと花を見ることができました。

Fig.37 エゾシロネの花と果実 (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
花はヒメシロネに較べると小さくて目立たず、萼は短いため、4個集まった分果の先が平らに見えます。
*画像クリックで、別ウィンドで表示されます。
FC2ブログの仕様が変わったのか、リンク先で大きな画像が表示されなくなってしまいました。
大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。

Fig.1 シデシャジン (兵庫県丹波地方 2015.8/12)
林縁でネザサとせめぎ合いをしている集団ですが、今年も健在でした。
大きな個体はすでに開花がほぼ終わっていましたが、小型の個体はまだ開花していました。
関連ページ 関西の花・シデシャジン

Fig.2 ナルコビエ (兵庫県丹波地方 2015.8/12)
最近あまり見かけなくなったナルコビエもまだ健在でした。
1個体ですが広がって大株になっています。
関連ページ 関西の花・ナルコビエ

Fig.3 オモダカ (兵庫県丹波地方 2015.8/12)
水田の休耕部に生育しており、丹波地方ではこのような狭葉品が多く見られます。
関連ページ 湿生植物・オモダカ

Fig.4 ミズオオバコと狭葉品オモダカ (兵庫県丹波地方 2015.8/12)
丹波地方では水田に生育するミズオオバコもかなり大型となり径40cmを越えるものもあります。
関連ページ 沈水植物・ミズオオバコ

Fig.5 展葉しはじめたオオハナワラビ (兵庫県丹波地方 2015.8/12)
兵庫県ではモトマチハナワラビに続いて展葉します。
関連ページ 関西の花・オオハナワラビ

Fig.6 吸水するミヤマカラスアゲハ (兵庫県丹波地方 2015.8/12)
谷沿いの林道を歩いていくと水の染み出ている場所で沢山のミヤマカラスアゲハの♂が吸水していました。カラスアゲハよりも銀青緑色の部分が多く、非常にきれいです。

Fig.7 タツノヒゲ (兵庫県丹波地方 2015.8/12)
以前から探していた繊細なイネ科植物で、ようやく出会えたのですが、手前の溝状に割れた場所からキイロスズメバチが頻繁に出入りしており、近づくことができませんでした。
割れ目の中に巣があるようです。どうりでシカにも食われずに残っているわけです。

Fig.8 シカの食害の様子 (兵庫県丹波地方 2015.8/12)
ちなみに、この谷のシカの食害の様子です。
ネザサは食い尽くされ、周囲にはダンドボロギク、マツカゼソウ、イワヒメワラビ、コバノイシカグマ、クリンソウくらいしか残っていません。

Fig.9 ヒロハヤブソテツ (兵庫県丹波地方 2015.8/12)
同じ谷ですが、足場の悪い岩場に着いているため、まだ食害を受けていません。

Fig.10 イケマの花に集まったアリ (兵庫県丹波地方 2015.8/12)
この手のガガイモ科の花にはアリがよく集まっていますが、受粉には役立っているのでしょうか?
他にはルリマルノミハムシが見られた程度で、大きな昆虫類は見られませんでした。

Fig.11 イカリモンガ (兵庫県丹波地方 2015.8/12)
昼間によく飛んでいるのを見かける蛾です。イケマの葉上で休んでいました。
食草はイノデ類とのことで、シダ類を食草とする数少ない鱗翅類です。

Fig.12 ヒキヨモギ (兵庫県播磨地方 2015.8/13)
観察会の下見に行ったところ、溜池の土堤に沢山のヒキヨモギが生育していました。
周辺にはカナビキソウ、ママコナ、オオヒキヨモギといった半寄生植物も見られました。
貧栄養地には、このような半寄生植物や食虫植物が多いのも特徴でしょう。
関連ページ 関西の花・ヒキヨモギ

Fig.13 ヒキヨモギの花 (兵庫県播磨地方 2015.8/13)
オオヒキヨモギに較べて明るい黄色で、屋外ではより目立ちます。
生育場所もより明るく日当たり良い草地を好みます。

Fig.14 コガンピ (兵庫県播磨地方 2015.8/13)
別の溜池土堤ではコガンピが群生し、開花全盛となっていました。
この堤体ではキキョウやマネキシンジュガヤなどが見られました。
関連ページ 関西の花・コガンピ

Fig.15 メハジキ (兵庫県播磨地方 2015.8/13)
オオオナモミやワルナスビ、セイタカアワダチソウ、カナムグラなどが生える荒地状の旧畑作地に点在しています。時々撹乱のあるような荒地でよく見かける草本です。
関連ページ 関西の花・メハジキ

Fig.16 ケショウアザミ (兵庫県播磨地方 2015.8/13)
ユウスゲやアイナエなどが見られる溜池土堤で、淡く桃色を帯びたケショウアザミが生育していました。シロバナケショウアザミは時々見かけますが、このようなものは初めて見ました。
関連ページ 関西の花・ノアザミ/ケショウアザミ

Fig.17 ミヤマノキシノブ (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
定点調査地の湿地のカヤツリグサ科草本の調査のため、但馬地方に出掛けました。
ブナの大木や倒木、立ち枯れなどにはミヤマノキシノブがよく見られます。

Fig.18 ヤシャビシャクの未熟な果実 (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
大きな倒木に着いていたもので、間近で見ることができてラッキーでした。
果実は紅葉の頃に熟すとのことです。

Fig.19 ヒメキマダラヒカゲ (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
キマダラヒカゲの仲間で、西日本では高標高地に現れる種です。
コンデジで撮影しましたが、画質がもう一つです。

Fig.20 ゴイシシジミ (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
久しぶりに見ました。白黒の装いと、足先の黒点がキュートなシジミチョウです。
幼虫は昆虫食で、タケツノアブラムシ(ワタアブラムシ)を餌とします。
局所的に棲息し、数を減らしつつある種ですが、棲息地では複数の個体が見られることが多く、ここでも3頭ほど見られました。

Fig.21 コエゾゼミ (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
周囲の木々で沢山鳴いていましたが、すぐ近くの葉上で鳴いている個体がいたので、杖で葉を叩くと地表に落ちてきました。
拍手すると落ちてくると言われていますが、驚かすと飛ばずに落ちてくるのでしょうか?
画像は落下したものを近くの樹に止まらせて撮った、いわゆるヤラセ画像です。

Fig.22 アキアカネ (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
稜線上や山頂部には夥しい数の避暑中のアキアカネがいました。
まだ成熟していないので、それほど赤味が強くありません。

Fig.23 ミヤマイヌノハナヒゲ (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
近畿地方では但馬の高所のみで見られる種で、外見上はコイヌノハナヒゲとほとんど区別できません。
種を特定するには、小穂をほぐして、鱗片と痩果の観察が不可欠です。

Fig.24 ミヤマイヌノハナヒゲの痩果と刺針状花披片(右拡大) (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
刺針状花披片は痩果よりも長く、下向きの小刺があってざらつきます。
他に鱗片に短い芒がある点も区別する上でのキーとなります。

Fig.25 アカモノの果実 (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
前回は開花していましたが、今回はすでに結実が見られました。
ツマトリソウやマイヅルソウは結実が見られず、根茎で栄養繁殖しているようです。
ここでの課題はアブラガヤ類の解決でしたが、アブラガヤとアイバソウの両種が生育していました。

Fig.26 ミヤマタニタデ (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
但馬地方の高所の登山道脇の湿った場所や沢沿いによく見られるアカバナ科の草本です。
タニタデやミズタマソウのように果実にはかぎ状の刺毛があります。

Fig.27 コイチヨウラン (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
ミヤマタニタデを撮影している横で、同行のSさんが見つけたものです。
低木林の切れた斜面で十数個体が生育していました。小型のランで、引いた画像では特徴がハッキリしません。

Fig.28 コイチヨウランの花と葉 (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
花は淡黄緑色で半開し、径8mmほど。唇弁は黄色で縁近くはやや朱を帯びていました。
葉は2cmほどの小さなもので1枚だけあって、葉脈はやや紫色を帯び、イチヨウランのような厚味はありません。

Fig.29 イブキヌカボ (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
沢にかかる滝の落ち口の斜面に生育しているもので、画像の角度がちょっと変な感じになってしまいました。最初はタツノヒゲかと思いましたが、小穂の枝の分枝の角度が狭く、詳細を調べたところイブキヌカボと判りました。

Fig.30 ミヤマワラビ (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
林道沿いの小さな沢が流れ落ちる岩場に、わずかに生育している集団が健在でした。
兵庫県では高所に稀に見られるシダです。
関連ページ 関西の花・ミヤマワラビ

Fig.31 林道脇の草本 (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
高原の湿地へと移動中、林道脇のちょっとした岩場で夏の山の草本が開花していて賑やかでした。
多数のフシグロセンノウに混じって、カワミドリ、ソバナ、タニタデ、フジカンゾウなどが開花していました。

Fig.32 カリガネソウ (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
カリガネソウもこの時期の花で、開花全盛でした。

Fig.33 オオミズアオ (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
湿地の入り口近くで新鮮な個体が静止していました。
オオミズアオによく似たものにオナガミズアオがありますが、近頃はほとんど見かけません。

Fig.34 ミズオトギリ (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
湿地に到着したのは夕方頃だったので、ちょうど開花しているミズオトギリが見れました。
まだ開花し始めのものが多かったです。
関連ページ 湿生植物・ミズオトギリ

Fig.35 ヒメカンガレイ (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
ヒメカンガレイはようやく小花が開花しはじめている時期で、まだ結実はみられませんでした。
やはり、今年も有花茎が4稜っぽいものや、非常に細いものが見られました。
関連ページ 湿生植物・ヒメカンガレイ

Fig.36 エゾシロネ (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
ずっと開花期を逃していましたが、やっと花を見ることができました。

Fig.37 エゾシロネの花と果実 (兵庫県但馬地方 2015.8/16)
花はヒメシロネに較べると小さくて目立たず、萼は短いため、4個集まった分果の先が平らに見えます。
category: 8月の花
8月のフィールドで 8月上旬の但馬地方
2015/08/11 Tue. 14:30 [edit]
山地では夏の花の開花ラッシュが始まりました。撮影画像も多いので、8月は数回に分けて掲載します。
*画像クリックで、別ウィンドで表示されます。
FC2ブログの仕様が変わったのか、リンク先で大きな画像が表示されなくなってしまいました。
大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。

Fig.1 イワタバコ (但馬地方 2015.8/2)
この時期はちょっとした谷に入ると、どこでも紅紫色の花を沢山つけたイワタバコが見られます。

Fig.2 クサアジサイ (但馬地方 2015.8/2)
ヤマアジサイの開花が終わるとクサアジサイの開花最盛期となります。
イワタバコ同様、この時期の各所の谷間を飾る花です。

Fig.3 ホクリクイヌワラビ (但馬地方 2015.8/2)
ウラボシノコギリシダかと思っていましたが、ひとはくの鈴木さんによるとこの谷のものは全てホクリクイヌワラビとのことです。
ノコギリシダとウラボシノコギリシダの雑種で、丸いソーラスと線形のソーラスが混じりますが、まだ時期的に早いようで葉裏にはソーラスが見られませんでした。

Fig.4 オオヒメワラビモドキ (但馬地方 2015.8/2)
光田先生によると、オオヒメワラビモドキとオオヒメワラビの中間的なタイプのものとのことです。
シダはやはり一筋縄ではいきません。典型的なものを見つけて比較してみたいです。

Fig.5 ウスヒメワラビ (但馬地方 2015.8/2)
繊細で涼しげな姿が好ましい夏緑性シダです。
ヤマソテツ、イワハリガネワラビ、オオフジシダとともに谷筋の急傾斜地に生育していました。

Fig.6 アズマヒキガエル (但馬地方 2015.8/2)
谷筋の岩上でまるで置物のように鎮座していました。
鼻先1cmほどまで手を近づけてもピクリともしません。

Fig.7 ヒダサンショウウオの幼生 (但馬地方 2015.8/2)
別の谷では外鰓を持ったヒダサンショウウオの幼生が沢山見られました。
この地域にはハコネサンショウウオも分布するようですが、指先に爪はないのでヒダサンショウウオのはずです。

Fig.8 タイミンガサ (但馬地方 2015.8/2)
大きな葉がよく目立つキク科の大型草本。オオモミジガサとともに群生していました。
両種ともに、ここではシカの食害が見られます。
同じ山域に稀にあるニシノヤマタイミンガサはシカの忌避植物のようです。

Fig.9 タイミンガサの花 (但馬地方 2015.8/2)
草体は大きいですが、頭花は筒状で非常に地味なものです。

Fig.10 ヒナノウスツボ (但馬地方 2015.8/2)
この時期の湿った谷間で点々と開花しているのを見かけます。
小さな壷型の花がユニークです。

Fig.11 タニタデ (但馬地方 2015.8/2)
タデとつきますが、アカバナ科です。
同じ属のミズタマソウよりも繊細で、山地の谷筋でよく見かけます。

Fig.12 ウスゲミヤマシケシダ (但馬地方 2015.8/2)
葉はやや2型性で、胞子葉の柄は長く、基部は粘液に覆われて粘ります。
同じ谷には近縁のハクモウイノデも見られ、ときに隣りあって生育していますが、雑種は作らないのでしょうか?

Fig.13 ギンバイソウ (但馬地方 2015.8/2)
ギンバイソウも花盛りで、各所で開花しているものが見られました。
画像のように紅色を帯びたものから白花まで見られます。
この個体にはヨツスジハナカミキリが訪花中でした。

Fig.14 イケマ (但馬地方 2015.8/2)
イケマはアイヌ語からそのまま名づけられた数少ない植物のひとつ。
イ=それ+ケマ=足で、「それ」とはカムイを表すとされ、薬草とされたほか、病魔や悪夢を祓う儀式にも使用されました。非常に霊力の高い神聖なものとされていたようです。

Fig.15 フシグロセンノウ (但馬地方 2015.8/2)
県南部の低地でフシグロが咲く頃、県中部以北の山地ではフシグロセンノウが咲いています。
小さな花を咲かせるフシグロと違って、遠くからでもよく目立ちます。

Fig.16 ソバナ (但馬地方 2015.8/2)
岨菜という名のとおり、林道脇の崖地にぶら下がるように咲いていました。

Fig.17 ヒメノガリヤス (但馬地方 2015.8/2)
林道脇の崖地ではあちこちでヒメノガリヤスの涼しげな姿が見られました。
関連ページ 関西の花/イネ科・ヒメノガリヤス

Fig.18 ノリウツギを訪花したニンフホソハナカミキリ (但馬地方 2015.8/2)
よく目立つノリウツギの花には沢山の訪花昆虫が集まります。
他にはチャイロヒメハナカミキリが訪花していました。

Fig.19 モミジハグマ (但馬地方 2015.8/2)
葉が激しい食害を受けている個体が、存続の危機感(?)から、いち早く開花していました。
頭花は3個の小花からなり、捩れた裂片が特徴的です。葉の切れ込みの浅いものにオクモミジハグマがあります。

Fig.20 オオヤマサギソウ (但馬地方 2015.8/2)
林縁の草地に開花個体が見られました。
ツレサギソウ属はなかなか同定の難しいものですが、茎下部に光沢のある大きな葉が2枚やや接近してつき、その上に2~7枚の小さな葉が離れてつき、唇弁が後方に反る点が本種のポイントになります。

Fig.21 コオニユリ (但馬地方 2015.8/2)
県南部から中部では岩稜上で見かける機会が多いですが、ここでは湿地周縁部の日当たり良い草地で開花し始めていました。
関連ページ 関西の花・コオニユリ

Fig.22 キツリフネ (但馬地方 2015.8/2)
このあたりでは半日陰の細流脇などでツリフネソウとともによく見かける花です。

Fig.23 ヒロハノコウガイゼキショウ (但馬地方 2015.8/2)
高原地帯にある小さな休耕田の畦に生育していました。
かつてはマルバノサワトウガラシが見られた水田でしたが、その姿は見られず、ヒロハイヌノヒゲ、コナギ、タウコギ、イチョウウキゴケなどが生育していました。
関連ページ 湿生植物・ヒロハノコウガイゼキショウ

Fig.24 エゾアブラガヤ (但馬地方 2015.8/2)
県南部ではやや稀なエゾアブラガヤですが、県北の高原地帯では比較的ふつうに見られます。
関連ページ 湿生植物・エゾアブラガヤ

Fig.25 ミツモトソウ (但馬地方 2015.8/2)
兵庫県ではやや高所の湿地や流れの脇に生育しています。
ここでは林道脇の上記エゾアブラガヤ、オタカラコウなどが生育する小湿地で見られました。

Fig.26 バライチゴの果実 (但馬地方 2015.8/2)
高原地帯の農地の土手でバライチゴが結実していました。味はとてもあっさりしています。
山地で見られるイチゴで、県南部では六甲山で見られます。

Fig.27 キツネノカミソリ (但馬地方 2015.8/2)
草刈りの行き届いた道端の土手ではキツネノカミソリがちょうど満開でした。
*画像クリックで、別ウィンドで表示されます。
FC2ブログの仕様が変わったのか、リンク先で大きな画像が表示されなくなってしまいました。
大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。

Fig.1 イワタバコ (但馬地方 2015.8/2)
この時期はちょっとした谷に入ると、どこでも紅紫色の花を沢山つけたイワタバコが見られます。

Fig.2 クサアジサイ (但馬地方 2015.8/2)
ヤマアジサイの開花が終わるとクサアジサイの開花最盛期となります。
イワタバコ同様、この時期の各所の谷間を飾る花です。

Fig.3 ホクリクイヌワラビ (但馬地方 2015.8/2)
ウラボシノコギリシダかと思っていましたが、ひとはくの鈴木さんによるとこの谷のものは全てホクリクイヌワラビとのことです。
ノコギリシダとウラボシノコギリシダの雑種で、丸いソーラスと線形のソーラスが混じりますが、まだ時期的に早いようで葉裏にはソーラスが見られませんでした。

Fig.4 オオヒメワラビモドキ (但馬地方 2015.8/2)
光田先生によると、オオヒメワラビモドキとオオヒメワラビの中間的なタイプのものとのことです。
シダはやはり一筋縄ではいきません。典型的なものを見つけて比較してみたいです。

Fig.5 ウスヒメワラビ (但馬地方 2015.8/2)
繊細で涼しげな姿が好ましい夏緑性シダです。
ヤマソテツ、イワハリガネワラビ、オオフジシダとともに谷筋の急傾斜地に生育していました。

Fig.6 アズマヒキガエル (但馬地方 2015.8/2)
谷筋の岩上でまるで置物のように鎮座していました。
鼻先1cmほどまで手を近づけてもピクリともしません。

Fig.7 ヒダサンショウウオの幼生 (但馬地方 2015.8/2)
別の谷では外鰓を持ったヒダサンショウウオの幼生が沢山見られました。
この地域にはハコネサンショウウオも分布するようですが、指先に爪はないのでヒダサンショウウオのはずです。

Fig.8 タイミンガサ (但馬地方 2015.8/2)
大きな葉がよく目立つキク科の大型草本。オオモミジガサとともに群生していました。
両種ともに、ここではシカの食害が見られます。
同じ山域に稀にあるニシノヤマタイミンガサはシカの忌避植物のようです。

Fig.9 タイミンガサの花 (但馬地方 2015.8/2)
草体は大きいですが、頭花は筒状で非常に地味なものです。

Fig.10 ヒナノウスツボ (但馬地方 2015.8/2)
この時期の湿った谷間で点々と開花しているのを見かけます。
小さな壷型の花がユニークです。

Fig.11 タニタデ (但馬地方 2015.8/2)
タデとつきますが、アカバナ科です。
同じ属のミズタマソウよりも繊細で、山地の谷筋でよく見かけます。

Fig.12 ウスゲミヤマシケシダ (但馬地方 2015.8/2)
葉はやや2型性で、胞子葉の柄は長く、基部は粘液に覆われて粘ります。
同じ谷には近縁のハクモウイノデも見られ、ときに隣りあって生育していますが、雑種は作らないのでしょうか?

Fig.13 ギンバイソウ (但馬地方 2015.8/2)
ギンバイソウも花盛りで、各所で開花しているものが見られました。
画像のように紅色を帯びたものから白花まで見られます。
この個体にはヨツスジハナカミキリが訪花中でした。

Fig.14 イケマ (但馬地方 2015.8/2)
イケマはアイヌ語からそのまま名づけられた数少ない植物のひとつ。
イ=それ+ケマ=足で、「それ」とはカムイを表すとされ、薬草とされたほか、病魔や悪夢を祓う儀式にも使用されました。非常に霊力の高い神聖なものとされていたようです。

Fig.15 フシグロセンノウ (但馬地方 2015.8/2)
県南部の低地でフシグロが咲く頃、県中部以北の山地ではフシグロセンノウが咲いています。
小さな花を咲かせるフシグロと違って、遠くからでもよく目立ちます。

Fig.16 ソバナ (但馬地方 2015.8/2)
岨菜という名のとおり、林道脇の崖地にぶら下がるように咲いていました。

Fig.17 ヒメノガリヤス (但馬地方 2015.8/2)
林道脇の崖地ではあちこちでヒメノガリヤスの涼しげな姿が見られました。
関連ページ 関西の花/イネ科・ヒメノガリヤス

Fig.18 ノリウツギを訪花したニンフホソハナカミキリ (但馬地方 2015.8/2)
よく目立つノリウツギの花には沢山の訪花昆虫が集まります。
他にはチャイロヒメハナカミキリが訪花していました。

Fig.19 モミジハグマ (但馬地方 2015.8/2)
葉が激しい食害を受けている個体が、存続の危機感(?)から、いち早く開花していました。
頭花は3個の小花からなり、捩れた裂片が特徴的です。葉の切れ込みの浅いものにオクモミジハグマがあります。

Fig.20 オオヤマサギソウ (但馬地方 2015.8/2)
林縁の草地に開花個体が見られました。
ツレサギソウ属はなかなか同定の難しいものですが、茎下部に光沢のある大きな葉が2枚やや接近してつき、その上に2~7枚の小さな葉が離れてつき、唇弁が後方に反る点が本種のポイントになります。

Fig.21 コオニユリ (但馬地方 2015.8/2)
県南部から中部では岩稜上で見かける機会が多いですが、ここでは湿地周縁部の日当たり良い草地で開花し始めていました。
関連ページ 関西の花・コオニユリ

Fig.22 キツリフネ (但馬地方 2015.8/2)
このあたりでは半日陰の細流脇などでツリフネソウとともによく見かける花です。

Fig.23 ヒロハノコウガイゼキショウ (但馬地方 2015.8/2)
高原地帯にある小さな休耕田の畦に生育していました。
かつてはマルバノサワトウガラシが見られた水田でしたが、その姿は見られず、ヒロハイヌノヒゲ、コナギ、タウコギ、イチョウウキゴケなどが生育していました。
関連ページ 湿生植物・ヒロハノコウガイゼキショウ

Fig.24 エゾアブラガヤ (但馬地方 2015.8/2)
県南部ではやや稀なエゾアブラガヤですが、県北の高原地帯では比較的ふつうに見られます。
関連ページ 湿生植物・エゾアブラガヤ

Fig.25 ミツモトソウ (但馬地方 2015.8/2)
兵庫県ではやや高所の湿地や流れの脇に生育しています。
ここでは林道脇の上記エゾアブラガヤ、オタカラコウなどが生育する小湿地で見られました。

Fig.26 バライチゴの果実 (但馬地方 2015.8/2)
高原地帯の農地の土手でバライチゴが結実していました。味はとてもあっさりしています。
山地で見られるイチゴで、県南部では六甲山で見られます。

Fig.27 キツネノカミソリ (但馬地方 2015.8/2)
草刈りの行き届いた道端の土手ではキツネノカミソリがちょうど満開でした。
category: 8月の花
8月の花
2013/08/27 Tue. 17:37 [edit]
夏場はブログもHPも滞り勝ち。とりあえず8月に見た花をまとめました。
この時期の湿生・水生植物は後日掲載します。
画像:ハマボウ、ハマナデシコ、ハマゴウ、ハマナタマメ、ハマサオトメカズラ、ハマゼリ、
ヒトモトススキ、イソヤマテンツキ、キツネノカミソリ、フジカンゾウ、イワタバコ、
サカゲイノデ、斑入りイワガネソウ、ダイミョウセセリ、ナガバノヤノネグサ、
ミシマサイコ、ショウリョウバッタモドキ、コマツナギとタンキリマメ、トキワススキ、
ハマサジ、オミナエシ、オオヨツスジハナカミキリ、オグルマ、ナンバンギセル、
ノダケ、コガンピ、メガルカヤ、アキノタムラソウ、ネジバナ、ツルニガクサ、
コバギボウシ、マツカゼソウ、ヤマホロシ
*画像クリックで、別ウィンドで拡大表示されます。

Fig.1 ハマボウの花 (兵庫県姫路市 2013.8/1)
海浜性の小型のフトイを調査した際、多くの海浜植物の開花を見ることができました。
ハマボウは南方系の種で、入江や汽水域、塩性湿地などの海岸近くに生育し、兵庫県ではRDB Aランク種となっています。
兵庫県内では成ヶ島の群落がよく知られていますが、ここでは入江に数株生育していました。

Fig.2 沢山の花をつけたハマボウ (兵庫県姫路市 2013.8/1)

Fig.3 ハマナデシコ (兵庫県姫路市 2013.8/1)
兵庫県では日本海側では少なく、瀬戸内海側の海岸によく見られます。
花の色は白色に近いものから、鮮やかな紅色のものまで様々で、美しいため栽培されることも。

Fig.4 ハマゴウ (兵庫県姫路市 2013.8/1)
礫浜の潮間帯よりもかなり上部を、広く覆うように生育していた。海辺では馴染みの花。
関連ページ 関西の花・ハマゴウ

Fig.5 ハマナタマメ (兵庫県姫路市 2013.8/1)
海岸の所々で開花していました。
種子には耐塩性があり、一時期は西宮市の海岸でも見られましたが数年で消滅してしまいました。

Fig.6 ハマナタマメの花 (兵庫県姫路市 2013.8/1)
花は大きく、重さで花柄が反転し、逆さまに開花しています。

Fig.7 ハマサオトメカズラ (兵庫県姫路市 2013.8/1)
ヘクソカズラの海岸型の変種で、葉面に光沢があるのが特徴です。

Fig.8 ヒトモトススキ (兵庫県姫路市 2013.8/1)
ふつう、海岸近くの湿地に生育しますが、ここでは海岸の林縁に大きな個体が生育していました。
関連ページ 湿生植物・ヒトモトススキ

Fig.9 イソヤマテンツキ (兵庫県たつの市 2013.8/1)
河川汽水域のシバとナガミノオニシバが混じる草地に生育していました。
関連ページ 湿生植物・イソヤマテンツキ

Fig.10 ハマゼリ (兵庫県たつの市 2013.8/1)
イソヤマテンツキの隣では、ハマゼリも開花しはじめていました。
関連ページ 関西の花・ハマゼリ

Fig.11 キツネノカミソリ (岡山県真庭市 2013.8/3)
岡山に出掛けた折、僅かな時間ですが小さな谷に入ってみました。
林道脇ではあちこちでキツネノカミソリが開花していました。

Fig.12 フジカンゾウ (岡山県真庭市 2013.8/3)
渓流畔ではフジカンゾウの開花が始まっていました。

Fig.13 イワタバコ (岡山県真庭市 2013.8/3)
小さな滝の掛かる岩壁周辺ではイワタバコの花が見頃となっていました。

Fig.14 サカゲイノデ (岡山県真庭市 2013.8/3)
シダ類の多い谷でしたが、ベニシダはほとんど見られず、イノデの仲間が多く見られました。
関連ページ 関西の花・サカゲイノデ

Fig.15 斑入りイワガネソウ (岡山県真庭市 2013.8/3)
斑入りの中では比較的よく見つかるものです。
関連ページ 関西の花・イワガネソウ

Fig.16 ダイミョウセセリ (岡山県真庭市 2013.8/3)
ダイミョウセセリの夏型が出ていました。
暑い盛りで昆虫類は少なく、他にクロコノマチョウ、モンキアゲハ、カラスアゲハがいた程度です。

Fig.17 ナガバノヤノネグサ (岡山県真庭市 2013.8/3)
林道脇の湿った場所で開花しはじめていました。
タデ科の中では最も地味な花を咲かせます。
関連ページ 関西の花・ナガバノヤノネグサ

Fig.18 ミシマサイコ (兵庫県三木市 2013.8/7)
フトイの調査の途中、ミシマサイコの自生地に立ち寄ったところ開花し始めていました。
溜池土堤にスズサイコ、コガンピ、キキョウ、カワラボウフウなどとともに生育しています。

Fig.19 ショウリョウバッタモドキ (兵庫県三木市 2013.8/7)
ミシマサイコの生育する溜池土堤で見られました。
比較的自然度の高い草原環境に生育するバッタです。

Fig.20 コマツナギとタンキリマメ (兵庫県赤穂市 2013.8/8)
溜池土堤でコマツナギに絡みついたタンキリマメが開花していました。
関連ページ 関西の花・コマツナギ

Fig.21 トキワススキ (兵庫県赤穂市 2013.8/8)
海岸近くの溜池の縁に列をなして延々と生育していました。
茅葺や炭俵、土壁の萱として利用された名残でしょうか?

Fig.22 ハマサジの花 (岡山県備前市 2013.8/8)
小河川の河口部で非常に小さな花を開いていました。
他の小河川の河口部には状態のよいシバナの群落がありましたが、開花期ではなかったようです。
関連ページ 湿生植物・ハマサジ

Fig.23 オミナエシ (兵庫県篠山市 2013.8/14)
山間棚田の農道脇でオミナエシが開花していました。
草原環境が比較的よく残っている兵庫県ではよく見られる花です。
関連ページ 湿生植物・オミナエシ

Fig.24 オオヨツスジハナカミキリ (京都府亀岡市 2013.8/14)
溜池畔の草地で休止していました。
ヨツスジハナカミキリより大きく、西日本では黒味勝ちの個体が多いようです。

Fig.25 オグルマ (京都府綾部市 2013.8/19)
溜池に向かう途中、農道脇に点在していました。
今年はいろいろな場所でよくオグルマに出会います。

Fig.26 ナンバンギセル (京都府綾部市 2013.8/19)
オミナエシやキキョウ、スズサイコ、ノダケなどの生育する溜池土堤に多数の個体が生育していました。

Fig.27 ノダケ (兵庫県三田市 2013.8/23)
溜池土堤で沢山のノダケの花茎が上がっていました。今年はキアゲハの食害が少ないようです。
関連ページ 湿生植物・ノダケ

Fig.28 コガンピ (兵庫県三田市 2013.8/23)
ノダケとともにコガンピも見られました。
関連ページ 関西の花・コガンピ

Fig.29 メガルカヤ (兵庫県三田市 2013.8/23)
棚田の土手で群生しています。近似種のオガルカヤはもう少し乾いた場所を好むようです。
関連ページ 関西の花・メガルカヤ

Fig.30 群生開花したアキノタムラソウ (兵庫県三田市 2013.8/23)
棚田の土手の一画に密生していました。
ふつうな草本ですが、見事な群生に惹かれて撮影しました。
関連ページ 関西の花・アキノタムラソウ

Fig.31 秋咲きのネジバナ (兵庫県三田市 2013.8/23)
ネジバナには初夏に開花するものと、秋に開花するものがあるとのこと。
秋咲きのネジバナは群れて開花することなく、少数がぽつぽつと開花するとのことです。
ここでは棚田の土手下部にコシンジュガヤ、ホソバリンドウ、トダシバ、アリノトウグサなどとともに1個体のみが開花していました。
関連ページ 関西の花・ネジバナ

Fig.32 ツルニガクサ (兵庫県篠山市 2013.8/23)
里山の神社の入り口でツルニガクサが群れ咲いていました。
近似種のニガクサとは花茎や萼に腺毛があること、葉縁が重鋸歯となることによって区別できます。

Fig.33 コバギボウシ (兵庫県篠山市 2013.8/23)
林道脇にコバギボウシが開花していました。
関連ページ 湿生植物・コバギボウシ

Fig.34 マツカゼソウ (兵庫県篠山市 2013.8/23)
渓流畔でマツカゼソウが開花し始めていました。
シカの忌避植物で各地で増えつつあります。

Fig.35 ヤマホロシ (兵庫県篠山市 2013.8/23)
林内ではヤマホロシの開花も始まっていました。
よく似たマルバノホロシは葉柄に翼がありますが、こちらにはありません。
兵庫県内ではマルバノホロシよりもやや少ないようです。
この時期の湿生・水生植物は後日掲載します。
画像:ハマボウ、ハマナデシコ、ハマゴウ、ハマナタマメ、ハマサオトメカズラ、ハマゼリ、
ヒトモトススキ、イソヤマテンツキ、キツネノカミソリ、フジカンゾウ、イワタバコ、
サカゲイノデ、斑入りイワガネソウ、ダイミョウセセリ、ナガバノヤノネグサ、
ミシマサイコ、ショウリョウバッタモドキ、コマツナギとタンキリマメ、トキワススキ、
ハマサジ、オミナエシ、オオヨツスジハナカミキリ、オグルマ、ナンバンギセル、
ノダケ、コガンピ、メガルカヤ、アキノタムラソウ、ネジバナ、ツルニガクサ、
コバギボウシ、マツカゼソウ、ヤマホロシ
*画像クリックで、別ウィンドで拡大表示されます。

Fig.1 ハマボウの花 (兵庫県姫路市 2013.8/1)
海浜性の小型のフトイを調査した際、多くの海浜植物の開花を見ることができました。
ハマボウは南方系の種で、入江や汽水域、塩性湿地などの海岸近くに生育し、兵庫県ではRDB Aランク種となっています。
兵庫県内では成ヶ島の群落がよく知られていますが、ここでは入江に数株生育していました。

Fig.2 沢山の花をつけたハマボウ (兵庫県姫路市 2013.8/1)

Fig.3 ハマナデシコ (兵庫県姫路市 2013.8/1)
兵庫県では日本海側では少なく、瀬戸内海側の海岸によく見られます。
花の色は白色に近いものから、鮮やかな紅色のものまで様々で、美しいため栽培されることも。

Fig.4 ハマゴウ (兵庫県姫路市 2013.8/1)
礫浜の潮間帯よりもかなり上部を、広く覆うように生育していた。海辺では馴染みの花。
関連ページ 関西の花・ハマゴウ

Fig.5 ハマナタマメ (兵庫県姫路市 2013.8/1)
海岸の所々で開花していました。
種子には耐塩性があり、一時期は西宮市の海岸でも見られましたが数年で消滅してしまいました。

Fig.6 ハマナタマメの花 (兵庫県姫路市 2013.8/1)
花は大きく、重さで花柄が反転し、逆さまに開花しています。

Fig.7 ハマサオトメカズラ (兵庫県姫路市 2013.8/1)
ヘクソカズラの海岸型の変種で、葉面に光沢があるのが特徴です。

Fig.8 ヒトモトススキ (兵庫県姫路市 2013.8/1)
ふつう、海岸近くの湿地に生育しますが、ここでは海岸の林縁に大きな個体が生育していました。
関連ページ 湿生植物・ヒトモトススキ

Fig.9 イソヤマテンツキ (兵庫県たつの市 2013.8/1)
河川汽水域のシバとナガミノオニシバが混じる草地に生育していました。
関連ページ 湿生植物・イソヤマテンツキ

Fig.10 ハマゼリ (兵庫県たつの市 2013.8/1)
イソヤマテンツキの隣では、ハマゼリも開花しはじめていました。
関連ページ 関西の花・ハマゼリ

Fig.11 キツネノカミソリ (岡山県真庭市 2013.8/3)
岡山に出掛けた折、僅かな時間ですが小さな谷に入ってみました。
林道脇ではあちこちでキツネノカミソリが開花していました。

Fig.12 フジカンゾウ (岡山県真庭市 2013.8/3)
渓流畔ではフジカンゾウの開花が始まっていました。

Fig.13 イワタバコ (岡山県真庭市 2013.8/3)
小さな滝の掛かる岩壁周辺ではイワタバコの花が見頃となっていました。

Fig.14 サカゲイノデ (岡山県真庭市 2013.8/3)
シダ類の多い谷でしたが、ベニシダはほとんど見られず、イノデの仲間が多く見られました。
関連ページ 関西の花・サカゲイノデ

Fig.15 斑入りイワガネソウ (岡山県真庭市 2013.8/3)
斑入りの中では比較的よく見つかるものです。
関連ページ 関西の花・イワガネソウ

Fig.16 ダイミョウセセリ (岡山県真庭市 2013.8/3)
ダイミョウセセリの夏型が出ていました。
暑い盛りで昆虫類は少なく、他にクロコノマチョウ、モンキアゲハ、カラスアゲハがいた程度です。

Fig.17 ナガバノヤノネグサ (岡山県真庭市 2013.8/3)
林道脇の湿った場所で開花しはじめていました。
タデ科の中では最も地味な花を咲かせます。
関連ページ 関西の花・ナガバノヤノネグサ

Fig.18 ミシマサイコ (兵庫県三木市 2013.8/7)
フトイの調査の途中、ミシマサイコの自生地に立ち寄ったところ開花し始めていました。
溜池土堤にスズサイコ、コガンピ、キキョウ、カワラボウフウなどとともに生育しています。

Fig.19 ショウリョウバッタモドキ (兵庫県三木市 2013.8/7)
ミシマサイコの生育する溜池土堤で見られました。
比較的自然度の高い草原環境に生育するバッタです。

Fig.20 コマツナギとタンキリマメ (兵庫県赤穂市 2013.8/8)
溜池土堤でコマツナギに絡みついたタンキリマメが開花していました。
関連ページ 関西の花・コマツナギ

Fig.21 トキワススキ (兵庫県赤穂市 2013.8/8)
海岸近くの溜池の縁に列をなして延々と生育していました。
茅葺や炭俵、土壁の萱として利用された名残でしょうか?

Fig.22 ハマサジの花 (岡山県備前市 2013.8/8)
小河川の河口部で非常に小さな花を開いていました。
他の小河川の河口部には状態のよいシバナの群落がありましたが、開花期ではなかったようです。
関連ページ 湿生植物・ハマサジ

Fig.23 オミナエシ (兵庫県篠山市 2013.8/14)
山間棚田の農道脇でオミナエシが開花していました。
草原環境が比較的よく残っている兵庫県ではよく見られる花です。
関連ページ 湿生植物・オミナエシ

Fig.24 オオヨツスジハナカミキリ (京都府亀岡市 2013.8/14)
溜池畔の草地で休止していました。
ヨツスジハナカミキリより大きく、西日本では黒味勝ちの個体が多いようです。

Fig.25 オグルマ (京都府綾部市 2013.8/19)
溜池に向かう途中、農道脇に点在していました。
今年はいろいろな場所でよくオグルマに出会います。

Fig.26 ナンバンギセル (京都府綾部市 2013.8/19)
オミナエシやキキョウ、スズサイコ、ノダケなどの生育する溜池土堤に多数の個体が生育していました。

Fig.27 ノダケ (兵庫県三田市 2013.8/23)
溜池土堤で沢山のノダケの花茎が上がっていました。今年はキアゲハの食害が少ないようです。
関連ページ 湿生植物・ノダケ

Fig.28 コガンピ (兵庫県三田市 2013.8/23)
ノダケとともにコガンピも見られました。
関連ページ 関西の花・コガンピ

Fig.29 メガルカヤ (兵庫県三田市 2013.8/23)
棚田の土手で群生しています。近似種のオガルカヤはもう少し乾いた場所を好むようです。
関連ページ 関西の花・メガルカヤ

Fig.30 群生開花したアキノタムラソウ (兵庫県三田市 2013.8/23)
棚田の土手の一画に密生していました。
ふつうな草本ですが、見事な群生に惹かれて撮影しました。
関連ページ 関西の花・アキノタムラソウ

Fig.31 秋咲きのネジバナ (兵庫県三田市 2013.8/23)
ネジバナには初夏に開花するものと、秋に開花するものがあるとのこと。
秋咲きのネジバナは群れて開花することなく、少数がぽつぽつと開花するとのことです。
ここでは棚田の土手下部にコシンジュガヤ、ホソバリンドウ、トダシバ、アリノトウグサなどとともに1個体のみが開花していました。
関連ページ 関西の花・ネジバナ

Fig.32 ツルニガクサ (兵庫県篠山市 2013.8/23)
里山の神社の入り口でツルニガクサが群れ咲いていました。
近似種のニガクサとは花茎や萼に腺毛があること、葉縁が重鋸歯となることによって区別できます。

Fig.33 コバギボウシ (兵庫県篠山市 2013.8/23)
林道脇にコバギボウシが開花していました。
関連ページ 湿生植物・コバギボウシ

Fig.34 マツカゼソウ (兵庫県篠山市 2013.8/23)
渓流畔でマツカゼソウが開花し始めていました。
シカの忌避植物で各地で増えつつあります。

Fig.35 ヤマホロシ (兵庫県篠山市 2013.8/23)
林内ではヤマホロシの開花も始まっていました。
よく似たマルバノホロシは葉柄に翼がありますが、こちらにはありません。
兵庫県内ではマルバノホロシよりもやや少ないようです。
category: 8月の花
thread: 博物学・自然・生き物 - janre: 学問・文化・芸術
| h o m e |