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Satoyama, Plants & Nature

5月のフィールドで 後半 

5月のメモの後半です。それにしても今年は開花期の読みを外しっぱなし。1週間どころか2週間~20日くらいは開花期が早くなっているものもあります。
*画像クリックで、別ウィンドで表示されます。
FC2ブログの仕様が変わったのか、リンク先で大きな画像が表示されなくなってしまいました。
大きな画像(1024×768)を見る時は、リンク先の画像を別のウインドかタブで表示してください。


ヘラシダ
Fig.1 ヘラシダ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
前夜発で車中で2時間ほど仮眠をとった後、夜明けとともに谷を歩きました。
最初に岩上に群生するヘラシダが出迎えてくれました。
関連ページ 関西の花・ヘラシダ

渓流畔のヒメレンゲ
Fig.2 ヒメレンゲ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
ヒメレンゲは渓流がよく似合います。暗かったので露出を上げると背景がイイ感じに。

ヒロハヤブソテツ
Fig.3 ヒロハヤブソテツ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
足元にはヒロハヤブソテツの若い株も現れました。若い株でも羽片は大きなものです。

コケイランの花
Fig.4 コケイラン (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
温帯林の林床ではコケイランが満開でした。開花期には根生葉のないものが多いです。

コケイランのポリネーター
Fig.5 ハナグモに捕らえられた訪花昆虫 (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
花から花へと飛んでいたアブが止まったので撮影したところ、アブの動きが止まってしまいました。
よく見るとアブは花で待ち構えていたハナグモに捕まっていました。アブの前胸背には花粉塊が一杯付いています。帰って調べるとアブはホソツヤヒラタアブで、図らずもポリネータを知ることになりました。

渓畔岩上の新緑
Fig.6 渓畔岩上の新緑 (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
山は新緑の美しい時期。渓流畔の岩上もクジャクシダ、イワタバコ、ヤマブキショウマ、ツタウルシ、ヤマアジサイなどの新緑が鮮やかでした。前年葉を垂らしているスゲはショウジョウスゲで、低地から亜高山までの様々な環境に適応しているスゲです。

イワハタザオ
Fig.7 イワハタザオ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
この谷筋の岩上ではあちこちでイワハタザオが生育していました。
暗いうえに渓流からの風があるため、なかなかよい画像が撮れません。

フジハムシ
Fig.8 フジハムシ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
渓流畔のフジの葉上にフジハムシが眼につきました。風に煽られて葉が裏返った瞬間に卵らしきものが見えました。次の風を待って、雌親と卵塊を撮影することができました。

イブキシモツケ
Fig.9 イブキシモツケ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
クルマで移動の途中の林道脇で開花したばかりのイブキシモツケが崖に点在していました。
イブキシモツケは西宮市内でも沢山見られますが、どうしても樹木は後回しになってしまいます。

ヘビノネゴザとハクサンハタザオ
Fig.10 ヘビゴネゴザとハクサンハタザオ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
両種ともに重金属に耐性があり、重金属を蓄積することがよく知られている種。
イブキシモツケが生えていた崖と連続した緑色岩の露頭に群生していました。
両種ともに見られる場所には、重金属が高い率で含まれる岩脈か鉱脈があるのでしょう。
近くの転石を調べてみましたが、転石自体が少なく、それらしいものは見られませんでした。
関連ページ 関西の花・ヘビノネゴザ
関連ページ 関西の花・ハクサンハタザオ

ゴマキ
Fig.11 ゴマキ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
林道脇では所々でゴマキが開花し始めていました。その名の通りゴマの香りがします。
周辺はシカの食害が多く荒れた感じなのですが、この木は忌避植物なのか食み痕が見られません。

サクラスミレ
Fig.12 サクラスミレ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
高原地帯に移動してスミレ類を見に行きました。
今回見たかったのはサクラスミレとアケボノスミレでした。
サクラスミレはちょうど開花全盛。あちこちで開花個体が見られました。

アケボノスミレ
Fig.13 アケボノスミレ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
こちらのほうは残念ながらかなり早い時期に開花期は終わったようで、花後に開いた葉が沢山見られました。わずかに野焼きとの境界付近でひねたような傷んだ花を開花しているものが2個体見られたのみでした。

ヒゴスミレ
Fig.14 ヒゴスミレ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
この高原ではヒゴスミレは少ないようで、この日確認できたのはこの1個体のみでした。
エイザンスミレは葉が基本3裂しますが、ヒゴスミレは5裂します。
この日は他にホコバスミレとホソバシロスミレも確認しましたが、強風が始終吹き付ける場所に生育しており、よい画像が撮れませんでした。

フモトシハイスミレ
Fig.15 フモトシハイスミレ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
フモトスミレとシハイスミレの雑種で両種の中間的な形質が見られるもので、すみれ愛好会のYさんによるとフモトスミレを雌蕊親とする雑種だろうとのことでした。
花はシハイスミレの色ですが、唇弁の紫条、側弁の毛、距の長さ、茎の赤さはフモトスミレの形質が出ています。
関連ページ 関西の花・フモトスミレ
関連ページ 関西の花・シハイスミレ

レンゲツツジ
Fig.16 レンゲツツジ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
野生のものは草刈りが行われるススキ草原に点々と見られますが、大きな個体はほとんど見られません。遷移が進むことによって次第に姿を消しつつある種のようです。

エンマムシの仲間
Fig.17 エンマムシの仲間 (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
野焼き後のススキ草原で、ペアが枯れ草を掻き分けて何かを漁っているか探っている様子でした。
1cmを越える大型なものだったので、おそらくヤマトエンマムシだと思います。
引っ張り出してちゃんと撮影しておくべきだったと少し後悔。

サルマメ
Fig.18 サルマメ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
草刈りされるススキ草原中に群生しており、ちょうど開花前半で雄株が開花全盛となっていました。
これも競合種が多いと姿を消してしまう種で、兵庫県では自生地自体も少ないためRDBのBランクとされています。

ミヤマベニシダ
Fig.19 ミヤマベニシダ (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
温帯林の湿った林床で、オクマワラビを大型にしたような印象を受けるミヤマベニシダが新葉を開いていました。隣接する湿地に群生しているヤマドリゼンマイはまだフィドルヘッドが固く巻いていました。

ルイヨウボタン
Fig.20 ルイヨウボタン (兵庫県但馬地方 2015.5/14)
これもやや湿った林床に見られましたが、開花終盤で花は散りかけていました。
暗いうえに風が強く、残念な画像を量産しました。

ナツノハナワラビ
Fig.21 ナツノハナワラビ (兵庫県播磨地方 2015.5/21)
これまで胞子葉を上げていない未成熟個体しか出会えたことがなかったのですが、ようやく胞子葉を上げた立派なものを見ることができました。
周囲をよく探してみましたが、見つかったのはこの1個体のみでした。
胞子葉が上がっていないと、ヤブニンジンのような細裂した葉を持ったセリ科植物と見間違えやすいものです。

サイハイラン
Fig.22 サイハイラン (兵庫県播磨地方 2015.5/21)
社寺林下で多くの個体が開花していました。ちょうど地元の方がお見えで、こんなに沢山開花したのは20年振りくらいだと仰っていました。
撮影中にコマルハナバチが飛んできましたが、花に近づくや「あっ、コレ違う。」という感じですぐに飛び去ったのが印象的でした。

ニワフジ
Fig.23 ニワフジ (兵庫県播磨地方 2015.5/21)
古い寺院に立ち寄ってみると、墓地の石垣でニワフジが開花していました。
ニワフジは社寺の石垣でよく見かけますが、これらは昔に植栽されたものでしょう。
本来は渓流の岩場などに生育するらしいのですが、そのようなものは未だ見たことがありません。

ホクリクタツナミソウ
Fig.24 ホクリクタツナミソウ (兵庫県播磨地方 2015.5/21)
播磨北東部の山麓の細流脇にミズタビラコとともに生育していました。
播磨北西部の渓流畔ではデワノタツナミソウが生育していて、両種の境界がどのあたりになるのか、混生することがあるのかなど、興味が尽きません。
関連ページ 関西の花・ホクリクタツナミソウ

サイコクヒメコウホネ
Fig.25 サイコクヒメコウホネ (兵庫県播磨地方 2015.5/21)
水生植物もそろそろシーズン突入のようです。
播磨地方では本種の開花も兵庫県東部よりかなり早いですね。
関連ページ 浮葉植物・サイコクヒメコウホネ

ヒツジグサ
Fig.26 ヒツジグサ (兵庫県播磨地方 2015.5/21)
サイコクヒメコウホネとほぼ同時に開花し始めます。
ヒツジグサは秋まで開花しますが、5月下旬~7月上旬が花数も多く葉も新鮮で、最も美しい時期です。
関連ページ 浮葉植物・ヒツジグサ

オオハリイ
Fig.27 オオハリイ (兵庫県播磨地方 2015.5/21)
先の2種が生育する池畔に見られたもので、すでに小穂基部から盛んに芽生していました。
この池では他にフトヒルムシロ、タヌキモsp.、フラスコモsp.、ミズユキノシタ、アシカキ、カンガレイ、タチスゲなどが見られました。
関連ページ 湿生植物・オオハリイ

セイタカハリイ
Fig.28 セイタカハリイ (兵庫県阪神地方 2015.5/22)
農道脇の斜面から湧水が滲出して小湿地となっていて、そこにセイタカハリイが群生しています。
他にゴウソやタチスゲ、イグサなどが混生していますが、半裸地的な場所でノビノビと育ったのか大株となっていて、その様子はイヌシカクイと見紛うほどです。
これまで見たところでは、セイタカハリイは抽水状態となってもクローンの芽生はないようです。
関連ページ 湿生植物・セイタカハリイ

ヒゲナガハナノミ
Fig.29 ヒゲナガハナノミ (兵庫県阪神地方 2015.5/22)
良好な湿地環境がある場所でこの時期に必ず現れる種で、ハナノミというよりはコメツキムシ?という印象を与える小型の甲虫です。この日も多くの個体を見かけ、交尾しているペアもいました。

アカシジミ
Fig.30 アカシジミ (兵庫県阪神地方 2015.5/22)
今年初めて見るアカシジミです。花と違って昆虫類の出現時期はほぼ例年通りのように思います。
昨年はアカシジミの初見日とタツナミソウの全盛期がほぼ重なっていましたが、今年はタツナミソウは開花終盤となっています。
近縁のウラナミアカシジミの場合、昨年はトウゴクシソバタツナミの開花期と重なっていました。

ハンカイソウ
Fig.31 ハンカイソウ (兵庫県阪神地方 2015.5/24)
林縁で開花していました。大型のキク科メタカラコウ属の草本ですが、メタカラコウやオタカラコウと違って低山に生育します。頭花の大きさは10cmにもおよび、遠くからでもよく目立ちます。

ヤブウツギ
Fig.32 ヤブウツギ (兵庫県阪神地方 2015.5/24)
この近辺ではウツギ、ヤブウツギ、タニウツギが満開でした。
どれも「ウツギ」がつきますが、ウツギはアジサイ科、ヤブウツギとタニウツギはユキノシタ科です。
これはヤブウツギで兵庫県内では六甲山周辺に多産しますが、他の地域では稀産種です。
関連ページ 関西の花・ヤブウツギ

ヤマタツナミソウ
Fig.33 ヤマタツナミソウ (兵庫県阪神地方 2015.5/24)
この周辺地域では林床に生えるタツナミソウ類としてオカタツナミソウ、トウゴクシソバタツナミ、イガタツナミが見られますが、それらのものよりも眼にする機会がぐっと少ない種です。
花筒の基部が直角に曲がらず、斜上するのが他種との顕著な差になります。
関連ページ 関西の花・ヤマタツナミソウ

キシダマムシグサ
Fig.34 キシダマムシグサ (兵庫県阪神地方 2015.5/24)
驚いたことに5月下旬にまだ開花中のキシダマムシグサが見られました。
周囲には画像に見えるヒメレンゲのほか、ムラサキケマン、フウロケマン、ニシノオオタネツケバナが未だに開花中です。どの種も県内の他の地域ではとっくに開花が終わっています。
ここは流紋岩の岩屑が累々と堆積している斜面の下端部で、岩屑の隙間からは冷たい風が流れてきます。岩屑間の空気が夜間に冷やされて岩屑の下部へ移動してそれが流れてくるのか、あるいは岩屑下部の深部にある地下水に触れた空気が流れ出ているのかもしれません。キシダマムシグサがまだ開花しているのは、この冷たい空気が原因となっているようです。
同じ条件の別の岩屑斜面ではタチツボスミレが新鮮な花を開花していました。
関連ページ 関西の花・キシダマムシグサ

ヒメレンゲ-クマワラビ群落
Fig.35 岩屑斜面に群生するヒメレンゲ (兵庫県阪神地方 2015.5/24)
ヒメレンゲは兵庫県内ではふつうな種ですが、このような大規模な群落を見たのは初めてでした。
しかも、分布の薄い県南部でこのような光景が見れるとは思ってもみませんでした。
冷気が流れ出す場所ではまだツボミの状態の個体も見られました。
群落中のシダはクマワラビ。他にジャニンジン、ニシノオオタネツケバナ、フウロケマン、ナツトウダイ、アキチョウジなどが生育しています。

エサキモンキカメムシ
Fig.36 エサキモンキツノカメムシ (兵庫県阪神地方 2015.5/24)
レモンイエローのハート印が人気のカメムシ。交尾中なので、いつものように逃げられるようなことはありませんでした。

エグリトラカミキリ
Fig.37 エグリトラカミキリ (兵庫県阪神地方 2015.5/24)
トゲヒゲトラカミキリとともに最もふつうに見られるトラカミキリで、両種はよく似ています。他にクロトラカミキリもよく似ていますが出現時期が異なります。
ホソトラカミキリはもっとスマート。ヒメクロトラカミキリは小型で印象が異なります。

ヤハズカミキリ
Fig.38 ヤハズカミキリ (兵庫県阪神地方 2015.5/24)
体色が淡紅色を帯び、触角が長く、前翅の先がヤハズ状になっているのが特徴。
前翅の複雑な色合いが魅力的です。

アカガネサルハムシ
Fig.39 アカガネサルハムシ (兵庫県丹波地方 2015.5/25)
ノブドウ、エビヅルなどのブドウ科の草本でよく見られるお馴染みの種で、宝石のような光沢を持つため普通種ながら人気があります。
いつもは警戒心が強く、カメラを向けると葉上から転げ落ちますが、この時は食餌に懸命でかなり接近して撮影できました。

樹上のシノブ
Fig.40 樹上のシノブ (兵庫県丹波地方 2015.5/25)
薄暗い社寺林にムヨウランの開花を期待して訪ねましたが、残念ながらまだツボミの状態。
境内にあるツクバネガシの大木を見上げると、樹幹に着生したシノブの新葉が木漏れ日を浴びて鮮やかに浮かび上がっていました。
関連ページ 関西の花・シノブ

トケンラン
Fig.41 トケンラン (兵庫県丹波地方 2015.5/25)
ネザサの生育がほとんど見られない管理された植林地の林床では、今年もトケンランが開花していました。やや薄暗いためか昆虫類は少なく、1時間ほど観察していましたが訪花する昆虫は見られませんでした。
ここでは3つの集団が距離を置いて生育していますが、どの集団も未だに結実しているのを見たことがありません。3つの集団があるということは、かつては結実し種子が飛散して分布を広げたと考えられますが、かつての送粉者が何らかの原因で訪花しなくなったか、トケンラン自体が受粉しにくい性質を持っていると考えられます。さらに2年程観察して結実が見られない場合は、集団間での人工授粉を試してみようと考えています。
関連ページ 関西の花・トケンラン

カキツバタ
Fig.42 カキツバタ (兵庫県丹波地方 2015.5/25)
溜池畔にガマやオオフトイとともに群生していますが、おそらく過去に植栽されたものだろうと考えています。丹波地方ではカキツバタが見られる場合、フトイやオオフトイとともに見られる例が多いのですが、いずれも茶花として利用されてきた事実があります。裏を返せば、カキツバタとともに溜池畔や農耕地周辺に見られるフトイ、オオフトイ、コウホネ類、ハンゲショウは茶花として植栽された可能性があるということです。
このような場所ではショウブもよく見られ、過去に湿生・水生植物が食物以外でどのように利用されてきたか、植物と人の生活の繋がりを示す文化史的な端緒が隠されているように思います。
関連ページ 湿生植物・カキツバタ

ノハナショウブ
Fig.43 ノハナショウブ (京都府中丹地方 2015.5/29)
ノハナショウブは兵庫県ではふつう6月に入ってから開花を見ますが、京都の氾濫原由来の田園ではもう開花していました。同所的に開花の終わったカキツバタも見られ、農家の方によると両種とも植栽したものではなく、昔からあるものとのことでした。ノハナショウブは周辺の休耕田内でも群生していました。
関連ページ 湿生植物・ノハナショウブ

ミズタカモジ
Fig.44 ミズタカモジ (京都府中丹地方 2015.5/29)
田植え前の草刈りで全て刈り取られているだろうと予想していましたが、難を逃れた花序が点々と残っていました。西宮市内の自生地では完全に刈り取られて、頴果の観察ができないでいましたが、ここで熟した小穂を得ることができました。画像から分かるように、小穂が熟しても他のカモジグサ類のように花穂が垂れ下がることはありません。
関連ページ 湿生植物・ミズタカモジ

マルタニシ
Fig.45 マルタニシ (京都府中丹地方 2015.5/29)
用水路内ではカワニナに混じって、多くのマルタニシが見られました。
圃場整備によりオオタニシよりも見かける機会が減ったタニシです。

アゼナルコ
Fig.46 アゼナルコ (京都府中丹地方 2015.5/29)
畦に一列に並んで、まさしくアゼナルコ!
ここでは他にヤワラスゲ、マスクサ、ジュズスゲ、アゼスゲ、アオスゲが見られた程度で、スゲ類は少し期待はずれでした。
関連ページ 湿生植物・アゼナルコ

ホソバノウナギツカミ
Fig.47 ホソバノウナギツカミ (京都府中丹地方 2015.5/29)
休耕田に生育するホソバノウナギツカミも早々に開花しています。
不時開花現象ではなく、近隣の他の場所でも開花していたので、これから晩秋までずっと開花しているのでしょう。図鑑では1年草とありますが、近畿地方では常緑越冬するので、それだけ他の1年草のイヌタデ属草本よりも開花が早いのでしょう。
関連ページ 湿生植物・ホソバノウナギツカミ

沈水状態
Fig.48 沈水状態のホソバノウナギツカミ (京都府中丹地方 2015.5/29)
赤色を帯びていますが、沈水葉というよりも初夏の小型の葉という感じです。

ヤマジノタツナミソウ白花品
Fig.49 ヤマジノタツナミソウ白花品 (京都府中丹地方 2015.5/29)
一昨年果実期に見つけたヤマジノタツナミソウが白花だったと知らせを受け、見に行ってきました。
多くの個体はすでに開花が終わっていましたが、残り花もちらほらあって、なんとか撮影することができました。画像の左側のシュートはツボミではなく、すでに閉鎖花をつけています。
それにしてもここは個体数が非常に多く、おそらく近畿地方では最も大きな集団でしょう。しかも、全て白花品でした。
関連ページ 関西の花・ヤマジノタツナミソウ

カミガモシダ
Fig.50 カミガモシダ (京都府中丹地方 2015.5/29)
ヤマジノタツナミソウの傍のスギの根元では、ホソバオキナゴケのマットの中でカミガモシダが新葉を展開していました。
関連ページ 関西の花・カミガモシダ

ヒメコウガイゼキショウ
Fig.51 ヒメコウガイゼキショウ (兵庫県丹波地方 2015.5/29)
竹田川の河川敷でみられたものです。京都の中丹地方の氾濫原由来の休耕田でも生育していました。
兵庫県側のこのあたりの記録はありませんが、おそらくこのあたり一帯に分布しているのでしょう。
同所的に開花の終わったカワヂシャ、オオカワヂシャ、ホナガカワヂシャが見られました。
関連ページ 湿生植物・ヒメコウガイゼキショウ

キマダラカミキリ
Fig.52 キマダラカミキリ (兵庫県丹波地方 2015.5/29)
帰りの雑木林の脇にあった街灯に飛来していたものです。
比較的見かける機会の多いカミキリムシですが、ビロード状の毛が光を反射する美しい種です。

ベッコウガガンボ
Fig.53 ベッコウガガンボ (兵庫県丹波地方 2015.5/29)
翅にシリアゲムシっぽい模様のある中型のガガンボで、脚が虎カラーでなかなか格好いいです。
車のラジオでは、ちょうど復帰したメッセンジャーがネバリ強く好投していました。

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category: 5月の花

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5月のフィールドで 前半 

最近は掲示板に画像を投稿することが多くなって、ブログの更新が滞っていますが、やはり自分用の備忘録のために記録しておくことも必要でしょう。掲示板ではワード検索ができますが、カテゴリに分けて整理することができず、ブログよりも使い勝手に劣ります。
とりあえず5月のメモを2回に分けてUPしようと思います。
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5月初めの氷ノ山
Fig.1 初夏の氷ノ山 (兵庫県但馬地方 2015.5/1)
5月初めはまだまだ残雪が残っていて、これから1ヶ月ほど経つうちにすっかり消えていくのでしょう。
岩場が連なる場所には雪も積もらないので地肌が出ていて縞模様になっています。
この岩場周辺は面白い場所ですが、到達するまでが一苦労で、熊の糞もあちこちに落ちています。
今回は氷ノ山には登らず、麓近辺をウロウロするだけです。

キンキエンゴサクの群生
Fig.2 キンキエンゴサクの群生 (兵庫県但馬地方 2015.5/1)
久しぶりにキンキエンゴサクが一面に群生している場所に立ち寄ってみました。
沢の源頭部のような緩斜面の温帯林下に絨毯状に群生しています。
関連ページ 関西の花・ヤマエンゴサク(広義)

サンインスミレサイシン
Fig.3 サンインスミレサイシン (兵庫県但馬地方 2015.5/1)
昨年よりも早く開花していました。前回紹介した『近畿地方のスミレ類』ではスミレサイシンとサンインスミレサイシンの形態の差は連続的とのことです。
関連ページ 関西の花・サンインスミレサイシン

ウスバサイシン
Fig.4 ウスバサイシン (兵庫県但馬地方 2015.5/1)
サンインスミレサイシンと同じ斜面で混生しています。
花は開花中ですが、葉はまだ展開途上でした。

サンカヨウ
Fig.5 サンカヨウ (兵庫県但馬地方 2015.5/1)
少し標高の低い場所の谷筋ではサンカヨウが全盛でした。やはり今年は開花が早い。
関連ページ 関西の花・サンカヨウ

ヒトリシズカ
Fig.6 ヒトリシズカ (兵庫県但馬地方 2015.5/1)
谷筋の斜面で朝日を浴びて開花していました。
関連ページ 関西の花・ヒトリシズカ

ネコノメソウsp.
Fig.7 ネコノメソウsp. (兵庫県但馬地方 2015.5/1)
萼裂片が赤褐色で直立しており、一見ボタンネコノメソウかと思いましたが、よく見ると葯が黄色でした。ボタンネコノメソウとキンシベボタンネコノメソウの中間的な集団です。
関連ページ 関西の花・ボタンネコノメソウ
関連ページ 関西の花・キンシベボタンネコノメソウ

ツルデンダ
Fig.8 ツルデンダ (兵庫県但馬地方 2015.5/1)
渓流畔の空中湿度の高い岩上ではイワタバコやウワバミソウに混じってツルデンダが生育していました。中に1個体見られる若いヤブソテツの仲間はヒロハヤブソテツかもしれません。
関連ページ 関西の花・ツルデンダ

スギタニルリシジミ
Fig.9 スギタニルリシジミ (兵庫県但馬地方 2015.5/1)
谷の奥に日が差し始めると、スギタニルリシジミが舞い降りてきました。
このシジミチョウに会うのは何十年振りかです。

オチフジ
Fig.10 オチフジ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
もう遅いだろうと思いながら、枝谷をあちこちと探すと、まだ点々と咲き残っている場所がありました。これはその中でも最も新鮮な花が見られた集団。足場には苦労しました。
関連ページ 関西の花・オチフジ

ヤマトグサ
Fig.11 ヤマトグサ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
湿った林床斜面に生育していました。何度見ても面白い花です。

ノコギリシダ
Fig.12 ノコギリシダ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
空中湿度の高い岩上では、ノコギリシダが新葉を展開しはじめていました。

イワハリガネワラビ
Fig.13 イワハリガネワラビ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
これも空中湿度の高い渓流畔の岩上に点在していました。
ハリガネワラビよりも小型で葉軸や葉柄が太く、葉柄は緑色で葉身よりも短いものです。
それにしても、基部に残っている古い葉柄の数が半端ではないですね。
小さいけれども経年している株であることが分かりますね。

オウギバセントウソウ
Fig.14 オオギバセントウソウ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
この谷筋では沢山生育していて、セントウソウの裂片の数が少なく幅が広い品種です。
さすがにこの時期では開花終盤で、残り花は少ししかありませんでした。

用水路のバイカモ
Fig.15 バイカモ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
クルマで移動の途中に立ち寄った、湧水の豊富な田園地帯の水路内で群生していました。
関連ページ 沈水植物・バイカモ

水中で開花するバイカモ
Fig.16 水中で開花するバイカモ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
水中の様子です。水路は比較的流速がきついため、バイカモは水中で開花していました。
ここではエビモと混生していましたが、よく探せば他の水草も見られるだろうと思っています。

オオカメノキ
Fig.17 オオカメノキ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
高原地帯に移動しました。よく発達したミズナラ林はありますが林床はシカの食害で貧相な植生になっています。よく目に付いたのは開花したオオカメノキくらいでした。

キンシベボタンネコノメソウ
Fig.18 キンシベボタンネコノメソウ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
Fig.6とは24kmほど離れた播磨北部にある山塊の谷筋に生育しているもので、典型品と言えるものでした。オオカサゴケやハバビロスゲとともに生育しています。
関連ページ 関西の花・キンシベボタンネコノメソウ

イワイタチシダ
Fig.19 イワイタチシダ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
同じ谷筋の岩上にはイワイタチシダが点在しています。
ヤマイタチシダに較べてやや光沢がなく、小型で葉身は細身、葉柄の鱗片は図鑑などでは「開出する」と書かれていますが、どちらかというと下向きに斜開したのちに上向きに反る感じです。
関連ページ 関西の花・イワイタチシダ

ミヤマクマワラビ
Fig.20 ミヤマクマワラビ (兵庫県播磨地方 2015.5/3)
小雨が降る中、しっとりと濡れたミヤマクマワラビの新葉が際立って美しく感じられました。
やさしい感じの黄緑色の羽片と、漆黒の鱗片に覆われた中軸とのコントラスト、極端に長くも短くもない葉柄。とても均整のとれた美しいシダです。

チョウジソウ
Fig.21 チョウジソウ (兵庫県播磨地方 2015.5/6)
この日は超豪華なメンバーによるチョウジソウ観察会で、いろいろと勉強になりました。
2ヶ所の自生地を廻りましたが、うち溜池畔の300株ほどの群生地は、数年前の大雨による土砂で埋まってしまったようで、十数個体がなんとか生き残っていました。
画像はもう1ヶ所の溜池土堤に群生している集団のもので、見事な群落となっていました。

ツマグロハナカミキリ
Fig.22 チョウジソウを訪花したツマグロハナカミキリ (兵庫県播磨地方 2015.5/6)
観察の時間が充分にあったので、訪花昆虫を追いかけてみました。
蝶類はベニシジミ、ハチではクロマルハナバチが最も多く、続いてコマルハナバチ、ヒゲナガハナバチの仲間などでした。アブやハエなどの双翅目もいましたが、種類の分かるものは見られませんでした。ハナカミキリなどは例外的で、このツマグロハナカミキリを1個体見ただけでした。

クロカタビロオサムシ
Fig.23 クロカタビロオサムシ (兵庫県播磨地方 2015.5/6)
樹上で幼虫類を食べる樹上性のオサムシですが、毛虫・芋虫の発生量の多いこの時期には、地上を歩いているのをよく見かけます。兵庫県南部ではこの時期限定でよく見かけるオサムシで、他の時期は樹上生活していてあまり眼につかないのでしょう。

ナンゴクウラシマソウ
Fig.24 ナンゴクウラシマソウ (兵庫県播磨地方 2015.5/6)
兵庫県では自生地が限られるウラシマソウの仲間で、小葉がシャープで美しいものです。
ここでは比較的多くの個体が生育していました。
関連ページ 関西の花・ナンゴクウラシマソウ

タチクラマゴケ
Fig.25 タチクラマゴケ (兵庫県播磨地方 2015.5/6)
山中の車道脇の斜面に比較的広い範囲にわたって群生していました。
胞子嚢穂がまだできていないので、ヒメクラマゴケかタチクラマゴケかをめぐって賑やかな会話になりました。

ヒロハハナヤスリ?
Fig.26 ヒロハハナヤスリ? (兵庫県丹波地方 2015.5/8)
昨年は全く胞子葉を上げていなかった集団で、すぐ近くにヒロハハナヤスリの生育箇所があるので、ここも同一種だろうと思っていました。しかし、胞子葉の上がり方が栄養葉に対して様々で、コヒロハハナヤスリとの雑種である可能性もあります。
そろそろ胞子葉が成熟する頃なので、また様子を見に行く必要があります。
関連ページ 関西の花・ヒロハハナヤスリ

フウロケマン
Fig.27 フウロケマン (兵庫県丹波地方 2015.5/8)
フウロケマンといっても、蒴果には多少のくびれが見られ、ミヤマキケマンとの中間的なタイプといってよいものです。花序の花数が少ないこと、草体上部の葉は切れ込みが少なく裂片が大きいことにより、どちらかというとフウロケマンになります。丹波地方ではこのような中間型といえるものが多く、播磨地方にいくと典型品により近くなります。

カントウマムシグサ
Fig.28 カントウマムシグサ (兵庫県丹波地方 2015.5/8)
山間の日当たり良い道路脇の斜面に生育しているもので、草体は大きく、偽茎も固く丈夫で、縞模様もはっきりしています。薄暗い林下に生育するものとはまるで別種のような雰囲気がありますが、小葉に鋸歯のあるものが混じる、仏炎苞の白条が半透明とならない、口辺部が開出する、舷部が冑状にふくらまないなどの特徴からコウライテンナンショウではなく、どちらかというとカントウマムシグサの範疇に入るもののようです。
関連ページ 関西の花・カントウマムシグサ

黒穂病に罹災したツルミヤマカンスゲ
Fig.29 ツルミヤマカンスゲ (兵庫県播磨地方 2015.5/11)
以前に見つけたツルミヤマカンスゲが生育する社寺林に、果胞が熟していないか見に出掛けたました。
残念ながらツルミヤマカンスゲは黒穂病に冒されて、結実する気配がありませんでした。
側小穂の一部の果胞が黒くふくらんでいるのが分かるでしょうか?

ミヤマヨメナの群生
Fig.30 ミヤマヨメナ (兵庫県播磨地方 2015.5/11)
ツルミヤマカンスゲはアウトでしたが、周囲はミヤマヨメナが開花全盛となっていて慰められました。
花弁を淡い紫色を帯びていますが、画像でその色合いを再現するのはなかなか難しいものですね。

category: 5月の花

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5月の花 後半 

前回に引き続き、5月後半に見た花達です。
画像:セッコク、クリンソウ、ヤマジノタツナミソウ、トケンラン、マムシグサsp.、サギゴケ、
   ハナウド、フタリシズカ、ホソバオオアリドオシ、アリドオシ、ベニドウダン、
   ホソバテンナンショウ、ハクサンハタザオ、ヒメアギスミレ、タンナサワフタギ、
   ナヨクサフジ、アリマウマノスズクサ、ヒナギキョウ、ヤマサギソウ、オカタツナミソウ、
   ホクリクタツナミソウ、ジャケツイバラ、シロウマアサツキ、ホウチャクソウ、
   ニシキゴロモ、オオイワカガミ、ヤシャビシャク、エンコウソウとサンインシロカネソウ、
   ヒロハテンナンショウ、オサムシsp.、イチモンジカメノコハムシ、ルリクワガタ
*画像クリックで、別ウィンドで拡大表示されます。

セッコク
Fig.1 セッコク (兵庫県丹波地方 2014.5/18)
巨大な岩壁でセッコクが陽をいっぱいに浴びて開花していました。
関連ページ 関西の花・セッコク

クリンソウ
Fig.2 クリンソウ (兵庫県丹波地方 2014.5/18)
今年はこの花も開花が早かったようで、かなり花茎が上へと伸びていました。
関連ページ 湿生植物・クリンソウ

ヤマジノタツナミソウ
Fig.3 ヤマジノタツナミソウ (兵庫県摂津地方 2014.5/20)
タツナミソウの仲間では稀な種で、県内の自生地はこの地域の3ヶ所に限られます。
関連ページ 関西の花・ヤマジノタツナミソウ

トケンラン
Fig.4 トケンラン (兵庫県丹波地方 2014.5/20)
今では県内での確実な自生地はここだけになってしまった貴重な集団です。
関連ページ 関西の花・トケンラン

マムシグサsp.
Fig.5 マムシグサsp. (兵庫県丹波地方 2014.5/20)
かつてはオオマムシグサとされていた、カントウマムシグサ似の集団です。

サギゴケ
Fig.6 サギゴケ (兵庫県丹波地方 2014.5/20)
ムラサキサギゴケの群生の中に1株だけありました。
よく見ると花筒はわずかに紅を差しており、サギゴケとベニバナサギゴケの中間か。
オトメタチツボスミレに倣って、勝手にオトメサギゴケと呼んでいます。

ハナウド
Fig.7 ハナウド (兵庫県丹波地方 2014.5/20)
河川敷や堤防ではあちこちにハナウドが咲いていました。
関連ページ 関西の花・ハナウド

フタリシズカ
Fig.8 フタリシズカ (兵庫県丹波地方 2014.5/20)
植林地の林床に群生しています。花序は1本のものが多かった。
関連ページ 関西の花・フタリシズカ

ホソバオオアリドオシ
Fig.9 ホソバオオアリドオシ (兵庫県阪神地方 2014.5/22)
毎年、気がついたら花が終わってしまっているのですが、今年はぎりぎりセーフでした。

アリドオシ
Fig.10 アリドオシ (兵庫県丹波地方 2014.5/20)
ついでにこちらも。古い社寺林で時々見かけます。
照葉樹林下で群生しており、光量が乏しくていい画像が撮れません。
フラッシュを焚くと葉の反射がきつすぎるし・・・

ベニドウダン
Fig.11 ベニドウダン (兵庫県阪神地方 2014.5/22)
六甲山の尾根筋に点々と生育しています。

ホソバテンナンショウ
Fig.12 ホソバテンナンショウ (兵庫県阪神地方 2014.5/22)
兵庫県ではやや標高の高い場所で見られます。
関連ページ 関西の花・ホソバテンナンショウ

ハクサンハタザオ
Fig.13 ハクサンハタザオ (兵庫県阪神地方 2014.5/22)
ヘビノネゴザとともに重金属を好む植物として有名です。
関連ページ 関西の花・ハクサンハタザオ

ヒメアギスミレ
Fig.14 ヒメアギスミレ (兵庫県阪神地方 2014.5/22)
ここでは年々生育領域が広がっており、嬉しい限りです。
関連ページ 湿生植物・ヒメアギスミレ

タンナサワフタギ
Fig.15 タンナサワフタギ (兵庫県阪神地方 2014.5/22)
山から里へと下ると、タンナサワフタギが開花しはじめていました。

ナヨクサフジ
Fig.16 ナヨクサフジ (兵庫県阪神地方 2014.5/22)
里山でも見かけるようになった外来種です。緑肥として使っているのでしょうか。

アリマウマノスズクサ
Fig.17 アリマウマノスズクサ (兵庫県播磨地方 2014.5/23)
このあたりではいくらでも生えているけれども、割と花を見る機会の少ない植物です。
関連ページ 関西の花・アリマウマノスズクサ

ヒナギキョウ
Fig.18 ヒナギキョウ (兵庫県播磨地方 2014.5/23)
溜池土堤上でまばらに群生しています。すでに果実も見られました。
関連ページ 関西の花・ヒナギキョウ

ヤマサギソウ
Fig.19 ヤマサギソウ (兵庫県播磨地方 2014.5/23)
溜池土堤や棚田の土手などで見ますが、あまり多いものではありません。
関連ページ 関西の花・ヤマサギソウ

ホクリクタツナミソウ
Fig.20 ホクリクタツナミソウ (兵庫県丹波地方 2014.5/27)
内陸部の林床や渓流畔ではホクリクタツナミソウの開花が始まっていました。
植林地林床の沢沿いに生えるものは、半分以上のシュートが開花期であっても閉鎖花をつけるようです。
関連ページ 関西の花・ホクリクタツナミソウ

オカタツナミソウ
Fig.21 オカタツナミソウ (兵庫県丹波地方 2014.5/27)
多くの場所ではまだつぼみの状態でしたが、ここのものは開花していました。
関連ページ 関西の花・オカタツナミソウ

ジャケツイバラ
Fig.22 ジャケツイバラ (兵庫県丹波地方 2014.5/27)
河の傍で大木になったジャケツイバラが満開でした。
この木の刺には悩まされますが、この光景は見事です。

シロウマアサツキ
Fig.23 シロウマアサツキ (兵庫県丹波地方 2014.5/28)
河川敷で朝露に濡れながら、他の草本に紛れるようにシロウマアサツキが咲いていました。
関連ページ 関西の花・シロウマアサツキ

ホウチャクソウ
Fig.24 ホウチャクソウ (兵庫県但馬地方 2014.5/28)
但馬地方ではまだホウチャクソウが全盛期でした。

ニシキゴロモ
Fig.25 ニシキゴロモ (兵庫県但馬地方 2014.5/28)
丹波地方では青紫色の花を見ますが、ここでは白色の花ばかりでした。
関連ページ 関西の花・ニシキゴロモ

オオイワカガミ
Fig.26 オオイワカガミ (兵庫県但馬地方 2014.5/28)
六甲山系では紅花品しか見ませんが、ここの花の色は変異が多いようです。
関連ページ 関西の花・オオイワカガミ

ヤシャビシャク
Fig.27 ヤシャビシャク (兵庫県但馬地方 2014.5/28)
遠くのブナの大木に付いていてなかなか上手く撮れません。
花弁はすでに見られず、萼裂片とふくらみつつある子房が目立っています。

エンコウソウとサンインシロカネソウ
Fig.28 エンコウソウとサンインシロカネソウ (兵庫県但馬地方 2014.5/28)
濡れた急傾斜の岩上で混生していました。
関連ページ 関西の花・サンインシロカネソウ

ヒロハテンナンショウ
Fig.29 ヒロハテンナンショウ (兵庫県但馬地方 2014.5/28)
花が葉よりも下につき、単葉で羽片に柄がほとんどないという分かりやすい特徴があります。

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オサムシsp.
Fig.30 オサムシsp. (兵庫県摂津地方 2014.5/20)
ヤマトオサなのか、ヤコンオサなのか、マヤサンオサなのか。私には分かりません。
他にはクロカタビロオサムシをよく見かけますが、動きまわって撮影できません。

イチモンジカメノコハムシ
Fig.31 イチモンジカメノコハムシ (兵庫県丹波地方 2014.5/27)
これは分かりやすい。食樹であるヤブムラサキの葉上にいました。

ルリクワガタ
Fig.32 ルリクワガタ (兵庫県但馬地方 2014.5/28)
残念なコンデジで急いで撮影した結果、残念な画像に・・・

category: 5月の花

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5月の花 前半 

あちこちで花々が開花し、訪花昆虫も多くなり、賑やかな季節になりました。
5月前半に見た花をまとめました。
画像:エビネ、フデリンドウ、ギンリョウソウ、ミヤマセセリ、ムロウテンナンショウ、
   ラショウモンカズラ、シャク、サワオグルマ、ニョイスミレとムラサキサギゴケ、
   サツマイナモリ、ムサシアブミ、コウライテンナンショウ、コミヤマスミレ、オチフジ、
   ヒメレンゲ、キンラン、ムツオレグサ、ヒメコヌカグサ、アオウシノケグサ、アリマグミ、
   ツクバネウツギ、ヒゲナガハナノミ、フタスジサナエ、フトヒルムシロ、オカオグルマ、
   キマダラハナバチの仲間、ミヤマナルコユリ、タツナミソウ、但馬の棚田土手、
   ウラシマソウ、タチシオデ、オククルマムグラ、クルマムグラ、コケイラン、
   オオタチツボスミレ、シロバナオオタチツボスミレ、サンインスミレサイシン、
   マルバスミレ、シハイスミレ?、ウスバサイシン、ザゼンソウ、ヒロハコンロンソウ、
   サンインネコノメ、マルバネコノメソウ、サンカヨウ、ユキザサ、ユキモチソウ
*画像クリックで、別ウィンドで拡大表示されます。

エビネ
Fig.1 エビネ (兵庫県丹波地方 2014.5/7)
今年は春先に暖かい日が続いたためか、例年よりも1週間ほど早く開花しています。
関連ページ 関西の花・エビネ

フデリンドウ
Fig.2 フデリンドウ (兵庫県丹波地方 2014.5/7)
雑木林で点々と開花していました。

ギンリョウソウ
Fig.3 ギンリョウソウ (兵庫県丹波地方 2014.5/7)
低山の尾根の緩斜面に点在していました。残念ながら、少しいたんでいます。

ミヤマセセリ
Fig.4 ミヤマセセリ (兵庫県丹波地方 2014.5/7)
岩稜上ではミヤマセセリがテリトリーを張っていました。

ムロウテンナンショウ
Fig.5 ムロウテンナンショウ (兵庫県丹波地方 2014.5/7)
このあたりでは最もふつうに見られるテンナンショウです。
関連ページ 関西の花・ムロウテンナンショウ

ラショウモンカズラ
Fig.6 ラショウモンカズラ (兵庫県丹波地方 2014.5/7)
ラショウモンカズラも早くも最盛期になっていました。
関連ページ 関西の花・ラショウモンカズラ

シャク
Fig.7 シャク (兵庫県丹波地方 2014.5/7)
美味しい山菜のシャク。こうなるともう食べれません。
関連ページ 関西の花・シャク

サワオグルマ
Fig.8 サワオグルマ (兵庫県丹波地方 2014.5/7)
休耕田の群落が一斉開花。湿地の最初の賑わい。
関連ページ 湿生植物・サワオグルマ

ニョイスミレとムラサキサギゴケ
Fig.9 休耕田の小さな花の競演 (兵庫県丹波地方 2014.5/7)
ニョイスミレとムラサキサギゴケ。
関連ページ 湿生植物・ニョイスミレ
関連ページ 湿生植物・ムラサキサギゴケ

サツマイナモリ
Fig.10 サツマイナモリ (兵庫県播磨地方 2014.5/8)
沢沿いの斜面でひっそりと咲いていました。

ムサシアブミ
Fig.11 ムサシアブミ (兵庫県播磨地方 2014.5/8)
とても頑丈そうな花に見えます。

コウライテンナンショウ
Fig.12 コウライテンナンショウ (兵庫県播磨地方 2014.5/8)
関西では比較的よく見られるマムシグサの仲間です。
関連ページ 関西の花・コウライテンナンショウ

コミヤマスミレ
Fig.13 コミヤマスミレ (兵庫県播磨地方 2014.5/8)
関西では比較的山地に生育するスミレで、開花期は遅い。
関連ページ 関西の花・コミヤマスミレ

オチフジ
Fig.14 オチフジ (兵庫県播磨地方 2014.5/8)
兵庫県の名花・オチフジ。なんとか開花期に間に合いました。

ヒメレンゲ
Fig.15 ヒメレンゲ (兵庫県播磨地方 2014.5/8)
渓流のあちこちの岩上で満開でした。

キンラン
Fig.16 キンラン (兵庫県阪神地方 2014.5/11)
里山の林縁で、夕日を浴びていました。開花まであとわずか?
関連ページ 関西の花・キンラン

ムツオレグサ
Fig.17 ムツオレグサ (兵庫県阪神地方 2014.5/11)
溜池で抽水状態で出穂しています。
関連ページ 湿生植物・ムツオレグサ

ヒメコヌカグサ
Fig.18 ヒメコヌカグサ (兵庫県阪神地方 2014.5/13)
棚田の用水路脇に生育。兵庫県南部ではふつうに見られます。
関連ページ 湿生植物・ヒメコヌカグサ

アオウシノケグサ
Fig.19 アオウシノケグサ (兵庫県阪神地方 2014.5/13)
自然度の高い里山に出ます。あまりに地味なため関心が持たれないようです。
関連ページ 関西の花・アオウシノケグサ

アリマグミ
Fig.20 アリマグミ (兵庫県阪神地方 2014.5/13)
果実期には目立つ本種も、開花期には目立ちません。

ツクバネウツギ
Fig.21 ツクバネウツギ (兵庫県阪神地方 2014.5/13)
里山で満開。沢山のハナバチ類が訪花していました。
関連ページ 関西の花・ツクバネウツギ

ヒゲナガハナノミ
Fig.22 ヒゲナガハナノミ (兵庫県阪神地方 2014.5/13)
この時期に湿地や休耕田、用水路周辺でよく見かけます。

コサナエ
Fig.23 コサナエ フタスジサナエ (兵庫県阪神地方 2014.5/13)
里山ではサナエトンボ類が飛ぶ季節です。
*コサナエとしていましたが、フタスジサナエだとのことです。
 兵庫県ではコサナエは日本海側にのみ見られるとのことです。
 ご指摘ありがとうございましたm(_ _)m


フトヒルムシロ
Fig.24 フトヒルムシロ (兵庫県阪神地方 2014.5/13)
溜池で花茎が上がっています。浮葉の間にはイヌタヌキモの姿も。
関連ページ 浮葉植物・フトヒルムシロ

オカオグルマ
Fig.25 オカオグルマ (兵庫県阪神地方 2014.5/13)
棚田の土手ではオカオグルマが満開でした。
関連ページ 関西の花・オカオグルマ

キマダラハナバチの仲間
Fig.26 キマダラハナバチの仲間 (兵庫県阪神地方 2014.5/13)
この時期によく見られ、オカオグルマに訪花していました。

ミヤマナルコユリ
Fig.27 ミヤマナルコユリ (兵庫県阪神地方 2014.5/13)
ミヤマナルコユリは咲き始めできれいでした。

タツナミソウ
Fig.28 タツナミソウ (兵庫県阪神地方 2014.5/13)
棚田の土手で点々と開花していました。

但馬の棚田の土手
Fig.29 但馬の棚田土手 (兵庫県但馬地方 2014.5/14)
同時期の但馬地方の土手。ヤマルリソウ、オオタチツボスミレ、エンレイソウと賑やか。

ウラシマソウ
Fig.30 ウラシマソウ (兵庫県但馬地方 2014.5/14)
但馬地方では5月になってから咲くんですねえ。
関連ページ 関西の花・ウラシマソウ

タチシオデ
Fig.31 タチシオデ (兵庫県但馬地方 2014.5/14)
林縁で開花中でした。雌雄異株で、画像は雄花です。
関連ページ 関西の花・タチシオデ

オククルマムグラ
Fig.32 オククルマムグラ (兵庫県但馬地方 2014.5/14)
タチシオデの近くで開花中でした。

クルマムグラ
Fig.33 クルマムグラ (兵庫県但馬地方 2014.5/14)
先種に似ていますが、温帯林下の湿った場所に沢山生育しています。

コケイラン
Fig.34 コケイラン (兵庫県但馬地方 2014.5/14)
コケイランは開花し始めたばかり。花序最下の花だけが開いていました。

オオタチツボスミレ
Fig.35 オオタチツボスミレ (兵庫県但馬地方 2014.5/14)
丹波地方と違い、温帯林の林床や林縁で大きな群落が見られます。
関連ページ 関西の花・オオタチツボスミレ

シロバナオオタチツボスミレ
Fig.36 シロバナオオタチツボスミレ (兵庫県但馬地方 2014.5/14)
オオタチツボスミレの混じって、白花品も生育しています。

サンインスミレサイシン
Fig.37 サンインスミレサイシン (兵庫県但馬地方 2014.5/14)
山麓部では開花は終わっていましたが、少し高所に上ると、まだ満開でした。

マルバスミレ
Fig.38 マルバスミレ (兵庫県但馬地方 2014.5/14)
開花晩期のためか少しへたり気味。崩壊斜面に多いスミレです。

シハイスミレ?
Fig.39 シハイスミレ? (兵庫県但馬地方 2014.5/14)
葉が丸いシハイスミレがありました。フモトスミレとの雑種でしょうか。
関連ページ 関西の花・シハイスミレ

ウスバサイシン
Fig.40 ウスバサイシン (兵庫県但馬地方 2014.5/14)
林縁でサンインスミレサイシンやモミジガサとともに生育していました。

ザゼンソウ
Fig.41 ザゼンソウ (兵庫県但馬地方 2014.5/14)
雪解けの遅かった場所では、まだ花が見られました。
関連ページ 湿生植物・ザゼンソウ

ハダカコンロンソウ
Fig.42 ヒロハコンロンソウ (兵庫県但馬地方 2014.5/14)
渓流に沿って点々と生育していました。

サンインネコノメ
Fig.43 サンインネコノメ (兵庫県但馬地方 2014.5/14)
但馬地方に多いネコノメソウです。ホクリクネコノメソウの1品種。
関連ページ 関西の花・サンインネコノメ

マルバネコノメソウ
Fig.44 マルバネコノメソウ (兵庫県但馬地方 2014.5/14)
兵庫県では稀な種で、最も遅い時期に開花します。

サンカヨウ
Fig.45 サンカヨウ (兵庫県但馬地方 2014.5/14)
温帯林の沢沿いに群生していますが、まだ開花しはじめたばかり。
関連ページ 関西の花・サンカヨウ

ユキザサ
Fig.46 ユキザサ (兵庫県但馬地方 2014.5/14)
こちらも開花が始まったところでした。
関連ページ 関西の花・ユキザサ

ユキモチソウ
Fig.47 ユキモチソウ (兵庫県但馬地方 2014.5/14)
思わぬ場所で見つけました。自生か逸出か、近くに集落もあるので、難しいところです。
自生であれば、兵庫県の2ヶ所目の自生地ということになるのですが・・・

category: 5月の花

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5月の花 水辺編 

前回からの続きで、今回は河川敷、溜池、休耕田などの水辺を中心とした花を集めた「水辺編」です。カテゴリを考えると別々に分けたほうがよいのですが、そこまで考えておらず、それぞれに分けるとボリュームが減ってしまうので、今回はまとめて掲載しています。そのため内容が少し多めになっています。次回からはカテゴリを考えて投稿するよう心がけたいと思います。
画像:サワトラノオ、ミゾコウジュ、オオアブノメ、アズマツメクサ、ヒメコウガイゼキショウ、
   コウガイゼキショウ、ヒロハノコウガイゼキショウ、ハリコウガイゼキショウ、ハナウド、
   オヘビイチゴ、ナヨクサフジ、セイヨウヒキヨモギ、シャク、ヒツジグサ、ヒルムシロ、
   クリンソウ、ミズニラ、エゾハリイ、イヌタヌキモ、アギスミレ、ヒメコヌカグサ、
   ハナビゼキショウ、ムツオレグサ、ホソバヘラオモダカ、サイコクヌカボの幼苗、
   ショウブ、シュレーゲルアオガエル、コウキヤガラ
*画像クリックで、別ウィンドで拡大表示されます。

         ◎ ◎ ◎ 河川敷編 ◎ ◎ ◎ 
サワトラノオ
Fig.1 サワトラノオ (大阪府淀川河川敷 2013.5/15)
全国的に稀な絶滅が危惧されている湿生植物です。
ここのものは河川敷のアシ原を掘削した際に埋土種子が発芽したものを移植管理しているものです。元あった場所はアシ原に戻り、数本それらしきものを見かけただけでした。
関連ページ 湿生植物・サワトラノオ

ミゾコウジュ
Fig.2 ミゾコウジュ (大阪府淀川河川敷 2013.5/15)
氾濫原などで初夏に開花するシソ科草本で、砂地でミコシガヤとともに沢山生育していました。
淀川の河川敷では普通に見られますが、他の地域では結構稀な草本です。
関連ページ 湿生植物・ミゾコウジュ

オオアブノメ
Fig.3 オオアブノメ (大阪府淀川河川敷 2013.5/15)
河川敷の掘り下げられた区域が水溜りとなっていて、そこに100個体あまりが生育していました。
草体の大部分は沈水しており、下方の葉腋には閉鎖花をつけているものが多く、結実途上の蒴果もありました。このオオアブノメも埋土種子からの発芽でしょう。
周囲に写っている一回り小さな草体はミズハコベです。

オオアブノメの花
Fig.4 オオアブノメの花 (大阪府淀川河川敷 2013.5/15)
この日、かろうじて見られた2花のうちのひとつです。
大変小さな白い唇形花で、ゴマノハグサ科のなかでも地味なほうでしょう。

アズマツメクサ
Fig.5 アズマツメクサ (大阪府淀川河川敷 2013.5/15)
低水敷の砂泥地に点々と生育していました。50個体ほど見られましたが、他の地域では稀なものです。ツメクサのように見えますがベンケイソウ科で、日向のものはそれなりに葉が多肉質になってます。本来は岩場のような乾燥地に見られるベンケイソウの仲間が、どういう経緯で水辺に降りてきたのか・・・
塩性湿地にも生育することから、海岸や河口から遡上してきたのでしょうか?
関連ページ 湿生植物・アズマツメクサ

ヒメコウガイゼキショウ
Fig.6 ヒメコウガイゼキショウ (大阪府淀川河川敷 2013.5/15)
アズマツメクサとともに生育していたヒメコウガイゼキショウです。
画像左下方にアズマツメクサがあり、上方にはムシクサが写っています。
ムシクサと比較すると、アズマツメクサやヒメコウガイゼキショウの草体の小ささが解ります。
ヒメコウガイゼキショウは、在来のものと外見上変わらない外来と考えられるものが定着しており、大河川の河川敷のものは大いに疑わしいかもしれません。
関連ページ 湿生植物・ヒメコウガイゼキショウ

コウガイゼキショウとヒロハノコウガイゼキショウ
Fig.7 コウガイゼキショウ(左)とヒロハノコウガイゼキショウ(右) (大阪府淀川河川敷 2013.5/15)
コウガイゼキショウは5月から開花し始めますが、ヒロハノコウガイゼキショウはまだ花茎が上がっていません。ヒロハノコウガイゼキショウは早くて6月下旬、ふつうは7月初旬に開花します。
このように2種が並んでいると、ヒロハノコウガイゼキショウの葉幅が顕著に広いことがよく解ります。
関連ページ 湿生植物・コウガイゼキショウ
関連ページ 湿生植物・ヒロハノコウガイゼキショウ

ハリコウガイゼキショウ
Fig.8 ハリコウガイゼキショウ (大阪府淀川河川敷 2013.5/15)
ハリコウガイゼキショウも花茎が上がり、間もなく開花が始まりそうでした。
先のコウガイゼキショウとヒロハノコウガイゼキショウは「多管質」と呼ばれる扁平な葉を持つ種ですが、こちらは「単管質」と呼ばれる円柱形の葉を持つ種で、同様なものでよく見かけるものにアオコウガイゼキショウがあります。
アオコウガイゼキショウはふつう7月になってから開花し始めます。
ハリコウガイゼキショウは本来自然度の高い溜池や湿地に出現しますが、ここでは河川敷の掘り下げられた湿地に点在しており、やはり埋土種子から発芽したものだと考えられます。
関連ページ 湿生植物・ハリコウガイゼキショウ

オヘビイチゴ
Fig.9 オヘビイチゴ (大阪府淀川河川敷 2013.5/15)
低水敷には一時的に生じたと思われる草地があちこちに見られ、沢山のオヘビイチゴが見られました。同様な場所にはニョイスミレ(ツボスミレ)、チドメグサ、ヤハズエンドウ、スズメノエンドウ、キツネノボタン、ヘビイチゴ、ムラサキサギゴケ、トキワハゼ、キツネアザミなど、農耕地の畦畔植物と一致するものが数多く見られ、畦畔の植物が本来このような場所に生育していたことが実感できました。
関連ページ 湿生植物・オヘビイチゴ

ハナウド
Fig.10 ハナウド (大阪府淀川河川敷 2013.5/15)
ハナウドも低地の河川敷ではすでに開花しはじめていて、小型昆虫が訪花していました。
ハナウドは先のオヘビイチゴなどと違って高水敷・アシ原のギャップや縁などに生育しています。
氾濫によって数年~十数年単位で撹乱を受けつつも、多少は安定した土壌を好むのでしょう。
関連ページ 関西の花・ハナウド

ナヨクサフジ
Fig.11 ナヨクサフジ (大阪府淀川河川敷 2013.5/15)
高水敷や堤防の草地に定着しているヨーロッパ原産のマメ科草本で、各地の堤防などに広がっています。花序数も花数も多く美しいためか刈り取られている様子も見かけません。
在来のクサフジやツルフジバカマはほとんど見ることはありませんが、ナヨクサフジはよく見かけるようになりました。

セイヨウヒキヨモギ
Fig.12 セイヨウヒキヨモギ (京都府綾部市 2013.5/2)
本種も河川堤防や道路の法面などに増えつつある帰化植物です。
ここでは由良川堤防の補強された部分に群生していました。
この他、河川堤防ではヤセウツボ、ヒサウチソウなどの帰化植物も最近よく見かけるようになりました。

シャク
Fig.13 シャク (京都府綾部市 2013.5/2)
由良川の中流域にあたるこの地域では、河畔の到るところでシャクが群生しています。
少し南に下った兵庫県の丹波地方では、ほとんど自生地がないのが大変不思議です。
ここでは、ハナウド、クサソテツ、ヤマアゼスゲなどとともに生育していました。
関連ページ 関西の花・シャク

         ◎ ◎ ◎ 溜池編 ◎ ◎ ◎ 
ヒツジグサ
Fig.14 ヒツジグサ (兵庫県篠山市 2013.5/24)
今年も5月下旬からヒツジグサの開花が始まりました。
この時期のヒツジグサは浮葉も痛んでおらず新鮮で、花も多く、ほんとうに美しいものです。
この後、梅雨に入るとヒシ、ジュンサイ、サイコクヒメコウホネ、オグラコウホネと次々に浮葉植物が開花し、湿生・水生植物の本格的なシーズンに突入します。
関連ページ 浮葉植物・ヒツジグサ

ヒルムシロ
Fig.15 ヒルムシロ (兵庫県篠山市 2013.5/24)
ヒツジグサと同じ池に生育しているヒルムシロの様子です。
水面には新鮮な浮葉を浮かべ、水の澄んだ水中には水中葉が見えています。
この溜池では6月中旬頃からヒルムシロの開花が始まります。
関連ページ 浮葉植物・ヒルムシロ

クリンソウ
Fig.16 クリンソウ (兵庫県篠山市 2013.5/22)
2年振りにクリンソウの生育する溜池畔に立ち寄ってみました。
クリンソウはシカの食害を受けないため着実に増えていました。
しかし、溜池畔で一緒に生育していたスゲ類はほとんどが消滅していました。
シラコスゲ、タカネマスクサ、タニガワスゲは全滅、残っていたのは丸刈りにされたニシノホンモンジスゲが2株だけでした。ある程度覚悟はしていましたが、やはりガッカリしてしまいます。
以前来た時に標本を採集していて、ほんとに良かったと思います。
周囲で目立っていたのはジャケツイバラ、タケニグサ、マツカゼソウといったシカの忌避植物ばかりでした。
関連ページ 湿生植物・クリンソウ

クリンソウ
Fig.17 タニガワスゲの残骸に生育するクリンソウ (兵庫県篠山市 2013.5/22)
絶滅危惧種であるクリンソウが増えるのはよいことかもしれませんが、こういう光景を見ると殺伐とした気分になってしまいます。残骸にはシカが食べにくい小さなコチャルメルソウ、ミズタビラコなどが張り付くように生育しています。

ミズニラ
Fig.18 ミズニラ (兵庫県篠山市 2013.5/24)
兵庫県では湧水の流入のあるような溜池で沈水状態で生育するミズニラは常緑越冬します。
画像のミズニラも新鮮な緑色ではなく黄化しているので、常緑越冬したものでしょう。
まだこの時期のものは基部に胞子嚢を形成しておらず、同定はできません。
関連ページ 湿生植物・ミズニラ

エゾハリイ
Fig.19 沈水状態のエゾハリイ (兵庫県三田市 2013.5/24)
ハリイ、オオハリイ、エゾハリイなどのハリイの仲間は夏になって水が引くまでは沈水状態で生育しながら、小穂基部から子株を生じ、水が引くと小穂の果実を形成する、水生・気中生に両対応する典型的な両性植物です。
しかし、陸生状態でもクローンを生じることも多く、この日は別の溜池で小穂を開花しつつ、その基部から子株を生じているエゾハリイを見かけました。エゾハリイは無性芽(クローン)を生じにくいという図鑑もありますが、少なくとも兵庫県ではよくクローンを生じています。
関連ページ 湿生植物・エゾハリイ

イヌタヌキモ
Fig.20 成長途上のイヌタヌキモ (兵庫県篠山市 2013.5/13)
篠山市内にはヒメミズワラビのように、葉面からクローンを生じるイヌタヌキモが生育しています。3年前に1ヶ所の溜池のみで見られましたが、昨年は見られませんでした。
山間の湧水の多い谷池で水温が低く、出現するのは6月に入ってからで、しかも充分に成長したものでないとクローンは生じないようです。
周辺の溜池でも同様なものがないか調べていますが、なかなか見つかりません。
この溜池のものももう少し成長しないと解りません。
周囲に生育しているのはヤマトミクリで、こちらはもうすぐ花茎を上げるでしょう。
関連ページ 浮遊植物・イヌタヌキモ

アギスミレ
Fig.21 アギスミレ (兵庫県篠山市 2013.5/24)
前々回、ヒメアギスミレを掲載しましたが、兵庫県ではヒメアギスミレよりもやや稀な種です。
ヒメアギスミレは半日陰~日陰の湿地を好みますが、アギスミレは向陽地に生育します。
この溜池ではシカやイノシシの撹乱によりかなり減少しましたが、イグサやミヤマシラスゲの陰で健在でした。画像の個体は上弁基部に顕著な紫条が見られます。
左の羽状の葉はムカゴニンジンのものです。
関連ページ 湿生植物・アギスミレ

ヒメコヌカグサ
Fig.22 ヒメコヌカグサ (兵庫県篠山市 2013.5/13)
環境省準絶滅危惧で、兵庫県でも以前はCランクとされていましたが、比較的広範囲に生育していることから、ランク外となりました。しかし、自然度の高い場所の指標種のうちの一つとして、発見した際には周辺をよく調べるようにしています。
関連ページ 湿生植物・ヒメコヌカグサ

       ◎ ◎ ◎ 休耕田・ほか ◎ ◎ ◎ 
ハナビゼキショウ
Fig.23 ハナビゼキショウ (兵庫県神戸市 2013.5/19)
休耕田で夥しい数のハナビゼキショウが生育していました。
ハナビゼキショウはFig.7のコウガイゼキショウと同じく、「多管質」な扁平な葉を持つイグサ科草本で、開花時期もコウガイゼキショウとほぼ一致します。コウガイゼキショウは茎の基部を横に伸ばしつつ斜上しますが、ハナビゼキショウは直立する傾向があり、茎の両側には広い翼がつきます。また、この仲間は午前中に開花しますが、開花中に観察すると、コウガイゼキショウは雄蕊が3本に対し、ハナビゼキショウは雄蕊が6本あって、雌蕊の柱頭は紅色を帯びてS字状に屈曲している点で区別できます。雄蕊は結実しても宿存するので、花披片をピンセットなどでめくれば同定することができます。
関連ページ 湿生植物・ハナビゼキショウ

ムツオレグサとホソバヘラオモダカ
Fig.24 ムツオレグサとホソバヘラオモダカ (兵庫県神戸市 2013.5/19)
湛水状態の休耕田で多数のムツオレグサと、成長途上のホソバヘラオモダカが見られました。
ムツオレグサはすでに結実して小穂が落ちている花序もあり、かなり早い時期から開花していたようです。ここはホソバヘラオモダカのかなりの多産地で、実生苗も無数に見られました。
また、この場所のものはヘラオモダカ並みに背丈が高くなるとのことでした。
関連ページ 湿生植物・ムツオレグサ
関連ページ 抽水植物・ホソバヘラオモダカ

サイコクヌカボの幼苗
Fig.25 サイコクヌカボの幼苗 (兵庫県神戸市 2013.5/19)
この日は絶滅危惧種のヒメミコシガヤの調査でしたが、ヒメミコシガヤの生育する休耕田ではサイコクヌカボの幼苗も見られました。サイコクヌカボ、ヤマギヌカボ、ヌカボタデの3種を現場で幼苗の時期から区別できるかどうか解りませんが、一応自生地での幼苗の画像は押さえておきたいものです。
関連ページ 湿生植物・サイコクヌカボ

ショウブの花
Fig.26 ショウブの花 (兵庫県神戸市 2013.5/19)
谷戸奥の休耕田の一画がショウブ群落となっており、一部の個体が肉穂花序を上げていました。
日本や中国のものは4倍体で結実は極めて稀なようで、一度熟した液果のついた花序を見てみたいものです。
関連ページ 湿生植物・ショウブ

シュレーゲルアオガエル
Fig.27 シュレーゲルアオガエル (兵庫県神戸市 2013.5/19)
産卵期間近のこの時期になると、水田や用水路周辺の葉上で休んでいるものをよく見かけます。
Fig.26のショウブ群落の葉上で、若い個体が小雨に濡れながら休んでいました。
今頃はもう産卵が始まっている頃でしょう。

コウキヤガラ
Fig.28 コウキヤガラ (兵庫県西宮市 2013.5/17)
西宮市南部の水路内ではコウキヤガラの開花が始まっていました。
コウキヤガラは海岸近くの水路や湿地、河川河口部に生育しますが、海岸近くは概して開発の波に飲まれるため自生地は減少する一方で、兵庫県ではBランク種とされています。
関連ページ 抽水植物・コウキヤガラ

category: 5月の花

thread: 博物学・自然・生き物 - janre: 学問・文化・芸術

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