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Satoyama, Plants & Nature

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ハタベカンガレイ自生地での撹乱と増殖の記録 / 撹乱依存する湿生・水生植物 

 2010年に丹波地方でハタベカンガレイの自生する溜池を発見したが、水深が30cm程度と比較的浅く、水が澄んでいるうえ、沈水葉のみの若い個体も水中に見られるため、翌年の2011年の初秋に自生地の水中画像の撮影を試みた。水深は浅く見えたが、ウェーダーを履いて水中に踏み込むと、水底には軟泥が20~40cmほど堆積しており、ウェーダーの膝から股まで水中に浸かった。水温も低く、上方に隣接する谷池があり、そこからの浸出水が地下水と混じっていることを思わせた。
 この水中撮影のため、水底の多くの部分を撹乱する結果となった。翌年の2012年に自生地の様子を観察しに行くと、撹乱した場所を中心にして個体数は増加し、100個体前後生育しているのを確認した。小穂をつけた成熟個体ではあるが、まだ沈水葉を伴っている個体が数多く見られた。さらに翌2013年には倍増したように見え、2014年に個体数を計測したところ300個体前後となっていた。昨年の2016年には池に密生する状態になり、ざっと見積もって500個体以上となった。
 以下は2011年から年毎の画像による記録で、2015年のものをのぞいて、全て同じ場所と角度で撮影している。
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クローンを芽生したハタベカンガレイ
Fig.1 発見当初のハタベカンガレイ (兵庫県丹波地方 2010.7/15)
小穂基部からクローンを多数芽生している。
この時は大型個体が3株と、沈水葉を伴う若い成熟個体が2株生育していた。
関連ページ 抽水~沈水植物・ハタベカンガレイ

撹乱当年の自生地
Fig.2 撹乱当年の自生地 (兵庫県丹波地方 2011.9/24)
大型個体が5個体と、若い成熟個体が数個体生育。水中には十数個体の沈水葉のみの若い個体が生育していた。開放水面の多くの部分はフトヒルムシロをはじめとして、ヒツジグサ、ホソバミズヒキモからなる浮葉植物群落によって占められている。

水中の様子
Fig.3 水中の様子 (兵庫県丹波地方 2011.9/24)
沈水葉を展開したヒツジグサと、その手前にハタベカンガレイの沈水葉のみの若い個体が見られる。
糸状の沈水葉を茎から互生しているものはホソバミズヒキモ。

大型個体周辺に散在する若い個体
Fig.4 大型個体周辺に散在する若い個体 (兵庫県丹波地方 2011.9/24)
大型の親株周辺の水中に、沈水葉のみの若い個体が見られる。

撹乱翌年の自生地
Fig.5 撹乱翌年の自生地 (兵庫県丹波地方 2012.10/11)
以前からあった大型個体のほか、小穂を付けているが沈水葉を伴う若い成熟個体が急増した。

撹乱から2年後の自生地
Fig.6 撹乱から2年後の自生地 (兵庫県丹波地方 2013.8/14)
個体数はさらに倍増しているように見え、浮葉植物群落はかなり後退している。

撹乱から3年後の自生地
Fig.7 撹乱から3年後の自生地 (兵庫県丹波地方 2014.8/14)
この年、個体数計測すると300個体前後となっていた。

撹乱から4年後の自生地を別の方向から撮影
Fig.8 撹乱から4年後の自生地を別の方向から撮影 (兵庫県丹波地方 2015.7/31)
溜池の浅水域を除いて高い密度で群生している。

撹乱から5年後の昨年撮影の自生地
Fig.9 撹乱から5年後の昨年撮影の自生地 (兵庫県丹波地方 2016.8/6)
大型個体が密生しざっと見て500個体はあるように見える。目視での個人による個体数計測は難しく時間と根気が必要になるだろう。周辺には沈水葉のみの若い個体も見られる。

倒伏した有花茎にみられる芽生
Fig.10 倒伏した有花茎にみられる芽生 (兵庫県丹波地方 2013.8/14)
短期間によるこのような増殖は、撹乱によって泥中の深い場所で休眠していた種子が地表近くに移動して目覚めたことと、芽生したクローンが周辺に拡散されたためだろう。
ハタベカンガレイは7~8月に小穂基部にクローンを多数芽生し、有花茎が倒伏して枯れることによって接地して増殖する。多くのクローンは親株や水草に絡んで水底に定着するが、Fig.8の画像に見られる池の水際に生育しているものは、浮遊していたクローンが岸辺に吹き寄せられて定着したものだろう。

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1年生の湿生・水生植物が世代を繋ぐには、生育条件として氾濫や耕起などの撹乱が不可欠となる例が比較的多い。衰退しつつある一部の多年生のものも、同様な撹乱によって埋土種子から回復が可能なように思われる。特に衰退の原因が水質の悪化でなければ、この手法は有効だろう。
以下に撹乱を必要とするものをいくつか挙げておきたい。

撹乱の翌年に出現したオニバス
Fig.11 撹乱の翌年に出現したオニバス (兵庫県播磨地方 2015.8/6)
溜池の土堤改修の翌年に出現したが、昨年は出現しなかった。
ウェーダーを履いて池底を少し撹乱しておいたが、オニバスの場合は小規模な人力程度の撹乱では効果は少なく、重機による撹乱が必要なレベルかもしれない。
関連ページ 浮葉植物・オニバス

撹乱環境に生育するデンジソウ
Fig.12 撹乱環境に生育するデンジソウ (兵庫県摂津地方 2009.10/15)
原野環境的な小湿地に生育しており、クルマのわだち周辺に生育していた。
現在は遷移が進んで見られなくなっているが、デンジソウの胞子嚢は強固で、長期にわたって胞子が保存されるという。新たな撹乱と充分な水分があれば、再び出現するだろう。
関連ページ 湿生植物・デンジソウ

休耕田に生育するミズネコノオ 
Fig.13 休耕田に生育するミズネコノオ (兵庫県丹波地方 2014.9/29)
休耕された当年、ミズネコノオの大型個体が多数見られたが、翌年は高茎草本が増加して個体数はわずかとなり、さらに次の年はセイタカアワダチソウが繁茂して全く見られなくなった。
ミズネコノオは1年草であるが、このような場合でもできるだけ早い時期に春期に耕起して湛水状態とすることによって回復は可能だろう。多くの1年生の水田雑草は同様な傾向にある
関連ページ 湿生植物・ミズネコノオ

休耕田に生育するコホタルイ
Fig.14 休耕田に生育するコホタルイ (滋賀県 2014.9/8)
2014年に近畿地方および滋賀県新産として発見・報告(「京都植物」)したが、翌年には早くも高茎草本に覆われて消失したという。
コホタルイは多年生草本であるが、このような場合は結実期を過ぎた晩秋~早春にトラクターで耕起して、水を入れることにより復旧する可能性が高い。
関連ページ 湿生植物・コホタルイ

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category: 湿地・溜池

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11月に見たシダなど 

 11月に見たシダ類を備忘録としてまとめました。着生シダの調査、シダの会の観察会など、降雨にたたられるたことも多かったため、デジタル一眼を出すことができない上に遠距離の被写体が多く、鮮明な画像は少ないですが未見の種をいくつか見ることができました。
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ヒメサジラン
Fig.1 ヒメサジラン (兵庫県丹波地方 2016.11/1)
この日はとある谷筋に着生シダの調査で数名の有志とともに入りました。
谷筋の入口近くの苔むした岩上では小さなヒメサジランが点々と見られました。
関連ページ 関西の花/シダ・ヒメサジラン

ヌカイタチシダマガイ
Fig.2 ヌカイタチシダマガイ (兵庫県丹波地方 2016.11/1)
チャートの岩上に着生しており、この谷筋ではかなり密度濃く生育していました。
そろそろ兵庫県でのRDBのランクが落ちそうな感じです。
関連ページ 関西の花/シダ・ヌカイタチシダマガイ

ヌカイタチシダマガイ群落
Fig.3 ヌカイタチシダマガイ群落 (兵庫県丹波地方 2016.11/1)
このような群落が谷筋の岩上のところどことに見られました。

アツギノヌカイタチシダマガイ
Fig.4 アツギノヌカイタチシダマガイ (兵庫県丹波地方 2016.11/1)
チャートの岩上にまばらに生育していました。
谷全体では100個体を超えているはずで、こちらのランクも下がりそうです。
関連ページ 関西の花/シダ・アツギノヌカイタチシダマガイ

フジシダ群落
Fig.5 フジシダ群落 (兵庫県丹波地方 2016.11/1)
チャートの転石帯があり、そこにフジシダがびっしりと群生していました。
転石の間から冷気と湿り気が出ているため、このような群生になったと見られます。
関連ページ 関西の花/シダ・フジシダ

オオフジシダ
Fig.6 オオフジシダ (兵庫県丹波地方 2016.11/1)
オオフジシダのほか、カミガモシダ、ヌリトラノオ、アイヌリトラノオ、シシランなどのチャート岩上の常在種が見られました。
シカの食害以前にはヒメムカゴシダも見られたとのことですが、植生は多少回復していたものの、地上生のシダは小型のものがほとんどでヒメムカゴシダと確定できるものは見つかりませんでした。
関連ページ 関西の花/シダ・オオフジシダ

ホソバカナワラビ
Fig.7 ホソバカナワラビ (京都府丹後地方 2016.11/2)
この日は丹後地方の氾濫原と水田雑草の調査に赴きましたが、その前にちょっと寄り道。
海岸近くの照葉樹林や竹林ではホソバカナワラビの群生があちこちで見られました。
関連ページ 関西の花/シダ・ホソバカナワラビ

コバノカナワラビ
Fig.8 コバノカナワラビ (京都府丹後地方 2016.11/2)
コバノカナワラビも岩場に着生しているものがわずかに見られました。
日本海側では珍しいものだと思います。

ノコギリヘラシダ(左上)とヘラシダ(中央~右)
Fig.9 ノコギリヘラシダ(左上)とヘラシダ(中央~右) (京都府丹後地方 2016.11/2)
まさかこんなものが見れるとは思いもよりませんでした。
ノコギリヘラシダはヘラシダとナチシケシダの推定種間雑種とされており、南方系のものです。
丹後半島一帯は寒冷期に暖地系植物のレフュジアとなったとする見解がありますが、先のコバノカナワラビや冠島のハチジョウベニシダ、沿岸のヒトモトススキやヒゲスゲ、ハマナデシコの存在はそれを裏付けるものかもしれません。
関連ページ 関西の花/シダ・ヘラシダ

ヘラシダ(上)とノコギリヘラシダ(下)のソーラス 
Fig.10 ヘラシダ(上)とノコギリヘラシダ(下)のソーラス (京都府丹後地方 2016.11/2)

ハコネシケチシダ
Fig.11 ハコネシケチシダ (兵庫県但馬地方 2016.11/17)
この日は草原性植物の果実や痩果の観察に出掛けましたが、多くの種は草刈りに遭っており、目的の半ばしか達成できませんでした。換わりに周辺の林縁や山林内をウロウロ。
するとチシマザサの中で頑張っているハコネシケチシダが居ました。

トガリバイヌワラビ
Fig.12 トガリバイヌワラビ (兵庫県但馬地方 2016.11/17)
夏緑性シダで、寒気に当たってかなり色褪せていました。
兵庫県北部ではふつうに見られますが、好きなシダのひとつです。

タニヘゴ
Fig.13 タニヘゴ (兵庫県但馬地方 2016.11/17)
湿地ではヤマドリゼンマイは枯れていましたが、タニヘゴはまだ緑色を保っていました。
近年、内陸部の休耕田や溜池畔に生育しているものはシカの食害をひどく受けています。
関連ページ 湿生植物・タニヘゴ

フロウソウ
Fig.14 フロウソウ (兵庫県但馬地方 2016.11/17)
比較的稀な蘚類で、湿地や多湿の腐植土上に生育しています。
ここでは湿地のヤマドリゼンマイの株元に群生が見られました。

コウヤノマンネングサ
Fig.15 コウヤノマンネングサ (兵庫県但馬地方 2016.11/17)
上記のフロウソウに近い仲間で、苔体はより大きく比較的ふつうに見られます。
本種は渓流沿いの空中湿度の高い場所などでよく見かけます。

ウスツメゴケ
Fig.16 ウスツメゴケ (兵庫県但馬地方 2016.11/17)
褐色のツメのような子器をつける地衣類で、空中湿度の高い場所によく見られます。
関連ページ 関西の花/地衣類・ウスツメゴケ

オシャグジデンダ
Fig.17 オシャグジデンダ (兵庫県但馬地方 2016.11/17)
本種は冬緑性シダ。ちょうど新葉を広げた時期で新鮮な葉が綺麗でした。
但馬地方の原生林ではふつうに見かけるシダです。
関連ページ 関西の花/シダ・オシャグジデンダ

ヒメノキシノブ
Fig.18 ヒメノキシノブ (兵庫県北播地方 2016.11/19)
この日は朝から雨が降っていましたが、シダの会の観察会でした。
最初に入った谷筋ではノキシノブは見られず、ヒメノキシノブが樹幹に数多く着生していました。

サジラン?
Fig.19 サジラン? (兵庫県北播地方 2016.11/19)
非常に生育状態の良い集団が渓流に面した岩陰に着生していました。あまりに大きいので、サジランなのかイワヤナギシダなのか解らず、その場での同定は持ち越しになったものです。

クラガリシダ
Fig.20 クラガリシダ (兵庫県北播地方 2016.11/19)
渓流に面した高木の上部に点在していました。
クラガリという名に反して、上部が開けたような高木の明るい場所に着生していました。
但馬地方にもあるとのことですが、まだ見たことはありません。

ビロードシダとヒメノキシノブ
Fig.21 ビロードシダとヒメノキシノブ (兵庫県北播地方 2016.11/19)
少しブレてしまい解りづらいですがくすんだ暗緑色のヘタったように見えるものがビロードシダ。
画像右手の鮮緑色で葉幅が広いものがヒメノキシノブです。
関連ページ 関西の花/シダ・ビロードシダ

オオクジャクシダ
Fig.22 オオクジャクシダ (兵庫県北播地方 2016.11/19)
この付近ではシカの食害で、このような完品は珍しいので思わず撮影。
峻険な谷筋の滝近くで、シカがあまり入り込まないような場所だからでしょう。
関連ページ 関西の花/シダ・オオクジャクシダ

イブキシダ
Fig.23 イブキシダ (兵庫県但馬地方 2016.11/19)
この日一番見たかったシダで、渓流沿いの岩上や斜面にかなりの数が生育していました。
特徴的な羽片を持った美しいシダに感激しました。
「兵庫の植物観察&new私の山登り」のMさんが最近発見された自生地です。

ホクリクイヌワラビ
Fig.24 ホクリクイヌワラビ (兵庫県但馬地方 2016.11/19)
本来はウラボシノコギリシダとイヌワラビの雑種ですが、捻性を獲得しているようで、このあたりでは広い範囲で生育しており、逆に純粋なウラボシノコギリシダは見かけません。

category: シダ

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京都丹後から兵庫但馬の海岸にて 

 車中泊で京都~兵庫の日本海沿岸の海浜植物を観察して来ました。といっても1日目は大雨で、気になっていた由良川河口の氾濫原の調査は断念。翌日は海浜植物のみを巡る1日となりました。
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タナバシロヨメナ
Fig.1 タマバシロヨメナ (京都府丹後地方 2016.10/27)
シロヨメナの変種で、本州の日本海側に分布し、特に海岸近くの山裾に多く見られます。
ここでは海岸の風衡草地でネザサやススキに埋もれるように開花していました。
その名の通り茎中部の葉の幅は広く、卵形となり鋸歯が目立ちます。
時にケシロヨメナと中間的なものも見られます。

ヒトモトススキ
Fig.2 ヒトモトススキ (京都府丹後地方 2016.10/27)
海岸に降りると湧水が溜まった窪地の周辺でヒトモトススキが生育していました。
京都では日本海側に自生地がわずかにあるようです。
関連ページ 湿生植物・ヒトモトススキ

ハマエノコロとメノマンネングサ
Fig.3 ハマエノコロとメノマンネングサ (京都府丹後地方 2016.10/27)
岩礁の割れ目ですでに結実しおえ枯れ始めたハマエノコロが生育していました。
両種とも日本海沿岸ではふつうに見られます。

オオバスギカズラ
Fig.4 オオバスギカズラ (京都府丹後地方 2016.10/27)
兵庫県の日本海側の海岸では従来キジカクシが分布するとされていましたが、ほぼ全てがオオバスギカズラです。この場所のものも葉状枝は3稜形でオオバスギカズラでした。
すでに果実なども見られず、岩礁の割れ目で風に当たらぬよう縮こまっていました。

サンインカンアオイ
Fig.5 サンインカンアオイ (京都府丹後地方 2016.10/27)
海崖沿いの林道脇の林縁斜面にサンインカンアオイが生育していました。
株元に花芽がみられましたが、まだ開花は少し先になりそうです。

アミタケ
Fig.6 アミタケ (京都府丹後地方 2016.10/27)
海岸のクロマツ林の林床で半月状の菌輪を作っていました。
周囲に見える小型のロゼットはカワラナデシコのもので、海岸近くでは葉が丸みを帯び、先が円頭となるようです。日本海側では海岸でもカワラナデシコが多く見られ、ハマナデシコは稀です。

海岸に広がる砂丘
Fig.7 海岸に広がる砂丘 (京都府丹後地方 2016.10/27)
京都の日本海側には砂丘が広がる海岸がいくつかあって、多様な海浜植物が見られます。
ここではハマゴウ、ケカモノハシ、カワラヨモギが優占する中、兵庫県ではあまり見られない海浜植物が豊富に生育しています。

ハマベノギク
Fig.8 ハマベノギク (京都府丹後地方 2016.10/27)
日本海側ではハマベノギクは砂浜でも岩上でも海岸沿いに広く生育しています。
時期的には少し遅かったようで、結実個体が多く見られました。

ハマベノギクの草体
Fig.9 ハマベノギクの草体 (京都府丹後地方 2016.10/27)
画像に写っているのは1個体で、中心に太く短い主茎があり、主茎下部から多数の側枝を出しています。側枝もよく分枝し、枝先に3.5cm内外の頭花を単生します。

ハマベノギクの花と果実
Fig.10 ハマベノギクの花と果実 (京都府丹後地方 2016.10/27)

ビロードテンツキ
Fig.11 ビロードテンツキ (京都府丹後地方 2016.10/27)
期待していたのですが、少し時期的に遅かったようで、小穂が脱落しかかっていました。
兵庫県では過去にあった自生地でもほとんど見られなくなっている稀少種です。

ウンラン
Fig.12 ウンラン (京都府丹後地方 2016.10/27)
本種も兵庫県ではほとんど見られなくなったもので、自生地は数ヶ所しかありません。
ここではカワラヨモギやハイネズ、ケカモノハシの間に沢山生育していました。

ウンランの花
Fig.13 ウンランの花 (京都府丹後地方 2016.10/27)
花は仮面状で、筒部の先は細長い距となっています。

ネコノシタ
Fig.14 ネコノシタ (京都府丹後地方 2016.10/27)
ここでは大量のランナーを出した大株が沢山生育しており、その規模に圧倒されました。

ネコノシタの花
Fig.15 ネコノシタの花 (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
これは同じ日に兵庫県側で撮影したものですが、個体数はあまり多くありません。

オニシバ
Fig.16 オニシバ (京都府丹後地方 2016.10/27)
オニシバは近畿から東海にかけて絶滅危惧種に指定している府県が多く、このことから海岸開発によって減少していることが解ります。
近縁のナガミオニシバは砂浜ではなく汽水域の干潟状の湿地に見られます。
関連ページ 関西の花/イネ科・オニシバ

アナマスミレ
Fig.17 アナマスミレ (京都府丹後地方 2016.10/27)
砂丘上にはアナマスミレが点在していて、不時開花している個体もポツポツと見られました。
スミレよりも葉に厚味と光沢があり、葉縁が多少とも閉じ気味になるのが特徴です。

海浜植物の生育状態の例
Fig.18 海浜植物の生育状態の例 (京都府丹後地方 2016.10/27)
ウンランを中心として、ネコノシタ、ケカモノハシ、ハマボウフウ、カワラヨモギが見えています。
カワラヨモギの根元には所々で立ち枯れたハマウツボも見られました。

淀洞門
Fig.19 淀洞門 (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
移動の途中に立ち寄ってみました。
但馬の海岸の名所で、山陰ジオパークとなったため、周辺はよく整備されています。

ツワブキ
Fig.20 ツワブキ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
淀洞門周辺の斜面に沢山生育していました。
近くの植え込み周辺に、なぜか根生葉のみのオグルマが見られましたが、これは移入?

漁港のイワシ類の小群
Fig.21 漁港のイワシ類の小群 (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
小さな漁港が沢山点在しており、どこでもイワシ類の群れがみられました。

マルバグミ
Fig.22 マルバグミ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
海岸近くでよく見かける木本で、枝にびっしりと花をつけていました。
葉は広卵形で大きく、徒長した枝がつる状に伸びるのが特徴です。

キンギンボク
Fig.23 キンギンボク (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
本種は日本海側に生育する落葉低木で、花期は春~初夏ですが、この個体は果実も見られず不時開花していました。ワカサハマギクやハマベノギクの咲く岩場の下にマルバグミとともに生育していました。

ハマニガナ
Fig.24 ハマニガナ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
ハマニガナは兵庫県ではCランクとされていますが、日本海側ではまだあちこちで見られます。
地下茎が砂中を長く伸び、節から3~5裂する特徴的な葉を単~複生します。
関連ページ 関西の花・ハマニガナ

ウシノシッペイ
Fig.25 ウシノシッペイ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
砂浜の後背湿地があっただろう場所が休耕されて草地状となっており、そこに群生していました。
隣接する水田ではホシクサ、ミズマツバ、アブノメが見られました。
関連ページ 湿生植物・ウシノシッペイ

ナギナタコウジュ
Fig.26 ナギナタコウジュ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
但馬の海岸は急峻な場所が多いため、道路は所々で内陸に入っていきます。
内陸の田園地帯の土手で生育状態の良い個体が多数の花序を上げていました。
関連ページ 関西の花・ナギナタコウジュ

リュウノウギク
Fig.27 リュウノウギク (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
ナギナタコウジュの近くの林縁ではリュウノウギクが開花していました。
次のワカサハマギクとはごく近縁で、リュウノウギクが2倍体であるのに対してワカサハマギクは4倍体です。
関連ページ 関西の花・リュウノウギク

ワカサハマギク
Fig.28 ワカサハマギク (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
但馬の海岸近くの至るところで見られ、群生する場所では景色が明るくなったのかと錯覚を覚えます。
リュウノウギクよりも沢山の花をつけ、花も少し大きく、舌状花は多数が密に重なり合ってつきます。

ハマベノギクとワカサハマギク
Fig.29 ハマベノギクとワカサハマギク (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
兵庫県側では広い砂丘がなく、ハマベノギクも岩場で見られることが多いです。
ワカサハマギクが咲き始めるとハマベノギクの花期も終わりになります。
ここではオニヤブソテツ、ツルボ、ハマエノコロ、テリハノイバラ、ハマサオトメカズラとともに海岸の岩上に生育しています。

イソヤマテンツキ
Fig.30 イソヤマテンツキ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
最後に立ち寄った風衡草地ですが、ここでデジタル一眼のメモリーカードが一杯に。カードの予備は用意しておらず、ここからはコンデジの画像になり、ピントが甘くなってしまいました。
イソヤマテンツキはここでは海崖の風衡草地の湧水がにじむ場所で、ヤマイやミソハギとともに生育しています。瀬戸内海側では汽水域の湿地で見られますが、日本海側ではこのような場所で生育しています。
関連ページ 湿生植物・イソヤマテンツキ

結実したコオニユリ
Fig.31 結実したコオニユリ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
風衡草地は以前来た時よりも獣道が縦横についており、かなり荒れていました。
食べにくい崖に生育しているコオニユリは被害がなく、結実個体が見られました。
海岸部の草地もシカの被害が問題となっており、京都側でもユウスゲの食害が問題となっています。
関連ページ 関西の花・コオニユリ

結実したヒオウギ
Fig.32 結実したヒオウギ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
ヒオウギの種子は黒色で強い光沢があり、「ぬばたま(射干玉・野干玉)」という古名があり枕詞ともなっています。ヌバタマハナカミキリという甲虫も居ます。
ヒオウギはシカの忌避植物で、シカの多い場所ではヒオウギだけが残ってお花畑となっていることもあります。
関連ページ 関西の花・ヒオウギ

高波で洗われる岩礁
Fig.33 高波で洗われる岩礁 (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
この日は風も強く、打ち寄せる波も高く、時々波しぶきがかかることがありました。
打ち寄せる波を見ながら一服し、帰途につきました。

category: 10月の花

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但馬で見たシダの覚え書き 

 前回は但馬の高原や湿地の植物を取り上げましたが、今回は同じ日に見たシダと、直近の京丹後~但馬の海浜植物の観察の際に見たシダの覚え書きです。
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オオクジャクシダ
Fig.1 オオクジャクシダ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
高原から渓谷へ向かう途中の林道脇の斜面に生育していました。
県中部以北でよく見かけますが、似たものに稀少種がいろいろとあるので、見つけたらチェックが欠かせません。
関連ページ 関西の花/シダ・オオクジャクシダ

イワデンダ
Fig.2 イワデンダ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
渓谷入口の休耕田の石垣の間に生育しています。
奥山よりも人里近くの岩場や石垣に多いという印象があります。
関連ページ 関西の花/シダ・イワデンダ

イヌチャセンシダ
Fig.3 イヌチャセンシダ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
本種もやや人里近い場所に多いという印象です。
ここでは渓谷入口の社寺境内にある多湿な岩場に群生していました。
関連ページ 関西の花/シダ・イヌチャセンシダ

ヤマソテツ
Fig.4 ヤマソテツ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
渓谷に入るとヤマソテツが現れ、奥山に来たという印象を強くします。
このあたりではシカの食害で無残な姿のものをよく見かけますが、ここは比較的食害が軽微のようです。
関連ページ 関西の花/シダ・ヤマソテツ

ウスゲミヤマシケシダ
Fig.5 ウスゲミヤマシケシダ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
ハクモウイノデやミヤマシケシダに酷似しますが、基部が粘液に包まれることにより区別できます。
本種も奥山の沢沿いなどに見られるシダです。
周辺にはミヤマベニシダもありましたが、画像を撮るのを忘れてしまいました。
関連ページ 関西の花/シダ・ウスゲミヤマシケシダ

ホクリクホラゴケ?
Fig.6 ホクリクホラゴケ? (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
滝が現れ、その脇の岩場に群生していました。
ハイホラゴケとヒメハイホラゴケの中間型でややハイホラゴケ寄りの集団です。
ホクリクホラゴケかコハイホラゴケ(ハイホラゴケ×ヒメハイホラゴケ)のどちらかでしょう。
関連ページ 関西の花/シダ・コハイホラゴケ

イワイタチシダ
Fig.7 イワイタチシダ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
さらに谷を遡ると渓流畔の岩上にイワイタチシダが見られるようになりました。
結構な個体数でしたが、よく随伴するフクロシダはこの谷にはありませんでした。
関連ページ 関西の花/シダ・イワイタチシダ

ハコネシケチシダ
Fig.8 ハコネシケチシダ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
シカの食害を受けたのでしょう。小型の夏葉が2枚出ているのを見たのみでした。

ミヤマワラビ
Fig.9 ミヤマワラビ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
本種は但馬の氷ノ山の岩場に見られるものですが、ここでは冷涼多湿な60m級の滝の傍に生育していました。
関連ページ 関西の花/シダ・ミヤマワラビ

オニヒカゲワラビ
Fig.10 オニヒカゲワラビ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
シカの忌避植物であるため、各地でよく見かけるふつうなシダになりました。
この谷でも状態のよい群落が見られます。
関連ページ 関西の花/シダ・オニヒカゲワラビ

タンゴワラビ
Fig.11 タンゴワラビ (兵庫県但馬地方 2016.10/27)
この日は海浜植物の観察に来ましたが、途中に自生要確認種の自生地に立ち寄りました。
本来のお目当てだった種は消えていましたが、タンゴワラビの群生とハコネシケチシダが見られました
関連ページ 関西の花/シダ・タンゴワラビ

矮小化したコモチシダ
Fig.12 矮小化したコモチシダ (京都府京丹後市 2016.10/27)
海崖が続く林道脇の岩上で矮小化したコモチシダが見られました。
風衡地であることと、シカの食害が原因でしょうか?
関連ページ 関西の花/シダ・コモチシダ

ウラボシ科sp.
Fig.13 ウラボシ科sp. (京都府京丹後市 2016.10/27)
潮風が当たるような漁港の石垣に付いていました。
ヒメサジランの大きなものかと思いましたが、中央脈は明瞭で大きさからもヒメサジランではありません。ソーラスは形成されておらず、サジランなのかイワヤナギシダなのか、それ以外の種なのか不明です。

ヒメミズワラビ
Fig.14 ヒメミズワラビ (京都府京丹後市 2016.10/27)
途中、気になって立ち寄った氾濫原の水田で群生していました。
同じ水田ではミズマツバ、アブノメ、ヒメミソハギが生育していました。
関連ページ 湿生植物・ヒメミズワラビ

category: シダ

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秋の但馬の高原と湿地ほか 

 前日の昼に出発し夕方但馬に到着し、草原性植物の観察。車中泊して午前中は湿地と高原に、午後からはあまり情報のない谷にシダ目当てに入ってみました。谷でのシダ探査は後日に譲り、今回は草原と湿地の草本を少し取り上げたいと思います。
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ヤマジノギク
Fig.1 ヤマジノギク (兵庫県但馬地方 2016.10/19)
ヤマジノギクは崩壊地や砂礫地のようなバッドランドや、表土の少ない貧栄養地に生育します。
ここでは溶岩上の表土の少ない貧栄養地で生育していました。
周辺にはイトハナビテンツキなどの貧栄養地を好む草本がみられます。
ヤマジノギクの茎葉は倒披針形から線形で新鮮な葉は斜上して付きます。
関連ページ 関西の花・ヤマジノギク

ヤマジノギクの花
Fig.2 ヤマジノギクの花 (兵庫県但馬地方 2016.10/19)
この時期のノコンギク、ヨメナ、イナカギク、ケシロヨメナよりも花の径は大きく3~3.5cmとオオユウガギクと同様な大きさがあります。

キクアザミ
Fig.3 キクアザミ (兵庫県但馬地方 2016.10/19)
キクアザミはキク科トウヒレン属の草本。風衡地草原や適度に管理された草地に生育する草原性植物で、近年草地の管理放棄により減少傾向の著しい種で、兵庫県版RDBではBランクとなっています。
兵庫県では他にトウヒレン属の草本にホクチアザミ、ネコヤマヒゴタイ、オオダイトウヒレン、ヒメヒゴタイ、ミヤコアザミがありますが、いずれもなかなか見られなくなっています。

キクアザミの花
Fig.4 キクアザミの花 (兵庫県但馬地方 2016.10/19)
トウヒレン属の花はいずれの種もよく似ており、総苞片に多少の差はありますが、葉に特徴が出ることが多いようです。

キクアザミの根生葉
Fig.5 キクアザミの根生葉 (兵庫県但馬地方 2016.10/19)
長い葉柄があり、葉身は卵形、薄い革質で硬く、羽状に浅~中裂します。

オオシラヒゲソウ
Fig.6 オオシラヒゲソウ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
オオシラヒゲソウは本州の秋田県~兵庫県の日本海側の湿った岩場や湿地に生育しています。
兵庫県では数ヶ所から記録があり、ここでは中間湿地に生育しています。

オオシラヒゲソウの花
Fig.7 オオシラヒゲソウの花 (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
本州の太平洋沿岸、四国、九州の温帯域の湿地に生育するシラヒゲソウが花径2~2.5cmあるのに対して、オオシラヒゲソウは3~3.5cmと大型です。
近縁のウメバチソウに比べて仮雄蕊の分枝数は3本と少数です。

オオシラヒゲソウの茎葉
Fig.8 オオシラヒゲソウの茎葉 (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
近縁のウメバチソウと異なり、茎には2個以上の無柄の葉がつきます。

ビッチュウフウロ
Fig.9 ビッチュウフウロ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
ほとんどの個体がすでに果実を付けていましたが、わずかに1花が咲き残っていました。
国内では中国から近畿にかけてと、東海、中部の一部の湿地でわずかに見られます。

ビッチュウフウロの葉
Fig.9 ビッチュウフウロの葉 (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
ゲンノショウコとアメリカフウロの中間的な形の葉を持っています。

ヤマラッキョウ
Fig.10 ヤマラッキョウ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
高所にある湿地のため、すでに開花全盛期になっていました。
湿地の植生は素晴らしいものでしたが、0.2mmほどの稚ダニに20匹強取り付かれ、ズボンから取り落とすのに手間がかかりました。この時期に付くのは4~5mmで大型のタカサゴキララマダニか、ごく微小の産まれて間もないフタトゲチマダニの稚ダニであることが多いのです。
関連ページ 湿生植物・ヤマラッキョウ

シロヘリカメムシ
Fig.11 シロヘリカメムシ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
ネザサやチシマザサの葉上で時々見かけるスマートなカメムシですが、ここでは移動中の林道上を這っていました。

ジンジソウ
Fig.12 ジンジソウ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
シダを探しに谷筋に入ると、入口の岩場でジンジソウが開花していました。
但馬の沢沿いではお馴染みの草本です。

タイミンガサ
Fig.13 タイミンガサ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
谷筋ではあちこちでタイミンガサの群生が見られ、果実形成期に入っていました。
関連ページ 関西の花・タイミンガサ

シモツケソウ
Fig.14 シモツケソウ (兵庫県但馬地方 2016.10/20)
比較的標高の低い谷ですが、5,60m級の滝の滝壺周辺で多湿冷涼であるためか、岩場の間にはシモツケソウが見られ、枯れた花茎が沢山立ち枯れていました。
周辺にはミヤマワラビも見られ、初夏や夏場に再訪すべき場所のようです。
他に種子形成したオオカニコウモリやキバナアキギリ、モミジガサ群落、サンインシロカネソウ、ツルネコノメソウなどが目立ちました。





category: 10月の花

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